5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

シャブリの赤をください

2011-05-29 22:03:42 | たべもの
日曜日の午後のNHKFM「トーキングウイズ松尾堂」は、松尾貴史が司会のトーク番組で、はかま満緒の「日曜喫茶室」の若返り版的構成。定番聴取というのではないが、偶然FMラジオのスイッチをオンにした時に「面白い話」が聴けるのはなんとなく得をした感じがする。

2011年4月3日の放送「洋を極める和を極める」でも、ゲストの田崎真也の「ソムリエ話」が彼らしくて記憶に残った。95年に国際ソムリエ競技会で優勝した時からすでに15年、いまでは国際ソムリエ協会会長の肩書きが光っている。

面白いと思ったのは田崎の語った「ソムリエの実力を試す方法」である。

一つ目は、ワイン・テイスティングを行うときのソムリエは、タストヴァンからワインを口に含み、口腔内でころがして匂いと味を感じてから、そのままプッと吐き出す。このとき、鉄砲魚のように吐いたワインを上手にバケツに入れるコントロール技術を持っているものは、ワイン・テイスティングの経験が多く、力もあると判断できるという。バケツに上手く入れられず周辺を汚しているようなソムリエは、口だけの頭でっかちが多いのだそうだ。

二つ目は、自分もチャンスがあったらやってみたいと思っているのだが、「シャブリの赤」が呑みたい」と云ってソムリエの反応を見るというもの。

「シャブリ」はブルゴーニュを代表する辛口の白ワインだというのはワインの素人でも承知の事実だが、「シャブリは白しかございません」と平然と云って憚らないソムリエは、ゲストの立場(女性など同伴者のいる場合は特に)を考慮しない野暮天ということ。

実際には、白ワインばかりを生産するシャブリ村に近い同じヨンヌ県(Yonne)のイランシー(Irancy)ではシャブリ唯一の赤ワインが生産されている。日本にはほとんど入って来ないワインだから、ほとんど誰も知らない。

「シャブリの赤とは流石によくご存知だ」と客の知識をまず褒めてから、「イランシーは入荷していないから白のシャブリをお勧めしたい」というところへもっていくのが、プロのソムリエとして模範的は回答になるというわけだ。

ナルホドである。

また、日本酒好きの田崎は、酒の国際化に向けて、AOC(原産地呼称)を「日本酒」にも採用すべきだという。

米の品種、栽培方法、醸造方法などをフランスワインのように法的に規制すれば、グローバルな酒の標準化ができるというわけだ。さらに、最近の日本酒のエチケット(ラベル)はデザインに凝り過ぎであり、これは誰にでも判読できるようにすべきだとも力説していた。誰も表示の読めない酒を頼むことはないだろうというのだ。これも、たしかにその通りである。

番組の中で、五木ひろしの演歌「待っている女」を、国際ソムリエ協会会長がリクエストしたのも、意外な気がして可笑しかった。これがシャンソンだったら、逆に鼻持ちならないイヤな奴ということになるだろうが。














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