アナーキー小池の反体制日記

世界中のひとが 仲良く助け合い ほほえみながら 平和に暮らしていくために (イマジン)

#99 学生時代(14)

2008年03月08日 | 学生時代
定山渓のホテルの初日の続きです。

勤務時間は午後6時から11時までといわれていました。
ですから到着した日も5時半くらいにホテルに行きました。

そこの常務がカクテルラウンジに案内してくれました。
8階だったでしょうか。
けっこう大きくて、立派なカクテルラウンジです。
カウンターにはゆったり10人は座れます。
隣にはジュークボックスを置いた大きなダンスホールがあり、そこもボクの守備範囲だとの事です。

常務は昔バーテンの経験があるとの事で、「今晩だけ教えるから明日から君一人でやってね。」と言いながら、次から次と教えてくれます。
ボクはバーテンなんて全く初めてなんです。

ウィスキーとかブランデーとかは見たことのないのが一杯並んでいます。
何せそれまでサントリーレットかハイニッカばっかりだったんですもの。
カクテルの材料もごまんとあり、説明を受けても覚えきれるはずがありません。

カクテルの作り方を教えてもらいます。
シェーカーなんか使ったことが無かったものだから戸惑いました。
2,3回振っただけで、「まーいいだろー。後はこの本で勉強してね。」だって。
カクテルの作り方の本なんだけど、その中に簡単にシェーカーの振り方も書いてあるのを渡されました。

仕事の内容について説明がありました。
そこの一切を任せるとの事です。
掃除から仕入れ、カクテルの値段まで決めていいと言うんです。

ウィスキーやカクテルに使う氷は、1階の厨房にある大きな冷凍庫に大きな塊の氷があるんですが、それを必要な量だけ割り取ってこなければなりません。
この作業にはアイスピップを使うんだけど、ボクは今まで一度も使ったことがありません。

1階の厨房から取り込むのは大まかな作業で済むので何とかできましたが、水割り用の氷、オンザロック用の氷もこの板氷から作らなければなりません。
右手に氷を持って左手のアイスピックで割っていくんだけど、2週間ぐらいは右手のひらにアイスピックが刺さって血だらけになりました。

初日の研修中、従業員が次から次とカクテルラウンジに顔を出します。
女中、板前、電話交換手などが「あら、新しいバーテンさん?よろしくね。」って。

温泉旅館では、それぞれ職種の呼び方が決まっていました。
女中は女中さん、板前は料理さん、下足を揃えるとか布団を敷く人を番頭さん、みんなさん付けなんです。
ですからボクの場合はバーテンさんとなるんです。
番頭さんって、それまで店でソロバンを使うような人をいうのかと思っていたんですが、温泉旅館では下働きの人をいうんです。

そのほかフロントや事務、営業の人がいました。
経営陣はみな社長の一族で、専務、常務、支配人は兄弟とその配偶者がなっていました。

カクテルラウンジはたいてい暇だそうで、客が1人も来ない日があるそうですが、夏のツァー時期には満員になり、手が回らなくなるときがあるそうです。
そんなときは、若手の女中さんに応援を頼むんだけど、基本的にはボクが一人で対応しなければならないと言われました。

常務は2時間ほどボクに教えて、「あと、わかんないことあったら聞いてね。」と言い、帰っていきました。
これで明日からこのカクテルラウンジをボクが任されたことになります。
わからないことばかりで明日からが不安でしたので、カクテルの本を持ち帰って宿舎で勉強しようと思いました。

ところが、9時頃でしょうか、料理さんの一人が「おい、バーテン、今晩歓迎会やっからな。」って言うんです。
年のころ20台の半ば過ぎ、一見やくざ風です。
断ることも出来ず、「はい、わかりました」って、爽やかに言ったのでした。
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