足立 真一のTriton Blog

株式投資の実践、グローバルな視点での投資戦略。
銘柄選択は、成長株、中・小型株、新興市場株にバイアスを置く。

ウォール街でもIPO(新規公開)が再開

2009-05-25 16:26:22 | 株式

先週はウォール街でIPO(新規公開)が久しぶりに2件あった。昨年8月以来、途絶えていただけに、投資家のセンチメントをみる格好の材料として注目された。

再開の第一号は水曜日(20日)のソラー・ウィンズ(SWI)だ。ネットワーク管理ソフトの開発企業。引け値は公開価格を10.4%上回る$13.80で終わった。

2弾は木曜日(21日)のオープンテイブル(OPEN)で、引け値はブックビルディングの価格帯の安値の2倍であった。インターネットでのレストラン予約サービスの企業である。

いずれもIT関連銘柄でIPO人気の復活を彷彿とさせた。

昨年の金融市場の危機でベンチャー企業の資金調達は壁に突き当たっていた。

東京市場では3月に公開された大幸薬品(4574・東2)、テラ(2191JQ)が好調で最近の新興市場の花形株になった。大幸薬品はIPO価格に対して3倍、テラは2.6倍になった。

個人投資家のセンチメントの改善を暗示している。


調整は押し目買いのチャンス

2009-05-22 08:10:31 | 株式

昨日のウォール街は久しぶりに3日間連続安になった。

これといった決定的な悪材料が出たわけではなく39日を基点として一気に駆け上がってきただけに調整局面を迎えるのは当然と市場のムードは暗くない。

あえて悪材料を探せば前日の連銀の議事録(4月のFOMC)の公開。注目点は景気の見通しを引き下げたことだ。それにドル安が気にされ金、銀相場が大幅に上昇した。インフレ懸念の台頭である。

しかしここへきて第一線で活躍する投資家の強気姿勢が目立つことに注目。L.ビリニィ(ビリニィ・アソシェツ)は「向こう3年以内にS&P5001,700に上昇する」と予想した。昨日の引け値から+91%だ。市場への資金の流入と相場の関連をモデル化したので有名な運用者だ。200710月には弱気に転向し今回の下落相場を的確に予想した。今回の相場の底入れは36日に「底入れ」宣言し、2日違いでズバリ当てた。ソロモンブラザーズのトレーディング部門で活躍した豊かな経験の持ち主だ。

いまひとり、かねて私が注目しているスティーブ・ルートホールドだが「グリジリィ・ショート・ファンド」を運用してきた。昨年は+74%の実績を上げた。やはり3月の相場の底入れの5日前に強気に転向した。「S&P5001,100まで上がる」とみて、ロングの比率を70%に引き上げた。

相場が目先、調整するとこの種の実践家の動きを思い出したい。彼らは潮の流れを科学的に読んで成功してきた。


光るIPO(新規公開)した2銘柄・・・合理性が戻る

2009-05-21 07:32:55 | 株式

IPO市場は42日のソケッツ(3634・マ)の公開以来、新規公開は途絶えたままだ。株式市場がNY株の好転をうけて大きく人気づいてきたが、個人投資家の新興市場や第2部に対しての人気は一向に盛り上がらない。

そんななかで気を吐いている2銘柄がある。

318日に公開された大幸薬品(4574・東2)と326日のテラ(2191NEO)である。

大幸薬品は「正露丸」で有名な医薬品メーカーである。昭和21年に創業した知名度の高い会社で「正露丸」と「セイロガン糖衣A」で売上げの80%以上を占める。公開価格は2,000円であったが、最近、高値は6,400円まで上昇した。短期間に3倍以上のパフォーマンスである。インフルエンザやノロウイルスの予防用に2酸化塩素ガスの製品の薬効がみとめられ時代の花形になった。今後の成長の大きな道が開けた。

テラはがん免疫療法による治療のノウハウと技術を提供する。樹状細胞を使ってリンパ球で異物(ガン細胞)を攻撃するという療法だ。公開価格は310円であったが、682円の高値をつけた。

「トリトンスクエア通信」では理論株価を大幸薬品は4,600円、テラは690円とした。

IPO市場ではこの種の合理的な株価分析の手法が生きている。

今後のIPO市場の先行きに元気を与えてくれるケースになった。


銀行の決算が出揃った・・・評価基準

2009-05-20 07:58:56 | 株式

昨日の三菱UFJ(8306)の決算発表で3大メガバンクの決算発表が終わった。

3行の損失が12191億円で大手銀行の損失の大半を占めた。日経新聞によると「株安」「不良債権処理」「本業不信」の3重苦が決算の大幅赤字の原因になった。欧米の銀行と異なるのは住宅市場に関係する影の金融市場からの損失ではなく、景気と株安が原因であり、業績不振の理由が分かりやすい。

株価の上昇が続けば銀行株の投資価値が上がる。人気に自己増殖作用がある。

景気の回復、株価の上昇で悪化の要因は消える。ただ日本の銀行経営は欧米のように柔軟性に欠け、株価の回復がそのまま業績に反映されるということが少ないのが問題点だ。

自己資本比率はいずれも10%超になり米国の金融機関に劣らない数字になった。問題はいまウォール街が注目されるコアTier1に対しての関心が経営陣にも、市場にも低かった。

銀行の安全性をみるのにTier1からコアTier1に完全に移行してきた。ウェルズ・ファーゴなど米国の銀行がストレステスト後にいち早く株式の発行による調達を発表したのは、米国の政策当局の判断基準に合わせるためである。数字を高める早道は普通株などによる資金調達である。英語では最近、TCE(Tangible Common Equity)という言葉が目につく。

三井住友(8316)、みずほフィナンシャル(8411)がすでに普通株式による調達計画を発表したのはこのためである。

コアTier1の数字がこれから銀行の健全性をみる基準に使われるようになる。

引き続き東京市場では銀行株に注目を続ける。


NY株に一転して強気奪回・・・VIX指数がリーマン・ショック前に

2009-05-19 07:34:43 | 株式

NY株が39日に底入れして、今週は11週目にはいったが、月曜日は先週末にもたげた慎重ムードを払拭した。

注目してきたVIX(不安)指数が30.2420台突入寸前まで下落した。投資家の先行きのセンチメント指数でもあるが、不安感が少なくなると数字は低下する。昨日の安値は30まであった。

NY市場では住宅市場の底入れを示すニュースが出て、買い物が殺到した。VIX指数の30は昨年9月のリーマンブラザーズ破綻前の水準で、今回の金融危機のスタート直前まで下落した。

それに合わせるようにゴールドマン・サックス、モルガンスタンレー、JPモルガンが昨年10月に受けた公的資金の返済を公表した。3行で450億ドル(43000億円)である。1部は株式に転換するワラントが含まれる。

ワラントの価格は大きく上昇している。ゴールドマンのワラントは転換価格の+61%、モルガンスタンレーは3倍だ。政府はわずか7ヵ月余で大きな利益を手中にした。ヘッジファンド顔負けの投資収益率である。

今回の金融危機で金融機関や投資家が天国と地獄を経験したが、米国政策当局のスピードのある行動にはあらためて敬服させられる。

東京市場では金融株が再び人気のリード役になるだろう。