足立 真一のTriton Blog

株式投資の実践、グローバルな視点での投資戦略。
銘柄選択は、成長株、中・小型株、新興市場株にバイアスを置く。

米ヤフーに熱い眼差し

2007-06-25 18:46:35 | 株式

先週はウォール街でインターネット株に象徴的な動きが出た。

週末にグーグル(GOOG)が史上最高値を記録した。ことしの3月には$450まで下げていたが、$526まで反発した。一方、競争相手のヤフーはCEOのテリー・セメルが退任した。代わって創業者で大株主のジェリー・ヤンがCEOに就任した。これまでは創業者でありながら、経営はプロに委ねるという米国で一般にみられる方式をとってきた。

5月の検索エンジンのシエアーはグーグルが56.3%と、ヤフーの21.5%を大きく引き離してしまった。

ヤフーの経営陣の交代に、ウォール街では歓迎する向きが多い。

グーグル追撃の手段として開発した新検索エンジンの「パナマ」の評価は良くない。ウォール街が期待するのはマイクロソフトかニューズ・コーポレーションによるヤフーの買収である。実現すれば株価は時価の+30%以上になると期待する。

いまひとつはいま大流行の買収ファンドによる「株式の非公開化」である。非公開によって合理化を進め、再上場というコースだ。

これまでのニューヨーク株の上昇の大きな原動力になってきただけに、ヤフーの株主にとっては大歓迎である。

ニューズ・コーポレーションの買収は、その傘下にあるSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)のマイスペースとの株式交換方式がいわれている。。

インターネットの世界に新しい動きが出始めてきている。

世界的な余剰資金がテコになって業界の再編成→革新という潮流が出る可能性が強い。

われわれは引き続きグーグルへの投資を奨めたい。


再び円キャリートレードに注目

2007-06-24 18:29:48 | 株式

昨日も書いたがウォール街では米大手投資銀行ベアースターンズが運用するヘッジファンドの信用問題が大きな関心を呼んでいる。

同社では「ハイ-グレード・ストラクチャード・クレジイット・ストラティジーズ」という名でヘッジファンドを運用していたが、それに組み入れたサブプライム・ローン(低格付け住宅融資)の債権が大幅に値下がりし、追加担保の差入れが必要になった。そのために債権を流動化して担保不足を埋める必要に迫られた。市場で投売りするれば、売買されているほかの債権にも影響が出て、金融市場に大きな影響が出ることが懸念された。メリルリンチがそれを買い付けて、当面の危機を乗り切った。ベアースターンズの、当のヘッジファンドは年初来20%も下がっていた。

一連の話を聞いていると1998年9月23日のLTCM破綻の悪夢を想起させられたが、差し当たりはコトなきを得た。

一方、円相場が124円台に下落し5年ぶりの安値になった(ドル高)。

再び円のキャリー・トレードが話題になっている。

米国5.25%、ヨーロッパ4.0%、英国5.5%、オーストラリア6.25%、ニュージランド8%というのが、各国の中央銀行の政策金利であるが、日本は0.5%。

この低利の金利で借りて海外へ資金を移動するというのはきわめて単純明快な話である。

それに今年の夏は1兆5000円のボーナスと5兆円の配当が支払われる。

この様な円が狙い打ちされている。

いずれにしても東京市場での流動性の高さはこれから株式市場に反映される。


ウォール街の2大トピックス

2007-06-23 18:07:58 | 株式

昨日のニューヨーク市場は大幅安になった。

大手投資銀行のベアースターンズの運営するヘッジファンドが大量のサブブライム・ローンを抱え、その流動化に迫られ、メリルリンチが買い取ったことが表面化したのがきっかけである。ウォール街ではほかの大手ヘッジファンドにも同じような大口の債権があり、その問題が表面化するのではないかという懸念が出た。メリルリンチはシステミック・リスクが大きくなるのを受け止めるために動いたというウワサであるが、業界の盟主としての行動に出た。

この話を聞いてると1998年9月に起こったLTCM破綻が脳裏に浮かぶ。

サブプライム・ローン問題はこれまでから議論し尽くされてきた。住宅ブームに乗って支払い能力の低い層に、高利で貸し付けるローンである。

連銀がすでに相当に危機意識をもち調査をすすめてきたはずで、LTCM破綻の時のようなリスクの広がりはないと思う。ヘッジファンド全体を問題にするのは間違いであると思う。1998年以来、ヘッジファンドの運用者が心がけてきたのは「サバイバル」(生き残り)で、リスクに対してはきわめて敏感であり、内部的にコントロールしてきたからである。われわれが付き合いのあるヘッジファンドのすべてがこの点は徹底していたからである。

来週木曜日(28日)に連銀FOMCがある。そこでバーナンキ議長は何らかのコメントを出すはずである。

昨日は注目の企業買収ファンドブラックストーンの株式公開があった。5年ぶりの大物のIPOで、時価総額は390億ドル(4兆8000億円)になった。引け値はIPO価格の+13%で、2月に公開したヘッジファンドのフォートレス・インベストメントの初日の価格+67%にははるか及ばなかった。

金曜日の東京市場でIPOされたインフォテリア(3853・マ)、ネットインデックス(6634・JQ)がIPO価格の2倍以上の買い気配で終わったのとは対照的ではあった。

ブラックストーンには中国政府が30億ドル(3800億円)の資金の運用を委託する。

サブプライム・ローン問題を懸念をする市場であるが、一方では大口の資金が流入する。流動性相場の長期トレンドは不変である。


成果が出始めたIPO市場での投資

2007-06-22 17:30:16 | 株式

本日の株価指数をみると日経平均-0.29%、第2部+0.61%、日経ジャスダック+0.44%、マザーズ+0.34%、ヘラクレス+0.99%であった。

小型株や新興市場の銘柄に活気が出てきた感じがする。感じだけではない。

個人投資家が支配するIPO(新規公開)市場には、往年の人気を彷彿とさせてくれる動きが蘇ってきた。

昨日公開したマネーパートナーズ(8732・HC)は一時は波乱はしたが、結局、2日目の本日はストップ高の「買い気配」で終わった。

本日公開のネットインデックス(6634・JQ)とインフォテリア(3853・マ)は「買い気配」のまま初値は形成できなかった。両銘柄ともIT関連であり、大手の関連企業の業績がもたついているのに、着実に成長路線を走っている。

「投資家は良く知っている」とつくづく関心させられるが、株価判断に合理性が出てきてる。

インフォテリアはわれわれの理論価格をはるかに超える人気である。会社がいう「ITのカフェテリ」とうメッセージが市場に伝わった。

ネットインデックスは理論株価で説明ができる。

これらの動きをみていると新興市場への人気の回帰がみられる。個人投資家のセンチメントの復活である。


7年ぶりの高値

2007-06-21 17:00:07 | 株式

夏相場が始まった。

今回の上昇相場は20034月に始動した。相場の世界でこれまでの経験則としてコンセンサスになっているのは、上昇相場には3つ段階があるということである。

1段階は金融相場である。不況から脱出するために政策当局は金融を緩和し流動性を供給する。日銀のゼロ金利政策がそれに当たる。

2段階は業績相場である。景気の回復が背景にあり、1株当たり利益が上昇して、株価の上昇の割にPER(株価収益率)は上がらない。市場のセンチメントが好転して相場には過熱感が出てくるところであるが、ある時期までは株価の上昇率よりも利益の増益率のほうが大きく、利益増が先行する。

本日、日経平均は226日の18,215円を上回って、20005月以来の高値である18,240円をつけた。7年ぶり。

業績の好調を株価が反映して商社、鉄鋼、非鉄、金属製品、機械など景気敏感株が上がった。

226日のPER23倍、現在は20倍と、株価の上昇にもかかわらず数字は小さくなっている。株式市場では見事に合理性が発揮し始めた。

目下、われわれは経験則でいう第2段階の渦中にいる。

3段階はインフレが始まったときであるが、日米とも政策当局は「インフレ始まる」と断定していない。

先行き第3段階にはいったとしても、上昇相場の時間軸はまだ相当に残っているとみてもよい。第3段階の終焉のときが、相場の上昇サイクルの幕引きのときであるが、投資戦略を立てる上ではその議論はまだ先のことである。業績相場では物色範囲は相当に広がる。

「大型株か中小型株か」「バリュー株かグロース株か」の選択は必要ない。業績の上昇に関心をもつ。

今週は日東精工(5957)に注目。「原材料はトン単位で仕入れ、販売は本数で売る」という日本の「ものづくり」の強さを発揮している企業である。PER20倍まで買えるとみる。