世界最大の資産運用会社ブラック・ロックのCEOのローレンス・フィンクは「先行きに楽観論が蔓延していた。相場は一段と波乱含みのゾーンにはいる」と先週のスイスでのダボス会議で語った。その兆しが先週末には早くも現れた。きっかけは中国の景気指標の発表で製造業の減速と、金融市場の外に存在する影の金融市場の問題点が相場に打撃を与えた。
また南米のアルゼンチンの為替相場の下落も問題にされた。南米では第3番目の国でGDPでは地域全体の20%を占める。ユーロ危機の時に話題になったギリシアなどとは異なり、南米でははるかに大きな存在感をもつ。
焦点は今週の米国での連銀FOMC(28~29日)の動向だが、果たして前回のFOMCで決めたような資産買上げの一段の縮小を決めるかどうかである。
米バロンズ誌では先週から新春座談会の掲載を3回にわたって始めたが、参加者の相場観は大きく分かれた。強気、中立、悲観論である。
今週の記事ではゴールドマン・サックスのアビー・コーヘンは「ことしの相場はこれまで金融相場から、景気、企業の売上増加、投資価値を重要視する相場にはいる」と語っている。価値観の変化である。
当然、物色の範囲も狭まる。
昨年8月以来、大きな下落を経験しなかった相場はどこで調整にはいっても当然という環境にはあった。