昨日の暴落についてウォール街では「当然のコースだ。相場は安値から短期間に70%も上昇したのだからいつかはたどる途」という見方が出ていた。
問題はこれまで出遅れていた外人投資家の出動があるかどうかだ。
本欄では調整を予想していたが下落は大きかった。
一部の外人投資家は「波乱相場にはいった。本日はブラック・フライディ(暗黒の金曜日)の可能性もある」と見る向きも出ていた。
取引所の売買機能の進歩によるHFT(高速回転売買)が一因にもよる暴落だが、その売買が相場の下落を加速したことは確かだ。
話は変わるがヘッジファンドのダン・ローブ(サードポイント)がソニーの筆頭株主になりアクティビストとしての本領を東京市場で発揮し始めたのには驚いた。
昨年来、ウォール街で健康食品のハーバライフ(HLF)にヘッジファンドのビル・アクマンが大量の空売りを仕掛けた。販売組織がネズミ講のシステムに似ていると攻撃した。ダン・ローブが買い向かい、一時は仕手戦になったが、結局は株価が上昇し勝利を収めた。
その間にも日本株の復活に関心をもち、昨年来、訪日して自分の目と耳で市場の変化を読み取ってきた。ソニーに1200億円を投資したほか、日本株はすでに合計2200億円も購入した、運用遺産の約20%だ。
彼は当年51歳で新進のヘッジファンドとして私は注目してきた。
少年のころから株式投資に関心を持ち、弁護士事務所を経営する父親からもらう小遣いで投資をして成功してきた。
1995年に330万ドル(3億6000万円)でヘッジファンドを立ち上げ、これまで年平均+17.9%の成果を上げた(この間、S&P500は+6.5%)。いまや運用資産は1兆3000億円になった。
今回の日本株の復活では一番乗りに成功した一人だ。
ソニーへの提案がなんらかの形で成功すれば会社、株主両方にハッピーな話である。
このような話はウォール街では珍しくはない。株価形成にはこのような合理性が働く。日本でも定着すれば日本の株価形成にはより確実性が高まる。