ノーベル賞学者のポール・クルーグマンが毎週末にNYタイムズに寄稿しているのは有名で、世界中の投資家が、その景気のコメントに注目する。先週は26日の木曜日に寄稿した。金曜日のジャクソンホールでの国際経済シンポジウムでのバーナンキ連銀議長の講演会に先駆けて牽制球を投げた。
その論評のタイトルは「現状は回復局面ではない」(This is not a Recovery)。米国の高失業率からのだっしゅつは、1~2%の成長では不可能で5%以上の成長が必要としている。
このままでは景気はダブルディプに陥る。それを避けるためには①国債の買い上げ期間を延長すると同時に社債も買い付けの対象にする②短金利の引き下げを表明し長期金利の低下を促す③中期的なインフレ目標を引き上げる―を提言した。
その翌日、シンポジウムでバーナンキ議長がクルーグマン教授の提言に応えるように①国債を買い上げる②金融緩和の継続の意向を明確に市場に伝える③準備預金の金利を引き下げ銀行が中央銀行への預金を民間に貸し付けるよう誘導をする―を表明した。
またエコノミストの提案に応えてインフレ目標を引き上げることの検討も付言した。
クルーグマン教授の提言に120%答えたといえる。
バーナンキ議長の柔軟性ある対応を市場は、好感した。
世界の株価は昨年3月の相場の転換点のときと同じような環境になってきた。
今週が転換点になる可能性が濃くなってきた。