過去に、樋口恵子の老いについて書かれた本を2冊読んだ。
一冊目は、『老〜い、どん! あなたにも「ヨタヘロ期」がやってくる』だったと思うが、もう一冊は題名を思い出せない。(今、施設の方にいるので、家の書棚を確かめることができない。)
『老いの福袋』(2021年刊)が、出版されたことは、新聞の広告で知っていたが、わざわざ購入してまで読まなくてもいいな、という気分であった。
が、今日、週が改まり、施設の4階に移動図書がやってきた。
それを覗くと、『老いの福袋』がある。
購入せずに読めるのならと自室へ持ち帰り、早速読んだ。
今まで読んだ老いに関する本同様、ご自分を軸として、自らや家族のことを素材としつつ、老いを真正面から受け止めて書いておられる。
恥じらいもなく、和式トイレの苦労や失敗談など、老いにまつわる出来事を潔く、具体的に書いておられる。そうそうと、同感する話は多い。
とかくマイナス思考になりがちなことを、作者のように、エイヤーと笑い飛ばして生きられたら、さぞ楽だろうな! と思う。
老いの現実は、なかなか大変である。口にできない苦労がたくさんある。それをリップサービスとして提供するには少々勇気のいることである。それを、包み隠さず紹介される。和式トイレが、老人にとっていかに難儀であるか、その苦労談など、体験者としてよく分かる。特に著者は、かなり体重がありそうだから、その苦労が目に浮かぶ。
老い方は人それぞれでありながら、共通項はたくさんある。
この本は、老いの入り口におられる70代、80代の方には、参考になることが多いだろう。
樋口恵子 著
『老いの福袋』
あっぱれ!
転ばぬ先の知恵88
樋口さんは昭和7年生まれ、私は8年生まれで一年遅いが、学年は同じである。
老いに関する本しか読んでいないので、樋口さんの思想信条はよく知らない。
が、東京都知事に立候補されるなど、政治活動もなさっているようで、率先して、世の在り方に関わっておられるのは、立派なことだと思う。
この本に書かれていたことで、以下の二つについて全く同感。
その1 高齢期に失うもの4つ。
① 人 ② 健康 ③ お金 ④ 家
確かにそうだ。失うと、老人の心を、さらに深い悲しみに陥れる。
その2 介護され上手になること。
私の場合、現在のところ、心身ともにまずまずで、人の手助けを必要とする老いの悩みを抱えているわけではない。が、いずれ人のお世話にならざるを得ない日が来ることは必定。感謝しつつお世話をいただける老女でありたい、とは念じている。
樋口恵子さんが陽であるのに対し、私はどう見ても陰であり、人としてのタイプはかなり異なるが、互いに心身に潜む老いの進行は否めないはず。さてこの先は、?????
比較的元気と言っても、明日のことはわからない。
体よりも、心的に、<生き疲れたな>と、思うことが、最近多くなってきた。