私は最近、メモやメモ的な日記以外、文字を書くことがない。
手紙や葉書など大方のことは、PC任せである。
そんな生活をしていると、読めても書けない字が増えてくる。
そこで、思い立ったのが、
『天声人語』を書き写す作業であった。
普通のノートに書けばよいことなのだが、格好の、専用ノートの存在を知った。
アマゾンに注文し、10冊求めた。
継続を課す目的もあって。
なかなかよくできたノートである。
ただ書き写すだけでなく、頭を使うようにできている。
しかし、ノートの使い方は自由であろう。
私は、関心があって、気に入ったコラムのみを書き写すことにした。
開始は、10月12日。
今日は、11月12に日だから、書き始めから一か月が経ったことになる。
その間、書き写したのは、21回分である。
書き写し用の<原稿用紙(603字)>のほかに、
① <記事のタイトル(見出し)をつける>
② <辞書で調べた漢字やことばを書く>
③ <内容の要約や感想、意見を書く>
以上三つの欄が、設けてある。
それぞれの欄も、自由に使っている。
①は、必ず書くことにしている。
②では、登場人物について、調べたことを書いたり、漢字練習をしたり…。
③は、自由作文を楽しんでいる。
筆記には、ボールペンを用いている。
書くのは速いが筆圧が乏しく、デジカメに収めたところ、添付の写真通り、不鮮明である。
そこで、10月27日(日)の記事について、書いたことを引き写しておく。
① 「知の巨人」中井文夫さんに学ぶこと
②
中井文夫(79歳) 精神科医・神戸大学名誉教授。統合失調症の治療や研究で名高い。際立った文筆家。
ギリシャやフランスの詩を訳し、文学賞も受賞。(記事から引用したこと)
一目置く(囲碁から生まれた言葉を書き出してみたい)
推薦 推薦 (漢字練習)
③
今日から読書週間。
このコラムで、中井久夫さんのことを知った。この世には、すごい人がいるものだ。
頭の構造が、どうなっているのだろう?
アマゾンへ、中井文夫著の3冊を注文する。
と、記している。
注文した本は、すぐ届いた。(下の写真)
『清陰星雨』 (みすず書房 2002年刊)
『日時計の影』 (みすず書房 2008年刊)
『私の日本語雑記』 (岩波書店 2010年刊
上記の著書はいずれも、頭の冴えた状況で読むべき本である。
幸い、短いエッセイなので、題名を見て、読みたいところから、読むことにしている。
昨夜読んだ「ワープロ考」(『清陰星雨』中)に、次のような文章があった。
最近になって、手書きは脳のあちこちをはげしく活性化するがワープロやパソコンは全くしな
いという脳生理学者の報告がいくつかある。字を書く時の手と脳との対話は非常に広汎でめまぐ
るしく、筆記機械では代替できない。
確かにそうだと思う。
ただ、機器に頼ることが習慣化すると、なかなかその利便さを捨てられない。
まあ、天声人語を書き写すことで、脳の活性化を図ることにしようと思う。
21回の記事を書き写す間に、やなせたかしさん(94歳)と天野祐吉さん(80歳)、島倉千代子さん(75歳)が亡くなられた。
いずれも、天声人語に取り上げられている。
それにつけたタイトルは、以下のとおりである・
10月18日「故やなせたかしさんの生き方」「心の杖<一寸先は光>」
10月22日「天野祐吉さんの死を悼んで」 「<CM天気図>を読めなくなる寂しさ」
11月9日 「島倉千代子さんの歌と人生」
題名をつけるのは、やさしそうで難しい。
上記のように、タイトルを二つ試みたりした。
昨日は、「柿」の話だった。
題名は、「柿――なるほど<国果>」とした。
③を書くに当たっては、なんだか心が弾んだ。
次のように書いた。
果物の中で何が一番好きかと問われたら、「柿」と答えるだろう。
その柿が、今どきの若者世代には好まれないという。
皮をむくのが面倒らしい。ミカンさえも。
栗なら同感するけれど…。
さすが名料理人・辻嘉一さんは、味の達人である。
柿を「国果」と言っておられた由。
晩秋の景のすばらしさは、紅葉だけではない。柿もまたよし!
しかし、「木守り柿」の風情も、暖簾のように軒に吊るされた干し柿も、身近ではなくなった。
そんなところにも、時の移ろいを感じ、寂しい限りだ。
柿についてなら、いくらでも書けそうな気がする。