マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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山添的野の迎え火

2011年09月10日 07時24分17秒 | 山添村へ
山添村の的野で行われているご先祖さんの迎え火。

流れる布目川に沿って掛けられたガードレール付近に設えた藁がある。

それは竹の棒に挿してある。

藁は一折りしている束で2本もあり、既に火を点けたものもあればまだのものもある。

時間帯は夕刻ではあるが点けるのは家の都合のいい時間。

「あんたとこももう点けたん、うちはこれからや」と話す住民たち。

S家では孫たちが楽しみにしていた村の花火大会に行く前にとご主人が火を点けられた。



現在はガードレール下に流れる川。

高く上げられるまでは藁火を燃やすのは川原だったそうだ。

その家ではテラス外にガキダナを設けていた。



タロ箕の中に納められた皿にはドロイモの葉。

そこにトマトやナスビ、ピーマン、オクラなど。

珍しいのは実を付けたナツメだ。

もう一つの皿は・・・といってもそれはカキの葉。

そこに茹でたソーメンやダンゴが供えてある。

白玉で作ったシンコダンゴだそうでハシを添えている。

家の仏壇にも同じようなお供えがあるから見てくださいとご厚意であがらせてもらった。

位牌を並べた仏壇の前にはお供えがあるが、ソーメンとシンコダンゴは六つ。

当家ではこの個数が決まっているという。



「六地蔵かも知れないが、昔からそうしている」と大正15年生まれの母親はいう。

その祭壇には手作りのハシゴが掛けられている。

「誰か判らんけど、登って食べられるようにしている」という。

明日は炊いたアズキを塗したオニギリにするお供え。

どうやらオハギのようである。

今夕は迎え火のタイマツ。

明日は早くも送り火で夕刻には同じようにタイマツに火を点けるそうだ。

隣家のI家では既にタイマツを燃やしていた。

それから畑に行っていた大正生まれのご婦人は戻って来られた。

「うちでもしているからどうぞあがってください」と言われて仏壇を拝見した。

S家と同じように位牌を並べた祭壇がある。



ハシゴは手作りでコウゾの枝を使っている。

結び目もコウゾでそれは皮を剥がしてヒモにしたもの。

祭壇には広げたドロイモの葉に載せたサツマイモ、ナスビ、ピ-マン、キュウリ、カボチャ、トマト、ホオズキにナシなども。

祭壇に線香をくゆらしてローソクを灯して先祖さんに手を合わせる。



当家の縁側には吊り提灯(燈籠とも)が2基掛けられている。



アラジョウライサン(新精霊)と呼んでいる新仏を祭る提灯はその年の7月までに亡くなった場合に吊ると言って親戚筋が亡くなったのでそうしているという。

(H23. 8.13 EOS40D撮影)