マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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白土の新仏のタナ

2011年09月04日 07時55分44秒 | 大和郡山市へ
白土町の辻々や墓地などを太鼓と鉦で叩いて厄を祓っているのは子供の念仏講。

同町には大人の念仏講もある。

それぞれの講に属しているお家で亡くなられた新仏の家にも講中が巡って鉦を叩く。

それぞれの家では亡くなられた人を祭る「タナ」が設けられている。

子供の念仏講が訪れたNでは7日の盆入りに祭壇を組まれて故人がかつて参られた朱印帳を飾られた。

「タナ」の上段には「オヤシロ」とも呼ばれる家型の「ヤカタ」内には位牌が納め、白い木で組まれたハシゴが掛けられた。

中段には膳やキュウリやナスビが供えられた。

馬とされる「キュウリは故人が早くきてもらって、牛のナスビはゆっくりと戻ってもらう」のだと当主は話される。

膳は七日盆入りの7日から15日まで毎食の献立が替る。

この夜はコーヤドーフやズイキの煮ものやゴハンが供えられた。

13日には先祖さんにおます。

夕方近くになれば北の田んぼ辻に出向いて線香をくゆらして先祖さんを迎える。

また、縁側に置いたトーシにハスの葉を敷いてそこに13品を並べるそうだ。

それは無縁さんのもので北の縁側に供えるという。

南の縁側に吊り燈籠が下げられていた同家。

上部は平面四角形でその下に四方型と三角型が組み合わされた燈籠である。

木の枠で組み合わされ白地で装飾された吊り燈籠。

下部は長い垂れがあり、そこには切り抜き文様がみられる。



同町特有の吊り燈籠の形は多少の違いが見られるものの、十津川村の大踊りで飾られるキリコトウロウや川上村高原での法悦祭に祭られるキリコドウロウの形に似かよっている。

同町に属する東端にある千束ではそれは飾らないという吊り燈籠。

それを作っているのはかつて白土町に住んでいた「シラツチヤ」。

ザルや瀬戸物を売っている店だが、型が決まっていて白土の住民のためにその吊り燈籠を作っている。

聞くところによれば近辺の旧村では「ここだけだ」と話す当主。

新仏のタナやたいへん珍しい吊り燈籠はお盆を終えた15日には焼却される。

朝に先祖さんが戻っていくので線香をもってコバカへ行った。

昔はそこで焼いたが現在は環境問題の関係で処分されるタナや吊り燈籠。

夫人や残された家人たちは故人を偲んでそれを残しておきたいと語った。

(H23. 8. 7 EOS40D撮影)