一文字 寅 の 「風菜園(かぜさいえん)」 

「天に星。地に花。人に愛。」 風に乗って、日々の所感を「風菜園」から発信してまいります。

はじまりはいつも雨

2014年05月21日 01時30分15秒 | みんな~愛『酒』てるかい

 

■2014/5/21(水) 夜雨

普段は、夜中に起きることなどめったにない私が、目を覚ましラジオのスイッチをonにしたのが20日午前4時すぎ頃だったろうか。 何か虫の知らせか。 朝の4時まで起きていることは多々あっても午前4時に早く目を覚ますのは、年に3~4日ほどしかない。

スイッチを入れていきなりラジオから流れて来たのは「諏訪五藏と言われてですね・・・」という言葉、やがて「フランスでの日本酒は・・・」と聞こえた時点で、もしかしてこれ「真澄」じゃないかとピンと来て、だんだんと目が覚めていった。 真澄の蔵元が、友人に連れられて行ったフランスのワイナリーめぐりの話し、フランスのパリで日本酒の試飲会に出店した最初の頃の様子。

近年ニューヨーク国連本部で行われた日本酒イベントの話し、だんだんと日本酒人気に手応えを感じている話が、夜中の四時過ぎにNHK「ラジオ深夜便」から流れて来た。

最初の頃パリで、SAKEと言うとフランスの料理人たちは、皆顔をしかめたのだそうだ。あのまずいアルコールのことか  フランスでの評価は、とても低かった。 何故か?  中国やベトナムの料理人が、安い焼酎をSAKEとして店で出していて、フランス人にとってSAKEとは、美味しくないアジアのアルコールの代名詞扱いされていたとのこと。

そんなフランスのシェフたちに「真澄」の試飲をしてもらうと 反応は「これSAKEなのか!?  あのいつものまずいSAKEじゃない」要するに まずいアジアのアルコールじゃないと誰もが反応した話は、とても興味深かった。

今では、日本のSAKEは、日本人が思う以上にヨーロッパやアメリカでもリスペクトされていて、卸のバイヤーなどが、蔵元に一緒に記念写真に写って欲しいと日本以上にもてることも珍しくないとのこと。

和食が世界無形文化遺産になった意味は大きく、外国人は、寿司や天ぷらといった日本食にはやはり美味しい日本酒をあわせてくれとリクエストするのだそうだ。 ここ数年が、低迷する日本酒が飛躍できるチャンスだとも言っていた。

そんな「真澄」は、私にとって実は思い出の銘柄である。 私がまだ20代の頃の話し。

日本酒といえば二級酒・一級酒・特急酒しか知らなかった私に 案内された店で、(今にして思えばあの頃日本酒Barは極めて珍しかった)かすりを来た女将さんに級酒以外の純米吟醸なる酒を初めて勧められた、その銘柄こそ「真澄」だった。

「これは信州の酒、特に酵母がいいけんね」 「こうぼ??? が、いい?」 当時は意味をよく理解できなかった。 それから山形の「銀・住吉」 そして岐阜の「三千盛」を呑んだことを憶えている。 私の日本酒デビュー三酒。もう ん十年も前の話し。   

私が初めて呑んだ吟醸と名のつく酒が「真澄」。 それ以来 ん十年経ったが、「真澄」は一度も口にしていない。 呑もうと思えば百貨店では中心に置かれてる日本酒なのに・・・ きっとその思いでを大事にしたいという気持ちが強いからだろう。 

もし寅さんに会わなかったら日本酒を今みたいに飲むこともなかったし、たぶん本当の美味しさを知らないままだったかもしれない、と言ってくれる人がいるのはもちろん嬉しいことだが、そんな私にも日本酒の美味しさにいざなってくれた恩人が二人いた。

ブログはもう暫く、休むつもりでいたのだが、前もって知らされていたわけでもないのに たまたま付けたラジオで「真澄」の日本酒話し、今まで打ち明けてなかった、私を美味しい日本酒にいざなってくれた女将さんの思い出に敬意を評して書いてしまった。

思い出が真に澄みわたる未明。 雨音を聴きながら書かずにはいられない。

こういうのが純粋なブログ更新の仕方かもしれない。 外は、雨。 始まりはいつも雨といったところか。

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(寅)