おとらのブログ

観たもの、見たもの、読んだもの、食べたものについて、ウダウダ、ツラツラ、ヘラヘラ書き綴っています。

九月大歌舞伎 夜の部②

2012-09-18 00:17:34 | 観たもの
 口上に引き続き、勘九郎さんの襲名狂言「雨乞狐」です。サブタイトルに「勘九郎六変化」とあるように、野狐、雨乞巫女、座頭、小野道風、狐の嫁、提灯の六役を演じられます。6年前に博多座で、この「雨乞狐」を演っているときに靱帯断裂という怪我をされた因縁の作品です。私もフジテレビの勘三郎さんの追っかけ番組で見た記憶があります。

 ↑上の右側のポスターが野狐の扮装なんですが、これを見たとき「これって『義経千本桜』に出てくる狐といっしょやん」と思っていたら、その「義経千本桜」の源九郎狐の子孫(孫の孫の孫のそのまた孫?と竹本の方が語っていらっしゃいました)だそうで、納得です。そういえば、来月の御園座では勘九郎さん、「義経千本桜」の道行初音旅と川連法眼館で、源九郎狐です。2ヶ月連続で狐なんですね。野狐の時の身体能力、すごいです。ぴょんぴょん飛び跳ねるんですが、高く上がるし、その高さをずっと維持しています。さすが、お若いです。来月の御園座も拝見する予定ですが、「義経千本桜」が楽しみになってきました。六役は“早替り”っていうほど瞬間的に変わるものではありませんでしたが、六変化はそれぞれ面白かったです。

 最後は「雁のたより」です。実は、私はこの演目を非常に楽しみにしておりました。上方和事といわれる演目で、ストーリーらしいストーリーもなく、役者の愛敬だけで見せるお芝居だそうで、役者さんの実力が試されます。人物造形とか背景とか衣裳とかでは誤魔化せないお芝居です。
 
 ストーリーはないと書きましたが、一応あります。
若殿の左司馬は愛妾司らを連れて有馬の湯へ遊山に来ていますが、司が宿の向かいの髪結い床の主人・五郎七に惚れていると邪推した左司馬の家来たちは、司の名を使った偽恋文を五郎七に届けます。大喜びで呼び出しに応じた五郎七は、縛り上げられ、不義の罪に問われそうになるところ、家老の治郎太夫が現れ、恋文が偽手紙であることが判明、全ては司が自分の意のままにならないことを恨んだ左司馬と家臣らの企みでした。さらに、五郎七が只者ではないと見破った治郎太夫が槍で突こうとするのを巧みに捌いた五郎七、その正体は...。

 出演は彌十郎さん以外はALL上方でした。壱太郎さん、いいですね。ピンクのお着物がよくお似合いで、お可愛らしく、若殿左司馬を袖にするところなんてナイスな演技でした。五郎七の店の下剃りの安を吉太朗クンが演じていましたが、本当に達者です。子役とは思えません。秀太郎さんが「白木みのるみたい」と評された言葉をまた思い出しました。

 翫雀さんや扇雀さんはやっぱり時々大阪弁が怪しくなります。ご本人たちが「大阪で大阪弁の芝居をやるのはこわい」とおっしゃっているくらいなので、自覚はされているようですが、もうちょっと自在に大阪弁をあやつって欲しいなぁと思いました。ちゃんと大阪弁を話せるのは乳母お光の吉弥さん、吉太朗クン、左司馬の家臣役の松之助さんあたりで、この方たちのおかげで“上方狂言”らしくなっているような…。秀太郎さんや愛之助さんが加わるような座組みで見てみたいなぁと思いました。

 
 今回のお弁当です。下鴨茶寮の「おやさい京弁当」です。小さく見えますが、結構ぎっしりと詰まっていて、十分お腹いっぱいになりました。
コメント (2)
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