松竹座で「九月大歌舞伎」の昼の部を見てまいりました。今月は通しではなく、昼夜別々の日にしました。「九月大歌舞伎」はご存じのとおり、「中村勘太郎改め 六代目中村勘九郎襲名披露」公演でもあります。今年2月に新橋演舞場、3月は平成中村座で、松竹座は初めての地方公演だそうです。
昼の部の演目と配役です。
一、妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)
三笠山御殿
杉酒屋娘お三輪 七之助
入鹿妹橘姫 壱太郎
烏帽子折求女実は藤原淡海 新 悟
豆腐買おむら 翫 雀
漁師鱶七実は金輪五郎今国 橋之助
二、俄獅子(にわかじし)
芸者お扇 扇 雀
鳶頭駒吉 橋之助
団子売(だんごうり)
劇中にて襲名口上申し上げ候
お福 勘太郎改め勘九郎
杵造 七之助
三、瞼の母(まぶたのはは)
番場の忠太郎 勘太郎改め勘九郎
お登世 七之助
半次郎母おむら 竹三郎
金町の半次郎 亀 鶴
半次郎妹おぬい 壱太郎
板前善三郎 亀 蔵
鳥羽田要助 市 蔵
金五郎 彌十郎
水熊のおはま 玉三郎
「昼の部」を見終わってまず思ったのは、「『勘九郎襲名披露公演』じゃなくて『七之助奮闘公演』やわ」ってことです。全ての演目に七之助さんご出演でした。夜の部も「女暫」と「口上」にご出演で、大車輪のご活躍です。
で、その七之助さんのお三輪ちゃんです。初役で、もちろん玉ちゃんご指導でございます(詳しくはコチラ)。初役にしたらとても頑張っていらっしゃるようにお見受けしました(って、何だか“上から目線”の書き方で申し訳ないんですが)。玉ちゃんのお三輪ちゃんを今年のお正月に見たばかりなので、その印象が強すぎて、見ていても「ここは、玉ちゃんの時はどうだったかしら」とそんなことばかり思ってしまって…。失礼な客です。
それと、今ちょうど文楽の住大夫さんの本を読んでいるんですが、その中で「義太夫節はあくまで大阪弁です。~中略~大阪弁で語るようにできています。江戸弁や標準語で演ったら、変に聞こえます。~中略~歌舞伎役者さんでも、浄瑠璃作品を演じられるときは、大阪訛りで演じてほしいと思います」とおっしゃっています。ということは、この「妹背山」も役者さんはちゃんと大阪弁のアクセントで台詞を言わないといけないんですよね。七之助さんは生まれも育ちも東京、ちゃきちゃきの江戸っ子さんなので、時々アクセントがおかしくなるんです。大阪弁Native(正確には河内弁Nativeなので、正しい上品な大阪弁とは言えないけれど)としては、ちょっと気になりました。
壱太郎さんの橘姫は、久しぶりの赤姫のビラビラ簪とお着物、求女を思ういじらしさ・切なさも感じられ、可愛らしくてよかったです。番附によれば、お祖父さまの藤十郎さんに習われたそうで、そりゃ出来るでしょう、と思いました。求女は新悟さん、彌十郎さんのご子息です。彌十郎さんって確か歌舞伎界で一番背が高いと聞いていますが、新悟さんも負けず劣らずお背が高いです。ただ、イマドキの青年は顔が小さいので、歌舞伎の舞台に出ると重心が定まらない?、何だかアンバランスな感じです。
昨年お亡くなりになった中村芝翫さんは四頭身?五頭身?で「これぞ歌舞伎役者!」と言われており、歌舞伎役者は顔が大きいのがよかったそうです。それを覆したのが玉ちゃんで、“八頭身の歌舞伎役者”と揶揄され(←揶揄の対象になるんです!)、お若いときはご苦労されたようです。そういう玉ちゃんですが舞台に登場されると、どう見ても歌舞伎役者で、そう見えるようかなり努力なさったんだと思います。そういう見え方が、新悟さんに限らず、イマドキの若い役者さんにはないんですよね。これからのご精進なんでしょうね。
翫雀さんのおむらですが、もう少し絡むのかしらと楽しみにしていましたが、案外あっさりと引っ込まれました。いじめの官女は當十郎さんがご出演でしたが、當十郎さんが出られるのなら、松之助さんもいっしょに出ていただきたかったです。私の中では、このお二人、完全にコンビになっています。
漁師鱶七は橋之助さんで、本当に最後にちょこっと出てこられるだけで、私はお正月に見ているからストーリーを知っているけれど、初めてご覧になった方はちょっと唐突な感じがしないのかしら?と思いました。
昼の部の演目と配役です。
一、妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)
三笠山御殿
杉酒屋娘お三輪 七之助
入鹿妹橘姫 壱太郎
烏帽子折求女実は藤原淡海 新 悟
豆腐買おむら 翫 雀
漁師鱶七実は金輪五郎今国 橋之助
二、俄獅子(にわかじし)
芸者お扇 扇 雀
鳶頭駒吉 橋之助
団子売(だんごうり)
劇中にて襲名口上申し上げ候
お福 勘太郎改め勘九郎
杵造 七之助
三、瞼の母(まぶたのはは)
番場の忠太郎 勘太郎改め勘九郎
お登世 七之助
半次郎母おむら 竹三郎
金町の半次郎 亀 鶴
半次郎妹おぬい 壱太郎
板前善三郎 亀 蔵
鳥羽田要助 市 蔵
金五郎 彌十郎
水熊のおはま 玉三郎
「昼の部」を見終わってまず思ったのは、「『勘九郎襲名披露公演』じゃなくて『七之助奮闘公演』やわ」ってことです。全ての演目に七之助さんご出演でした。夜の部も「女暫」と「口上」にご出演で、大車輪のご活躍です。
で、その七之助さんのお三輪ちゃんです。初役で、もちろん玉ちゃんご指導でございます(詳しくはコチラ)。初役にしたらとても頑張っていらっしゃるようにお見受けしました(って、何だか“上から目線”の書き方で申し訳ないんですが)。玉ちゃんのお三輪ちゃんを今年のお正月に見たばかりなので、その印象が強すぎて、見ていても「ここは、玉ちゃんの時はどうだったかしら」とそんなことばかり思ってしまって…。失礼な客です。
それと、今ちょうど文楽の住大夫さんの本を読んでいるんですが、その中で「義太夫節はあくまで大阪弁です。~中略~大阪弁で語るようにできています。江戸弁や標準語で演ったら、変に聞こえます。~中略~歌舞伎役者さんでも、浄瑠璃作品を演じられるときは、大阪訛りで演じてほしいと思います」とおっしゃっています。ということは、この「妹背山」も役者さんはちゃんと大阪弁のアクセントで台詞を言わないといけないんですよね。七之助さんは生まれも育ちも東京、ちゃきちゃきの江戸っ子さんなので、時々アクセントがおかしくなるんです。大阪弁Native(正確には河内弁Nativeなので、正しい上品な大阪弁とは言えないけれど)としては、ちょっと気になりました。
壱太郎さんの橘姫は、久しぶりの赤姫のビラビラ簪とお着物、求女を思ういじらしさ・切なさも感じられ、可愛らしくてよかったです。番附によれば、お祖父さまの藤十郎さんに習われたそうで、そりゃ出来るでしょう、と思いました。求女は新悟さん、彌十郎さんのご子息です。彌十郎さんって確か歌舞伎界で一番背が高いと聞いていますが、新悟さんも負けず劣らずお背が高いです。ただ、イマドキの青年は顔が小さいので、歌舞伎の舞台に出ると重心が定まらない?、何だかアンバランスな感じです。
昨年お亡くなりになった中村芝翫さんは四頭身?五頭身?で「これぞ歌舞伎役者!」と言われており、歌舞伎役者は顔が大きいのがよかったそうです。それを覆したのが玉ちゃんで、“八頭身の歌舞伎役者”と揶揄され(←揶揄の対象になるんです!)、お若いときはご苦労されたようです。そういう玉ちゃんですが舞台に登場されると、どう見ても歌舞伎役者で、そう見えるようかなり努力なさったんだと思います。そういう見え方が、新悟さんに限らず、イマドキの若い役者さんにはないんですよね。これからのご精進なんでしょうね。
翫雀さんのおむらですが、もう少し絡むのかしらと楽しみにしていましたが、案外あっさりと引っ込まれました。いじめの官女は當十郎さんがご出演でしたが、當十郎さんが出られるのなら、松之助さんもいっしょに出ていただきたかったです。私の中では、このお二人、完全にコンビになっています。
漁師鱶七は橋之助さんで、本当に最後にちょこっと出てこられるだけで、私はお正月に見ているからストーリーを知っているけれど、初めてご覧になった方はちょっと唐突な感じがしないのかしら?と思いました。