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つれづれなるままにパソコンに向かいて旅日記・斜読・よしなしごとを綴る

「倉敷美術館殺人事件」では、倉敷美観地区を舞台に、お雇い外国人フェノロサも登場する

2016年04月07日 | 斜読

book415 倉敷美術館殺人事件 木谷恭介 ワンツーマガジン社 2010 /2016.3読  (斜読・日本の作家一覧)
2016年3月に姫路城や倉敷美観地区などを見学した。行きの新幹線ではHIMEJI BOOKを読み、帰りの新幹線でこの本を読んだ。
 プロローグの冒頭で、主役として登場する八坂葉子が倉敷の大原美術館の前から鶴形山の石段を登り、観龍寺、阿智神社を通って、亀岡美術館に向かうシーンが描かれている。
 帰りの新幹線で読み始めたが、前日の倉敷見学でまったく同じコースを散策していて、冒頭から物語に引き込まれた。
 ところが、第1章の殺人事件が起きる牛窓のオリーブ園は、倉敷見学のあと岡山でレンタカーを借りて赤穂に向かう途中、通り過ぎてしまった。この本によると1万本のオリーブが植わっているそうだ。ちょっと惜しまれた。
 第3章の小京都は広島県竹原のことで、伝統的建造物群保存地区に選ばれている歴史地区がある。ここはだいぶ前に訪ねたことがある。
 ほかの推理小説でも同じ手法がとられるが、よく知られた場所を事件の舞台にすると、物語が身近になり、臨場感を増すし、まだ行ったことの土地であれば、次の旅の目標になる。
 物語では、八坂葉子の訪ねた亀岡美術館には、たいへんな資産家である亀岡が収集した古美術品が展示されている。
 話が飛ぶが、明治時代のお雇い外国人の一人フェノロサは日本美術を再評価するとともに、多くの美術品を収集してボストン美術館に展示したのは史実である。
 この本では、フェノロサが収集したが、ボストン美術館には公開されていない美術品を亀岡が丸ごと買い上げ、それを亀岡美術館に仮展示していて、いずれ倉敷美観地区に新たに設立する美術館で展示する話をフィクションとしている。
 舞台として登場する町の風景、倉敷美観地区やフェノロサなどの文化・美術、そして気楽に読める推理の展開、といった内容が人気の理由のようだ。
 

コメント
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