2005年 「農山漁村集落の再建を考える」 日本建築学会2005大会・中越地震総合協議会 /2005.7記
熊本~大分では地震がおさまらず、大きな被害になっている。被災地の復興、平安を心より祈る。
まだ現役だった2004年に新潟県中越地震が発生した。中越の山間地で土石流、地盤崩落が起き、大変な被害となった。私も現地を取材し、研究会を立ち上げ、復興、再建について議論を重ねた。
翌年の建築学会大会・中越地震総合協議会で上記を報告した。
自然災害後の復興、再建に共通する考えなので、再録した。
一部を抜粋する。3.住民による生活再建ビジョンの作成・・・・・生活の不安を聞いたり、心のケアができる相談員・専門家の派遣が必要である。
一方、行政は災害や再建にかかわる情報を住民に公開するとともに、住民と将来展望について話し合わなければならない。信頼関係の構築が次のビジョンづくりへと発展する。
スリランカにはジャイカを始め世界各地から支援の手が届いていて、被害のあった学校再建や住宅地建設が始まりつつあるが、当事者や住民の意向はほとんど反映されていないようであった。
日本でも住民の意向が後回しなる案が少なくないと聞く。
災害からの復旧・復興は急ぎたいが、しかしそこに子どもや孫やその子どもや孫が住み続けることを考えれば、時間をかけ、自然環境と集落の空間構造を読み取り、社会の変化に可変できる案を住民が主役になって練るべきであろう。
同時に、住宅の再建と仕事の確保を車の両輪としてとらえた生活の再建ビジョンを考えたい。
玄界島では幸いにも漁業は順調であった。が、中越では農地の崩壊が災いしている。
農山漁村集落では生業の場なくして暮らしは成り立たない。どこに住むか、どこで働くか、どのように暮らすかを住民・行政・専門家が時間をかけて練りあげることを希望する。
住民による住民の復興、再建を祈念する。