A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

こだわりが無くなったら人生終わりかも・・・・

2011-07-18 | MY FAVORITE ALBUM
SWINGERS ANYONE? / KYOICHI WATABANE & The Swingers

70年代に二十歳そこそこでデビューしたスコットハミルトンも今ではすっかりベテランの域だ。今年の秋はまた来日するようだ。元気なうちに行ってみることにしよう。ジャズの巨匠といわれた多くはすでに他界してしまった。その後継者といわれた人もすでに、還暦を過ぎつつある。自然と次の世代が気になるものだ。
ハミルトンに代表される良く歌うスイングするテナーの後継者は誰か?ふと気になったが生憎最近の若手事情には疎いので一度じっくり調べてみよう。きっと誰かが育っていることと思う。

それでは日本では?というと、実は一人いる。辰巳哲也のBig bandのサックスセクションに座っているテナーの渡辺恭一。辰巳哲也のビッグバンドはモダンなアレンジの曲を主に演奏するので、そのセッションワークやソロではあまり気がつかないが。しかし、他のバンドで演奏する時はスイング系のバンドが多い。そこでは、レスターヤングの流れを汲む中間派のテナーだ。



彼のスイングするテナーをタップリ聴けるのが、このリーダーアルバム。ピアノのイントロに始まる1曲目を聴いただけで最近のジャズとは異次元の世界に入る。40年代の徹底的にスイングするノリのアルバムを久々に聞いた。ジャズの録音もCDの時代に入って、鋭く研ぎ澄まされたような音はいいが、温かみのある柔らかい音はアナログの音に一日の長がある。きっと音の質というのは測定器の精度では計り知れない世界なのだろう。最近アナログ盤を聴き返すと改めて実感する。

このアルバムも、演奏自体にもこだわりを感じるが、録音にあったって録音機材はアナログ時代の機器を利用したとのこと。このこだわりが演奏にも繋がっているのだろう。最近の若者は要領だけ良くて、こだわりを感じる人物に出会うことが少ない。仕事でも遊びでもこだわりがなくなっては終わりだと思っている自分にとって、こだわりをもったアルバムに出会えて嬉しい。こちらもこだわっていいアルバムを捜していこうと思っている。

1. When I Grow Too Old To Dream (S. Romberg)
2. Hawk(K.Watanabe)
3. These Foolish Things(J. Starchey)
4. If Dreams Come True(E. Sampson)
5. I Was Doing Alright(G. Gershwin)
6. China Boy (P. Boutelje)
7. I'll See You In My Dreams (I.. Jones)
8. Oh, Lady Be Good ! (G. Gershwin)

渡邊恭一(Ts)
吉原聡(Gt)
田窪寛之(P)
小林航太朗(Ba)
田村陽介(Dr)

Recorded at Studio DEDE Nov. 11 ,2008


Swingers, Anyone?
渡邊恭一
SWINGER SMUSIC
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ラジオ放送用に残された演奏にはお宝がある・・・・

2011-07-17 | MY FAVORITE ALBUM
THE LIBERTY OF JAZZ / Plays Soviet Compositions over Radio Liberty


学生時代レコードの価格は2000円以上。今のCDよりも高い。当時の物価水準と比較すると今よりも5倍近くの価値がある貴重品だった。買える枚数も限られ、満足に聴くのはジャズ喫茶とラジオが頼りだった。当時のFMでは渡辺貞夫のマイディアライフで毎週放送用のオリジナルな演奏が行われていた。また大物のジャズグループのコンサートもオンエアされることが多かく、それらをエアチェックするのも楽しみの一つだった。
ということは、ラジオ局には膨大な当時のライブ演奏の音源が残されているはず。著作権などの関係もあるとは思うが、それらの音源が日の目を見た時には、語り継がれた幻のライブをまた聴くことができるかもしれない。

ラジオを始めとしてメディアの大きな役割は国家権力のプロパガンダの道具。今のお笑い番組中心の民放テレビからは想像できないが、国民総白痴化が国家戦略だとすると理解できなくもない。プロパガンダは国内だけでなく海外にも及ぶ。鉄のカーテンに仕切られた東西間では相手国向けのラジオ放送のやりとりが行われていた。
その中のひとつにRadi0 Libertyという放送局があった。1951年にロシア国民開放のためのアメリカ委員会という団体が立ち上げたが、これはアメリカ議会がスポンサー。1971年に同様な役割であったCIAがスポンサーのRadio Free Europe(FLE)と合併したが、所詮どちらも国家レベルのアメリカ自由主義のプロパガンダ用のラジオ局だった。米ソの冷戦は終わっても、今は中東向けにその役割は変わっていないらしい。

1962年のベニーグッドマンのソビエト訪問。大成功の裏には、数ヶ月に渡る各地での公演の合間には、現地でのジャズミュージシャンとの交流も図られ、草の根のジャズファンの交流は確実に行われたらしい。その時訪問したビルクロウやズートシムスは、ソ連から持ち帰ったロシアの曲を演奏することになった。このラジオフリーダムの入れ知恵だったらしい。
ビルクロウが、ソ連を訪れたメンバーを中心にボブブルックマイヤーなどを加えて、先日紹介した思い出セッションと同様に大型コンボを編成。アレンジはアルコーンが担当した。
放送用のリハーサルを含めた音源が残っていたのであろう、CDに収められているのもオンエアされたものだけではなく、メイキングの音源も含まれる。
CDの解説の大半はロシア語なので詳細は不明だが、放送用の音源にはこんなものまであるのだから奥が深い。視聴者がエアチェックや録画をしたコンテンツがYoutubeに増えてきた。今までお蔵入りされていた放送用の音源が日の目を見る日は近い。

1. You May Believe
2. Madrigal
3. Madrigal New York
4. You Will Say No
5. You May Believe - Or Nit
6. You May Believe - Or Not, take 2
7. Madrigal New York, take 1
8. Madrigal New York, take 2
9. You Will Say No
10. Five Minutes, trumpet solo - L.Armstrong

Art Farmer (tp, flh)
Bob Brookmeyer (vtb)
Phil Woods (as)
Zoot Sims (ts)
Nick Brignola (bars)
John Bunch (p)
unknown (g)
Bill Crow (b, ldr)
Walter Perkins (d)
Al Cohn (arr)

Recorded in NYC, probably May 2-18, 1963
(Radio Liberty 131542)
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夏の風物詩・・・・・・昔は風情のあるものがいくつもあったけど

2011-07-16 | MY FAVORITE ALBUM
Chambre avec Vue / Henri Salvador


梅雨も早めに終わって、すっかり真夏の天気が続いている。まだ7月も半ば夏本番はこれから。学生時代であればもうすぐ夏休みなのだが。

夏といえば、
カキ氷、風鈴、うちわ、よしず、打ち水、夕立、海水浴、スイカ、セミ、花火・・・
日々の生活の中の、真夏の風物詩がたくさん思い浮かぶ。
ところが、最近の都会で夏といえは、熱帯夜、熱中症、節電、クールビズ、ゲリラ豪雨、・・・
昔は暑くても自然との共生、今は自然との闘い。なんとも風情の無い世の中になったものだ。

音楽も夏の音楽というものがある。
学生の頃のビーチボーイズや湘南サウンズなども夏の音楽の代表格だろう。
ジャズはというと、あまり暑苦しい物はやはり気が進まない。やはりラテン系、ボサノバのリズムが夏にはピッタリだ。

昔は、ゲッツ・ジルベルトなどがぴったりだったが、最近愛聴しているのがこのアルバム。
ミリオンセラーになったアルバムなので、お気に入りの皆さんも多いことだと思う。
何のアルバムでも、初めて聴いた時に理屈抜きでピンと何か感じるものがあるものがある。
きっと相性がぴったりなのだろう。女性の一目惚れのようなものだ。

最近(といってもすでに10年前だが)のアルバムには疎いのでこのアルバムも何の先入観念も無く聴いてピンと響くものがあった。以来愛聴盤の一枚だ。

Henri Salvadorの活動暦は長い。90年代の半ばに引退したのかと思ったら、2000年なって80歳を越えてからこのアルバムで復帰。還暦を過ぎた位ではまだまだ「ひよこ」。たいしたものだ。

ジャズボーカルはやはり英語でなければという自分の信念はあるが、このアルバムになるとそのような宗教論争を超えていいアルバムだと思う。ボサノバのリズム、それに加わるバック、そしてフランス語の語るような歌声。この時期になるといつも棚から出しっ放しなっているアルバムだが、最近はItuneの中にも。
何処に行くにも持ち歩いている夏の風物詩である。



1. Jardin d'Hiver        Ann, Biolay 2:49
2. Chambre Avec Vue    Biolay, Zeidel 2:42
3. J'Ai Vu           Modo, Salvador 3:30
4. Il Fait Dimanche      Esteve, Mengo 3:56
5. La Muraille de Chine    Molard, Salvador 3:21
6. Jazz Mediterranée    Ann, Biolay 3:23
7. Un Tour de Manege    Zeidel 3:38
8. Vagabond    Esteve, Mengo 3:22
9. Je Sais Que Tu Sais     Misraki 4:26
10. Mademoiselle        Dutronc, Garoux, Salvador 3:53
11. Le Fou de la Reine     Hardy, Salvador 3:10
12. Faire des Ronds Dans l'Eau Biolay, Zediel, Zeidel 2:48
13. Aime-Moi          Michel, Salvador 3:54

Henri Salvador   Vocal
Patrick Artero    Trumpet
Eric Le Lann    Trumpet
Denis Leloup    Trombone
André Villéger Saxophone
Daniele Scannapieco Saxophone
Herve Mechinet Flute
Florin Niculescu Violin
Vincent Artaud Bass
Laurent Vernerey Bass
Dominique Cravic Guitar
Thomas Dutronc Guitar

Marc Di Domenico   Executive Producer, Producer
Bernie Arcadio    Arranger, Conductor, Musical Director, Piano

acques Ehrhart Engineer, Mixing, Producer
Tony Cousins Mastering
Guillemette Gobbi Design
Yan Leuvrey Design

Chambre Avec Vue
Henri Salvador
EMI France

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パットの良し悪しも流れがあるが・・・・・これほどひどいのも久しぶり

2011-07-15 | SHOT OF THE DAY
LPGA所属のレッスンプロが生徒を集めてやる大コンペ。毎年2回やって今回が26回目とのこと。今回はどこのイベントもそうであるが、東日本大震災チャリティーの冠付きだが盛況であった。
場所は、千葉の某菓子メーカのゴルフ場。ティーマークが可愛いお菓子のティーマークに変身。何でもしばらくの間だけらしいが、このような企画は年中やってもいいのでは?





このコンペは何故か相性がいい。前々回は10位に入ったし、前回はベスグロ逃し。先日アプローチが良くて最小パット数の自己記録を記録して以来、調子はまずまずだが凡ミスからスコアに結びつかない。このコンペで調子に乗れればとの淡い期待で臨む。

梅雨も早めに明けて猛暑の中でのプレーだ。この気候がこれから2ヶ月以上続くと思うといささかうんざりだが、世の中それどころではない方が多い中で、のんびりゴルフができるだけでも幸せと思わねば。

梅雨明け直後だというのに、コースの芝は茶色くなっている所が目立つ。一雨来れば緑も増すと思うが、今年の梅雨は空梅雨だったのだろう。電力不足ばかりがニュースになるがこの夏水不足にならなければいいが。

最近調子が良くなっているのはシングルと一緒に回ることが多く、シングルの方のテンポに合わせてプレーできるからかもしれない。今回も、女子プロからメールがあった。「シングル2人と組み合わせておいたから」と。こちらの内心を読み取られたような気がした。結局、組み合わせ変更があり、同組にシングルが一人であったが、結果は如何に?

スタートの一打。自分がオナーで真ん中にまずまずのティーショット。さすがシングルも真ん中に。2番のショートでは1ピンに。そしてバーディーを早々に奪うシングルさんは、早々に本領発揮モード。こういう流れは影響を受けやすい。こちらも流れはいい。短いパットを2度外したが、ショットは良くで遅れずについていく。

そして、迎えた最終ホール。インの最後の長めのミドル。シングルさんは2オーバー。自分は一打遅れての3オーバー。パーがとれれば30台。2打目は2人とも乗らず。寄せワン狙いだが、シングルさんが少し大きめ。彼のレベルだとミスの部類だろう。こちらは長めの寄せだったが、距離感はよし。方角悪し。ショートは嫌だと強めに打ったのが失敗。嫌な距離にオーバー。シングルさんも寄せきれずまさかのダボ。影響されやすいのか、こちらも外して双方30台はならず。で前半を終えた。

後半は、いきなりシングルさんがプッシュアウトのOB。出鼻を挫かれた様子。こちらは真ん中にナイスショット。セカンドもナイスでグリーンセンターに。たいした距離がないファーストパットを今回は強めに打つつもりはなかったのがまたも大オーバー。まさかの3パットボギー。これで、完全にパットのタッチとタイミングが合わなくなる。
その後何と4パットが2回も。
幸い最後の2ホールは1パットが2回続いて戻ったが、危うくイップスになりそうな乱調ぶり。パットはあまり苦手にしていなかったのが今回は冷や汗物だった。

せっかくシングルさんとのラウンドで調子に乗りそうだったのに、前半最後の3パットにつながる2パット目が2人とも魔が差した一打であった。
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目先の変化に敏感に反応するか・・・・いや、最後まで自分の主張を貫くか

2011-07-14 | MY FAVORITE ALBUM
Big Band Live at the Five Spot / David Matthews


今回のブログ再開はマンハッタンジャズオーケストラの記事がきっかけ。
7月に今度はクインテットで来日するので、日本贔屓のデビットに敬意を表して、少し遡ってみることに。

今年の来日時のプロモートビデオ



マンハッタンジャズオーケストラの最初のアルバムは、1989年のモーニンだったと思う。一足先にスタートしたマンハッタンジャズクインテットに続いて、大きな編成での演奏がヒットして現在に至っているのはマーケティング的にも成功しているのだろう。
デビットマシューズのビッグバンド、このアルバムがスタートかというと、実はそれから14年も前の1975年にすでにスタートしている。
そして、マシューズのビッグバンドの最大の特徴である、ホルンやバスクラリネットを活かした独自の編成と音作りはその時からスタートしている。伝統的なスイングバンドからモダンビッグバンドまで色々な音作りがなされているが、多くは17人~19人の4tp、4tb、5sax&リズム隊の基本的な編成は変わらない。それと較べると、マシューズは最初からオリジナルな編成に拘ってその中で色々な音作りをしている。

世渡りが上手な人というのがいる。これだけ世の中の変化が激しい中、ビジネスにしても芸術・文化の世界、はたまた様々な研究にしても、彼らにとっては世の中の流れに応じて上手くやっていくのが上手く生きていくための秘訣かもしれない。でも、反対に自分の主義主張を曲げずに、流行廃りとは無縁の世界で生きていく人も世の中には実はたくさんいる。

丁度今原発騒ぎで、今までの御用学者というものが非難を浴びだすと、すぐに宗旨替えをして「反原発」を唱えだす世渡り上手の学者がいる。節操の無い変わり身の速さはあまり気分がいいものではない。一方で、今までほとんどメディアにも取り上げられなかったような筋金入りの「反原発」の学者先生が今や八面六臂の活躍をしている。時代の流れの中でやっと自分の主義主張を受け入れられる時がやってきた。
もちろん、そのようなタイプの多くの人材は世の中に受け入れられないままに一生を終えてしまうのだが、今回のような今までの常識を覆すような話が生じると形勢が逆転する。

さて、このマシューズのビッグバンドサウンドも一歩間違うとそのような運命を辿ったかもしれない。しかし、大事に育てていた種が育ってマンハッタンジャズオーケストラになった時に、一気に花を咲かせることができた。その秘訣は果たして何であろう?

自分のオリジナルと同時に過去の名曲を取り入れること。
独自の編成は組み合わせとアレンジの妙で、従来の編成ではできないサウンドを生み出せる。もちろん従来のビッグバンドサウンドを真似ることもできること。
アンサンブルだけでなくソロも重視すること。
スタジオワークだけでなくライブもこなせること。
4ビートから8ビート、そしてフュージョン、さらにはソウルフルまで何でもござれで対応できること。
自分のバンドの演奏だけでなく、同じメンバーで様々なレコーディングにも参加すること。

要は、形に嵌っていないで、何でもこなせるオールマイティバンドであったということだ。アルバム作りでもコンサートでも、そのコンセプトに合わせて何でもできるとうことは、世渡りが上手というのではなく、何が来てもこなせるという自分としての主義主張があるからだったろう。そのために独自の編成に拘ったのだろう。マッシューズのマネジメントは今の時代を生きていくための指針かもしれない。

そんなバンドのファーストアルバム。この最初のアルバムから今上げたチェックリストはすべてクリアしている。ちょっと聴いただけだと、当時はやりのフュージョンサウンドを取り入れたバンドのようにも見える(聞える)が、後の成功を予見させる大事な要素が一杯詰まったアルバムである。

1. Three on the Stairs     Matthews 7:39
2. Prayer             Matthews 8:31
3. Joyce from the Bronx    Matthews 7:00
4. Nardis             Davis 5:02
5. 'Round Midnight       Hanighen, Monk, Williams 7:32
6. Dance of the Wind Chimes  Brown 6:24
7. Penny Arcade        Beck 4:52

David Matthews Piano, Producer

Joe Shepley  Flugelhorn, Trumpet
Joseph J. Shepley  Flugelhorn, Trumpet
Burt Collins  Flugelhorn, Trumpet
Michael Gibson  Trombone
Fred Friffin  French Horn
Fred Griffen  French Horn
Tony Price  Tuba
David Tofani  Flute, Sax (Alto), Sax (Soprano), Sax (Tenor)
Frank Vicari  Flute, Sax (Tenor), Saxophone
Kenny Berger  Clarinet, Clarinet (Bass), Sax (Baritone)
Sam T. Brown  Guitar
Harvie Swartz  Bass
Jimmy Madison  Drums

Malcolm Addey Engineer, Producer
Allan Tucker Associate Engineer
Hal Wilson Cover Art Concept, Design, Photography

Big Band Live at the Five Spot [Analog]
Muse

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摩天楼に囲まれた都会での生活・・・・一見華やかには見えるのだが

2011-07-13 | CONCORD
Skyscrapers / Scott Hamilton-Warren Vache


摩天楼はニューヨークの象徴。ウェストコーストで活動していたミュージシャンがニューヨークに活動の居を移すと、この摩天楼の中での生活が始まる。洗練された西海岸の佇まいはそのままウェストコーストの音楽の響きになる。一方で、摩天楼の中ではその雑踏の中から生まれてくる種々雑多な生命力が音楽に新たなエネルギーを与える。New Yorkの響きだ。ジャズが発展途上だった1950年代その違いは明確だった。その後も東西の人の行き来は続く。時代と共に内容は変わっていくが東西の文化の違いは洋の東西を問わず脈々と伝わっているように思うが。

テナーのスコットハミルトン。Concordでデビューしたが元々出身は東海岸。ただし、ニューイングランドのProvidence, Rhode Islandなので、New Yorkの雑踏とはおよそ掛け離れた環境で育った。ニューヨークに出てきたのは1976年。彼が21歳の時だった。ロイエルドリッジの推薦でベニーグッドマンのグループに入ったのが彼の出世街道のスタートだった。そして、ジェイクハナの目に留まり、翌年Concordでアルバムデビューを果たす。

デビュー直後のハミルトン1977年の演奏



そういう意味ではハミルトンの活動の拠点は東海岸。最初から摩天楼の中での生活に取り込まれていった。その後順風満帆の活動を続けているようには見えたが、実は70年代の後半、丁度このアルバムが録音されていた頃、彼はアルコール依存症になっていた。ニューヨークにやってきた新人がいきなり檜舞台に立って活躍できた半面、摩天楼の下での都会生活がストレスを与えていたのかもしれない。

このアルバムは当時のいつもの相棒のウォーレンベッシェを加えたクインテットではなく、他にホーンを加えたナインテットの演奏。スモールコンボでは味わえない、アレンジされた分厚いサウンドがバックに付く。この前に紹介したJazz Mission to Moscowと同じような編成だ。アレンジはナットピアースとこのセッションにも加わっている、ジョージマッソが担当。キャデラックタクシーだけは、バッククレイトンのアレンジ。

ハミルトンの演奏の特徴は歌心。英語でも”singing horn”というらしい。軽快なバックに乗っていつになく「ほろ酔い気分」で鼻歌もいつにも増して饒舌になっているようだ。摩天楼の中の最上階のラウンジで聴くにはぴったりな雰囲気。ハーレムの地下の紫煙が煙る薄暗いクラブには似合わない。ハミルトン自身もこんな音楽を聴きながらラウンジで軽くカクテルを飲んでいれば、深酒をしなかったかもしれないが。

1. How About You
2. Nancy's Fancy
3. Why Shouldn't I?
4. Lightly And Politely
5. You Leave Me Breathless
6. Cadillac Taxi
7. Love You Madly
8. Do It In Blue

Scott Hamilton (ts)
Warren Vaché (cor)
Harold Ashby (ts)
Joe Temperley (bs)
George Masso Arranger, (tb)
Norman Simmons (p)
Chris Flory (g)
Phil Flanigan (b)
Chuck Riggs (ds)

Buck Clayton Arrange
Nat Pierce Arranger

Recorded a Southmixers, New York, N.Y. July 1979

Concord CJ-111

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仲間と旅行に行った後は・・・思い出話しに花が咲く

2011-07-12 | Thad Jones & Mel Lewis & VJO
Jazz Mission To Moscow

インターネットの普及は情報の流れに国境を無くした。また、情報伝達のスピードの速さも昔と較べて格段の差がある。ホームページやブログの普及で個人でもすぐに情報発信が出来る。最近はツイッターなるものが出来たお陰で、モバイルを使えば、いつでも、どこでも、誰にでも・・受信だけでなく発信もという時代になった。インタラクティブなユビキタス社会の到来だ。今では国外との情報交換が遮断されているのは北朝鮮ぐらいだろう。

第二次世界大戦中、日本では欧米から持ち込まれたものは「敵性音楽」や「敵性語」と呼ばれ排除された。ちなみにサックスは「金属製曲がり尺八」、トロンボーンは「抜き差し曲がり金真鍮喇叭」と言われ、ジャズは当然禁止の憂き目に。第2次世界大戦後の米ソの冷戦時代にも、ソ連では情報統制、アメリカ文化の流入制限が行われていた。当然ジャズもその対象だったが、じわじわと広まっていったのはアメリカのVOAのラジオ放送を通じて。インターネットはまだ無かったが、国をまたがるメディアは登場していた。
そして1962年。まだ冷戦状態が続いている中であったが、アメリカからの正式なジャズグループの訪ソが実現した。その大役を仰せつかったのが、ベニーグッドマンだ。すでにモダンジャズ全盛期であったが、グッドマンの過去の実績と知名度は申し分なかった。

ベニーグッドマンはそのためにオールスタービッグバンドを編成して未知の国ソ連を訪れた。大成功のツアーから帰ってきたメンバーが、御大抜きで思い出をアルバムにしたのがこの作品。このメンバーの中に、西海岸からニューヨークに移り住んできたメルルイスも選ばれていた。腕達者な10人編成のビッグコンボ。アレンジはアルコーンが務めた。



一曲目はピアノのメルパウエルのオリジナル。低音の叩き出す様なピアノのソロが印象的だ。続いて間にグッドマンのテーマのレッツダンスを挟んで、ロシアにちなんだ曲が続く。
「モスクワの夜が更けて」は、丁度その頃流行った「ワシントン広場の夜は更けて」の二番煎じで日本でも一時流行った曲だ。

遠征メンバーがソ連の思い出を噛み締めながら、オールスターメンバーの分厚いアンサンブルと軽快なソロを存分に楽しませてくれるソ連旅行の紀行記だ。

1. Mission To Moscow
2. The Sochi Boatmen
3. Midnight In Moscow
4. Let's Dance
5. Russian Lullaby
6. Red, White And Blue Eyes

Marky Markowitz, Jimmy Maxwell (tp)
Willie Dennis (tb)
Jerry Dodgion (as, fl)
Phil Woods (as, cl)
Zoot Sims (ts)
Gene Allen (bars)
Eddie Costa (p)
Bill Crow (b)
Mel Lewis (d)
Al Cohn (arr, cond)

Recorded July, 1962

JAZZ MISSION TO MOSCOW
EMIミュージックジャパン
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ジャズのコピーバンドは是か非か・・・・・辰巳哲也Big band

2011-07-11 | Thad Jones & Mel Lewis & VJO
Mel Lewis & The Jazz Orchestra / Make Me Smile & New Works By Bob Brookmeyer

もうすぐデュークエリントンオーケストラが来日して全国ツアーを開催する。昔はジャズのグループでも大きなホールで全国ツアーが当たり前だったが、最近では東京でも大きなホールでのコンサートは稀だ。まして全国となると・・?
エリントンが亡くなってから大分経つが、オーケストラは引き継がれている。カウントベーシーしかり、バディーリッチ然り、有名バンドは引き継ぐ者が現れ、そのスコアも引き継がれていく。しかし、他のバンドやそこで演奏されたスコアは中々後に日の目を見ることは少ない。いい作品があるのに残念だ。もっとも学生バンドはまずはコピーからのスタート。かえってアマチュアバンドの方に引き継がれているのかもしれない。

先日の辰巳哲也ライブ。予告どおりボブブルックマイヤーの作品が取り上げられた。玄人受けのするブルックマイヤーのアレンジなので、普段他のバンドで聴けることはほとんど無い。辰巳地自身のフィリューゲルホーンをフィーチャーした”Nevermore“。



この演奏の元はメルルイスのオーケストラ。サドジョーンズがバンドを去り、メルルイスオーケストラになってしばらく経った1982年の作品だ。オリジナルのフリューゲルホーンはトムハレル。他のメンバーも現在のVJOの核となるメンバーは皆参加している。
アルバム自体は古巣ビレッジバンガードでの録音。バンドの再スタートにあたってサドの曲をやらなくなったので旧友のブルックマイヤーに頼った部分が大きい。今回は全曲のアレンジをブルックマイヤーに託した。

ブルックマイヤー自体がサドメルの創設時のメンバー。1968年の初来日の時にもメンバーに加わっていた。今よりは太った丸顔。縁無しのメガネをかけて、どこか大学のプロフェッサーか企業のエグゼクティブの雰囲気であった。隣に座っていたジミーネッパーが、その名の通り「地味」な感じで好対照であった。
サドメル自体のバンドがことごとく好対照な要素を組み合わせた微妙な組み合わせの妙を売りにしていたので、2人の違いもぴったりであった。その時ブルックマイヤーもアレンジを提供していたが、サドジョーンズのアレンジとは好対照な重厚なサウンドを聴かせてくれた。ファンキーな感じの曲の合間のブルックマイヤーの曲は清清しさを感じた。

早々にブルックマイヤーはバンドを去ったが、10年ぶりの復帰で気合の入ったアレンジを提供している。アップテンポのスローな曲も全編ブクッルマイヤー節の味付けだが、普通のビッグバンドのサウンドに慣れていると、LP両面タップリ聞くと好き嫌いが分かれるかもしれない。ちょっと聴いただけだと取っ付き難いが、自分は聴けば聴くほど味が出るので好きだが。



最近でもVJOに曲を提供しているようで、サドメル創世記からこのブルックマイヤーはこのオーケストラに3代に渡って一番縁が深いミュージシャンかもしれない。

ブルックマイヤーの素晴らしい作品の演奏を聴くことができるのも、「コピーバンド」に拘っている辰巳哲也のお陰かもしれない。これからも期待しよう。
プロももっと過去の名曲・名アレンジの再演にチャレンジして欲しいものだ。

1. Make Me Smile
2. Nevermore
3. The Nasty Dance
4. NcNeely’s Piece
5. My Funny Valentine
6. Goodbye World

All Compositions by Bob Brookmeyer

Mel Lewis & The Jazz Orchestra

Earl Gardner, Joe Mosello, John Marshall, Tom Harrell (tp)
John Mosca, Ed Neumeister, Douglas Purviance, earl Mcintyre (tb)
Stephanie fauber (fhr)
Dick Oatts (as,ss,fl)
Kenneth Garret (as,cl,ss,fl)
Joe Lavano (ts,cl)
Gary Paribek (ts,cl)
Gary Smulyan (bs,cl)
Jim McNeely (p)
Marc Johnson (b)
Mel Lewis (ds)

Recorded in concert at the VALLAGE VANGUARD, January 7-11, 1982


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還暦60歳はまだ若い・・・それからが人生のスタート

2011-07-10 | CONCORD
Blues Alley Jazz / George Shearing

今年もジャズの巨匠が亡くなった。ジョージシアリング。2月14日91歳であった。
いわゆるメインストリームのジャズとは一線を画していたが、ピアノとヴァイブ、ギターの清清しいユニゾンプレーはシアリングスタイルというひとつのスタイルになっていた。
これも、イギリス出身というのがひとつの理由かもしれない。演奏だけでなく、自作のララバイオブバードランドはサラとクリフォードブラウンの共演で有名だ。他の歌手やプレーヤーにも多く取り上げられスタンダード曲の定番になっている。



このような数々の実績を残したシアリングが還暦を迎えた時、Concordに移籍してきた。その時彼が選んだ道はベースとのDuo。今まで定着していたシアリングサウンドへの挑戦だ。そして、その時相棒に選んだのが、無名のベーシスト、ブライアントーフ。実は彼はConcordではマリアンマクパートランドのアルバムですでにデビューしていた。マリアンも実は出身はイギリス。同郷の好で彼女がトーフを紹介したのかもしれない。
トーフは、1954年生まれ。当時はまだ25歳の若者だ。それまでの活動暦は、エロールガーナ、メリールーウィリアムスなどベテランとの共演が主体。年寄りキラーの魅力を持っていたのだろう。

 そして肝心なプレーはというと、これが実に新鮮だ。年季の入った長老とうまくやるには、ベテランのスタイルに合わせて古いスタイルを踏襲するのかと思いきや、実際は反対だった。デュオの演奏だとそれが余計に目立つ。確実にリズムを刻みながらスタートするベースは途中で、メロディアスに対話をはじめ、テクニック十分なソロプレーに。
60年から70年代に入ってジャズ界全体のベースのスタイルも変わっていった。特に、ビルエバンスと組むベーシストはスコットラファロに始まり、エディーゴメツなどはピアノとのコラボレーションをより深めるスタイルを確立していった。トーフもその延長上のプレーヤーだった。

このような新しい若いパートナーを得てシアリングのプレーもおなじみのシアリングスタイルから大きく脱却。その後、新境地に入っていった。このコンビはそれから4年近く続く。このDuoのコンビが2人にとっても次のステップへ進む大きなステージを共有できたのであろう。



定年65歳時代を迎えて、還暦60歳はまだ若い。残りの人生を有意義に過ごすためにも新たなパートナーは大事かもしれない。特に若い相手だと刺激を受けるだろう。自分も、仕事においてもプライベートでも、新たなパートナー探しを心がけてみよう。

1. One for the Woofer         Taylor 8:04
2. Autumn in New York         Duke 4:42
3. The Masquerade Is Over       Magidson, Wrubel 6:18
4. That's What She Says        Fest 3:45
5. Soon It's Gonna Rain        Jones, Schmidt 4:34
6. High and Inside           Torff 3:28
7. For Every Man There's a Woman    Arlen, Robin 3:41
8. This Couldn't Be the Real Thing   Mulligan, Torme 3:17
9. Lazy River             Arodin, Carmichael 4:59

George Shearing (p)
Brian Torff (b)

Carl Jefferson Producer
Ron Davis Engineer

Recorded live at Blue's Alley, Washington D.C. Oct 1979

Concord CJ-110(所有は東芝の日本盤)


Blues Alley Jazz
George Shearing
Concord Records
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チョットだけよ・・・

2011-07-09 | MY FAVORITE ALBUM
ALWAYS / AKIO OKAMOTO & GAY STARS

新大久保駅近くの韓国料理店が軒を連ねる通りからすぐ路地に入る。この辺りは学生時代良く通った所だ。通りに店が増えて人通りが多くなったが、車がやっと通れる路地の細さはそのままだ。駅からすぐの路地を入るとじきに商店も少なくなり、すぐに住宅やマンションが立ち並ぶ。繁華街の喧騒はない。その路地奥に入った所に「スペースDO」がある。

初めて行くライブハウスだ。楽器店がやっているので、クラブでというよりライブスペースといった方がいいかもしれない。そもそもリハーサルとか小さなプライベートコンサートをやるための場所だろう。そこで、結構いいライブをやっているのを最近知った。



今日のお目当ては岡本章生とゲイスターズ。用事が早目に終わったので、スペースDOの見学を兼ねて立ち寄ってみた。最近頻繁にライブをやっているようだ。
ゲイスターズといえば、テレビ番組がレギュラーのビッグバンドを抱えていた時代には、「8時だよ!全員集合」のレギュラーバンドだった。ということは、定番の「チョットだけよ!」の「タブー」のトランペットは岡本自身だったのか?



ライブは2部構成、一部は40年代の懐かしいビッグバンドサウンド、ベニーグッドマン、ハリージェームス、アーティーショー、トミードーシーなどの十八番の曲が続く。2部は多少新しくなり、50年代以降の演奏スタイルで。ビッグバンドの歴史のコンサートのようで楽しいステージだ。先日、辰巳哲也のバンドにも出てブルックマイヤーの曲を神妙にやっていた鈴木圭も今回は一転してブローするテナーをご披露。アルトにはクラリネットが得意な白石幸司が加わって、スイングバンドのノリを再現してくれた。



このゲイスターズの最近の録音はどうやら見当たらないが、昭和57年の文化庁芸術祭に参加したアルバムが再発されている。
名曲ばかりを、当時のメンバーの貴田重夫と当時は新人アレンジャーだった内堀勝がアレンジをしている。どれも奇をてらうことなく、原曲を生かしたスマートなアレンジだ。
今回のコンサートでもこのアレンジでの演奏が何曲かあった。
長い活動を振り返るとゲイスターズの魅力はまだ沢山あると思うが、このアルバムはジャズのメインストリームの演奏を「チョットだけよ!」。ビッグバンドファンとしてはとりあえず満足。


1. ウォーキン - WALKIN' -
2. イン・ア・センチメンタル・ムード- IN A SENTIMENTAL MOOD -
3. 孤独の祈り - IT NEVER ENTERED MY MIND -
4. A列車で行こう - TAKE THE 'A' TRAIN -
5. 想い出のサンフランシスコ - I LEFT MY HEART IN SAN FRANCISCO -
6. アイ・リメンバー・クリフォード - I REMEMBER CLIFFORD -
7. 我が恋はここに - LOVE IS HERE TO STAY -
8. ニカス・ドリーム -NICA'S DREAM-

岡本 章夫 ゲイスターズ

岡本 章夫、横山 均、安孫子 浩、向出 聡、斉尾 知一 (tp)
松原 純夫、西島 泰介、間瀬 俊之 小山 政弘(tb)
中込 勝、今野 菊冶 (as)
貴田 重夫、上里 聡 (ts)
白子 正夫 (bs)
木村 博紀 (p)
金子 純 (b)
河野 次男 (ds)

1982年 録音

Always/BIG BAND BIG 5/AKIO OKAMOTO&GAY STARS(紙ジャケット仕様)
岡本章生&ゲイスターズ
Webkoo



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クラリネットの名手は他にもいるぞ・・

2011-07-08 | MY FAVORITE ALBUM
Melodious Time / Eddie Meets Naoki plays SUZUKAKE NO MICHI

クラリネットの何故か哀愁を帯びた音色は好きだ。ニューオリンズ、ディキシー、そしてスイング時代はジャズの世界でも花形だった。ジョージルイス、ベニーグッドマン、そしてウディーハーマン。ジャズの創世記の主役はクラリネットだった。しかしモダンジャズの時代になって急速に影が薄くなってしまい、主役の座はサックスに奪われた。

日本では北村英治が時代・スタルを超えて活躍しているが、他にもまだクラリネットの名手はいる。ビッグバンドのサックスセクションにいると分からないが、個人のグループではクラリネット主体の演奏をするプレーヤーが何人かいる。その一人が鈴木直樹。角田健一のビッグバンドではアルトがメインだが、普段はクラリネット中心のスイング派。

このアルバム、ピアノのエディヒギンズと組んだ演奏は実にチャーミングだ。ドラムレスのギターを加えたカルテットだが、実に良くスイングしている。選曲はクラリネットにちなんだ名曲揃いだが、日本の曲も。クラリネットの名曲とわれると必ず選ばれる鈴懸の径。鈴木章治のテーマソングのようなものだ。JAZZYではなく、正真正銘のジャズが日本の文化の中で生き続けてる。そして、この曲は父の鈴木正男との競演だ。

クラリネットが決して絶滅保護種になっているわけではない。確実に次世代に引き継がれている。親子の演奏。音楽の世界も俗人的な職人芸。親子の演奏を通じてスイングのDNAが引き継がれていくのは嬉しいものだ。政治の世界では2世、3世に引き継がれるのが「地盤と利権だけ」であるのが嘆かわしい。

マイクプライスオーケストラでの鈴木直樹の演奏




1. I got Rhythm
2. Someone To Watch Over Me
3. Fly Me To The Moon
4. Bei Mir Bist Du Schön
5. Memories Of You
6. 鈴懸の径
7. 我らの道
8. Dance "AWA"
7. 見上げてごらん夜の星を
10. Rosetta
11. If I Had You
12. All Of Me
13. Stardust
14. S'Wonderful
15. Danny Boy

鈴木 直樹(Cl,ss)
Eddie Higgins (p)
佐久間 和(g,banjo)
古西 忠哲(b)
鈴木 正男(cl)

Producer Naoki Suzuki
Recoreded at STUDIO GREENBIRD #1 Studio, Tokyo, October 10 2006

MELODIOUS TIME
鈴木直樹
ONKEN



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YouTubeを見直したぞ・・・・

2011-07-07 | JAZZ LIFE
3年ぶりにブログを復活したが、徐々にペースが戻ってきた。以前書いていた時も時々YouTubeの映像を差し込んでいた。最近また記事を書きながらYouTubeを覗いてみたら圧倒的にコンテンツの量が増えている。世の中にこれだけ貴重な大量のコンテンツが死蔵されているのかと改めて認識を新たにした。



見ると聞くとでは大違いというのはよくあることだ。
ジャズを聴くのはレコードであろうとCDであろうとまずは音源が頼り。いくら書籍や雑誌でその演奏の雰囲気や時代背景を思い浮かべても、それは想像でしかない。絵も音も無い中では本当の姿は分からないまま妄想だけが広がっていく。
音にちょうとした映像であってもそれが加わると同じ想像の世界も俄然リアリティーが増す。また、映像を通じて新たな発見をすることがあるので映像コンテンツは重要だ。真夏の夜のジャズが音だけでなく、映像が加わることでニューポートに関する如何に多くの情報を知ることができたか。

インターネットが普及して情報そのものの流通量は圧倒的に増えた。お陰でinformationレベルの調べ事は楽になった。そしてYouTubeが出現して初めて動画のコンテンツが世の中に流通し始めた。初めてそれを知った時、たとえ断片的であっても、画質や音質が悪くとも、視覚に訴えるコンテンツの可能性を実感した。メディアの歴史でラジオからテレビへの変化と基本は同じだ。
さらに、コンテンツの数が増えただけではない。高画質、高音質のコンテンツも多くなった。テレビが50年以上をかけてモノクロテレビからデジタルハイビジョンに変わろうとしているのに対して、YouTubeは数年で一気に高画質映像、長時間、さらにはライブコンテンツまで対応している。放送に対しての、攻撃を仕掛けるシナリオはほぼ出来たように思う。結局Youtubeでは新たな発見があるのに、テレビはというと新たな発見が出来るほどちゃんと見ていない。要は、コンテンツがつまらないということだ。

せっかくのYouTubeのコンテンツをどうやってみるかというと普通はPCだろう。最近は携帯や流行のスマートフォーンでも視聴可能になっている。自分のIpadも大活躍している。でも、せっかく高画質になったのであればデジタルテレビ用に普及した大型画面で見てみたいという気になるのが必然。そこで早速試してみた。
ネット接続されたテレビのネット接続のプラットフォームはアクトビラ。ではアクトビラでYouTubeを見れるかというとそうはいかない。アクトビラは動画視聴のプラットフォームであって、多様なアプリのプラットフォームにはなっていないようだ。アップルの一連のプラットフォームの方が良く考えられている。
ではどうするか・・。自分のブルーレイはパナソニックのディーガだが、そこにYouTubeのVIEWERアプリが入っている。多少使い勝手はよくないが、取りあえずは使える。自宅のテレビはオーディオ用の機器につながれているので音もバッチリいける。検索をして選んで見るという動作を繰り返さなければならないのが億劫だが、その内自分の好みを自動的に編成して連続再生できるような機能が備われば俄然使い勝手が良くなる。ニコ動やユーストリームも出てきて動画コンテンツはネット上にますます充実、このようなアプリができてくれば嬉しいのだが。コンテンツと視聴者を結ぶのがメディアだ。視聴者視点での新しいメディアの誕生まで今一歩。

これでテレビは見ないがテレビ画面に向かう時間が増えそうだ。
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オールスターの楽しみは・・・いつもは見たり聴いたりできない意外性かも

2011-07-06 | Thad Jones & Mel Lewis & VJO
In a Jazz Orbit / Bill Holman

7月になるとプロ野球もオールスター戦だ。野球少年であった頃は見るのを楽しみにしていたが、最近は野球自体に興味が無くなりつつある。いつも戦っている相手と同じチームで戦う、昨日の敵は今日の友、いつもやられっ放しの相手と同じチームで戦える楽しみは格別だろう。オールスターは団体競技の楽しさのひとつだ。

ジャズの場合もレギュラーバンドを離れ、レコーディングで一時のグループを作ったり、ライブで入り乱れての大ジャムセッションになったり、オールスターの組み合わせになる機会は沢山ある。

このアルバムはメンバーを見渡すとウェストコースト派のオールスターメンバー。今回の束ね役はビルホルマン。彼のアレンジをお披露目するために集まったオールスターだ。これだけ揃った役者に何をやらせようと「力不足」ということはなかろう。反対に中途半端なものだと「役不足」。役者の力を生かしきれないまとめ役は大変

当時の西海岸の有名なライブハウスのひとつ The Lighthouse



録音は1958年。今でも元気に活躍しているホルマンの50年以上前の作品。アレンジャー
としては新進気鋭のデビューをした頃だ。選んだ曲はスタンダートとオリジナルがA面B面で丁度半分ずつ。定番料理と創作料理のバランスも考えられている。

まずはちょっと味見をしてみると、まさにウェストコーストサウンドそのもの。1958年というとジャズ界は当たり年。このブログで紹介したものも名盤と言われる物が多い。

その中で、ビッグバンド物も結構多い。

Basie Plays Hefti

ASPECTS / BENNY CARTER and His Orchestra

HARRY ARNOLD + BIG BAND + QUINCY JOMES = JAZZ

Michel Legrand Meets Miles Davis

A MESSAGE FROM NEWPORT / Maynard Ferguson & His Orchestra

SOUNDS OF THE GREAT BANDS VOL.2 / GREN GRAY

New York N.Y. / George Russell

新旧取り混ぜてハードバップ全盛期の中でビッグバンドも元気だった。

このホルマンのアルバムを聴くと、これらの同じ時代の他のビッグバンドとは一線を画している。いわゆるケントンサウンドの流れを汲んではいるのだが。
あっという間に、A面のスタンダードが終わる。反対にひっくりかえしても。
細かく音楽的な指摘は出来ないが、いわゆるビッグバンドの従来の手法をベースに、流行のウェストコーストの味付けで少し音に厚みをつけてより心地よくした感じだ。
ビッグバンドというと大音量というイメージだが、これはパワー全開というわけではない。
大排気量の車を、余力を持ってクルージングしている気分だ。
これがホルマンのアレンジの基本だと思う。その後、色々なバンドにアレンジを提供し、そのバンドカラーに合わせた作品もあるが、現在の彼のオーケストラまで脈々と続いているように思う。

オールスターの楽しみには何が起るかが分からないハプニング性。ライブの飛び入りなどはその際たるもの。唯一このアルバムの欠点を探すと、その意外性が見当たらないかもしれない。もっとも、このメンバーはオールスターといっても、当時の西海岸のスタジオミュージシャンの一流を集めたオーケストラ。日々のスタジオワークやクラブのセッションで毎日顔を合わせているレギュラーバンドのようなもの。意外性を求めても無理かもしれない。

でも録音から50年以上経った今聴いても新鮮に感じるのがこのアルバムの「本当の意外性」かも。長く付き合った女性に新たな魅力を発見するような。


1. Kissing Bug        Sherrill, Stewart, Strayhorn 4:10
2. The Man I Love       Gershwin, Gershwin 3:56
3. Goodbye          Jenkins 3:29
4. You Go to My Head     Coots, Gillespie 6:15
5. After You've Gone     Creamer, Layton 2:44
6. Far Down Below       Holman 4:18
7. No Heat          Holman 6:07
8. Theme & Variations #2   Holman 4:29
9. Aura            Holman 4:45

Stu Williamson (Trumpet)
Ed Leddy (Trumpet)
Al Porcino (Trumpet)
Jack Sheldon (Trumpet)
Frank Rosolino (Trombone)
Carl Fontana (Trombone)
Ray Sims (Trombone)
Herb Geller (Alto Saxophone)
Charlie Mariano (Alto Saxophone)
Bill Holman Arranger, Performer, Producer, (Teno Saxophoner)
Bill Hood (Baritone Saxophone)
Richie Kamuca (TenorSaxophone)
Charlie Kennedy (Tenor Saxophone)
Victor Feldman (Piano)
Buddy Clark (Bass)
Mel Lewis (Drums)

Bones Howe Engineer
Recordeed on Feb 11, 1958 - Feb 13, 1958

In a Jazz
クリエーター情報なし
Vsop Records

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本格的なボーカルのバックは本格的なバックでないと・・・・・

2011-07-05 | CONCORD
Sunshine / Ernestine Anderson

昨年VJO(ビレッジバンガードオーケストラ)が来日した時、観客席にいたチャカカーンが飛び入り参加して、オーケストラに負けない迫力あるボーカルを披露した。昨年だったか、いや一昨年だったか(最近月日が経つのが早くて・・)、ゴードングットウィンのオーケストラとパティーオースチンのジョイントのステージがブルーノートであった。どちらも久々に本格的なボーカルを味わうことができた。最近はキレカワ系のボーカリストが多い。それはそれで楽しいのだが。やはり、たまには圧倒されるような歌声に接してみたいものだ。

コンコルドレーベルはいいボーカルのアルバムが新旧の歌手を問わず目白押しだ。しかし、丁度たな卸しをしている初期の100枚ちょっとの中では、復活したローズマリークルニーのアルバムが数枚、そしてロレインフェザーのデビュー作がある位。そうそう、このアルバムにもテッドナッシュが加わっていた。そして、もう一人Concordに復活を果たしたのがアネスティンアンダーソンだった。
復活のきっかけを作ったのはここでも一緒にプレーしているレイブラウン。アネスティンは1928年生まれ。復帰したのはすでに50歳目前であった。大ベテランの復帰だ。最初はR&Bで歌手生活をスタートしたのは10代の時で1943だった。その後ジャズに転じ、ライオネルハンプトンのバンドにいたのが1952-3年、イリノイジャケー、ミルトジャクション、クインシージョーンズなどとも共演していた。60年代の最初まではマーキュリーとも契約し、それなりの活躍はしていたが、アメリカでは次第に人気が無くなり1965年には英国へ移住することに。この頃、ジャズ界はコルトレーン全盛期。メインストリームジャズは肩身が狭くまっていた時期だ。アメリカへの復帰は、彼女がカナダのジャズフェスティバルに出ていたのをレイブラウンが聴いたのがきっかけだった。世の中何がきっかけで人生が変わるか分からない。その間の10年間、アメリカでは彼女の動向は全くニュースにもならず忘れられていた存在だったそうだ。

一線に復帰後最初のステージは1976年8月のコンコルドジャズフェスティバル、そして10月のスタジオレコーディングだ。3年が経った1979年のコンコルドジャズフェスティバルにも二人は一緒に参加した。そんな、レイとアネスティンであるが、今回はピアノのモンティーアレキサンダーのコンコルドデビューにも花を添えて制作されたのがこのアルバムだ。この前に出たモンティーのアルバム "FACETS” のトリオにアネスティンが加わった形だが、多分同時期に一緒に録音されたものであろう。しばらくずっと一緒にプレーを続けていたので3人の呼吸もぴったり。モンティーもレイも歌伴は得意なので、なお更コンビネーションもしっくりしている。本格的なボーカルには、ピアノトリオであっても力強いバックが必要だが、このメンバーであれば申し分ない。

やはり、本格的なボーカルはコンボであってもフルバンドであっても、いい伴奏と相俟っていい作品になる。4人の呼吸はぴったりだ。

この年はベルリンのジャズフェスティバルにも出かけていたので、世界を股に駆けた活躍をしていた。



1. Love Gabler            Kaempfert 2:30
2. Summertime Gershwin        Gershwin, Heyward 4:29
3. Time After Time          Cahn, Styne 5:15
4. God Bless the Child        Herzog,Holiday 3:32
5. I've Got the World on a String   Arlen, Koehler 2:27
6. I'm Walkin'            Bartholomew, Domino, Domino 3:03
7. I Want a Little Boy        Mencher, Moll 4:26
8. You Are My Sunshine        Davis, Mitchell 1:41
9. Satin Doll             Ellington, Mercer, Strayhorn 4:54
10. Sunny               Hebb, Kern 3:48

Ernestine Anderson  (Vocals)
Monty Alexander  (Piano)
Ray Brown  (Bass)
Jeff Hamilton  (Drums)

Phil Edwards Engineer, Mixing
Carl Jefferson Producer

Recorded in Aug. 1979
Concord CJ-109

Sunshine
クリエーター情報なし
Concord Records
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JAZZYな歌や演奏は心地よいが・・・・

2011-07-04 | MY FAVORITE ALBUM
ROMI & JOKERS / A GIRL & THE THREE MEN

ジャジーという言い方を聞く。「ジャズっぽい」ということでいいのだろう。けれどジャズではない。
ジャズも世界中に広まって色々な音楽とハイブリットなジャンルを作り出しているので、どこまでがジャズなのかの定義も難しいが。電子楽器(言い方が古いかな?)が広まりフュージョンが世に出た時、硬派のジャズファンは「これはジャズではない」と言っていた。
まあ、個人的には定義を巡る論争はどうでもいい良く、ジャズっぽく楽しめる物は何でも受け入れている。どちらかというと、ジャズの中の好き嫌いのほうが激しい。

日本人のジャズも昔と較べると国際的に活躍している人が多くなり、本場のジャズマン(ウーマン)となんら遜色の無い演奏を繰り広げている。というより、ジャズがグローバルな音楽になったのかもしれないが。ただ、ひとつ越えられないのが言葉の壁。やはりジャズボーカルには英語が似合う。したがって、日本人の歌手も歌唱力に加え英語の言い回しの上手い下手でジャズの歌い手としての雰囲気が決まってくる。では日本語でジャズを歌うとどうなるか?やはり、ジャズであってもジャズっぽい。いわゆるジャジーな歌になってくる。それは、オリジナルがジャズの曲であってもしかりである。最近は世界的にボーカルブーム。英語以外の各国語のJazzy VOCAL花盛りである。

先日のフォーシンガーズはジャズコーラスを極めようとした。今聴いても結構いい感じだった。一方で、日本語で迫ったアルバムを作ったのが、亜樹山ロミをリードとして男性3人を加えたコーラスグループ、ロミ&ジョーカーズだ。これはこれでいい。が、ジャジーなアルバムでジャズではない。例えば2曲目のこのグループ名をタイトルにした曲の原曲はウディーハーマンオーケストラで有名なフォーブラザース。日本語の歌詞をつけると不思議と雰囲気は一変する。ハイファイセットも一時似たようなアプローチをした。英語でジャズを極めるのも良し、さもなくば世界各国の言葉でジャジーな音楽を世界中にはやらせるもの、それはそれでいいではないか。
もっとも今のジャズファンはそんな理屈を捏ね回さないで純粋にいいものを楽しんでいるのだろう。

リードの亜樹山ロミ、最近はソロで活躍しているようだ。



1. スクリーンに降る雨
2. A GIRL & THE TREE MEN (Four Brothers)
3. すべてあなたに (Saving All My Love For You)
4. ピアニストを撃て (Eleanor Rigby)
5. プールサイドバー 
6. 瞳の中の私 (Another Star)
7. 前略ポールサイモン様 (The 59th Street Bridge Song –Feelin’ Groovy)
8. 逃亡者 (Nardis)
9. 800kHzのWe’re All Alone  (We’re All Alone)
10. 愛のセレブレーション (Tonight I Celebrate My Love)

Romi & JOKERS

亜樹山 ロミ(vocal, arrange)
高浜 和英 (p, vocal)
広田 はじめ(bass, vocal & arrange)
和田 啓 (drums, vocal & arrange)

佐藤 雅彦 (p)
砂田 知宏 (keyboard)
佐藤 達也 (ts, ss)
横田 昭男 (g)
岡 淳 (fl)
水野 茂 (per)

プロデュース 中村 慶一
録音 1988年8&9月 東京、信濃町CBS/SONY スタジオ 


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