A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

摩天楼に囲まれた都会での生活・・・・一見華やかには見えるのだが

2011-07-13 | CONCORD
Skyscrapers / Scott Hamilton-Warren Vache


摩天楼はニューヨークの象徴。ウェストコーストで活動していたミュージシャンがニューヨークに活動の居を移すと、この摩天楼の中での生活が始まる。洗練された西海岸の佇まいはそのままウェストコーストの音楽の響きになる。一方で、摩天楼の中ではその雑踏の中から生まれてくる種々雑多な生命力が音楽に新たなエネルギーを与える。New Yorkの響きだ。ジャズが発展途上だった1950年代その違いは明確だった。その後も東西の人の行き来は続く。時代と共に内容は変わっていくが東西の文化の違いは洋の東西を問わず脈々と伝わっているように思うが。

テナーのスコットハミルトン。Concordでデビューしたが元々出身は東海岸。ただし、ニューイングランドのProvidence, Rhode Islandなので、New Yorkの雑踏とはおよそ掛け離れた環境で育った。ニューヨークに出てきたのは1976年。彼が21歳の時だった。ロイエルドリッジの推薦でベニーグッドマンのグループに入ったのが彼の出世街道のスタートだった。そして、ジェイクハナの目に留まり、翌年Concordでアルバムデビューを果たす。

デビュー直後のハミルトン1977年の演奏



そういう意味ではハミルトンの活動の拠点は東海岸。最初から摩天楼の中での生活に取り込まれていった。その後順風満帆の活動を続けているようには見えたが、実は70年代の後半、丁度このアルバムが録音されていた頃、彼はアルコール依存症になっていた。ニューヨークにやってきた新人がいきなり檜舞台に立って活躍できた半面、摩天楼の下での都会生活がストレスを与えていたのかもしれない。

このアルバムは当時のいつもの相棒のウォーレンベッシェを加えたクインテットではなく、他にホーンを加えたナインテットの演奏。スモールコンボでは味わえない、アレンジされた分厚いサウンドがバックに付く。この前に紹介したJazz Mission to Moscowと同じような編成だ。アレンジはナットピアースとこのセッションにも加わっている、ジョージマッソが担当。キャデラックタクシーだけは、バッククレイトンのアレンジ。

ハミルトンの演奏の特徴は歌心。英語でも”singing horn”というらしい。軽快なバックに乗っていつになく「ほろ酔い気分」で鼻歌もいつにも増して饒舌になっているようだ。摩天楼の中の最上階のラウンジで聴くにはぴったりな雰囲気。ハーレムの地下の紫煙が煙る薄暗いクラブには似合わない。ハミルトン自身もこんな音楽を聴きながらラウンジで軽くカクテルを飲んでいれば、深酒をしなかったかもしれないが。

1. How About You
2. Nancy's Fancy
3. Why Shouldn't I?
4. Lightly And Politely
5. You Leave Me Breathless
6. Cadillac Taxi
7. Love You Madly
8. Do It In Blue

Scott Hamilton (ts)
Warren Vaché (cor)
Harold Ashby (ts)
Joe Temperley (bs)
George Masso Arranger, (tb)
Norman Simmons (p)
Chris Flory (g)
Phil Flanigan (b)
Chuck Riggs (ds)

Buck Clayton Arrange
Nat Pierce Arranger

Recorded a Southmixers, New York, N.Y. July 1979

Concord CJ-111

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