A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

50年経っても変わらない都市の顔

2008-05-07 | MY FAVORITE ALBUM
New York N.Y. / George Russell

連休明けの出勤。いつもだと気の重い朝を迎えるわけだが今日は違った。
個人的にはゴルフ三昧であった連休であったが、この連休中に会社のオフィスの引越しがあった。いつもと違う通勤経路で、新しいビルのオフィスに向かう。いつも見慣れた景色と異なり、周りの風景も新鮮だ。天気も良く気分も妙に清清しかった。
この50年で都心の風景も大分変わった。街の中にいるとその変化に気が付かないものだが、レインボーブリッジから見た東京の景色などは激変しているだろう。
もし東京を題材にした音楽があれば、戦後まもない50年前と今とではその曲想も大分違ったものになるに違いない。

都市それぞれが特徴ある顔を持ち、年の経過と共にその顔を変えつつあるが、摩天楼が聳える ”New York”だけは一種独特な雰囲気がある。ケネディー空港を降り立ち、橋を渡ってマンハッタン島に入ると、「ニューヨークに来た」という実感が沸く。この感覚はきっと50年経っても以前と変わらないであろう。

この、New Yorkを素材にしたアルバムがある。
ジョージラッセルがアレンジをした“New York N.Y.”。丁度今から50年前の1958年の録音だ。
このアルバムの特徴のひとつは、曲のイントロにジョン・ヘンドリックスのナレーションが入っている。作詞とボーカリーズが得意なヘンドリックスではあるが、ここでは詩の提供だけ。とはいうものの、一曲目のManhattanでは、チャリーパーシップのブラッシングをバックに、自分の書いた詩をリズミックに読み上げる。
その後は、ラッセルマジックのオーケストラサウンドに。
ビルエバンスやコルトレーンという有名プレーヤーが参加し、アンサンブルワークだけではなくソロもとっている。

58年といえば、有名な「真夏の夜のジャズ」でニューポートの舞台が映画になった年。当時のジャズの時代背景も、街の様子やファッションも大体は想像がつく。
大陸の東西で特色あるジャズが凌ぎを削っていたが、ラッセルは自分のペンで独自の世界を作り出している。ニューヨークに因んだ曲に自分のオリジナルも加えて、組曲風にアルバム全体も構成している。クラシックの世界ではよくある、交響詩の世界のようだ。

アレンジとソロのバランスも絶妙である。この頃はジャズ全体に活気があった頃だし、ビッグバンドの世界も、スイングそしてバップオーケストラから新しいモダンビッグバンドの世界を求めて実に多様化していた頃だ。ミシェルルグランも同じ頃、ニューヨークに乗り込んでアメリカの印象を豪華なメンバーを起用してアルバムを作っていた。ベイシー、エリントン、ハーマン、ファーガソン、クインシー・・・どのバンドも元気だった。
60年代の次の時代に向けて皆が色々取り組みをしている中に、こんな意欲的な作品もあったということを立証する一枚だ。

1. Manhattan

Art Farmer, Ernie Royal, Doc Severinsen (tp)
Tom Mitchell, Frank Rehak (tb)
Bob Brookmeyer (vtb)
Hal McKusick (as)
John Coltrane (ts)
Sol Schlinger (bs)
Bill Evans (p)
Barry Galbraith (g)
Milt Hinton (b)
Charlie Persip (d)
George Russell (arr, cond)
Jon Hendricks (nar)

Recorded in NYC, September 12, 1958

2. A Helluva Town
3. Manhattan-Rico

Art Farmer, Ernie Royal, Joe Wilder (tp)
Tom Mitchell, Frank Rehak (tb)
Bob Brookmeyer (vtb)
Hal McKusick, Phil Woods (as)
Al Cohn (ts)
Gene Allen (bs)
Bill Evans (p)
Barry Galbraith (g)
George Duvivier (b)
Max Roach (ds)
Don Lamond (ds)
Al Epstein (bgo -3)
George Russell (arr, cond -2, chromatic d, arr, cond -3)
Jon Hendricks (nar)

Recorded in NYC, November 24, 1958

4. Big City Blues
5. East Side Medley
  : Autumn In New York / How About You

Art Farmer, Joe Ferrante, Joe Wilder (tp)
Tom Mitchell, Frank Rehak (tb)
Bob Brookmeyer (vtb)
Hal McKusick (as)
Phil Woods (as, fl, cl)
Benny Golson (ts)
Sol Schlinger (bass sax)
Bill Evans (p)
Barry Galbraith (g)
Milt Hinton (b)
Charlie Persip (d)
George Russell (arr, comp)
Jon Hendricks (nar)

Recorded in NYC, March 25, 1959

ニューヨーク N.Y.
ジョージ・ラッセル
UNIVERSAL CLASSICS(P)(M)

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