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10月16日~17日にかけて飲んだ8杯

ここのところ、当ブログでの私の発言は、エントリーもコメントも、憤ったり、心配したり、というものが多い。もちろん、「怒るべき時は、正しく怒る」ということも大切だし、議論もいいのだが、たまには、お酒の話でも書いてみよう。16日(月)から17日(火)にかけて、飲んだシングル・モルトウィスキーだ。

実は、土曜・日曜・月曜と、原稿書きの〆切が9本ほど立て込んでいた。16日の夜に、神保町に借りているオフィスで、9本目を書き終わったときには、さすがに少しくたびれた。近所にある、師匠M氏(勝手に入門したのだが)がやっているバーに、一人で飲みに行くことにした。いつも、一緒に会社をやっているH氏と一緒に行くことが多いのだが、今回は一人だった。

結局、8杯飲んだのだが、簡単に思い出してみる。私は、ウィスキー通でもなんでもないので、以下のコメントは、話半分くらいに読み流して欲しい。また、「酒を飲んでいて、覚えていない」というような言い訳は嫌いだが、これを書いている現在は、ショットで8杯飲んだ酔っぱらいである。アルコール検査をされれば、間違いなく陽性だろう(もちろん、タクシー&徒歩で帰ってきました)。

写真は、私が飲んだお酒のボトルを、右から飲んだ順に並べたもので、鞄の中に入っていたデジカメ(リコーのGR)を、ブレないように、チェイサーのグラスの上に乗せて、撮ったものだ。

以下、飲んだ順に印象を思い出してみる。尚、飲み方は、何れもストレートだが、消化器のために、チェイサーをたっぷり飲みながら、飲んだ。

1)ラフロイグのオフィシャルボトルだが、字体が現在のものと少し違う。実は、60年代に仕込まれて、70年代にボトリングされたオールドボトルで、店主が、最近仕入れた自慢の一本だ。度数は43度で、加水されたものなのだが、ラフロイグなのに、メロンのようなフルーティーな味がする。穏やかで、深い、余韻の残る不思議なお酒だが、オールド・ボトルの全てがこんなに美味しいわけではあるまい。どうしてこうなるのか分からない、神秘的な一杯からスタートした。

2)二杯目は、ここ二ヶ月くらい、ほぼ毎回飲んでいる、ハートブラザーズというボトラーが詰めたラガバリンだ。カスク・ストレングス(樽のままで、加水していない)なので、50数度あるが、これは、ラガバリンらしいインパクトが存分にあり、多少煙くてオイリーだが、しかし、香ばしいという、申し分ないお酒だ。

3)ウィスキーフェアのタリスカーで、度数は46度だ。タリスカーらしいスパイシーさと、蜂蜜とまではいかないまでも、ある種の甘さとが、バランス良く、同居している。こんなのが、家にあるといいな、という一本。

4)ウィスキーフェアのラフロイグで、熟成は16年、度数は確か50度強。これは、多少のヨード臭とピートの煙臭さ、しかし同時に、上手く言えないが、麦の陽性な香ばしさとでもいった感じが程良く詰まっていて、しかも、年数の割に「枯れた感じ」(師匠)もあり、深い。

5)やっぱり、アードベッグも飲みたいと、ケイデンヘッドがボトリングした、1994年仕込みの12年物を頼んだ。度数は、59度強あり、90年代のアードベッグに独特の乳酸臭が一際強い。同じケイデンヘッドのボンドリザーブシリーズも乳酸臭が強かったが、あちらの方が金属的な鋭さと煙さがあった。これは、麦の香りを何やら「太く」感じる逞しい風合い。最近のケイデンヘッドの(オーセンティック・コレクションというのだろうか)瓶詰めのものには、どこの蒸留所のものでも、こうしたニュアンスを感じる(実は、事務所に置いてある、グレンファークラスとラフロイグもなかなか旨い)。

6)ベンリアック、という私は聞いたことがなかったスペイサイドの蒸留所のもので、1968に仕込まれた37年物で、度数表示は47度だが、これは、上品でトロピカルな香りの不思議なお酒だった。本日、一番の収穫だ。優しくて、フルーティーなのだが、果物で言うと、生臭くないパパイヤ、あるいはライチのような感じだろうか。

7)本日は、これが目当てであった、1972年仕込みのロングモーンだ。度数は、確か、45度だったが、十分に深い味わいだ。シェリー樽のもので、干しぶどうのような風合いと、いくらかミントのような香りがするのは、長期熟成のロングモーンに共通だが、味が濃いのにしつこくない。しかし、余韻は十分ある。これは、いい、これで、仕上げと思ったのだが・・・。

8)自らにトドメを刺すために、キングスベリーのタリスカーを注文した。1979年仕込みで14年物というのは、ケイデンヘッドの緑のボトルで、同じものがかつてあり、これは、翌朝までフィニッシュ(喉からの戻り香)が残っている、というような、桁外れの一品だった。このタリスカーも素晴らしく、スパイシーな感じと、香ばしさが、交互に登場して、いつまでも余韻が残っている。度数は64度もあり、これの次に飲んで「負けない」お酒を探すのは、難しい。納得のシメであった。

今日の話は、単に、こうしてお酒を飲んで、大変幸せな気分で帰宅した、というだけで、それ以上に何か思索があるわけではない。

シングルモルト・ウィスキーにご興味のある方のために、師匠の店(カウンターのバー)をご紹介しよう。「Bar, Polka Dots & MOONBEAMS」 という店で、場所は、神保町交差点のキムラヤの裏にあると思えばいいだろう。地下一階の店で、店主は37才くらいの渋めのいい男だ。電話番号は、03-3263-3211。営業時間は平日は「約」午前2時までで、土曜日は0時まで(日祝休日)。音楽は、ジャズかブルースだ(音量は大きくない)。詳しくは、お店のホームページをご参照下さい。(http://www.ff.iij4u.or.jp/~yukiom/)

酒飲みなら、バーの中に入って、席に着いたら、どんなお酒があるか見回してみよう。置いているお酒の8割以上は、シングル・モルトで、とりわけアードベッグの種類が多い。「何か、美味しい、シングルモルトはありますか?」と質問すると、大いにヤル気を出してくれるだろう(バーボンやカクテル、ビールなども、あるにはあるが、店主の頭の中には無い、と言った方が正確だ。悪いことは言わないから、店内を見てから注文しよう)。「取りあえず、ビール」などと言いたくなる場合は、「ラフロイグのソーダ割り」あたりを代わりにオーダーしてはどうか。今なら、ソーダ割りにすると非常に美味しい、オールド・ボトル(70年代のボトリング)のホワイトホースなどもある(いつまでもあるとは限らない・・)。ともかく、何を飲むか、相談してみることをお勧めする。
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