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量的緩和解除の効果が逆転

明日の朝が早い(フジテレビ「とくダネ!」出演のため)ので、簡単にコメントします。

3月9日の日銀の政策決定会合で量的緩和解除が決まったが、このニュースを受けて株価は大幅上昇した。量的緩和解除は株価の下落材料ではなかったのか?

この点を解く鍵は、「ゼロ金利政策が続くと予想される期間」にある。

これまでは、量的緩和解除はゼロ金利解除の前提条件であり、ゼロ金利の解除が近づくとの予想から株価にはマイナス材料であると見られていた。

ところが、日銀は物価の「安定」を意味する消費者物価上昇率を0~2%、中心値を1%との声明を発表した。これを上方に超えない限り、ゼロ金利ないしどんなに上げてもも0.25%くらいの短期金利であろう、ということがここから予想できる。現実問題として、望ましい値である1%を超えない状態でゼロ金利を解除するのは無理だろう。

ところが、消費者物価上昇率は、今のところ、2%はおろか1%も超えそうにない。下手をすれば、今夏から秋にかけてマイナスに落ち込む可能性さえある。つまり、ゼロ金利を解除を日銀は自ら封印してしまったのであり、ゼロ金利はこれまで考えられていたよりも長く続きそうな情勢となった。これは、これまでの心配材料が、一転して、株式にとってかなり強い買い材料になった、ということだ。

事実上のインフレ目標で当面日銀の手を縛りたいと考えているらしき、竹中・中川・安部各氏らとしてはかなり満足の結果だろう。

日銀は、量的緩和の解除は意地でもやりたかったものの、金利や株価に対する悪影響を非難されることを恐れて、具体的な数値の呈示に踏み切ったのだろうが、これは、中期的には「日銀の負け」と捉えられるような気がする。但し、将来本当にインフレになった時には、かなり強力な引き締めが正当化される可能性もあり、「長期的に勝ち」に変わる可能性もある。まあ、勝ち負けで判断する問題ではないが・・・。

当面1、2年は、些かバブル的な様相を呈するかも知れない。

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