山南ノート4【劇団夢桟敷】

山南ノート4冊目(2008.10.3~)
劇団夢桟敷の活動や個人のことなどのメモとして公開中。

中津川より

2012-10-21 11:23:26 | 演劇大学
演劇CAMP in 中津川

10月18日(木)~21日(日)まで岐阜県中津川市で行われた「演劇キャンプ」(日本演出者協会 主催)に参加してきました。私は(土)に劇団の公演間近の稽古があるために途中退席。後ろ髪を引かれる思いだった。
中津川の実行スタッフと協会事務局の皆さまには大変お世話になり、とても楽しい日を過ごすことができました。
相変わらず元気な和田さん、流山児さん、斎藤さん、外波山さん、そして今回は初対面の全国から来られた演出家さんや劇団関係者との交流(吞み会)や分科会でのお話を覗えて有意義な時間を過ごすことができました。
中津川、岐阜、名古屋、東京、静岡、金沢、岩手、仙台、福島、新潟、島根、京都、札幌、全国各地、中国北京の演劇事情も垣間見られた。
恥ずかしながら、斎藤さんから私のことを「この人は熊本のアングラですよ。」と紹介されてゲラヘラ笑われたり、和田さんからは「ブラジルで公演した国際的な演劇人」と持ち上げられ過ぎたり、流山児さんからは「老いぼれ爺」と貶されたりした。





私が参加した分科会は「朗読 夜明け前」「中津川フォークジャンボリーが残したもの」「伝統演劇と現代演劇」「国際演劇は何を目指すか」「子どもたちと演劇」「酒蔵体験ツアー」、二日間で濃密なプログラムだった。
更に濃密な吞み席での夜の交流会。廃校となった小学校での宿泊所がキャンプの拠点となっていた。木造桧の匂いで癒される。・・・何?熊危険!ここは熊が出るらしい。熊絶滅の九州からすると熊本人もびっくりである。



(金)の酒蔵体験ツアーでは午前中より試飲。何と!三千桜酒造の社長、山田さんは元「状況劇場」の劇団員だったとのことで盛り上がった。アングラが美味である。もう一杯!止まらなくなった。
馬篭の昼食、栗ご飯セットには山菜料理とヤマメ、蕎麦で満腹となる。お土産で買ったつもりの日本酒をチビチビ呑みながら食事した。「日本酒はおかずの美味しさを更にアップする」と言っていたアングラ社長の説明を証明したのだった。
その後、馬篭が舞台となった島崎藤村の「夜明け前」の集団朗読を聞く。私はほろ酔いであった。
講師は外波山文明さん(椿組 元はみ出し劇場の主宰者)を見学した。合唱による朗読は初体験だった。迫力を感じた。



一コマ1時間半の分科会でも講座は止まらない。中味の濃さに時間は足りないくらいだったが、それは自分たちが持ち帰って課題を掘り下げるしかない。
演劇の現場で形にするしかないのである。技術や知識を稽古場すること、町に飛び出して計画すること、劇場に限らず公民館や寺・神社・河原・小さな店での劇場化計画は「劇場法」なる特権階級のみに限らず、演劇人の枠を超えて民衆のものに取り戻す発想が見えてきたのである。その流れは「私的」ではなく「公的」なうねりとなりつつあることを感じた。身近なところで次回公演でもアピールはつづくのである。





標高600mの夜は寒かった。しかし、演劇に対する思いは熱い。酒が入ると脈拍も血圧もテンションも上がる。演劇の仲間だから話に終わりはない。共有する話題に人として笑いが止まることもない。つまり、同類が集まると未来が見えてくる。演劇は基本、民衆の魂が入り込んでくる。声なき声が発せられる。
分科会講座で興味のあった「子ども劇」と「国際演劇」は同時進行だったため、半分ずつの参加となった。
市民劇場や親子劇場の先細りもある。紛争による政治的な弊害を文化交流でどのようなネットワーク作りが可能だろうか。
中津川キャンプの課題は、私たちが住む熊本での課題に通じる。ここで接した演劇人たちとのネットワーク作りは身近な可能性だと実感した。



三日目の午前中に常盤座に行った。午後から中津川市民演劇、タマゴプリン、楽天プロデュース、糸あやつり人形などの上演があったが、私は午前中がタイムリミットだった。
岩手アートサポートの稲邊さん、演劇評論の村井健さん、七字英輔さんと共に常盤座を後にした。
名古屋駅に着くと市民祭りの最中であった。山奥から降りるとパレードが騒動のように思える。
三泊四日の演劇キャンプはメディア依存から解放されていたのである。
週刊朝日で「ハシシタ」連載が抗議により謝罪と連載中止。情報の洪水の中に戻った気がした。

熊本空港には夜7時着。お土産は栗きんとん。
稽古場に戻ると「極楽少女」稽古で劇団員たちが汗を流していた。これが私の日常。
今日(日)も午後からキッズミュージカルの稽古、夜は劇団の稽古とロングな一日となる。