植物によるがん治療のお手伝い 聡哲鍼灸院日記

植物で心身を癒す施術の日々。そこから感じたこと、学んだことなど。。。

イマキュレー・イリバギザさん講演会

2006年12月04日 23時20分33秒 | 癌・病気の意味
先日思い立ってイリバギザさんの来日記念特別講演会http://www.php.co.jp/event/ikasarete/に行くことにした。

 ルワンダの大虐殺を生き延びた人が、自分の家族を殺した相手を赦した、というところに強く惹かれた。ぼくは一つ前の過去世で自分の両親、弟を強盗に殺害されているらしいのだがその犯人を後年そうと知らず愛してしまい、後日知るのだがそれでもその相手を赦しその息子を育てたとか。もちろん僕の場合はそれが事実かどうかわからないしイリバギザさんと比較することはできないのだが、仇敵までも赦せるほどになったのは何が彼女をそこまで高めたかを知りたかった。

 久しぶりに三田のキャンパスに立つ。会場は満員だった。ルワンダ大使が遅れて来場されたためそのぶんメインゲストのイリバギザさんの話が短くなったのは残念だった。しかし僕の知りたかったことはわかった。

 彼女は虐殺される側のツチ族出身で、100日間で100万人が虐殺されたという1994年に起きたルワンダの悲劇を生き延びた人だ。まだ若い。

 あるとき隣人であったフツ族の人々が、ツチ族の人を皆殺しにするよう促すラジオを聞いて急に次々とツチ族の者なら老若男女を問わず襲い掛かるようになったとか。

 "Finish those cockroaches!"とまで言っていたらしい・・・
 人を人と思わない所業をごく普通の人がある日突然始めるのはとても恐ろしいことだ。

 彼女は自宅前の教会の牧師(フツ族)にかくまわれた。しかしそこは3フィート×4フィートの広さしかないトイレで他にツチ族女性7人が押し込められていた。

 彼女達8人は畳1畳のスペースに3ヶ月間いた。音が漏れる恐れがあるのでトイレの水は流せない。食料もなく3ヵ月後に外に出たときには体重は20kgしかなかったとか。

 始めはみな怒っていたとか。なんでこんなことになるのか?なんで人々は殺しあうのか?と。しかし彼女は牧師に差し入れられた聖書を読み込み、そして日々何度も何度も祈ったという。

 そしてキリストが処刑される時、彼は「この者たちを赦してください。彼らは自分たちがしていることが分かっていないのです」と自分を責める相手のことを赦すよう父なる神に希ったのだけれども、そのことを彼女は自分で身を持って理解したと言っていた。

 そう、彼女は絶望の3ヶ月を乗り越えて、狭いトイレから出てきた時にはまさに霊的に覚醒されていたのだと思う。体重はわずか20kgになっていたとしてもその魂はこれまでよりもはるかに肥え豊かになられたのだろう。

 講演中彼女が唯一そっと涙を拭ったのはトイレから出たときに誰もいなかったことを語ったときだった。すべてが変わり果てていたことを目の当たりにした時だった。

 彼女が最後に強調したのは「とにかく愛情がすべて」であると。持っていたものは一瞬にして消えた。物質的なものは宝ではない。豊かさではない。本当に大切なのは愛情とその記憶だと。

 そして希望。たとえどんな状況に追い込まれても絶対に希望だけは捨ててはいけない。

 これを伝えるのが私があの大虐殺を生き延びた意味、私の生きる意味だと思うと語っていた。 

 講演が終わったあと短いビデオが流され、彼女が自分の両親兄弟を殺害した犯人の兄弟の人をハグし、写真に一緒に写る場面があった。そして西欧人と思われる人が「信じられない」とコメントをしていた。

 しかしもう僕らはそれを突き抜けなければいけない時に来ていると思う。民族、国家を越えて愛を持って生き始める時が来ている。これまでの殺し合いの人類の歴史に終止符を打つ時が今だ。彼女はその運動というか流れを加速させる一つの駒だと思う。これに僕たちが続きたい。

 隣人を憎むのをやめよう。英国人ジョン・ダンの詩を紹介したい。

「なんびとも自ら充ち足りた島にはあらじ。
 人は皆 大陸の一部、人類の部分なり。
 よそ人の死ありて 我も価値を減ず。
 そは人類の部分ゆえに。
 それゆえに尋ねるなかれ
 誰が為に弔いの鐘は鳴ると。
 そは汝がために鳴る」

(映画『誰が為に鐘は鳴る』の題名はこの詩から来ている)


 短い1時間に満たない講演会で質疑応答にも僕は診療があったので出られなかったがとても濃い時間を過ごした。
 
コメント (4)
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