『カオス・ポイント』(アーヴィン・ラズロ著、吉田三知世訳、日本教文社)読了。
著者アーヴィン・ラズロは哲学者・未来学者であり、地球交響曲第五番に出演している。もともと天才ピアニストであり9歳でブダペストフィルと共演もしている。世界賢人会議「ブダペストクラブ」を主宰する。
彼のこの著書で私は、私たちには時間がなく一瞬一瞬がとても貴重な決断期にいる、ということが良くわかった。
「私たちは今、工業化時代のロゴスの文明と、これから達成されるはずのホロスの文明の間にある、時の流れの中の「決断期」に生きている。ホロスの文明が達成できるかどうかはまだわからない。
今私たちがいる「決断期」は、崩壊・前進両方の可能性を孕んでいるからだ。だが、まもなくわたしたちは地球規模の転換点であるカオス・ポイントに到達し、そうすれば世界はいずれかの方向へ進化することになる。
このポイントに到達するのは、決定的に重要な意味を持つさまざまなプロセス(社会の中の対立やストレス、経済における資源の分配の不均衡、生物を支える生態系の重要なバランスの崩壊)が、もはや後戻りできない段階にいたる時だ。
そのとき私たちのシステムは、崩壊(ブレイクダウン)か、あるいは前進(ブレイクスルー)か、いずれかに向かう軌道へと進みはじめる。どちらの軌道が選ばれるのかは、前もって決定されてはいない。現在の「決断期」は、きわめて非決定的、したがって高度に自律的である」
ラズロは同じく地球交響曲第四番に登場する生物物理学者ジェームズ・ラブロックが最近あらわした著書『The Revenge of Gaia』(ガイアの復讐、未和訳)の中で「われわれはすでに境界線を越えてしまっており、最悪の事態に備える以外、残された道はほとんどないと、わたしは考えている」と言っていることに異を唱えている。
ポイントとして述べればラブロックは純粋に生物的視点のみから推論しており、人間の意識という点をファクターに入れていないことが誤りだという。
「社会の中にいる意識を持ったメンバーたちは、自分の周囲で展開する進化のプロセスがどのようなものなのかを把握し、それに意識的に介入することができるのである。
決断期においては、一人ひとりの人間が意識的に、小さいが、しかし大きな力を秘めた揺らぎを作り出すことができる。その揺らぎは「拡大」して、社会がたどる進化の道を決定することができるのである」
「人間は自分たちの希望や期待と合致する方向に進化を傾ける力を持っているのだ。したがってカオス・ポイントは地球規模の崩壊の始まりを告げるものであるとは決まっていない。新しい文明への跳躍の先触れとなる可能性も十分にある」と述べている。
カオス・ポイント直前にいる私たちはどのような態度、行動をとればいいのだろうか。ラズロは第7章“今、あなたにできること”の中で次のように述べている。
1.時代遅れの考え方を捨てる
2.時代遅れの信念と誤った考え方のリスト
3.特に危険な考え方
4.新しい倫理を採用する
5.あなたの世界を思い描き、その実現に向けて行動せよ
6.あなたの意識を進化させよ
7.進化した意識を示す10の指標
1.時代遅れの考え方
・紛争を解決するために、その紛争よりも危険な武器を製造する。
・食糧を過剰生産しながら、それを空腹な人々の手に届けられない。
・世界の子供の半数に貧困生活を強い、そのうち数百万人に深刻な飢餓を経験させている、
・女性が家庭やコミュニティにもたらす感性、配慮、連帯感を正当に評価し、活用することをせず、政治やビジネスにも低s供されればそれがいかに有益であるかを見過ごしている。
・天然資源が有限で多くのものが再生不可能であるにもかかわらず資源の生産性を向上させることを怠り、労働力の生産性を最大化することを最優先している。
・崩壊せずに機能し続けるだけのために、たえまない経済成長や金融の伸びを必要とする。
・長期化する構造的な問題や運営上の問題を抱えながら、短期の会計報告や日々の株式市場の動きに基づいて成功を判断する。
・社会的・経済的進歩を、国民総生産によって測り、人々の生活の質や、人間の基本的な必要をどれだけ満たしているかについては考慮しない。
2.時代遅れの信念と誤った考え方のリスト
*階層構造こそが最善の秩序をもたらす
⇒最上層にいる少数の人間(ほとんど男性)が、規則を作り、法律を制定し、命令を出し、それを守らせる。それ以外の人間はみな規則に従い、社会的、政治的秩序の中で自分に与えられた位置を守る。
*一人ひとりの人間が特別で、誰もが孤立した存在である。
⇒人は自分自身の利益のみを追求する孤立した存在である。頼れるのは自分だけである。他人はみな友か敵で、友だとしてもせいぜい利害が一致するから結ばれているにすぎない。
*すべてのことは元に戻せる
⇒問題は一時的乱れに過ぎない。しばらくすればすべては平常に戻る。
*経済的合理性
⇒すべてのものは人も含めて金に換算することができる。誰もが裕福になりたいと望んでおり、そう思わないと言う人は戯言を言っているかそういうふりをしているだけである。
→より深い根源を持つ社会的価値や精神的価値を再発見し自発的に簡素な生活様式を身に着けようとしている人々が増えている時代には無分別である
*効率神話
⇒すべての機械、すべての組織からできるだけ多くのものを手に入れなければならない。
→社会を「金を尺度にする人々」と「伝統的な価値観を持つ人々」に二極分化してしまう。
*技術がすべてを解決する
⇒どのような問題でも技術が解決できる。
→技術は手段である。最高の技術も諸刃の剣である(原発など)。
*新しいほうが良い
⇒新しいものは何でも、去年買ったすべてのものよりも良い。
→断じて間違い。新しいものはより高価で複雑で扱いにくく、より資源を無駄使いし、健康に害を及ぼし環境を汚染し、人間を疎外し多大なストレスを与えることが多い。
*正しかろうが間違っていようが自分の国を支持する
⇒何が起ころうとも、一つの旗、一つの政府に忠誠を尽くす。
→狂信的愛国心は世界各地で育まれている文化的、社会的、経済的結びつきを無視するものだ。「国民ならば戦わねばならない」と人々に強制し、ごく少数の政治的指導者だけの価値観、世界観を押し付けるものである。私たちは国だけでなく人種、宗教、そのた諸々の側面を持つ存在であり、ただ国家のために生きるのではない。
*未来など自分にはまったく関係ない
⇒次の世代のことなどどうして心配せねばならないのか?どの世代も自分の面倒は自分で見なければならない。
→私たちが行う意思決定が次の世代の幸福に多大な影響を及ぼす今という時代には責任ある態度ではない。
3.特に危険な考え方
*自然は無尽蔵である
*世界は一つの巨大な機械である
*人生は適者生存の闘争である
*市場は利益を分配する
*消費すればするほどよい人間になる
*お金を持てば持つほど幸福になる
*経済的な目的は軍事的手段を正当化する
4.新しい倫理を採用する
古典的な自由主義原則である「自分も生き、他も生かせ」では既に現在の状況に適合できない。今の状況に適合する普遍的倫理は、
「より簡素に生き、他の人々も簡素に生きられるようにせよ」
これは落ちぶれたということでなく、自由意志で選択したもので個人的な幸福感を高め、人生により深い意義を感じさせてくれる。それは社会的、生態系的に持続可能な生き方であり、それゆえ現在地球上に存在するすべてのものと来るべきいくつもの世代に対して責任ある選択なのだ。
ただ大事なことは生活様式の簡素さそのものではなく生態系に対するインパクトの少なさである。よってこれから導かれる普遍的倫理の原則は、
「他のすべての人々も同様に生きられるような方法で生きよ」となろう。
→よってアメリカナイズされた生活様式から脱却する必要がある。
5.あなたの世界を思い描き、その実現に向けて行動せよ
編集中 以下後日の予定
僕はこのラズロ博士がまとめあげたことを昔から世の中に向かって問いかけたかったのです。ただそれをする能力がなかった。しかし今回この本に出合えたことで自分の意図するところを明確に人々に伝えることができるなぁと思いました。
そのために要約を試みているのです。後はまた後日書きます。
最終的に僕が伝えたいことは「一人ひとりが独創的になること。自分に独創的になることを許すこと。そのためには自分を癒すことが前提として必要であり、だから今、自分癒しが必要なのだ。ということ」
なぜならブレイクスルーをするのに必要なのです、一人ひとりの独創性が。だから自分を癒して独創的な全き存在になることがこの星までも癒していくことに繋がると腑に落ちたから。
「さまざまな革新的な考え方や行動をとる独創的な人々は、同じ時代を生きる人間にとって最も価値の高い財産である。現在の不公平で持続不可能な世界を、人間的で持続可能な世界に変えるという、未曾有の難題に取り組むためには、この財産を活用せぬままにしておくことは不可能だし、また、それはしてはならないことだ」
著者アーヴィン・ラズロは哲学者・未来学者であり、地球交響曲第五番に出演している。もともと天才ピアニストであり9歳でブダペストフィルと共演もしている。世界賢人会議「ブダペストクラブ」を主宰する。
彼のこの著書で私は、私たちには時間がなく一瞬一瞬がとても貴重な決断期にいる、ということが良くわかった。
「私たちは今、工業化時代のロゴスの文明と、これから達成されるはずのホロスの文明の間にある、時の流れの中の「決断期」に生きている。ホロスの文明が達成できるかどうかはまだわからない。
今私たちがいる「決断期」は、崩壊・前進両方の可能性を孕んでいるからだ。だが、まもなくわたしたちは地球規模の転換点であるカオス・ポイントに到達し、そうすれば世界はいずれかの方向へ進化することになる。
このポイントに到達するのは、決定的に重要な意味を持つさまざまなプロセス(社会の中の対立やストレス、経済における資源の分配の不均衡、生物を支える生態系の重要なバランスの崩壊)が、もはや後戻りできない段階にいたる時だ。
そのとき私たちのシステムは、崩壊(ブレイクダウン)か、あるいは前進(ブレイクスルー)か、いずれかに向かう軌道へと進みはじめる。どちらの軌道が選ばれるのかは、前もって決定されてはいない。現在の「決断期」は、きわめて非決定的、したがって高度に自律的である」
ラズロは同じく地球交響曲第四番に登場する生物物理学者ジェームズ・ラブロックが最近あらわした著書『The Revenge of Gaia』(ガイアの復讐、未和訳)の中で「われわれはすでに境界線を越えてしまっており、最悪の事態に備える以外、残された道はほとんどないと、わたしは考えている」と言っていることに異を唱えている。
ポイントとして述べればラブロックは純粋に生物的視点のみから推論しており、人間の意識という点をファクターに入れていないことが誤りだという。
「社会の中にいる意識を持ったメンバーたちは、自分の周囲で展開する進化のプロセスがどのようなものなのかを把握し、それに意識的に介入することができるのである。
決断期においては、一人ひとりの人間が意識的に、小さいが、しかし大きな力を秘めた揺らぎを作り出すことができる。その揺らぎは「拡大」して、社会がたどる進化の道を決定することができるのである」
「人間は自分たちの希望や期待と合致する方向に進化を傾ける力を持っているのだ。したがってカオス・ポイントは地球規模の崩壊の始まりを告げるものであるとは決まっていない。新しい文明への跳躍の先触れとなる可能性も十分にある」と述べている。
カオス・ポイント直前にいる私たちはどのような態度、行動をとればいいのだろうか。ラズロは第7章“今、あなたにできること”の中で次のように述べている。
1.時代遅れの考え方を捨てる
2.時代遅れの信念と誤った考え方のリスト
3.特に危険な考え方
4.新しい倫理を採用する
5.あなたの世界を思い描き、その実現に向けて行動せよ
6.あなたの意識を進化させよ
7.進化した意識を示す10の指標
1.時代遅れの考え方
・紛争を解決するために、その紛争よりも危険な武器を製造する。
・食糧を過剰生産しながら、それを空腹な人々の手に届けられない。
・世界の子供の半数に貧困生活を強い、そのうち数百万人に深刻な飢餓を経験させている、
・女性が家庭やコミュニティにもたらす感性、配慮、連帯感を正当に評価し、活用することをせず、政治やビジネスにも低s供されればそれがいかに有益であるかを見過ごしている。
・天然資源が有限で多くのものが再生不可能であるにもかかわらず資源の生産性を向上させることを怠り、労働力の生産性を最大化することを最優先している。
・崩壊せずに機能し続けるだけのために、たえまない経済成長や金融の伸びを必要とする。
・長期化する構造的な問題や運営上の問題を抱えながら、短期の会計報告や日々の株式市場の動きに基づいて成功を判断する。
・社会的・経済的進歩を、国民総生産によって測り、人々の生活の質や、人間の基本的な必要をどれだけ満たしているかについては考慮しない。
2.時代遅れの信念と誤った考え方のリスト
*階層構造こそが最善の秩序をもたらす
⇒最上層にいる少数の人間(ほとんど男性)が、規則を作り、法律を制定し、命令を出し、それを守らせる。それ以外の人間はみな規則に従い、社会的、政治的秩序の中で自分に与えられた位置を守る。
*一人ひとりの人間が特別で、誰もが孤立した存在である。
⇒人は自分自身の利益のみを追求する孤立した存在である。頼れるのは自分だけである。他人はみな友か敵で、友だとしてもせいぜい利害が一致するから結ばれているにすぎない。
*すべてのことは元に戻せる
⇒問題は一時的乱れに過ぎない。しばらくすればすべては平常に戻る。
*経済的合理性
⇒すべてのものは人も含めて金に換算することができる。誰もが裕福になりたいと望んでおり、そう思わないと言う人は戯言を言っているかそういうふりをしているだけである。
→より深い根源を持つ社会的価値や精神的価値を再発見し自発的に簡素な生活様式を身に着けようとしている人々が増えている時代には無分別である
*効率神話
⇒すべての機械、すべての組織からできるだけ多くのものを手に入れなければならない。
→社会を「金を尺度にする人々」と「伝統的な価値観を持つ人々」に二極分化してしまう。
*技術がすべてを解決する
⇒どのような問題でも技術が解決できる。
→技術は手段である。最高の技術も諸刃の剣である(原発など)。
*新しいほうが良い
⇒新しいものは何でも、去年買ったすべてのものよりも良い。
→断じて間違い。新しいものはより高価で複雑で扱いにくく、より資源を無駄使いし、健康に害を及ぼし環境を汚染し、人間を疎外し多大なストレスを与えることが多い。
*正しかろうが間違っていようが自分の国を支持する
⇒何が起ころうとも、一つの旗、一つの政府に忠誠を尽くす。
→狂信的愛国心は世界各地で育まれている文化的、社会的、経済的結びつきを無視するものだ。「国民ならば戦わねばならない」と人々に強制し、ごく少数の政治的指導者だけの価値観、世界観を押し付けるものである。私たちは国だけでなく人種、宗教、そのた諸々の側面を持つ存在であり、ただ国家のために生きるのではない。
*未来など自分にはまったく関係ない
⇒次の世代のことなどどうして心配せねばならないのか?どの世代も自分の面倒は自分で見なければならない。
→私たちが行う意思決定が次の世代の幸福に多大な影響を及ぼす今という時代には責任ある態度ではない。
3.特に危険な考え方
*自然は無尽蔵である
*世界は一つの巨大な機械である
*人生は適者生存の闘争である
*市場は利益を分配する
*消費すればするほどよい人間になる
*お金を持てば持つほど幸福になる
*経済的な目的は軍事的手段を正当化する
4.新しい倫理を採用する
古典的な自由主義原則である「自分も生き、他も生かせ」では既に現在の状況に適合できない。今の状況に適合する普遍的倫理は、
「より簡素に生き、他の人々も簡素に生きられるようにせよ」
これは落ちぶれたということでなく、自由意志で選択したもので個人的な幸福感を高め、人生により深い意義を感じさせてくれる。それは社会的、生態系的に持続可能な生き方であり、それゆえ現在地球上に存在するすべてのものと来るべきいくつもの世代に対して責任ある選択なのだ。
ただ大事なことは生活様式の簡素さそのものではなく生態系に対するインパクトの少なさである。よってこれから導かれる普遍的倫理の原則は、
「他のすべての人々も同様に生きられるような方法で生きよ」となろう。
→よってアメリカナイズされた生活様式から脱却する必要がある。
5.あなたの世界を思い描き、その実現に向けて行動せよ
編集中 以下後日の予定
僕はこのラズロ博士がまとめあげたことを昔から世の中に向かって問いかけたかったのです。ただそれをする能力がなかった。しかし今回この本に出合えたことで自分の意図するところを明確に人々に伝えることができるなぁと思いました。
そのために要約を試みているのです。後はまた後日書きます。
最終的に僕が伝えたいことは「一人ひとりが独創的になること。自分に独創的になることを許すこと。そのためには自分を癒すことが前提として必要であり、だから今、自分癒しが必要なのだ。ということ」
なぜならブレイクスルーをするのに必要なのです、一人ひとりの独創性が。だから自分を癒して独創的な全き存在になることがこの星までも癒していくことに繋がると腑に落ちたから。
「さまざまな革新的な考え方や行動をとる独創的な人々は、同じ時代を生きる人間にとって最も価値の高い財産である。現在の不公平で持続不可能な世界を、人間的で持続可能な世界に変えるという、未曾有の難題に取り組むためには、この財産を活用せぬままにしておくことは不可能だし、また、それはしてはならないことだ」