植物によるがん治療のお手伝い 聡哲鍼灸院日記

植物で心身を癒す施術の日々。そこから感じたこと、学んだことなど。。。

がんの苦痛はとりのぞける

2006年01月08日 23時29分05秒 | 癌治療・緩和ケア
 NHKスペシャル「日本のがん医療を問う」の第二夜「がんの苦痛はとりのぞける」を見た。緩和ケアをがん医療に積極的に取り入れることの必要性が訴えられていた。良かった。たぶんこれを機に緩和ケアがより取り入れられていくことだろう。簡単なことではないけれども。もちろん厚生労働省技官の発言は慎重でありその回答の仕方に不満も残るがNHKの影響は大きい。広島県の取り組みのようにデイホスピスなどがこれから各地に広まってほしいと思う。

 代替医療先進国のイギリスの緩和ケア事例が紹介されたのでもしかしたら代替医療が緩和ケアに貢献していることが映し出されるかと思ったが残念ながらそこまでは至らずあくまで現代医療の範疇での取り組みの紹介に終わっていた。
 
 番組の中でがん治療には初期の段階から痛みのケアとして緩和ケアを併用すべきとの示唆がされていた。正しいと思う。今の日本のように“生きるための治療”と“死を迎えるためのケア”に分離されていることは不幸だ。やはり諸外国のように初期から除痛にとりくむ必要がある。ぼくがよく往診にいっている広尾の日赤医療センター緩和ケア科に勤務されている秋山治先生や茅根先生も「緩和ケアは決して死を看取る場所ではなくて痛みのケアをするところです。積極的に利用してほしい」と言われていて緩和ケア外来も設けていらっしゃる。12月に行われた秋山先生の講演も良かった。

 ただ現在痛みを止めるにはほとんどが鎮痛剤や鎮痛補助薬といった薬剤による対処になっている。場合によっては放射線治療も行われているけれどもいずれも必ず副作用はある。それを考えるとそれら薬剤に替わる鎮痛治療として鍼灸を採用してもらいたいと強く思う。ぼく個人の経験に限って言えばこれまで緩和ケア病棟へ往診しにいって鎮痛に成功したことはあっても副作用を起こしたり病状を悪化させたことはない。末期がんの体の状態は複雑だ。薬剤でのコントロールはこちらを立てればあちらが立たずということも多いように見受ける。モルヒネで痛みは取れても猛烈な便秘になることもある。それらの鍼灸による治療で痛みを減らして鎮痛薬を減らすことは可能なのだ。それを知ってほしいと思う。

 末期がんの症状にさえ有効な鍼灸治療が初期のがん治療に貢献できないはずがないと思わないだろうか?がんの痛みの治療に鍼灸や自然療法で携わってきてその効果を知る者としてのぼくの持論である「がんになったら鍼灸院へ」というのは、「現代医学的ながん治療と平行して免疫力を高める鍼灸を同時に受けて欲しい」というものだ。なにもがんになったら第一選択肢として鍼灸院に行きなさい、と言っているのではない。古来痛みや諸症状を取る技術に優れた鍼灸ががんの治療に取り入れられていないことはぼくは国民的損失だと思っている。

 あわせて鍼灸師会も変わる必要があるだろう。1つには今の鍼灸学校の教科書には「がんには鍼灸治療は不適」とされてそのように生徒指導されていること。これは最近流行のEBMという“科学的根拠に基づいた治療”を判断基準とすると、鍼灸治療によるがんの治療データがないための結論であろう。ぼく個人は鍼灸は想念による治療部分が多いと思っているので鍼灸治療自体がEBMに馴染まないと思っているので「がんには鍼灸治療は不適」という扱いは間違いと思っているがこのことについてはここではこれ以上は触れない。ようは鍼灸師に対しての「鍼灸ががん治療に有効だ」という教育がなされていないことを改める必要があるということ。

 2番目はがんという病をもっと学ぶ必要がある、ということ。ぼく自身もがんの専門病院で多くの患者さんに接するまではがんに対して誤った価値観を持っていた。そういう誤解に近い病気観を払拭して自分たちの技術ががんに有効だということを知ってもらいたい。もちろんぼく自身も昨年講演したように「鍼灸ががんに有効だ」というアピールをこれからもしていくつもりだ。

 今回の放映で緩和ケアに耳目が集まるだろう。さらに近い将来その緩和ケアの中に鍼灸などが取り入れられていくことを願っている。
コメント (14)
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