雫石鉄也の
とつぜんブログ
サマーウォーズ
監督 細田守
出演(声) 神木隆之介、桜庭ななみ、谷村美月、斉藤歩、横川貴大、富司純子
数学が得意な理系高校生健二が、先輩の夏希からアルバイトを持ちかけられる。アルバイトは夏希といっしょに長野県上田市にいって、夏希の曾祖母栄の90歳のお誕生会に出席すること。
夏希の母の実家陣内家は戦国最強の武田軍団の一翼を担った武家の名門。かっては2万の徳川軍を2000の軍勢で撃退したこともある。栄は16代目当主。大勢の肉親、親類、縁者が大きな屋敷に集まる。そこで健二は夏希に婚約者だと紹介され、栄に気に入られてしまう。その夜健二の携帯電話に暗号のようなメールが。ゲームかと思って解答して返信。それから世界は大混乱。
インターネット上の仮想世界「オズ」世界の何億という人が「オズ」に登録している。住民登録などの役所の手続き、お金の入金出金預金、携帯電話の通信、「オズ」なしでは生活できない。また、社会のインフラも「オズ」が制御。アメリカ軍の核まで「オズ」が制御している。
その「オズ」のセキュリティが破られ、魔神のようなアバターが出現して、「オズ」で暴れる。そいつは「ラブマシーン」なるAI。AIは他のアバターを次々に取り込みますます巨大に。社会は大混乱におちいる。通信は途絶、交通は大渋滞。そして惑星探査衛星のコントロールを奪う。その落下予定地点に原子力設備が。「ラブマシーン」を倒さないと世界は崩壊する。これに立ち向かったのは健二と陣内家の一族。
傑作だ。ものすごく面白い。武田家の末孫で大きな武家屋敷の一族という、極めて古いモノとネットの仮想世界という極めて新しいモノの対比。「オズ」の中のカラフルな世界と、現実の緑豊かな信州上田の野山。パソコンの前で「ラブマシーン」と必死で戦う健二たち。台所では食事の支度に忙しいお母さんたち。お母さんは世界の崩壊より夕食の支度。息子が高校野球長野県大会決勝戦でピッチャーやっている。甲子園に行けるか。世の騒ぎは知らず息子の応援するお母さん。さまざまな「世界」が並行して進む。それも極めて軽快なテンポで。非常に小気味がいいエンタティメントに仕上がっている。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
ハマグリのうしお汁
春は貝類が美味しい。アサリもいいがハマグリもおいしい。というか、なんだかハマグリの方がエラそう。というわけでハマグリのうしお汁を作ろう。
昆布を前の夜から水につけておく。昆布は利尻。小生は昆布は羅臼を使うことが多いが、吸い物を作る時は澄んだ汁が欲しいので利尻を使う。
ハマグリの処理。砂出しをする。浅い容器にハマグリを入れて塩水をひたひたに注ぐ。塩水の濃さは海水ぐらい。そうね、だいたい水1リットルに小サジ一杯ぐらいだろうか。小生はいつも感覚でやっているから具体的には覚えていない。機会があれば海の水を味見すればいい。ただし、海の水は想像以上に塩辛い。
砂だししたハマグリを昆布と水を入れた小鍋に入れる。加熱する。沸騰直前に昆布を取り出す。ハマグリが口を開いたら鍋から出して、お椀に入れる。
鍋に残った汁はハマグリのコハク酸が溶けこんだおいしい汁。塩と酒で軽く味付け。ここで失敗すれば今までの努力が水の泡。慎重にやろう。
味付けした吸い地をお椀に注いで、木の芽を浮かべて出来上がり。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
アサリのリゾット
春はアサリがおいしゅうございます。アサリを食べるのなら今の季節です。アサリは春が旬でございます。水温が上がってくると貝毒が心配です。寒い季節のアサリは身が痩せていて美味しくありません。
炊き込みご飯、スパゲッティ、ラーメンと、わたくしアサリ料理はいろいろしますが、今日はイタリア料理です。リゾットにしましょう。
玉ねぎ、にんにくをオリーブオイルで炒めます。にんにくのいい香りがしてきます。そこにお米を洗わずに入れます。イタリア料理ではお米はパスタの一種なんですね。少し白ワインを注ぎます。
お米が透き通ってきたらスープを入れます。スープはコンソメの素でうすく作っておきます。ごくうすくです。スープでお米を煮ます。
さて、アサリに取りかかるとしますか。砂出ししたアサリを洗います。アサリの砂は身が含んでいる砂よりも、貝殻の表面に付着している砂がけっこうあるんですね。殻をこすりあわせるようにして、ていねいに洗います。
小鍋にアサリと白ワインを入れて、フタをして強火にかけます。カタカタと音がしてアサリが口を開け始めたら、鍋から取り出していきます。アサリは加熱しすぎると硬くなります。取り出したアサリは食べやすいように剥き身にしておきましょう。
小鍋に残った汁は、コハク酸たっぷりのアサリの旨味がいっぱいの汁です。お米を煮ているスープに加えましょう。
お米がお好みの硬さになれば、お皿に盛って、アサリの身を乗せて、イタリアンパセリをトッピングして出来上がりです。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
クロマグロは本当はどうなのか?
中東ドーハで開催されていた、ワシントン条約締結国会議において、モナコが提案していた大西洋、地中海産クロマグロの国際商業取引禁止案が反対多数で否決された。日本、韓国の主張に中国が同調、これをアフリカ諸国が支持したためとのこと。
日本の漁業水産関係者並びに、回転すしチェーンなどマグロを大量消費する業界はとりあえず、ホッとひと安心というところだろう。小生もマグロは好きなのでうれしいニュースだ。
しかし、各マスコミで報道されているのは、各国の利害と経済的な側面だけで今回の結論がなされているように見える。日本はクロマグロの世界1の消費国である。今回議題となった海域で漁獲されるクロマグロも大多数が日本に輸出されている。日本の主張に賛成した国の多くが、クロマグロを日本に輸出して外貨を稼いでいる。こういう経済面の思惑で上記の結果が出たわけだ。
では、大西洋、地中海のクロマグロは本当に絶滅の危機にあるのだろうか。経済学ではなく、海洋生物学の議論がなされたのであろうか。なされたけれども報道されなかったのか、はたまた利害の、お金のからむ問題だけが議論されたのかわからぬが。
提案国のモナコはカジノとF1レースとグレース・ケリーだけの国とお思いの方が多いだろう。モナコはそれだけの国ではない。海洋研究にかけては世界のトップクラスのレベルである。そのモナコの海の生き物に関する研究の実力を発揮すれば、各国を説得できるだけクロマグロのデータをプレゼンテーションできたはず。日本もまた、モナコに負けない海洋研究の実力を有していることはご承知の通り。日本もモナコに負けないデータを提示できたはずだ。
参加各国が客観的なデータを持ち寄って、クロマグロは生物学的に見てどうなのか。そういう議論をすべきだったのではないか。議論がなされたのなら報道すべきだった。もし、クロマグロが本当に絶滅の危機にあるのならば、日本人もクロマグロを食べるのをがまんしなければなるまい。この会議は生物の会議であって経済の会議ではないのだから。場所がドーハだけに「今度は日本が勝った」なんて喜んでいるムキもいるが、勝ち負けの問題ではないだろう。要はクロマグロが本当はどういう状況か、ということなのだ。
これを機に日本人は少々反省しなければいけないのではないか。本来、江戸の鮨は江戸前といって、江戸の前の海で獲れた魚だけで握った鮨であった。それが江戸の海だけでは足らず、日本国中の魚が築地に集まる。それでも足らず世界中の水産物が日本に集まる。イカ、エビ、マグロ、タコ、カニ、これらの水産物は世界の水揚げの多くを日本人が食べている。いずれも世界1の消費量だ。少々貪欲すぎるのではないか。理想をいえば、日本人は日本の海で獲れた魚だけ食べて満足すべきかも知れない。
そういう意味からもクロマグロの完全養殖のより一層の研究が待たれる。
星群ホームページ連載「SFマガジン思い出帳」が更新されました。よろしければご覧になってください。
日本の漁業水産関係者並びに、回転すしチェーンなどマグロを大量消費する業界はとりあえず、ホッとひと安心というところだろう。小生もマグロは好きなのでうれしいニュースだ。
しかし、各マスコミで報道されているのは、各国の利害と経済的な側面だけで今回の結論がなされているように見える。日本はクロマグロの世界1の消費国である。今回議題となった海域で漁獲されるクロマグロも大多数が日本に輸出されている。日本の主張に賛成した国の多くが、クロマグロを日本に輸出して外貨を稼いでいる。こういう経済面の思惑で上記の結果が出たわけだ。
では、大西洋、地中海のクロマグロは本当に絶滅の危機にあるのだろうか。経済学ではなく、海洋生物学の議論がなされたのであろうか。なされたけれども報道されなかったのか、はたまた利害の、お金のからむ問題だけが議論されたのかわからぬが。
提案国のモナコはカジノとF1レースとグレース・ケリーだけの国とお思いの方が多いだろう。モナコはそれだけの国ではない。海洋研究にかけては世界のトップクラスのレベルである。そのモナコの海の生き物に関する研究の実力を発揮すれば、各国を説得できるだけクロマグロのデータをプレゼンテーションできたはず。日本もまた、モナコに負けない海洋研究の実力を有していることはご承知の通り。日本もモナコに負けないデータを提示できたはずだ。
参加各国が客観的なデータを持ち寄って、クロマグロは生物学的に見てどうなのか。そういう議論をすべきだったのではないか。議論がなされたのなら報道すべきだった。もし、クロマグロが本当に絶滅の危機にあるのならば、日本人もクロマグロを食べるのをがまんしなければなるまい。この会議は生物の会議であって経済の会議ではないのだから。場所がドーハだけに「今度は日本が勝った」なんて喜んでいるムキもいるが、勝ち負けの問題ではないだろう。要はクロマグロが本当はどういう状況か、ということなのだ。
これを機に日本人は少々反省しなければいけないのではないか。本来、江戸の鮨は江戸前といって、江戸の前の海で獲れた魚だけで握った鮨であった。それが江戸の海だけでは足らず、日本国中の魚が築地に集まる。それでも足らず世界中の水産物が日本に集まる。イカ、エビ、マグロ、タコ、カニ、これらの水産物は世界の水揚げの多くを日本人が食べている。いずれも世界1の消費量だ。少々貪欲すぎるのではないか。理想をいえば、日本人は日本の海で獲れた魚だけ食べて満足すべきかも知れない。
そういう意味からもクロマグロの完全養殖のより一層の研究が待たれる。
星群ホームページ連載「SFマガジン思い出帳」が更新されました。よろしければご覧になってください。
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
ホームレスの娘
最終電車を降りる。その娘は今日もそこにうずくまっていた。二十歳になるかならないかという若い娘だ。
地下鉄の改札を出て、私鉄の切符売り場にいたる通路の途中。飲み物の自販機と壁の間で、ひざをかかえて座っている。ホームレスだろうか。それにしては若い。
こんな深夜に、こんな場所で、こんな若い娘が一人。家出娘なのか。それにしても危険だ。警察は保護しないのか。ここで、かなり前、1ヶ月以上前から見かける。
「あのおじさん、毎晩、こんな廃線になった地下鉄の駅でなにしてんねやろ」
地下鉄の改札を出て、私鉄の切符売り場にいたる通路の途中。飲み物の自販機と壁の間で、ひざをかかえて座っている。ホームレスだろうか。それにしては若い。
こんな深夜に、こんな場所で、こんな若い娘が一人。家出娘なのか。それにしても危険だ。警察は保護しないのか。ここで、かなり前、1ヶ月以上前から見かける。
「あのおじさん、毎晩、こんな廃線になった地下鉄の駅でなにしてんねやろ」
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
桂雀松の愛宕山
NHK「日本の話芸」で桂雀松の「愛宕山」を観る。面白い。雀松さん、一つ上の次元に上がった。枝雀門下ではあるが、枝雀の影を感じさせない。この「愛宕山」も完全に雀松の「愛宕山」だった。
数多ある上方落語のネタの中でも、「愛宕山」は小生の好きなネタ。春のピクニックに行く噺だから、春の野山の情景を描写しなくてはいけない。旦那が京都人、主人公の太鼓持ちの一八が大阪人。この二人のやりとり。かわらけ投げのシーン。一八が谷底に投げられた小判を拾うため傘をパラシュートにして飛び降り、小判を拾って、戻ってくるくだり。聞きどころ満載の噺である。
「百年目」が人物のキャラクター造形の妙を味わう噺なのに対して、この「愛宕山」は旦那と一八の演技もさることながら、情景描写、それにアクションの表現も大切。雀松さんの噺はいずれも一級品であった。
特に、かわらけ投げのシーンの首の使い方、一八が谷底へ飛び降りるまでの、迷いっぷりなど、雀松さん独特のものが観られた。
数多ある上方落語のネタの中でも、「愛宕山」は小生の好きなネタ。春のピクニックに行く噺だから、春の野山の情景を描写しなくてはいけない。旦那が京都人、主人公の太鼓持ちの一八が大阪人。この二人のやりとり。かわらけ投げのシーン。一八が谷底に投げられた小判を拾うため傘をパラシュートにして飛び降り、小判を拾って、戻ってくるくだり。聞きどころ満載の噺である。
「百年目」が人物のキャラクター造形の妙を味わう噺なのに対して、この「愛宕山」は旦那と一八の演技もさることながら、情景描写、それにアクションの表現も大切。雀松さんの噺はいずれも一級品であった。
特に、かわらけ投げのシーンの首の使い方、一八が谷底へ飛び降りるまでの、迷いっぷりなど、雀松さん独特のものが観られた。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
勝呂忠画伯ご逝去
勝呂忠画伯がご逝去された。享年83歳。
小生たちの年代のSF者にとって、早川の銀背。ハヤカワSFシリーズには特別な感慨を憶える。あのころは、SFの供給源は、このハヤカワの銀背と東京創元社の文庫しかなかった。
そのハヤカワの銀背の装丁をよく手がけておられたのが勝呂忠画伯だった。小生たちは、勝呂画伯の顔を持つ本で育ったようなものだ。
勝呂忠画伯のご冥福をお祈り申し上げます。
小生たちの年代のSF者にとって、早川の銀背。ハヤカワSFシリーズには特別な感慨を憶える。あのころは、SFの供給源は、このハヤカワの銀背と東京創元社の文庫しかなかった。
そのハヤカワの銀背の装丁をよく手がけておられたのが勝呂忠画伯だった。小生たちは、勝呂画伯の顔を持つ本で育ったようなものだ。
勝呂忠画伯のご冥福をお祈り申し上げます。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
雪が溶けたらなにになるの
3月も半ばを過ぎました。もうすぐ春本番。北国では雪が溶けていることでしょう。雪どけの季節です。
雪が溶けると何になるの、という問いに二人の子供が答えたとしましょう。
一人は「水になる」もう一人は「春になる」どちらが正解でしょうか。と、いうか、あなたはどちらを正解にしたいでしょう。これが理科の問題なら「水になる」が正解「春になる」が不正解ということになりますね。国語の問題なら、どちらも正解ということでいいのではないでしょうか。
人間を理科系人間と文科系人間の2種類に分けるとして、「雪が溶けたら水になる」「雪が溶けたら春になる」と、並べると、前がいかにも理科系、後ろが文科系という感じがしませんか。
「雪が溶けたら水になる」確かに間違いではないんです。その通りです。温度は分子の動きなのですね。温度が低いと分子はお行儀よく並んでおとなしくしています。これが固体です。雪ですね。温度があがると分子はソワソワ動き出します。これが液体。水です。さらに温度が上がると分子はもっと激しく動き回ります。これが気体。水蒸気なんですね。これを物質の三態といいます。
こういう物理の問題として考えると雪が溶けると水になるしか正解はないということですね。でも、これだとなんだか、ミもフタもない感じがしませんか。わたくし、理科系人間というと、偏見かも知れませんが、冷たく理知的で、数字で割り切ってしまう人のように思えます。そんな理科の先生に「雪が溶けたら春になる」といえば、メガネをピカリと光らせて「間違い」といって答案用紙に大きく×を書いて、「はい、次ぎ」といって、冷徹に切り捨てられるような気がしませんか。
これが女子大の国文を卒業して現代国語の先生になったばかりの、若いきれいな先生に「雪が溶けたら春になる」というと、「は~い。よくできました」といって、大きな花丸をつけてくれるでしょう。いいですねえ。「雪が溶けたら春になる」なんだか、ほんわかしたロマンを感じますね。冷たい雪が溶けて暖かい土が出てきました。長い冬の厳しさをじっと耐えてきた小さな植物が芽を出し、眠っていた動物が穴からでて活動を始めます。いのちあふれる春がやってきました。
SF、それもハードSFと呼ばれるSFは、「雪が溶けたら水になる」「雪が溶けたら春になる」の良いとこどりなのですね。ようするに「雪が溶けたら水になる」をミもフタもあるように表現するのがハードSFだと思うのですが。人間の介在を一切必要とせずに、物質の変化動きだけでも、文学的な興趣を得る事のできる文芸、それがSFではないでしょうか。と、いうよりもこういう芸当はSFにしかできないのですね。
雪が溶けると何になるの、という問いに二人の子供が答えたとしましょう。
一人は「水になる」もう一人は「春になる」どちらが正解でしょうか。と、いうか、あなたはどちらを正解にしたいでしょう。これが理科の問題なら「水になる」が正解「春になる」が不正解ということになりますね。国語の問題なら、どちらも正解ということでいいのではないでしょうか。
人間を理科系人間と文科系人間の2種類に分けるとして、「雪が溶けたら水になる」「雪が溶けたら春になる」と、並べると、前がいかにも理科系、後ろが文科系という感じがしませんか。
「雪が溶けたら水になる」確かに間違いではないんです。その通りです。温度は分子の動きなのですね。温度が低いと分子はお行儀よく並んでおとなしくしています。これが固体です。雪ですね。温度があがると分子はソワソワ動き出します。これが液体。水です。さらに温度が上がると分子はもっと激しく動き回ります。これが気体。水蒸気なんですね。これを物質の三態といいます。
こういう物理の問題として考えると雪が溶けると水になるしか正解はないということですね。でも、これだとなんだか、ミもフタもない感じがしませんか。わたくし、理科系人間というと、偏見かも知れませんが、冷たく理知的で、数字で割り切ってしまう人のように思えます。そんな理科の先生に「雪が溶けたら春になる」といえば、メガネをピカリと光らせて「間違い」といって答案用紙に大きく×を書いて、「はい、次ぎ」といって、冷徹に切り捨てられるような気がしませんか。
これが女子大の国文を卒業して現代国語の先生になったばかりの、若いきれいな先生に「雪が溶けたら春になる」というと、「は~い。よくできました」といって、大きな花丸をつけてくれるでしょう。いいですねえ。「雪が溶けたら春になる」なんだか、ほんわかしたロマンを感じますね。冷たい雪が溶けて暖かい土が出てきました。長い冬の厳しさをじっと耐えてきた小さな植物が芽を出し、眠っていた動物が穴からでて活動を始めます。いのちあふれる春がやってきました。
SF、それもハードSFと呼ばれるSFは、「雪が溶けたら水になる」「雪が溶けたら春になる」の良いとこどりなのですね。ようするに「雪が溶けたら水になる」をミもフタもあるように表現するのがハードSFだと思うのですが。人間の介在を一切必要とせずに、物質の変化動きだけでも、文学的な興趣を得る事のできる文芸、それがSFではないでしょうか。と、いうよりもこういう芸当はSFにしかできないのですね。
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
アパートの鍵貸します
監督 ビリー・ワイルダー
出演 ジャック・レモン、シャーリー・マクレーン、フレッド・マクマレイ
バドは保険会社の平サラリーマン。毎日定時には退社しない。サービス残業して会社で時間をつぶす。自分のアパートに帰宅するのは午後8時を過ぎてから。
彼は自分の会社の4人の課長に8時までアパートの部屋を貸している。出世するためだ。課長どもは、バドのアパートをラブホテル替わりに使って浮気を楽しむ。
仕事時間中も、部屋のやりくりに忙しく、仕事なんかしていない様子。それでもダブル・ブッキングなどしないで、課長どもに喜ばれて、課長補佐に出世。
バドには片想いの娘がいる。会社のエレベーターガールのフラン。バドがラブホテルまがいのことをやっていることが人事部長にばれた。部長に呼ばれて、おしかり、ではなく、部長も部屋を貸せとのこと。「客」は5人になった。部屋の運用に頭を悩ませる。部長もバドの部屋でしっぽり。ところが部長の愛人というのがフランだった。
部長にも喜ばれてバドは重役待遇の部長補佐に出世。エラクなったが自分の部屋には帰れず、酒場で時間つぶし。大家のばあさんには、騒がしいと叱られる、隣りの住人の医者には淫乱男と思われる。そうこうしているうちに、妻との離婚を口にしだした部長との話がこじれてフランが自殺。幸い隣りが医者なので一命を取り留める。
ラブコメである。こうしてストーリーを紹介すると、深刻なよろめきドラマのようだが、決してそんなことはない。明るく軽い。これは主要登場人物のキャラと俳優の演技のたまもの。ワイルダーの脚本と、レモン、マクレーン、マクマレイの演技だ。レモン=バド=お調子者で出世を望むが彼女も大事。でも、やっぱり出世かな。いやいや彼女も・・・。マクレーン=フラン=清純そうに見えるが妻子ある男と不倫。マクマレイ=部長=よき家庭人。しかしフラン以前にも愛人たくさん。フランの前は美人秘書が愛人。なんともぐじゃぐじゃだが明るく軽く不倫浮気出世にいそしむ。
セリフが非常にテンポがよく、すいすいと軽快にお話が進む。最後は落ち着くべきところに落ち着くのだが、見ている途中はストーリーの先が読めない。
シャーリー・マクレーン、かわいい。小生好みの女優さんだ。それにしてもしょうもない会社だ。ろくでもない課長部長。仕事しないでラブホテル業に頭が一杯の社員。そのわりには大きな会社みたいだったが。60年代のニューヨークの保険会社ってあんなもんかな。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
広東風海鮮五目ソバ
小生、ラーメンは大好きだが、たまにはラーメン以外の中華ソバも食べたい。広東風海鮮五目ソバを食べよう。
スープは鶏ガラでとっておく。具はエビ、ホタテ、長ネギ、干し椎茸、きぬさや、にんじん。
エビは殻ごと少量の紹興酒で酒蒸しにする。殻をむく。殻は炒って湯で煮出すとおいしいスープがとれる。このスープも使う。ホタテは油通し。長ネギは斜め切り。干し椎茸は一晩水につけて戻しておく。戻し汁もスープに使う。きぬさやはゆでておく。にんじんはうす切り。
材料はすべて処理しておく。調味料は量を計って容器に入れておく。中華料理は手際のよさとスピードが味に大きく影響する。段取り良く調理しよう。調理を始めてから、アレがない。コレを忘れていた、といってモタモタしてはいけない。
中華鍋ににんにくとしょうがをひとかけづつ入れて熱し、香りが立ってきたら、火の通りにくい材料から入れて炒める。エビとホタテは最後に入れる。スープを加える。オイスターソース、醤油、紹興酒、砂糖、塩で味付け。水溶き片栗粉でとろみをつける。最後にゴマ油をたらす。これでアンはできた。
ガラスープ、エビの殻のスープ、椎茸の戻し汁を合わせて、塩、薄口醤油、紹興酒、こしょうで味付け。
鉢にゆでた麺を入れスープをそそぐ。アンを上からかけて出来上がり。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
春キャベツと焼豚の炒飯
よし。今日の昼飯は炒飯だ。春だから春らしい炒飯を食べたいな。キャベツがうまいな。春キャベツ。やわらかくておいしい。
春キャベツと焼豚の炒飯を作る。まず焼豚作り。ハムメーカーが工場で作っている焼豚はまずい。常温だとなんとか食べられるが、加熱するとへんに砂糖甘くなっておいしくない。だから小生は焼豚は手作りしている。なに。難しくない。豚バラ肉のかたまりを用意する。醤油、紹興酒、味醂で肉を煮る。八角を入れておくと香りが良い。途中で上下ひっくり返しながら40分ほど煮る。一晩冷蔵庫に置く。翌日鍋を見るとラードが白く固まっている。これはご飯を炒めるのに取っておこう。
煮えて味の染みた肉を焼く。ガスレンジ付属の魚焼きグリルで焼く。おいしそうな焦げ目をつける。それを細かいサイの目に切る。
春キャベツも細かく切る。さっと水をくぐらす。
中華鍋をカンカンに熱して油ならし。ラードを鍋に入れてご飯を投入。すかさず卵を割り入れる。味付けは韓国食材のアミの塩辛でやった。このアミの塩辛、チゲ鍋の材料として買ったものだが、調味料として使えば、ほどよいしょっぱさと旨味があり、なかなか結構な食材だ。先週のスパゲッティペスカトーレにもアンチョビーがわりに使った。
焼豚と春キャベツを入れてさらに炒める。炒めながら鍋返しをやる。炒飯作りはダイナミックにやろう。火は最強にして、鍋をカンカンに熱くしつつ、鍋返しでご飯を大きくあおることで、空気がふくまれフワッ、パラッとした炒飯ができるのだ。小さなテフロンのフライパンにご飯を入れて、木べらでちまちまかき回しているだけではおいしい炒飯はできない。
さ、できた。ほ~ら、おいしそう。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
SFマガジン2010年3月号
SFマガジン2010年3月号№648 早川書房
雫石ひとり人気カウンター
1位 マン・イン・ザ・ミラー 小野田和子訳 ジェフリー・A・ランディス
2位 光線銃‐ある愛の物語 金子浩訳 ジェイムズ・アラン・ガードナー
3位 26モンキーズ、そして時の裂け目 三角和代訳 キジ・ジョンスン
4位 アードマン連続体 田中一江訳 ナンシー・クレス
5位 最終戦総論 樺山三英
今号は「2009年度・英米SF受賞作特集」この企画は毎年やっているがさすがにレベルが高い。南蛮のSF者どももアホではないと見える。いちおう納得のいく作品に賞を贈っている。
「オールタイム・SF映画ベスト50座談会」という企画をやっていた。座談会出席者は高橋良平、柳下毅一郎、鷲巣善明、渡辺麻紀、司会添野知生という面々。なんどもいっているが、かような企画は万人に納得がいく結果は絶対出ない。これからどんな本を読もう、どんな映画を観ようと思っている人にはある程度参考にはなる。しかし、それはそれをチョイスしたメンバーにもよる。ああ、あの人が推薦しているのだから間違いない。と、いう人がメンバーなら良い。小生の場合は、大森望、岡本俊弥、三村美衣、北上次郎、内藤陳なんて人たちの薦める本は、安心して読める。
で、SF映画を上記の5人が話し合ってベスト50を決めていた。このご仁たちがどんな映画を選んでいたかベスト10をここに紹介しよう。それにしても座談会という企画は面白い。だれがアホかだれがカシコかよく判る。みんなアホかも知れんカシコかも知れん。さてどうでしょう。
1位 ブレードランナー
2位 キングコング(1933年版)
3位 メトロポリス
4位 スター・ウォーズ 帝国の逆襲
5位 2001年宇宙の旅
6位 エイリアン
7位 ヴィデオドローム
8位 ターミネーター
9位 ゴジラ
10位 未来世紀ブラジル
小生は納得いかない。座談会の最後に高橋良平が「文句があったらかかってきなさい」といっている。別に高橋にケンカを売る気はないが、文句があるから、小生のSF映画ベスト10をここに書く。
1位 2001年宇宙の旅
2位 スター・ウォーズ 新たなる希望
3位 猿の惑星
4位 渚にて
5位 ゴジラ
6位 ブレードランナー
7位 バーバレラ
8位 ターミネーター
9位 エイリアン2
10位 生き物の記録
さて、映画はともかくとして小説の方だ。今号もなかなか楽しませてもらった。
「マン・イン・ザ・ミラー」SFでしか読めない楽しさ。他のジャンルの小説ではこんな面白い話は読めない。小惑星の表面にお椀型のくぼみがあいている。表面は鏡面。限りなく摩擦がない。そこに落ちた。滑り落ちる。向こう側まで滑る。縁に手を伸ばす。届かない。反動でこっち側に滑る。届かない。どうして助かったか。
「光線銃‐ある愛の物語」いい話だなあ。セイシュンしてる。17歳の時異星人の光線銃を拾った。すごい威力。ぼくはヒーローになれる。その日のために身体を鍛え勉強する。彼女もできた。光線銃のことは彼女にないしょ。ぼくは26歳になった。光線銃のことは彼女にばれたか?光線銃をどうしたか。少年が成長する話。よくあるパターンだが、そのきっかけを異星人の光線銃としたところが良かった。
「26モンキーズ、そして時の裂け目」エイミーは1ドルで26匹の猿を買った。彼女はその猿でマジックショーをする。猿が消えるマジック。猿はどうして消えるのか、そして現れるのかエイミーにも判らない。出てくる猿がいとおしい。
「アードマン連続体」アードマン博士は90歳。まだまだ元気。ところが突然、身体に異変が。博士と同じ老人施設の仲間も同じ異変が。80歳以上の老人に共通して起こる異変。それは何かの前触れか。人類進化テーマSF。老人たちのキャラが立っている。特にイヴリンなるばあさんは、なんとアメリカの浪速のおばちゃん?
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
家電製品の相性
家電製品には相性があるようだ。小生のところは、どうも三菱と相性がいい。テレビはソニーで、DVDはパナソニックだが、エアコンなど他の主要な家電は三菱だ。特に電子レンジと冷蔵庫は三菱以外の製品は所有したことがない。
電子レンジは庫内の広さを考えると、三菱になった。冷蔵庫は前の前の冷蔵庫も三菱だった。それで、一時だけサンヨーの冷蔵庫を買った時があった。ところが、この冷蔵庫はモーター音がへんにカン高く、夜、耳について気になって眠れなかった。買って3日目だが、三菱のモノと交換してもらった。この時の販売店の対応は非常に良かった。ミドリ電化だったが、クレーム交換という形で無償で交換してくれた。サンヨーの冷蔵庫は音が大きいだけで故障はしてなかったのだが。
その後、三菱の冷蔵庫は快調に果すべき役割を果している。これは、三菱の製品は飛び抜けて優秀というわけでもないだろう。日本の家電はどこのメーカーでも性能に差はないと思う。わが家との相性としかいいようがない。
電子レンジは庫内の広さを考えると、三菱になった。冷蔵庫は前の前の冷蔵庫も三菱だった。それで、一時だけサンヨーの冷蔵庫を買った時があった。ところが、この冷蔵庫はモーター音がへんにカン高く、夜、耳について気になって眠れなかった。買って3日目だが、三菱のモノと交換してもらった。この時の販売店の対応は非常に良かった。ミドリ電化だったが、クレーム交換という形で無償で交換してくれた。サンヨーの冷蔵庫は音が大きいだけで故障はしてなかったのだが。
その後、三菱の冷蔵庫は快調に果すべき役割を果している。これは、三菱の製品は飛び抜けて優秀というわけでもないだろう。日本の家電はどこのメーカーでも性能に差はないと思う。わが家との相性としかいいようがない。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
阪神 青木
おおぎ駅である。あおき駅ではない。阪神電車の駅では、どちらかというと地味な駅である。球場のある甲子園、えべっさんの西宮、梅田、三宮といった花形の駅ではない。この地味な駅が一度だけ、全国的に注目を集めたことがあった。阪神大震災のおり、被災地を走る鉄道で、下りで(京都から遠ざかる電車だから下りという。東京からではない。日本の中心は関西で、首都は京都である。したがって京都から出る電車を下り、京都に向かう電車を上りという)一番最初に最も西まで行ったのが阪神で、その時の最西端の駅が青木だった。当時の「ニュースステーション」で、小宮悦子がこの駅から生中継していた。
谷崎の「細雪」に阪神大水害の記述があるが、この作品でも、いち早く水害の被害から復旧し、最も神戸の中心に近い駅として、阪神青木と谷崎は記している。2度の大災害で、最も早く開いた神戸の東玄関がこの駅。地味ではあるが強靭な駅なのだ。今度この駅が注目を集めるのは、おめでたいことにしてもらいたい。阪神タイガース優勝パレードの出発点をこの駅にしたらどうだろうか。
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
早く春になれ
定刻4時に起床。朝だ雨だ。(堀さんごめん)
パソコンをつけメールチェック。星群ホームページの原稿をまとめ、SFマガジン1969年4月号の表紙写真を貼り付け、ホームページの管理人氏にメールにて送稿。このコラムやり始めて3年になるが、なかなか面白い仕事だ。古いSFマガジンを引っ張り出して読んでいる。毎月1号づつ取り上げているが、このペースでやっていると死ぬまでやっても最新号に追いつかない。そのあと雑誌を拾い読み。「本の雑誌」「ダンチュウ」などパラパラ。
5時から朝食。朝食後、朝日放送のタイガース御用番組を観て6時15分に家をでる。冷たい雨が降っている。玄関を出るのに勇気を要す。一瞬、「有給休暇」という言葉が頭をよぎるが、振り切ってマンションの階段を下りる。
しばらく暖かい日が続いていただけで、寒さがよけいに身にしみる。いつもは自転車で駅まで行くが、今朝は傘をさすから歩く。こんな冷たい雨の降る日は、痛めている左足が痛い。駅に着く。ホームは寒風が吹いていて寒い。電車が来た。乗る。やっとほっとする。早く春になれ。
パソコンをつけメールチェック。星群ホームページの原稿をまとめ、SFマガジン1969年4月号の表紙写真を貼り付け、ホームページの管理人氏にメールにて送稿。このコラムやり始めて3年になるが、なかなか面白い仕事だ。古いSFマガジンを引っ張り出して読んでいる。毎月1号づつ取り上げているが、このペースでやっていると死ぬまでやっても最新号に追いつかない。そのあと雑誌を拾い読み。「本の雑誌」「ダンチュウ」などパラパラ。
5時から朝食。朝食後、朝日放送のタイガース御用番組を観て6時15分に家をでる。冷たい雨が降っている。玄関を出るのに勇気を要す。一瞬、「有給休暇」という言葉が頭をよぎるが、振り切ってマンションの階段を下りる。
しばらく暖かい日が続いていただけで、寒さがよけいに身にしみる。いつもは自転車で駅まで行くが、今朝は傘をさすから歩く。こんな冷たい雨の降る日は、痛めている左足が痛い。駅に着く。ホームは寒風が吹いていて寒い。電車が来た。乗る。やっとほっとする。早く春になれ。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 前ページ | 次ページ » |