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新幹線大爆破


監督 佐藤純弥
出演 高倉健、宇津井健、千葉真一、山本圭、竜雷太、藤田弓子、丹波哲郎

 小生の知っている限りでは、日本製パニック・サスペンス映画の最高傑作。ハラハラドキドキ。手に汗握る。一難さってまた一難。ふ~、やれやれ。え、まだあんの。が、何度も何度も繰り返す。最後まで観客をだれさせない。見応えのある作品だ。
 東映の作品だが、高倉、千葉といった東映おなじみの俳優に加えて、一方の主役、新幹線運転指令長役の宇津井健が大熱演。丹波はいつもの丹波だが、アクションしない千葉、ダメ男の高倉というのは、いつもと違って面白い。
 東京発博多行きのひかり109号に爆弾が仕掛けられた。その爆弾は時速80キロ以下になると爆発する。環状線ではない。必ず博多に到着して止まる。それまでに爆弾を除去しなければ1500人の乗客の命はない。
 浜松、名古屋、京都、新大阪と109号は刻々と博多に近づいて行く。タイムリミットまでに爆弾は見つかるか。犯人の要求は何か。そして犯人は逮捕できるか。
 109号車内。運転指令室。警察の動き。犯人の動き。映画はこの四つの動きを並行して描いている。車内はパニック。臨月の女性が産気づく。難産の様子がいささかくどい。この妊婦の世話をする女医以外、これはと思う乗客がいない。お粗末な人物ばかり。この人は死なせたくないと思わせる人物を数人創るべきだった。そうすると乗客にも感情移できた。
 運転指令室。ここでは宇津井健の一人舞台だった。運転士をなだめ、叱り、励まし、新幹線全体を把握しつつ打開策を探る。必死の努力をする。大熱演。
 警察。この映画の警察はまぬけ。金の受け渡しを失敗。3人の犯人のうち2人を死なせてしまう。
 秀逸なのは3人の犯人をよく描けていること。倒産した中小企業の社長。元過激派。無職の青年。3人とも夢破れた「負け犬」その負け犬が大バクチを打ったのが国鉄を強迫して大金をせしめること。「ブラジルへ行く」「ハーレーを買って世界旅行」「だれも死なないだれも殺さない完全犯罪をやる」
 ハラハラドキドキのサスペンスが良く出来ている上に、犯人にも感情移入させたのが良かった。ただ惜しむらくは、109号車内の乗客の描き方がありきたりであった。残念。
 犯人の一人元過激派がいった「革命が成功した国へ行きたい」はなんとも皮肉で哀しい。「革命が成功した国」が何をして、今、どんな国になっているか知っているだけに。
 ともかく傑作。お勧め。
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