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海よりもまだ深く


監督 是枝裕和
出演 阿部寛、樹木希林、真木よう子、小林聡美、リリー・フランキー

 メキシコとの国境で繰り広げられる麻薬組織との死闘。遙か昔、銀河帝国での反乱軍と帝国軍の戦争。ドイツ軍の巨大な要塞を爆破する。かようなおよそ日常からかけ離れた映画も面白いが、日常にべったりと密着して、派手なドラマは一切ない映画。このような映画も手練れの監督と俳優の手にかかると、めっぽう面白い映画となるのである。是枝監督と樹木希林。この二人の組み合わせが、この映画を面白いモノとしたのだろう。
この映画、主たる舞台は団地である。その団地に老婆が一人で暮らしている。息子がやってくる。息子といってもいい年で40をこえた大人。息子良多はカルピスを凍らせたシャーベットを食べながら老母と語らう。彼は親孝行しにここに来たわけではない。金をせびりに来た。老母のへそくりをパクって行く。
 良多は作家。「自称」のつく作家といっていいだろう。だいぶん前に純文学で新人賞を取ったが、その後さっぱり。「取材」と称して探偵をやっている。金にだらしなくギャンブルですってしまう。離婚した元妻に養育費を請求されるがとどこうりがち。元妻には未練があるし、子供もかわいい。
 台風が来た。台風の夜、老母の団地に、良多、元妻、息子、久しぶりに一家3人が集まった。良多は、老母と、元妻と、息子とじっくり話し合う。
 台風の夜が明けた。台風一過の空の下、元家族3人は団地を去っていく。何かが変わったのだろうか。たぶん、何も変わらない。甘い老母は甘いまま。気が強い元妻は気が強いまま。ダメ男はダメなまま。何も変わらない。そういうものだ。
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