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とつぜんSFノート 第2回

 小生が、自分がSF者であることを自覚したのは、小学校の5年か6年ごろだったと記憶する。
 小生は、子供のころ、特に勉強のできる子ではなかった。劣等生ではなかったが、優等生ではなかった。ただ、理科だけは非常に良くできた。特に生き物好きな子だったので生物系がよくできた、
 学年で一番の子、関西の名門進学校灘中学校に進学したS君という子がいた。この子は算数、国語、社会など主要科目で常に学年で一番で、学校を代表する優等生だった。ところがこのS君、理科だけはどうしても2番だった。理科は常に小生が学年で一番だった。「理科は雫石君にどうしても勝てない」と、いわれていた。
 小生は本が好きな子でもあった。図鑑類をながめて喜んでいた。また、生き物好きゆえ、ファーブル昆虫記、シートン動物記を好んで読んでいた。生き物好きが、のちに大学への進学先に水産学科を選ばせたのだろう。それよりも、理科好き本好きという資質が、その後の小生の人生に大きく影響している。
 理科が好きで、本が好き。こういう子供が長じてSF者となるのは、ある意味必然的なことではないだろうか。まさしく小生はそういう子供だったのである。
 小学校の南側に小さな川、というより溝だな、この溝には、ガムシ、タイコウチ、水カマキリ、ヤゴなどの水棲昆虫がたくさんいた。運が良いとタガメ、ゲンゴロウといったあこがれの昆虫と出会えることもあった。小生の休み時間や放課後のすごし方は、この溝での虫とりですごすことが多かった。もちろんクラスメイトと校庭で相撲をとったり、こんな遊びもした。また、学校のすぐ北側には六甲の山々が連なっている。だから、放課後は学校の裏山、保久良神社や金鳥山へ足を伸ばすこともできた。
 こんなアウトドアの遊びもしたが、本好きゆえ、学校の図書室ですごす時間も多かった。その小学校の図書室で非常に魅力的な本に出会った。どこの出版社の本か思い出せないが、児童向けの空想科学小説だった。
 その本の口絵に魅了された。どことも知れぬ異星の風景。その風景の中で光線銃を手にして宇宙服を着た少年が、この世のものならぬ怪物と対峙している。怪物は今まさに少年に襲いかからんとしている。たぶんハインラインのジュビナイルだと思う。こんな世界があるのか。自分がいるこの世界とはまったく違う世界がある。異世界を垣間見る喜びを知った。
 あとで知ったことだが、それが「えすえふ」と呼ばれているものであった。
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