走る営業公務員、奮闘記!!

地方分権が進展する中での地方からみた木っ端役人の奮闘記です。

デンマークのトマソン選手

2010年06月27日 17時05分24秒 | ちょっといい話
先週の金曜日、サッカーワールドカップで日本はデンマーク、に勝利しました。
思ってもみなかったことなので、はしゃぎたい気持ちは分かりますが、これが反対だったらどうでしょうか?
私は、あまりにもマスコミが手のひらを返し、サッカー一色になっていることを責めているわけではありません。
おそらく日本が負けていたならば、デンマークは敗者である私たちに敬意を表してくれたのではないかということが言いたいのです。
マスコミの報道の中に、どれだけデンマークに敬意を表した記事があったでしょうか。

 彼らの真摯な姿勢を皆さんは忘れてしまったのではないでしょうか。
これも林住職の受け売りですが、日韓ワールドカップのときにデンマークは和歌山県にキャンプを張りました。
そこでの彼らのスポーツマンシップは実にすがすがしいものでした。

まず、練習後には見学に来ていた地元サッカー少年たちと一緒になってミニサッカーを行ったり、全選手が少年たちに気軽にサインにも応えるというサービス精神で貢献してくれました。

 また、デンマークのキャンプ地での練習の話が凄いのです。
通常は練習といえども非公開が通例なのですが、デンマークは練習初日から全ての練習を公開したというのです。
このことについてある記者がオルセン監督にこう質問したそうです。
「他国は練習を公開しないで、試合に備えていますけどデンマークはこれでいいのですか?」と
すると、このオルセン監督は
「我々の強さは練習を秘密にしたところで変わらない。絶対的な自信をもって試合にのぞむだけだ。何より、キャンプ地を提供してくれた和歌山の人たちが喜んでくれることはどんどんするべきなんだ・・・。試合も大事だが、この交流も大事にしたいと選手全員も言っている」

 どうですか、素敵な国であり、チームだとは思いませんか。
 なのに私たちのとった行動や言動はあまりにも軽率で恥ずかしいと思いませんか。


 次にトマソン選手のエピソードについてお話しましょう。
彼は、この大会で4得点をあげ、デンマークを決勝トーナメントに進出させた立役者です。
オランダリーグのフェイエノールトで活躍した小野選手と同じチームに所属した選手です。

 そんな彼が参加したある握手会での出来事であります。
子どもたちがサインを求め長蛇の列をつくっていました。
そのような中で、トマソン選手の前にある少年が立ち、少しモジモジしていました。
後ろに立っていた母親らしき人が彼を促します。
「ほら!早くしなさい!」
トマソン選手は、通訳を通じ「どうしたの?」とその少年に尋ねました。
意を決した少年はポケットから一枚の紙切れを取り出し、トマソン選手に渡しました。
それには英語でこう書いてありました。

「ボクは小さいころに、病気にかかって口と耳が不自由です。
 耳は聞こえません、話せません。
 だけどサッカーだけはずっと見てきました、大好きです。
 デンマークのサンド選手とトマソン選手が好きです。
 頑張ってください」と

 その手紙に通訳も、その場にいた記者たちも驚き、言葉も出なかったそうです。

しかし、トマソン選手はニッコリと微笑み少年にむかって
「それなら君は手話はできますか?」と手話で語りかけたというのです。
その『言葉』に驚く少年と母親
再度、トマソン選手は聞きます。
「手話はわかりませんか?」
それを見ていたある人がトマソンに選手に英語で
「ミスタートマソン、手話は言語と同じで各国で違うんですよ」と伝えました。
多くの人が手話を万国共通と勘違いしますが、国によって違うのです。
「そうだったのか...」という顔をしたトマソン選手はすぐに通訳にこう言いました。
「ボクは彼と紙で、文字を通して話をしたいのですが手伝ってください」と
微笑んで「わかりました」と答える通訳
トマソン選手は
「後ろの人たちにも彼と話す時間をボクにくださいと言っておいてください」
このやり取りを見ていた後ろで順番を待つ人たちは、何も文句を言わなかったそうです。

そして通訳を介し、少年とトマソンの『会話』が始まりました。

「君はサッカーが好きですか?」
「はい。大好きです」
「そうですか。デンマークを応援してくださいね」
「はい。あの聞いていいですか」
「いいですよ。何でも聞いてください」
「トマソン選手はどうして手話ができるんですか?正直、ビックリしました」

この少年の質問に彼は答える

「ボクにも君と同じ試練を持っている姉がいます。
 その彼女のためにボクは手話を覚えたんですよ」と
 その彼の言葉をじっくりと読む少年。
そしてトマソン選手は少年に言いました。
「君の試練はあなたにとって辛いことだと思いますが、
 君と同じようにあなたの家族も、その試練を共有しています。
 君は一人ぼっちじゃないという事を理解していますか?」
この言葉に黙ってうなずく少年
「わかっているなら、オーケー!
 誰にも辛いことはあります。君にもボクにも
 そして君のお母さんにも辛いことはあるのです。
 それを乗り越える勇気を持ってください」

 このやり取りを見ていた母親は号泣したそうです。
この光景を見ていた周りの人たちも涙したというのです。

 そして、トマソン選手は最後に少年にこう言いました。
「ボクは今大会で1点は必ず獲ります。
 その姿を見て、君がこれからの人生を頑張れるようにボクは祈っておきます」
この言葉に、少年は初めて笑顔を浮かべながら、
「はい!応援しますから、頑張ってください」と応えました。

 そして、サインをもらい、その場をあとにする少年と母親。
その母親は目に涙を浮かべてこう言ったそうです。
「あんなことされたらデンマークを応援しないわけにはいかないですよ。
 日本と試合することになっても、私らはデンマークを応援しますよ」と


 この大会でトマソン選手は少年との約束を守り、得点を決めました。
1点どころか、彼は4得点という大活躍だったのです。

他国の一人の少年との約束を守ってくれたトマソン選手とそれを育てたデンマーク。
日本人以上に武士道の精神を持ったデンマークと浮かれるだけの日本。

これでいいのでしょうか?


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