守田です。(20110511 11:30)
今回は、深刻な情報をお伝えしたいと思います。放射性物質の中でも非常に
猛毒のプルトニウム、さらにもっと恐ろしいアメリシウムやキュリウムが
私たちの周りを汚染しているのではないかという推論です。
根拠となるのは4月27日の読売新聞の次の記事です。短いので引用します。
***
核燃料損傷で放出?放射性物質2種、敷地で検出
東京電力は27日、福島第一原子力発電所の敷地内土壌から、原子炉の運転で
生成される放射性物質アメリシウムとキュリウムをごく微量検出したと発表した。
事故に伴う核燃料の損傷で放出されたとみられる。
東電によると、土壌は敷地内の2地点で、3月28日に採取された。うち1号機
の西北西約500メートル地点の土からは、1キロ・グラムあたりアメリシウム
241が0・033 ベクレル、キュリウム242、243、244が0・2~4
ベクレル検出された。量は通常 の土壌から見つかるのと同程度という。この土
からは、微量のプルトニウムやウランも見つかっている。
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110427-OYT1T00904.htm
***
ここで少し解説しておくと、プルトニウムやアメリシウム、キュリウムが毒性が
高いのは、これらの物質が、α線を出すからです。α線は、β線やγ線に比べて
粒子が格段に大きい。その分、遠くには飛びませんが、エネルギー量が多い。
そのため他の放射線に比べて、人体の細胞に対する破壊力が著しく高いのです。
しかも粒子が大きいために、透過性が低く、あまり飛ばないので、ごく直近の
細胞にそれだけ激しくダメージを与えることになる。
プルトニウム(239)は半減期が2万4千年もあり、なかなか減らない点も厄介なの
ですが、反対にアメリシウムやキュリウムは、半減期が短い分だけ、より単位
当たりの時間の中で、α線を出す回数が多い。その点では危険度はより高い。
ちなみに半減期についていえば、キュリウム242は163日。243は29.1年。244は
18.1年。アメリシウム241は432.2年です。アメリシウムの同位体は他にも
たくさんありますが、ほとんど1時間以内に半減していきます。
問題はこれがどこから出てきたかです。考えられるのは、3号機で起こった爆発が
燃料プール由来の即発臨界爆発であったこと。このときに燃料棒の中に含まれて
いたプルトニウムとともにアメリシウム、キュリウムも出てきた。
もう一つは炉心から出てきた可能性。とくに3号機にはMOX燃料が装荷されて
いたため、これが溶融などで崩れ、ペレットに焼き固められていたプルトニウム、
アメリシウム、キュリウムが漏れ出てきたということです。
そもそもプルトニウムは、自然界にはほとんどない物質で、原子炉で人間が人工
的に作りだしたものです。どのようにして生まれるのかと言うと、核分裂しない
ウラン238に中性子があたって取り込まれ、プルトニウム239になります。
このため使用済み核燃料の中には、新たに生成されたプルトニウムが含まれて
いますが、これを他の放射性物質と分けて抽出する作業が、燃料の「再処理」
工程です。この技術は難しく、たびたび放射能漏れを起こします。
今、説明したのは通常のウラン燃料で燃やしている原子炉のことですが、福島
3号機ではプルサーマルという新たな方式が行われていました。ウラン燃料に
プルトニウムを混ぜた燃料=MOX燃料で行う発電のことです。
もともとの原子炉はこうしたことを想定していません。しかもプルトニウムは、
ウランより核分裂性が高いので、その分、制御も難しい。そのためプルサーマルは
通常の原発以上に危険だと指摘され続けてきたものです。
しかし主にプルトニウムを燃料とする実験段階の炉=高速増殖炉もんじゅ事故
により、今、日本はプルトニウム使用の目処が立っていません。原爆の材料で
あるプルトニウムは大量保管が国際的に禁じられていて政府は困ってきました。
そのために高速増殖炉がだめなら、通常の原発でプルトニウムを使ってしまえと
いうのが、「プルサーマル」であり、福島第一原発3号機は、多くの人々の反対を
押し切って、ついにこれを始めたばかりでした。
この3号機のMOX燃料が溶解してしまい、ペレットが砕けて、プルトニウムとともに
アメリシウムやキュリウムが出てきている可能性があります。その意味で、今回の
事故は人類が初めて遭遇した、MOX燃料事故という要素も孕んでいそうです。
しかし3号機プールの即発臨界爆発=小さな核爆発が起こって、これらの物質が
大量に飛び散ったのか、またMOX燃料を含む、炉内の燃料溶解によって、これらが
出てきているのか、決定的な判断を下せる状態ではないようです。
しかしいずれにせよ、これらの物質が、原発の敷地内だけで観測されているのは
不合理ではないか。爆発で飛散したか、炉内から漏れ出してきているのかにより
大きな違いがあるにせよ、少なくとも敷地のすぐそばでも計測されうるのではないか。
実はこの記事が出たときから、僕はこの点ついて、科学者の友人と、頻繁にメール
交換を行ってきました。誰かこの件について論じている人はいないかと、リサーチ
もしてきました。
しかしなかなかデータがでてきません。またプルトニウムの危険性を指摘する人でも
プルトニウムは重金属なので、固体の場合は重く、それほど遠くには飛散しない
だろうという意見が多くあることも分かりました。
プルトニウム漏れは、さほど重要ではない(!?)という科学者の指摘もあります。
過去、1950年代ごろは大気圏内核実験の影響でプルトニウムの日本における
大気中濃度が2000年代の平均値に比べて100-1000倍だったからだそうです。
しかし、その科学者からは、今回の事故によるプルトニウムの大気中濃度はどう
なのかという議論がありません。さらにそもそも現代人の多くがガンになるのも
この核実験のせいなのではないかという重大な洞察も聞かれない・・・。
そうこうしているうちに、グアム、ハワイ、米西海岸などで、アメリカ政府機関・環境
保護局の環境放射性物質モニタリングシステムによって、ウラン、プルトニウムなどの
固体の放射性物質が検出されたという報告が入ってきました。
しかも通常時の数倍~数十倍の値で検出されたといいます。これが3号機プールの
即発臨界爆発=核爆発説の有力な根拠となっていました。この説を採ると相当の
プルトニウム等々の飛散があったことになります。
どう判断すればいいのか。友人とは、核爆発であったかどうかは、今の段階で
われわれには確かめようがないので、いずれにせよ、福島原発由来のプルトニウム
等々が出ていること、それはハワイまで飛散しうることに注目することにしました。
そうなるとますます福島原発周辺でのプルトニウムやアメリシウム、キュリウムなど
(ウランに中性子をあてたことから出てくるこれらの物質は、超ウラン元素とも
言われます)による汚染が懸念されている。
ところがこれが一向に計測されている気配がない。なぜかと探るうちに、原子力
安全委員会によって作成され、2008年に改定された「環境モニタリング指針」にいき
あたりました。なんとそこに、敷地外の超ウラン元素は測る必要がないと書いてある。
具体的には以下の通りです。
「原子炉施設等においては、多重の物理的防護壁により施設からの直接の放射
線はほとんど遮へいされ、また、固体状、液体状の放射性物質が広範囲に漏え
いする可能性も低い。したがって、周辺環境に異常に放出され広域に影響を与
える可能性の高い放射性物質としては、気体状のクリプトン、キセノン等の希
ガス及び揮発性のヨウ素を考慮すべきである。また、これらに付随して放射性
物質がエアロゾル(気体中に浮遊する微粒子)として放出される可能性もある
が、その場合にも、上記の放射性物質に対する対策を充実しておけば、所要の
対応ができるものと考えられる。」
なんということか。超ウラン元素はでるはずがないから、測らなくてよいというのです。
今回もこの規定が採用されているのではないか。規定の前提が覆っているにも
関わらず、これを楯にとって?計測がなされていない可能性がある。
となると、ますます超ウラン元素は、そこに存在しながら測られていないだけなので
はないだろうか。福島原発の周りのどれぐらいの範囲かは分からないけれど、
これらの物質が飛び散っているのではないか。
例えそれが重くて一度に遠くに飛ばなくても、繰り返し風にさらされることによって
これらの粒子は大きな移動を行う場合があります。とくにこれから夏にかけて東北に
は南からの強い風が吹く。非常に強い風です。それがこれらを運ぶのではないか。
こう考えると、小佐古氏の辞任劇のもやもやさも、もう少し理由が見えてくるように
思えます。小佐古さんは、もうこれ以上、住民を被ばくさせる共犯者になりたくないと
思って、涙したのではなかったか・・・。
まとめます。
福島原発の敷地内から、ウラン、プルトニウム、アメリシウム、キュリウムなど、α線
を出す放射性物質が検出されました。またウランやプルトニウムなどが、ハワイなど
でも観測されており、これらの物質が広範囲に飛散した可能性が高くあります。
にもかかわらずこれらの物質は充分に計測されていない。だとすると現在、様々な
地域で観測されている放射能汚染の度合いは、重大な欠損がある可能性がある。
端的に、測られていない重大な物質があるのではないかということです。
そうなると、周辺の被ばく量も、これまで考えていたものよりも、かなり高いことが
予想されうるし、今後の被ばくの危険性も今までもよりも更に高いものとして考える
必要性が出てきます。
ありていにいえば、すでに被ばくしてしまったものは、もはや嘆いていも元には
戻らない。それが由縁の健康の悪化の可能性に対して、さまざまに抗っていくしか
ない。しかし今後予想される被ばくはまだまだ避けることができる。
その点では、超ウラン元素、プルトニウムなどの飛散は、高い蓋然性をもったものと
受け止め、それを前提に被ばくからの防護体制を作っていくべきではないでしょうか。
いや、していくべきなのです。そうすることが命を守ることにつながります。
超ウラン元素以外にも、ストロンチウムなど、まだまだ充分に計測できていない
放射性物質は他にもたくさんあります。それらも考慮に入れるならば、今の段階で
空間線量だけを放射能汚染の目安にするのは危険です。
なぜなら超ウラン元素の出すα線も、ストロンチウムが出すβ線も、普通のガイガー
カウンターでは測りにくいからです。各地で測られているのは、主に空間に飛んでいる
放射線量であり、その多くはγ線です。ごく短距離しか飛ばないα線は測れない。
その点で、福島の学校での年間許容値の20ミリシーベルトを大きく引き下げることは
とても大事なことですが、その際に、そもそもこの攻防が、測られていない放射線も
ありうる中でのものになっていることを見据えておく必要があります。
プルトニウムの飛散をもしっかりと見据えて、何重もの被ばくからの防護体制を
築き上げていきましょう!
今回は、深刻な情報をお伝えしたいと思います。放射性物質の中でも非常に
猛毒のプルトニウム、さらにもっと恐ろしいアメリシウムやキュリウムが
私たちの周りを汚染しているのではないかという推論です。
根拠となるのは4月27日の読売新聞の次の記事です。短いので引用します。
***
核燃料損傷で放出?放射性物質2種、敷地で検出
東京電力は27日、福島第一原子力発電所の敷地内土壌から、原子炉の運転で
生成される放射性物質アメリシウムとキュリウムをごく微量検出したと発表した。
事故に伴う核燃料の損傷で放出されたとみられる。
東電によると、土壌は敷地内の2地点で、3月28日に採取された。うち1号機
の西北西約500メートル地点の土からは、1キロ・グラムあたりアメリシウム
241が0・033 ベクレル、キュリウム242、243、244が0・2~4
ベクレル検出された。量は通常 の土壌から見つかるのと同程度という。この土
からは、微量のプルトニウムやウランも見つかっている。
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110427-OYT1T00904.htm
***
ここで少し解説しておくと、プルトニウムやアメリシウム、キュリウムが毒性が
高いのは、これらの物質が、α線を出すからです。α線は、β線やγ線に比べて
粒子が格段に大きい。その分、遠くには飛びませんが、エネルギー量が多い。
そのため他の放射線に比べて、人体の細胞に対する破壊力が著しく高いのです。
しかも粒子が大きいために、透過性が低く、あまり飛ばないので、ごく直近の
細胞にそれだけ激しくダメージを与えることになる。
プルトニウム(239)は半減期が2万4千年もあり、なかなか減らない点も厄介なの
ですが、反対にアメリシウムやキュリウムは、半減期が短い分だけ、より単位
当たりの時間の中で、α線を出す回数が多い。その点では危険度はより高い。
ちなみに半減期についていえば、キュリウム242は163日。243は29.1年。244は
18.1年。アメリシウム241は432.2年です。アメリシウムの同位体は他にも
たくさんありますが、ほとんど1時間以内に半減していきます。
問題はこれがどこから出てきたかです。考えられるのは、3号機で起こった爆発が
燃料プール由来の即発臨界爆発であったこと。このときに燃料棒の中に含まれて
いたプルトニウムとともにアメリシウム、キュリウムも出てきた。
もう一つは炉心から出てきた可能性。とくに3号機にはMOX燃料が装荷されて
いたため、これが溶融などで崩れ、ペレットに焼き固められていたプルトニウム、
アメリシウム、キュリウムが漏れ出てきたということです。
そもそもプルトニウムは、自然界にはほとんどない物質で、原子炉で人間が人工
的に作りだしたものです。どのようにして生まれるのかと言うと、核分裂しない
ウラン238に中性子があたって取り込まれ、プルトニウム239になります。
このため使用済み核燃料の中には、新たに生成されたプルトニウムが含まれて
いますが、これを他の放射性物質と分けて抽出する作業が、燃料の「再処理」
工程です。この技術は難しく、たびたび放射能漏れを起こします。
今、説明したのは通常のウラン燃料で燃やしている原子炉のことですが、福島
3号機ではプルサーマルという新たな方式が行われていました。ウラン燃料に
プルトニウムを混ぜた燃料=MOX燃料で行う発電のことです。
もともとの原子炉はこうしたことを想定していません。しかもプルトニウムは、
ウランより核分裂性が高いので、その分、制御も難しい。そのためプルサーマルは
通常の原発以上に危険だと指摘され続けてきたものです。
しかし主にプルトニウムを燃料とする実験段階の炉=高速増殖炉もんじゅ事故
により、今、日本はプルトニウム使用の目処が立っていません。原爆の材料で
あるプルトニウムは大量保管が国際的に禁じられていて政府は困ってきました。
そのために高速増殖炉がだめなら、通常の原発でプルトニウムを使ってしまえと
いうのが、「プルサーマル」であり、福島第一原発3号機は、多くの人々の反対を
押し切って、ついにこれを始めたばかりでした。
この3号機のMOX燃料が溶解してしまい、ペレットが砕けて、プルトニウムとともに
アメリシウムやキュリウムが出てきている可能性があります。その意味で、今回の
事故は人類が初めて遭遇した、MOX燃料事故という要素も孕んでいそうです。
しかし3号機プールの即発臨界爆発=小さな核爆発が起こって、これらの物質が
大量に飛び散ったのか、またMOX燃料を含む、炉内の燃料溶解によって、これらが
出てきているのか、決定的な判断を下せる状態ではないようです。
しかしいずれにせよ、これらの物質が、原発の敷地内だけで観測されているのは
不合理ではないか。爆発で飛散したか、炉内から漏れ出してきているのかにより
大きな違いがあるにせよ、少なくとも敷地のすぐそばでも計測されうるのではないか。
実はこの記事が出たときから、僕はこの点ついて、科学者の友人と、頻繁にメール
交換を行ってきました。誰かこの件について論じている人はいないかと、リサーチ
もしてきました。
しかしなかなかデータがでてきません。またプルトニウムの危険性を指摘する人でも
プルトニウムは重金属なので、固体の場合は重く、それほど遠くには飛散しない
だろうという意見が多くあることも分かりました。
プルトニウム漏れは、さほど重要ではない(!?)という科学者の指摘もあります。
過去、1950年代ごろは大気圏内核実験の影響でプルトニウムの日本における
大気中濃度が2000年代の平均値に比べて100-1000倍だったからだそうです。
しかし、その科学者からは、今回の事故によるプルトニウムの大気中濃度はどう
なのかという議論がありません。さらにそもそも現代人の多くがガンになるのも
この核実験のせいなのではないかという重大な洞察も聞かれない・・・。
そうこうしているうちに、グアム、ハワイ、米西海岸などで、アメリカ政府機関・環境
保護局の環境放射性物質モニタリングシステムによって、ウラン、プルトニウムなどの
固体の放射性物質が検出されたという報告が入ってきました。
しかも通常時の数倍~数十倍の値で検出されたといいます。これが3号機プールの
即発臨界爆発=核爆発説の有力な根拠となっていました。この説を採ると相当の
プルトニウム等々の飛散があったことになります。
どう判断すればいいのか。友人とは、核爆発であったかどうかは、今の段階で
われわれには確かめようがないので、いずれにせよ、福島原発由来のプルトニウム
等々が出ていること、それはハワイまで飛散しうることに注目することにしました。
そうなるとますます福島原発周辺でのプルトニウムやアメリシウム、キュリウムなど
(ウランに中性子をあてたことから出てくるこれらの物質は、超ウラン元素とも
言われます)による汚染が懸念されている。
ところがこれが一向に計測されている気配がない。なぜかと探るうちに、原子力
安全委員会によって作成され、2008年に改定された「環境モニタリング指針」にいき
あたりました。なんとそこに、敷地外の超ウラン元素は測る必要がないと書いてある。
具体的には以下の通りです。
「原子炉施設等においては、多重の物理的防護壁により施設からの直接の放射
線はほとんど遮へいされ、また、固体状、液体状の放射性物質が広範囲に漏え
いする可能性も低い。したがって、周辺環境に異常に放出され広域に影響を与
える可能性の高い放射性物質としては、気体状のクリプトン、キセノン等の希
ガス及び揮発性のヨウ素を考慮すべきである。また、これらに付随して放射性
物質がエアロゾル(気体中に浮遊する微粒子)として放出される可能性もある
が、その場合にも、上記の放射性物質に対する対策を充実しておけば、所要の
対応ができるものと考えられる。」
なんということか。超ウラン元素はでるはずがないから、測らなくてよいというのです。
今回もこの規定が採用されているのではないか。規定の前提が覆っているにも
関わらず、これを楯にとって?計測がなされていない可能性がある。
となると、ますます超ウラン元素は、そこに存在しながら測られていないだけなので
はないだろうか。福島原発の周りのどれぐらいの範囲かは分からないけれど、
これらの物質が飛び散っているのではないか。
例えそれが重くて一度に遠くに飛ばなくても、繰り返し風にさらされることによって
これらの粒子は大きな移動を行う場合があります。とくにこれから夏にかけて東北に
は南からの強い風が吹く。非常に強い風です。それがこれらを運ぶのではないか。
こう考えると、小佐古氏の辞任劇のもやもやさも、もう少し理由が見えてくるように
思えます。小佐古さんは、もうこれ以上、住民を被ばくさせる共犯者になりたくないと
思って、涙したのではなかったか・・・。
まとめます。
福島原発の敷地内から、ウラン、プルトニウム、アメリシウム、キュリウムなど、α線
を出す放射性物質が検出されました。またウランやプルトニウムなどが、ハワイなど
でも観測されており、これらの物質が広範囲に飛散した可能性が高くあります。
にもかかわらずこれらの物質は充分に計測されていない。だとすると現在、様々な
地域で観測されている放射能汚染の度合いは、重大な欠損がある可能性がある。
端的に、測られていない重大な物質があるのではないかということです。
そうなると、周辺の被ばく量も、これまで考えていたものよりも、かなり高いことが
予想されうるし、今後の被ばくの危険性も今までもよりも更に高いものとして考える
必要性が出てきます。
ありていにいえば、すでに被ばくしてしまったものは、もはや嘆いていも元には
戻らない。それが由縁の健康の悪化の可能性に対して、さまざまに抗っていくしか
ない。しかし今後予想される被ばくはまだまだ避けることができる。
その点では、超ウラン元素、プルトニウムなどの飛散は、高い蓋然性をもったものと
受け止め、それを前提に被ばくからの防護体制を作っていくべきではないでしょうか。
いや、していくべきなのです。そうすることが命を守ることにつながります。
超ウラン元素以外にも、ストロンチウムなど、まだまだ充分に計測できていない
放射性物質は他にもたくさんあります。それらも考慮に入れるならば、今の段階で
空間線量だけを放射能汚染の目安にするのは危険です。
なぜなら超ウラン元素の出すα線も、ストロンチウムが出すβ線も、普通のガイガー
カウンターでは測りにくいからです。各地で測られているのは、主に空間に飛んでいる
放射線量であり、その多くはγ線です。ごく短距離しか飛ばないα線は測れない。
その点で、福島の学校での年間許容値の20ミリシーベルトを大きく引き下げることは
とても大事なことですが、その際に、そもそもこの攻防が、測られていない放射線も
ありうる中でのものになっていることを見据えておく必要があります。
プルトニウムの飛散をもしっかりと見据えて、何重もの被ばくからの防護体制を
築き上げていきましょう!