明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(1706)風水害から命を守るために~西日本に激しい雨が降っています。警戒を!

2019年06月30日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1701~1900)

守田です(20190630 23:30)

梅雨入りとともに災害級の激しい雨が。警戒を!

全国的に梅雨に入りました。同時にたちまち「災害級」の雨が降りだしています。
とくに激しく降っているのは九州を中心とした西日本で、今後数日間、激しい雨が続く見込みです。
梅雨前線が東西に長く伸びていてここに太平洋上の西側と南側から温かく湿った空気が入ってきているためです。

幾つか図を示しておきます。一つは日本気象協会の運営するtenki.jpに掲載された天気図です。6月30日午前9時のものです。
すでに各地に警報が発令されているのでそれも紹介します。なかでも熊本県には「土砂災害警戒情報」が出ています。23時13分のものです。避難の必要のある情報ですのでご注意ください。
さらにNHKウェザーニュース(18時40分のもの)から1日から2日にかけての降水量の予測図も示しておきます。

tenki.jpに掲載された天気図
https://tenki.jp/forecaster/k_shiraishi/2019/06/30/5128.html

気象庁HP 気象警報・注意報
https://www.jma.go.jp/jp/warn/

NHK ウェザーニュース 6月30日18:40
https://www.nhk.or.jp/kishou-saigai/top/

昨年の「平成30年7月豪雨」では237人の方が亡くなり8名が行方不明のままです。
あの時の被害も事前に的確な避難を行えば防げたものが多かったです。今回も似たような形で集中的に雨が降りだしているので、どうか早めの避難を心がけて下さい。
今年もこれから激しい雨が続くと思われるので、ぜひ気を引き締めて対応していきたいです。

避難勧告等に対する新しいガイドラインに注目を

ところで災害のときの警報・注意報や避難指示・勧告等に関するガイドラインが今年(2019年)3月29日に改訂されています。
これはそれまでの警戒情報に避難のタイミングなどの点で分かりにくい点があり、混乱が生じてきたことに対応したものです。
現在は警戒レベルを1~5と定めています。内閣府HPに掲載されている「警戒レベルに関する映像資料」で説明されている図をご紹介しますが、とにかく避難は警戒レベル3、ないし4で行うべきとされていることにご注目ください。

警戒レベルに関する映像資料(5分20秒)
http://wwwc.cao.go.jp/lib_012/keikaidouga.html

ガイドライン改訂についてより詳細なことが以下で説明されています。

避難勧告等に関するガイドラインの改定~警戒レベルの運用等について~ http://www.bousai.go.jp/oukyu/hinankankoku/pdf/guideline_kaitei.pdf

警戒レベル5は「特別警報」がだされ「ただちに命を守る行動」を求めるものとされていますが、この言い方が「それまでは命は危機に瀕してない」との誤解も生じさせてきました。
しかし「特別警報」が間に合わなかったり、狭い範囲のために出されなかった例もあります。このため「特別警報」が発表される前に避難を完了しておくことが求められています。
この点を説明したNHKのサイトも紹介しておきます。

「特別警報」命に関わる非常事態 正しく理解を
https://www3.nhk.or.jp/news/special/saigai/basic-knowledge/basic-knowledge_20190526_06.html

警戒レベル区分の色分けには混乱がある

ただしこの区分分け、僕は色分けの点で再び誤解を生む可能性を排除できていないように思います。
というのは先に示した「警戒レベルに関する映像資料」などでは警戒レベル1~5が黄色からオレンジ、赤へと移行していました。
ところが危険度わけでは警戒レベル3が赤、4が薄い紫、5が濃い紫とされているのです。この点を示した気象庁HP記載の図をご紹介します。

大雨警報(浸水害)の危険度文武の色に応じた住民等の行動の例
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/riskmap_inundation.html

だったらすべての説明でこの同じ色を使った方が良いのに、先ほどの図では警戒レベル5が赤になっていました。
この点、誤解を生むのではないかと各地の行政の色分けを概観してみたら、案の上、大きな混乱が生まれています。
一例として和歌山県HPでの警戒レベルの説明をご紹介しておきます。ここでは警戒レベル5が紫、4が赤になっています。これらから警戒レベルでの色での判断には注意が必要だという点を心に留め置いてください。
https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/011400/bousai/d00201787.html

以上、警報・注意報等は、3月29日により施行されている新たなガイドラインに基づいて出されています。そのため大雨シーズン到来に際してぜひチェックしておいてください。 とにもかくにもみんなで互いの命を守っていきましょう!

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明日に向けて(1705)「かが」「いずも」改修は憲法違反、しかも専守防衛どころか世界に敵を増やすばかりだ!

2019年06月28日 09時30分00秒 | 明日に向けて(1701~1900)

守田です(20190629 09:30)

空母の保有は憲法違反(ただしそもそも自衛隊そのものが違反だけれど・・・)

自衛隊のことを論じるときに大前提として僕が押さえたいのは憲法9条をどう読んでみても自衛隊は存在そのものが許されないということです。だから僕は自衛隊そのものに反対で、災害救助隊への転換を求めています。
その上で、でも「専守防衛までは合憲だ」という方と一緒に問いたいのです。空母は合憲でしょうか。とんでもない。当たり前です。防空のために必要ないからです。空母はどこか遠くで敵を攻撃するためにしかいりません。
これに対して「かが」や「いずも」は攻撃性が弱いので「攻撃型空母」とは言えず違憲ではないという論がこの間登場しています。

二つの反論を行いたいと思います。一つはかつて政府自身が、1万トン級であっても空母に垂直離発着できるような飛行機を搭載したらそれはもう攻撃型空母で憲法違反だと国会で答弁していることです。
「同じように1万トンの船でありましても、これが例えば(垂直離着陸攻撃機の)ハリアのようなものであって・・・海外の領域を攻撃するような任務を与えられるようなものとして設計され、造られておるということであれば、これは一種の攻撃型空母に変質するということではなかろうか」(1972年年5月31日、衆院内閣委員会、久保卓也防衛庁防衛局長=当時)。
これを引き出したのは日本共産党の宮本徹衆議院議員です。以下、しんぶん赤旗の記事をご紹介します。

主張「いずも」の改修「攻撃型空母」への変質は明白
しんぶん赤旗 2019年3月12日
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2019-03-12/2019031201_05_1.html

もう一点。より重要なのはそもそもこのF35Bの登場や、ミサイル艦などの発達の中で、海上軍事戦略が大転換されつつあり、「空母時代の終焉」すらが言われだしていることです。
この点を指摘しているのは海上自衛官です。海上自衛隊の交流組織「水交会」の機関誌『水交』に寄せられた論文の中においてです。それによれば米軍の中で「規模の大きな空母はもういらない」と言われだしているのだとか。
前方にもっと小さな規模のF35Bを搭載できる軽空母をおきF35Bを出動させる。そうするとF35Bは瞬時に全軍にデータを送れるので数百キロ後方の潜水艦やイージス艦にキャッチさせ、そこから巡航ミサイルを撃てば良いというのです。

F35Bの出現と空母時代の終焉
雑誌『水交』No.645号 平成29年新春号から 岩﨑洋一 幹候29期執筆
http://www001.upp.so-net.ne.jp/KG4210/Contents/F-35B-iwasaki.pdf


護衛艦「かが」 日経新聞20190528掲載のweb動画より

トランプの日米安保への「不満発言」は自衛隊の米軍へのより強固な一体化を狙ったもの

つまり電子機器が発達した今では、最前線にステルス性の強いハイテク機を飛ばして「敵情」をキャッチし、後方に控える艦船から命中精度の高いミサイルを撃ち込めば良いのであって、F35Bはその最先端に位置するのだということです。
これをたくさん日本に買わせるならばぜひ積極的に米軍の一部として運用しようとの戦略をトランプ大統領は持っており、だからこそいま「安保同盟に不満足」=日本がもっと攻撃面を担え=アメリカが買っている恨みを分担しろと言い出しているのでしょう。
例えばたったいま、アメリカは大型空母をイランに向かわせていますが、このようなときの穴を埋めるものとして「かが」「いずも」が使おうとしている。日米の軍事的一体化、そのためのセレモニーが「かが」への両首脳の乗船だったのです。

これらを考えたとき私たちは「欠陥飛行機F35を爆買いするのか」という批判だけに終わらせることなく、井上議員が昨年から早くも指摘していたようにこの飛行機の攻撃性に大きな批判を行わねばです。
海上軍事戦略が転換しつつあるいま、かつての「空母」のイメージはもう古くなりつつあり、ハイテクステレス戦闘機を最先端においた巨大艦隊としての運用が進められつつあることも見なくてはいけません。その点では1970年代の政府答弁に頼り切れない。
おそらくこれらは中国の軍事転換、ミサイルの性能の向上のもとで「中国・台湾海峡における米軍の優位性が低下している」などとも言われていることへの対応でもあります。

私たちが問わなければならないのは「国の交戦権は認めない」と憲法に書かれているにも関わらず、安倍政権が自衛隊を米軍にまるで吸収させるように一体化させつつあることです。安保法の具体化、拡大強化であり、国の歩み方の大転換です。
そのもとで自衛官が他国の人々を殺害する可能性そのものを摘み取らなければなりませんが、さらに言えば、そんな最悪のことが起こったら、この国の「国防」状況はむしろ一気に悪化します。
福島原発事故すら収束しておらず、海岸線に無防備に原発を並べているこの国は攻撃にものすごく弱いからです。にも関わらず世界の果てで人殺しを行い、アメリカが受けている怒り、恨みをも進んで買おうとする愚かさこそを止めなければなりません。


トランプ大統領の「日豪への不満」を報道する毎日新聞20190627

連載終わり

 

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明日に向けて(1704)F35Bを空母に載せれば対地攻撃可能。専守防衛どころではなく米軍との一体化が進むばかりだ!

2019年06月27日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1701~1900)

守田です(20190627 23:30)

「かが」への乗船がハイライトだった日米首脳会談

今回は日本がこれから105機も購入しようとしているF35戦闘機について論じたいと思います。これが5月末に行われたトランプ来日のもとでの日米首脳会談でも非常に大きな位置を持っていたと思われるからです。
どういうことか。あの首脳会談、ゴルフから始まり、大相撲観戦、居酒屋、として翌日の天皇との会談、首脳会談、朝鮮の拉致被害者家族の面会と続き、最後の三日目にトランプ・安倍両首脳が揃って自衛艦「かが」に乗船と続きました。
この中で一番のハイライトは実はこの最後の「かが」への乗船だったのではないかと僕には思えます。

それがゴルフ・相撲・居酒屋でかなりごまかされてしまったのではないか。さらには翌日に新天皇との会談が行われ、一層、和やかムードが演出されてしまいました。
このようにものすごく政治利用されてしまうから、いやそもそもアメリカによってそのために存続させられたのでもあるから、僕は天皇制に反対なのですが、ともあれこの一連の過程で日米の親密ムードが醸成されてしまいました。
そしてその上で「かが」に二人が乗り込むとなんとそこには米兵と自衛官がずらりと整列して待っていた。あたかもトランプ・安倍両首脳が、両軍の司令官かのように登場しました。

しかも重要なことがここで語られました。ヘリコプター搭載艦である「かが」は「いずも」とともに改修中です。なんのためかというと垂直着陸ができるF35B搭載可能な空母に変えるためです。
垂直着陸のときに垂直にジェット噴射が行われるので甲板を高熱に耐えるようにしているのですが、それでこの艦船は対地攻撃可能になります。専守防衛が完全に踏みにじられます。
トランプはこの「かが」の上で、安倍首相によるF35の105機の追加購入をほめあげ、さらに「かが」改修に触れて「日米両国は様々な脅威からより広い領域を守ることができる」とも訓示しました。自衛隊を米攻撃力に組み込む宣言だと言えます。


「かが」が改修されることで「日米両国が」より広い領域を守れると強調するトランプ大統領 日経新聞web上動画より

F35Bを持つと自衛隊における戦闘機の位置づけが変わる!(専守防衛でなくなる)

F35Bの「かが」「いずも」への搭載はどうしてこれまでと決定的に異なるのか。この点について日本共産党の井上哲士参議院議員が国会できちんと正していたことを知りました。昨年11月29日です。井上さんはまず米軍がこう述べていることを指摘しています。
「F35Bは、戦域における強襲及び航空戦闘能力、作戦上の柔軟性並びに戦術上の優位性における著しい強化になる、常に安定と安全を向上させる海上優勢を可能としつつ国際水域から地上作戦を支援する」。明らかに海から陸地を攻撃する能力を持っています。
実際に米軍は昨年9月に初めてF35Bが実戦投入し、アフガニスタンで対地攻撃を行ったことを9月27日に発表したことも井上さんは指摘しています。

このF35Bを保持し空母と共に運用することは、航空自衛隊の戦闘機の位置づけの大転換をもたらすことになるのです。さらに井上さんの指摘を引用します。
「航空自衛隊の戦闘機は、日本の防空を任務として日常的にスクランブルに従事をさせております。航空自衛隊のホームページを見ますと、保有する戦闘機について、進入してくる敵を直接撃破する任務を担当するとして、現有する四機種を紹介をしているわけですね。ところが、戦闘機をこの「いずも」のような甲板を持つ艦艇と組み合わせて海のどこからでも作戦ができるようにすると、こうなりますと、もはや防空では説明が付かないと思うんですね。」

そうなのです。防空ではなくなるのです。もはや日本の空を守るのではないのです。米軍と共に世界中のどこでも行って対地攻撃を行えるようになってしまう。そんなものを持てば必ずいつか使う日、使わされる日が来てしまう!
一番、懸念されるのはアフガニスタンや中東などで米軍と共にかの地の人々を攻撃することです。自衛隊がはじめて他国の人々を殺すことになる。そんなこと絶対にさせてはならない。
しかもそうなるといまは日本を平和国家だと思っている世界中の人々の認識を変えさせ、怒り、恨み、攻撃欲を持つ人々を作りかねない。「専守防衛」どころかかえってこの国への攻撃の口実すら作ってしまう。ものすごく危険な大転換です。

外交防衛委員会(F-35B戦闘機導入検討、護衛艦「いずも」の空母化検討とイージス・アショア導入について) 井上哲士 国会質問議事録より 2018年11月29日(木)
http://www.inoue-satoshi.com/parliament/2018/11/f-35b.html

国会質疑動画 F35B研究自体が問題 6:00より
https://www.youtube.com/watch?v=TgxsjQ_Sgdk


小さな空母から離発着できるF35B戦闘機 東京新聞20181129より

続く

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明日に向けて(1703)地震予測はあまりに難しい・・・過去記事の訂正も含めて

2019年06月19日 15時00分00秒 | 明日に向けて(1501~1700)

守田です(20190619 15:00)

昨日18日夜半に、新潟・山形で震度6強・弱の大きな揺れがありました。幸いにも死者は出ていませんが、20数名のけが人がでているそうです。屋根瓦に被害が出た家屋もたくさん出ています。


毎日新聞 2019年6月19日より

このことから地震に対する関心が高まっています。とくに地震の予測を期待する声が高いですが、しかし現状では「ほとんど予測できたことがない」というのが実情です。このため「予測を防災対策に反映させない方がよい」という意見すら出てきています。
しかしこの間、この点に関し誤解を与える記事も出ており、そのうちの一つを「明日に向けて」でも無批判的に掲載してしまいました。この点の捉え返しを含めて地震予測について整理しておきたいと思います。

東洋経済に載った地震予測批判図は間違い!

ここで問題にしておく必要があるのは東洋経済onlineに掲載された以下の記事の中の図です。

「地震保険は損だ」という考えが危ない理由 
日本は地震国「安全な地域はない」と心得よ 東洋経済オンライン 20160529 https://toyokeizai.net/articles/-/118566?page=4

ここでは2014年に地震調査研究推進本部が出した今後30年の予測図の上に、現にこの間あった大きな地震をマッピングし、「予測があたってない」ことを示しています。これを僕も過去の記事で紹介しています。
しかしこれは大きな誤解の上に立っていることをある方がネット上で指摘しました。地震調査研究推進本部が出した予測は2014年から今後30年間のことなのに、書きこまれたのは2016年の熊本地震以外は以前のものだという点です。
2014年時点での予測なのですからやはりこれは間違いです。僕もこの単純なミスに気が付かずにそのまま「地震予測が難しい」ことの証左として紹介してしまいました。この点を訂正し真摯にお詫びしたいと思います。


東洋経済online掲載の図 2014年以降の予測にそれ以前の地震を書きこんでいるのであやまり

地震予測図そのものはやはり大きく外れている!

それではこの2014年の予測図は信用があるのかというと、やはり僕にはそうは思えないし、その証左と言えるものもあります。 なぜならこの図は2005年に初めて作られたものを更新してきたものなのですが、その2005年版を見るならばやはりその後の多くの地震が「大きな地震の起きる確率の高い」とされた地域にほとんど入ってないことが分かるからです。 まずは以下の報告書をご覧ください。

「全国を概観した地震動予測地図」報告書 平成17年3月23日 地震調査研究推進本部 地震調査委員会 https://www.jishin.go.jp/evaluation/seismic_hazard_map/shm_report/shm_report_2005/

図3.3.1-1 今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率の分布図PDF https://jishin.go.jp/main/chousa/05mar_yosokuchizu/f331-1.pdf


2005年版の地震予測図 なお色が何%を示すかの記述はないが2014年版に近い色分けと考えてよいと考える

この図と東洋経済が近年の大地震を記した図を重ね合わせてみると、1993年北海道南西沖地震、1994年北海道東方沖地震、1995年阪神・淡路大震災、2004年新潟県中越地震などはやはり2005年版以前ですから除外すべきではあるものの、それ以外の地震がみな確率の低い地域で起こっていることが分かります。いやさらに続いた2018年の大阪北部地震も、北海道胆振東部地震も入っていませんし。
(なおこの報告書は現在アクセス数が多いためか非常に閲覧しにくい。すぐにパソコン画面が固まってしまいます。閲覧のときは注意してください)

地震の予知そのものがまだ始まったばかりの学問

この報告書を読んでこんなことも分かりました。冒頭にこう記されています。 「地震調査研究推進本部は、「地震調査研究の推進について-地震に関する観測、測量、調査及び研究の推進についての総合的かつ基本的な施策-」(平成11年4月23日)を決定し、この中において当面推進すべき地震調査研究の主要な課題として、全国を概観した地震動予測地図の作成を挙げている。」

つまり予測図の作成は平成11年=1999年に始まっており、最初の版がやっとできたのが平成17年=2005年であったということです。 それ以前は予測図など作ることもできていなかったのです。それほどに地震学は新しい学問なのです。 それでいま予知精度はあがったのかというとまったくあがっていない。「予知失敗は100回中99回」なのだそうです。

予知失敗、100回中99回 南海トラフ地震で学者回答 実用化の難しさ浮き彫り
日経新聞 2019年5月24日 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45208760U9A520C1CR0000/ 


日経新聞の記事から

防災に生煮えの地震学の知見を持ち込むのは危険

こうした点はこの発表以前から明らかになっていたことも踏まえて地震学を防災に持ち込むことそのものへの批判も行われています。
「(地震学は)大きな地震が起きるたびに、新しい知見が積み重なり続けている段階だ。生煮えの地震研究の成果は学問の範囲にとどめ、防災に持ち込むべきではない」という主張です。

防災に地震学の最新成果を持ち込むな 研究を役立たせることを優先させるより、住民視点での減災策からスタートせよ
黒沢大陸 朝日新聞大阪本社科学医療部長
論座 2017年9月22日
https://webronza.asahi.com/science/articles/2017091800001.html
(なお途中から有料記事になります)

予測はあまりに困難です。なのに予測を取り入れてしまうと、かえって予測に示されていないところでの油断や慢心が生まれやすい。そうではなくて地震はどこでも起こりうることを前提に対策を重ねるべきなのです。
その点では原発を動かし続けてはならないことはあまりに明白です。地震が来ないなどという保障はまったくないのです。
しかも元福井地裁裁判長の樋口英明さんが繰り返し指摘しているように、すべての原発がハウスメーカーが建てている家よりもはるかに耐震性が低いのです。それでこれ以上、動かしていていいはずがない!

地震はとてもではないけれど予測できません。
この前提にたってすべての災害対策を進めるべきです。 

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明日に向けて(1702)地震は突然やってくる!あなたの備えは大丈夫?

2019年06月18日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1501~1700)

守田です(20190619 01:30)

新潟県・山形県で震度6強・弱の地震発生!

6月18日22時22分ごろ、山形県沖で震度6強の地震がありました。震度6強が新潟県村上市、6弱が山形県鶴岡市と発表されています。山形県、新潟県、石川県各沿岸部に津波注意報が出ました。(19日午前1時過ぎにすべて解除)
これを書いている19日午前1時段階で数名のけがや土砂崩れの発生が入ってきていますが、いずれも命にかかわるような事態ではないようです。
事態がこのまま穏やかに推移すればと思いますが、ともあれ暗い夜のこと。心配が募ります。震源地の近隣のみなさま、どうか安全に過ごされてください。心からご無事をお祈りしています。

朝日新聞は名古屋大の鈴木康弘教授(変動地形学)の以下のコメントをすぐに掲載しました。「今後さらに大きな地震が起こる可能性は否定できない。数日間は警戒しておく必要がある」。
実際、2016年の熊本地震では1回目の大きな地震が4月14日夜に起こり、2回目のさらにとても大きな地震が4月16日に未明に起こりました。
このようなこともありうるので震源地に近いみなさんは十分に警戒していただきたいです。

新潟震度6強「数日間は警戒を」 未知の断層の可能性も
朝日新聞 2019年6月18日23時57分
https://digital.asahi.com/articles/ASM6L7SBYM6LULBJ02G.html?ref=yahoo


朝日新聞 20190619より

地震に逞しく備えよう!

世界的に見ても国内的に見ても、この間、大きな地震が連続しています。ぜひとも対策を重ねましょう。
とりあえずは家の中の安全性を増しましょう。高い所にある重いものを降ろし家具の固定を進めて下さい。テレビなども動かないようにした方が良いです。
食器棚なども開かないようにロックできるようにしましょう。

さらに大事なのは地震に対する見識を深めておくことですが、実はちょうどそのための企画を京都市左京区で21日に行う準備をしていました!
この企画をご紹介しますが、地震への関心の多くの方の関心が高まっている時に開催することになるので、可能ならば中継したいと思い、いま依頼を行っているところです。無理でも録画をアップできるようにしたいです。
お近くの方はぜひお越しください。遠方の方も可能なら中継を、無理でも事後に報告を行いますのでぜひご注目ください!

災害対策の輪を政治信条の違いを超えて広げていこう!

企画のタイトルは以下の如しです。案内の文も貼り付けます。

達人に聞くシリーズ3 「地質の達人から命の守り方を教わろう!京都の地質から見る地震 あなたの備えは大丈夫?
https://www.facebook.com/events/510275466177556/

私たちは、防災問題が政治信条の違いを超えて力をあわせ解決すべき重要問題と位置づけ、この間、各界の方にお話を聞いてきました。「達人に聞く」シリーズとして「森の達人」「川の達人」「防災の達人」に聞く会を開いてきました。
今回、地質が専門の紺谷氏をお迎えし、突然やってくる地震にどう備えるのか、お話をお聞きします。多くのみなさんの参加を呼びかけます。

6月21日(金) 午後6時30分~ 京都教育文化センター103号室

お話 紺谷 吉弘さん(国土問題研究所運営理事、宇治・城陽・久御山の防災を考える市民の会事務局長)
コーディネーター 守田敏也さん(ジャーナリスト)
主催 左京・まちの交流ひろば 世話人 守田敏也 蒔田直子 佐々木佳継 光永敦彦 
連絡先 075-706-7265

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明日に向けて(1701)川内原発が停められます!他の原発も次々と。当然、止まった方が良いけれどしかし・・・・

2019年06月16日 10時30分00秒 | 明日に向けて(1501~1700)

守田です(20190616 10:30)

九州電力川内原発1号機と2号機が来年3月18日、5月22日に止まる見通しとなりました。理由は「テロ対策が間に合わないからだ」と報道されています。 川内原発ばかりでなく、いま動いている他の7基、伊方、大飯、高浜も同じように期限が来たら止まる見通しです。 何はともあれ危険な原発が止まる見通してあるのはそうでないよりは良いことです。しかし、ここでもまた大嘘がまかり通っている。いつものことですがマスコミがこれときちんと報道していません。

原発が次々と止まる見通し

今回の原発の停止の見通しは新規制基準の中で設置を義務付けた「特定重大事故等対処施設」が期限までに建設ができないことを理由とするものです。 川内原発の期限はすでに見た通りですが、この他では伊方原発が期限が2021年3月で工事が約1年延びる見込み、同じく高浜3号機が期限が2020年8月で約1年、4号機が2020年10月で約1年、大飯3,4号機が2022年8月で約1年です。 すべての電力会社が「期限までには間に合わない」「これ以上の工期短縮は無理」と公言しているため、このスケジュールで止まっていく可能性が高いです。


日経新聞 2019年6月14日より

このことは電力会社にとって原発がますます大きな経営リスクとなっていることを意味します。 そもそもこの困難の上に、いつまたどこでどんな事故が起きるか分からない。小さな事故でも停まってしまえばその分赤字になります。経営判断として原発を抱えることのリスクがどんどん大きくなっているのは間違いない。 私たちはこれ自身が民衆運動の成果であることをしっかりと確認しておきましょう。私たちが金曜行動などで繰り返し原発反対を唱え続けているからこそ、原子力規制委員会も「期限切れなら停止」と言い出さざるをえないのです。

原発、テロ対策重く 川内原発が初の停止へ  残る再稼働6基に波及も 日経新聞 20190614
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46120630U9A610C1EA4000/

進んでいないのは「テロ対策」の前段の「重大事故対策」!騙されてはいけない!

しかし私たちはここに大きなウソが介在していることもしっかりと把握しておく必要があります。電力各社が「間に合わない」と言っているのは、「テロ対策」だけでなく、重大事故の際に放射能の飛散量を抑制するためのフィルターベント設置などなのです。 もう少し詳しく言うと、今回、規制委員会が新規制基準(2013年)から5年といい、その後工事計画の審査を終えてから5年と猶予を伸ばしてきたのは「特定重大事故等対処施設」と言われるものです。 メインは原子炉から100m以上は離れた場所に緊急制御室を設置するなど。ここに「フィルターベント」が組み込まれているのですが、それが「テロ対策施設」かのようにごまかされている点が大問題なのです。

規制委員会発行の「実用発電所原子炉に係る新規制基準について」という文章を見ても分かります。(特に6ページ) ここでは、かつては「共通要因による安全機能の喪失を防止(シビアアクシデントの防止)」までしかなかったが新規制基準では「万一シビアアクシデントが発生しても対処できる設備・手順の整理」を足したとされています。 その中に「格納容器の閉じ込め機能の維持」がありベントの設置が含まれ、その次にやっと「テロや航空機衝突への対応」として「原子炉建屋外設備が破損した場合等への対応」が出てきますが、現状ではこの重大事故対策もなされていないのです。

「実用発電所原子炉に係る新規制基準について」 原子力規制委員会 http://www.nsr.go.jp/data/000070101.pdf


「実用発電所原子炉に係る新規制基準について」6ページ

規制委員会は「重大事故対策」を「テロ対策」と偽ってきた!

規制委員会は本来、「テロ対策」ではなくて「重大事故対策」であるフィルターベント設置に、加圧水型原発に限って5年以上の猶予を与えました。 東電などの沸騰水型原発に比べて格納容器が大きくすぐには崩壊には至らないからだなどと説明されていますが、これもまったくの嘘。福島とタイプが違い、西日本に多い加圧水型なら批判は少なかろうと先に動かしたかったから猶予を与えたのです。 その際、沸騰水型では再稼働の条件である「重大事故対処施設」に組み込まれたフィルターベントの設置が、加圧水型では「特定重大事故等対処施設」に組み込まれ、全体として猶予が与えられたのでした。

ようするに新規制基準の大きな軸の一つがないまま稼働している事実を言い逃れるために「テロ対策」にフィルターベントを組み込んで、マスコミや人々を欺いたのです。 ところが資金難から電力会社がこれをも嫌がり、先延ばしにしていて、新規制基準が適用されていない状態が続いているので、先に「テロ対策の再度の延期は許さない」と言い出し、むしろ再度、それまでの猶予を確認したのが今回の真相です。 だとするならば、問題にしなければいけないのは、新規制基準を満たしていない稼働中の原発をすぐに停めることだということがすぐにも分かります。そもそも「期限」を付けてきたことの中にも偽りがあるのです。


九州電力ホームページより 「テロ対策」となっているのは⑮のみ!

原子力災害対策の早急な見直しが必要だ!

これは原子力災害対策にも直結する事態です。 規制委員会は「新基準によって事故で放出される放射能量は福島の時の100分の1以下になる」と公言し「事故に際しては5キロ以遠は自宅待機した方が安全」などとも言って、原子力防災を抑圧すらしてきたからです。 しかし実際にはそんな新規制基準など適用されてないのです。福島原発事故が起こった時とほとんど変わらないような状態でいま原発は動いているのです。

それなら最低でも福島原発と同レベル以上の放射能が流れることを前提とした原子力災害対策を全国で進めねばなりません。 兵庫県丹波篠山市はだからこそすでに市民に「いざというときはとっとと逃げて下さい」と伝え、安定ヨウ素剤を事前配布しましたが、これは兵庫県が旧規制基準で試算したところ、兵庫県の過半の都市に大量の放射性ヨウ素の飛来が分かったからです。 ところがこの試算結果を兵庫県はHPから削除してしまいました。理由は「新規制基準ではそこまで飛ばないから」というのです。しかしそんな基準、適用なんかされていないのです。だから兵庫県もせめて旧規制基準対応にあらためるべきです。

もちろんそんな事故など起こさせないのが良いに決まっています。国がなすべきことは新規制基準など適用されていない現状をかんがみて、ただちにすべての原発を停めることです。 あくまでもみんなでこれをも止め続けなくてはなりません。しかしそれでも稼働しているので災害対策を進めなければならない。そのときに新規制基準の考え方など絶対にとってはいけない。だって適用されていないのですから。 それらから国に対しては全原発をすぐに停めよ!と突きつけましょう。同時に各自治体には「新規制基準は適用されていません。旧規制基準に対応する原子力災害対策を策定してください」と要請していきましょう。

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明日に向けて(1700)「しえんほうシネマ」でお話します。被曝のこと、命を守ること、未来のこと 思いつくままに・・・(6月16日日曜日 吹田市モモの家にて)

2019年06月13日 10時30分00秒 | 明日に向けて(1501~1700)

守田です(20190613 10:30)

表題に書いたように6月16日日曜日に吹田市「モモの家」で行われる「しえんほう」シネマに参加します。
すでに4日と11日ラジオ出演していただいて内容の一部を話しました。
そうしたらパーソナリティーで16日も一緒に担う池田麻矢さんが素敵な紹介をフェイスブックに書いてくださったので案内がてらそれをご紹介させていただきます。 みなさま。ぜひお越しください!!

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池田麻矢さんより

昨日放送のラジオで守田 敏也 (Toshiya Morita)さんと貴史 冨田 (Takafumi Tomita)さんからご紹介のあった『しえんほうシネマ』のイベントページです。 しえんほうとは…2012年6月に全国会議員の賛成を受けて制定された「原発事故子ども・被災者支援法」のこと。

今回は、降り注いできた放射能と向き合い市民測定所を立ち上げたり、被ばくと向き合う親子を支える取り組む人たちを描いた、鎌仲ひとみさんの映像上映と、保養活動に関わる冨田タカさんのお話、それぞれの現場を知る守田敏也さんのお話、そして会場に集ま

るみんなで話し合う時間をとります。美味しくてやさしいカフェや、安全安心なお野菜販売もあります。 私は放射能のことまだよく知らない(これから勉強していきます)という立ち位置から”みんなで話そう”コーナーのお手伝いさせてもらいます。なので、福島のこと、放射能のことまだよく知らないという方も気軽にのぞきに来てみてください。大歓迎です♡

直接被ばくの体験ありなしに関わらず、”命を健やかに先の世代につないでいくため”に、現実を共有し手を取り合うことがいままさに必須だと感じます。 知って考えて話し合ってつながりあって、「支援法」の法律に書かれているすばらしき”支援”を私たちひとりひとりの手で現実にしていきましょう!!! たくさんの人に知ってもらいたいので、イベントページのシェアや拡散での応援ありがたしです〜。

麻矢さん、タカさんと愉快な収録でした・・・

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● 『第一回 しえんほうシネマ』のご案内 ・・・モモの家にて https://www.facebook.com/events/392619308008066/

「しえんほう」とは、 2012年6月に全国会議員の賛成を受けて制定された 「原発事故子ども・被災者支援法」のことです。

ここに書かれている 「すべての原発事故被災者が十分な支援を受けられる状況づくり」を みなで現実のものにしていくために、知って、考えて、話をすることができる場として「しえんほうシネマ」というイベントをはじめることにしました。

今回は、 降り注いできた放射能と向き合い市民測定所を立ち上げたり、 被ばくと向き合う親子を支える取り組みを続ける人たちを描いた、 鎌仲ひとみさんによる映像の上映と、 それぞれの現場を知る守田敏也さんのお話、 そして会場に集まるみなさんとゆっくり語らう時間をとりたいと思います。 おいしくてやさしいカフェや、安全安心なお野菜の販売もあります。 お気軽にご参加ください。

□会場   モモの家
吹田市泉町5-1-18 (阪急吹田駅から歩いて5分 JR吹田駅から歩いて12分)
06-6337-8330 office@momo-family.org

□参加費 2000円+カンパ 学生以下 無料 福島第一原発事故からの避難者さん 1000円 (カンパは「しえんほうシネマ」の運営費になります)

□お問い合わせ・お申込み先 まつむらしほ
メール sihomura@gmail.com
電話  080-1522-9817
※お申込みがなくても、参加できます。

□タイムテーブル

12:00 オープン(カフェタイム) 13:00~13:15 あいさつ  13:15~13:30 「カマレポno.10」上映(12分) 13:30~14:00 冨田貴史のお話  「つながりあって生きていく~保養活動に関わって思うこと~」 14:00~14:30 みんなで話そう 14:30~14:45 休憩 14:45~15:00 「カマレポno.9」上映(11分)

15:00~15:30 守田俊也さんのお話 「守田さん、俺らここに住んで農業やってて良いだべか」 あの日、石森少年や自然農、有機農、炭焼の方たちがそう僕に聞いた‥。 「守田さん、危険なのはどこまでですか?ここはギリギリ大丈夫?」 あの日、被曝地の若いお母さんが僕にそう聞いた‥。

15:30~16:00 みんなで話そう 16:00~16:30 お知らせ~クロージング

■上映作品案内

□カマレポ 鎌仲ひとみさんによる映像レポート。 今回はDVD「カノンだよりvol.03」から2本の映像を上映します。 http://kamanaka.com/works/

□「カマレポno.10」 ~ 市民の思いと力 新潟県阿賀野市で年2回行われている"いのちキラキラ希望の風フェスタin笹神"。このイベントは、親子で受診出来る甲状腺検査などがプログラムに組み込まれた、1泊2日の保養イベント。ストレスを抱えた母子達を支える市民の思い。そして、今の子ども達の健康は!?

□カマレポno.9 ~ 「小さき花」が広がるように!  宮城県仙台市にある「小さき花 市民測定室」。山の惠みを受けながら、豊かな暮らしをしてきた百姓の石森さん。放射能に県境は無く、福島県外の農家の暮らしを一変させた。

□出店

・へちまやカフェ モモの家のメインカフェ。 安全な食材使用の自家製ケーキやドリンクを提供します。

・野菜屋はじめ ミネラルたっぷり元気いっぱいのお野菜とつながりの加工品

□守田敏也 〇1959 年生まれ。京都市在住。
〇東日本大震災以降は、連日、ブログ「明日に向けて」で原発情報を発信。 各地で講演を繰り返しつつ、放射線被曝の恐ろしさを明らかにし防護を訴えている。
〇兵庫県篠山市原子力災害対策検討委員会委員を 2012 年秋より務め、原発災害対策に重点を置き、リアリティのある避難計画を作成しつつ篠山市で度々講演。 また消防団との連携を強め団員約 1200 人に原子力災害対策の講演を行ってきた。 2016 年 1 月末より同市の安定ヨウ素剤事前配布にも関わり、2017 年には原子力防災ハンドブックも作成。
〇チェルノブイリと福島の問題で海外との連携の強化を 2014 年より始めドイツ・フランス・ベラルーシ・トルコ・ポーランド・台湾で講演。 日本からの原発輸出予定地トルコ・シノップへは 4 回訪問。 各地で講演を行い多数のトルコメディアに取り上げられている。 台湾でも原発からの避難訓練について考察したドキュメント映画に出演。 2017 年夏より国際組織の Nuclear heritage network に参加しさらに国際連帯の輪を広げている。
〇著作として矢ヶ﨑克馬琉球大学名誉教授との共著『内部被曝』(岩波ブックレット)、被爆医師肥田舜太郎さんインタビュー「放射能との共存時代を前向きに生きる」(『世界』2011 年 9 月号)、原発災害対策を述べた『原発からの命の守り方』(海象社)がある。

[blog] http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011
[website] http://toshikyoto.com/
[twitter] https://twitter.com/toshikyoto
[facebook] https://www.facebook.com/toshiya.morita.90

□冨田貴史 大阪中津にて養生のための衣食(茜染め、麻褌、味噌、鉄火味噌など)を自給する冨貴工房を営みながら、各地で ワークショップを開催している。
ワークショップのテーマは暦、養生、手仕事など。 保養プロジェクト「海旅Camp」共同代表。2016年からは新潟で行われている保養イベント「風フェス」の運営に関わっている。
著書『わたしにつながるいのちのために』(2006年/自主出版)『春夏秋冬 土用で暮らす』(2016年/主婦と生活社・共著)『いのちとみそ』(2018年 / 冨貴書房)など

□「しえんほう」とは? 2012年6月21日に、すべての国会議員が賛成して成立した「原発事故子ども・被災者支援法」のこと。 福島原発事故によりたくさんの放射能が広い地域に降り注いでしまった中で、「 被災者一人一人が、もともと住んでいた場所でそのまま暮らすことも、他の地域へ移住することも、帰還することも、自由に決めることができ、どのような選択しても、その暮らしを支援する」ことが決められました。 「しえんほうシネマ」は、この法律に書かれている支援を、私達ひとりひとりの手で現実にしていけるようにという思いを込めて開催します。

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明日に向けて(1699)政治をみんなで変えるときが来た!そんな選挙を大いに楽しもう(倉林さんインタビュー4)

2019年06月10日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1501~1700)

守田です(20190610 23:30)

倉林明子さんインタビューの4回目、最終回をお届けします。
今回は参議院選に向けて政策合意と候補者一本化に漕ぎ着けた市民と野党の共闘の意義、そのもとでみんなで担う選挙の位置について話していただきました。
選挙をみんなで大いに楽しみましょう!


「みんなで作る未来を考えよう」と呼びかける倉林さん2019年5月19日(事務所開きにて) 2019年5月19日(HPより)

安倍政治を倒した後を考えよう!市民が主体の政権を作ろう!

守田
この間の京都での日本共産党・倉林事務所開所式のときの倉林さんの挨拶動画、僕がSNSにアップしたらもう1000回以上、再生されていてね。
というのは、多くの人が指摘するように安倍政権はひどすぎるよね。でもそれはその通りなのだけれども、安倍首相がいかにひどいかを繰り返しても、もうずっと続いているから人々はちょっと食傷気味でもあるのね。
それに対して倉林さんは「安倍政権を倒した後の政権を考えましょう」と言いましたよね。「原発ゼロの政権をみんなで」とか。あれ、僕はいいなあと思って。それですぐにアップしたらけっこう再生してもらえて。

事務所開きでの倉林さんの挨拶 2019年5月19日 守田敏也Facebookタイムラインより https://www.facebook.com/toshiya.morita.90/videos/pcb.10216444677927821/10216444658607338/?type=3&theater

倉林
だってね、「もう悪口はいいんだ、みんな分かってるんだ」という声って確かにあるわけよね。でも運動の側には「怒りをエネルギーに」というスタイルが染みついてもいるじゃないですか。だから叩き倒して「あれはダメだ」って言う。
もちろんそういう怒りを広げることを否定しているわけではないのだけど、でも「いまは実はもうそういうときじゃないんじゃないの」と言いたかったのね。
安倍さん実はここまでボロボロになっている。それに対して今回の参院選、政策では初めて本気の合意のもとにたたかう選挙になるわけじゃないですか。
これまでだったら選挙区で一本化して、政策で一致できなくても「候補を降ろします」というやり方だったでしょう。ところが今回は政策合意がある。これってあの希望の党ができたときに直前まで行っていたことですよね。

守田
そうだよねえ。というかあのとき、市民と野党の共闘をつぶすために希望の党が作られたとも言えるよね。

倉林
そうそう。だからできなかった。政策合意が反故になっちゃって。だからあの時も共産党から見れば候補を降ろすだけの選挙になってしまったわけですよ。政策を前に進める担保はなかったけれども一緒にやるという形だったじゃないですか。
でも今度は来週には政策合意が出るんですよ。それぞれ党首が署名するんですよ。

守田
~拍手~

倉林
新しい段階、フェーズが変わるんですよ!

守田
すごいすごい!

倉林
市民連合が作り上げて、それに対してそれぞれの党が修正を加えて「最低限これだけは一致できるよね」という項目が八つぐらい。それがまとまるんですよ。
(守田注: 2019年5月29日に「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」提案の13項目に「立憲民主党」「国民民主党」「日本共産党」「社会民主党」「社会保障を立て直す国民会議」のそれぞれの代表が署名し正式に成立!詳しくは以下を参照))

明日に向けて(1695)だれもが自分らしく暮らせる明日へ(参院選に向けて市民連合の要望書に5野党・会派が署名!) https://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/04c5a48a81faa98d4cbcd7af5a25166e https://toshikyoto.com/press/3281


調印後にみんなで撮影 2019年5月29日 (しんぶん赤旗より)

守田
画期的だ。

倉林
そうなの。

守田
その点ではね、僕が今回の統一地方選で日本共産党をバリバリに応援した最大の理由は、前回、ああいう状況の中で共産党が候補を降ろしたからなんだよね。それで結果的に10名も議員を失ってしまったわけでしょう。

倉林
まあね。辛いわあ!

守田
本当にあの段階でね、さっきも触れたようにいったん成立した共闘がつぶされてしまったけれど、それに対して共産党や市民の努力でギリギリで共闘の線が守られたわけじゃない?
とくに共産党にとってはものすごく痛い、身を切る感じになりながらね。だから僕は「これは今回は自分事として共産党を勝たせないと」と思ったわけね。

倉林
うんうん。そうやってみんなの努力で新しい段階にいたって、それで初めてやれるのが今度の参議院選挙なわけね。そのことは衆議院の解散になればよりはっきりするわけですよ。
みんなで築き上げた政策を実現する政権を作れる、本当にワンステップ違う領域に入れる。とくに市民が作った政策に合意するという形になることが素晴らしくて。市民がみんなで作った政策を共通政策にできるわけですよ。主体が変わるんですよ!

守田
うんうんうん。

倉林
政党が「これどうですか?」じゃないわけ!市民が声をあげて、原発のことなんか本当にそうだったけれども、声を上げ続けて、上げ続けて、政党が変わって、はっきりと「原発NO!」と言うように変わったじゃないですか。
だから主体は本当にようやく市民になるんですよ。

守田
素晴らしい!すごく!

倉林
そういう選挙なんですよ!今度は!だから「安倍政権を倒したあとの希望をみんなで語ろう」「そういう選挙になるよ」と言いたかったわけ。

守田
なるほどなるほど!これはもうかなり良い話が聞けたな。

倉林
ほんまに?(笑)

看護師としてチームで働いた経験が生きている

守田
それでね、もう少し倉林さんの人となりを紹介するために聞きたいのだけれど、やはり倉林さんがもともとナースをやっていて職業的な経験を積み上げてきたことが、こうやって人をつなぐために生きているのではないかと思うのだけれど。


ナースとして「診療報酬の改善」や「賃金の大幅アップ」を求めて奮闘していた倉林さん(HPより)

倉林
そりゃそうよ!ナースは転職だと思っていたのだけれど、そう思ったのはもちろん患者さんが喜んでくれるということがあるよね。そこに面白さがあるのだけれど、これをみんなでやるからより面白いんですよ。1人じゃ絶対にできない。
1人のエリート看護師がいても、その集団全体が同じ看護計画、プランを貫いていかないと看護が成り立たない。いい看護をしようと思ったらいい仲間にならんとあかんのです。
それで仲間の水準をみんなで常々維持し、あげようとしていかないといい集団にならないんですよ。でもそれでいい集団を作れたら最高にもう、ほら、気持ち一つにね、その患者さんへのアプローチができたりして、もう泣けるぐらい嬉しかった。

守田
ほおおおお。

倉林
おほほほほほほ。
だから本当になんて言うのかな。みんなで集団を高めていくことが結果としていい仕事につながるんだなあということが分かって、だから労働組合も必死になってやってたしね。
それに看護の現場にはいろいろな世代の看護師がいるし、子育て中だったり親の介護を抱えていたり、そうやって多様な人を抱えていた方が多面的に患者さんを捉えることができるわけ。
若い人ばっかりだったらやっぱり理解力にも想像力にも限界があるじゃないですか。それがすっごく楽しかった。天職だなあと思ったのはそれが私自身の喜びになっていたから。どっちかというと集団作りが好きだったな。

守田
そうかあ。だから議員になってもいろいろな人に対応できるわけだね。ナースはどんな人に対してもまずどうして苦しんでいるか察知してあげるわけだものね。

倉林
そうなのよ~。仲間内でもそうで、できる人、できない人、デコボコしていてもいい。それでもみんなで・・・。

守田
カバーリングしあって・・・。

倉林
うん。いやカバーリングというよりももっとお互いが考えながら、なんというか・・・。

守田
ハーモニーを奏でるような。

倉林
そうそうそう。そういう感じ。そこが面白い。だから「みんな」って面白いなと思って。人が好きなんだな。基本的に。

守田
それは僕もそうだよ。(笑)

倉林
それで例えばね根本厚労大臣とか、答弁がひどいんだけどさ、「勉強する時間がないんやろうな」とかついつい思うもんね。ぼろくそ言われているけれど。
もうちょっと、答弁書を読むだけではなくて背景とか、これは違うんちゃうかとか考えればいいのになあとか思うわけね。あ、もうこれ、看護の精神やな。

守田
わはははは。いや、僕はそれがすごく大事だと思うのね。その場では政治的に対立もするわけだけれど、そういう人間的な思いは通じるじゃない。
だから麻生さんがね、中小企業の事業者が消費税納付の延長が申請できることを倉林さんが議会で取り上げたときに、素直に謝ったけれど、それもそういうところを感じていたからなんじゃないかな。
あの人、やはりけんかはうまくて「これは謝った方がいい」と即座に判断したのでしょう。


麻生大臣が素直に謝罪(倉林明子プロモーションビデオより)

倉林
いやそこはね、実際に知らなかったと思うんですよ。だって知らせる通知はもう作っていたのだもの。それが現場でちゃんと窓口においてないことを初めて知って。

守田
それで引き下がったわけだ。でもあれはある意味、あの酷いこと連発の麻生さんでもやるべきことをやるときもあるじゃんとなって、ちょっとは彼の得点にもなったよね。

倉林
まあねえ。

守田
でも僕はそれでいいと思うんだよ。

倉林
そうそう。いいことをやったらほめんとね。

守田
なんというか。人をいい方向に持って行くと言うか。猛獣使いのようなというか。

倉林
わはははは。

「あなたなんだ!政治を変える主体は!」

守田
いやいや今日は美味しい話がいっぱい聞けました。これを記事にして参議院のリアリティや倉林さんがはたしている役割をきちんと伝えます。
さっきも話したように「議会で共産党の議席を一つ維持したって力にならないんじゃない」とか思ってしまう人に、人々の声を届ける意義や議事録に残すことの大切さを伝えたいな。

倉林
世論が国会に届くと、与野党を問わず議員を説得することになるわけですよ。私が国会に入る前は、経済産業委員会には9年間、共産党の議員がいなくてあまり討論がされてなかった。
そこに私が入ったことで世論が持ち込まれたわけですよ。「原発ゼロ、消費税増税はダメだ」とね。私が議席をもって委員会に入ったことで世論が持ち込めたという実感がすごくあるんですよ。
そうすると世論をみんな正面から聞いているわけだから、だんだん私の発言に拍手したりとかさ、そういうことになるわけですよ。


 国会前に集まった人々に向けてアピールする倉林さん(HPより)

守田
それいいなあ。面白い!

倉林
消費税ももっと早く10%にあげようとしていたのに2回も延期したじゃないですか。そういうときにも「凍結しろ」とか「延期しかない」とか言うようになるわけ。世論を国会の中で可視化させてまっすぐ届けることはそれだけ大きいことなのですよ。
私も世論の力ってきちんと届けたら「ああ、こういう変化を起こせるのか」と分かって「もっと届けよう」と思ってきたわけ。

守田
素晴らしい。

倉林
それらからすると、この間、原発ゼロ法案が出てくるとか、隔世の感があるなあ。私は直接に係ったわけではないのだけれど、まさに世論が届いて国会議員を変え、動かしてきた。そういうことなんだあとあらためて実感できて。


立憲民主、共産、自由、社民の4党で「原発ゼロ基本法案」を提出 2018年3月9日(YouTubeより)

守田
倉林さんはそうやって「下からの民主主義が国会に影響を与えている」ことから話をしてくれるよね。だから一人でも民衆の側にたつ国会議員がいることに意義があるとね。すごく共感するなあ。 その上に、さっきいまは「もう主体が違う」って言ってたじゃない。政党が「こうだ」と言ったことに集まるのではなくて、「われわれ」が主人公で政策を作っているとね。

倉林
本当にそうなの。そこでね、「主体の力」をみなさんに実感して欲しいと思うわけよ。「あなたたちがいま、政党を動かしているし、あなたたちの声はいま政策で野党をまとめた」と言いたい。

守田
ああいい、それいい。

倉林
「あなたたちの声が政治を作る時代になるんですよ!」「この構造変化の中で主人公として声を上げたらそれが生きる時代になるよ」って伝えたい。

守田
それ「ラディカル・デモクラシー」と僕は呼んでいるんですよ。「どういう政権がその座についていようとも民衆がその政権を規定している状態」ということなんだよね。

倉林
そう!本当にね。そもそもこれまで安倍政権がさんざん民主主義を壊してひどいことをやってきたわけだけれど、それで逆に民主主義が育ってきたじゃないですか。

守田
そうそう。成熟してきた。

倉林
そう。成熟してきた!「政党に言われて動くんじゃない、僕たち、私たちがこうしたいんだ。それに政党は力を合わせてやってくれ」という声があってそれで政党が手をつないだ。本当に戦後の民主主義の大きな転換点が今なんですよ。

守田
素晴らしい!そこだあ。

倉林
やったあ(笑)

守田
そこを一緒に作ろうと。今度の選挙で。

倉林
だから私が行く、行かんという範疇を越えてね、「こういうチャンスに今あるんだよ」と言いたいわけ。だってさんざん諦めさせられてきたじゃないですか。政治に。何を言ってもしょうがないと。野党が政権獲ってもダメだったと。

守田
そうそうそう。

倉林
そういう閉塞感をみんなで越えて作った野党のまとまりは、いったんつぶれかかったけれどもいま再生して、新たな政策の一致での選挙まできたわけだからね。過半数割れに追い込むまではまだ一歩あるかもしれないけれど、政権を変えることが現実のものになりつつある。

守田
すごい。これ、みんな元気が出るわ。というかここで元気をださないとね。 日本の多くの人はまじめすぎてあんまり自分を誉めることをしないけど、でも与党があれだけ議席を獲っているのに原発だってそんなに動かせてないわけでね。今でも民衆の反原発運動が政府を規制している。

倉林
そうそう。憲法だってけっきょく変えられないじゃないですか。三分の二をとってこのザマ。そこに民主主義の水準がある。どっこい力があるんだ、みんなに。それが新たな段階を迎えている。 だから「楽しい選挙にしよう」と言っているのですよ。実際、こんなに楽しいことない。

守田
潮目が大きく変わろうとしている。本当に民衆が主人公で、下から政権に影響を与えられる流れが始まりつつある。

倉林
だから「共産党さん、よろしくお願いします」ではなくてね。

守田
ああいい、いい。倉林さん、そこがいい!「だから一緒にやろう!」だよね。

倉林
そう。だから私は言いたい。「あなたなんだ!政治を変える主体は」「私たちが代弁者になって国会にあなたの声を届けあなたの願いを実現するから」と。

守田
かっこいい!

倉林
やったあ(爆笑)

守田
ぜひみんなで一緒に勝ちにいきましょう!

倉林
そう。本当にみんなでね。それが楽しいのよ。

守田
今日はありがとうございました!

倉林
こちらこそ!

連載終わり

    みんなで未来を作る選挙を大いに楽しもう!

コメント

明日に向けて(1698)政治をみんなで変えるときが来た!そんな選挙を大いに楽しもう(倉林さんインタビュー3)

2019年06月09日 22時00分00秒 | 明日に向けて(1501~1700)

守田です(20190609 22:00)

倉林明子さんインタビューの第3回目をお届けします。今回は国会論戦の時の大事なポイントは何かという点にフォーカスしました。


京都の企画「JCP with you」であかたちかこさんと守田で倉林・井上両議員を囲みました 2019年5月26日 

障害者福祉切り捨ての前に立ちはだかって

守田
他にはどんなケースで国民・住民を守ってきたのだろう。

倉林
今期で言うとね。といっても前期からの続きなのだけれど、障害者の施策をめぐる法が相当に改悪されているんだわ。介護保険に合わそうということで。それで「障害者報酬」のことなどを聴き取りしてきたわけね。
障害者サービス提供は公定価格があって報酬単価が決められていてそれが施設や事業所に入る仕組みになっているわけ。病院に診療報酬があるのと同じで事業に対して出ているものなのですよ。「障害者何人あたりこのサービスならなんぼ」という形で。
それが改定されたことによって施設がやっていけなくなっているわけ。(守田注:正式には「障害福祉サービス等報酬」。医療も介護・福祉も市場経済に任さず国がそれぞれの行為への報酬額を決めて繰り返し改定している)。

守田
あ、それよく分かる。予算カットだよね。

倉林
障害・介護・医療のトリプル改悪だったんですよ。2018年から今年は。

守田
僕は経済学者ですでに亡くなられた宇澤弘文先生の研究センターにいたことがあって、先生が「社会的共通資本としての医療」に強い関心を持っておられたので一緒に研究していたのね。
あのころは2年に一回改定される診療報酬をそのたびに読んでいたけど、毎回読みこんでいないと分からなくなってしまう。あれで医療現場がコントロールされているわけだけど、ちゃっちゃか変えられてそのたびに現場が右往左往しているんだよね。

倉林
そう。ちゃっちゃか変えられる。しかもいまね、担当者たちが考えているのは、介護でさんざん予算カットしてきたことに福祉を合わせようということなのね。その矛盾が一番出たのが福祉の施設や事業所だったわけ。
とくに矛盾が集中したのが就労施設。就労支援A型、B型ってあったでしょう?

守田
はいはい。(守田注:就労継続支援A型は、障害や難病のある人が雇用契約を結んで一定の支援がある職場で働くことができる福祉サービス。 就労継続支援B型とは、障害や難病のある人で、年齢や体力などから企業等で雇用契約を結んで働くことが困難な人が、軽作業などの就労訓練を行うことができる福祉サービス)

倉林
A型に営利型企業が参入して、破たんして、障害者を放り出してということが全国で起こって、A型の方はそれで「障害者福祉を利用して悪いことをするものがいる」ということになって対応がなされたのだけれど、逆にB型でまじめにやっているところが食べられなくなっちゃんたんですよ。報酬改定で。

守田
ひどい話だなあ。

倉林
そうなんですよ。まじめにやっているのに施設運営が困難になった。あれは加藤大臣のときに一回質問をやってそのときは障害者の事業所を運営している人たちから本当に喜んでもらえて。

守田
改定を止めてくれたということで?

倉林
いや、何にも止めてないんやで。なんだけど声を、実体を国会に届けてくれたことで喜んでくれた。あとは働き方改革やね。それから年金の改悪。大きい改悪で国会をたくさんの人が包囲してね。 そういう闘いの中で結局悪法は通るじゃないですか。でも終わった後に「本当によく代弁してくれた」「声を届けてくれてありがとう」とかさ。


水道「民営化」との対決など命と人権を守りぬく様々な活動を報告 2019年2月(HPより)

みんなの意見を国会に反映させ議事録に書きこませることがとても大事

守田
たとえ悪法が通ってしまっても、そういう声がちゃんと出せたと言うことで?その場合、条文を削ったりはできるの?一つの法案が通されようとしているときにせめてこの部分は認めないとか。

倉林
それは修正ですね。今、衆院で審議されている「児童虐待防止法」、あれは修文成立ということで合意になったよね。政府が出した法律案があって、野党が対案を出して、すり合わせをやって、野党のものを一部盛り込んで法案がまとまったケースもある。
でも少ないのね。対案とか修正案とか、野党が出すことはあるのだけれど、それで書き換えまでいくというのはなかなか。

守田
なるほどね。数の論理では通されてしまうわけだね。その通されてしまうときに、問題点を明らかにし、当事者の声を反映させ、そのことが少しでもマスコミに流れるようにすることが大事なのかな。

倉林
それもあるけど、やはり国会の議事録に残すと言うことがすごく大切で。次の議論、必ず次の「改正」のときが来るじゃないですか。そのときにどんな議論があったのかがすごく大事なんですよ。
この前もうちの吉良よし子議員が50年前の文部省と共産党のやりとりで「こう答弁しているじゃないか」と議事録を活用してね。

守田
なるほど!そうかあ。すごいなあ。50年前の方と出会ったわけですね。

倉林
そんなこともあるぐらいで、議事録にどんな答弁をしたのかを積んでおくと、その時は通されても、歴史の中で検証することが可能になるわけ。

守田
なるほど!いやいやこういうことをみんなにもっと伝えなければだな!だって今の数の論理では通されちゃうじゃない?多くのものが。

倉林
そう、でもけしてそれだけでは終わらない。先々に生きる議論を積み上げておく。「国会でこんな議論があったのに通したのか」と残すわけね。あるいはこういう問題点について「政府はこういう見解を言っていた」と。
その答弁は踏襲されるんですよ。必ず。だから議事録にどういう議論を残せるのか。何を言わせるか。どこまで問題点を引っ張りだせるか。そこが勝負なの。

守田
すごいね。その中には50年後に生きるものすらあるかもしれない。

倉林
いまは議事録検索ができるようになったからね。どんな議論がなされてきたのかを前よりも調べやすい。今後はもっと活用されるでしょう。


 昨年7月豪雨の際、氾濫寸前の京都の桂川を右京区の共産党府会市会議員とともに視察。こうした調査が論戦の力の源

守田
なるほど本当にここが大事だな。やっぱり国会って外から見ているだけではなかなか分かりにくい。それで「共産党の議員が少し増えたって多数決でやられちゃうんでしょう?」とも思われてもしまうわけね。でもたとえ絶対多数を握られていても・・・。

倉林
反対している国会議員に大きな値打ちがある!

守田
そう。だからそういう議員を一人でも増やすことに、絶対多数をすぐに覆せなくても大きな意義があるわけだね。そのことをもっと広めなくちゃだ。

常に与党になることを意識してきた

守田
なるほどねえ。その場合、答弁に説得力を持たせる点で、京都の共産党の人で倉林さんをよく知る人からこう聞いたのね。
「倉林さんはいつも自分が政権をとったらどうなるのかと考えて発言している。だから反対に説得力がある。いわゆるなんでも反対ではまったくない」と。

倉林
そうですよ!だってね、市会議員時代は幹事長もしていたじゃないですか。それでいつも4年ごとに市長に私たちが信頼する人を推し上げて、政権を獲るつもりでたたかっていたわけですよ。いつでも政権与党にならなくてはと思っていたんですよ。

守田
なるほど。素晴らしい。

倉林
だから行政マンを敵にしてはダメなんですよ。

守田
うーん、そこ。そこですよ。うん。そこそこ(笑)

倉林
いまは市長に言われるから本当は嫌なことでもやっている。ね?でも地方公務員だったらやっぱり市民のためにと思って仕事している。市民に喜んでもらえたら嬉しいんですよ。市民とも直接触れ合うし。
基本的には市民が喜ぶことをしたいんですよ、公務員は。じゃあそのために何ができるのかということで持ち込む。

守田
はいはい。

倉林
だからある意味「あなたの仕事がしやすくなるように応援しているんだ」というスタンスでね。「邪魔をしているのは誰だ」みたいな。

守田
うはははは。すごく良く分かるな。僕が各地の行政の方と原子力災害対策を一緒にやっているときにもそこを大切にするものな。

倉林
だから私、市会議員を辞めてから市役所の幹部のOBの人たちがよく声をかけてくれるんですよ。それも元建設局の方が多いんです。道路建設なんかを担当していた部局でね。
何故かと言うとさんざん議論を重ねて高速道路建設を止めさせたじゃないですか。5本計画があったうち3本は諦めさせた。でもそのときの議論を彼らはきちんと納得してくれていたんですよね。

 
京都の仲間と共に(HPより)

守田
わああ。

倉林
「これは作ったらダメ」「作るのはよくない」とね。そういう議論の中で信頼関係が作れてね。議論の筋を通すこと、道理を踏まえること、そして市民のためにというスタンスを守ることで積み上げてきた信頼関係があるんと違うかな。
だから常に与党になることを意識するというスタンスは私の中に確かにあるな。行政の方たちって明日から仕事を一緒にする仲間じゃないですか。こちらの推す人が市長に通ったら。

守田
その通りです。

倉林
本当のところどういうことをやりたいと思っているのか、どういう考え方で市政に関わりたいのかを心を尽くして話すようにしていたのね。だから「いつ変わっても大丈夫!」という感じでね。

守田
それ本当に大事だよねえ。でも市民運動でも行政交渉となるとしばしば詰問調で責めがちになってしまう。
もちろん時にはそれも必要なのだけれど、でも行政を問い詰めても、多くの場合、前面に出てくる現場の人たちには決定権がない。首長や議会が決めたことをやらざるをえないわけでね。

倉林
わかります。それよくある(笑)。私自身、本当に変わったのはやっぱり本気で私たちが推す市長を登場させよう思ってからよね。それで政権を担う側になった後のことを想像できるようになってからだな。

続く

京都市円山野外音楽堂での集会に参加する倉林さん(HPより)

コメント

明日に向けて(1697)政治をみんなで変えるときが来た!そんな選挙を大いに楽しもう(倉林さんインタビュー2)

2019年06月08日 23時00分00秒 | 明日に向けて(1501~1700)

守田です(20190608 23:00)

前回に続いて倉林さんインタビュー記事をお届けします。今回は参議院での論戦をよりリアルに知っていただくために、精神保健福祉法「改正」をめぐる攻防をお伝えします。

倉林明子さん(HPより)

人権を守るために大奮闘

倉林
そういえば少し前に「精神保健福祉法」の改正法案というのがあって大揺れしたんですよ。(守田注:正式名称は「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」)
法案を審議するときには、普通、その主旨が説明されるわけですよ。「こういう目的で改正案を作りました」というのがあるわけ。それをね、審議中のあるとき官僚が書き換えて議員会館に持ってきた。
立法目的が途中で変わったんです。ちょっとにわかに信じがたいでしょう?

守田
審議している途中で目的が変わる?

倉林
そうそうそう。その信じがたいことが起こったのがこの事件だったのですよ。朝早く議員たちが来る前に部屋に投函してまわった。私は朝が早いから気が付いたのだけれどね。
でもどうするつもりだったんだと思うね。立法趣旨が途中で変わるなんてひどすぎる。「出し直せ」と言うことじゃないですか。

守田
途中で話が変わるということだものね。それが「これじゃあ通らないぞ」ということで。

倉林
審議の中で気が付いたのでしょう。「津久井やまゆり園」の事件があったでしょう?あれが立法の根拠だったのですよ。

守田
すごく大きな話ですね。

倉林
そう。しかも安倍さんの一言で。

守田
実質的にはどういうことだったの?

倉林
いまの精神保健福祉法で強制的に入院させることができるわけね。「措置入院」というわけだけれど、津久井やまゆり園の事件の犯人の植松氏は措置入院をしていた経験があったのですよ。その後に退院して事件を起こした。
そこに注目して「措置入院を一旦したものには警察が関わって監視ができるようにする」というものでね。

守田
わあ。考え方が最悪だね。障害者抹殺につながっていきかねない。

倉林
そうなんですよ。ぞーっとするでしょう。恐ろしい法律ですよ。

守田
ナチスがちらっと見える。  


くらし・営業・福祉を守った国会レポート 2017年7月(HPより)

倉林
そうそう。ざっくりいうと「措置入院患者に警察が関与して悪いことをしないように退院しても監視できる法律を作れ」と言うことだったわけ。あの事件をきっかけに「精神保健福祉法」を見直せと言う指示がなされて出されてきたのですよ。

守田
なるほど。じゃあ障害者団体の方たちなどが注目していたわけだ。

倉林
それはもうすごく。これは大変なことになると。

守田
こんなことがまかり通れば障害者の人権が大きく切り縮められてしまう。

倉林
そうなの。そうなの。ただでさえ、精神科の入院施設の人権侵害が問題になっているわけじゃないですか。

守田
日本の医療の闇だものね。

倉林
それなのにさらによ。措置入院患者については退院後も監視の対象にすると。「犯罪をするかもしれない」ということで監視せよということなのね。

守田
そうなると退院してきた人たちはみんな犯罪者予備軍にされてしまう。

倉林
そうなの。これはもう二重三重に精神障害者の人権侵害にあたるわけで絶対に許してはあかんと思ったわけですよ。それで議論の中で「立法事実もおかしい」とやっていたら「いやいや」といって立法目的を差し替えて放り込んできたものだから。もうね、頭から火が出るかってぐらい怒ってね。
(守田注:「立法事実」とは、立法的判断の基礎となっている事実のこと。「法律を制定する場合の基礎を形成し、かつその合理性を支える一般的事実、すなわち社会的、経済的、政治的もしくは科学的事実」(芦部信喜、判例時報932号12頁))

守田
そりゃそうやねえ!

倉林
そりゃそうよ!本当にえげつない話やったんですよ。

守田
それはぜひ紹介しないと。その攻防って人権を守るためのリアルな攻防だものね。

倉林
そうでしょ。だから切れたのよ。頭が。

守田
わっはっは。

安倍政権の人権軽視は極めて危険

倉林
精神保健福祉法はたまたま先議になったんですよ。参議院で先に議論をしたわけ。

守田
それはなぜ?

倉林
参議院は衆議院が終わらないと法案がまわってこないじゃないですか。だから隙間ができるときに、じゃあこっちは先に参議院でやってくださいという話が成立したら参議院からやることもたまにあるんです。

守田
じゃあこの場合は参議院で話して世論が喚起されて・・・

倉林
それから衆議院にいくはずだったわけですよ。ところがもう審議中から世論がうわっとなって。それで結局、衆議院で審議に入れなくなってしまって最後は廃案になりました。


参院本会議で精神保健福祉法「改正」断固反対を訴える倉林さん 2017年5月17日(HPより)

守田
なるほど!そうかあ。審議に入れなくしてしまったんだ!
ちなみにさっきナチスがちらっと見えると言ったけど、少し前にBSの海外ドキュメンタリーで『それはホロコーストのリハーサルだった』という番組があってね。ナチスが使ったガス室は実はドイツの精神医学会が開発したことが明らかにされていて。

倉林
そこ、すごくくっついているのよね。精神医学と障害者の人権侵害と。

守田
ドイツの精神医学会が精神障害者をガス室で抹殺することを始めて、ナチスはそれを取り入れて対象をユダヤ人などに拡大したのね。
だからナチスという「極端な思想集団」が始めたことではなくて、近代の医学の考え方の中に、人間を「生産性」で測り、「劣ったものを社会的に養っていくのはマイナスだ」とかいうひどい考えがあったわけなんだよね。

倉林
いまそういう考えが本当に強められようとしていてね。安倍政権はナチスに通ずるところが見えていてすごく危険性を感じるのね。

守田
それこそ杉田水脈議員の「LGBTには生産性がない」なんて発言なんて典型だよね。LGBTの人々への侮辱でもあるけれども同時に人間を生産性で測るところが恐ろしい。

倉林
そうそうそう。そういう意味でね、あの事件をきっかけとして、安倍さんの命令一下でこんな危険な法律案が出されたことに危険性をリアルに実感したよね。こんなことをしようとするのかと。
立法事実は国民の中にないわけよ。精神障害者にももちろんない。安倍さんの考え方でしかないものだった。それに対して厚労大臣が命令一下のもとに短期間に作り上げたものだったわけ。

守田
でもだからこそ人権の観点からまっこうから突っ込まれたら耐えられないものだった。

倉林
だって辻褄が合わないですよ。「精神保健福祉」として積み上げてきたものがあるわけだから。

守田
なるほど。もともともっと人権に配慮した法だったわけだ。

倉林
精神保健福祉だからね。そこで議論と改正を積み上げてきているわけですよ。やはり入院ではなくて地域で暮らしていけるように包括的な福祉に進んでいかなくてはならないと。

守田
犯罪者のように扱ってはならないと。

倉林
それよ!いまは精神病院に入ったら何十年も拘束したりしている。そうなったら出てきても受け皿もないし。結局、障害者の監獄が、自宅軟禁から精神病院に移ったという構図でね。
本当にこの国の精神医療は遅れている。そのことに対する問題意識を私は持っていたから。

守田
さらに酷さを促進すると。

倉林
だって犯罪者扱いでしょう?もう逆行以外のなにものでもないわけですよ。

立法主旨の書き換えのその日に委員会で追究

守田
その立法主旨を差し替えたものがたまたま朝配られたわけだ。

倉林
そう。本質は障害者に対する差別と偏見を助長するような人権侵害法律を安倍さんの主導で作ろうとしたということだったわけです。

守田
それですぐに追及をして、その意味では倉林さんも食い止めたわけね。すごいじゃん。すごく大きいことだな。

倉林
と言っても参議院ではいったんは通ってしまったんですよ。でもあまりにも問題が紛糾したので、衆議院では審議に入れなくなってしまって。
それでそのときの193国会から法案として次の国会、その次と継続審議扱いになっていたのだけれど、結局できないままに衆議院が解散したので廃案になったわけ。

守田
これは分かりやすい攻防だね

倉林
安倍さんの本質が出ているでしょう。おんなじようなことその後もやっていて。

守田
杉田水脈議員の暴言はある意味で安倍さんを代弁するものであったわけだけれど、この法案は安倍さん自身が指令を出したわけだし。

倉林
(その時の資料を見せながら)これこれ。これをもって来られて頭に来てそのまま質問に立って追究したんですよ。原稿もなしにその日のうちに。ひどすぎると思って。  

赤字で示されていたもともとの立方主旨が消されてしまった(倉林さん提供)

守田
へええ。それで阻止した!

倉林
阻止した!ホームページに動画があるんだけど「がーっ」って怒ってやってる(笑)  

守田
見たい!ぜひ見なくちゃ。(笑)

倉林
当時は「ヒスだ」とかいろいろネットで書きこまれたのね。でもそれも含めてけっこう見られていたんだと思う。




当日、厚生労働委員会ですぐに質問に立った倉林さん。塩崎大臣を追及 2017年4月13日( HPより)

守田
これすごく重要なことだものね。植松氏という一個人が犯した罪を同じような病を持っている人がみんな犯しうるかのようなことを言っている。
でも実際には精神障害者よりも「健常者」の方が圧倒的にたくさんの深刻な犯罪を起こしているんだよね。

倉林
そう。精神障害者は犯罪率はずっと低いのよ。それなのに。

守田
そういうことだったのか。なるほど。このケースはまさに倉林さんが人権を守った具体的例だよね。1人の参議院議員が怒ることでこうして悪法が世に出ることを止めることもできる。だから倉林さんの議席が重要。

倉林 そうなんですよ!

守田注:以下は当日の委員会(2017年4月13日)での質疑と、参議院本会議(2017年5月17日)での反対表明。問題点については後者がまとまっている。必見!

精神保健福祉法改定案の趣旨説明「相模原事件」を厚労省削除 「立法事実に関わる」倉林氏 2017年4月13日 厚生労働委員会 倉林明子ホームページより
http://kurabayashi-akiko.jp/report/20170413kourou/

共産党倉林明子さん精神保健福祉法改正に断固反対 参議院本会議 2017年5月17日 https://www.youtube.com/watch?v=kPAg_uWoOAY

続く

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