明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(1623)原発事故を想定し「とっとと逃げる」心構えを作ろう!(23日に鳥取県境港市でお話します)

2018年11月21日 16時00分00秒 | 明日に向けて(1501~1700)

守田です(20181121 16:00)

● 23日(金)に鳥取県境港市の夢みなとタワーでお話します

講演タイトルは 「地震・津波・台風・大雪、そして・・・原発からのいのちの守り方」。
主催は「原子力防災を考える県民の会」で13時半から16時までです。チラシを紹介しておきます。

境港市での講演は2回目になります。前回は2016年10月8日でした。
今回の講演は鳥取県が島根県とともに安定ヨウ素剤の30キロ圏内までの希望者への配布に踏み切り、説明会と配布が行われてきた中で行うものとなります。

● 島根原発は危険な地震地帯に立地している

島根原発が立地している松江市の地下には「宍道断層」が走っているのですが、この断層、1998年は福原町から尾坂まで8キロとされていたのに2004年に10キロになり、2008年には22キロとなっています。
もちろん断層そのものが成長しているわけではなく、後から発見されて「長く」なってきたのです。一部の学者さんたちは「断層は30キロ以上ある」とも主張していますが、断層の長さは地震の大きさに直結します。

これだけでも危険なことは明らかですが、近年、山陰地方に大きな「ひずみ集中帯」があることも分かってきました。
「ひずみ集中帯」とは南海トラフで列島の乗ったユーラシアプレートが海側からやってくるフィリピン海プレートに押されてひずみが生じ、エネルギーが溜まって地震が頻発する地帯です。
最近でも2016年10月21日に「鳥取中部地震(M6.6)」が起こりました。これらからここで原発を動かすことなど自殺行為でしかないのです。

● 再稼働を止める努力をしつつ災害対策も進めよう!

原子力災害対策を考える時、一番大事なのは原発を動かさないこと。正しい対策はこれしかないです。事故の時にすべての人が確実に被曝を避ける道などないからです。
ではなぜそれ以外の対策を進める必要があるのかというと、すでに9基が動かされてしまっているし、今後も動かされるかもしれないからです。
動いている以上、深刻な事故を起こす可能性があるので少しでも被害を減らすために備えをしなくてはです。

対策の骨子は一にも二にも「とっとと逃げる」こと。原発事故は一度始まったらどこまで拡大するか分からない。だから可能な限り原発から遠くに逃げた方がいい。
そのためにはあらかじめ逃げる想定をしておくことが大切です。そうでないといざとなると「逃げなくていい口実」を探してもしまいがちだからです。
そんなときに「俄かに健康に被害はない」とか言われると不安定な心理に付け込まれて安心してしまいかねない。だから常日頃から「とっとと逃げる」心構えを作っておくことが必要です。なお篠山市のハンドブックからこの点をご紹介します。

● 安定ヨウ素剤事前配布の意義

この際、安定ヨウ素剤を飲んで逃げることが大事。早い段階で原子炉から飛び出してくる放射性ヨウ素が甲状腺に取り込まれ、被曝することを防ぐためにです。
日本は海産物が多いので、住民は日常的に自然界の安全なヨウ素を摂取していて、甲状腺の中は8割から9割は埋まっていますが、その残りを薬で満たし、放射性ヨウ素の取り込みを防ぐのです。
ただし防げるのは放射性ヨウ素だけ。他の放射能も間違いなく飛んできますから、同時に「とっとと逃げる」べきです。

なぜ事前配布が必要か。一つに事故が起こった混乱状態の中で配ることは困難で、間に合わない可能性も高いからです。
二つに市役所の側も仕事をあらかじめ減らして違うことに力を振り向ける余裕がもてるし、放射能が降る中で住民に薬を配りにいった職員が被曝する可能性も減らせます。
さらに大事なのは、さまざまな薬害が起こっているため、多くの方が効能と副作用についての事前説明を受けていないと飲めないこともあります。だから事前配布でこそ十分な効果が期待できるのです。この点も篠山市のハンドブックから紹介します。

● 昆布は大量に煮だせば代用できるけれども食べない方がいい

安定ヨウ素剤を得られないときに昆布で代用できるのでは?という声もあります。確かに煮だして飲むことで代用できますが、真昆布40グラムは必要です。通常だと味噌汁20杯ぐらいになるでしょうか。
これを煮詰めればヨウ素は煮汁に95%移行するので代用になります。しかし昆布は緊急時は食べない方がいい。消化がよくなくて、お年寄りの場合、腸閉塞を起こすこともあるからです。
また毎日、昆布などを使った料理を食していてもヨウ素は日々消費されるのでいつも隙間はあり被曝防護のためには十分とは言えない。やはり薬を飲んで隙間を埋めるのが一番手軽で確実です。

以上、地震のこととと安定ヨウ素剤のことにフォーカスしてアウトラインを書きましたが、講演では被曝の危険性を過小評価するあらゆる騙しにひっかからないことや被曝の避け方もお話します。
山陰地方の方、ぜひお越しください!

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明日に向けて(1622)東海第二「市民の安全安心を第一に考えれば再稼働はあり得ない」-10市町村+1が反対!( NNNドキュメンより‐3)

2018年11月18日 08時00分00秒 | 明日に向けて(1501~1700)

守田です(20181118 08:00)

NNNドキュメントの文字起こしの3回目です。

*****

NNNドキュメント首都圏の巨大老朽原発 再稼働させるのか(11月12日1時~2時放送) その3
https://www.dailymotion.com/video/x6x1slt

なお同番組の再放送が本日(18日)午前11時から行われます。11時30分までです。
BS日テレ 141チャンネルにおいてです。

● 茨城県44市町村のアンケートから

原発の再稼働のカギを握るのは地元の同意。今までは茨城県と立地する東海村の同意だけで済みました。
それが今年周辺5市にまで拡大。反対する自治体が1つでもあった場合は日本原電は話し合いを続けるとしています。

番組では茨城県44全ての市町村長にアンケートを行いました。質問は再稼働に賛成か反対か。そして避難計画は作れるか。
全ての市町村から回答を得ました。
再稼働に「賛成」と回答したのは常陸大宮市長のみ。
「科学的技術的見地から安全性について判断されることから国と原電の責任において再稼働すべき」

再稼働に「反対」と回答したのは赤で示した10の市町村。このうち7つは避難を受け入れる側の自治体でした。
理由は「市民の安全安心を第一に考えれば再稼働はあり得ない」「避難計画を策定しなければならない危険性がわずかでもあるのであれば再稼働をすべきでない」

そして残り33の市と町のトップは「どちらともいえない」と回答。再稼働への同意が必要とされる6つの市と村、全てが判断を保留しました。

一方、避難計画については「策定には大きな困難」「現実的に不可能」。
10の市町村のトップが困難さを指摘しました。

● 障がい者施設の場合は?

ここは原発から4㎞の場所にある障がい者施設。60人が入所しています。案内された先にあったのは放射能を取り除くシェルターでした

テロップ
「東海村 第二幸の実園」

一同
「いただきます」

事故が起きた場合障がいのある人は避難が難しいため数日間屋内にとどまることになっています。
福島の事故では高齢者や入院患者らが避難途中や避難後に亡くなりました。そのため今新たな対策が行われています。

記者
「すごい大っきなのが建って…」
村上さん
「あれが空気を浄化して入れ換えします」

この施設では国からおよそ2億円の補助を受けて空気を浄化できる装置を取り付けシェルターにしました。さらに1週間分の食料や水防護服放射線測定器も準備しました。

村上忠夫第二幸の実園理事長
「障害者だって生きる権利はあるんですよ。その時はやっぱり一般と同じように生き延びたい…。そういうのに我々も力を貸すその責務があるんですよね」
「(この浄化設備を)稼働してはいけない。最後は記念物にするのが一番いいんじゃないですか」

● 「安全対策」というけれど

東海第二原発は2021年3月の完成を目指して安全対策の工事を行っています。
津波対策では原発の三方を取り囲む高さ20mの防潮堤を建設する予定です。こうした工事にかかる1800億円は国の支援を受け経営再建中の東京電力などが支援します。

火災対策も行われますが審査では電源ケーブルが問題となりました。原発では中央制御室を中心に1000㎞以上ものケーブルが張り巡らされています
東海第二原発は古くに造られたためケーブルの防火対策がされておらず、火災が起こればケーブルを伝って建屋全体に燃え広がり原発をコントロールできなくなる危険性があります。
国は「燃え広がらない難燃ケーブルを使用する」という基準を作りましたが燃えにくいケーブルへの交換は半分にとどまり残りは代用品の防火シートで覆うことで審査に合格しました。
日本原電は「防火シートは燃えにくいケーブルと同等以上の性質を有するので問題はない」との回答を寄せました。

先月24日、番組アンケートで「どちらともいえない」と回答していた那珂市の市長が再稼働反対を正式に表明しました。
再稼働の同意が必要な6つの市と村の中で反対を表明したのは那珂市が初めてです。

海野徹那珂市長
「危険を承知で動かすというその神経が理解できない」

● なぜ再稼働に向かうのか

再稼働に向け着々と準備を進めている日本原電。しかし「再稼働したい」と表明したことは一度もありません
運転延長が決まった今週水曜日。

記者
「「再稼働表明したい」と言わない理由は何ですか?」
日本原電 和智信隆副社長
「一言で言えば決めてないからということです」
記者
「何が決まってないのですか?」
副社長
「このあと我々が工事を進めて行くということ、地元への説明をするということを申し上げております。それ以外のことは決めてないからだと思っています」
記者
「再稼働することはまだ決めていない?」
副社長
「そうですね。はい」

なんで再稼働に向かうのか。経済産業省の幹部は私たちの取材にこう答えました。
「国は日本原電をつぶさないということですよ」。
原発推進の旗は降ろさない。これが原子力政策を続ける国の本音なのです。

東京から110㎞。巨大原発東海第二発電所。
再びスイッチが入った時あなたは安心して電気を使えますか?


ナレーター あおい洋一郎
取材 川崎正明 中村洋介
撮影 副枝保孝 
音声 飯田清孝
編集 小林弘幸
EED 細野昌美
ミキサー 浜口崇
音効 石橋裕司
番組デスク 小島都
構成 加藤就一
ディレクター 川崎正明
プロデューサー 今村忠
チーフプロデューサー 有田泰紀
製作著作 日テレ

連載終わり

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明日に向けて(1621)東海第二原発が事故を起こした時、避難場できるのか(NNNドキュメントより‐2)

2018年11月17日 22時00分00秒 | 明日に向けて(1501~1700)

守田です(20181117 22:00)

NNNドキュメントの文字起こしの2回目です。

*****

NNNドキュメント首都圏の巨大老朽原発 再稼働させるのか(11月12日1時~2時放送) その2
https://www.dailymotion.com/video/x6x1slt

なお同番組の再放送が18日午前11時から行われます。11時30分までです。
BS日テレ 141チャンネルにおいてです。

● 事故が起きたときの危険性2 複合災害の影響

事故が起きたときの危険性、二つ目は複合災害の影響。
東海村には核燃料工場や研究施設など12カ所の原子力関連施設があります。
その中でも心配されているのが原発から3キロ先にある核燃料の再処理工場です。

テロップ
「再処理工場前の海岸」

記者
「この再処理工場も昔からあるんですか?」
地元の男性
「そうですね生まれた時からずっとありましたね」
他の男性
「再処理工場というシステム自体がまだ自分はそこまでよく分かってないんで」

再処理工場とは原発の使用済み核燃料を再処理する場所。
その工程では「人が近づけば1分で死ぬ」といわれるほどの非常に高い濃度の放射性廃液が出ます
タンクに入れ冷却されていますが、津波や地震で万が一冷却機能が失われると沸騰し放射性物質が外部に放出される危険性があるのです。

東海第二と再処理工場。複合災害が起きれば、汚染はさらに拡大します。

● 事故が起きたときの危険性3 避難の問題

事故が起きた時の危険性、3つ目は避難の問題です。

原発から半径30㎞にある14の市町村は避難計画を作らなければなりません。
そこには全国で最も多いおよそ96万人が生活しています。

原発から6キロ。ひたちなか市に住む湯瀬さん一家です。
夫婦で電機メーカーに勤務。家族5人で暮らしています。
今回私たちの取材に協力していただきました。
(注 ここでは男性がフルネームで呼称され、女性は妻・名前だけとなっています。この呼称の仕方に僕は反対ですが、ここではNHKが行った通りに記述します)

記者
「避難指示が出された。「すぐ出ますよ」何持って行きます?」
妻 裕子さん
「通帳とか印鑑とか…」
湯瀬さん
「テントとかアウトドアの関係のやつ」
「もう避難所だって入れるか分かんないじゃないですか。優希何持って行く?勉強道具は?」
娘 優希さん
「いらない。」(一同笑い)

● ひたちなか市から美浦まで避難してみる

ひたちなか市の避難先の1つである茨城県美浦村まで車で避難してもらいます。

一同
「いってきます」
記者
「東日本大震災の時はこの辺の道とかどうなってたんですか?」
湯瀬さん
「海沿いはもう津波かぶってたんで…」
裕子さん
「道路が割れちゃって…」
湯瀬さん
「この信号を渡ってからもうぜんぜん動かなかったですね」

この映像は震災翌日の同じひたちなか市の様子です。この時避難指示は出ていません。しかし道路は大渋滞。歩道には給水を待つ人の行列が1㎞も続いていました。

● 川を越えられるのか

湯瀬さん
「逃げる所へ川を越えなきゃ行けない」
記者
「地形的に橋に集中するわけですもんね」
湯瀬さん
「そうですね。橋が少ないんで」

東海第二は北は久慈川、南は那珂川という一級河川に囲まれた場所に立っています。橋の数は限られており地震で橋が崩落したら他の橋に車が殺到することになります。

実際に東日本大震災では同じ茨城県の霞ヶ浦北浦に架かる鹿行大橋が崩落しました。湯瀬さんのルートでも…

湯瀬さん
「ここが一番最初にぶつかる橋」
記者
「それでも(上下)1車線1車線ですね、道は」
湯瀬さん
「そうですね」
裕子さん
「いや心配ですよね。何かこの橋大丈夫かなって」

● 茨城県が避難についてシミュレーション

茨城県によると震災の時、この橋はひび割れや段差が生じ、二週間通行止めになったといいます。
取材した日は土曜日の午前中。渋滞もなく美浦村を目指します。

国の指針によると原発が冷却機能を失う全面緊急事態に陥った場合、5㎞圏の住民は避難し5㎞から30㎞圏の住民は屋内退避。
その後避難するかどうか判断されます。

5㎞圏に住む8万人が3万台の車で一斉に避難したらどうなるのか。茨城県がシミュレーションを行いました。

避難開始1時間。赤が渋滞です。
5㎞圏を南北に貫く幹線道路は10時間以上経っても渋滞のまま避難を完了するのに20時間以上かかるという試算が出たのです。

しかしこれは5㎞圏内の試算。実際は30㎞圏の住民も相当数が自主的に避難するとみられています。

● 避難先に行ってみたけれど

自宅を出て2時間。避難先である美浦村に到着しました。

中島美浦村長
「どうも遠いところをご苦労さまです」
裕子さん
「こんにちは」

村長が出迎えてくれました。
体育館や公民館が避難先となり3000人を受け入れる計算です。
しかしこの人数は収容できる面積と1人あたり2㎡のスペースから機械的に算出したもの

中にはこんな場所も(固定イスの設置された講堂)。

村長

「固定イスはだいたい300弱あるんですけれども」

湯瀬さん
「間がふさがっている(固定された肘置きのため)」
裕子さん
「イスで横になることはできないね」
村長
「まあ無理です」
裕子さん
「本当に座るだけ」
村長
「3000人の毛布は用意してないので。村だけでそれを全部用意するのは難しい」

十分な態勢は整っていません。

湯瀬さん
「距離は大した距離じゃないですよホント。渋滞のレベルが見えないところが連れて行く身としては心配で」
裕子さん
「そこまでかけてすぐに避難するかと言ったら、やはり考えてしまいますね」

湯瀬さん一家は避難の難しさを実感しました。

村長
「原発がなくても過ごせる社会ができれば、それが一番安心して、自分の今まで住んで来たとこに住み続けられる部分があると思うので、(事故が)起きないことが一番だろうと思いますね」

96万人の避難計画。果たして実現できるのか。

続く

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明日に向けて(1620)首都圏の巨大老朽原発 東海第二を再稼働をやめさせよう!(NNNドキュメントより‐1)

2018年11月16日 14時00分00秒 | 明日に向けて(1501~1700)

守田です(20181116 14:00)

● 東海第二の再稼働をやめさせるために

東海第二原発が新規制基準を通過し、40年越えの延長審査もパスしました。
首都圏の巨大老朽原発が再稼働する可能性が浮上しており、みんなで食い止める必要があります。

この点についてNNNドキュメントでなかなかの番組が放映されました。
タイトルは「首都圏の巨大老朽原発 再稼働させるのか」です。以下からご覧になれます。
https://www.dailymotion.com/video/x6x1slt

重要な内容が多く含まれていたので思い切って文字起こししました。
動画を観る余裕の無い方、また観た内容を文字情報で再確認したい方、ぜひご参照ください。
なおナレーション部分をそのままで記し、発言部分をかっこに入れました。テロップはそのつど説明書きしています。長いので3回に分けます。

*****

● NNNドキュメント首都圏の巨大老朽原発 再稼働させるのか(11月12日1時~2時放送) その1

みなさんは首都圏に原発があるのを知っていますか。
日本原子力発電、日本原電が運営する東海第二発電所です。
運転を開始してすでに40年。福島第一原発の1号機と2号機を合わせたほどの大きな出力を持つ原発です。

テロップ
「運転開始1978年11月28日 運転出力110万キロワット」

東日本大震災が起きるまでは東京にも電気を送っていました。
銀座で話を聞くと(「東海第二発電所 日本原子力発電(株)と書いた紙を見せながら)

記者
「どこにあってなにをやっているか分かりますか」
通りがかりの女性
「いや、分かんないです」
「愛知とかあの辺ですか」
他の女性
「知らないです。東海第二。静岡あたり?」
男性
「茨城にある原子力発電所ですよね」

JR常磐線勝田駅。通勤通学で込み合う朝の光景です。ここは原発から10キロ。
そして住宅が広がる茨城県東海村。住宅街の先に立つのが東海第二原発です。東京から110キロ。
いま、再稼働に向かって動き出そうとしている原発です。

● 事故が起きたときの危険性1 30キロ圏内に96万人も住んでいること。

そこにはさまざまな課題が。
その1つが周辺に住む人の数。避難計画をたてなければいけない原発30キロ圏の住民は全国で最も多い96万人にもおよぶのです。

私たちは茨城県44の全ての市町村のトップにアンケートを行いました。
再稼働に賛成か反対か。そして避難計画は作れるのか。

事故が起これば放射性物質は風に乗って東京に達するという予測もされています。
なぜ巨大な老朽原発を動かそうとするのか。何のために。誰のために。

2011年3月11日。東日本大震災の翌日の映像です。
津波に流された車が折り重なり、火災が発生しています。その煙の先に見えるのが東海第二原発です。

福島第一原発と同じように運転中に津波が押し寄せ被災しました。
これは原発を運転する日本原電が当時、水戸市に送った連絡文です。
そこには「外部電源喪失」の文字。あの時、燃料プールからは水があふれ機器の一部は浸水非常用発電機も1台が使えなくなり、冷温停止に3日かかりました。

原発が止まってから間もなく8年

テロップ
「今月(11月)7日 原子力規制委員会 更田豊志委員長」
「東海大に発電所所の運転期間延長認可 及び保安規定変更認可を決定します」

今年9月には国の新しい基準に合格。今週さらに寿命を延ばす審査にも合格したのです。
原発の運転期間は40年とされていますが、規制委員会の審査に合格すると1回に限り最大20年間延長できます。
東海第二原発は今月28日が40年の期限でしたが間に合いました。被災した原発が合格したのは初めてのことです。

老朽化した原発の再稼働で、万が一事故が起きたらどんな危険があるのでしょうか。
その1つが風向きの問題です。

● 事故の時の風向きは?

テロップ
「原発の北、茨城県日立市にある地域気象観測システム”アメダス”」

計測した30年間のデータを見ると3月から10月の最も多い風向きは北東と北北東でした。
事故が起き放射性物質がその風に乗ったらどうなるのか。
環境問題の専門家が試算をしていました。

テロップ
「原発事故での避難を研究 環境経済研究所 上岡直見代表」

福島の事故とほぼ同じ量のセシウム137が1週間にわたり同じ風向きで放出された場合・・・

上岡さん
「東海第二原発がここにありましてもし北東の風が吹いていた時にはこの放射性物質がこういうふうに広がって来ます。30㎞圏だけではなくてその外側茨城県ですね。
それから埼玉、東京、神奈川県までですね、避難の必要がある放射性物質のプルームが広がって来ると。他の所の原発は途中に山があるんですけれども東海第二は関東平野ですからおおむね平らそのまま来てしまう」

この試算によれ ば都心に住む人たちも避難をすることがありうるといいます。

東京との小池知事は再稼働についてどのように考えるのでしょうか。

小池知事
「原子力規制委員会で客観的に判断されると聞いております。そういう中での1つの答えがこれから出されるのかなあというふうにみております」
記者
「再稼働への不安は」
小池知事
「それについては客観的な判断ということで。周囲の住民の方や東京圏を含むこのエリアについてのしっかりとした説明が必要になってくるのではないかと思っています」

続く

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明日に向けて(1619)でも、学校って何だろう-(18日に映画上映とお話会と小さなマーケットを行います)

2018年11月15日 18時00分00秒 | 明日に向けて(1501~1700)

守田です(20181115 18:00)

● 11月18日(日)に以下の企画に参加します

「みんなの学校」上映とお話会
小さな商いマーケット同時開催
https://www.facebook.com/events/242090619787580/

学校とは何か、「教育」とは何か。公教育にどんな可能性が残されているのか・・・などを話し合おうという企画です。

京都市内のmumokuteki3Fホールをお借りします。映画は11時半からと14時半から。お話会は17時から18時半。マーケットは11時から17時です。
参加費は1000円(小学生以下無料)です。なお11時〜11時30分までは御幸町通よりお入りください。

● 映画『みんなの学校』について

まず11時半から13時半、14時半から16時半のスケジュールで映画『みんなの学校』の上映を行います。チラシからこの映画の内容をご紹介します。

*映画「みんなの学校」について
大阪にある公立の大空小学校では、特別支援教育の対象となる障害のある子も、自分の気持ちをうまくコントロールできない子も、みんな同じ教室で学んでいます。
開校から6年、子どもと教職員だけでなく、保護者や地域の人も一緒になって、誰もが通い続けることができる学校を作ってきました。
学校が変われば、地域が変わる。そして社会も?公教育の理想のカタチって?
学校参観するように見て、話したい、考えたい映画です。
2014年/106分/ドキュメンタリー 監督/真鍋俊永 出演/大空小学校のみんな

● *私たちの想い*

「市民立の学校をつくるプロジェクト」「たねまきプロジェクト」「mumokuteki」の共催です。僕も協力と言うかたちで参加し、17時からのトークに加わります
主催者側ではこんな風な思いを共有してきました。

社会のあらゆる問題に向き合う時、教育が大切だということが度々言われてきました。
子どもたちが様々な体験を通して、人として「生きる」ということの感性を育む場としての学校。
子どもたちが行きたいと思い、親たちが行かせたいと思える学校。
そんな学校を求めても、そのような学校に運良く通える子どもたちはわずかです。
ないのなら作ればいいのではないか、私たちはそう思うようになっていました。
そんな考えに変化が起きたのは、「みんなの学校」を知ったからでした。
これが理想の学校というわけではありませんが、少なくとも公立学校を理想に近づけることが出来るということを私たちに示してくれています。
行きたい、行かせたい学校を暮らす地域で実現するために、私たちは何が出来るのか、その手がかりを得るために、もっと多くの人たちと思いを共有することを私たちは始めています。その一つが「みんなの学校」を観ることです。
今回の上映イベントが、学校を考える良い機会となり、行きたい行かせたい学校の実現につながることを願っています。

● トークではいろいろな意見が出る可能性が・・・

○丹下紘希さん(2児の父/現役PTA会長/ときどき映像作家)
○竹尾耕児さん(市議会議員、元教師)
○廣海緑朗さん(mumokuteki/NPO法人みんなの地球のくらしかた)
○西村静恵さん(市民立の学校をつくるプロジェクト)
○守田敏也さん(フリージャーナリスト)

さて映画を観終わってから自由闊達な討論を!と思っているのですが、試写会のときに「うーん」と顔をしかめていた「2児の父/現役PTA会長/ときどき映像作家」の丹下さんからはこんなふうな意見が寄せられています。
「なんとなくこの作品を応援できないのは、テレビ番組として成立させるために、カメラの外側にきっとたくさん転がっているであろう、言葉にするのも難しいものたちが削られているように思ったからです。
障がいのある子どもを抱える親として、様々な障がいの複雑さや重度の障がいを抱える人たちの置かれた状況を想像し言葉を失うことがよくある。また取り残されたような、そんな気がしてしまったのです」

主催者の一人、「市民立の学校をつくるプロジェクト」の西村静恵さんは、シンプルに「公立学校の伸びしろをみつけた」と語っています。
この他、トーク参加者ではないのですが、養育施設指導員からはこんな感想も寄せられています。
「障がい児は、その子本人に必要な指導や教育が保障されているか?確かにその存在がまわりのこども達の感性や人権感覚に益しているが、それでいいのか?この2つの考え方の違いは、ずっと平行線。そこをどう超えていくのか?」
「人権感覚や感性は叱咤されながら教えられるものではなく大人も子どもたちも、自身が獲得していけるように指導していくものでは?」

● 京都精華大学での実践から

僕自身もこの映画を観て「へえ、まだ公立学校でもこんなことがやれるんだ」と共感しました。しかし丹下さんの意見を聞いていて「なるほど!作る側の視点を持っている人は違うな」とも思いました。
なので18日は、映像の外に切り離されてしまったものとは?という視点で観てみようと思います。そんな観方をしてこなかったので僕なりにはワクワクして二度目の鑑賞にのぞみます!

教育そのものでは2004年だったかな。1年だけ京都精華大学の入試課に所属し、AO入試の教員をさせていただきました。
AO入試そのものにも関わったのですが、主要にはそこで合格した学生(ほとんどは高校生)が入学するまでの間に指導をしました。これを「入学前教育」と呼んでいました。
何を目的にしたのかというと、若者たちに学問をする喜びを身につけてもらい、自ら能動的に大学に入ってきてくれるように導くことでした。

その際、テキストに使ったのが宇沢弘文先生の『日本の教育を考える』(岩波新書)で、最終的に学生たちに原稿用紙8枚からなる感想文を書いてもらい、それを冊子にまとめて宇沢先生に送ったことが先生との縁の始まりにもなりました。
僕はこの中で宇沢先生の「教育」論を実践しました。宇沢先生は「教育とは何かを上から教え込むことではなく、若者たちにもともとインネイトに備わっている成長したいという人間的欲求を手助けすることだ」と説かれていた。
それを実践する中で、若者たちがこちらの想像をこえて急速に成長していく場に何度も遭遇することもできました。
僕的にはそんな実践を振り返りながら、みなさんと一緒に「学校とは何か」についての考えを深めていきたいと思います。

お近くの方、ぜひご参加下さい!

*****

■日時: 2018年11月18日(日)11:00-18:30
■場所: mumokuteki 3Fホール
■参加費: 1000円(小学生以下無料)
■上映: ① 11:30-13:30 ② 14:30-16:30
■マーケット11:00-17:00

ーマーケット出店予定ー
○vegan102(ビーガンスイーツ)
○ホーボー堂(玄米野菜のお弁当、おはぎ)
○FlauPilz(ドイツ菓子)
○musubiya(おいしい野菜)
○Peace商店(食と雑貨)
○末富晶さん(書籍)
○ふわふわむ〜ん(布ナプキン)
○佳苗珈琲焙煎(フェアトレードコーヒー)
○イルチエロ(天然酵母パン)

■予約・お問合せ: たねまきプロジェクト浦田まで
mail : sairen24@jp.bigplanet.com
*mumokutekiへの問い合わせはご遠慮ください。

■共催: 市民立の学校をつくるプロジェクト・たねまきプロジェクト・mumokuteki
■協力: 守田敏也氏

*上映会、トーク共に子ども参加可能です。
*マーケット内に子どもスペースあります。

#みんなの学校

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明日に向けて(1618)安倍政権の女性差別体質を「セクハラ罪はない」閣議決定から考える~そもそもセクハラとは? 守山市でお話します(17日)

2018年11月14日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1501~1700)

守田です(20181114 23:30)

● 17日(土)午後1時より守山駅前コミュニティホールでお話します

表題のタイトルで講演します!「市民の会しが」主催の「政策フォーラム」の一環です。1時間僕が話してからワークショップが行なわれます。
チラシを紹介します。「安倍政権はなぜ女性への犯罪をとりしまらないのか。首相側近記者による詩織さんへのレイプ事件と官邸によるもみ消し、福田元事務次官のセクハラ発言。
また「たかがセクハラごときで」という麻生大臣による擁護発言や日常におこるセクハラ問題などからひもときます」。

「『セクハラ罪はない』と閣議決定したり、杉田議員の『LGBTには生産性がない』というひどい差別発言を放置する安倍政権の女性差別体質は何を意味するのでしょうか」
「世界各国と比較して女性議員が圧倒的に少ない日本(衆院で約10%、193国中158位) この恥ずかしい状態を変えるため今年の5月に『候補者男女均等法』が成立したことをご存じですか?
そんなことを考えながら、政治にも強く反映しているジェンダーギャップを考えます。セクハラとは?ジェンダー問題とは?なんとなくしかわからなくても大丈夫!ぜひ一緒にいま知って学びましょう」

● 女性への犯罪やセクハラ、性差別発言がことごとく容認されている!

この間、起こったことを振り返ってみましょう。最も許しがたいのは伊藤詩織さんに対する山口敬之元TBS政治部記者のレイプ犯罪とそれが官邸の指示でもみ消されたことです。
レイプは2015年4月3~4日になされました。詩織さんは9日に警視庁高輪署に相談し、捜査の後に逮捕状が出されて2016年6月8日に実行されようとしましたが、直前に中村格警視庁刑事部長が停止を命じました。
この部長は2015年3月まで菅官房長官の秘書官でした。明らかに官邸に近い人物の独断で逮捕が反故にされてしまったのです。あまりにひどい。

財務省福田事務次官のセクハラ発言は2018年4月12日発行の『週刊新潮』で曝露されました。このとき麻生大臣はこのように言い続けました。
「相手(被害を受けた女性記者)の声が出てこなければ、どうしようもない」(産経ニュース) 「こちら側も言われている人の立場も考えないと。福田の人権はなしってわけですか」(テレ朝News)
「そんな発言されて嫌なら、その場から去って帰ればいいだろ。財務省担当はみんな男にすればいい。触ってないならいいじゃないか」(『週刊文春』)。これまたあまりにひどい。

さらに詩織さんへのセカンドレイプであるバッシングも多発しましたが、悪しき典型が自民党杉田水脈議員の発言でした。
彼女は「訴えられた男性側のほうが被害を被っている」「理不尽な、被害者に全く落ち度がない強姦事件と同列に並べられていることに女性として怒りを感じます」と述べましたが、これも本当にひどい。
杉田議員はその後、7月に『新潮45』誌上で「LGBTには生産性がない」と発言し、9月に同誌が杉田論文擁護特集を断行。さすがに大きな批判が起こり同誌は廃刊となりました。
しかし山口記者、福田元事務次官、麻生大臣、杉田議員らは謝罪の一つも行っていません。辞任したのも福田元事務官のみ。結局、ひどいことがまかりとおったままなのです。

● 背景にあるのは日本社会の深刻な女性差別構造だ!

これらの背景に僕は日本社会の女性差別構造があると感じてきましたが、今回、あらためてデータを調べて、僕が考えてきたよりもっと差別の根が深いことが見えてきました。
チラシにもあるように下院議員に占める女性の比率で日本は193か国中158位。閣僚の中の女性比率は世界の主要国35か国のうちの30位です。ただし今は女性閣僚は1人ですから最下位になっている可能性が高い。
これに対し閣僚の女性比率のトップはフランスの52.9%ですが、この国で女性参政権が認められたのは1943年のこと。日本と数年しか違わないのにこれほどの開きができてしまっています。

教育・学問の場でも惨憺たるデータが出てきます。女性の研究者比率は15.3%、大学の女性教員の比率も25.2%でOECDの中でともに最下位です。
中学校長の女性率も6.1%と低く、調査参加国平均の49.4%をはるかに下回っています。教員に占める女性比率も39%で参加国平均の68%の半分強です。
全国の医学部及び付属病院における女性教授率にはもっと驚きました。なんと2.6%です。教授の97.4%が男性でこのもとで受験の際、成績のよい女子を落とす不正が行われてきているのです。
学会の評議員や役員でも女性医師の少なさが目立っています。日本外科学会の2008年の調査では、94の日本医学会分科会の評議員に占める女性の割合は6%(外科系11学会では0.6%)、女性役員が1人もいない学会が98学会中54学会だそうです。
女性管理職の割合を見ても日本は調査参加102か国中95位。もう本当にあらゆる社会生活の場において、女性比率が世界の中であまりに低いのです。

男性のみなさん。あるいは自らを男性と認知しているみなさん。これではあまりに恥ずかしい!そう思いませんか?
私たちは国際水準からみたらなんともひどい性差別の上にあぐらをかいており、残念ながら激しく劣っているのです!この状態を変えなくてはいけない!
もちろんそれは女性・男性・あらゆる性のみんなでなすべきことですが、しかし男性こそが率先して努力する必要がある。

● 『部長、その恋愛はセクハラです!』(集英社新書)を手引きに

私たちがいま認識すべきことは、安倍政権の女性差別体質はなにも安倍首相の個性としてだけあるのではなく、この国の差別構造の上に乗っているということです。
また私たちは日本社会ではあらゆる場面で女性がひどく不利な状況におかれていることに着目しなくてはいけない。とくに何らかの上下関係にあるときに、不利な状況にある女性は不愉快なことがあっても拒否しにくくましてや告発しにくい。
セクハラもそういう構造を背景に繰り返されているのですが、この点をしっかり把握しないと問題が十分に見えてこない。そもそも女性にとって嫌なことを断ることそのものが容易ではない構造がある点がつかまれなくてはなりません。

これらを頭に入れた上で、セクハラについて理解する上での最良の書をある弁護士から教えていただいたのでこの日もご紹介しようと思います。
ここから、いったい何がセクハラにあたるのかを学び、またその点の理解が不十分であるがゆえにこそ、しばしば二次的被害が起こっていることも紹介したいです。
女性差別が強いこの国では被害女性の立場への無理解もまた強いがゆえに、プライバシーの保護がなされないまま勝手な対処が本人の合意なく進められたり、挙句の果てに「男女間のもめ事だ」などとセクハラがもみ消されてしまうことも横行しています。

それらの結果、セカンドレイプ・セクハラもしばしば起こっており、意図せずに多くの人がそれに加担もしてしまっています。そんな負のスパイラルも断ちきっていきたい。
そのためにぜひ一緒に問題を掘り下げていきましょう。僕自身、この本を読んで目からうろこが落ちたことがたくさんありました。けして「分かっている側から講釈を垂れる」のではなくみんなで考えを深めたいです。
性差別、セクハラへの見識を深めることの中から、この情けない現状を一緒に変えていく糸口をつかんでいきましょう。ぜひご参加下さい!

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明日に向けて(1617)南仏ナルボンヌ反核サマーキャンプ報告会を山科で行います(11月11日)

2018年11月08日 21時30分00秒 | 明日に向けて(1501~1700)

守田です(20181108 21:00)

● 山科区で午後3時からお話します!

表題のように11月11日(日)午後3時から、京都市山科区において反核サマーキャンプ報告会を行います。主催は山科市民共同発電所のみなさんです。
すでに8月に1度、9月に2度お話させていただきましたが、まだお聞きになってない方、ぜひご参加下さい。
チラシを添付します。二つの企画の案内になっていて一つ目の企画がもう期日が過ぎていて恐縮なのですが・・・。
場所はハイツ御陵(発電所第一号機設置のアパート)。住所は山科区厨子奥矢倉町16番地です。京都薬科大学の近くです。

● 海外との連携を強めるために

脱原発を軸とした僕の海外との交流は2014年2~3月のドイツ・ベラルーシ・トルコへの訪問から始まりました。
以来、トルコに合計で4回訪れるとともにポーランドでの国際会議、ドイツでの反核サマーキャンプ、反核世界社会フォーラムinパリ、南仏反核サマーキャンプ、そしてドイツ・フランス各地および台湾での講演などを経験してきました。
これらの中でとても強く感じてきたのは「核の時代を越える」ことが世界市民にとっての大きな共通課題になっていることです。
しかも世界の多くの人はその原点としてヒロシマ・ナガサキの苦しみを受け取ってくれています。同時に福島原発事故の痛みもまたわがこととして感じてくれています。

● 日本からの発信を強めなくては

そうであるがゆえにまた世界の人々は日本からの発信を求めています。
一つ目は原爆について。これまでたくさんの被爆者が世界をめぐって証言してきてくれましたがそれで「足りている」ということではありません。新たに分かった事実も伝えねばだし、かつまた次々と成長してくる新たな世代にも話していかないといけない。
二つ目は福島原発事故という人類が経験した最も身近な激しい原発事故についてです。事故はなぜ、どうして、どのように起こったのか。かつまたその後、福島原発はどうなったのか。世界の人々が詳しく知りたがっています。
さらにこの事故を経験した日本民衆の変化を知りたがっている。一番知りたがっているのは事故後の日本民衆の頑張りです。

● ナルボンヌでの経験から

今回のナルボンヌ反核サマーキャンプは僕の提案で8月6日、9日を含む設定で開催されたので、まさにこの点でのいろいろな体験を積めました。
両日に日本からの参加者による祈りのパフォーマンスを実現できたこと、それを世界からの参加者が本当に温かく受け止めてくれたことがその中心にあります。
またこれを受けて僕も「原爆の隠された被害と日本の反原発運動の現状」について講演することができました。キャンプのオープニングにおいてでした。
11日の報告会では、こうして実現した成果について詳しくお話したいと思います。

お近くのみなさんのご参加をお待ちしています!

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明日に向けて(1616)課題は近代主義の主客二元論を越えるところにある!(社会変革と哲学-3)

2018年11月07日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1501~1700)

守田です(20181107 23:30)

哲学の考察の3回目に入りたいと思います。
前回までにこの考察の導きの糸を廣松哲学におくことを論じてきましたが、廣松さんは近代思想を「主客二元論」とくくっています。
今回はそれがどういうことか、どういう問題があるのかということをおさえていきたいと思います。
その前に廣松さんをご紹介しておきます。写真は河合塾HPの中の河合文化教育研究所のページから拝借しています。

● 近世主客二元論の構図

近代の哲学を振り返るとき、すぐに思い浮かぶのはデカルトやカントなどです。
カントなどは難解な本を何冊も書いていて、とても理解不能と思われる方が多いと思うのですが、実はまったくそうではなくて往々にしてその考え方は私たちがものを考える際の基礎になっていたりします。
それはこれらの哲学者がその「時代精神」ともよべるべきもの、その時代に発達してきた思考を最もよく論理化していたからであり、実はそれはその後に社会に浸透し、常識化していたりするのです。

ではその基軸になるものは何かというと実はいたってシンプルです。
ものを認識するということは、「自分の外に立つ対象があってこれを主体の側が認識する」と捉えられているということです。
さあ、どうでしょうか?「当たり前」と思われませんでしたか?しかし実はこれ、けして「当たり前」ではなく、近代社会の特徴的な認識観なのです。

このものの見方は二つに分かれます。ひとつが「模写説」で、対象の側から光線が発せられ、目に入り、網膜に焼きついたものを「意識」が「見る」という考え方です。対照的事物の模写が認識だという考え方です。
これとは反対にこういうベクトルをひっくり返し、もともと人間はものを認識するパターン=「カテゴリー」を持っており、これにあてはめて事物を「見る」のだという「構成説」という立場があります。
前者はニュートン力学の世界観の支えるもので、近代科学はこの上に成り立っていると言えます。これに対して後者を代表するのはカントであり、その問題意識を受け継いで考察を深めたのがフッサールなどの現象学派です。

● 人間認識はレアール・イデアール構造としてある

廣松さんはこれらを「近世主客二元論」とくくり、その特徴を明らかにしたのですが、では近代主義=主客二元論にはどのような誤りがあるのでしょうか。
最も大きな問題は人間認識の構造を誤って捉えていることにあります。認識主体と認識客体を分けてしまい、両者が独立に存在するものとした上で、客体の反映として意識が形成される、ないしは主体から対象への認識を構成していると捉えている。
しかし人間の実際の認識とは本来、対象との関わりの捉え返しとしてあるのです。このためそのものにいかに人間が関わっているのかに大きく規定されています。

どういうことかと言うと例えば私たちはお風呂に入って何気なく石鹸を使います。現実の石鹸は丸みを帯びていたり、しかくかったり、ちびていたり、どれもがそれぞれに違ったあり方をしていて同じものはこの世に二つとないものです。
でも私たちはそれを等しく「石鹸」と認識する。リアルな実物をそれ以上のあるもの=「石鹸」という意味としてとらえるのです。廣松さんはこれを「レアールなものをイデアールなもの」として捉えると説明します。現実的なものを理念的なものとして捉えるということです。
この際重要なのは「石鹸」という意味が社会的に共有されているものであるということです。それが石鹸であるのはそれを石鹸として使う文化圏の中にいてそれを使っている人々でしかないのです。その人々の共有している意識を共同主観と言います。

つまり人間認識にはそのものをどのようなものとして扱っているのか、社会的に繰り返されてきた実践を媒介に、その都度、社会的意味として受け取る構造があるのです。
その点で人間は常に対象との関わりを認識している。社会的に共有された意味を、その都度、特定の場所に存在しているあるものに付与する形で認識しています。
だから一つ一つはこの世に二つとないものなのに、等しく「石鹸」と認識できる。このように対象物を意味として捉えることを廣松さんは「所与を所識として認識する」と言い表しました。

● 己を問うことのできない客観主義を越えるために

さてこうして人間認識の構造を捉え返すことの意義は何なのか。私たちの生活実践にいきなり落とし込んでみましょう。
その際、大事のは私たちにとっての対象的世界、もっと簡単に、私たちの目の前にある世界が、実は私たちが現に関わっている社会であるということです。つまり対象である世界には私たちの関わりそのものが含まれている。
ところが近代主客二元論では対象=客体と主体が分断されており、客体は主体から独立したものと受け取られているため、しばしばこのことが見据えられないのです。

ここでも卑近な例を出しましょう。しばしばインテリの人が「日本の民衆は意識が低い」と嘆いたりします。しかし往々にしてあるのは、そう慨嘆するだけで、「意識が低い現実にいかに己が関わっているのか」という問いが起ちあがることがないことです。
「意識が低い」現実を己の外においてしまうのです。日本の民衆と己を分断しているのです。しかしこのとき「私たち民衆は意識が低い」と己を対象に含めたら見えてくる世界はまったく違ってきます。
そこからは、私たちの現実をもたらしているものとは何なのか。その現実をいかに克服していけばいいのか。まさに自分事として「われわれの課題」が見えてくるはずです。

しかし現実には対象に己を含めずに、対象と己を分断した捉え方が横行してしまっています。それで他者のことを強く批判するけれども、自分を振り返ることをしないあり方が多いのではないでしょうか。
実は近代主客二元論からはそうした己を問わない対象分析のあり方がいわば必然化もするのです。なぜってもともと客体は己と離れたところにあるものと認知されているからです。
そういう近代社会が生み出す己を問わない客観主義を越えて、対象を見つめるときに己を問うことができるものの見方-それをここでは「主体的なものの見方」と呼びたいと思いますが-をわがものとすることが哲学を論ずる上での大きな課題だと思います。

続く

*****

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明日に向けて(1615)社会運動の中でも互いの評価が厳しすぎるのでは?-自死の多い現状を越えるためにー2

2018年11月06日 22時00分00秒 | 明日に向けて(1501~1700)


守田です。(20181106 22:00)

みなさま。10月は「むのたけじ賞」へのチャレンジにしようとの思いもあって、全日、記事を書きましたが、さすがに疲れがたまり、少し間が空いてしまいました。
また頑張って記事を書き続けますのでよろしくお願いします。
前回(1614)で世界の中でも飛びぬけて多い、この国の自死についての考察を行いました。今回はもっと互いをリスペクトすると良いのでは?という点を書きます。

● 社会変革運動の中でも互いの評価が厳しすぎるのでは?

前回僕は次のように論じました。
「日本の自死の多さは、日本社会が人々に完璧さや真面目さを求める度合いが他国よりはるかに高いことに要因をおいているのではと思えます。
その結果、多くの人々が実に低い自己評価をしがちなことに少なくとも1つの要因があるのではないでしょうか。これに新自由主義のもとでの自己責任論というばかげた屁理屈が追い打ちをかけています」。

今回論じたいのは、こうした傾向が、日本の市民運動や左翼勢力、平和勢力、環境派にもあるのではという点です。
自分たちや仲間を褒めることがあまり多くなく、ダメだダメだと言い過ぎではないかなと思うことが多いのです。とくに意見を異にする他勢力や他者への批判が相当に手厳しい。優しさが乏しい。

例えばいま稼働している原発は8基。これを「もうこんなに動かされてしまった」と捉える方が多いように思います。でもそもそも福島原発事故前まで、稼働可能な原発は54基もありましたがいまは34基にまで大きく減っています。
私たち民衆はすでに20基も廃炉に追い込んだのです。しかもその34基のうち約2割強の8基しか動いてない。8割近くの26基を依然、止めているわけです。

僕はこれは福島原発事故後に目覚めた人々の力がもたらしたものだと思います。もちろんその源は、事故以前に絶滅危惧種のような状態になりながらも原発反対を言い続けてきた人々の力ですが、事故以前を思い起こすと本当に隔世の感があります。
こうした民衆の力をもっと誇っても良いのではないでしょうか。ところが日本政府を批判しているうちに「それに立ち向かわない無関心な人々が悪いと」政府よりも民衆の方をくさしがちな方も時におられるのではないでしょうか。

● やはり「隣の芝は青く見える」のでは?

またドイツなどと比較して日本がどんなにダメなのかを強調する論も強い。でもこれってある部分は明治以来の西欧コンプレックスの1つでもあるのではないでしょうか。
実際にドイツに行って思ったのは、ドイツはドイツでさまざまな問題、矛盾を抱え、苦しみもがきながら進んでいるということです。
しかもみんながみんな主体的に政治に参加しているというわけではけしてない。ドイツにも無関心な人はいるし、最近ではシリア移民問題を背景に排外主義を唱える勢力の台頭もあります。
これと例えば僕が知り合ったドイツの友たちは懸命に向き合い続けています。ただドイツを美化するだけでは、こうした現に生じている葛藤の中でのドイツの心ある人々の奮闘を十分にシェアできないように思えます。

● 民衆運動の先達が作りだしてきた成果に感謝を!

ともあれ僕が言いたいのは日本にももっと良いところがあり、その中には日本民衆運動が作り出してきたものもたくさんあるということです。
例えば大国の中で第二次世界大戦以降、自国軍隊にいまだに戦闘をさせず、人殺しもさせてないのは日本だけです。
もちろんアメリカの核の傘の下でのことですからそれこそ美化できることではない。でも日本社会の他国と比べた安全性は、町を歩いてる人殺しの数が圧倒的に少ないことにもよっています。だからOECDの中で最も他殺される可能性が低いのではないか。

それはこの国の民衆が「戦争は二度としない」とえいえいたる努力を重ねる中でもたらされたもので、私たちにとっては先達の努力によって贈られてきた「平和力」というべき尊いものなのではないでしょうか。
僕はもっとこうした先達の努力と奮闘への感謝の念を持ち、この国の民衆が培ってきた「平和力」に誇りを持つべきだと思うのです。

さらに言えば、私たちは私たち自身をも、もっとリスペクトし合って良いのではないでしょうか。もっと互いに優しくなると良いのではないでしょうか。
私たちが守ろうとしている憲法にはそれも人権の尊重として書かれてもいるとも思うのです。他者を信じ、だから武力を放棄し、話し合いで国を守ろうとする精神。その魂というべきものは常に他者をリスペクトしていく観点ではないでしょうか。
そんな観点に立ったムーブメントを私たちがいつも意識的に作り出すことの中から、1日に何十人もが自死しているこの哀しい現実を越える道が見えて来たらいいし、日本社会の矛盾そのものを越え出ていく道も見えてきたらよいなと僕は思うのです。

終わり

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明日に向けて(1614)自死の多い日本の憂うべき現状を越えていくために-1

2018年10月31日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1501~1700)

守田です(20181031 23:30)

●自死について・・・

少々唐突ですが自死について述べたいと思います。
僕が参加しているあるMLの中で、ある方が「最近、自殺現場によく遭遇している。何が起こっているのだろうか。どう捉えたら良いのだろうか」と書かれていてどうしてもお答えしたくなり書いた一文です。今宵、多少手を加えて投稿します。

〇〇様

自死について述べたいと思います。最近、僕も電車で移動中に先行の列車の自死と思われる事故で数時間遅れることに遭遇しました。
事件が起きたと思われる場を通過するときに祈りを捧げましたが、事故があったこと、電車が遅延することは繰り返し車内放送で知らさせるものの、当事者の方がどうなったのか、生きているのか否かも伝えてもらえませんでした。
それで生きておられるならどうか早く治ってくださいとお祈りしましたが、なんというか人が亡くなったかも知れないのに、電車がどれだけ遅れるかにだけにしかフォーカスしないあり方に悲しい気がしました。

● 自死は2003年約3.4万人から2017年約2.1万人と減ってはいるが自死率はまだまだ高い!

さてそれで自死そのものですがピーク時の2003年が約3.4万人だったことに対して、2017年は約2.1万人と、このところ減少傾向にあるとされています。
それでも1日平均58人もの方が亡くなっているのですから大きな社会矛盾です。この点については以下の統計をご覧ください。
https://www.jiji.com/sp/graphics?p=ve_soc_tyosa-jikenjisatsu

世界の中の自死率比較を見てみるとある統計で日本は上位の13位となっています。OECD参加国に限ってみると1位韓国に次ぐ2位でやはりとても高い。
ちなみに日本は他殺される可能性はOECDの中で一番低く、アメリカの十分の一、メキシコの三十分の一で、その点での安全性は高い国です。
しかし自死率はとても高いのです。各国の順位を掲載した上で、それぞれの国の自死殺率の高さの要因をさぐった記事をご紹介しておきます。
http://english.cheerup.jp/article/5223?page=1

ただしこれらの統計にはより多くの数である「不審死」が含まれておらず、この中に自死が含まれうることを考えればもっと格段に多いはずだという声がネットに挙げられていることも紹介しておきます。
確かにそうなのかもしれません。しかし僕の調査ではこの点を裏付ける正確な情報を得られませんでした。

● 日本の自死率が高いのは完璧を求めすぎるからではないか?

これらにはさまざまな要因がはらんでおり一概に論じれない問題も多い。新自由主義のもとでの競争で人々が追いつめられているのは確かですが、それだけではとくに日本が高い理由が見出せない。では何が要因なのか。
あくまでも推論にすぎませんが、僕は日本の自死の多さは、日本社会が人々に完璧さや真面目さを求める度合いが他国よりはるかに高いことに要因をおいているのではと思えます。
その結果、多くの人々が実に低い自己評価をしがちなことに少なくとも1つの要因があるのではないでしょうか。

これに新自由主義のもとでの自己責任論というばかげた屁理屈が追い打ちをかけています。
自己責任論は多くの場合、本来社会の側に原因のあることを本人のせいに転嫁する卑劣なレトリックとして使われています。

と言っても完璧さや真面目さを求める志向性の全てが否定されるものではなく、それが高い職人意識などを形成し、芸術、芸能、工芸などさまざまな点で優れたものを生み出す原動力の一つにもなっているのも確かです。
しかし他国に比べた場合、それがこの国の生きづらさにつながり、新自由主義のもとで強まっているのではないかと思えます。

続く

*****

連載1600回越えに際してカンパを求めています。振込先を提示しておきます。よろしくお願いします!

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