明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(1933)玄海原発3号機(プルサーマル)の再稼働に強く抗議します!

2020年11月25日 22時30分00秒 | 明日に向けて(1701~1900)

守田です(20201125 22:30)

玄海原発3号機が特重施設なしに再稼働

11月21日に九州電力が、定期点検で停止中だった玄海原発3号機を起動させました。同日午後11時41分に臨界に達し、23日午後2時に発電を再開しました。
これで日本で現在稼働中の原発は、玄海4号機、川内1号機と合わせて3基になりました。ただし川内1号も玄海3号も営業運転を開始するのは12月中旬なので、実際に営業的に電気を供給しているのはいまも玄海4号機1基です。
その玄海4号機も、3号機が営業運転に復帰するや、停止して定期点検に入ります。稼働原発がわずかに1~2基という状態がまだしばらく続きます。


ただし今回の再稼働も問題だらけ。実に腹立たしいです。とくに強調したいのは玄海3号機も4号機も、特定重大事故等対処施設なしに動いていることです。
この施設は2013年に施行された新規制基準によって設置が義務付けられたもの。しかし2018年まで5年も猶予を与えられたのでした。ところがどの電力会社も期限内に作りませんでした。
そうしたら原子力規制委員会が、この施設の工事認可を受けてから5年まで期限を再延長してしまいました。それでもなお電力会社が設置をせず、本年3月川内1号機、5月2号機、8月高浜3号機、10月4号機が停まったのでした。

では玄海原発はどうなのかというと、最も期限が来るのが遅いのです。3号機が2022年8月24日、4号機が2022年9月13日です。
それまでこの特定重大事故等対処施設を作らなくて稼働できることになっているのですが、これはもう詐欺みたいなものです。福島原発事故の教訓を踏まえるとかいいながら、事故から10年以上も新設備を作らないのですから。
しかも川内1号機の再稼働の時に指摘したように、この設備の中核をなす免震重要棟に関して、九州電力が新規制基準に合格して以降に、約束を反故にし、作らないことにしてしまいました。酷さが二重、三重に重なっています。



玄海3号機はプルサーマルを行っておりより危険

玄海3号機の危険性は、プルサーマルが行われていることにもあります。プルサーマルとはウラン燃料にプルトニウムを混合させたMOX燃料を使った運転のこと。より核分裂性の高いプルトニウムを使用するのですから、危険性が高くなります。
もともと日本にある原発はすべてウラン燃料で運転するように設計されており、プルトニウムを混ぜた燃料の使用など想定されてなかったです。それなのに混ぜてしまった。
何故なのか。おもにMOX燃料を使うはずだった高速増殖炉もんじゅが、何年経っても稼働せず、プルトニウムがどんどんあまり、MOX燃料も使用先を失ったままになってしまって、追い詰められたからです。


本来はここで核燃料サイクルの破たんを明らかにし、プルトニウム使用を断念すべきでした。しかしそうなると「使用済み燃料」がプルトニウムを取り出す財からただの廃棄物に変わってしまう。資産価値もなくなってしまう。
それをふせぐために無理やり、形だけでもプルトニウムを使っている事実を作るために編み出されたのが、プルサーマルでした。
実際に行われ始めたのは、柏崎刈羽3号機(28体)、浜岡4号機(88体)、高浜3、4号機(48体)、伊方3号機(21体)、玄海3号機(36体)です。カッコ内はそれぞれの原発が持っているMOX燃料集合体の数です。

この中でトップを切ったのが玄海3号機。2009年12月のことでした。しかし2010年12月から定期点検に入ったのち、福島原発事故が起こって動かせなくなり、2018年3月にほぼ7年ぶりに再稼働しました。
しかしすぐに腐食した配管から蒸気漏れを起こしました。このとき当時の九電瓜生社長は「何があるか分からないと言っていたが現実になってしまい残念だ」と語り、批判を浴びたのですが、その後も、稼働を続けてきています。
玄海3号機は、もともとも設計思想にないより核分裂性の強いプルトニウムの使用という無茶をしています。それでいて特定重大事故等対処施設、いや実際には重大事故等対処施設と呼ばれるべきものも完成させていない。酷い状態です。


使用済みMOX燃料は狭い燃料プールに置くしかなくとても危険

九電によると今回の定期点検で、こうして無茶に使ってきたMOX燃料のうち16体が炉内から取りだされ、燃料プールにいれられたそうなのですがこれも大問題!
一つにMOX燃料は通常の核燃料より核分裂性が高いため、使用後の熱もよりたくさん発するのです。燃料を冷やすためのプールに、より高い負担をかけるのです。
しかも通常の核燃料は六ケ所村の再処理工場に運び出し、再処理にまわすことになっています。実際には六ケ所村がいつまでたっても完成しないので、再処理にまわせず、燃料プールがどんどん埋まってしまっています。


この上に燃料プ―ルに入れられた使用済みMOX燃料は、実は処理方法が決まってない。もちろん処理施設もない。となるとただでさえ手狭になった燃料プールに置き続けるしかなくなる。熱量が高いのに。
九州電力はこの状態を見越し、玄海原発3号機の燃料プールのリラッキングをこの12月から始めようとしています。
リラッキングとはラックを作り直すこと。要するに核燃料を入れる間隔を狭くして、プールの容量を増やすことですが、これまた詐欺のようなもの。

なぜなら使用済み核燃料に含まれるウランとプルト二ウムなどの核物質は、ある一定の量が集まると臨界状態になり、爆発してしまう危険性をもっているからです。
だからプールでは冷やすだけでなく、核燃料を間隔をあけて保持することが必要であり、そのためにラックが作られているのですが、なんとそれを狭めるという。
しかもそんなところにより熱量が高くて、よりプルトニウムも入っている使用済みMOX燃料がすでに入れられている。なんだかもう滅茶苦茶です。

問題はすべて核燃料サイクルが、もんじゅが廃炉になり、六ケ所村再処理工場もいつまでも完成できず、完全に失敗しているのに、「生きているふりをしている」ことの無理から生じています。
それが何重にも危険性を大きくしているのです。玄海3号機の稼働はあまりにも危険。すぐに停めよと訴え続けましょう。

#玄海原発3号機 #原発再稼働反対 #プルサーマル #MOX燃料 #リラッキング

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明日に向けて(1932)資本主義は暴力の広がりの中で登場し市民革命という暴力で政治支配を確立した(われわれはどこからどこへ行くのか-3)

2020年11月25日 14時30分00秒 | 明日に向けて(1701~1900)

守田です(20201125 14:30)

「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」の考察の続きです。
今回は資本主義の成立から市民革命までを俯瞰します。

商業圏が暴力的に広がっていった

資本主義にいたる過程で、大きな社会的作用を及ぼしたのが大航海時代だったことを前回見ました。
この時代は羅針盤の登場で航海がより遠くまでできるうようになって、商業圏が一気に拡大していくとともに、火薬の登場によって武力が飛躍的に大きくなり、暴力が全面開花しました。
船には大砲がすえられ、大きな海戦が何度も起こりました。資本主義には、その発生からして大きな暴力性が宿っていたことを見ておく必要があります。


レパントの海戦(1571年) オスマン帝国対教皇・ベネチア・スペイン連合の戦い


アルマダの海戦(1588年) イングランド対スペインの戦い 海戦では火力が勝敗のカギを握っていた

それでも資本主義時代の前まで、商人たちは自分たちで商品を作っているわけではなく、あるところのものを商品として、違うところに運んでいるに過ぎませんでした。
生産活動は商品経済の外側で行われており、資本主義はそこには及んでいませんでした。
生産はそれまでの社会構造の中で行われており、商品交換は共同体と共同体の間でおこなわれているにすぎませんでした。


商品交換が私有意識、個人意識を促進した

しかし商品交換の急速な進展は、共同体内部に変化をもたらせはじめました。それまで世界の多くの地域で、モノとは人や社会に縁のあるもので簡単に交換できませんでしたが、それが急速に変えられていったのです。
例えば日本の中世の場合、モノは縁を断ちきらないと他者に渡すことができませんでした。それで聖なる場である市場に投げ込んで縁を切り、やっと譲渡可能なものすることができました。
このため市場の「売り買い」を担うことができたのは、属性と縁を断っている聖者たち、禅宗の僧侶などでした。


日本中世については網野善彦氏の研究に詳しい

ところが商品交換が共同体内部に浸透し出すと、モノと人の縁が薄くなりだしました。これとともに資本主義社会以前には主流ではなかった「私有」概念もまた強まりだし、これともに近代に主流になる個人意識も生み出されました。
共同体から無縁で、切り離された「私物」であってはじめて「交換」の場に持ち込めるからですが、それは共同体的生産の中で「われら」として捉えられていた自分を「われ」と捉える意識をも強めたのでした。
こうした「私有」意識は、それまでは共有財産であり、誰ものもでもなく誰のものでもあった土地に対してももたらされはじめました。「土地所有」という、それまでは希薄だった意識が膨れていきました。

ルネ・デカルトの『方法序説』1637年「Cogito ergo sum=我思う、ゆえに我あり」など近代個人主義哲学の祖とも言われる考察が


イギリスで農村から人々が追い出された

こうした中で、歴史的にはスペインを打ち負かして制海権を得たイギリスの、ある特殊商品が大きな歴史的位置を持つこととなりました。
販路の拡大の中で毛織物の需要が高まりだし、原料の羊毛の社会的価値があがっていったのです。
これに目を付けたイギリスの領主たちが、羊をたくさん飼って羊毛を売るために、それまでの農地を囲い込んで住んでいた人々を追い出し、牧場に替え始めました。これを「囲い込み」=エンクロージャーといいます。

重要なのはそれまで領主によって土地と共にあるものとして統治されていた人々が、土地(生産手段)から切り離されたことでした。
これらの人々は行き場を失って都市に流入して貧民となりましたが、領主の持ち物でもあった封建的な人間関係からも自由になりました。
しかし耕す土地がない。封建関係からは自由でも生きていくための生産手段がない。都市にはこうした貧民が溢れるようになりました。


『ユートピア』の著者トマス・モアは、エンクロージャーを「羊が人間を食べている」と批判

資本主義の成立と市民革命

商取引の中で財を蓄積した人々はさらに羊を飼うだけでなく、自分たちで織物を作りはじめました。小さな工場(マニファクチャ―)が作られだしました。自らの財を資本として使いだしたこれらの人々が資本家階級(ブルジョアジー)を形成していきました。
資本家階級は、自らの資金で工場や工作機を買うとともに、都市に流入した生産手段のない人々を雇い入れ、これらの人々に生産を担わせ始めました。雇用という形で貧民の労働力を商品として買い、使いだしたのです。
こうして工場などの生産手段と、労働力を商品として購入し、生産を行って新たな商品を作り、それを売ってより大きな価値を得る仕組み=生産をも商品形態のうちに行う資本家的商品経済の仕組みができあがりました。

この際、生産手段を持たないがゆえに無産階級とも呼ばれた人々が、自らの労働力を売って生活していく労働者階級(プロレタリアート)となりました。
こうなってくると、かつて商人を保護しつつ支配もした王たちの力は、自ら商品を生産して自由な売り買いをはじめた人々=資本家階級(ブルジョアジー)に煙たがられだしました。
ブルジョアジーたちは、税の支払いを求める王の支配を否定して「自由主義」を掲げました。その力はやがて王政を倒す市民革命に結実しましたが、この際、プロレタリアートもブルジョアジーとともに王政を倒すために起ちあがりました。

こうして資本主義は旧制度を一掃して新時代を切り開きましたが、この市民革命もまた徹底した暴力の行使によってなされました。とくにフランスではギロチン台が登場して多くの王族の首がはねられました。
この点で資本主義にはその登場を促した大航海の時代も、政治権力を王達から奪取した「市民革命」の時代にも、強い暴力性がまとわりついてきたことをおさえる必要があります。


「民衆を導く自由の女神」ドラクロワ画 しかしフランス革命の暴力性から問い直す必要があるのでは?

#資本主義 #火薬の登場 #羅針盤 #商品交換 #方法序説 #エンクロージャー #マニファクチャア #ブルジョアジー #プロレタリアート #市民革命 #資本家階級 #労働者階級

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明日に向けて(1931)『放射線副読本すっきり読み解きBOOK』を読む会、再再度、イギリスと日本を中心に行います(12月20日日曜日)

2020年11月24日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1701~1900)

守田です(20201124 23:30)

10月17日、11月15日に、守田+原発を考える在英日本人有志で、イギリスと日本と世界各地をつないだBOOKの読み会を行いました。
おかげさまでたいへん好評!ぜひ3回目もという嬉しい声におされてまたまた設定しました!12月20日(日)10:00AM 英国時間 、7:00PM 日本時間開始です。
3回目になるのでBOOKの最後まで読み解きます。各地の読み会で前半部分の読み解きしか参加してない方にも超お勧めです。



上は1回目、下は2回目に参加されたみなさん


放射線の危なさが隠されている!

福島原発事故をきっかけに、文部科学省から出版されて日本全国の小中学生に配られた『放射線副読本』。
放射線被曝の危険性の説明がほとんどない本です。大切なことを書かないことで放射線を友だちかのようにあらわしています。福島原発事故のことにもほとんど触れられていない。
それだけに読むととてもモヤモヤします。その理由がなぜなのかをそれぞれのページごとに解きあかしたのがこのBOOKです。

放射能のことは世界の問題です。アメリカ・ロシア・イギリス・フランス・中国が核兵器を持っていて、核実験が繰り返してきたからです。他にもインド・パキスタン・朝鮮民主主義人民共和国が持っている。イスラエルも?
原発を持っている国はもっと多いですが、核兵器をもって核実験をしてきた国も、原発をもって大小の事故を繰り返してきた国も、みんな被曝影響を小さく見つもり、本当の害をかくしてきました。
この点では東西対立なんてなかった。どちらの陣営も「一番大事なことを黙殺する」テクニックを使ってきました。

文科省発表の『放射線副読本』にも、そのテクニックがたくさん使われています。
でも反対に考えれば、このテクニックをしっかり学び、騙されないようにすることに、放射線から命と身体を守るエッセンスがつまっています。
それは国家のあらゆる嘘から身を守ることにもつながっています。多くの人とBOOKを読みたい理由はそこです。


2012年までに繰り返されてきた核実験の数 アメリカと旧ソ連がダントツ

読む会の詳細

「読み会」では国に騙されない知恵をみんなでシェアしていきます。特徴は役割分担して音読すること。声を出すと内容の理解が不思議と深まります。
ほんと?どんな感じなの?と思われる方はまず以下の記事を読んでみて下さい。京都の長岡京市での読み会の報告です。感想が寄せられています。

明日に向けて(1916)『放射線副読本すっきり読み解きBOOK』・・・こんな風に読まれてます!(長岡京市での読む会より)
https://onl.tw/jHZk7VK


長岡市での読み会より

さて12月20日の会に参加してみようと思われた方に詳細をご説明します!
主催 守田+原発を考える在英日本人有志 参加費:無料(カンパ大歓迎。読書会終了後、カンパの方法をお伝えします)
日時:2020年11月15日日曜日10:00AM 英国時間 19:00PM 日本時間

ZOOMを使いますが、事前登録が必要です。以下からご登録ください。
https://us02web.zoom.us/meeting/register/tZMldOmsqzstGt1B6NMradapUOa0YUZET-XX

登録後、ミーティング参加に関する情報の確認メールが届きます。
問い合わせ:加藤ウォーバーグ啓子
londonjpdialog@gmail.com

BOOKは以下のページから無料ダウンロードできます!
https://nyoki2pj.com/lp/info_yomitokibook/

Facebookページもご紹介しておきます。
https://fb.me/e/1OtZHbjzc

みなさま。ぜひ世界のあちこちからも、日本からもアクセスしてきてください!
どしどしつながって、命を守る温かい輪を広げていきましょう! 

#放射線副読本すっきり読み解きBOOK #文科省 #放射線防護 #核兵器反対 #原発反対

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明日に向けて(1930)放射線は発見とともに深刻な被害を生み、労働者保護の目的で国際放射線防護委員会の前進の組織が生まれた-ICRPの考察2

2020年11月22日 20時27分06秒 | 明日に向けて(1701~1900)

守田です(20201122 20:30)

明日に向けて(1927)からはじめた国際放射線防護委員会(ICRP)の考察の2回目をお送りします。
今回は中川保雄さん著、『放射線被曝の歴史』を少しく離れ、その前の歴史をおさえます。


写真は映画「ラジウム・ガールズ」予告編のバナーです。今回の記事の最後に出てきます・・・

放射線の発見と共に被曝被害も発生-エジソンの助手のダリ

ICRPはどのようにして今のような過小評価された放射線評価をするにいたったのでしょうか。
この組織は1928年にアメリカで成立した組織が国際化した「国際X線およびラジウム防護委員会」を前身としています。
もともとは1895年にヴィルヘルム・コンラート・レントゲンに発見され、商業的に使われるようになった放射線から、労働者を保護することを目的とした組織でした。


レントゲン博士 ネットより 

レントゲンによる発見は、世紀の大発見ともてはやされました。
これに目を付けたのが発明王エジソンでした。エジソンは「透視用暗箱(Flouroscope)」や「X線照明装置」の開発で大儲けしようとしたのです。


透視用暗箱(Flouroscope) ネットより 

それで助手のクリアランス・ダリを実験モデルにして手などを何度も撮影しましたが、ダリは被曝により指を失い、両腕を切断し、最後は多臓器ガンで亡くなりました。エジソンも失明しかかり、この領域からの撤退を決めました。


被曝でひどくなりはじめたダリの手。やがて指、そして両腕切断に

研究者も深刻に被曝-ベクレルとキューリー夫妻

一方で研究領域では、アンリ・ベクレルがウランから放射線が出ていることを発見。これにマリー・キューリーとピエール・キューリーが呼応して放射線に関する共同研究が進められ、1903年に第3回ノーベル物理学賞を得ました。
しかし被曝の恐ろしさに気が付かなかった3人は、ウランを机の引き出しに入れたり、ラジウムや放射性物質を入れた試験管をポケットにいれて運ぶなどして繰り返し被曝。
ベクレルはノーベル賞受賞5年後に55歳の若さで心疾患で亡くなりました。ピエール・キューリーも3年後に馬車にひかれて死亡。謎が多いのですが、激しい疲労と疼痛に苦しむ状態で、迫りくる馬車に気づけなかったためとも言われています。


その後、一人生き残ったマリー・キューリーは、一連の研究でラジウムとポロニウムを発見したことを評価され、1911年にノーベル化学賞も受賞しました。
彼女は女性の社会的地位が低い中、夫であり共同研究者の突然の死に直面し、しかもその後に「不倫」疑惑などでひどいバッシングを受けたのですが、それらを越えての2度のノーベル賞受賞は快挙でした。
しかし受賞後にうつ病と腎炎で入院。やがて回復したものの、指も損傷し、白内障でほぼ失明。1935年に66歳で再生不良性貧血によって亡くなりました。


マリーも被曝で指を失った ネットより

工業への応用でも被害が-ラジウム・ガールズ

当時、放射性物質は、被曝の危険性が十分に把握されないままにもてはやされ、マリー・キューリーらが発見したラジウムは蛍光性があるため、時計の文字盤などに塗られるようになりました。
とくにアメリカのニュ-ジャージー州に設立された米国ラジウム社(民間軍事会社)は、コロラド州やユタ州から掘り出したラジウムからラジウム塗料を開発。1917年からこれを文字盤に塗る作業を開始し、たくさんの女性を雇用しました。
塗布にはラクダの毛のブラシが使われましたが、ラジウム社は女性たちに唇や舌でブラシを整えながら塗ることを指示。次々と被曝が発生してしまいました。貧血、骨折、ラジウムあご(あごの壊死)などが起こり、死亡が続きました。


映画「ラジウム・ガールズ」より 筆先を舐めながらラジウムを塗布

この犠牲者たちが、後に「ラジウム・ガールズ」と呼ばれるようになりましたが、1928年11月に、ラジウム文字盤塗装の発明者であるサビン・アーノルド・フォン・ソッチョキ―博士もまた放射線障害のために死亡。
それを前後して女性労働者たちが訴訟を起こし、被曝の危険性にようやく社会的焦点が。彼女たちは心身の苦しみを抱えながら奮闘。やがて勝訴にいたりました。これが後の「労働安全衛生局(OSHA)」設立にもつながっています。
このような経緯の中でICRPの前身である「国際X線およびラジウム防護委員会」が1928年に設立されました。研究者のみならず、労働者の命と身体を被曝から防護することを目的としていました。

なお「ラジウム・ガールズ」が本年映画になりました!予告編を以下からご覧下さい。
"RADIUM GIRLS" 2020 OFFICIAL TRAILER
https://youtu.be/gLWkV7XzlwE

続く

#ICRP #国際X線およびラジウム防護委員会 #レントゲン #エジソン #ダリ #マリーキューリー #ピエールキューリー #アンリベクレル #ラジウムガールズ

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明日に向けて(1929)川内原発、規制委員会との約束を反故にし免震重要棟のないまま再稼働ー即刻停めるべきだ!

2020年11月20日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1701~1900)

守田です (20201120 23:30)

川内1号機が送電を開始・・・しかし本当は新規制基準すら守っていない

17日に再起動した川内1号機が昨夜19日午後11時すぎから発電を再開しました。
今後、原子力規制委員会の最終検査を受け、「問題がなければ」12月中旬には営業運転に復帰する見込みとされています。
しかしそもそも新規制基準は「重大事故」が起きうることを想定し、その時のための対応を求めたもので、安全性を確保したものではありません。その点で再稼働は危険で認められないことを前号で書きました。

今回さらに指摘したいのは、九州電力が原子力規制委員会への新規制基準での審査の申請の中では作ることを約束していた「免震重要棟」を作らなかったことです。
約束を反故にし、新規制基準すらきちんと守っていないのです。本来ならこれで許可を取り消すべきなのに、規制委員会は「不快」を表明したまま、いままで運転を認めてきてしまいました。その点で二重に酷い。
免震重要棟は、大地震に見舞われた際の指揮所にすべき建物のこと。大地震のあとは大きな余震が続きますが、その中で事故対応ができることを求めたものです。


佐賀新聞 2015年12月26日

ところが九州電力は新規制基準をパスして二基の原発を再稼働したあとに、「免震重要棟」建設の撤回を表明。免震棟ができれば廃止するとしていた「代替緊急時対策所」を使用することに代えてしまいました。
これに対し原子力規制委員会は不快感や不信を表明したに関わらず、再稼働の許可を撤回しませんでした。これをみた他の電力会社が九電に追従。関西電力も免震重要棟建設を撤回してしまいました。
その点で、九電や関電の原発は、重大事故の発生への対処を求めた新規制基準すら十分に守らずに動き続けているのです。



東京新聞 2016年2月7日


免震重要棟とは

もう少し詳しく見ていきましょう。そもそも免震性とは揺れそのものを建物が吸収すること、耐震性とは揺れで建物が壊れないこと。指揮は揺れがあってはまともにできない。だから免震棟が求められたのです。
福島原発には、事故の直前に建てられたこれがあった。だからまだしも対応ができたそうです。それであれだけの被害が発生したのです。
このことを百も承知ならが、九電は免震重要棟建設を撤回して、旧来の「代替緊急時対策所」を使う言い出しました。ところがこの施設は耐震性すらない。このためその近くに耐震構造の「支援塔」を建てるのだそうです。


九州州電力が川内1,2号機の審査を申請したのは2013年7月。その際、免震重要棟を15年度に設置すると明記し、これに対し規制委員会は2014年9月に1,2号機を新規制基準に適合と判断。再稼働の認可を与えました。九電は2015年8月に1号機を、10月に2号機を再稼働させ、その後の同年12月に、免震重要塔建設計画を撤回したのです。時間的経緯からいって、完全なだまし討ちです。
しかし再稼働の許可の撤回はなされず、2016年9月13日にこれを了承してしまいました。九州電力も九州電力なら、規制委も規制委です。


東京新聞 2016年9月14日

これで九電と規制委に、いかなる信用をおけというのでしょうか?まったく信用できません。
こんなひどいやり方で再稼働を強行されている原発で何かが起こった時、まともな対応ができるとはとても思えません。
だからこそ、川内原発の再稼働をやめるべきなのです。この点を繰り返し主張していきましょう。


東京新聞 2016年1月27日

#九州電力 #新規制基準 #川内原発 #免震重要棟 #原子力規制委員会

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明日に向けて(1928)川内原発1号機が重大事故を起こしうることを前提に17日より再稼働・・・強く抗議します!

2020年11月19日 14時30分00秒 | 明日に向けて(1701~1900)

守田です(20201119 14:30)

安全性はまったく確保されていない

11月3日に関西電力の大飯原発4号機が停まり、日本の中での稼働原発は玄海4号機1基になっていましたが、九州電力が川内1号機を17日に起動させました。
昨日18日に臨界に達し、本日より発電を再開、12月中旬に営業運転に移行するとされています。これに続いて川内2号機も12月中の再稼働が目指されていますが、あまりに危険なので強く抗議します。

もっとも大きな理由は、再稼働が「重大事故」が起こりうることを前提にしているからです。
重大事故とは格納容器から放射性物質が漏れ出す事故のことで、もともとシビアアクシデント(過酷事故)と呼ばれてきたもの。事前に作られた安全装置が突破されてしまった想定外の事故です。
この点でそもそものシビアアクシデント対策には大きな矛盾があります。想定外のことへの対策を想定せんとしているからです。

それで「多重防護」になってしまう。一つの対策が突破されたらその次のものでと防護を重ねているのですが、どの防護施設も、確実に事故を止められる確証がないから他を重ねているわけで、事故対策としては失格です。
その点で「重大事故等対処施設」、そしてその上にさらに対策を重ねたとする「特定重大事故等対処施設」が完成しようと、安全性はまったく確保されていません。だから稼働を認めるわけにはいかない。

ちなみに鹿児島の「ストップ川内原発!3.11鹿児島実行委員会のみなさんが、17日にゲート前で抗議行動をしてくださいました。共感しました。頑張りに感謝申し上げたいです。
ニュースをシェアします。今なら動画も観れるのでご覧下さい。

再稼働迫る川内原発1号機 反対派が抗議活動 鹿児島・薩摩川内市 鹿児島ニュースKTS
https://news.yahoo.co.jp/articles/9183fc3a1674d6d22c2b360557720c1d9e774f3c?fbclid=IwAR03aM0gUOHSfcQmq8ERvsh4z0sZakQ6JRVUybT-lnP3uQDNu8vPdyznEfE


鹿児島ニュースKTSより


特定重大事故等対処施設=テロ対策施設というごまかし

次に今回、「全国で初めて完成」などと報道されている「特定事故等対処施設」を「テロ対策」などとマスコミに呼ばせていることのあやまりを指摘します。
この施設は「重大事故等対処施設」の上に、航空機の衝突などのテロ対策を上乗せしたものとされますが、良く分析すると、明らかに「重大事故等対処施設」に組み込むべきことが入れられている。

なぜか。時間稼ぎだと思います。「重大事故等対処施設」なしの再稼働をさせては、さすがに原子力規制委員会の存在意義がなくなるので認められないけれど、これらを作るためには資金も時間もかかる。
それなら福島と同じ型の沸騰水原発の多い東日本の原発がすぐに動かせないことをみすえ、加圧水型原発をできるだけ早く動かせるようにするために、一定の設備を「テロ対策」に移してしまったのです。

図で説明します。以下の九州電力の発表をご覧下さい。
玄海3,4号機の特定重大事故等対処施設の設置について
2018年1月25日 九州電力株式会社https://www.pref.saga.lg.jp/kiji00359890/3_59890_82783_up_ugje486o.pdf


このうちの「テロ対策」施設は黄色い囲みのところ。テロで中央制御室が使えなくなった時の備えとされています。しかしもともと「免震重要棟」という大地震でも使える指揮所を作れということから始まっているので自然災害対策施設です。
「フィルターベント」も、事故で格納容器内の圧力が高まったときに、放射性物質を含む気体をフィルターをごしに外に出す装置のことで、重大事故対策施設です。窒素ボンベも本体内に置かれたもので「テロ対策」とは言えません。
実はこのうちの「フィルターベント」を「テロ対策」としているのは「加圧水型原発」だけのこと。「沸騰水型原発」ではフィルターベントは「テロ対策」に入っていないのです。

原発が破壊的なテロを受ける可能性を、人々がそれほど感じてないからいまは「テロ対策なら伸びても仕方ないか」と思わせることが可能だとしてここに組み入れたのでしょう。
しかし新規制基準で決めた基本的な重大事故への対処施設を7年間も完成しないままに再稼働させてきたのだからとてもたひどい話です。許されることではありません。

ちなみに本当にテロ対策が必要になる時は、即刻運転をやめ、一刻も早く使用済み燃料をプールから降ろすべきです。ただし熱量をもった燃料棒を下すまでに停止から数年かかります。破壊工作の可能性を知った時はもう遅いのです。

続く

#川内原発 #重大事故等対処施設 #特定重大事故等対処施設 #テロ対策施設 #原発再稼働反対

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明日に向けて(1927)ゆがめられた放射線防護を問うーシリーズ国際放射線防護委員会(ICRP)の考察1

2020年11月18日 12時30分00秒 | 明日に向けて(1701~1900)

守田です(20201118 12:30)

放射線被曝の危険性についての見識を深めなくては

福島原発事故から10年を迎えるにあたり、あらためてここで放射線被曝に関する考察を深めたいと思います。
なぜそうなのかというと、この10年間、この国の民衆運動の中で脱原発、反原発の機運は大きく育ってきましたが、放射線防護の面でもっと見識を広げなければと思うからです。
端的に言って、脱原発を唱える人々の中で、被曝影響に対する見方はさまざまですが、僕はもっと危険性を共有することが大事だと思います。

とくに僕は、東京を含む東日本の多くのところが、残念ながら激しく被曝していて、今でも危険性が高いと考えていますが「それは考え過ぎだ」と思われる方も多い。
また十年前の福島原発事故の時も、いやゆる革新政党の中で、被曝から身を守るための避難を呼びかけたところはありませんでしたし、いまも避難を勧める論調は少ないです。
そもそもあのとき政権は民主党で、官房長官だった枝野氏は「ただちに健康に被害はない」としか述べてくれませんでした。避難指示は原発から20キロ程度のところにわずかに出されただけでした。

このことが捉え返されていない。
しかし実際には多くの方が、原発の近く、いや東日本から、日本から飛び出しました。果敢な避難の決行でした。僕は当時もいまもこの行動を熱烈に支持しているし、心からの感謝の念を持っています。
しかしそれはもっと広がらなくてはいけない。では壁を破るためにはどうしたら良いのか。放射線被曝の影響が幾重にもわたって過小評価されてきていることをしっかりとつかみ、広げることが大事だと思います。


福島原発事故による被曝 早川由紀夫さんの労作


被曝影響の過小評価を捉え返すために

この間、そのために幾つかのことに着手してきました。一つは文部科学省が出版した『放射線副読本』を読み解くことです。
この本は「放射線」についての本とされながら、被曝の危険性がまったく書かれていません。書かないことで危険性を無視して、人々の警戒感を薄めようとしています。
そんなものが全国の小学校・中学校に配られてしまっているわけですが、それでは逆手に取ろうと「読み解きBOOK」を作り、各地で読み会を行っています。

以下から無料ダウンロードできるのでぜひゲットしてください。また各地で読み会を行っていただければと思います。
https://nyoki2pj.com/lp/info_yomitokibook/

もう一つ、力を注いできたのは、被曝の遺伝的影響の追究です。
僕は京都「被爆二世三世の会」に参加していて、仲間たちと「被爆二世三世健康調査アンケート」を行っています。私たちの実感では遺伝的影響は確実にある!
その点で二世は被爆者の体験を語り継ぐだけの存在ではなく、まさに被爆の当事者として、核兵器の非人道性、放射線被曝の危険性を告発していく必要があります。

ぜひこれにも参加していただきたいです。以下の現在進行形のアンケート用紙のアドレスを記します。
被爆二世三世でない方もぜひご覧になってください!
http://aogiri2-3.jp/chousa/2020chosa.pdf


国際放射線防護委員会(ICRP)について学ぶ意義

今回から始めるシリーズは、『放射線副読本すっきり読み解きBOOK』や「被爆二世三世健康調査アンケート」とリンクしつつ、さらに歴史的理論的考察を深めるものです。
そのために放射線防護の歴史に立ち返り、防護の国際的スタンダードを作ってきた国際放射線防護委員会(ICRP)の考察を深めたいと思います。
ICRPの成り立ちそのものが原爆の開発・製造・投下と密接に絡まっている。来年1月22日に核兵器禁止条約が発効し、核兵器を持つことそのものが犯罪であるという国際世論が高まることも踏まえつつ、ぜひ今この点についての認識を深めたい。

今回、そのための絶好の参考書としてあげたいのは『放射線被曝の歴史』(中川保雄著 明石書店)です。1991年に公刊されていますが、福島原発事故後の2011年10月に増補版が出されました。
このシリーズではこの書をみなさんと読み解いていきたいと思うのですが、本書の問題意識は「1 放射線被害の歴史から未来への教訓を-序にかえて」によく表されています。

 「放射能の恐さや放射線被曝の危険性に関する公的なあるいは国際的な評価は、核兵器を開発し、それを使用し、その技術を原発に拡張した人びとと、それらに協力してきた人びとによって築き上げられてきたのである」(『同書』p11)
 「被害をどうみるかが問題とされる事柄を、加害した側が一方的に評価するようなことが、しかもそれが科学的とされるようなことがまかり通ってもよいのであろうか」(『同書』p11)
 「一般には通用しないようなやり方で、放射線被曝の危険性とそれによる被害を隠し、あるいはそれらをきわめて過小に評価することによって、原子力開発は進められてきたのである」(『同書』p12)


まったく同感です。とくにこの国はアメリカに原爆を落とされましたが、真っ先に被害調査を行ったのは日本陸軍でした。彼らは被害を克明に記録するやただちに英訳し、アメリカ軍が占領のために上陸するとただちに差し出したのでした。訴追を免れるためです。
それ以降も、長年にわたって「唯一の被爆国」だとかいいながら、アメリカの核戦略に積極的に加担してきたのが日本政府です。だから核兵器禁止条約も批准しようとしない。
つまり被曝影響の評価はアメリカとそれに追従する日本によって、政治的軍事的に歪められ、「一般には通用しないようなやり方で」なされてきたのです。あまりにひどい。この歴史をひっくり返さないといけない。

福島原発事故から10年を前に、ともに「ゆがめられた放射線防護」の読み解きを進めましょう。

#国際放射線防護委員会 #ICRP #放射線副読本 #すっきり読み解きBOOK #放射線防護 #放射線被曝の歴史 #にょきにょきプロジェクト #京都被爆二世三世の会

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明日に向けて(1926)資本主義はどこからどのようにやってきたのか(われわれはどこからどこへ行くのか-2)

2020年11月17日 09時30分00秒 | 明日に向けて(1701~1900)

守田です(20201117 09:30)

明日に向けて(1912)で論じた「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」の考察の続きです。
世界の流れを俯瞰するために、資本主義がどんな道を辿ってやってきたのかを、少しく振りかえってみたいと思います。僕なりに世界史を切り取ってみます。


ヨーロッパからの考察にならざるを得ないわけ

資本主義はどこから来たのか。近世からの世界史が語られる時、ヨーロッパが中心になります。本当はそこからして問題です。世界史が世界の一部から語られることになるからです。
この哲学や世界、革命を語るシリーズを始めるに際して、思想家の顔写真を並べました。多くが僕が実際にその本を読み、強く影響を受けた方たちでした。
ところがこれに対し「写真であげられた思想家が欧米人+日本人しかいない!」という指摘が飛んで来ました。実際にはロシア人も入っているのですが・・・。(レーニンとマリア・スピリドーノワ)

しかしそれは確かに最もな指摘だとも思います。今後、もっと豊かな展開を進めるためには、イスラム圏で論じられていることをはじめ、アフリカやアジアなど非西欧のものにもっと視座を広げなくてはと思っています。
とくに僕はこの間、トルコに何度も招いていただきました。その際、トプカプ宮殿やアヤソフィア博物館なども訪れ、この国がかつて世界帝国であったこと、さまざまな知恵、工芸、技術などが集積していたことをしみじみと感じました。
その点でトルコの思想家を上げることができていないことを、トルコの友人たちに申し訳なく思います。

それでも僕はここから出発せざるを得ないと思うのです。
なぜなら現代社会を大きく規定する資本主義が、ヨーロッパから生まれ、世界を制圧しているためです。いままさに世界を荒らし続けている新自由主義もそうです。
そのため私たちの中に染みとおっているパラダイム=時代的思考も、西欧の影響を強く受けています。「科学」なんて言葉もそうです。多くの場合、西洋科学のことがそのまま「科学」であると考えられている。

僕個人の事情もそうです。このような支配構造の中で、社会変革を志して学んできた僕自身の思想的歩みも、残念ながらこの西欧の枠の中にあり、それ以外を十分に認識できていません。
そのため非西欧圏の思考に深く通じていて、なおかつ西欧が世界を制覇したこの資本主義の世紀を越え出るための豊かな見識をお持ちの方がいたら、ぜひとも教えを請いたいです。
その点で僕自身、自分の思想の貧困と偏りをも自覚しつつ、それでもこれまで学んできた思想家にならいつつ、世界を切り取ってみたいと思うのです。それでないといつまで経っても考察を始められないですし・・・。


僕はこうした思想家たちから学んできました・・・


● 大航海時代-世界が暴力的に商業圏の中へ

さてなにはともあれ資本主義というものがいつごろから始まったのか、始まったとされているのかから見ていきましょう。ここも数百年の歴史を数行で表すことになるのでかなり大雑把な記述になります。詳しい方、どうかご容赦ください。
資本主義以前の中世と近世の大きな違いは、15世紀から17世紀の「大航海時代」にヨーロッパから世界に人々が飛び出したことでした。中心となったのはスペイン・ポルトガルでした。
そのことで世界に商業販路が拡大し、ヨーロッパに急速に冨が蓄積されていきます。それが資本主義登場の地盤を育てていきました。

このころの商人たちは強い王の下で保護をうけながら販路を開いていきました。その政策を「重商主義」といいます。
もっとも交易自体はそれまでも広範囲で取り交わされていました。これと大航海時代との違いは、中国で発明された火薬がヨーロッパに伝わり、14世紀ごろから武器に使われだしたことでした。
大航海時代にはすでに大砲が作られており、乗組員たちも小銃で武装していました。その軍事力を背景に、世界は暴力的にヨーロッパにつながる商業圏に飲み込まれていったのでした。

火器で武装した商人たちは、しばしば海賊にもなり、略奪を働きました。とくに過酷な暴力が、アフリカや南北アメリカ、のちにアジアでふるわれました。大規模な侵略が行われました。
このため世界各地で先住民族が侵略者に圧迫され、虐殺されたり、奴隷にされたりしました。コミュニティも破壊されました。
もちろんたくさんの抵抗闘争も生まれましたが、それでも資本主義の世界制圧は防げなかった。資本主義は血塗られた侵略の歴史によって、世界に広がっていったのでした。

やがて、先に世界の分割を進めていたスペインやポルトガルを追い落とす形でイギリスが力を増し、そのイギリスから工業が生まれ、産業の時代が始まることとなります。
資本主義は正確にはここから始まります。資本主義社会とそれまでとの違いは、単に商品交換が行われるだけでなく、その商品の生産もまた商品形態のもとに行われることになったことにあります。
そのために必要なのは、雇われて働かなければ食べていけない人々=労働者階級(プロレタリアート)でした。


スペイン艦隊を率いて世界を荒らしまわったマゼラン(ポルトガル出身)


セブ島に立つラプ=ラプ像。1521年4月27日マゼランをマクタン島の闘いで倒した。後ろはマゼラン記念碑

続く

#われわれはどこからどこへ行くのか #世界革命 #新自由主義 #革命の展望 #哲学

***

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明日に向けて(1925)新型コロナウイルスの死亡率はかなり低い!恐怖を冷まし心の平安と身体の健康を保とう!(11月20日金曜日にお話します)

2020年11月16日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1701~1900)

守田です(20201116 23:30)

たかつかさ児童館にて 午後7時より

「コロナと暮らし」というタイトルでお話します。京都市北区大将軍のたかつかさ児童館2階ホール/1階育成室にてです。
11月20日金曜日の午後7時から9時まで行います。
参加にあたっては学童保育利用者は無料、その他の参加者は400円必要です。
2020年度たかつかさ児童館保育者会の企画です。



コロナの推定死亡率はかなり低いことからおさえよう

どんなことをお話しするのか。アウトラインを示します。
新型コロナウイルス感染症について、いま感染者が増えつつあります。いや正確にはPCR陽性者が増えつつあることが確認されています。
この病はどれだけ恐ろしいものなのか。まず陽性者の中の死亡者数を見てみましょう。東洋経済オンラインの「新型コロナウイルス国内感染の状況」の中の「年齢別の陽性者数」を使います。
URLを示しますが、今回示すのは「11月11日時点」のものです。

新型コロナウイルス国内感染の状況
https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/

グラフにカーソルをあてると数値が出てくるのでこれを書きとります。陽性者の合計数とそのうちの死亡者数が示されています。
80代以上 6722人ー1063人 70代 7169人ー484人 60代 8479人ー173人 50代 13854人ー60人
40代 15687人ー20人 30代 18708人ー6人 20代 29334人ー2人 10代 5925人ー0人 10歳未満 2614人ー0人 不明 809人-6人


このうち40代以下を合算すると陽性者合計72259人-死者28人です。
陽性者の中の死者数の割合は約0.00039。30歳未満で見てみると合計37873人-死者2人で0.000052。充分小さい。
当初は数パーセントとか1%とか言われていましたが、そんなことはまったくなかったのです。

ただしこれはPCR陽性が確認された人の中での数。欧米などの例から実際の陽性者は10倍以上、もしかしたらもっと大幅にいると考えられるので、それらを考えると死亡率はもっともっと低い。
かなりの割合の人が無症状・軽症ですんでしまう感染症です。


はやり現状は恐怖を煽りすぎ!心の平安と健康を保とう!

この数値からだけでも、恐怖が煽られ過ぎてきたことがはっきりします。
4月には「東京はもう手遅れ」と叫ばれ、7月には「日本は8月には目も当てられなくなる」などとも言われましたが、そんなことはまったくなかった。
どうしてなのか、何が欧米と違うのか、いろいろ推論されていますが、とにかく死亡率が当初の予想よりずっと低いことは一目瞭然です。

中でも子どもや若者にはほとんどリスクがない。明らかに季節性のインフルエンザの方が危険性が高いです。
だとするならばそれぐらいのところにまで対応をアジャストすれば良い。そうでないと他のさまざまな矛盾に飲み込まれてしまいます。

いま社会的に大事なのは、煽られてきた恐怖感を冷ましていくことです。
実はこの点を4月からきちんと訴えてきた医療機関があります。日本赤十字社です。以下のビデオクリップが秀逸です。4月21日に配信されています。

「ウイルスの次にやってくるもの」
https://www.youtube.com/watch?v=rbNuikVDrN4

日本赤十字社は「恐怖」を「もしかしたら、ウイルスよりも恐ろしいもの」とも指摘しています。
このビデオを多くの方に見ていただきましょう。


対応はどうしたら良いのか

医療崩壊を避けるために、3密を避けること、マスク着用を励行するこどは続けると良いと思います。ただし過度にならないようにし、インフルエンザ対策のレベルに近づけていけば良いと思います。
実は新型コロナの場合は、指定感染症2類に分類しているからこそ医療崩壊も起こり得ます。陽性者を全国で1800病床弱しかない指定感染症病床に隔離しなければならないけれど、間に合わないからです。
でも実際にはなんとかできているのは、実は指定感染症2類対応ではないことも許容してきたからです。

隔離にホテル使用を認めたのもそれです。そうした柔軟な法の運用をもっと拡大すれば良い。
「指定感染症2類」指定を解除し、インフルエンザと同等の対応に落ち着かせれた方がベターだと僕は思いますが、しかしそれには社会的合意も大事。感染症対策には人々の気持ちも大事な因子です。
とくにいまは冬に向かっています。コロナは風邪ウイルスなので当然冬には陽性者が増えます。それにつれて不安も拡大しがちですから柔軟に指定解除に向かうのがベターです。

個人レベル、家庭レベル、地域レベルではどうしたら良いのか。
恐怖を癒しつつ、シンプルに身体を強くしていけばいい。健康的な生活、良い食事などであらゆる病に強い身体を作っていくのが一番良い。薬や医療、あるいは科学への過度の期待を見直したい。
引きこもりをいましめ、適度な運動をし、友人・知人との触れ合いで心の温かさを保つことも大事。「恐怖の嫌がる」こと(日赤のビデオより)をしましょう!

#新型コロナウイルス #ウイルスの次にやってくるもの #指定感染症

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明日に向けて(1924)京都被爆二世三世の会2020年度年次総会にご参加を! 記念講演で守田が「核の終わりを探る旅」のタイトルでお話します(11月18日水曜日午後6時半より)

2020年11月15日 17時30分00秒 | 明日に向けて(1701~1900)

守田です(20201115 17:30)

今週は企画がひしめいています。連投をお許しください。
なお今宵15日午後7時からはzoomでの「すっきり読み解きBOOK」を読む会です!ぜひご参加を
https://www.facebook.com/events/2834058366816357

 

京都「被爆二世三世の会」年次総会 第一部は記念講演 「核の終わりを探る旅」のタイトルで守田がお話します

年次総会を11月18日水曜日に行います。午後6時半から。京都市中京区のラボール京都4階第一会議室にてです。
zoomでの参加も可能です。ご希望の方は守田にご連絡ください。morita_sccrc@yahoo.co.jp
折り返しzoomアドレスとパスワードをお送りします。ただし直前では対応できません。少なくとも午後4時までにお申し込みください。

第一部は記念講演。「核の終わりを探る旅」のタイトルで、守田が昨年二度にわたって行ったニューメキシコ州とワシントン州訪問の際に観てきたことをまとめてお話します。
今回はとくにアメリカの核被害の現状を、できるだけ具体的にお話ししようと思います。

昨年の2回にわたる訪米で、とにかく「こんなにもアメリカの人々は被曝しているのか」とビックリしました。
なんというかこれだけ放射能のこと、被曝のことを学び、原爆や核兵器のことを調べてきた僕でも驚くことが多かったです。

アメリカの人々はこのことを十分に知りません。もちろん日本でもそれほど知られていません。
それだけにぜひご参加いただき、多くの方に知っていただき、広めていただきたいのです。
アメリカにおられるご友人にも伝えて頂きたい。それが核の終わりを早めることにつがなると確信しています。


長崎原爆で使用されたプルトニウムを製造したハンフォードB炉の炉心の前で


第二部は年次総会議案の討論と決定です

どんなことを語り合うのかを知る前に、私たちの会の概要を知ってください。そのために会報の最新号をお伝えします。
http://aogiri2-3.jp/kaiho/kaiho96.pdf

私たちのHPもご紹介します。
http://aogiri2-3.jp/

ここに議案書もおいてあります。(もともと総会は4月18日に予定していてコロナ禍で延期しました。このためこの議案書は4月18日の日付になっています)
http://aogiri2-3.jp/indexbox/20200418an.pdf

議決権は会員にしかありませんが、どなたもオブザーバー参加できます。
第一部の僕の講演に続いてどうか私たちの議論にも耳を傾けていただけたらと思います。もちろん一部だけのご参加も可能です。

核なき未来を共に探るために、ぜひ年次総会にご参加を!

#京都被爆二世三世の会 #年次総会 #被爆二世 #核の終わりを探る旅

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