明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(1972)柏崎刈羽原発で不正と失態が連続-制御室へ不正入室と安全工事未完了見逃し これでは大事故は必至だ

2021年01月30日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1901~2100)

守田です(20210130 23:30)

他人のIDで中央制御室に不正入室

1月23日に東京電力は昨年9月に柏崎刈羽原発の職員が他人のIDカード不正に持ちだして立ち入っていたことを明らかにしました。
原発のセキュリティ上、大問題です。中央制御室は原発の心臓部であり、悪意をもって操作すればとんでもない事故を意図的に発生させることすら可能な場だからです。
そこに不正に立ち入ったことも大問題ですが、そんなに簡単に不正に立ち入れてしまったこと、IDカードが他者に容易に持ちだせるようになっていたことも大問題で、セキュリティが崩壊しているといわざるを得ません。


柏崎刈羽原発での不正入室問題を報じるANN

また東電はこの不正を直後に規制委員会に報告したものの、地元自治体に4か月も報告していませんでした。
これに対して原子力規制委員会の更田委員長は「必要であれば聞き取り調査をして厳正に対処する」と語りましたが、ちょっと待って欲しい。
東電は直後に規制委には報告していたのになぜ今更そんなことを言い出すのでしょうか。その前に規制委もまた東電が地元に報告してないことへの適切な指導をしていなかったのですから、規制委へも「厳正な対処」が必要です。


規制委更田委員長は今回も「厳正に対処」と語るが・・・ ANNより


続いて「終了」を宣言した安全対策工事が終わっていなかったことが発覚

不正問題だけではありません。東電はさらに失態を重ねました。
25日、この不正立ち入り問題に関し、東電・新潟本社の橋田代表が柏崎市長に謝罪に訪れ、市議会でも謝罪を行いました。
同時にその場で1月12日までに終了した安全工事に対する説明も行いました。ところがなんと27日になって、今度はこの工事が完了してなかったことが発覚したのです。

終わっていなかったのは、再稼働をしようとしている7号機と、これとともに安全対策を施している6号機のコントロール建屋の機器を制御する電源盤や空調機などが置かれた部屋にある消火ガスの流出防止装置です。
火災発生時に消火ガスが室内に十分行きわたり、排出されないよう空調ダクトを閉じるための鉄板(ダンパー)の設置を行っていましたが、これが終わっていませんでした。
東電によると6号機の安全対策工事として管理されていたため、見逃したとのことですが、自ら「これを増設したから安全です」と豪語した施設の進捗状況を、きちんと把握していなかったことが分かったわけです。


柏崎議会で謝罪とともに安全工事終了を伝えた橋田東電新潟本社代表 新潟ニュース NST しかし2日後に工事未終了が発覚


不正と隠ぺいと失態が続くのは原子力行政全体が不正と隠ぺいと失態に満ちているから

こんな不正と隠ぺい、失態を繰り返す東電に危険な原発の運転を任せて良いわけがありません。また電力会社の不正と失態を何度も見過ごし許してきた規制委にも、これ以上電力会社への監督を任して良いわけがありません。
この点をとくに地元自治体のみなさんはよく考えていただきたいです。すでに柏崎市など再稼働へ同意を与えてしまっていますが、ぜひ撤回していただきたいです。
こうした不正・隠ぺい・失態は偶然に起こったのではなくて構造化されています。なぜか。そもそも福島第一原発事故に対して東電の誰も責任を取っていないからです。事故原因究明も半ば。そんな東電に運転資格などない。罪の償いが先です。

さらに再稼働に向けて規制委員会もたくさんのウソをまかり通らせてしまっています。格納容器が破損する過酷事故が起こりうるとしそれを多重防御で防ぐという方針そのものがウソであり不正。裁判でも設置許可取り消しを命じられています。
ところが裁判も無視、電力会社のたくさんのウソと不正を容認している規制委の下で、その場で働く職員だけが規則をきちんと守ったり、安全工事をきちんと行うはずがないのです。原子力行政のひどさがここに集中的に現れているのです。
大事なことはここで止めなければ必ず大事故がやってくるということ。柏崎刈羽をはじめすべての原発の再稼働を私たちは許してはなりません。マスコミが書かないこの事実を私たちが広げ、再稼働を止めましょう。


柏崎刈羽原発の再稼働反対を訴えた新潟のみなさんの柏崎市での街頭行動 20200907 新潟日報より

#柏崎刈羽原発 #不正入室 #他人のIDカードで入室 #安全工事未終了を見逃し #原発再稼働反対 #規制委員会も責任重大

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明日に向けて(1971)格納容器上部に約2~4京ベクレルの汚染で廃炉が遅れる?実際は廃炉計画そのものが虚構なだけ!

2021年01月27日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1901~2100)

守田です(20210127 23:30)

約2~4京ベクレルの汚染がいまになって分かったことが意味すること

1月26日に福島第一原発の格納容器の上部が約2~4京ベクレルもセシウムによって汚染されていることが、原子力規制員会によって調査結果として発表されました。ANNの動画ニュースと毎日新聞の記事をご紹介します。


格納容器上部が高濃度汚染・・・福島第一原発2・3号機(2021年1月26日)
YouTube 制作者 ANNnewsCH
https://youtu.be/nnmPPSbE-n8


福島第1原発 2、3号機の格納容器上部で約2~4京ベクレル 原子力規制委調査
毎日新聞2021年1月26日 
https://mainichi.jp/articles/20210126/k00/00m/040/121000c

記事によれば、ふたの部分は「シールドプラグ」と呼ばれ、円盤状で3枚重ねになっていますが、2号機で約2~4京ベクレル、3号機で3京ベクレルもの汚染が見つかったのだそうです。ちなみに京とは兆の1万倍の値です。
人体への影響を評価するシーベルトで表すと3号機で毎時10シーベルト前後。人間が近づくと1時間以内に死亡してしまう強さで、「廃炉作業の遅れなど影響が懸念される」と指摘されています。

しかしこれはおかしい!記事を読み進むとこうあります。「規制委は2013年から原発事故の調査や分析をしていたが、核燃料が溶け落ちる「メルトダウン(炉心溶融)」が起きた1~3号機内は放射線量が高く人が入れないため、調査を中断。放射性物質に汚染されたがれきが撤去されるなどして線量が下がり、19年10月に再開していた。」
要するに単純に原子炉建屋内のことが分かってなかっただけなのです。調査すらできず内部も把握せずに廃炉工程が作られた。虚構の産物だったのです。今回明らかになったことはその点です。


福島原発事故の実態はいまもって解明されていない!

記事をさらに読み進むとこう書いてあります。「規制委の更田(ふけた)豊志委員長は「燃料デブリがずいぶん高い所にあるようなもの。(作業中、放射線の影響を防ぐための)遮蔽(しゃへい)をどうするのか」と廃炉作業の課題を指摘。東電の当者は「蓋の部分をどうするかは見通しが立っておらず、今後検討したい」と話した。」
見通しが立っていない・・・それはそうでしょう。実態が分かっていなかったのですから。これを「廃炉作業の遅れ」というのでしょうか?廃炉作業の工程を作る前の調査がいまだ進行中といういこと以外ないのでは?

マスコミのみなさんにはぜひこの点を書いていただきたいです。事故から10年経ってまだ廃炉計画がきちんと作れない。内部の調査がやっと進みだしたぐらいなのです。それが原発事故の深刻さ一側面です。
これまで「デブリをどう取りだすか」でさんざん悩んでいることは伝えられてきましたが、今回、それと同等の汚染物が原子炉の上にかぶさっていて、対応の見通しも立っていないことが発表された。ようするに廃炉工程が虚構だったことが分かったのです。
この深刻さ、大変さが隠されてきています。あるいはかなり見にくくされている。見通しが立たないということはどれだけの費用がかかるのかも分からず、どれだけの被曝労働が発生するかも分からないということ。基礎的なことが分かってないのです。


説明をする規制委の更田(ふけた)豊志委員長 ANNより


新規制基準も虚構!再稼働をすぐにやめるべきだ

さらに大事なのは、2019年10月まで、つまり事故後8年5カ月も内部の調査すらできなかったのですから、福島原発事故の実態も、そこから引き出すべき教訓も、まったくつかめてないということです。
今回の報告では3号機の水素爆発が、従来の認識とは違って連続しておきたことも報告されていますが、昨年の発表時には「他の原発でとられた対策を見直す必要が生じる可能性」も語られていました。詳しくは以下の記事をご覧下さい。

明日に向けて(1922)福島第一原発3号機の爆発は複数起こっていた=新規制基準の見直しが必要となる可能性がすでに(2020年11月14日)
https://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/4fe7559633fc66ae8e7c2dde26d463e8

ポイントは、事故の把握にとって極めて重要な3号機の爆発の階梯が、画像解析の精度が上ることで複数回だったことが分かったと言うこと。
これが意味するのは新規制基準を作る前提としていた福島原発事故の進展過程の認識が間違っていたということ、だから当然、新規制基準そのものが見直さなければならないということです。
いや正確には廃炉計画が虚構であるように新規制基準もまた虚構だったのです。高い放射線に阻まれて調査もまともにできていないのに、事故実態を分かったふりして作ったものだったからです。それが今回明らかになりました。

こんなウソとデタラメの「教訓」を前提した原発再稼働など、即刻やめるできです。
同時にもはやこういう騙しを続ける規制委員会と東電に廃炉を任せるのではなく、開かれた廃炉公社を作り、真実を広く明らかにしながら廃炉を進めることに転換すべきです。
このことを訴え続けましょう。

#数京ベクレルの汚染 #福島原発 #廃炉工程は虚構 #新規制基準は虚構 #廃炉公社の設立を #規制委員会

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明日に向けて(1970)一番恐ろしいのは原発の過酷事故、コロナ禍にばかり目を奪われていてはいけない

2021年01月26日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1901~2100)

守田です(20210126 23:30)

原発は一サイトで日本の半分を壊滅させうる(福島事故の教訓から)

新型コロナ感染症のパンデミックの中にあって、僕はたくさんの原発に関する記事の発信を続けています。端的に言って原発の過酷事故の方が圧倒的に脅威だからです。まずは以下の文章をお読み下さい。

「もし原子炉の一つが新たに水素爆発を起こし、冷却不能に陥ったとしよう。格納容器は破損し、中の燃料も損傷、大量の放射性物質が一気に放出される。
高線量により作業員は退避を迫られるため、これまで続けてきた注水作業を中断せざるをえない。冷却できなくなった他の原子炉でも、格納容器や燃料プールに残された燃料がやがて露出し、そこから新たに大量の放射性物質が放出される。
つまりどこか一つでも爆発が起これば、他の原子炉にも連鎖し、大規模な被害となるということだ。」

「最も大量の燃料を抱えているのは、4号機の使用済み燃料プールだ。このプールに保管されている、原子炉二炉心分・1535体の燃料が溶け出ると、10キロ圏内における1週間分の内外被曝線量はなんと100ミリシーベルト、70キロ圏内でも10ミリシーベルトにも上ると推測されていた。さらにチェルノブイリ原発事故時の土壌汚染の指標では、170キロ圏内は「強制移点」、250キロ圏内は「任意移転」を求められるレベルだった。汚染の状況はひどく、一般の人の被曝限度である「年間1ミリシーベルト」の基準まで放射線量が下がるのに「任意移転」の場所でも約10年かかると試算されていた。」

この文章は福島原発事故の進展をシミュレートした「近藤シナリオ」を読んでの感想。書いたのは馬淵澄夫氏(当時民主党、現立憲民主党)。福島原発事故後に政府に呼び出され、首相補佐官に就任しました。
馬淵氏は驚愕しました。「北は岩手・秋田、西は群馬・新潟、南は千葉や神奈川におよび、東京23区全て」=3000万人がいるところが避難地域になる可能性があったからです。(『原発と政治のリアリズム』馬淵澄夫著 新潮社 p24~26)
僕はこの書や「近藤シナリオ」そのものを入手して詳細に調べましたが、実は「近藤シナリオ」は最悪を想定してはいませんでした。他の原子炉や共用プールにあった燃料体は11417体。4号機プールの約7.4倍もあったのです。

それらが溶けだしたら被害は半径250キロにとどまらなかった。このため後に当時の福島第一原発所長吉田昌郎氏はこう語ったのでした。
「チェルノブイリ級ではなくて、チャイナシンドロームではないですけれども、ああいう状況になってしまう」「放射性物質が全部出て、まき散らしてしまうわけですから、われわれのイメージは東日本壊滅ですよ」
想定された危機は「チェルノブイリ級」どころではなかったのです。東日本壊滅の恐れがあったのです。みなさん。ぜひご注目ください。そんな災厄をもたらしうる原発がいまも稼働しているのです。


近藤シナリオについて報じるFNN 近藤シナリオは「最悪を想定」と言われますが実際には4号機プールの核燃料が溶けたときを想定したに過ぎませんでした。最悪は「東日本壊滅というイメージ」(吉田所長)でした。


新規制基準は過酷事故を前提にしている

しかもいまの原発は過酷事故を行さなことを前提にしてなどいません。「過酷事故が起こりうることを前提に起こった場合の対処を重ねる」とされているのです。
その際、過酷事故(シビアアクシデント・設計段階の安全装置がすべて突破され格納容器から放射性物質が漏れる状態)を重大事故と言い換え、重大事故等対処施設や特定重大事故等対処施設が設けられています。
それすらが骨抜きにされていることを、僕はこの間、事細かに指摘し続けていますが、やはり一番おかしいのは過酷事故ないし重大事故が起きうることが前提になっていること。

これはものすごい開き直りです。福島原発事故前まで原子力推進派は「日本で原発の過酷事故が起きることはない」と言ってきたのです。しかし起こってしまった。本来、ここで原子力行政は終わりだったのです。
ところがあろうことか「過酷事故が起きないと言ってきたのが間違いだった」ととんでもない言い換えをしたのです。過酷事故を起こしたことが大問題だったのに。
だからこれからは「過酷事故を前提に対処施設を幾つも積み重ねる=多重防護をする」と言うのですがあまりにひどい。

これは安全装置の考え方としても間違っているのです。一つの安全装置で確信が持てないから、つまり十分に安全が確保できていないから、多重に重ねているからです。
いわば車のブレーキが、第一、第二、第三、第四と重ねられているようなもの。こんな車に乗りますか?いやそもそもこれではブレーキが完成してないことが明らかですから絶対にそんな車は市場に出て来ない。こんなのがまかり通るのは原発だけです。

にもかかわらずどの大新聞もテレビも、このことをきちんと報じない。本当に恐ろしい再稼働がなされているのに、コロナ報道ばかり優先している。あまりにおかしい。僕がマスコミを信用しない所以です。いつも一番大事なことは報じないのですから。
正直、イライラもしますが、ならば僕は、この一番危険な原発のことを繰り返し発信し続けます。こうした点から最近、記事を紹介したツイートの連投も繰り返し行っています。
みなさん。ぜひ情報拡散にご協力ください。さらに原発についての発信を続けます!


柏崎刈羽原発の重大事故等対処施設 最後はなんと消防車とつないだ水鉄砲(放水砲) 福島では消防車のパンクも相次いだ

#パンデミックと原発 #近藤シナリオ #250キロが避難区域 #過酷事故 #重大事故 #新規制基準 #原発は一サイトで日本の半分を壊滅させうる

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2021年末に「福島の今、復興の今、被爆問題の今、2021年の原発・放射線被曝問題を振り返って」というタイトルでお話しました。録画を掲載しますのでご覧下さい。

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明日に向けて(1969)核兵器を持つと他国民だけでなく自国民も激しく被曝させる!核兵器禁止条約の豊富化のために-1

2021年01月24日 18時30分00秒 | 明日に向けて(1901~2100)

守田です(20210124 18:00)

核兵器を保有すると自国民も他国民のものすごく被曝させる

1月22日にめでたく核兵器禁止条約が発効しましたが、ぜひともこれを豊富化したいです。そのために私たちにできることがあるのでお伝えします。
その一つは核兵器は製造・保有するだけでも他国民も自国民も激しく被曝させることを広範に伝えていくことです。。
例えばアメリカはトリニティ・サイトの核実験と広島・長崎での大量虐殺の後、南太平洋で核実験連続させ周辺の島々や世界の人々を激しく被曝させました。

一方でアメリカは自国民・住民をも激しく被曝させました。以下の記事に載せた1951年から62年までのネバタ核実験による放射能拡散図をご覧ください。
明日に向けて(1725)核兵器を持つとはこういうこと!-WIPPを見学して
https://onl.tw/fPuB3cp


ネバタ核実験による放射能拡散図
   
アメリカエネルギー省が公開した記録から、研究者のリチャード・ミラー氏が作成したものですが、いかにアメリカ全土の被曝が酷いかが分かります。
もっとも激しいのはユタ州とアリゾナ州ですが、アメリカの大半の地域に放射性物質が流れ続けました。
アメリカは核実験の際に兵士を動員して被曝させてもいます。核戦争下で兵士がどれだけ被曝に耐えられるか人体実験したのです。


ウラン採掘でも核兵器製造工場の事故でも被曝

核実験だけではありません。被曝被害はウラン鉱の採掘や精錬から始まりました。アメリカでは多くが先住民族の住まう地域でウランが発見されてしまい、ひどい被曝状況が生まれました。
1979年7月16日にはニューメキシコ州チャーチロックのウラン精錬工場汚染水ダムが決壊。周辺にウラン残滓や精錬に使う有機溶剤など多様な毒素を含んだ汚染水が大量に流れてしまいました。

さらに核兵器製造工場も深刻な事故を繰り返してきました。有名なのはコロラド州ロッキーフラッツでのプルトニウム火事です。
この工場はプルトニウムをテニスボール大に固めた「デーモンコア」を作っていました。原水爆の起爆装置です。
恐ろしいことに成形のために粉末にされたプルトニウムに火がついて大火災が発生。プルトニウムは燃えながら黒煙とともに工場の外に出ていってしまいました。

消防隊が駆けつけたものの当惑。水をかけると核爆発を誘発するのではと懸念されたからでした。しかしそのままでは近くのデンバーに死の灰が押し寄せ、急性死すら出てしまう。
それで「えいや」っと水をかけたらなんとか消えたのだそうですが、その後の調査で大量のプルトニウムが飛散したことが分かりました。
さらなる調査で、実は過去にも同様の火災を起こしながら隠ぺいしていたこと、それも含めて操業以来なんと1トンのプルトニウムが行方不明になったことも発覚しました。


デーモンコアを作っていたグローブボックス この中から火災が発生(NHKスペシャル『私たちは核兵器を作った』より)


核廃棄物処理も滅茶苦茶。深刻な被曝をもたらすからこそ核兵器は製造も保有も認められない

アメリカでは核廃棄物もまた相当にいい加減に捨てられています。
WIPPという核廃棄物処理のための試験施設を見学に行って痛感しました。この施設そのものも問題だらけなのですが、同時に施設が作られたのが1999年、20年前でしかないのです。
最初の核爆発が行われたのは1945年ですから50年以上経っている。その間に核のゴミの処理施設はなかったわけです。


WIPP(核廃棄物試験施設) 同施設のホームページより

ではどうしたいたのかというとあちこちにポイポイ捨ててきたのです。この点は以下の記事をご覧下さい。段ボール箱に詰められて側溝に放り投げられた核廃棄物の写真が見れます。
明日に向けて(1727)アメリカは核のゴミをあちこちに安易に捨ててきた! 
https://onl.tw/HXLhTs9


ハンフォードで浅い溝に捨てられていた核のゴミ 1980年代中ごろまで ドン・ハンコックさんの論文「放射性廃棄物の貯蔵と処分」より "FACING REALKTY" (1992)掲載

考えてみれば核爆弾で大量虐殺を行い、核実験で平気で放射性物質を地球上にばら撒いてきた人々が、核のゴミだけきちんと片付けるわけなどなかったのです。
それが核兵器を持つことです。他国民とともに自国民をも激しく被曝させるのが核兵器の製造・保有なのです。もちろん同じことを他の核保有国も犯しているでしょう。核は実験なしに保有できないからです。
核保有国の民は被曝の犠牲者です。被害は全世界に及んでいる。だから核兵器製造と保有は人類に対する重い罪なのです。ぜひみんなでこの点を拡散しましょう。

続く

#核兵器禁止条約 #製造も保有も禁止 #ウラン鉱採掘 #核実験 #核兵器製造工場事故 #核廃棄物のずさんな管理

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明日に向けて(1968)祝!核兵器禁止条約発効!全文をご案内します。まずは読みましょう

2021年01月22日 12時00分00秒 | 明日に向けて(1901~2100)

守田です(20210122 12:00)

本日1月22日を核なき未来への歴史的転換点に

本日1月22日、核兵器禁止条約が発効しました!条約はそれぞれの締約国の現地時間の22日午前0時から有効となります。
条約は「核兵器あるいはその他の核爆発装置の開発、実験、製造、生産、あるいは獲得、保有、貯蔵」のほか、核兵器に関する様々なことを禁止の対象としています。
この日を「核なき未来」への歴史的転換点にしたいです。そのためにこの条約を核に関する認識をもっと社会的に深めることでもっと厚みのあるものにしていきたい。

歴史的文章ですので、この「核兵器禁止条約」全文を掲載します。公共性が高いものと判断して朝日新聞のサイトからお借りします。
みなさん。本日はじっくりと条文をお読み下さい。また各地で発効を祝う行動も行われますので可能な方はお出かけください。
僕は京都市祇園にある円山公園の枝垂桜前で行われる宣伝行動に参加してきます。午後1時からです(予定されていたパレードは中止)



条約発効を報じるNHKのNEWSより


核兵器禁止条約全文

朝日新聞 2017年9月21日 11時14分掲載
https://digital.asahi.com/articles/ASK9L56MHK9LPTIL00C.html

【前文】

 本条約の締約国は、国連憲章の目的と原則の実現に貢献することを決意する。

 核兵器の使用によって引き起こされる壊滅的な人道上の結末を深く懸念し、そのような兵器全廃の重大な必要性を認識し、廃絶こそがいかなる状況においても核兵器が二度と使われないことを保証する唯一の方法である。

 偶発や誤算あるいは意図に基づく核兵器の爆発を含め、核兵器が存在し続けることで生じる危険性に留意する。これらの危険性は全人類の安全保障に関わり、全ての国が核兵器の使用防止に向けた責任を共有していることを強調する。

 核兵器の壊滅的な結果には十分に対処できない上、国境を越え、人類の生存や環境、社会経済の開発、地球規模の経済、食糧安全保障および現在と将来世代の健康に対する深刻な関連性を示し、ならびに電離放射線の結果を含めた、特に母体や少女に対する悪影響を認識する。

 核軍縮ならびに核兵器なき世界の実現および維持の緊急性に対する倫理的責務を認識し、これは国家および集団的な安全保障の利益にかなう最高次元での地球規模の公共の利益である。

 核兵器の使用による犠牲者(ヒバクシャ)ならびに核兵器の実験による被害者にもたらされた受け入れがたい苦痛と被害を心に留める。

 核兵器に関わる活動が先住民族に及ぼした不釣り合いに大きな影響を認識する。

 すべての国は国際人道法や国際人権法を含め、適用される国際法を常に順守する必要性があることを再確認する。

 国際人道法の原則や規則を基礎とする。とりわけ武装紛争の当事者が戦時において取り得る方法や手段の権利は無制限ではないという原則、区別の規則、無差別攻撃の禁止、均衡の規則、攻撃の予防措置、過度な負傷や不要な苦痛を引き起こす兵器使用の禁止、自然保護の規則。

 いかなる核兵器の使用も武力紛争に適用される国際法の規則、とりわけ人道法の原則と規則に反していることを再確認する。

 いかなる核兵器の使用も人間性の原則や公共の良心の指図に反することを考慮する。

 各国は国連憲章に基づき、国際関係においていかなる国の領土の保全や政治的独立に反する、あるいはその他の国連の目的にそぐわない形での武力による威嚇や使用を抑制すべき点を想起し、さらに国際平和と安全の確立と維持は世界の人的、経済的資源を極力軍備に回さないことで促進される点を想起する。

 1946年1月24日に採択された国連総会の最初の決議ならびに核兵器の廃棄を求めるその後の決議を想起する。

 核軍縮の遅い歩みに加え、軍事や安全保障上の概念や教義、政策における核兵器への継続的依存、ならびに核兵器の生産や維持、現代化の計画に対する経済的、人的資源の浪費を懸念する。

 核兵器について後戻りせず、検証可能で透明性のある廃棄を含め、核兵器の法的拘束力を持った禁止は核兵器なき世界の実現と維持に向けて重要な貢献となる点を認識し、その実現に向けて行動することを決意する。

 厳密かつ効果的な国際管理の下、総合的かつ完全な軍縮に向けた効果的な進展の実現を視野に行動することを決意する。

 厳密かつ効果的な国際管理の下での核軍縮のための交渉を誠実に追求し、完結させる義務があることを再確認する。

 核軍縮と不拡散体制の礎石である核不拡散条約(NPT)の完全かつ効果的な履行は国際平和と安全を促進する上で極めて重要な役割を有する点を再確認する。

 核軍縮と不拡散体制の核心的要素として、包括的核実験禁止条約(CTBT)とその検証体制の不可欠な重要性を認識する。

 国際的に認知されている非核地帯は関係する国々の間における自由な取り決めを基に創設され、地球規模および地域の平和と安全を強化している点、ならびに核不拡散体制を強化し、さらに核軍縮の目標実現に向け貢献している点を再確認する。

 本条約のいかなる内容も、締約諸国が一切の差別なく平和目的での核エネルギーの研究と生産、使用を進めるという譲れない権利に悪影響を及ぼすとは解釈されないことを強調する。

 平等かつ完全で効果的な女性と男性双方の参加は持続性ある平和と安全の促進・達成の重要な要素であることを認識し、核軍縮における女性の効果的な参加の支持と強化に取り組む。

 あらゆる側面における平和と軍縮教育、ならびに現代および将来世代における核兵器の危険性と結果を認知する重要性を認識し、さらに本条約の原則と規範の普及に向けて取り組む。

 核兵器廃絶への呼び掛けでも明らかなように人間性の原則の推進における公共の良心の役割を強調し、国連や国際赤十字・赤新月社運動、その他の国際・地域の機構、非政府組織、宗教指導者、国会議員、学界ならびにヒバクシャによる目標達成への努力を認識する。

 以下のように合意した。

 【本文】

 第1条(禁止項目)

 一、締約国はいかなる状況においても次のことを実施しない。

 (a)核兵器あるいはその他の核爆発装置の開発、実験、製造、生産、あるいは獲得、保有、貯蔵。

 (b)直接、間接を問わず核兵器およびその他の核爆発装置の移譲、あるいはそうした兵器の管理権限の移譲。

 (c)直接、間接を問わず、核兵器あるいはその他の核爆発装置、もしくはそれらの管理権限の移譲受け入れ。

 (d)核兵器もしくはその他の核爆発装置の使用、あるいは使用をちらつかせての威嚇。

 (e)本条約で締約国に禁じている活動に関与するため、誰かを支援、奨励、勧誘すること。

 (f)本条約で締約国に禁じている活動に関与するため、誰かに支援を要請する、あるいは受け入れること。

 (g)領内あるいは管轄・支配が及ぶ場所において、核兵器やその他の核爆発装置の配備、導入、展開の容認。

 ▽第2条(申告) 

 一、締約各国は本条約が発効してから30日以内に国連事務総長に対し以下の申告を提出する。

 (a)本条約の発効前に核兵器あるいは核爆発装置を所有、保有、管理していたかどうかや、核兵器計画については核兵器関連の全ての施設を廃棄もしくは後戻りしない形で転換したかどうかを含めた廃棄の申告。

 (b)第1条(a)にもかかわらず、核兵器もしくは核爆発装置を所有、保有、管理していたかどうかの申告。

 (c)第1条(g)にもかかわらず、領内やその他の管轄・支配している場所において、他国が所有、保有、管理する核兵器やその他の核爆発装置があるかどうかの申告。

 二、国連事務総長は受領した全ての申告を締約諸国に送付する。

 ▽第3条(保障措置)

 一、第4条の一項、二項に当てはまらない各締約国は最低限でも、将来採択される可能性がある追加の関連文書にかかわらず、本条約が発効した段階で国際原子力機関の保障措置上の義務を守る。

 二、第4条の一項、二項に当てはまらず、国際原子力機関と包括的保障措置協定を締結していない締約国は、包括的保障措置協定について合意し、発効させる。協定の交渉はその締約国について本条約が発効してから180日以内に開始。協定はその締約国の本条約発効から18カ月以内に発効。以降、各締約国は将来において採択される可能性がある追加の関連文書にかかわらず、義務を守る。

 ▽第4条(核兵器の全廃に向けて)

 一、2017年7月7日以降に核兵器もしくは核爆発装置を所有、保有、管理し、また本条約の発効前に全ての核兵器関連施設の廃棄もしくは後戻りしない形での転換を含め核兵器計画を廃棄した締約国は、核兵器計画が後戻りしない形で廃棄されたことを検証する目的のため、第4条の六項で指定する法的権限のある国際機関と協力。その機関は締約諸国に報告。そうした締約国は申告済みの核物質が平和的な核活動から転用されていないことやその国全体で未申告の核物質・核活動がないことについて信頼に足る確証を与えるため、国際原子力機関と保障措置協定を締結。協定の交渉はその締約国について本条約が発効してから180日以内に開始。協定はその締約国の本条約発効から18カ月以内に発効。以降、各締約国は将来において採択される可能性がある追加の関連文書にかかわらず、これら保障措置の義務を守る。

 二、第1条(a)にもかかわらず、核兵器やその他の核爆発装置を所有、保有、管理する締約国は、それらを直ちに核兵器システムの稼働状態から取り外し、破壊する。これは、全ての核兵器関連施設の廃棄もしくは後戻りしない形での転換を含め、検証可能かつ後戻りしない形での核兵器計画廃棄のため、法的拘束力があり時間を区切った計画に沿ってできるだけ速やかに、ただ締約諸国の最初の会議で決めた締め切りより遅れてはいけない。その締約国は本条約がその国で発効してから60日以内に、本計画を締約諸国や締約諸国が指定した法的権限のある国際機関に提出。本計画は法的権限のある国際機関と協議される。国際機関は手続き規則に従って承認を得るため、その後の締約国会議か再検討会議かいずれか早い方に本計画を提出する。

 三、上記二項に当てはまる締約国は、申告済みの核物質が平和的な核活動から転用されていないことやその国全体で未申告の核物質・核活動がないことについて信頼に足る確証を与えるため、国際原子力機関と保障措置協定を締結。協定の交渉は二項で言及した本計画の履行が完了する日までに開始。協定は交渉開始から18カ月以内に発効。以降、締約国は最低限、将来において採択される可能性がある追加の関連文書にかかわらず、これら保障措置の義務を守る。三項で言及された協定の発効後、その締約国は国連事務総長に第4条での義務を遂行したとの申告を提出する。

 四、第1条(b)(g)にもかかわらず、領内やその他の管轄・支配している場所において、他国が所有、保有、管理する核兵器やその他の核爆発装置がある締約国は、それら兵器についてできるだけ速やかに、ただ締約国の最初の会議で決めた締め切りより遅れることなく、迅速な撤去を確実にする。そうした兵器と爆発装置の撤去に関し、締約国は国連事務総長に第4条の義務を遂行したとの申告を提出する。

 五、第4条が当てはまる締約国は、第4条での義務履行を遂行するまで、締約国会議と再検討会議に進展状況の報告書を提出する。

 六、締約諸国は核兵器計画の後戻りしない形での廃棄のための交渉と検証のため、法的権限のある国際機関を指定。検証には第4条の一項、二項、三項に従って、全ての核兵器関連施設の廃棄や後戻りしない形での転換を含む。第4条の一項、二項が当てはまる締約国に対する本条約の発効前に上記の指定が済んでいない場合、国連事務総長は必要な決定のため締約国の特別な会議を開催する。

 ▽第5条(国家の履行)

 一、締約国は本条約の義務履行のために必要な措置を導入する。

 二、締約各国は、個人またはその管轄・支配にある区域で行われる本条約の禁止行為を防止し抑制するため、刑事罰の強制を含め、全ての適切な法律上、行政上あるいはそれ以外の措置を導入する。

 ▽第6条(被害者支援と環境改善)

 一、締約各国は、自国の管轄下で核兵器の使用や実験によって悪影響を受けた者について、適用可能な国際人道法および国際人権法に従って、医療やリハビリテーション、心理療法を含め、差別することなく、年齢や性別に適した支援を提供し、これらの者が社会的、経済的に孤立しないようにする。

 二、締約各国は管轄・管理下の地域が核兵器や他の核爆発装置の実験や使用に関連する活動の結果として非常に汚染された場合、環境改善に向けて必要かつ適当な措置をとる。

 三、上記一項、二項の義務は国際法や二国間の取り決めの下で負う他の国の責務や義務には関係しない。 

 ▽第7条(国際協力と支援)

 一、締約各国は本条約の履行を促進するため、他の締約国と協力する。

 二、本条約の義務を履行するに当たり、締約各国は他の締約国から、それが実行可能なら支援を求め、受け取る権利がある。

 三、それが可能な締約国は、本条約の履行促進のため、核兵器の使用や実験で悪影響を受けた締約国に技術的、物質的、財政的な支援を与える。

 四、それが可能な締約国は核兵器その他の爆発装置の使用と実験に伴う被害者に対する支援を与える。

 五、第7条の下での支援は、とりわけ国連機構、国際あるいは地域、各国の機構や機関、非政府の機構や機関、赤十字国際委員会、国際赤十字・赤新月社連盟、各国の赤十字・赤新月社、または二国間の枠組みで提供される。

 六、国際法でのその他の責務や義務にかかわりなく、核兵器やその他の核爆発装置を使用、実験した締約国は、被害者の支援と環境改善の目的のため、被害に遭った締約国に十分な支援を提供する責任を有する。

 ▽第8条(締約国会議)

 一、締約国は、関連の規定に従い本条約の適用や履行、核軍縮のさらなる措置において、検討や必要であれば決定のため、定期的に会合する。これには以下を含む。

 (a)本条約の履行と締約の状況。

 (b)本条約の追加議定書を含め、核兵器計画の検証可能で時間を区切った後戻りしない廃棄のための措置。

 (c)本条約に準拠し、一致したその他の事項。

 二、最初の締約国会議は本条約が発効してから1年以内に国連事務総長によって開かれる。その後の締約国会議は、締約諸国による別の合意がない限り、国連事務総長によって2年ごとに開かれる。締約国会議は最初の会議で手続き規則を採択。採択までの間は、核兵器を禁止するため法的拘束力のある文書を交渉する国連会議における手続き規則を適用する。

 三、特別な締約国会議は必要と見なされる場合、締約国全体の少なくとも3分の1の支持がある締約国の書面要請に基づき、国連事務総長が開催する。

 四、本条約が発効して5年の時点で、締約国会議は本条約の運用および本条約の目的達成の進展状況を再検討するため会議を開く。国連事務総長は、締約諸国による別の同意がない限り、その後の同じ目的のための再検討会議を6年ごとに開催する。

 五、本条約の非締約国ならびに国連システムの関連機関、その他の関連国際機構と機関、地域機構、赤十字国際委員会、国際赤十字・赤新月社連盟、関連の非政府組織は締約国会議や再検討会議にオブザーバーとして招待される。

 ▽第9条(費用)

 一、締約国会議と再検討会議、特別会議の費用は、適宜調整した国連の分担率に従い、締約国および会議にオブザーバーとして参加する非締約国によって負担する。

 二、本条約の第2条の下での申告、第4条の下での報告、第10条の下での改正の通知のために国連事務総長が負う費用は適宜調整した国連分担率に応じて締約国が負う。

 三、第4条の下で求められる検証措置の履行や、核兵器その他の核爆発装置の廃棄、さらに全ての核兵器関連施設の廃棄と転換を含めた核兵器計画の廃棄にかかる費用は、当該の締約国が負う。

 ▽第10条(改正)

 一、締約国は本条約の発効後いつでも改正を提案できる。国連事務総長は提案文書の通知を受け、全締約国に配布し、提案を検討するかどうかの見解を求める。仮に締約国の多数が、提案の配布から90日以内に国連事務総長に対し、提案のさらなる検討を支持する旨を示せば、提案は次に開かれる締約国会議か再検討会議のいずれか早い方で検討される。

 二、締約国会議と再検討会議は締約国の3分の2の多数が賛成票を投じることで採択される改正に合意する。寄託者は採択された改正を全ての締約国に通知する。

 三、改正は、改正事項の批准文書を寄託したそれぞれの締約国に対し、採択時点での締約国の過半数が批准文書を寄託してから90日後に発効する。その他の締約国は改正の批准文書の寄託から90日後の段階で発効する。

 ▽第11条(紛争解決)

 一、本条約の解釈や適用に関し締約国の2カ国間以上で紛争が生じた場合、関係国は交渉や、国連憲章33条に従って締約国の選択によるその他の平和的な手段を通じ、紛争を解決するために協議する。

 二、締約国会議は紛争の解決に向け貢献できる。本条約や国連憲章の関連規定に従い、あっせんの提示、関係国が選択する解決に向けた手続きの開始要請や、合意手続きの期限設定の勧告を含む。

 ▽第12条(普遍性)

 締約国は本条約の非締約国に対し、全ての国の普遍的な支持という目標に向け条約の署名、批准、受諾、承認、加盟を促す。

 ▽第13条(署名)

 本条約はニューヨークの国連本部で2017年9月20日より、全ての国の署名を受け付ける。

 ▽第14条(批准、受諾、承認、加盟)

 本条約は署名国による批准、受諾、承認を必要とする。本条約は加盟を受け付ける。

 ▽第15条(発効)

 一、本条約は50カ国が批准、受諾、承認、加盟の文書を寄託してから90日後に発効する。

 二、50カ国の寄託が終わった後に批准、受諾、承認、加盟の文書を寄託した国については、その国の寄託から90日後に本条約が発効する。

 ▽第16条(留保)

 本条約の条文は留保を受け付けない。

 ▽第17条(期間と脱退)

 一、本条約は無期限。

 二、締約各国は本条約に関連した事項が最高度の国益を損なうような特別の事態が発生したと判断した場合、国家主権を行使しながら、本条約脱退の権利を有する。寄託者に対し脱退を通告する。上記の通告には最高度の国益が脅かされると見なす特別な事態に関する声明を含める。

 三、上記の脱退は寄託者が通告を受け取ってから12カ月後にのみ効力を発する。しかしながら仮に12カ月の満了時点で、脱退しようとしている国が武力紛争に関わっている場合、その締約国は武力紛争が終結するまで、本条約および付属議定書の義務を負う。

 ▽第18条(別の合意との関係)

 本条約の履行は本条約と一致した義務であれば、締約国が加わる既存の国際合意に関して取る義務に影響を与えない。

 ▽第19条(寄託者)

 国連事務総長は本条約の寄託者である。

 ▽第20条(真正の文面)

 本条約はアラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語、スペイン語の文面が等しく真正である。

#核兵器禁止条約 #核なき未来へ #核兵器反対 #原爆投下は戦争犯罪

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明日に向けて(1967)新型コロナウイルス感染症・・・17日現在実行再生産数は0.97 このまま抑え込んでいこう(新型コロナを民主主義的に越えるためにー新連載1)

2021年01月19日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1901~2100)

守田です(20210119 23:30)

実行再選数が大きく下降中 年始の努力が実っているのでは?

新型コロナウイルスの感染が年初より大きく拡大し始めました。連日のように「陽性者が過去最大」と報道され、7日に東京周辺に、緊急事態宣言も発せられました。
報道では感染がどんどん拡大し、恐ろしいことになっているかのようなイメージが作りだされています。
実際はどうなのでしょう。今回も東洋経済online「新型コロナウイルス国内感染の状況」から見ていきましょう。
https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/

まず全国の「検査陽性者数」のグラフですが、確かに12月から緩やかに上昇しはじめ、年末年始にカクンと下がったものの、1月5日あたりからグワッとあがったのが分かります。それで「入院治療等を要する者」を見ると11日ぐらいから下降に転じていて、どんどん下がってきています。

重症者数を見ると12月22日までは下がっていたものの、上昇に転じ、今は横ばいで少し下降し始めたかという感じ。



さらに実効再生産数(1人が平均何人に感染させるのかの数)をみると、今回の感染の山では11日の1.54をピークにどんどん落ちだして、現在は0.97。1を下回れば終息モードなので喜ばしいことです。


都道府県についても実効再生産数のみをてみましょう。最も陽性者の多い東京が0.89、大阪0.99、神奈川1.14、愛知0.93、埼玉1.02、千葉1.15、北海道1.05、兵庫0.99、福岡県0.87と軒並み下降しています。
これらから見ると12月から上昇してきた感染の山はピークを越えたことが分かります。明らかに感染は再び下火になっています。
推測されるのは多くの方が年末年始に自粛を強め、静かな正月を過ごされたことで感染拡大傾向を抑えることができたということです。緊急事態宣言の前にすでに下降しだしていたことをおさえておきましょう。



このデータの信用性が高いわけ

ところで前回、12月10日にもこのデータから現状を見る記事を書きました。そのときも11月中旬あたりから感染の山が下降傾向にあることを書きました。
僕が前回も今回もこの点を書いているのは、感染の拡大局面についてはマスコミが大きく取り上げているのに、下降局面はちっとも書かないからです。感染の山は波のように何度もきますが、その都度、行動変容で抑えられてるのが実態です。
これに対して「検査を抑制しているのでこのデータは信用できない」とコメントされた方がいました。そのお気持ちは良く分かります。データは厚労省の集計を元にしたものですが、安倍政権も菅政権もウソや偽造の常習犯で信用できないからです。

しかしこのデータに信用性がないなら上昇局面とて同じことで信用できないことになり、拡大も下降も分からないことになります。そんなことはないのではないでしょうか。実態をそこそこ反映しているのではないでしょうか。
検査が少ない中でのデータの信ぴょう性については、昨春の専門家会議の記者会見で丁寧に説明されてもいます。検査数が少なくても病院のベットの推移なども含めて総合的に判断していると。それに現在の検査数はそのころの10倍です。
また年始年末をみると実態が反映されていることが分かります。「検査数陽性者数」を見ると大晦日から三が日、検査数が減っています。4日以降、急激に陽性者が増えたのは年始年末に検査しなかった分が乗ったからだということが分かります。

この辺から見えてくるのは、年末の忘年会やクリスマス会などが影響して拡大傾向に入ったものの、お正月はみなさんが感染対策を強化したのでそれが効いて下降局面に入ったということです。


おおみそかの渋谷の状況を報じる毎日新聞

多くの人々の努力がきちんと実っていたことがデータに現れています。大事なことは緊急事態宣言なしに下降が始まった点です。それぞれが創意工夫を重ねて感染防止を図ることで、拡大局面に入っても抑えられたのです。
僕には少なくともこのデータからは、緊急事態宣言のもとでさまざまな活動を止めてしまう必要はないと思われます。規制しなくても、人々の自主的努力で十分に効果を上げたのではないでしょうか。それをぜひ読み取っておきたいです。

みなさん、三密を避けるなどいろいろな努力を重ねていると思うのです。僕はそれが効果をあげていると思います。多少はめをはずすこともありますが、その後の是正が効いて、私たちはうまく感染の山をコントロールできているのです。
どれほど政府が無能でもです。これ、とても大事です。この国は政治は最低ですが、私たち、下々の人々の他者を守ろうとする気持ちには大きな力があるのです。だからうまくコントロールできている。いまの政府なんていらないことが分かります。
それらから僕は緊急事態宣言に反対します。とくに飲食店だけをたたくのはおかしい。みんなで努力してうまくやっているので余計なことはしないで欲しい。

さらに記事を続投します。

#新型コロナウイルス #実効再生産数 #緊急事態宣言 #パンデミック #感染のコントロール

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明日に向けて(1966)『ドイツ農民戦争』(エンゲルス著)から正義と抵抗と暴力と資本主義を考察する

2021年01月17日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1901~2100)

守田です(20210117 23:30)

昨年より始めた連載「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」の考察の5回目をお送りします。
前回、資本主義を確立していった市民革命に孕む強烈な暴力の肯定について問題にしました。今回ももう少しこの考察を続けたいと思います。

中世社会末期の暴力性と抵抗の暴力を考える

市民革命をいちはやく展開したイングランドにおいて、カルヴァン主義が大きな力を発揮したこと、それがピューリタンの苛烈な暴力を支えるものとなっていたことをおさえました。
それでは他の国ではどうだったのでしょうか。今回、問題にしたいのはドイツです。チェコのヤン・フスなどの運動がドイツに広まり、マルティン・ルターによるカトリック批判がなされたことが、「宗教改革」と言われる一連の動きの大きなトピックだからです。
このプロテスト運動は各地でさまざまな戦争を生み出しました。とくにルターに影響を受けた人々は「ドイツ農民戦争」という広範な農民一揆を起こしました。1520年代のことです。

後年、カール・マルクスとともに「マルクス主義」を編み上げていったフリードリッヒ・エンゲルスが、『ドイツ農民戦争』(1850年)という書で詳しい分析を行っています。
これを紐解いてみると、中世社会が教会と領主を中心に農民をひどく圧迫しており、それへの抵抗がプロテスト運動と結びついたことが紹介されていますが、ここで考えおきたいのはこの時代に民衆の側の抵抗でもちいられた暴力をいかに捉えるかです。
僕はやむにやまれぬ正義の抵抗だったと思います。中世社会全体が暴力的であったとは思いはしないのですが(この点は不勉強ですが)、少なくとも神聖ローマ帝国の崩壊時、権力者は苛烈な暴力で圧制を敷いていました。

それまでもたびたび抵抗に起ちあがったドイツの庶民、農民は、残酷な処刑をされたり、手や指を切り落とされたり、鼻をそがれたりを繰り返していました。これに当時の人々が武力で抵抗したことを、今の人権に守られた立場から批判などできません。
それでも問題にしたいのは、苛烈な支配を苦難の末に打ち破った面が市民革命にあったがゆえに、そこで発せられた暴力がその後も美化され、強化されてしまったのではないかということです。それが現代まで受け継がれているのではないか。
そして実は、全世界を市場化していった資本主義は、まさにこのものすごい暴力性があったからこそ、世界の市場への巻き込みを可能にしたのではなかったか。にも関わらずこれまでの資本主義論ではこの重要な点の考察が抜けていると思うのです。


農民たちが騎士を取り囲む 左上に描かれているのは農民を象徴するブントシュー(紐が長い靴)をあしらった旗 ウッドカット作 1539年


宗教的支配層へのルターの苛烈な批判

話を戻しましょう。先にも見たようにドイツにおける「宗教改革」はルターの宗教的支配層への激しい怒りの表明によって始まりました。ルターの声に様々な社会層、とくに農民が共感して起ちあがり始めました。
エンゲルスは著書『ドイツ農民戦争』の中で、ルターの激烈な檄を紹介しています。

「彼ら(ローマの坊主ども)のたけりくるう乱行ざたがこれ以上つづくなら、私は思うのだ、それをおさえるには、王たちと諸侯たちがそのための暴力にうったえ、武装し、全世界を毒するこれら有害のものどもを攻撃し、ことばをもってでなく武器をもって一挙にかたをつけよというにまさる忠告もなく薬もまずあるまい。われらは、盗賊を剣で、人殺しを首しめなわで、異端者を火で罰するのに、なぜかえって法王、枢機卿、司祭、ローマのソマドの有象無象のいったいのごとき有害な堕落の教師どもを、ありとあらゆる武器をもって攻撃し、われらの手を彼らの血であらわないのか?」(『ドイツ農民戦争』エンゲルス 国民文庫p53)

ルターの訴えは、王たちや諸侯を大きく刺激し、さらにはそれを飛び越えて農民の中に深く浸透していきました。とくに20代になったばかりのトマス・ミュンツアーという若き神学者が感化され、彼のもとに武装した農民が集まりだしました。
「ローマ教会を倒せ」というルターの檄に感化された農民が起ちあがり始めたことを、当初はルターは支持しましたが、のちに批判に転じ、やがて王や諸侯に武力による鎮圧すら求めるに至ります。
エンゲルスはルターが、勃興してきたのちのブルジョアジーに依拠し、農民や庶民に対しては抑圧者でしかなかった点を批判しています。


ヴィッテンベルク城教会の門に95ヶ条の論題を貼り出すマルティン・ルター。(1517年10月17日) フェルディナンド・パウヴェルス作 1872年

トマス・ミュンツアーの叫び

他方、トマス・ミュンツアーはますます先鋭的にローマ教会への批判を重ね、武装闘争への決起を呼びかけました。エンゲルスはミュンツアーの叫びをこう紹介しています。
「キリストは言いたまわずや、われは平和をきたさんためにあらず、剣をきたさんためにきたれりと(マタイ伝10の34)。諸君(ザクセンの諸侯)は、この剣をもってなにをなすべきか?ほかでもない、もし諸君がこれら悪党どもとちがって神のしもべたらんとするなら、福音をさまたげる悪党どもをとりのぞくことあるのみ。キリストはおごそかに命じたもうた、ルカ伝第19章の27節、「わが敵をここにとらえきたりて、わが目のまえにてころせ」と。」(『同書』p60)

かくしてミュンツアーに鼓舞された農民たちが、南ドイツを中心に各地で蜂起し、ローマ帝国の兵士たちや王たち、諸侯たちと相乱れて闘いました。1524年のことでした。
ミュンツアーは、教会の財産の没収とすべての人による共有化をも掲げていました。その点で私有財産制を共有制置き換えようとする共産主義思想の萌芽も展開していました。その主張は圧倒的な数の農民に支えられていました。
しかしルターが完全に抑圧の側にまわったことから、農民たちはローマ帝国だけでなく、王たち、諸侯にも攻撃され、やがて力つき、ミュンツアーも捉えられて処刑されてしまいました。農民の抵抗は敗北に終わりました。

エンゲルスはこの戦争を宗教戦争の形をとっていても、現実的な物質的利害が争われた階級闘争だったと分析しています。この戦いで利をえたのは後のブルジョアジーでしたが、エンゲルスは当時の農民たちの抵抗を讃えています。
このように「ドイツ農民戦争」は、貴族やあらたな市民階級など、のちのブルジョアジーの社会的地位を向上させましたが、しかしドイツはそのまま資本主義的発展を遂げたのではありませんでした。
1618年から1648年まで戦われた30年戦争で社会が荒廃したからでした。これまた宗教戦争でしたが、フランス・ブルボン王朝とスペイン・ハプスブルグ家の勢力争いが加わり過酷化し、ドイツ住民の20パーセントが死亡してしまいました。

このように中世に支配的位置にあったローマ教会へのプロテストが、やがて庶民・農民の抵抗をも引き出しつつ、ヨーロッパはあちこちで戦乱の渦の中に入っていきました。
繰り返しますがその中で資本主義は起ちあがりました。戦乱の中で市民革命もまたありました。この点に私たちはもっと大きな関心を払う必要があると思うのです。


トマス・ミュンツアーの肖像を載せた5マルク紙幣 旧東ドイツ 1975年

続く

#ドイツ農民戦争 #エンゲルス #宗教改革 #カトリック #プロテスタント #資本主義と暴力 #トマスミュンツアー #マルティンルター

*****

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明日に向けて(1965)関西電力による大飯原発4号機再稼働の動きに強く抗議します!

2021年01月15日 19時00分00秒 | 明日に向けて(1701~1900)

守田です(20210115 19:00)

今宵、大飯原発4号機が再び動きだそうとしています

関西電力が本日15日夜にも大飯原発4号機を再稼働しようとしています。17日に送電を開始し、来月中旬に営業運転を再開するとされています。
トラブル続きの加圧水型原発である大飯4号機の再稼働は大変、危険であり強く抗議したいと思います。
また大飯原発から最低でも250キロ圏内のみなさんは、万が一の事態への備えを開始していただきたいです。

関電はこれまで、高浜3、4号機、大飯3、4号機の4原発を新規制基準のもとで再稼働させましたが、昨年11月3日に大飯4号機が定期点検入りして以降、原発ゼロ状態が続いてきました。
こうなってしまったのはトラブルが続いたのと、特定重大事故等対処施設(特重施設)の建設を怠ってきたからです。
具体的には高浜3号機が昨年1月から5月の予定で定期検査に入ったものの、蒸気発生器細管に損傷がみつかって動かせなくなり、そのまま特重大施設設置期限の8月2日を迎えて動かせなくなりました。

高浜4号機の場合は順番が逆。特重施設を作らないまま設置期限の10月7日を迎えて動かせなくなり、定期点検に入りましたが、12月に3号機と同様の蒸気発生器の配管損傷が見つかりました。
大飯3号機は7月20日から定期点検に入りましたが、8月31日に一次冷却系統の蒸気発生器周辺で分岐した配管に傷が見つかりました。関電はそのまま再稼働しようとしましたが、規制委員会がストップをかけて動かせなくなりました。
このため大飯4号機も同じ配管の調査などを余儀なくされ、当初の昨年12月中旬の再稼働の予定が今日まで伸びてしまっていたのです。


再稼働に向かう大飯原発4号機について報じるMBS NEWS

関電の原発はトラブル続き。裁判も無視。特重施設も未完成。むちゃくちゃです

関電は大飯4号機には配管損傷が見つからなかったからと再稼働を強行しようとしていますが、問題が山積しています。
まず何よりも重要なのは、再稼働した4つの原子炉のうち3つで一次冷却系統の配管で損傷が見つかったこと、しかも定検の度に見つかっていることから明らかなように、加圧水型原発はまったくの欠陥炉だということです。
しかも一次冷却系統は原子炉の中核部です。ここでの配管破断はメルトダウンに直結してしまう危険性をはらんでいます。約320度で約157気圧もの冷却材が回っているのですぐに大事故に発展しうるのです。大飯4号機再稼働は危険です。

二つ目に大飯3、4号機は昨年12月4日の大阪地裁判決で、規制委員会が発した再稼働に向けた設置許可の取り消しが命令されていることです。
理由はこの原発の耐震強度を決める際に、関西電力が過去にこの地域で起こった地震の震度の平均値を用い、それを規制委員会が許可しているがおかしいというもの。当然にも平均の周りにばらつきがあるのに考慮されていない。
この裁判の効力は関電と国が控訴したことによって停止中ですが、しかし「規制委の判断は地震規模の想定で必要な検討をせず、看過しがたい過誤、欠落がある」という地裁判決を無視する関電と規制委員会の姿勢は大問題です。

さらに冷却系統が度々故障を起こし、地震の想定も大甘な上に、大飯原発が特重施設を今なお作られていない点も問題です。これはこの施設の期限のまるで詐欺のような延長の繰り返し構造によるものです。
そもそもこの施設は、「福島原発事故の教訓を踏まえたもの」とされつつ2013年に規制委員会が求めたもの。ところが最初から5年の猶予が与えられました。それでも2018年までにどの電力会社もこれを作りませんでした。
すると規制委は原発停止を命じる代わりに期限を再延長しました。しかも申請をしてから5年としたため一番遅くに申請した大飯3,4号機の期限が2022年8月21日となり、それまで特重施設なして運転して良いと言うのです。滅茶苦茶です。


加圧水型原発の構造 蒸気発生器、冷却材ポンプ、一次冷却材配管などがたびたび壊れる 福井原子力環境監視センターHPより


危険な原発を止めよう。災害対策もしっかり進めよう

このように大飯4号機は危険を承知で、しかも判決を無視し、特重施設も作らぬままに再稼働しようとしています。暴挙です。ものすごい危険性が再び生まれてしまいます。
これに対して大阪地裁判決を勝ち取った裁判闘争でも奮闘してくださったみなさんが、14日に大阪高裁に向けて、控訴審判決が出るまで設置許可の効力停止を求める申し立てを行ったくださいました。
ニュースを貼り付けます。まだ動画も観れますのでぜひご覧下さい。大阪地裁の裁判に続いての力強い行動に心からのリスペクトと感謝を捧げたいです。


「安全性審査過程に過誤がある」設置許可取り消し判決の大飯原発4号機が15日起動へ
ABCニュース 1月14日19:41配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/1e3f97d00269c5b803a1917dd57659fc217790ac

訴えたみなさんは「地震はいつ起こるか予測できず、あすにも被害を受ける可能性がある」と主張されていますが、まさにその通り。明日にも被害を受ける可能性があるのです。
とくに2020年はそれまでの年に比べて、震度5以上の地震がとても少なかったのでかえって不安です。その分、日本列島とその周りにエネルギーが溜まっている可能性が高いからです。
いつかは必ずやってくる東南海トラフ地震などが近々起こる可能性だってあります。

みなさん。いま動いている原発はどれもがトラブル続きです。問題ありありの新規制基準すらがまともに守られていません。
危険な原発を止めよ!の声を高めるとともに、重大事故発生に備えた原子力災害対策を地域で、個人で重ねていきましょう!

#大飯原発 #原発再稼働反対 #関西電力 #高浜原発 #蒸気発生器 #特定重大事故等対処施設 #加圧水型原発

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明日に向けて(1964)原発から命を守るために―10 過酷事故が起こったらとっとと逃げよう!

2021年01月13日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1901~2100)

守田です(20200113 23:30)

とにかくとっとと逃げる

危険極まりない原発の稼働。なんとしても止めたいですが、しかしその前に過酷事故が起こり、放射性物質が飛び出してくるかもしれません。
想像したくないですが、しかし想像しておかないと実際に事故が起きたときに対処できません。どうしたら良いのか。普段から事故へのシミュレーションを重ねておきましょう。
原発事故で一番怖いのは、身体にダメージをもたらす放射性物質が飛んでくることです。どうしたら良いのか。とにかくとっとと逃げることです!
できるだけ遠くまで逃げてしまうのです。それから放射線値が下がるのを待ち、危険が去ったら戻ります。

なおこれらについては、僕も関わって作成した篠山市(現丹波篠山市)の原子力災害対策ハンドブックに詳しく書いてあります。以下からダウンロードしてください。
https://www.city.sasayama.hyogo.jp/pc/group/bousai/cat2/post-129.html


篠山市のハンドブック『原子力災害にたくましく備えよう』より


半減期の短いものに被曝しないように

大事なことは放射能には「半減期」があること。放射線を出す能力が半分になるまでの時間で、10回繰り返すと能力は1000分の1に減衰します。
事故のときたくさんの放射性物質が飛び出しますが、半減期が短いものもたくさん出てきます。それらはものすごい数の放射線をいっぺんにだしますが急速に半減します。
だからこそ半減期が短く、いっぺんにたくさんの放射線を出す放射性物質が減るまで汚染地帯から離れた方が良いのです。だからとっとと逃げる、できるだけ遠くに行く、それで様子を見て帰るかどうか判断することが大切です。
このためにはあらかじめ逃げるところを決めておき、深刻な事故が起こったら躊躇なく向かうことです。これを日ごろから家族や知人と話し合っておいてください。

半減期については、にょきにょきプロジェクトの以下の解説の解説の動画(にょきぷろ読む会半減期パート1~4)をご覧下さい。
https://youtu.be/uQE1lu9_ygI
https://youtu.be/XXHEriEBm-M


にょきプロ制作の半減期動画(有料コンテンツ)のサムネール

続く

#原発からの命を守るために #とっとと逃げる #篠山市ハンドブック #半減期 #原子力災害対策

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明日に向けて(1963)『放射線副読本すっきり読み解きBOOK』を読む会、「せかママカフェ」で2回目を行います!ぜひご参加を

2021年01月11日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1701~1900)

守田です(20200111 23:30) 

今度はノルウェーの篠原さんを中心に!

この間、『放射線副読本すっきり読み解きBOOK』を読む会をいろいろな形で行って来ました。
日本を越えた試みでは、在英日本人有志の方たちを中心に、欧米におられる方とzoomでつながって3回の読み会を行って来ました。
また同じく在英の西川直子さんを中心に「世界のママが集まるオンラインカフェ」と「EARTHママ」共催の読み会を行っていただきましたが、今回は「せかママカフェ」での2回目の読み会を行います。

今回、中心になってくださるのは、せかママカフェ、ノルウェー店の篠原ヨウコさん。
2月14日(日)の日曜日、日本時間21時~22時半に行います。
ノルウェーではオスロで13時~14時半、ドイツ、フランスも同じかな。ロンドンは12時~13時半、アメリカ・ニューヨーク7時~8時半です。

今回はzoomに加えてFacebookでのライブ配信もするので、よりたくさんの方にご視聴いただけるかと思います。
積極的に質問もしたい方はぜひzoomでご参加ください。


以下、案内を貼り付けます!

第2回 世界のママが集まるオンラインカフェ 勉強会
原子力発電所と 放射線について知ろう ~すっきり読み解きBOOKを読む~
2月14日(日)日本時間21時~22時半 録画視聴OK?
https://onl.tw/Sb618VD
★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★★

世界のママが集まるオンラインカフェ、ノルウェー店の篠原ヨウコです。
もうすぐ東日本大震災から10年がたちますね。
大震災がおこったとき、私はすでにノルウェーにおり
こちらのTV局から流れてくる日本からのニュースを、
茫然とした気持ちで見ていたことを覚えています。

大震災で原子力発電所が被害を受けたにもかかわらず、
自分たちの命に関わる現状が伝わってこない、
そもそも原子力や放射線の事がよく分からない。

モヤっとしていて良く分からない
原子力発電所や放射線、そして再生可能エネルギーなどについても
詳しい情報を得て、自分の意見をもてるようにしませんか?

* … * … * … * …* … * … * … * …* … * … * … * … * …
すっきり読み解きBOOKってなに?
* … * … * … * …* … * … * … * …* … * … * … * … * …

第1回目に引き続き、京都で「にょきにょきプロジェクト」の活動をされている守田敏也さんをお招きして、放射線について学んでいきます。

チケットの申し込みはこちらから にょきにょきプロジェクトへの応援もお願いします!
チケット選択 (第2回 原子力発電所と 放射線について知ろう ~すっきり読み解きBOOKを読む~ 世界のママが集まるオンライン勉強会) | Peatix


せかママカフェ 1回目の取り組みから


『放射線副読本すっきり読み解きBOOK』は以下からゲットしてください。

まずBOOKの趣旨を説明した記事をご紹介しておきます。
https://onl.tw/TuGpnbU

BOOKの入手先は以下です。
https://nyoki2pj.com/lp/info_yomitokibook/

クラウドファンディングもお願いしています。ぜひよろしくお願いします。

せかママカフェでの読み会の感想をこちらにまとめてあります。
https://onl.tw/78C6ymf
https://onl.tw/u7xsA6x

みなさま。次は第2回「せかママカフェ」読み会の場でお会いしましょう!

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