明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(1375)この世は絶望するには面白すぎる!(くらしとせいじカフェ用原稿)

2017年04月29日 13時00分00秒 | 明日に向けて(1300~1500)

守田です(20170429 13:00) 

本日(29日)午後4時から米原市JR柏原駅そばの渡部建具店で「くらしとせいじカフェ@米原&おいしい作戦会議」が開かれます。前々回の「明日に向けて」でもご紹介しましたが、このカフェは米原、彦根、長浜の方の持ち回りで2月に1回行われているもので、僕も毎回参加して、民進党国会議員の田島一成さんとともに発話をさせていただいています。

だいたい原発のことを中心に、朝鮮半島情勢など、時事的なこともおり交えて発話してきているのですが、今回、実に面白いテーマを与えられました。いわく「市民運動に関わってきて学んだこと、伝え方、大切にしていること」です。

一読して「わあ、これならいろんなことを話せるな」と嬉しく思ったのですが、実際に前日になって考えてみると、話したいことが多すぎる!持ち時間は30分でその中にトルコ訪問のことも納める予定なのでとても余裕がない。それで事前に原稿を作っておくことにしました。

 

タイトルを何にしようかと瞑想に入ってすぐに浮かんで来たのが「この世は絶望するには面白すぎる」でした。

僕が市民運動、というより社会運動に関わり出したのは高校3年生の春、17歳の時でした。1977年のこと。もう40年も前なのだなあ。

生まれて初めて参加した集会とデモは成田(三里塚)空港反対闘争でした。東京の日比谷公園で行われました。確か6月のことだったと思います。以来、怒濤のように集会やデモ、そして成田(三里塚)の大地を駆け巡る日々が始まり、三ヶ月後の9月にはデモで友だちを殴ったおまわりさんに腹を立て、隙を狙ってポカリとやり返したところ「逮捕!」と叫ばれて捕まってしまいました。東京の丸の内署に留置され、その後に練馬の少年鑑別所に移送されました。今思えばぜんぜん隙でもなんでもなかったわけです(笑)。18歳になったばかりのことでした。

以来、本当にたくさんのことに関わってきました。中でも一番、一生懸命に通ったのは成田(三里塚)闘争でしたが、その頃、成田(三里塚)は日本住民運動の総本山とも言われていて、日本中からいろんな団体がかけつけていました。それぞれでチラシを出すので、会場の入り口を通過するときに手の上に山のような束ができました。最初のころは集会発言に耳を傾けつつ、それらを一つ一つ丁寧に読んでいました。鮮烈な印象を持って覚えているのは障害者解放運動で、かなりきつい主張をしていた「青い芝」というグループのビラでした。「健常者」が知らないうちにもっている差別意識を知らされてガーンと来ました。あるいは目をつむると浮かんでくるのは水俣からかけつけてきていた人たちの姿。水俣病についても、この病との社会的格闘についてもこの場で知りました。沖縄のことや各地の労働争議、あるいは各国の反戦、反空港運動、そしてまた日本各地で取り組まれていた原発反対運動もこの場を介して知り、だんだんにその一つ一つの現場にも足を運ぶようになりました。

その詳細をここで書くことはとてもできませんが、いまその全ての場を振り返って思うことが「この世は絶望するには面白すぎる」ということなのです。

 

社会問題が起こっているところ、闘争のあるところにはまずは悲劇があります。政府や巨大企業から痛めつけられ、踏みにじられ、人々が涙を流した歴史があります。だからそこに入って行く時には、身を切られるような悲しみを通過しなくてはなりませんでした。そんなことが起こっていることを知らなかったことがいたたまれなくなるような思いを何度も味わいました。

しかしこの壁を乗り越えて、さらに一歩、中に踏み込んでみると、そこには必ず当該の問題と奮闘しているもの凄い人々がいました。その多くがなんとも魅力的でした。悲劇の中で燦然と輝く炎に見えました。何度も感動し、身体が震えました。といっても絵に描いたような善人ばかりだったわけではありません。一癖も二癖もありそうな人々もゴロゴロしていました。それがもう本当に面白かった。僕もその仲間になりたかった。端っこでもいいから一員に加わっていたいと思いました。

「危ない人」にもたくさん会いました。どう「危ない」のかはご想像にお任せします。それでここには書けないたくさんの「危ない」話も聞きました。聞かされた場合も多かった。どんな映画よりも凄かったです。時に壮絶だった。悲しい話も多かった。でも勇気を与えてくれるものも多かった。ロマンとサスペンス、笑いと涙に溢れていて、時には僕もそのほんの一部を体験することもありました。

それで僕は一つの「法則」をつかみました。「悲劇の周りには必ずその悲劇と奮闘している素晴しい人がいる!」ということです。それで僕はいつしか悲劇により関わるようになりました。悲劇が好きなのではありません。その周りに必ずいる誰かと出会いたかったのです。そうなるとどんどん僕のレーダーが研ぎすまされて行く。もともと騙されやすい性格なのですが、それでもホンモノと偽物を峻別することができるようにもなっていった。

それでもなあ、僕が学生だったころですが「パレスチナ解放闘争を担うPLOの日本人メンバー」と名乗りつつ、なんのことはない、集会に参加してくる若い女の子をナンパしようと目論んで接近してきたとんでもないおじさんに騙されたこともありました(笑)。あ、寸でのところで気がついて、仲間の女性たちを守ることができましたが‥。

 

奇麗な話、美しい話ばかりでなく、そんな怪しい話、ずっこけた話も含めて、僕は僕のこれまでの体験から「この世は絶望するには面白すぎる」と思うのです。もちろん「入り口」には十分、絶望するに値する事実が転がっています。例えば今だってシリアなどはめちゃくちゃな状態で、たった今もゴムボートでトルコの海岸からギリシャの島を目指してエーゲ海を渡っている人々がいるのですよね。そのボートがひっくりかえって、この瞬間に赤ちゃんが海に沈んでいってしまっているかもしれない。こんな悲劇があるのに世界は、そして私たちはこの惨状を止められないでいるわけです。

こうしたことを話し出したらそれこそ一晩中、話す事ができます。世界は悲劇で溢れている。悲しみには事欠かない。そうです。世界は今、十分に絶望しうる要素で溢れているのです。でも僕は絶望したくないのですね。そうなのです。僕自身が希望が欲しいのです。だから僕のレーダーはいつもくるくる周り、悲劇の中にいる凄い人物を見つけ出し続けているのです。

その意味で僕の世界の見方は主観的です。僕は主観的に、良いもの、希望を持てるもの、感動するものを拾い集めて生きています。でもこの世界に対して客観的な見方などあるのですかね。絶望をしたら客観的なのでしょうか。いやそもそも主観を介しない認識などあるのでしょうか。ないと僕は思うのです。だとしたら僕は常に希望を拾い集めたい。そしてそれを世界に再発信して「みんなで元気を出して未来をめざそうよ」と言いたい。だから僕が社会運動から学んだのは「この世は絶望するには面白すぎる」ことだということをみなさんにお伝えしたいのです。ぜひ一緒に「この超絶な面白さを知る旅に出ようよ」とお誘いしたいですね。あ、ちょっと、危ないですけど(笑)

 

さて続いて「伝え方」「大切にしていること」についてお話しします。僕にとって伝えたいのは常に悲劇とその周りにある希望です。伝える時に大事にしているのはけして上から目線にならないこと。伝える相手にそれを感受する能力が備わっていることを信じて話すということで、これで一度も外れた経験はないので、たぶん正しい方法なのだと思います。まあ、自分の一番言いたいことを、包み隠さずストレートに話す方が、説得力が出ますね。

ただ僕自身がそうなのですが、延々と悲劇だけを聞くのは辛いのですね。心が疲れきってしまう。だから伝え方で重視しているのは、悲劇を伝える時に、必ずその周りにある希望、人間の可能性を一緒に伝えることです。悲劇と希望が一つのセットになったとき、人は悲劇を受け入れてくれるように思えます。

もちろん中にはもっと凄い人、強者もいて、僕なんかよりずっと精神的にタフで、ちょっとやそっとじゃ悲劇に動じない‥なんて人にも何度も出会いましたが、この場合は僕は、伝える側ではなくて「伝えてもらう側」にするっとまわってしまいますね。もう格好の取材対象です。そのときに感動したこと、面白いと思ったことを、できるだけ克明に記録して、伝える時は「そっくりそのままそれを再現する!」ようにしています。これも伝え方のコツの一つかもしれません。

 

「大切にしていること」は何よりも人へのリスペクトです。人を尊重し、尊敬すること、そのためにその人の良いものを探し、それを相手に伝え、共感の土台を作って行くことかな。

これは人を批判する時にも大事なポイントだと思っています。リスペクトを欠かさない。あるいは批判する相手の人間性を落とし込めるようなことは決して言わない。気を使うのは呼称の仕方ですね。例えば僕は当然にも折に触れて安倍首相を批判していますが、そのときにけして「安倍!死ね!」みたいな言い方はしません。まあ、そう叫びたい人、叫んでいる人の気持ちも分かりますから、それを悪く言うつもりもないのですが、あくまでも僕はどんな相手でも尊重した上で「あなたの行いは人間としてあやまっています」というスタンスを崩さないようにしています。

実はこれ、自己防衛のためでもあるのです。時にこうしたバランスが崩れて、相手の人格そのものを否定するような言辞に近づいてしまうこともあったのですが、そうすると必ずといっていいほど、なんとも邪悪な反応が返ってくるのです。これに対して相手を人間としては尊重した上でなら、どんなにきつい批判をしても、少なくともこうした邪悪な反応は返って来ない。ここは大切なポイントだと思います。

 

拷問を例にとると分かりやすいでしょうか。私たちはどんなにひどい悪漢であっても、拷問にかけるのはとんでもないことだと思っていますよね。いやまあ中には違う感情を持っている方もいるかもですが、しかし私たちは誰であろうと拷問を受けている人が叫び声をあげているのを聞いたら、やはり顔を背けたくなると思うのです。

それは私たちがその人がどんな人であろうと、その人の中に誰しも共通に持つ「人権」があることを感じているからです。その人権が落とし込められるのをみていることができないわけです。

だから僕は他者批判を行うときにも、この人権感覚を大切にしなくてはと思うのです。「そうでないと邪悪なものを引きつける」と書きましたが、要するにこちらが人権を守らなければ、人権を落とし込めるような反応がかえってくるのです。その点で、けして怒りに身を任せてしまわずに、どんなときにも相手をリスペクトすること、同じ人権を持った同じ人間であることを自分に言い聞かせて、対応していくことが大事だと思います。

唐突かもしれませんが「茶の湯」などはまさにこの精神で成り立っているのではないですかね。戦国末期、殺戮に染まった荒ぶる戦国武士たちの心を一服の茶で鎮めていったその所作の中に、僕は限りない人間への尊重を感じます。といってもお茶を立てることなどとてもできないのですが(笑)

 

以上が、僕が社会運動から学んで来たこと、伝え方で留意していること、大切にしていることになります。これで質問者の意図に応えられたかどうか分かりませんが、最後に述べたいのは、やはりそうはいってもこの世から悲劇そのものを無くしたいということです。そこで奮闘しなければならない人がいなくなり、もっと他の領域で人々が輝く社会を実現したい。そのためにみなさんと一緒に歩んでいきたいです。私たちの手で本当の平和への道を切り拓き、戦争や闘争にまみれた野蛮な人類前史から、友愛に溢れた人類後史への橋渡しをしていきましょう。僕は「必ずこの道を切拓くことができる」と確信しているのです。

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明日に向けて(1374)危険な原発でもうけを狙った東芝の末路(後藤政志さんに聞く)

2017年04月28日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1300~1500)

守田です。(20170428 23:30)

東芝の崩壊が止めどなく続いています。

4月11日に同社は2017年3月第3四半期(10〜12月)決算を公表しました。2度にわたって発表を延期し、最終期限を迎えてのものでしたが、なんと今回は決算書の正しさを証明する監査法人からの「適正意見」を得られないままに公表。その後にこの監査法人を解約することまで発表しています。しかしこれでは決算が適正に公表されたことにはならず、この間、ささやかれている東芝の上場廃止の可能性が一段と高まったと言えます。東芝はこのまま「消えて行く」可能性大です。

なぜこんなことになってしまったのでしょうか。この点について僕は「明日に向けて」で、東芝の不正会計が露見した時点で原発事業の失敗との関連の分析を深め、ウェスチングハウス買収の時点から、東芝の崩壊が続いて来たことを明らかにしてきました。未来のない原発に資産をつぎ込んできたのが失敗のもとだったという点をです。

その上で、この23日日曜日に、元東芝の後藤政志さんを京都市にお招きし、東芝崩壊の内的要因についてより深く伺い、僕があまり触れてなかったポイントを教えてもらうことができました。

 

今回はこの点をお伝えしたいと思いますが、あらかじめ要点を述べると、東芝の崩壊の要因は、日本の原子力産業が、純粋な国内産業として成立してきており、しかも国とメーカーと電力会社の密接な関係のもとに運営されてきたため、商業上のリスクをほとんど負わずに存続してきてしまったことにあります。経営陣も事業リスクと向かい合った経験を持たないが故に、自分たちに都合のよい未来しか描けず、迫り来るリスクに対応できず、どんどん墓穴を拡大してしまったのです。

やや唖然ともしますが、これがことの真相なのです。今回の記事のタイトルを「危険な原発でもうけを狙った東芝の末路」としたのも、原発が巨大な事故を起こす危険性を持つとともに、商業的にも極めてリスキーなものであるとの意味をひっかけてのことです。

東芝は福島原発事故の時点において、この二重の意味で危険な原発に社運を託してきたことを反省し、事業リスクの観点から展望が狭まっていた原子力事業からの撤退を決めれば、少なくとも今日のような雪崩うつ崩壊劇は免れたかも知れません。しかしそうならなかったのも、何かがあれば最後は納税者につけをまわし、税金で埋め合わることでのうのうとしてきたが故のことなのです。原子力村のこうしたなれ合い的なあり方こそが、事故を起こす可能性に対しても、経済的に立ち行かなくなる可能性に対しても、厳しく向かい合うことのできない体質を構造化してきたのであって、これは原子力産業の根本的な限界であると言えます。

 

そもそも企業はたくさんの社員を抱えて存在しているわけですから、倒産すれば多くの人々が路頭に迷います。このため企業は利益=ベネフィットを求めるものの、同時に常にリスクの生じる可能性に目配りし、社員や関連業者を守り抜くことがモラルとして求められます。ところが東芝はこの点が欠けたまま歩んできてしまい、ウェスチングハウスの高値での購入という博打的な賭けを行った挙げ句に破産してしまったのです。リスクを考えようとしない無責任な体質に浸かりきってしまっていたからです。

とくに東芝がきちんと判別することができなかったのがウェスチングハウスの原発建設の力量でした。そもそもアメリカはスリーマイル島原発事故以来、新しい原発を一つも作っていません。この事故が起こったのは1979年ですから、東芝が同社を購入した時点でも27年間も経っていました。ということは東芝が購入した時点でのウェスチングハウスには、原発を建てた経験のある技術者はほとんどいなかったことになります。少なくとも責任ある地位にいた人々はリタイアしていたでしょう。それでなんで新規の原発建設がスムーズにできるのか。この点の考慮がまったく欠けていたのです。

ウェスチングハウスは、モジュール工法といって、現場ですべてをくみ上げる従来の原子炉建設方式に代え、巨大な施設を作ってその中で次々と原子炉の基本部分を組み立て、現地に持ち込んで組み立てる方式を編み出し、従来の工期を大幅に短縮すると豪語していたのですが、そんなものはそれこそ「絵に描いた餅」にすぎませんでした。誰も実地に経験したことのないものでしかなかったのです。

それで実際に行ってみると、次々と生じた設計上の変更に同工法が対応しきれず、かえって工期を大幅に延ばしてしまう大失態を招いたのでした。工期を短くしようとして、かえって長くしてしまい、巨額の損失を生んでしまったのです。ところが東芝はこのように、自らが考えたのとはまったく違う事態に現場が陥ってしまう可能性など少しも考えていなかったのです。まさにノーリスクであるかのように歩んできてしまったのでした。ちなみにこれを教えてくださった後藤さんも、東芝の愚かさ、モラルのなさを説明する際には、いつもより激しく怒りを表さざるを得ませんでした。

 

さらに後藤さんが強調されたのは、こうした東芝の大崩壊の責任を、日本政府が大きく負っているという点です。なぜならもともと東芝は沸騰水型原発のメーカーで、アメリカのゼネラルエレクトリックから技術供与されてきました。日立製作所もこの系列に属します。これに対してウェスチングハウスは加圧水型原子炉のメーカーで三菱重工に技術供与してきたのです。

東芝のウェスチングハウス買収は、このような米日の原子炉メーカーの系列を覆す大再編を伴うもので、もともと原子力産業は国策産業ですから、そんな大きなことを一企業で決められたはずがないと後藤さんは言うのです。明らかに政府がこの大再編に関与し、東芝にウェスチングハウスを買い取らせたはずだというのです。

こう考えると東芝が、ウェスチングハウス買収のリスクになんら目を向けなかった理由も見えてきます。政府がバックにいて責任を取ってくれる(といっても最後に納税者に責任転嫁するだけですが)ので、自らがリスクを厳しく考えなくても良かったからです。

後藤さんはこの日、こうした点を分析した幾つかの雑誌記事も持参され、すでにマスコミの多くもこの点に気づき、責任者の特定を行っている点も教えてくださいました。この内容はまた後日にお伝えしますが、ともあれ大事なのは、東芝の崩壊は原発輸出路線を国策として確定してきた政府によってももたらされてきたものだという点です。

もちろんとくに関与の度合いが高いのが安倍政権です。原発輸出を「トップセールス」で押し進めてきたからです。安倍政権もまたリスクなどまったく無視して突っ走って来た。今日の東芝の崩壊が如実に示しているのは、こうした安倍政権の経済成長路線そのものなのだということをしっかりとみておく必要があります。

 

そして重要なのは、この点では実は三菱重工も日立製作所も同じ構造の中にあるということです。両社ともに巨大な複合企業ですから、違った部門もたくさんあり、東芝よりもリスクに直面した経験を持っているかも知れませんが、しかし少なくとも原子力部門は、これまで東芝と同じような優遇政策の中をしか歩んできていません。

とくに三菱重工は、美浜原発で深刻な蒸気発生器の事故を起こしたり、二次系の配管破断で死傷事故を起こしたりしながらも、国によって守られ続け、大きなリスクを背負うことなく今日まで歩んで来ています。その点では東芝となんら変わらないのです。

ところがこの欠陥部品である蒸気発生器を強気でアメリカのサンオノフレ原発に輸出したところ、たちまち事故を起こして同原発が停止してしまい、そのまま廃炉になってしまう事態に突き当たりました。三菱重工は、同原発の所有企業から廃炉の責任全体を問う7000億円にも及ぶ損害賠償を請求されました。

三菱重工にとっては「幸い」なことに、国際的調停のもと、同社は最終的にほぼ部品代だけの賠償金を払えば良いことになって巨額の賠償を逃れることができましたが、しかしこの事態は、原発建設には、放射能漏れと被曝の危険性だけでなく、巨大な経済的なリスクもつきまとっているという事実を明らかにしました。しかも一つの事態で会社が簡単に吹っ飛んでしまうようなリスクが常にあるのです。いや事故を起こさずとも、建設が滞るだけで巨額の損失が出てしまうあまりにリスキーなものが原発産業なのです。

その上、すでに明らかになっているように、これとはまた別に廃炉費用が膨大にかかります。どう考えてもまともな商売感覚ではやっていけないのが原発なのです。だからこそ国策産業であり続けて来たわけですが、そんな国策産業に、違う文化や社会的土壌を持った他国を相手取った輸出事業などとてもできないことが、今回明らかになったのです。政府と三菱重工、日立製作所は、この点にこそ学び、すべての原発輸出計画を白紙撤回すべきです。以上が後藤さんから学んだエッセンスです。

 

もちろんそれでこんな人々に国内で原発を再稼働してもらっても困ります。実際、この間政府は原発輸出の展望が狭まっているが故にこそ、再稼働への流れを強めているのだと思えますが、しかしそもそも原子力村はリスクを考えることのできない人たちの集団であることが、今回、全面的に露見したのです。そんな人々にどうしてあまりに危険な原発の運転をこれ以上、託すことなどできるでしょうか。

東芝の思惑が次々と外れてしまったように、将来の発展の夢など、何一つ実現できなかったように、国内での原発の安全な稼働もまたあり得ない幻想なのです。再稼働はリスクを無視したインモラルな愚挙です。

この間、幾つかの裁判でも示されたように、この地震列島の中できちんとリスクを考えれば、もはや原発を稼働させてはならないというのが社会が選ぶべき当たり前の結論です。

私たちは東芝の崩壊の経験から、この点をこそつかみとろうと声を大にして訴えようではありませんか。東芝の経営陣の無能さを罵倒しているだけではいけない。大切なのは、こんな正常なリスク感覚も持たない人々が進めて来た原子力産業そのものを閉じなければならないということです。

そしてその先に、未来の人々への崇高な任務として、私たち市民の関わりのもとで、廃炉作業を進めなくていかなくてはなりません。使用済み核燃料の安全な保持の仕方も開発しなくてはなりません。それはもはや営利企業にできることではありません。必要なのは廃炉公社です。「私たちの世代の過ちをただし未来の人々を放射能被曝から守る公社」と言った方が良いかも知れませんが、それを社会的共通資本として設立し、運営していくことが私たちが進むべき道です。

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明日に向けて(1373)くらしとせいじについて楽しく語ろう!(滋賀・京都での試み)

2017年04月25日 23時30分00秒 | 講演予定一覧

守田です(20170425 23:30)

4月29日に滋賀県米原市で「くらしとせいじカフェ@まいばら」に参加します。

「くらしとせいじカフェ」は、2014年7月の県知事選挙を機に、滋賀県中で取り組まれだした試み。それぞれの町で何人かが集まって、「気軽にくらしとせいじについて話そう」と始まりだし、ずいぶんたくさんの取組が重ねられてきました。キャッチは「滋賀のお母ちゃん発!「くらし」と「せいじ」のことを、おしゃべりしませんか」。Facebookページもあるのでご紹介します。

https://www.facebook.com/kurashitoseijicafe/

 

僕も各地のカフェに参加させていただきてきましたが、とくに彦根市、長浜市、米原市で二ヶ月に一回、持ち回りで行われているカフェには毎回、参加してきました。次回で16回目になるのかな?

今回は米原で開催ですがここでのカフェはいつも「渡部建具店」で開催。JR柏原駅近くの素敵なお店です。東京からUターンして故郷に戻って来た渡部優さん、秀夫さんご夫婦が営まれています。

その建部建具店さんが、マガジン9に素敵なコラムを連載していることを最近になって知りました!いや前にもちらっと聞いてはいなのだけれど。ともあれとくに5回目の「おかあちゃんに学ぶ草の根自治」(2014年10月22日)は、滋賀で「くらしとせいじカフェ」が立ち上がって来た時の様子がよくあらわされているのでぜひご覧下さい。タイトルに使われている優さんの絵もとても良いです!

http://www.magazine9.jp/article/watabe/15318/

 

この3つの町での開催では、毎回、民進党国会議員の田島一成さんと僕がその時々の世情にあわせて発話させていただいて、その後にみんなでわちゃわちゃ討論しています。田島さんは主に国会報告をされ、僕は原発の問題を軸にしながら、時事的なお話をしています。今回、僕が頼まれたタイトルは「市民運動に関わってきて学んだこと、伝え方、大切にしていること。+3月末から4月にかけて訪問するトルコの報告」。

「とても面白い演題を投げてもらえたなあ」という気がしています。この領域で主題的に話すのはたぶん初めて。でも言いたい事はとてもたくさんあります。楽しみですがきちんとしぼっておかないとなあ。

またいつも午前中に行うことが多いのですが、今回は珍しく夕方からの開催。しかも初めての試みとして二部に「おいしい作戦会議」が設けられ、ご飯とお酒を持ち寄ることになりました。これまた楽しみ!みなさま、ぜひ米原のカフェをのぞきに来てください。29日午後4時から8時までの予定です。

 

さて、僕自身としてはこうした滋賀での試みにも大いに刺激されつつ、京都でもくらしのこと、せいじのことを大いに語りあおうとみんなと取り組んできたのが「ウチら困ってんねん@京都」での取組です。

略称を「ウチこま」というのですが、もともとは2016年初頭に行われた京都市長選のときに、初の女性候補として立ち上がってくれた本田久美子さんを応援する勝手連として動いてきたグループを継承したもの。

選挙が終わって「勝手連」ではなくなるときに、新たに名称を作り直す必要に迫られました。最初はシールズの若者たちに見習って、かっこいい横文字の名前を付けようとあれこれ考えたのですが、どうも自分たちにフィットするものが浮かんで来ない。そのうちにメンバーの1人が「ウチら、困ってんねんから、『ウチら困ってんねん@京都』でええんと違う?」と発言し、爆笑が起こって「それがウチららしい!」ということになりここに落ち着いてしまいました。かっこいい横文字はどこへいったやら。

 

「ウチこま」は「くらしとせいじ」一般よりも、もう少し「京都市政」にシフトした取組です。京都は外からは華やかな観光都市に見えると思いますが、ここ数年、市政が金儲け優先でひどいことが横行しているのですね。例えば祈りの場である下鴨神社の糺ノ森の一部が、豪華マンション建設のために売り払われてしまうとか。それでなんと私たちの側が、鎮守の森を守ることになっています。あるいは子どものための行政が本当にひどい。障害者やお年寄りもどんどん暮らしにくくなっている。でもそれぞれの現場で起こっているあまりにえぐいことが、市民全体には見えてない側面があるので、シリーズ「京都の今とこれからを考える」という企画を重ねて、現場で苦労している市民の声を拾い集めて来ています。

同時に前回の京都市長選では、私たちが応援した本田候補が勝つことができなかった。この反省として、選挙はいまからもう取り組まなくてはダメ、候補者が決まるのをまたずに始めてしまおう!と考えて動き出し、いまは本田さんに勝手に「また候補になって欲しい」とお願いして走り出しています。

そんな「ウチこま」で5月13日に「ぶっちゃけ選挙ばなし」という企画を行います。「もう京都市長選をはじめてしまおう、そのために思っていることをぶっちゃけて!」という企画で、幾人かに京都市長選について思うところを話していただきます。同時に「もし自分が市長だったら」というテーマでみなさんに自分の思いを温めてきてもらって、どんどん発言してもらいます。

もちろん「そもそもウチは選挙なんか嫌いなんじゃい」とかいう発言も大歓迎。何でも思っていることを語り合う企画にしようと思っています。(でもそれぞれが参加者みんなのことを考えて、誰もが話せるように配慮していただくのが当然の条件なのですが)

ちなみに僕自身は、選挙にむけて新しい運動を提案しようと思っています。お寺さんへの大アンケートです。京都市役所からわずか60キロに位置している高浜原発がこの5月にも再稼働してしまうかもしれません。これに対して京都市中のお寺さんの意見を聞きたいと思っているのです。とくに聞きたいのは災害対策。中でも「放射能の到来時にご本尊をどこに避難させるつもりなのか」です!!この他、いかに門徒さん、信徒さんを守ろうとしているのかも聞きたいですね。

さらにもう一つ。「もんじゅ」の大失敗のもとでの廃炉が決定しましたが、この国家の無謀で危険な計画の名に、文殊菩薩の名が使われて来たことをそれぞれのお寺がいまどう考えているのかをぜひお聞きしたい。実はこれは僕が核戦争防止国際医師会議(IPPNW)ドイツ支部のジーテントプフさんを南禅寺にお連れした時に問われたことでもあるのです。クリスチャンである彼女、「なんでたかだかデバイスに神の名をつけたのですか。信じられない。「マリア原発」なんて絶対にあり得ない。なんでこんなことが許されるのですか」と怒りました。僕はとても恥ずかしかった。何かを深く反省しなくてはと思いました。そのことを京都のすべてのお寺さんとともに考えたいのです。そういう捉え返しもなしに観光の町で京都が良い顔をしていてはならないと思うのです。とても不誠実です。そんなことを単にお寺だけにとどまらず京都の話題としていきたいと思っています。 

 

さて、滋賀の「くらしとせいじカフェ」に話しを戻すと、さらに6月5日にも面白い企画が立ち上がって来ているのです。「原発と被曝@議員さん向け勉強会」です。くらしから立ち上がったせいじへの関心、思いを議会にのせて政策に反映させていくのが議員さん達が負っている役割。その議員さんに原発について、そして被曝についてがっつりおさえていただこうとの思いから立ち上がった企画で、講師として僕を呼んでくださることになりました。これまた面白い。

それぞれの「くらしとせいじカフェ」で各地の議員さんたちとのつながりができているので、ぜひ多くの議員さんに来ていただければなと思います。いろんな立場の方が来てくれると面白い。保守の方達にも来ていただきたいです。

 以上、三つの企画の案内を貼付けておきます。せいじを身近な場に取り戻すことから、世の中をもっと私たちにとって温かく、暮らしやすい場に変えて行きましょう。そのためにいろんな試みを重ねて行きましょう。ぜひ滋賀と京都の試みにも足を運んでみてください。もちろん他の場の知恵をもってきていただくのも大歓迎です。「くらしとせいじ」についての語り合いの環を広げていきましょう!

*****

4月29日滋賀県米原

くらしとせいじカフェ@米原&おいしい作戦会議

https://www.facebook.com/events/426543031017701/ 

第一部:16:00 - 18:00
くらしとせいじカフェ@まいばら
スピーカー
田島一成さん 「国政報告」
守田敏也さん 「市民運動に関わってきて学んだこと、伝え方、大切にしていること。+3月末から4月にかけて訪問するトルコの報告」
質疑応答 この日のお話への質問だけでなく、日頃セイジゴトについて持っている疑問もこの機会にぜひ聞いてください☆

第二部:18:00 - 20:00くらい
おいしい作戦会議 くらしとせいじカフェ滋賀2区のこれからについて、ざっくばらんに話しあいましょう。おいしいごはんを食べながら!
ごはん、のみもの、お酒:持ち寄り
第一部、第二部どちらかのみのご参加も大歓迎!
とき:2017年4月29日(土) 16:00-20:00
ところ:渡部建具店(滋賀県米原市柏原871)
第一部参加費:500円 ☆カンパ歓迎☆

***** 

5月13日京都府京都市

ぶっちゃけ選挙ばなし そのⅡ

https://www.facebook.com/events/223616921455479/

 

京都に暮らしているあなた!

今の京都市政

あまりに冷たいと思いませんか?

 

保育所は待機がいっぱい

子どもの医療費も他市より高い

子どもやママたちに冷たい市政。

 

敬老乗車証も、乗るたび有料の方向

介護保険もどんどん改悪

お年寄りに冷たい市政。

 

下鴨神社糺ノ森に高級マンション

二条城には大型バス駐車場

木を切り、自然を破壊して

金儲け優先の町こわし市政。

 

原発の避難計画はおざなり

安心して暮らせない市政。

 

こんな市政を変えるために、

今から市長選を始めませんか?

 

そのための、ぶっちゃけトーク

「もし私が京都市長なら‥‥」

あなたの思いを持って来てください。

 

ゲストスピーカー

中村和雄さん 浦田沙緒音さん 井崎敦子さん 石田紀郎さん

日時 5月13日(土曜日)13:30〜16:30

場所 洛陽教会地下ホール(京都市寺町丸太町上ル 駐車場なし)

主催 ウチら困ってんねん@京都

連絡 090—3704−3640

入場無料(カンパ制)!

*****

6月5日滋賀県草津市

原発と被曝@議員さん向け学習会

https://www.facebook.com/events/1742856582605967/

 

原発のことをエネルギー政策だけじゃなくて被曝の観点からも語ってほしいー!と空に向かって叫んでるだけじゃぁ語ってなどもらえないことに気づいたので私たちが「原発」をどうみてどう考えているのか、「市民の声を国に届けることが政治家の役目です」と言ってくれる議員のみなさまに知っていただくことにした企画。(もちろん議員でない方も大歓迎)

この機会を是非活かし街宣、駅立ち、スピーチに展開くださいねー。市民のこころに響くのはリアリティのある言葉です。

外部被曝は燃える石炭に手をかざすようなもの。

内部被曝は燃える石炭をそのまま飲み込むようなもの。

わたしたちにの身近にある「命」や「くらし」の観点から原発をどうか訴えていただきたいと思っています。

様々な場所でお世話になっている守田敏也さんが今回もお力添えくださいます。

そして…お願いごと。手弁当で動いています。参加費は1000円以上のカンパということでチカラをかしてください。カンパは全て講師代と会場費にさせていただきます。既に5名の方参加表明いただいています。ありがとうございます!

 

時:6月5日(18時30分から)

場:草津まちづくりセンター306

尚、参加される方は申し込みをお願いします。09082080423

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明日に向けて(1372)伊方原発広島裁判参加のため広島市に行ってきます!

2017年04月19日 09時00分00秒 | 明日に向けて(1300~1500)

守田です(20170418 09:00)

昨日18日、京都市内での戦争反対ビジルに参加されたみなさま。どうもありがとうございました。のべ約30人の参加で、「アメリカは戦争をやめて」「北朝鮮(DPRK)を攻撃しないで」という声をあげることができました。今後もこうした行動を適期、続けて行きたいと思います。ご協力をお願いします。

さて今朝はこれから広島市に向かい、伊方原発差止広島裁判に参加してきます。

今日は原告団第3陣提訴と第5回口頭弁論期日です。僕も今年の始めに原告団に加わらせていただき、第3陣に参加しているので、今日の提訴に参加すべく広島市まで行くことにしました。

今日の取組の詳しい案内については以下をご覧下さい。広島方面の方でこれからでも参加できる方は、ぜひ午後1時に広島地裁前交差点に集合してください。

午後1時15分に広島地裁にむけ乗り込み行進開始だそうです。

http://saiban.hiroshima-net.org/pdf/20170419.pdf

 

この裁判は以下のように銘打って取り組まれて来ています。

「被爆地ヒロシマが被曝を拒否する―過去は変えられないが未来は変えられる―伊方原発運転差止広島裁判 「ふるさと広島を守りたい」ヒロシマの被爆者と広島市民が、伊方原発からの放射能被曝を拒否し、広島地方裁判所に提訴しました」

いいなあ。胸に響くなあ、と僕は思いました。何より被爆者が中心となって提訴していること、「被爆地ヒロシマが被曝を拒否する」というキャッチに心が揺り動かされて、参加を決めました。 

同時にこの裁判に惹かれたのは事務局の方達が非常に手厚い取組をしており、中でも内部被曝の危険性に関する学習を深め、内容的にもとても充実した展開を重ねてこられていることです。以下にホームページをご案内しますのでぜひご覧になってください。充実ぶりが伝わってくると思います。

伊方原発運転差止広島裁判

http://saiban.hiroshima-net.org

裁判が始まったのは昨年2016年の3月11日。福島原発事故から5年が経った日です。この日、原告と申立人(原告の中から3名を選出)が四国電力伊方原発1号機から3号機の運転差止めを求める訴え(本案訴訟=本訴)と同3号機の運転差止めを求める仮処分命令申立(仮処分)を同時に起こし、広島地方裁判所が同日受理したことによってスタートしました。

ホームページの「訴状・裁判資料」のところを見ると、裁判への提出書面がすべて見ることができるようになっています。僕もまだすべてを読み切れていないのですが、大変充実していることがうかがわれます。

しかし、現在稼働中の3号機の運転停止を求める仮処分命令申立は、丁寧に論議が重ねられて勝訴が期待されていたにも関わらず、この3月30日に敗訴してしまいました。

ちなみにこの日は僕がトルコに向けて旅立った日でした。イスタンブールに着いてのち、シノップに向かうトルコ国内線の待合室にいって、シノップのシンポでの発言をともにした東京弁護士会の甫守一樹弁護士と合流したのですが、実は彼もまたこの裁判の弁護団の1人なのでした。なんとも言えない縁を感じました。福島原発事故後、こういう縁のつながり方があまりに多くて、僕はいつも誰かに背中を推されている感じを受け続けています。

それはともあれ僕はこの場で当事者から敗北しても次があること、本訴で奮闘することなどを聞くことができました。それやこれやの中で、今回、原告団事務局とこの裁判に僕を誘ってくださった岡山の知人からのお誘いもあって今日の参加を決めました。

 

いやそもそも僕はこの間、伊方原発反対運動との連携も深めてきました。縁をつないでくださったのはコープ自然派さんでした。

昨年、コープ自然派さんは各地で僕を講演に招いてくださいました。今年になってからのものも含めて総計17回の講演で、京都、大阪、奈良、兵庫では3回連続でお話させていただけました。四国全県もまわりました。

この際、愛媛県松山市でもお話させていただいたのですが、そのとき理事の1人で被爆2世でもある方が、現地、八幡浜で長年頑張って来た方たちを僕に紹介してくださり、松山市での講演の後にお会いすることができたのです。昨年9月23日のことでした。

このとき僕はお二人とお話しした後に、急いで電車に乗って京都まで帰り、翌日24日に滋賀県長浜市で元京大原子炉実験所の小出裕章さんとジョイント講演をさせていただいたのですが、その小出さんもまた伊方原発反対のために何度も現地に通われた方で、八幡浜の方たちとも大変親しくしてこられていました。このため八幡浜の方たちが「明日、小出さんとご一緒するんですってね。よろしく伝えてくださいね」と嬉しそうにされていたこと、またそれを小出さんに伝えたときにも、これまたなんとも嬉しそうな笑顔が返って来たことが忘れられません。

「この方たちが今の脱原発の流れの源流を作ったのだな。素晴しい縁に恵まれたな。また誰かが背中を押してくれているな。これはもう伊方の現場に行かないとな」とそう思ったら、その機会もまたコープ自然派さんが与えてくれました。なんと今年の1月7、8日に伊方原発反対ツアーをコープ自然派脱原発ネットワーク主催で、各生協の理事を中心に取り組むというではありませんか。これはもう行くしか無いと決めて、恥ずかしながら初めての伊方原発への旅が実現し、目の前まで行ってくることができました。このとき書いた記事を以下にご紹介しておきます。コープ自然派の松山センターでの講演内容も収録してあります。

明日に向けて(1339)本年を脱原発・被曝・戦争の道を切り拓く年に!2017年1月11日

http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/69aaa59a2164a0ffb9ae11ce49a5f3be

明日に向けて(1340)伊方原発を止めるためにおさえておくべきこと 2017年1月12日

http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/1b0a4253edb53c0162919f73486c3e44

明日に向けて(1341)伊方原発を止めるためなすべきこと 2017年1月13日

http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/e730587d8dd8e01025439f7fe9f1adde

明日に向けて(1342)被曝から命を守るために問われていること 2017年1月14日

http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/326fc04e603244209947fdbb076523ed

 

こうして伊方との縁が続く中で、裁判にも参加することになり、今日、初めて原告団の方達とも直接にお会いするのですが、原告団はこの裁判へのより多くの方の参加を求めています。参加条件は「原告参加費」1万円を払うこと。ただし被爆者は無料です。これ以外には経済的負担は一切かかりません。ですのでみなさんにも参加を呼びかけたいと思います。詳しくは以下をクリックしてください。

伊方原発広島裁判原告団原告と募っています

http://saiban.hiroshima-net.org/pdf/risk_ver1.pdf 

裁判に参加せずとも応援団として関わることも可能です。この点は以下をクリックしてください。

伊方原発広島裁判応援団参加者募集

http://saiban.hiroshima-net.org/ouendan.html

 

さてそろそろ時間になったので、家を出て、広島市に向かいます。

なお今日の夜は、広島市からとんぼ返りして、京都「被爆2世3世の会」の例会に参加し、トルコ訪問報告を行います。京都市西院のラボール京都で午後6時半からです。この会も誰でも参加可能ですので、興味のある方はいらっしゃってください。ともあれ裁判に行ってきます!!

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明日に向けて(1371)東アジア、そして世界の平和を民衆の力で守ろう!

2017年04月17日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1300~1500)

守田です。(20170417 23:30)

朝鮮半島情勢が相変わらず極度の緊張を続けています。アメリカは朝鮮半島近海に空母やトマホーク発射可能な駆逐艦を展開させていますが、一方で北朝鮮は中距離弾と見られるミサイル発射を行いました。それ自身は自爆して失敗したと見られていますが、ともあれ軍事的テンションは上がりっぱなしです。

こうした状態に対して、僕は何はともあれ、民衆の側から「戦争をやめて」という声をあげていくことが大切だと思います。

このため京都市内で友人たちと語らい、本日17日夕方に、「戦争に反対し、戦乱で亡くなられたすべての方の命を悼んでビジルをやろう」と計画しました。プラカードとろうそくを持ってのスタンディングです。

しかし今日は雨が強かったので中止しました。それであらためて明日18日に行うこととしました。午後6時半より京都の観光地の一つである三条大橋に集まって行います。お近くの方はぜひご参加ください。午後8時まで行います。

これは僕が参加しているピースウォーク京都のメンバーが土曜日に数人集まった際に、朝鮮半島の大変な緊張状態を前に話して決めたことです。情勢が逼迫していることを考えて緊急の取組を考え、今日が無理だったので、明日18日に変更しました。以下、緊急に作った呼びかけ分を載せます。拡散大歓迎です!

*****

アメリカは戦争をやめて!

北朝鮮を攻撃しないで!

北朝鮮も挑発をしないで!

戦乱でのすべての死を悼みます!

三条大橋で18日夜にビジルをしましょう!

 

みなさん。世界で戦乱が続き、爆弾事件なども多発しています。

すでにシリアで、アフガンで、そしてロシアで、スウェーデンでたくさんの方が亡くなっています。

そんな中、アメリカが戦争政策をどんどん進めています。

なんといまは朝鮮半島にアメリカが空母打撃群を展開中。

北朝鮮が核実験を行った場合、攻撃が始まるかも知れません。そのときに北朝鮮が反撃すれば、狭い東アジアの各地で大変な戦乱が起こり、たくさんの人が殺されてしまいます。私たちはその危機の前にいます。

トランプ大統領や金正恩委員長の判断で、東アジアのたくさんの人の命が奪われるなんてごめんです。またこれ以上、世界で戦争や爆弾攻撃で、人が殺されることもごめんです。

 

アメリカは戦争をやめて!

北朝鮮を攻撃しないで!

北朝鮮も挑発をしないで!

この言葉を叫ぶとともに、この間の戦乱で亡くなったすべての方の命を悼むために緊急にビジルを行います。ぜひご参加ください。

参加にあたっては各自、プラカードとろうそくをご用意ください。橋の上は風が吹くのでろうそくはガードがあった方がよいです。一番いいのはペットボトルで作ることです。緊急なのでこちらで用意できません!よろしくお願いします!

 

4月18日(火)午後6時半~8時

京都市三条大橋にて(京阪電車三条駅出口付近に集合)

主催 ピースウォーク京都

なお小雨の場合は行いますが雨が強くなる場合は中止します。

*****

さてこの緊迫した情勢に即して、国内でさまざまな分析が出されています。一方の極にあるのは、事態はもはや戦争開始寸前であり、アメリカの攻撃と北朝鮮の反撃で大量の死者が出る可能性が高いというもの。

他方で、アメリカは在韓米人や韓国、日本を人質にとられているので、反撃必死の攻撃がなされることがありえないというものです。それぞれにボルテージをあげており、記事が入り乱れ始めてもいます。 

事態をどう捉えたらよいのでしょうか。

さまざまに出されている情報の中で、僕が一定のリアリティを感じたのは、織田邦男さんという方のFacebookのタイムラインへの15日の投稿でした。元航空自衛隊の戦闘機パイロットだった方です。長くなりますが、主要部分を引用します。

「カールビンソンの北上、MOABの使用、F35Bの爆弾搭載訓練、巡航ミサイル搭載原潜の派遣、SEALS支援船の派遣等々、米軍は普段は決して公開しないものを公開している。ということは、今回は実際の作戦は考えていないということだ。作戦実施の時に、手の内をばらすような馬鹿(ママ)はいない。

今日の「太陽節」の為に準備した核実験を阻止するための金正恩に対する威嚇行動であり、それをやめさせろという習近平に対するメッセージだ。

昨夜のテレビでも有識者が「米軍の攻撃はありうる」とのたまわっていたが、シリアと北朝鮮は違う、米国の一般市民14万人が「火の海にする」ソウルに人質状態なのだ。作戦を命ぜられた司令官がまず考えるのは、自国民の保護である。

今回は在ソウルの米国市民のNEO(Non-combatant Evacuation Operation)つまり「非戦闘員退避作戦」は行われていないようだ。こんな状態でマティス長官やマクマスター補佐官が攻撃実施を大統領に進言するわけがない。(NEOについては「3.11」の時、関東一円から米軍の家族が人っ子一人いなくなったことを有識者の皆さんも知らないようだ)」

「もし、金正恩が今日核実験を強行したとなると、「中国が影響を行使できないなら、米国は単独でもやる」というトランプ宣言が実行に移されることになる。

そうなると、先ずNEOが発動になる。同時に、米本土から三沢、横田、嘉手納に戦闘機が続々と展開してくるはずだ。グアムのアンダーセン基地やハワイのヒッカム基地もあわただしい動きになるだろう。

実際に攻撃準備が決まると、米軍は一転して情報を公開しなくなる。湾岸戦争時の「インフォメーション・ブラック・アウト」状態だ。湾岸戦争当時、(情報が分らないからか)日本の有識者たちの多くが「攻撃はない」と発言していたが見事に裏切られた。「情報がない」というのと「攻撃準備がない」というのは全く違うのだ。」

 

なるほどなと思いました。

織田さんは、現状では米軍が軍事情報を意図的に出していること、またアメリカ人の韓国からの引き上げ等がなされていないので、攻撃の可能性はないとしています。

一方、アメリカが軍事行動に踏み込むことを考えるとまずNEOが発動される。自国民の戦闘地域からの退避作戦で、さらに米軍の軍事展開が近づくと米軍は軍事情報を公開しなくなる。そのときこそ攻撃が始まる可能性が高いというのです。織田さんはその後、別の投稿で、このNEOも、よりアメリカが北朝鮮に対して「本気度」を示していくための「圧力」としてなされる可能性もあると論じています。 

ただこうした情報や視点は当然にも北朝鮮の側も持っていることでしょうから、北朝鮮としても常にNEOを監視しているはずです。だからこそ圧力にもなりうるのでしょうが、圧力というものは抜本的にはどこかで「本気になる」ことがないと効かないもの。その点では常に実戦に転じてしまう危険性のあるものです。

いやすでにアメリカはできるところではすでに実戦で「本気度」を示しています。シリアでアサド政権軍の基地に巡航ミサイル59発を撃ち込んだことがそれであり、その後にアフガニスタンの「イスラム国」支配地域にMOAB大規模爆風爆弾を落としました。しかしどれももうめちゃくちゃな無法行為です。

そもそもこれらもまた北朝鮮への威嚇のためだったと言われていますが、なんでそれでシリアやアフガンで大量の人々が殺されなくてはならないのでしょうか。同時にまた、なぜにこんなにひどい人殺しをマスコミ各社は批判しないのでしょうか。そこが相当におかしい。

 

同時に十分に効果のある圧力は、反対に、たとえ威嚇であろうとも、威嚇を越えた「本気」だと相手に受け取られてしまう可能性もある。こうした状態下で、互いが戦端を開く意志がないのに、互いに相手の意志を誤解して戦争が始まってしまった経験を人類はたくさん持っているのです。

その点で航空自衛隊のパイロットだった織田さんは、友軍だったアメリカ軍やアメリカ政府の認識能力に疑念を挟んでいないように感じるのですが、なんといってもアメリカは、大量破壊兵器などまったく持っていなかったイラクに攻め込んでしまうという、とんでもない過ちをわずか10数年前に犯した国です。国としての調査能力に抜本的な欠陥を持っているのです。

あるいは最近では大統領選で、ロシアに大量のハッキングをされ、情報操作された可能性の強いことが、繰り返し指摘されてもいます。この点からも万能でもなんでもないのです。そんなアメリカが悪意のある第三者に情報操作される可能性だって否定できないことです。 

問題は、発端はなんであれ、誰の意図であれ、ひとたび戦闘が始まれば、たちまち東アジアで膨大な人々が死ぬ可能性が存在していることそのものにあるのです。まず私たちはアメリカ政府、日本政府、韓国政府、北朝鮮政府、および中国政府と離れて、それぞれの国の民衆を互いに守り合う観点に立ち、この危険状態の除去に務めることが大切です。

そのために必須なのは、米朝平和友好条約を東アジアの民衆の声の高まりの中で締結させ、もっとも恐ろしい軍事力を持ち、日々、世界中で人殺しを行い続けているアメリカ軍の東アジアでの位置を低下させ、最後にはいなくなっていただくこと、その上で、この地域に住まう者同士での相互理解、友愛、発展を作り出していくことです。朝鮮戦争の「休戦状態」を最後的に終らせる。それでこの地域の火種が無くなるのです。そうすればもう沖縄の米軍基地もいらなくなります。

そのためには、戦争やそこから派生する暴力で亡くなったすべての命を悼み、いかなる形であれ、戦争での人殺しを容認しないこと、シンプルに戦争をやめることを訴え続けることが一番大事だと僕は確信しています。

こうした点を問わずに、今すぐ攻撃が始まるのか、始まらないのかを、ただ知識やものの見方の優劣を自慢し合うような形で論議していても何のためにもならない。問われているのは民衆の力で平和を守ることです。

平和を守るために声をあげましょう!

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明日に向けて(1370)アメリカは戦争犯罪の空襲をやめよ!北朝鮮軍事攻撃はもってのほかだ!

2017年04月14日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1300~1500)

守田です。(20170414 23:30)

アメリカが北朝鮮軍事攻撃を仄めかしています。トンでもないことです。

私たちは今、アメリカによってものすごい危険性の前に立たされています。アメリカが東アジアに軍事的に介入して来ていることこそが最大の危機です。このことをはっきりとさせ、アメリカのいかなる地域への空襲にも反対していきましょう!空襲こそ非人道的な戦争犯罪です。この声をあげることこそが正義と道義と私たちの命を守る道です。

 

14日の昼過ぎに、The Huffington Postに以下のような記事が載りました。

「アメリカのトランプ政権は、北朝鮮が核実験をしようとしている確証が得られた場合、通常兵器で先制攻撃する準備を進めている、とアメリカのNBCニュースが4月13日、情報機関の複数の高官の話として特報した。」

「一方、北朝鮮の労働新聞(電子版)は11日、「先制攻撃はアメリカの独占物ではない」とする記事を掲載。「もしアメリカが理性を失い、我々を先制攻撃しようとするわずかな動きでも見せれば、我々の強力な核攻撃が、侵略と挑発の本拠地をことごとく焦土にするだろう」などとしている。」

北朝鮮が核実験の動き見せればアメリカは先制攻撃 NBCが報じる

http://www.huffingtonpost.jp/2017/04/13/nk_n_16002888.html

 

しかしやはり14日昼過ぎにNHKが次のようなニュースを流しました。

「アメリカのNBCテレビは、北朝鮮が新たな核実験に踏み切るとアメリカが判断した場合、北朝鮮に対して先制攻撃を行う可能性があると伝えましたが、ホワイトハウスの当局者はこの報道を否定しました。

アメリカのNBCテレビは、13日、複数の情報機関の当局者の話として、北朝鮮が6回目の核実験に踏み切るとアメリカが判断すれば、北朝鮮に対して先制攻撃を行えるよう準備していると伝えました。

具体的には、アメリカ軍が北朝鮮北東部の核実験場からおよそ480キロ離れた海域に、巡航ミサイル「トマホーク」を備えた駆逐艦を展開させているほか、グアムの基地に爆撃機を待機させているとしています。

この報道について、ホワイトハウスの当局者はNHKの取材に対し、「完全に間違いだ」と否定しました。

また、国防総省の報道官は「将来の軍事作戦についてコメントすることはない」としています。」

ホワイトハウス “対北 先制攻撃の可能性”報道を否定

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170414/k10010948391000.html

 

情報が錯綜しています。こうした場合、アメリカや北朝鮮が仄めかしていることが、どちらも威嚇のための「はったり」だったとしても、何かの偶発的自体から本当の戦争に発展してしまう可能性があります。

とくに「相手が何かを始めたら攻撃する」と考えていると、「何かを始めた」と誤解したとたんに戦端が切開かれてしまいかねないので、もの凄く危険です。

万一、戦闘になったらどんなことが起こることが予想されるでしょうか。

Business Journal”は、明日15日にも北朝鮮が核実験を行う可能性があり、アメリカが攻撃を行う可能性を論じています。そして「戦闘開始ならソウルが“炎上”、大混乱は不可避」と小見出しをつけて以下のように続けています。

「韓国観光のメインとなるソウルは北朝鮮との国境から約30kmで、東京駅から大宮駅程度の距離しかない。北朝鮮の持つ移動式自走砲は射程40kmといわれており、ミサイルでなくても攻撃可能な距離にあるわけだ。それに対して、脱出の拠点になる釜山までは約420kmもある。

 仮に地上戦が始まれば、ソウルは直ちに戦闘地域になり、同時に陸路は遮断されることが予想されるため、釜山まで避難するのは現実的に考えて難しい。また、日本人だけでなく、ソウル周辺には韓国の人口の半数近く(2000万人以上)が住んでおり、その多くも避難することになるため、大混乱が不可避だ。そのような状況下で日本人だけを選別して避難させるのは難しいだろう。

 日本政府は日本人保護を含めた対応の準備を進めているようだが、そのような混乱を避けるためにも、ある程度の統治を維持したままトップ(金正恩)をすげ替える“斬首作戦”がもっとも望ましいとされているわけだ」

米国、明日にも北朝鮮へ軍事攻撃開始か‥ソウルが戦闘地域に、日本に大量の韓国人難民流入の恐れ

http://biz-journal.jp/2017/04/post_18725.html

 

週刊文春4月20日号には安倍首相に近いと言われているジャーナリストの山口敬之氏が「金正恩“斬首”秒読み 最悪シナリオ政府が覚悟」というタイトルの下、アメリカが北朝鮮に攻め込んで、金正恩主席を直接に殺害する“斬首作戦”の準備を完了しているとした上で、しかしながらその場合に、北朝鮮側からの反撃は避けられないだろうとして以下のようなことを書いています。

「日本にとっての“最悪のシナリオ”が断末魔の北朝鮮によるミサイル攻撃だ。」「核弾頭を搭載したミサイルは、まず在日米軍基地を狙うと見られるが、東京や大阪といった人口密集地が狙われる可能性も否定できない。想定される被害は弾頭の種類によって異なるが、東京に核爆弾が着弾したら最大50万人、VXなど化学兵器でも数万人が犠牲になる。」「覚悟を決める必要がある。」

どこまで信憑性があるか分かりませんが、かりにそんな覚悟を本当に日本政府がしているのだとしたらまったくの言語道断です。なんでそんなことに「覚悟を決める必要がある」のか。日本政府であれば何よりもこの国に住まう人々の命を守ることが責務です。核弾頭や化学兵器など絶対に着弾しないように必死の努力を傾けることこそが日本政府がなすべきことです。いや、そのように政府が動くように私たち民衆が強制する必要があります。北朝鮮や韓国の大多数の人々とともに私たち自身の命を守るためにです。

アメリカは東アジアで戦端が開かれても自国には戦火が及びません。多くのマスコミが、北朝鮮がいまはまだアメリカに到達するミサイルを持っていないので、アメリカが北朝鮮がそれを開発する以前に叩こうとしていると指摘しています。しかし核弾頭がどこまで作られているのかはともかく、北朝鮮がすでに日本全土に到達できるミサイルを持っていることは周知の事実です。

そこからみておくべき事はただ一つ、アメリカは日本の安全などまったく考えていないということです。せいぜい自分たちの基地は守るでしょうが、日本がどうなろうがおかまいないのです。アメリカが日本を守っているなどという幻想をいまこそ一掃する必要があります。

そうではない。アメリカこそが私たちを戦乱に巻き込む可能性を一番持っているのです。アメリカの大統領の判断一つで、この国の膨大な人々が戦争で死ぬ可能性があるのです。私たちはここにこそ着目し、私たちの危機を遠ざけるために、アメリカの戦争に反対しなくてはなりません。

 

それでは北朝鮮はどうなのかと問う方がいると思います。答えは簡単です。北朝鮮が一貫して主張し、望んでいる方向に道を開くことです。それは何か。米朝平和友好条約の締結です。それを日本が媒介すること。ここに本当の平和の道があります。

この点で私たちは、日本の国民、住民の多くがまだまだ騙されていて、そもそも東アジアをめぐる情勢をありのままに認識できていないことを指摘したいと思います。というのは北朝鮮とアメリカは、現在もなお「朝鮮戦争」を続行中であり、正確には戦争の中の「休戦協定」の状態にあるのだということです。

このため北朝鮮はいつ休戦状態が解けて戦争が再開され、アメリカに踏み込まれるかも分からない状態が続いている。北朝鮮とて全面戦争でアメリカに勝つ見込みなどないことは分かっていますから、この苦しい状態の解除こそが心の底から求めていることなのです。事実、戦争を最後的に集結し、平和友好条約を結ぶことが求める道であることを北朝鮮は繰り返し主張しています。

例えば2015年10月に北朝鮮のリ・スヨン(李洙墉)外相は、第70回国連総会の一般討論演説で次のように述べています。

「朝鮮民主主義人民共和国政府は、朝鮮半島における戦争や紛争阻止のために建設的対話をする用意があるが、それは、米国がマスコミを通じ誰かの挑発について主張せず、現行の休戦合意に代え、完全な平和条約に調印して初めて可能となる。これが我々が為しうる最高のバリエーションであり我々がここで提案できる最高の解決策である。」

ところが米日両政府はこの最も肝心なところを語らないし、マスコミもこの点にほとんど触れません。事実がぼかされているのです。

そうしたことの典型例の一つが、北朝鮮の核問題を協議する北朝鮮、アメリカ、韓国、日本、中国、ロシアで行われて来た協議が「六カ国協議」などと報道され続けてきたことです。実際にはこの協議は休戦協定にあるものの間で行われているものであり、互いを国家として承認すらしていないものの対話が含まれています。

とくに北朝鮮も韓国も互いに相手を国家として承認していません。それぞれが自国領土を朝鮮半島全体と主張しているわけです。だからこれは国家と国家の対話とは言えないのです。

では国際的にはなんと呼ばれているのかと言えば、英語ではSix-Party Talksと表記されているのです。日本語に訳すと「六者会合」が最も正しい。それを「六カ国協議」と呼称するだけでも、この六者の中には戦争状態にあるものが含まれており、互いを国家として認めていないという重大な事実が見えなくなってしまいます。その上で、いたずらに北朝鮮への危機ばかりを強調する報道がなされているのがこの国の現状なのです。

これに対して「六者会合」という、より妥当な日本語を使っている政府機関のサイトがあります。なにかというと外務省のHPです。以下をご覧下さい。

http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/n_korea/6kaigo/

なぜなのかというと、このサイトは日本語を読める世界の外交官が読むので、恥ずかしくて「六カ国協議」などと書けないからです。

 

繰り返しますが、もともと北朝鮮が求めているのはアメリカとの戦争状態を終結させることです。米朝平和友好条約を締結することです。そうなれば北朝鮮が核武装を続ける根拠も無くなるし、たったいま、私たちが置かれているような大変な危機が発生する事も無くなるのです。まさに平和の道です。

ところがこれが達成されると、在韓米軍、在日米軍の存在根拠がなくなってしまう。それこそ沖縄に米軍がいる根拠が無くなってしまうのです。だからこそ米日政府は意図的にこの点に触れないようにしてきたのです。ここにこそ東アジア情勢の最大のポイントがあります。

私たちはこの点をしっかりとみすえて、アメリカのあらゆる戦争、空襲に反対する必要があります。

かりにシリアのアサド政権が化学兵器を使ったのだとしたら、言語同断ですが、しかしアメリカもまたトマホークを59発も撃ち込んだのです。はるかかなたの地中海から狙って、どうして軍隊と民間人を分けられるのでしょうか。

さらにアメリカは核兵器以外の爆弾ではもっとも威力が大きいとされている「大規模爆風爆弾」をアフガニスタンの「イスラム国」の拠点に投下しました。そこには民間人、女性も子どもたちもたくさんいたはずです。無差別大量殺人ではないですか。人道上からみて化学兵器の使用とどこが違うのでしょうか。

そして何度でも言います。アメリカは広島と長崎に原爆を投下し、今日まで一度も謝罪をしていない国なのです。沖縄を蹂躙し、日本の主要都市のすべてを空襲で焼き払った大量虐殺国家なのです。マスコミはこれ以上、こんな戦争屋、テロル国家のアメリカに騙されるな、アメリカの回し者になるな!と言いたいです。

みなさん。戦争反対の声を上げましょう。「北朝鮮への軍事攻撃を止めろ」と叫びましょう。私たちの命と平和を守るために奮闘しましょう!

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明日に向けて(1369)アメリカはシリア攻撃をやめよ!あまりにむちゃくちゃだ!

2017年04月09日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1300~1500)

守田です。(20170409 23:30)

4月7日にアメリカ軍がシリア空軍基地に向けて59発の巡航ミサイルトマホークを発射しました。めちゃくちゃです。あまりにひどい。国際法も何もかも完全に無視しています。アメリカの無法な戦争行為に対して心の底からの怒りを表明します。

そもそも今回のアメリカの攻撃のきっかけとなったのは4月4日にシリア北西部イドリブ県の反体制派が支配するハンシャイフンでシリアのアサド政権軍の空襲によって少なくとも72人以上が殺害されたことでした。

この際に、多くの人々がサリンのような猛毒ガスで殺されたことから、アメリカやトルコなどがアサド政権軍による化学兵器の使用を指摘。批判を強めていました。

これに対してアサド政権とその後ろ盾となっているロシア政府は、シリア政府軍の攻撃を受けた反体制派が毒ガスを所有しており、空襲で漏れ出して被害が拡大したと主張。化学兵器の使用を否定しました。このため国際的な調査が待たれていました。

ところがトランプ大統領はアサド政権が「レッドラインを超えた」と主張。自分は前政権の「オバマ大統領のように軟弱な事はしない」と即座に攻撃を指示。地中海からのトマホーク59発の発射にいたりました。

これに対し、アサド政権とロシア政府は猛烈に反発。アメリカの行為を主権国家への侵略と断じていますが、イランがロシアに同調。これとは別に北朝鮮も独自にアメリカの行為を侵略行為であるとして批判して事実上同調しています。

ロシア軍は反発するだけでなく、シリア北部イドリブ県でのシリア反体制派支配地域への空襲を継続、8日にも子ども5人を含む18人を殺害しました。

一方でアメリカ軍を中心に構成される「有志国軍」が同じくシリア北部にあり、「イスラム国」が「首都」と位置づけるラッカで空襲を行い、子ども4人を含む15人を殺害したとされています。

 

一方、これを前後する形で、ヨーロッパからアフリカの各地で爆弾や車の突入による殺害も起こっています。4日にはロシアのサンクトペテルブルグの地下鉄で爆弾事件があり14人の方が殺されました。爆弾を炸裂させたのはキルギス生まれの若者とされていて「イスラム国」との関係が疑われています。

7日にはスウェーデンの首都ストックホルムでトラックが歩道に突っ込んで歩行者をはね飛ばし、4人が殺されました。実行者はウズベキスタンの生まれの男性で「イスラム国」に共感していたと伝えられています。

さらに本日9日にエジプト北部のタンタやアレクサンドリアで、キリスト教の一つの派であるコプト教の教会が相次いで爆弾で襲われ、36人が殺されました。これに対して「イスラム国」が自分たちの兵士が殺害を実行したとの声明を出したそうです。

いずれの事件でも死者を上回る数の負傷者が出ており、その中からさらに亡くなる方も出ることも十分予測されます。大変な惨事が続いています。 

僕はこれら全ての戦闘行為や事件で殺人を命令した人々、実行した人々の犯した罪に対して、心の底からの怒りを表明したいと思います。同時に亡くなられた全ての方に哀悼の意を表明するとともに、負傷された方、また犠牲者の周りの方々に心からお見舞いの意を表したいです。

 

このトンでもない暴力の連鎖の中で、私たちがはっきりとさせておかねばならないことがあります。一番悪いのはテロリズムだということです。テロリズムとは、自らの政治的意志を押し通すために、人々に恐怖を巻き起こす暴力を用い、平気で殺人も犯すことです。これが一番悪いことであり、人道に反することであり、止めさせなければならないことです。

そしてこの間の中東地域で起こっている混乱を見るならば、もっとも悪質なテロリズムを行使して来たのは他ならぬアメリカであることをはっきりとさせる必要があります。なんといっても「大量破壊兵器を持っている」というありもしないいいがかりでイラクに侵略戦争を仕掛け、さまざまな兵器を用いて大量の人々を殺害し、主権国家を蹂躙してしまったのだからです。

そもそもそのアメリカが、侵略戦争や大量殺人の謝罪もなしに、中東の秩序の維持者かのように登場し、国連にすらはかることなく大統領1人の判断で59発のミサイルを撃ち込んでしまったことがあまりにひどすぎる。むちゃくちゃです。法も秩序もあったものではない。こんなのはトランプ大統領によるリンチにすぎません。いっぺんの正義もありません。

まただからこそ、このままでは中東はますます安定しなくなってしまう。いや中東だけでなくアメリカのこの無法なやり方に怒りを抱いた人々の中から、武装抵抗の発想が強まり、あちこちで殺人攻撃が必然化されてしまう。世界をよりひどい混乱に引き込むだけです。だからこそアメリカのこの無法な攻撃は批判されなくてはいけないのでもあります。

中でもより混沌とした状態に陥ってしまうのはシリアだと思われます。この国は人口の大きな部分の人々が難民になるという、戦後史の中でも類例をみない大混乱にすでに陥っています。きのうもきょうも、トルコに流入した人々が、エーゲ海を命をかけて渡っていて、途中で何人もが溺死してしまっている。その果てにヨーロッパ各地に逃れていくわけですが、その受け入れ先で、さまざまな社会矛盾が顕在化してしまっている。

ただでさえこんな矛盾が広がっているのに、今回のミサイル攻撃によってシリア内戦の終結の道はますます遠ざかり、混乱がより深まるでしょう。無法行為がまかりとってしまう限り、秩序回復はのぞめないからです。

 

これに対して「化学兵器の使用」はどうなのかと言う方がおられるかもしれません。もちろん化学兵器の使用はテロリズムのうちでもとても悪質なものの一つです。当然にも言語道断です。しかし化学兵器を使用しなければ良いということなど断じてありません。

その点で僕は、今回アサド政権が化学兵器を使ったのなら悪、使わなかったのなら悪ではないなどという二文法はとりません。かりにアサド政権の行っている通りに、人々を襲った猛毒が反体制派の持っていたものだとしても、それを爆破し、たくさんの子どもたちをも殺したのはやはりアサド政権なのです。それもまた悪質なテロリズムです。

この点で強調しておきたいのは、現代戦においてもはや人類は、これ以上、けして空襲を容認してはならないということです。僕は戦争行為のすべてに反対ですが、100歩も1000歩も譲って、かりにどうしても武力で決着をつけたい軍事組織同士があるならば、もはや勝手になさってくださいというしかないとは思っています。しかし絶対に民間人(武装解除した元兵士を含み)を巻き込まないこと、無抵抗のものを殺傷しない事が守られなければいけない。これは僕ひとりの主観的な意見ではなくて、少なくとも建前としては国際的に合意されていることがらです。

しかしもの凄い威力をもった爆弾を持ってする空襲では、兵士と民間人を分ける事などできないのです。だから空襲は民間人の犠牲を前提にしているのです。それを正当化するのが「誤爆」などという言葉です。誤爆なんかではない。あらかじめ多数の民間人が巻き込まれて殺される事を容認しているのです。

いやアメリカ軍は、軍隊と民間人を分けないどころか、主に民間人を標的にしたテロルとしての空襲もこれまで繰り返してきました。それが最初になされたのは第二次世界大戦におけるドイツ空襲や日本空襲でした。その果てにアメリカ軍は広島・長崎に原爆すら投下しました。民間人をターゲットにした熱戦と放射線と爆風での大量殺戮を決行したのです。

私たちが今こそ思い返すべきことは、アメリカが日本に行った最悪の戦争犯罪である都市空襲、沖縄上陸戦、原爆投下のどの一つにも謝罪してないことです。いまだに正義として肯定しているのです。

そんなことがあるものか。あれは完全なる戦争犯罪です。旧日本軍による南京大虐殺などのアジア侵略行為、ナチスドイツによるユダヤ人に対するホロコーストなどと並ぶ一大戦争犯罪です。この点を捉え返すならば、化学兵器だけが反人道的なわけでは無い事は明らかです。まさに空襲自体が最も重い人道上の罪なのです。

 

この点でもちろんアサド政権もまた、反体制派の支配地域に何度も空襲を行って自国民の殺傷を続けている最悪のテロリズム政権です。ロシア軍もまたアフガニスタン戦争以降、旧ソ連圏内から出る事のなかった自国軍隊をこの間、大幅に紛争地域に投入してしまって軍事テロリズムの限りを尽くしています。そこに正義などありません。

だからといってそれをアメリカが軍事的に裁く権限等毛頭ない。いやアメリカも結局、アサド政権と同じ事をやっていること、いや繰り返されて来た規模で言えばアメリカの方がより悪いことをこそ捉え返すべきなのです。

さらに言えば「イスラム国」などが行っていることもまた、アメリカによって世界に植え付けられた暴力思想、アメリカ流テロリズムそのものだということを指摘したいと思います。だからまた当然にも「イスラム国」の暴力も認められません。かの人々はアメリカに外的には抵抗しつつ、内的には完全に思想的に絡めとられてしまっているのです。アメリカに真に抵抗するならば、暴力に心を染められてしまっている事をこそ捉え返すべきです。

私たちはいま、本当に平和思想に立つ必要があります。世界各国の民衆が、まずは自国の暴力を止めるべきです。とくに空襲が戦争犯罪であることをはっきりさせ、「誤爆」などという言葉で平気で民間人を殺すことをやめさせるべきです。

大事なのは、暴力の論理に巻き込まれてしまわないこと。それぞれが自国に都合良く語る「暴力行使の大義」の嘘を暴くことです。そのことでアメリカ流の暴力思想を打ち破っていくことにこそ本当の平和への道を切開いていく可能性があると僕は思います。

 

最後にトランプ政権の根本的な矛盾と限界について一言しておきたいと思います。トランプがヒラリーを破ることのできた理由の一つは、ヒラリーが軍産複合体にバックを支えられた「戦争屋」だからでした。(今回もヒラリーはトランプのミサイル発射を支持しています)

しかしアメリカの多くの人々は大義なき中東での戦いに疲れ果てていました。それだけにトランプが「アメリカは世界の憲兵であることをやめる」と述べたことに支持が集まったのです。当然にもそれはアメリカ軍の各地からの撤退を含むものでした。

トランプはそのためにロシアを敵視するヒラリーを批判し、むしろロシアとの協調を掲げ、その中でつい最近までこれまでも化学兵器を使用して来た疑いのあるアサド政権を、「イスラム国」と戦うパートナーとして持ち上げ、その中でオバマ政権の求めていた「アサド大統領の退陣要求」の撤回もちらつかせていたのです。

にもかかわらず今回、トランプ大統領が攻撃を即決したのは、就任後下降線を辿るばかりの支持率の回復を狙ったためなどと言われていますが、しかしこのことで厭戦気分を強めて来たアメリカのトランプ支持は一層弱まらざるをえない必然のもとにあります。

ではどうしてそんなことになってしまうのか。トランプがオバマ政権など、前任者を批判する時に、アメリカの行って来た中東政策の根本的誤りにまでメスを入れることなく「アメリアファースト」と言ってきたからです。そうではない。アメリカはイラク戦争以来の誤りを真っ当にただし、中東の秩序回復に真摯に協力する中でこそ、ズルズルと戦争に引きずられて来てしまった自国の苦境をも打開することができるのです。

今回、すべてのマスコミのヒラリー支持を覆す形でトランプ大統領を登場させたアメリカの人々に、ぜひここまで発想を飛躍させて欲しいと思います。

そもそも誰が大統領になろうと、戦争をやめてもらったら困る軍産複合体が後ろに入り込む限り、アメリカの政権は戦争へとひきずられてしまうのです。

この道を断ち切るために必要なのは、アメリカが犯してきた人道的罪に目覚め、空襲を許さない発想に立ちきり、戦争政策を抑止していくことです。

 

そして私たち日本人、ないし日本の地に住んで、先の戦争の被害を直接的にも間接的にも受けてきたものこそが、真のアメリカの友としてこのことを提言できると僕は確信しています。なぜか。第二次世界大戦において、アメリカによる最もひどい戦争犯罪を受けたのが私たちだからです。だから私たちには、アメリカの戦争犯罪を浄化する人間的力があると僕は確信しています。

同時に、そのことを持って「イスラム国」など、アメリカにやられた暴力を同じように返そうとしている人々に「われわれは原爆を受けたけれども、原爆での仕返しなど考えもしていない。われわれが学んだことは平和の尊さだ。それをアメリカに知らしめることでわれわれはアメリカの暴力を超えるのだ」と言いたいと思います。

もちろん、この僕の発想は、旧日本軍性奴隷問題の犠牲者となりながら、自ら名乗りを上げ、日本政府の態度をいさめつつ、同時に本当に偉大な奮闘を通じて、自らの尊厳を一歩、一歩取り戻し、豊かな人生を送られた多くの被害女性たち、おばあさんたちから送られたものです。

戦乱で混沌するこの世界の中に、この宝を広げたい。あなたも一緒に広げましょう!

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明日に向けて(1368)トルコ訪問報告、原発と放射能からの命の守り方などをお話しします。

2017年04月08日 23時30分00秒 | 講演予定一覧

守田です。(20170408 23:30) 

トルコから戻ってさっそく報告会など行います。

第一弾は13日に京都市の「すみれや」で行います。午後7時からです。シノップで今回の企画の主催者のトルコの弁護士の方達やシノップ市民の方達、コーディネーターのプナールさん、そしてフランスから参加された大学教授たちや東京から参加した弁護士の甫守さんと「シノップへの輸出は必ず止められる。頑張ろう!」と意気高く決意を固めて来られましたのでその息吹をお伝えします!ぜひご参加ください。

また15日に同じく京都市の市民環境研究所で、放射性廃棄物拡散問題第7回学習研究会を行います。午後2時からです。これまた僕がチューターを務めます。ここではトルコのことはあまり触れませんが、放射性廃棄物の拡散を食い止める「放射能公害防止法」の制定への取組など、今後、いかに歩むべきかに踏み込んだ検討と討論を行いたいと思っています。

23日には京都府美山町で「原発からの命の守り方」についてお話しします。南丹市の「小さき声の会」が主催で、共催が綾部市の「京都・北部市民測定所たんぽぽ」と舞鶴市の「子どもの未来を考える舞鶴ママの会」です。原発により近い京都北部の女性たちを中心とした集まりになりそうです。

この他、僕自身は、講演等はしませんが、4月22日に僕も世話人として力を入れて活動している「京都「被爆2世3世の会」」の総会と記念講演会があり、京都工芸繊維大学の宗川吉汪先生が、「虚構の放射能安全基準を斬る! 福島甲状腺がんの原因は原発事故だ!」と題してお話しされます。これもぜひともおすすめです!

以下、それぞれの企画の詳細をご紹介します。どうぞご参加ください。

*****

4月13日 京都市元田中

トルコ•シノップ訪問報告会

〜日本からの原発輸出に反対して〜

https://www.facebook.com/events/1036078393159162/

 

フリーライターの守田敏也さんが、3月末から4月にトルコを訪問しました。

トルコには三菱重工がフランスのアレバ社と組んで黒海沿岸に原発を作ろうとしています。この計画は問題が多いのですが、なによりも福島の原発事故を経験した私たちが海外に同じような問題を押し付ける形になることを食い止めたいものです。

トルコと日本とフランスでの反対運動を盛り上げて、この計画を止めるために、何ができるか。トルコから帰って来たばかりの守田さんの報告を聞きながら、一緒に考えましょう。 

時間:19時〜21時(18時開場)

会場:すみれや2階

参加費:1000円

定員:30名

*軽食販売します。

すみれや 京都市左京区田中里の前町49−1

http://sumireya.org

075-741-6673

 

*****

4月15日 京都市元田中

放射性廃棄物拡散問題に関する第7回学習研究会

福島第一原発事故で放出された放射能にさらされ、除染作業などによって集められた膨大な放射性「汚染土」。これを8000Bq/kgのものなら公共事業で再利用してしまえというあまりにひどい政策が進められつつあります。私たちは、このあまりにひどい対策についての学習研究会を立ち上げ継続してきました。

第7回研究会は2月ぶりの開催ですので、再々度、この問題の大づかみな捉え返しを行った上で、今回は、いかにして放射性廃棄物の拡散を止めていくのかという点に踏み込んだ考察を行いたいと思います。

参考にするのは各地から声の上がり出している放射能汚染防止法制定に向けた動き。京都からもこうした声をあげていくことはできないか、参加者のみなさんと意見交換していきたいです。

今回も基調的な報告を守田敏也さんが行い、その上でいかに汚染の拡大拡散を止めるのか、みなさんのご意見をお聞して討論します。ぜひご参加下さい。 

日時 4月15日(土曜日)午後2~4時

場所 市民環境研究所(京都市左京区田中里ノ前21石川ビル305)

主催 NPO法人・市民環境研究所

呼びかけ 石田紀郎(市民環境研究所代表理事) 

     守田敏也(フリーライター・市民環境研究所研究員)

参加費 若干のカンパをお願いしています。

連絡先 090‐5015‐5862(守田)

 

*****

4月22日 京都市

京都「被爆2世・3世の会」2017年度総会

オープン企画<記念学習講演>

チラシ(pdfファイル)

虚構の「放射能安全基準」を斬る!

福島甲状腺がんの原因は原発事故だ!

講師 宗川吉汪(そうかわよしひろ)先生(京都工芸繊維大学名誉教授・日本科学者会議京都支部代表幹事)

◆4月22日(土) 14:30~16:30

◆会場 ラボール京都(京都労働者総合会館)4階 第1会議室(中京区・四条通御前)

◆参加費 無料

福島では2017年4月をめどに帰還困難区域を除く多くの地域で避難指示が解除され、実質的な強制帰還がすすめられています。その基準とされているのが年間線量20ミリシーベルト以下の放射能は「安全だ!」とする虚構の「放射能安全論」です。本当にそうなのか? 現実はどうなのか? 多発している小児甲状腺がんの事実から放射能汚染のもたらしている福島の実態に迫る学習講演を行ないます。

宗川先生は一昨年ブックレット『福島原発事故と小児童甲状腺がん』(共著)を著され、福島の実態を鋭く解き明かされました。今年4月にもブックレットの第2弾発刊を予定されています。真実に目を向け、事実に基づいて低線量被曝の危険性を学び、被災者の完全救済と“核の脅威から解き放たれる”社会実現に向けた運動を強めていきましょう。

当日は同会場で13時30分から京都「被爆2世・3世の会」年次総会も開催します。会員外の方の参加も自由です。お時間のある方はこちらにも是非ご参加下さい。

京都「被爆2世・3世の会」

連絡先 電話・FAX 075-811-3203(京都原水協気付)

 

*****

4月23日 京都府南丹市美山町

守田敏也さんにきこう

防災のココロガマエとはじめての安定ヨウソザイ 知っとくと守れること

東日本大震災から7年目の春、いまだ収束困難な東京電力福島第一原子力発電所の事故‥南丹市も、綾部市も、舞鶴市も、あのまちこのまち 原発とはとなりあわせですね。いざという時の減災をこの機会にいっしょにまなびませんか?

日時:4月23日(日) 9時半受付 10時〜正午

場所:旧大野小学校(南丹市美山町三埜南畑28)

主催:小さき声の会(南丹市)

共催:京都・北部市民測定所たんぽぽ(綾部市)、子どもの未来を考える舞鶴ママの会

後援:南丹市

問合せ:080-4569-0868

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明日に向けて(1367)アレバは沈みかかり三菱重工も追いつめられている(トルコで訴えたこと−2)

2017年04月06日 17時00分00秒 | 明日に向けて(1300~1500)

守田です。(20170406 17:00)

京都の自宅からです。

まだトルコでの余韻が残っています。今回もトルコのシノップで訴えたことをお伝えします。4月1日のシンポジウムの講演後半です。

*****

原発建設を止めてシノップを守ろう!私たちは必ず勝利できる!—後半

2017年4月1日 トルコ・シノップにて

4、三菱重工も厳しい状態に追い込まれています!

(日本の原発メーカーについてのお話の)最後の一つがご存知の三菱重工です。シノップに原発を作ろうとしている会社です。三菱重工はもともと東芝とウェスチングハウスの買収を競い、それに破れるや、フランスの原発会社のアレバと提携しました。両者は新会社アトメアを設立し、新型原子炉を開発しました。

ところがこのアレバもまた福島原発事故後の建設費高騰で採算割れを起こし、経営が苦しくなってしまいました。フランス政府が介入し国営会社として命脈を保っていますが、さらに同社が多くの原発に使ってきた鋼材の強度が足りないこと、それを隠していたことが発覚し追いつめられています。

この苦境からの脱出の展望を託しているのが、原発輸出ですが、受注が確実視されていたベトナムが昨年末に計画を白紙撤回しました。

このためアレバはさらに苦しくなり、昨年末にフランス政府が三菱重工に救済のための出資を求めました。三菱重工内でかなりの反対がありましたが、「これ以上原子力産業を没落させられない」と社長が押し切って出資しました。

両社の次の展望がシノップにおける原発建設ですが、最近になって日本の調査会社が行った原発建設における事業化可能性調査報告で極めて厳しい内容が出されたことが分かりました。トルコ政府が求める電気料金では採算に合わないというのです。このためアトメア側が値上げを打診して、エルドアン政権に断られたと伝えられています。

日本の調査会社の不正も明らかになりました。シノップでの地震の可能性から割り出される耐震設計強度が日本国内のものよりかなり低めに設定されているのです。そもそも日本国内の耐震設計もかなりいい加減ですが、それよりも低いのですから不正も極まっています。

三菱重工は多角的な経営を行っていますが、他の部門でも失策が続いています。大型客船建造の失敗、国産初のジェット旅客機建設での納期の大幅遅れ、火力発電所事業でのトラブルなどです。このため、見通しの悪い原発事業をこのまま続けてよいのかという批判が、社内や経済界からも起こっています。

 

5、三菱重工製原発には致命的欠陥がある。

さらに三菱重工は原発の技術の中で克服できない致命的な欠陥を抱えています。蒸気発生器という部品に関するものです。

三菱重工製の原子炉は加圧水型原子炉というタイプ。格納容器の中に蒸気発生器という大きな機器が設置されていて、この中に数千の細管が通っています。ここに炉内を循環している一次冷却水を加圧して300度まで上昇させた熱湯を通し、細管の中を通る二次冷却水に熱を移して蒸気を発生させるのですが、この配管に穴があくトラブルが繰り返され、何十年も克服できていないのです。

日本の福井県では、三菱重工製の原発は、一度は穴があくだけでなく配管が切れてしまい、中の熱湯が飛び出す大事故も起こしています。炉内の冷却水が抜けてメルトダウン直前まで悪化した深刻な事故でした。

このため三菱は、穴が空いた細管に栓をして対処しているのですが、これには限度がある。このためやむを得ず、原発の構造物の中でもっとも堅牢に作られている格納容器に穴をあけ、蒸気発生器の交換を行っているのです。

ところが最新型の蒸気発生器でも、この欠陥が克服できていないのです。その象徴となったのがアメリカのサンオノフレ原発へのこの部品の輸出でした。同原発で交換を行ったところ、わずか数年で無数に穴があいてしまい、原子炉が停められてしまいました。そして原発廃炉が決定されてしまったのです。2013年のことです。これをめぐって三菱重工は多額の損害賠償を訴えられました。

このことが明らかにしたのは、単にお金の問題ではなくて、三菱重工がいまだに事故を起こさない蒸気発生器を開発できていないということです。だから三菱重工製の原発の運転は認めてはならないのです。三菱重工にとってもどれだけの損害が発生するか分からないリスクがあります。

 

このように日本では原発メーカーがどんどん崩れ、原発輸出路線を柱として来た安倍政権もぐらぐらとしています。強調しておきたいのはこの状態を作り出しているのは私たち民衆だということです。私たちが、トルコで、日本で、世界中で原発の危険性を訴え、デモを繰り返しているが故に、原発推進サイドも安全対策への支出を増やさざるをえず、採算に合わなくなっているのです。

いやそもそも私たちが大半の原発を停めているため、ウラン燃料も売れなくて、燃料製造会社の大手が倒産しています。アメリカのサンオノフレ原発でも、周辺住民が再稼働反対の激しいデモを行ったそうです。

まさに私たち、民衆のパワーが世界の原子力産業を追いつめているのです。この力に自信と誇りを持ちましょう。そしてシノップ原発反対の声を高めてゆきましょう。僕はそのことで必ずこの計画は停めることができると確信しています。

 

6、原発で大変なのは事故処理と廃炉作業、見通しがまったく立っていません。

今日のお話の最後に、福島原発事故の経済的処理の状況についてお話しします。昨年12月9日に日本政府は福島原発の事故処理や廃炉にかかる費用が21兆5千億円になるとの試算を発表しました。

ところが3年前に日本政府は同じ費用を11兆円と見積もっていたのです。3年間で倍になってしまっています。

問題はなぜ3年間で2倍にもなったのかですが、実は本当のところ、もともと幾らかかるかよく分かっておらず、最も低い予想を出していたからです。

注意していただきたいのは、日本政府はいま、「廃炉作業中」といっていますが、ここからして嘘だということです。福島原発事故はまだ止まっていないのです。だから事故処理中と言った方が正しいのです。しかも1号機から3号機の炉内にはグチャグチャに溶けた核燃料があり、膨大な放射線を出し続けています。昨年末の推定で650シーベルト。わずか30秒で人間が死にます。しかもそんな放射線値が出ているということが6年経ってやっと分かりました。

こんな状態ですから、実は炉内で溶け落ちた燃料がどのような形状になっていて、どこにあるのかすら分かっていません。どうやって取り出すのかも分かっていない。だから処理に幾らかかるかなど計算できないのです。

 

処理が大変でお金がかかるだけでなく、もう一つの問題はこの間、福島原発の現場労働者がものすごく被曝していることです。しかし政府はほとんど被曝影響を認めません。これは日本の原発労働が長く抱えてきた矛盾でもあります。

すでに2012年までの現場労働で、白血病の認定基準の「年5ミリシーベルト」以上の被曝をした労働者が9640人もいたことが発表されています。しかしその後に労災認定を受けたのはたった3人です。白血病を発症した40代男性が2015年10月に、同じく白血病を発生した50代の男性が2016年8月に、甲状腺がんを発症した40代の男性が同じく12月に労働災害認定を受けたのみです。労働者の多くが「病など起こらない」と騙されて働かされ、病になってもほとんど被害を認定されずに苦しみ続けているのです。こんな状態が福島原発事故の前から原発の現場で続いており、しかもより悪くなっているのです。

以上、福島原発事故後の日本の状況をお話ししてきました。経済成長戦略の基軸に原発輸出をおく安倍政権が崩れ始めたこと、その背景に原発メーカーの没落があること、事故処理と廃炉にどれだけの年月とお金がかかるか分からないこと、しかも延々と被曝労働が続くこともご理解いただけたと思います。

だから私たちはもう世界のどこででも原発建設を許してはなりませんし、原発メーカーの没落を考えれば、建設を止めさせることは可能です!これをしっかりおさえて反対の声を強めていきましょう。そうすれば私たちは必ず勝つことができます。一緒にシノップを守り抜き、核の無い世の中を作っていきましょう。そのために必要ならば私は何度もトルコをお訪ねします。

最後にこの言葉を贈ります。Power to the people!

*****

今回のトルコ訪問、7月のドイツ訪問に支援を訴えていますが、さらにその後にヨーロッパとの連携を深められる可能性が今回開かれました。こうした原発をなくすための国際連帯行動のためにぜひ力をお貸しください。以下に振込先を記しておきます!

振込先 郵貯ぎんこう なまえ モリタトシヤ 記号14490 番号22666151

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明日に向けて(1366)シノップでの原発建設は止められる(トルコで訴えたこと−1)

2017年04月05日 08時30分00秒 | 明日に向けて(1300~1500)

守田です。(20170405 08:30) 

昨夜、無事、帰国しました。成田のホテルにいます。

イスタンブールを飛び立ったのは現地時間で4日午前1時40分。日本時間では午前7時40分でした。フライト時間は11時間50分。午後7時30分に成田に着きました。この時間では京都まで帰るのは無理なので、成田のホテルに宿泊し、これからまた空港に戻って伊丹までフライトします。

ちなみに僕は若い頃、成田空港建設反対運動に明け暮れていたので、このホテルの周りも車で走り回った記憶があります。ホテルは空港建設の一つの象徴でもあったので、やむを得ざる宿泊とはいえ、なんとも微妙な思いがあります。 

さて、前回、シノップでの企画の報告を行いました。続けて当日、僕がお話しした原稿をアップします。

この原稿はいったん「明日に向けて」に掲載したのですが、いまのトルコの厳しい政治状況を考えた念のための配慮として、掲載は帰国後にすることとし、いったん削除しました。また前回掲載後に、さらにブラッシュアップして幾つかの箇所を削除し、原稿を短くもしてあります。シノップではこの原稿でお話ししましたのでお読みください。

なお私たち日本人の発言に続く、フランスの方達の報告の紹介は、僕の発言原稿掲載の後に行います。

*****

原発建設を止めてシノップを守ろう!私たちは必ず勝利できる!—前半

2017年4月1日 トルコ・シノップにて

トルコのみなさん。京都からやってきた守田敏也です。シノップはもう4回目の訪問で私の故郷のようなもの。ふるさとを守るために頑張ります。

今回、お招きいただいたトルコ弁護士連盟と、訪問の機会を与えてくださり、私のトルコ訪問の度に一緒に奮闘してくださっているアクティヴィストのプナール・デミルジャンさんにお礼を申し上げます。今回、私に与えられたタイトル「最近の日本の状況、福島原発事故後の社会生活、福島原発事故の経済的処理の状況」に沿ってお話しします。

 

1、日本の首相は大嘘つきです!騙されないように!

まず日本の状況ですが、ここ数年、日本では福島原発事故以降に政権党に返り咲いた安倍首相率いる自由民主党と公明党が連立政権を組み、国会の両院議席の大半を占めて大きな力を振るってきました。

安倍首相はみなさんもご存知だと思います。トルコに原発を売り込もうとエルドアン首相と核合意を結んだからです。次のオリンピック開催地をイスタンブールと東京が争った時も嘘の発言でイスタンブールを負かしました。

トルコのみなさん。私たちの国の首相は大嘘つきなのでけして騙されないでください。オリンピック招致演説のときも、「福島原発はアンダーコントロールだ。東京は安全だ」といいましたが、実際には事故は全く収束していません。

しかしこの政権は日本の選挙制度の歪みもあって国会の多数派を握っており、ひどいことを繰り返しています。とくに原子力政策では、福島原発事故の反省をしないまま、原発の再稼働と各国への売り込みに走りまわっています。

 

2、放射能の被害が様々に出る中、日本民衆は政権への抵抗を続けています!

福島原発事故後、大変な量の放射能が日本の国土の上に降りました。日本の本州の東半分が被曝しました。放射能は東京にもたくさん降っています。

 このため各地で大変な健康被害が出て来ています。顕著なのは甲状腺がんが多発していること。福島の18歳までのこどもたち38万5千人を検査して183人の患者が見つかりました。この病気は日本では15歳未満は100万人に1人、15〜19歳は100万人に5人しかおこっていませんでした。ところが福島では100万人に475人の割合で起こっています。しかも調査は福島だけ。東京でももっとたくさん起こっている可能性があります。

健康被害は他にもたくさん起こっている事が考えられています。心臓病の増加が伝えられ、他のいろいろな病気が進行が早く、治りにくくなっています。

もちろんこんなひどいことが続く事に対して、私たち日本民衆も黙ってはいません。原発再稼働に対し、東京で20万人が参加したデモを起こし、さらにその後も各地で原発の再稼働と輸出に反対して毎週金曜日に人々が集まってデモを行っています。全国で100箇所以上、その多くが連続200回を超えています。

このためいま日本で動いている原発はたったの3基。福島原発事故前にあったのは54基、このうち事故で壊れたのは4基ですが、事故後に稼働に向けた審査が厳しくなりさらに7基が廃炉になりました。このため稼働可能なのは43基ですが、うち40基を私たちは止め続けています。

こうした中で今年の2月ぐらいから大きな政治スキャンダルが持ち上がりました。大阪の幼稚園で軍隊のような教育をしている軍国主義者が、小学校を作ろうとしました。彼は安倍首相の熱烈な信奉者で、学校の名前を「安倍晋三記念小学校」と決めました。この学園が9億円もする国有地を200万円で取得していたことが明らかになったのです。名誉校長に安倍明恵首相夫人が就任していました。日本は今、連日このスキャンダルをめぐって大騒ぎになっています。このことで安倍政権が倒れる可能性も見えてきました。いやぜひ倒したいと思います。

 

3、日本政府の原発輸出路線は行き詰まっています!

安倍政権が崩れ出している背景にはこの政権の経済成長の柱の一つの原発輸出路線がつまずき、原発メーカーの一つの東芝が倒産寸前なことがあります。

みなさん。東芝という名を聞いたことがあるでしょうか。日本企業の中で中心的な位置を占めて来た企業です。それが無くなろうとしています。理由はアメリカでの原発事業の展開での大失敗です。これは安倍政権の政策の大失敗をも意味しています。そんなときだから政権に不利な情報が出てくるのでしょう。

ここで日本の原発メーカーの苦境について、もう少しお話したいと思います。

日本の原発メーカーは東芝と日立製作所、および三菱重工の三社です。このうち先頭に立ってきたのは東芝でした。東芝は世界の原子力産業のリーディングカンパニーになろうと、2006年にアメリカの原発メーカーのウェスチングハウス社を買い取りました。

同社が売りに出されたのは、アメリカでの原発建設が難しくなっていたからで、この購入はかなりの賭けでした。しかし強気な東芝は、高額で買い取りました。当時、時価3000億円と言われていたのに6400億円も出しました。ところが2008年にリーマンショックが起こり、東芝は赤字に転落。経済犯罪である不正会計に手を染め始めました。

東芝はこの状態を脱するため、ウェスチングハウス社にアメリカで6基の原発を受注させ、自身も2基を受注しました。日本メーカー初の原発輸出でした。

ところがその直後に福島原発事故が起こってしまったのです。このとき東芝が受注していた原発事業からアメリカの提携会社がすぐに逃げ出しました。なぜか。事故を起こした福島原発2、3号機が東芝製だったからです。

一方でアメリカ原子力規制委員会が、事故後に高まる脱原発の声に押されて安全基準を強化したため、ウェスチングハウス社が受注した6基のうちの2基が建設中止になり、残りの4基は継続したものの安全対策費が膨らんで採算割れを起こしてしまいました。これらの果てに東芝は昨年末で7000億円以上の赤字を抱え込み、海外の原発事業からの撤退を表明したのです。しかもそれでも苦境を乗り切れず、決算報告すら出せない状態です。

ちなみに東芝は僕がトルコに向けて旅たった3月30日にとうとうウェスチングハウス社を売却することを発表しました。その際にさらに損害が膨らむそうで、赤字総額が1兆円を超えることも明らかにされています。

もう一つの原発メーカーの日立製作所は、東芝・ウェスチングハウス社連合に対抗して、アメリカの原発メーカーのゼネラルエレクトリックと提携。ウラン燃料の新会社設立を目指しましたが、ゼネラルエレクトリックが原発事業から撤退する中で事業化に失敗し、700億円の損失を出しています。

続く

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