明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(1466)『日本列島の全原発が危ない!』―書評・広瀬隆さん白熱授業

2018年01月25日 23時00分00秒 | 明日に向けて(1300~1500)

守田です(20180125 23:00)

昨日の「白根山噴火と中央構造線と原発の危険性について」に続いて、広瀬隆さんの最新刊、『日本列島の全原発が危ない!』(DAYS JAPAN1月号増刊)の書評をお送りしたいと思います。
同書は広瀬さんの講演をそのまま本にしたものであり、たくさんのスライドが載せられています。「白熱授業」と銘打たれているのはそのためで、実際、読んでいると広瀬さんの声が聞こえてきそうです。

僕はこれまでも広瀬さんの本を何冊も読んでいますが、今回は2月17日に光栄にも広瀬さんとジョイント講演させていただくことになったので取り寄せたのでした。
昨日までに一気に読み終えて、広瀬さんとご一緒することにいまから興奮を感じています。

企画のイベントページをご紹介しておきます。2月17日(土)、コープイン京都で13時30分から16時までの開催です。

広瀬隆さん&守田敏也さん~ジョイント講演会
https://www.facebook.com/events/368974836849823/

この本の核心は私たちの目の前にある巨大な危機をズバリと教えてくださっていることにあります。しかもとても分かりやすい!

構成は以下のごとしです。
第1部、超巨大活断層「中央構造線」が動き出した!
第2部、住民は避難できるか
第3部、使用済み核燃料と再処理工場が抱える「世界消滅の危険性」

まさにこの書を読んでいるときに、草津白根山が噴火したので、すぐに中央構造線の近くだったはずだと考え、位置関係を調べるとやはりそうでした。
広瀬さんの指摘がまたひとつ裏付けらました。まさに「日本列島の全原発が危ない!」

広瀬さんは東日本大震災と福島原発事故が起きた1年弱前の2010年8月にも『原子炉時限爆弾―大地震におびえる日本列島』を出版され、序章にこう書かれていました。
「私は本書で、大地震によって原発が破壊される『原発震災』のために日本が破滅する可能性について、私なりの意見を述べる。しかもそれが不幸にして高い確率であることを示す数々の間違いない事実を読者に見ていただくが、内心ではそこから導き出される結論が間違っていることを願っている」(『原子炉時限爆弾』p2)
しかしこの結論は不幸にして翌年3月に的中してしまいました。福島原発事故の勃発です。広範囲が激しく被曝し、さらに4号機燃料プールの崩壊により半径250キロ圏が希望者を含む避難ゾーンになりかけました。

あれから7年が経過し、事故で覚醒した民衆の力によって、ひとたび日本の原発はすべて止まりました。
現在運転している原発はたったの4基。しかも伊方原発3号機が昨年秋まで稼働していたものの、定期点検中に広島高裁仮処分が出て動かせなくなっています。

ところが2016年4月に熊本を震度7の地震が2回も襲いました。広瀬さんが繰り返し警戒しなければと語り続けてきた超巨大断層、中央構造線の真上で起きたものでした。
「川内、伊方が危ない!中央構造線が動いている」・・・本書にはそんな広瀬さんの危機感と、大災害から人々を守ろうという熱い思いが溢れかえっています。

私たちにとってこの二つの原発がとくに危険なのは川内が鹿児島県、つまり日本列島の主要な島々の西のはてにあり、伊方が四国の西のはてにあることです。
台風の進路などを考えても明らかなようにここから噴出した放射能は日本列島を横断してしまいます。

福島原発から飛び出した大半の放射能は海に流れていきました。それでも私たちはこんなに苦しんでいるのに、西の原発が爆発したら、列島全体が激しく被曝してしまいます。
海に落ちたものも海流に乗って列島近海を北上していきます。すべての食べ物が決定的に汚染されてしまうのです。この大きな危険性を直視しなくてはいけません。

続いて第3部の「使用済み核燃料と再処理工場」の問題をご紹介します。広瀬さんはここに「世界消滅の危険性」と書かれている。
再処理工場にあるのは「高レベル廃液」です。東海村に430立方メートル、六ケ所村に223立方メートルある。
「東海村の高レベル廃液1立方メートルが漏れただけで、東北地方南部から北陸と甲信越・関東地方まで壊滅します!」と広瀬さんは指摘しています。東海と六ケ所には世界を消滅させかねない膨大な放射能が眠っているのです。

高レベル廃液とは、使用済み核燃料から新たにできたプルトニウムを取り出すため、溶液で溶かし、ウランとプルトニウムと残りの放射能を分けて出てくる死の灰の液です。
液体だと不安定なので、ガラス固化体にする予定だったのですが、うまくいかない。容器に注ぐノズルが詰まってしまい作業ができなくなることの繰り返しなのです。だから液体のまま置かれている。
冷却ができなくなると東海村では55時間、六ケ所村で24時間で沸騰が始まり、38時間、35時間で爆発します。そうしたらもう世界の破滅を待つばかりなのです。

この上に各原発の燃料プールに使用済み核燃料が沈んでいる。持って行き場がないからですが実はもう前から多くの燃料プールが容量いっぱいになりつつあったのでした。
プールが埋まるともう運転できなくなります。だから運転を止めるべきだったのですが電力会社はそうはしなかった。リラッキングで使用済み燃料の間隔をつめて、容量を増やしてしまったのです。

使用済み燃料の中に含まれているプルトニウムやウランは、一定の量が集まると核分裂してしまう大変危険な物質です。だから一定の間隔をおくことが定められていた。
ところが「このままでは運転できない」からと間隔を詰めてしまったのです。広瀬さんは最新データを添えて、この危険性も解き明かしています。
しかもそんなに危ないものが眠っている六ケ所村の再処理工場が、大きな地震と津波の脅威にもさらされていることが指摘されています。

さて最後に第2部をご紹介したいと思います。「住民は避難できるか」で、答えは明白。破局的な事故が起こったらとても避難できないのです。もちろんあらゆる事故に備えた避難計画など立てようがない。
原発事故を考えるときに、まずはこの点をしっかりと見据えることが大事です。真の原子力防災は原発を止めること、使用済み核燃料や高レベル廃液を一刻も早く安全な状態に移す以外ないのです。

だからといって広瀬さんは、事故の可能性に対して「備えることはできない」と言っているのではありません。
「現実から目をそむけずに、大地震時代に今から最悪の事態を予測して、対策をとりましょう。それが今日の集まりの目的なのです」と説かれています。(p94)

ここを最後に持ってきたのは、2月17日のジョイント講演での僕の担当すべきはこの先だなと思ってのことです。
しっかりと目の前にある危機を把握した上で、私たちの生きのびる道をみんなで紡ぎ出していかねば。広瀬さんのお話に続いて僕はこの点を精一杯お話しようと思います。

みなさん。ぜひ『日本列島の全原発が危ない!』をお買い求め、読んでください!

DAYS JAPANの同書の申し込みページを記しておきます。
https://daysjapan.net/2017/10/05/1120%E7%99%BA%E5%A3%B2%E3%80%80%E5%BA%83%E7%80%AC%E9%9A%86%E3%81%95%E3%82%93%E3%81%AE%E8%AC%9B%E6%BC%94%E3%80%8C%E7%99%BD%E7%86%B1%E6%8E%88%E6%A5%AD%E3%80%8D%E3%81%8C%E6%9C%AC%E3%81%AB%E3%81%AA/

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明日に向けて(1465)白根山噴火と中央構造線と原発の危険性

2018年01月24日 17時00分00秒 | 明日に向けて(1300~1500)

守田です(20180124 17:00)

昨日23日午前9時59分ごろ、群馬県北西部の草津白根山が噴火しました。
近くで訓練をしていた陸上自衛隊隊員8人が噴石にあたり、うち1人が背中への直撃を受けて亡くなられました。スキー客も4人もけがをし、ロープウェイ山頂駅に一時およそ80人が取り残されましたが、その後、無事に救助されました。
気象庁は白根山の噴火警戒レベルを3(入山規制)に引き上げ、引き続き警戒を呼びかけています。亡くなられた方のご遺族にお悔やみを申し上げるとともに、けがをされた方のご回復を祈るばかりです。

この報を受けてすぐに思ったのはこれは中央構造線のこの間の激しい動きと連動したのではないかということです。
ちょうど地震による原発の危険性を訴え続けてきた広瀬隆さんの最新刊、『日本列島の全原発が危ない!』(DAYS JAPAN1月号増刊)を読んでいたところだったからでもあります。
広瀬さんのこの本の第一章、「超巨大活断層「中央構造線」が動き出した!」というタイトルで書かれています。

それで中央構造線と白根山の関係を調べてみると、やはり近くに位置していること、またちょうど中央構造線が中央地溝帯(フォッサマグナ)に重なる地帯にあることも分かりました。
ちなみに2014年に噴火して多くの犠牲者を出した御嶽山も中央構造線とフォッサマグナの近くにあります。

中央構造線を図示したアドレスをご紹介します。出典はウキペディアです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%83%E3%82%B5%E3%83%9E%E3%82%B0%E3%83%8A#/media/File:Tectonic_map_of_southwest_Japan.png

中央構造線と白根山の位置、およびフォッサマグナを図示したアドレスをご紹介します。出典はブログitoito styleです。
https://itoito.style/wp-content/uploads/2018/01/FossaMagna.png

大地震と火山噴火に関連性を火山噴火予知連会長の藤井敏嗣さんが解説しているNHKのページをご紹介します。
http://www.nhk.or.jp/sonae/column/20120622.html

図を見れば分かるように、中央構造線は日本列島を縦断する1000キロにもおよぶ活断層です。
その西の端の方で昨年、熊本で大地震が起こりました。正確には熊本・九州地震と呼ぶべき地震でした。川内原発の近くの鹿児島県から伊方原発近くの大分県まで激しく揺れたからでした。
こうした大きなエネルギーの変動は断層帯を経て遠く離れた地域にも反映すると考えられています。そうした例が過去にたくさんあります。

広瀬さんは、これらを踏まえて、すぐにすべての原発を止めないととんでもないことになると訴えています。
その広瀬さんの講演内容を見て「日本列島の全原発が危ない!」というタイトルを同書につけたのが広河隆一さんだそうです。
そもそも中央構造線を軸に「西日本が地震の活動期に入ったと思われる」という事実は、阪神大震災以降、繰り返し多くの方に指摘されてきていることです。火山噴火予知連絡会も同じように表明しています。
だから今回の白根山噴火からも、日本にある火山全体の大規模な噴火への警戒を強めるとともに、そのための準備としても、原発を停め、使用済み核燃料や核燃料廃液を少しでも安全な状態に移すことを急ぐべきなのです。

もちろん今回の白根山の噴火と中央構造線の関係性が科学的にすべてわかるわけではありません。
というよりもそもそも地震について、火山の噴火について、まだまだ私たち人間にはわからないことがたくさんあり、どんどん新しい知見が発見されています。
しかし多くの原発がそうした新しい学説が登場する前に計画化され、作られてきました。だから地震大国で原発を動かす安全性の担保など、地震学の面からいってもまったくできていないのです。

中央構造線の歴史をさかのぼると、いまわかっているのは日本列島が壮大なスケールの大地の動きの中で現在の形に至っていることです。
これを解説した記事をご紹介します。

「中央構造線」列島横切る巨大断層 熊本地震の延長上 九州~近畿で400年前に連続発生
日経新聞2016/4/22 3:30
https://www.nikkei.com/article/DGXKZO99946320R20C16A4TJN000/

現在の研究で明らかになっているのは、私たちが生息している日本列島がもともとは、今でいう中国大陸の一部だったことです。
約2500万年ぐらい前に大陸から離れ始めたようですが、そのとき日本列島は、中央構造線で割った形で大きくずれて存在していたのだそうです。
今でいう日本海側が南へと移動し、反対に太平洋側が北へと移動し、中央構造線で接合する形で現在の形になったのだそうです。

文章では表現しにくいので以下の図をご覧ください。これも日経の同じ記事に掲載されているものです。
https://www.nikkei.com/news/image-article/?R_FLG=0&ad=DSXKZO9994635021042016TJN000&dc=10&ng=DGXKZO99946320R20C16A4TJN000&z=20160422

こうした大陸規模の動きを見ると、どんな大きな地震や変動が起こっても不思議ではない気がします。
原発政策は「そうかもしれないけれどそれは当分は起こらない。そんな天文学的なことを考えていたら何もできない」という屁理屈で推し進められてきたわけですが、もやはそんな詭弁を通用させてはいけません。
そもそも南海トラフ地震など「天文学的」な年月で起こるのではなく、今後30年間をとっても7割という大変に高い確率で起こると考えられているものなのです。これ一つとっても原発はもうアウトなのです。

私たちは今回の白根山の噴火だけでなく、東日本大震災や、熊本・九州地震、御嶽山の噴火等々の大地動乱を踏まえて、「日本が地震の激動期に入っていると思われる」ことを踏まえるべきです。
そしてもうそう「思われる」だけで、一刻も早く原発を停め、使用済み核燃料や廃液を安全な状態に移すことに全力を傾けなければならないのです。

原発ゼロに向けて前進しましょう!

***

なお光栄にも広瀬隆さんと2月17日に京都市でジョイントで講演を行うことになりました!
コープイン京都で午後1時から4時までです。
Facebookのイベントページを貼り付けておきます。

広瀬隆さん&守田敏也さん~ジョイント講演会
https://www.facebook.com/events/368974836849823/

ぜひ広瀬節を聞きに来てください。僕も頑張って発言します!

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明日に向けて(1464)朝鮮半島情勢をどうみるべきか・・・戦争になりうる可能性があることが問題!(民衆の力を高めるために―7)

2018年01月22日 18時00分00秒 | 明日に向けて(1300~1500)

守田です(20180122 18:00)

民衆の力を高めるための考察の7回目です。
今回は目の前にある危険性について論じたいと思います。朝鮮半島情勢をいかにみるべきかです。

昨年1月のいかにも危険に見えるアメリカトランプ政権の誕生と、一向に核開発から引く姿勢を見せない朝鮮の強硬姿勢の中で、昨年より繰り返し「〇月についにアメリカの攻撃が始まる!」という憶測が流れています。
それである方からこんな質問をいただきました。
「アメリカの先制攻撃が遅くとも7月7日(北朝鮮開国70周年記念日)までには、実行されるだろうとのニュースが世界をかけめぐっているようです。これについての守田さんの考えを教えてくださいませんか?」というものです。
それでお答えしたメールをここに転載しようと思います。

 僕もこれについて論じなければと思っていますが、そこだけをヒートアップさせるのもなあと考えて、いま「平和力を高めよう」という連載を続けています。
 
 攻撃について、僕は可能性はそれほど高くないと思っています。
 膨大な犠牲を出すことになるし、アジアの政治状況をいっぺんさせることになるからで、しかもアメリカの望む形になるとは限らないからです。単に犠牲者の数だけではなく、その後の政治バランスのことも含めて、リスクが高すぎます。
 しかしそんな 高いリスクのことが起こりうる可能性が少しでもあることについて問題にしていかなくてはと思います。
 危機だと煽るのではないけれど、「こんな大変なリスクがある状態そのものがおかしい」と論じていくということです。

 どうも週刊誌などを読んでいると、危機を面白おかしく煽っているようなところがあります。まるでゲーム解説を行っているかのような感じで。おそらく執筆者も本気でそう思っていないのに「〇〇に攻撃が行われる」と書いているように思えます。
 おそらくそれが米日政府の利害にも合致するのです。

 アメリカにしてみればこれを煽れば煽るだけ、韓日でミサイルなどの武器が売れます。
 日本にしてみればこれこそ安倍政権の命綱 !前回の総選挙の後にも麻生副総理が「北朝鮮のおかげで勝てた」と本音を述べています。
 つまり「戦争があるぞ、大変なことになるぞ」と適度に煽った方が自民党に有利なのです。

 しかしそれにもっと信ぴょう性があるならば、株価がこんなに高いままでいることはないのではないですかね。
 それやこれやを考えて、こちらの論じ方も政府与党の有利にならない形で問題を論じていかなくてはです。

僕は今も基本的には同じように考えています。
マスコミに流れている情報ではもし戦争になったら日本でも10万人単位の犠牲が出ると言う。そもそもそんなことを絶対に起こらないようにするのが政治の役割です。
そんな大変な危機を必死になって低減するのが日本政府の行うべきことなのです。なのにこの根本問題が論じられていないことがおかしいのです。

とくにいま、韓国は懸命になって朝鮮との和平を進めようとしています。
このため冬季オリンピックで南北統一での入場を行い、ホッケーの合同チームを作ろうとしている。これに朝鮮の側も応じようとしている。あきらかに南北が和平に向かって努力を傾けているのです。
なぜ韓国はこれほどまでに必死になっているのか。当たり前です。戦争になったら自国民が一番たくさん死ぬからです。経済的にだってとんでもない打撃を受けてしまう。
それはまた朝鮮も同じなのです。戦争が始まったらとてもではないけれどアメリカに勝てるわけがない。だから戦争になったら朝鮮も壊滅的な状態に陥るのです。

同時に両サイドの多くの人々が、もう二度と、同じ民族同士で殺し合いなどしたくない、朝鮮半島を再び戦火にまみれさせたくないと思っていることがこの政策を生み出しているのでしょう。
それは当然すぎる願いであり狙いです。

こうした韓国の姿勢に対して、中国、ロシアも同調を強めています。
これまた当たり前なのです。朝鮮半島で大変な戦乱になったら国境を接している中国も、ロシアも自国に何らかの混乱がもたらされる可能性が大きいからです。
例えば大量の難民の発生です。両国ともいざとなったら人道的に受け入れざるをえなくなります。
いやそれだけではなく、状況いかんによっては戦火そのものも飛び火してくるでしょう。中国・ロシア軍とアメリカ軍との衝突だって起こらないとは限りません。

だから、朝鮮半島の当事国でも周辺国でも、なんとかアメリカが戦争を起こす可能性を減らそうとしているのに、朝鮮半島の周りにある国の中で、日本政府だけがこの和平努力に協力しようとしていません。
それどころか韓国に「裏切りもの」と言わんばかりの悪罵を投げつけています。河野外相など、明らかに韓国の姿勢に対抗して、朝鮮との国交断絶を各国に呼びかけるというトンでもない発言すら行っています。
これに対してロシアからは「国交断絶を宣言せよとは戦争宣言と同じだ」という強烈な批判すら巻き起こっています。なんということでしょうか。

そもそも戦争が起こるとすればアメリカの先制攻撃によるもの以外ではないのです。そんなもの、国際法上合法化される理由などどこにもありません。侵略戦争そのものです。
またその際、アメリカだけが本土が戦場から遠くにあるのです。それもまたアメリカだけが戦争の引き金をひきかねない根拠なのでもあります。
その際、在韓米軍とその家族など、アメリカもまた戦火によって甚大な被害を受ける可能性があり、だから1990年代に攻撃を断念したと言われていますが、それでも朝鮮半島から遠く離れているアメリカが一番被害が少ない。

日本はどうなのか。甚大な被害が出る可能性があるのです。だからそれを避けようと努力するのが当たり前のことなのです。
「では朝鮮の核開発をどう止めるのか」という声が聞こえてきそうですが、非常にシンプルで有力な道があります。「核兵器禁止条約」を推し進めるのです。
ところがアメリカに追従する日本政府は、この条約に背を向けたまま。それでどうして朝鮮の核開発だけを批判することができるのでしょうか。

安倍首相や河野外相、および日本政府は明らかに平和のための努力に背を向けています。
なぜか。実は本音では日本政府も、戦争になる可能性が低いと考えているからでしょう。その上で、「戦争になるかもしれないぞ」「北朝鮮が何かをやらかすぞ」と恐怖を煽った方が政権にとって有利と判断しているのです。
先にも述べたように麻生副総理がすでにはっきりとその本音を述べています。朝鮮半島にある危機を減らそうとするのではなく、危機を弄んで政権維持に利用しているのだから本当にひどいことです。

こういうあり方を「タカ派の平和ボケ」と言います。
戦争は互いの国の為政者の思惑を離れたところでも始まってしまうこともあるのであって、だからこそ、軍事的リアリティからいっても、万が一にも戦争にならないための努力を重ねることこそが重要なのです。
しかしそうした真っ当な危機管理能力がマヒしてしまっています。この政権が続く限り、そしてまた実際に他国を壊滅させるだけの軍事力をもったアメリカがアジアにうろうろしている限り、この危険性はなくならないし、利用され続けます。

危険性はアジアにおけるアメリカ軍の存在と、平和に背を向けた安倍首相、河野外相、日本政府の側にこそある。
この真実を広く訴えていきしょう!

続く

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明日に向けて(1463)原発からの命の守り方、日本政府はなぜ原発政策をあらためようとしないのかについてお話します。(大津市、京都市)

2018年01月20日 10時00分00秒 | 講演予定一覧

守田です。(20180120 10:00)

原発問題に関する講演のお知らせです。

1月26日(金)午前10時より大津市でお話します。コープ自然派京都さんの主催です。
高浜原発に続く大飯原発の再稼働への動きも踏まえて、原発からいかに命を守るのかをお話します。

1月27日(土)午後1時より京都市左京区の市民環境研究所でお話します。
放射性廃棄物拡散問題に関する学習研究会の第10回目の催しですが、今回は安定ヨウ素剤のことなどに焦点を当てます。
篠山市が発行した原子力災害対策ハンドブックをテキストにします。

1月28日(日)午後2時より京都市左京区の京都大学でお話します。
第19回左京フォーラムでの開催で、演題は「原発と原爆-なぜ日本は原発を止められないのか?-」となっています。
なぜ日本政府が原発政策をあらためようとしないのか、幾つかの角度からお話し、原発ゼロ実現の展望をみなさんと探りたいと思います。

ぜひそれぞれの会場にお越しください。
以下、それぞれの案内を貼り付けます(講師紹介は省略します)

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1月26日 大津市

守田さんと一緒に考えよう!大切ないのちを守るためにできること
https://www.facebook.com/events/896127483884136/

京都市役所や大津市役所から60キロほどのところにある原発。高浜原発が動き出し、大飯原発も動き出そうとしています。このままで大丈夫?もしも原子力災害が起きてしまったら?福島原発事故以来、各地で放射能から身を守るための講演など精力的に活動されている守田敏也さんをお招きし、被ばくしないためには?内部被ばくから身を守るためには?などなど気になることも、一緒に考えてみましょう。
*保育のご用意はありませんが、お子さまもご一緒に会場内へどうぞ。

日 時: 2018年1月26日(金) 10:00~12:00
会 場:大津市市民活動センター大会議室(大津市浜大津4-1-1(明日都浜大津1階))京阪浜大津駅から徒歩1分(陸橋渡ってすぐ)
講 師:守田敏也さん

参加費:組合員300円/一般400円
定 員:20名 *定員に達した場合 先着順
託児:なし 託児対象外(1才半未満)の同伴:可 
申込み締切日:1/23(火) 17:00
主催:ビジョン/未来と平和
イベントID:06170399

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お問い合わせ・お申し込み
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<月~金8:30~20:00> フリーダイアル:0120-408-300(携帯・IPフォン:088-603-0080)
お申込み時1~5をお伝えください。
1、イベントID 
2、参加者氏名 
3、組合員コード 
4、参加人数
5、連絡先

***

1月27日 京都市左京区

放射性廃棄物拡散問題に関する第10回学習研究会
https://www.facebook.com/events/144470069585300/

福島第一原発事故で放出された放射能にさらされ、除染作業などによって集められた膨大な放射性「汚染土」。これを8000Bq/kgのものなら公共事業で再利用してしまえというあまりにひどい政策が進められつつあります。
私たちは、この問題についての学習研究会を立ち上げ継続してきました。

このところ暫くお休みしてしまいましたが、研究会を再開したいと思います。第10回研究会は、少し毛色を変えて被曝防護問題の中の安定ヨウ素剤についての学習を行います。
兵庫県篠山市原子力災害対策検討委員会に参加し、安定ヨウ素剤の市民への事前配布に関わるとともに、原子力災害対策ハンドブックを作成するなどして来た守田敏也さんに、ヨウ素剤問題について話していただきます。
同時に守田さんを中心に「ヨウ素剤を配ってよ@京都」というグループが立ち上がったのでその説明を受けます。ぜひご参加ください。

2018年1月27日(土)午後1時~3時
場所 市民環境研究所(京都市左京区田中里ノ前21石川ビル305)
主催 NPO法人・市民環境研究所
呼びかけ 石田紀郎(市民環境研究所代表理事)
      守田敏也(フリーライター・市民環境研究所研究員)
参加費 今回より1000円をお願いします。資料を出します。
連絡先 090‐5015‐5862(守田)

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1月28日 京都市左京区

第19回左京フォーラム:守田敏也さん講演会:「原発と原爆-なぜ日本は原発を止められないのか?-」
https://www.facebook.com/events/2037302259816101/

非核保有国であるドイツやイタリアなどの先進国は言うに及ばず東アジアでも韓国や台湾など多くの国々が脱原発へと舵を切りつつあります。にもかかわらず福島原発事故という史上最大の原発事故を引き起こした日本政府は遮二無二、原発再稼働の道を突き進もうとしています。なぜ、脱原発・再生可能エネルギーへの転換という世界的な潮流に逆行してまで日本は原発に固執し続けるのか?原発・原爆問題に詳しい守田敏也さんにお話しいただきます。

日時:2018年1月28日(日)14:00~17:00
場所:京都大学文学部 新棟2階 第7講義室
http://www.gssc.kyoto-u.ac.jp/career/events/venues/fac-liter-r7/
講師:守田敏也さん(フリーライター、左京区在住)
資料代:500円(学生無料、その他応相談)
主催:戦争をさせない左京1000人委員会

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明日に向けて(1462)旧日本軍の実際を知ろう(書評『日本軍兵士』-民衆の力を高めるために6)

2018年01月19日 20時00分00秒 | 明日に向けて(1300~1500)

守田です。(20180119 20:00)

民衆の力―平和力を高めるための考察の6回目です。
前回はアメリカ海兵隊の訓練をみながら、軍隊とは若者を殺人マシーンに変える場であることを捉え返してきました。
今回は少し違った角度から軍隊のことを問題にしたいと思います。題材とするのは旧日本軍です。

なぜいま取り上げるのかと言うと、ご存知のように韓国新政権と日本政府間で、軍隊「慰安婦」問題への日本政府の謝罪をめぐって、摩擦が起こっているからです。
日本政府の態度は、加害者としての自覚をあまりに欠いていてひどすぎますが、しかし実は日本政府は、この傲慢な態度の中で、もっとたくさんの被害者への責任を巧妙に回避し続けてきているのだと僕には思えます。

その対象の一群が旧日本軍兵士です。僕にとってはこの点は、旧日本軍性奴隷問題に男性の立場から関わる中で見えてきたことがらです。
軍隊「慰安婦」問題の背後には、旧日本軍の構造的な虐待体質や人権が皆無だった「戦場の実際」があったのです。(ここからは旧日本軍のことを「日本軍」と呼びます)

もちろんそれで兵士たちの罪が許されるわけではけしてありませんが、多くの兵士たちもまた、残酷で非人間的な扱いを受けた犠牲者でもあったのでした。
だから僕は日本軍兵士たち、とくに一方的に戦場に送り込まれた若者たちの罪を「背負ってやろう」とも思ってきました。

そんな中で、昨年末に発行された一冊の研究書と出会い、共感しながら一気に読了しました。
『日本軍兵士―アジア太平洋戦争の現実―』吉田裕著 中公新書です。2017年12月25日発行です。

帯の裏側にこう書かれています。
 「戦局悪化のなか 彼らは何を体験したのか
  310万人に及ぶ日本人犠牲者を出した先の大戦。実はその9割が1944年以降と推算される。本書は「兵士の目線・立ち位置」から、特に敗色濃厚になった時期以降のアジア・太平洋戦争の実態を追う。
  異常に高い餓死率、30万人を超えた海没死、戦場での自殺と「処置」、特攻、体力が劣悪化した補充兵、靴に鮫皮まで使用した物資欠乏・・・。勇猛と語られる日本兵たちが、特異な軍事思想の下、凄惨な体験を強いられた現実を描く」 

著者によるとこれまでの戦後歴史学は、悲惨は敗北に終わった戦争を反省することを軸としてきました。貴重な研究が重ねられてきましたが「平和意識がひときわ強い反面で、軍事史研究を忌避する傾向も根強かった」(同書pⅱ)のだそうです。
このような状況に変化が現れたのは1990年代。それこそアジアにおける歴史認識問題がたびたび大きな争点になる中でのことだそうです。これらを踏まえて帯に解説された本書が立ち上っています。

では「兵士の目線・立ち位置」から見た旧日本軍はどんな集団だったのでしょうか。端的に言えば、長期戦に構えるだけの準備がなされておらず、なにもかもが不足している軍隊でした。
例えば序章の中で、日本軍には歯科医師がほとんどいなかったことがあげられています。戦場では口腔ケアがなかなか満足にできないため、虫歯の発生率も高いのですが、それがほとんど治癒されなかった。この点にははじめて光が当てられたそうです。

これに続いて説かれているのは、戦場で死んだ日本軍兵士たちの多くが戦闘によって死ぬ=「戦死」よりも「戦病死」していたことです。戦病死には病やケガで亡くなった場合と餓死した場合が含まれています。
統計的には1941年の段階ですでに戦死と戦病死が同じぐらいになっていたのですが、当時は「戦死は名誉、戦病死は恥」とされていたため、戦病死が戦死と報告された例もかなりあったようです。

さらに統計が残りにくいのですが、かなりの数の自殺者がいたことも明らかになっています。戦場で生き続けることに耐えられなくなって小銃や手榴弾で命を絶ってしまうのです。
この場合もほとんどが「戦死」に分類されていたようです。

これまでの研究でも日本軍兵士が戦死よりも戦病死、餓死が多かったことが明らかにされてきていますが、本書ではその実態がより深く掘り下げられています。
そもそも日本軍は食料や弾薬の配給が劣悪な軍であり、兵士たちの多くが栄養失調症にかかっていました。その状態で過酷な毎日を生きなければならないので、恐怖・疲労・罪悪感から実は多くの兵士がさらに「戦争神経症」にかかってしまっていました。

このため兵士たちの中には拒食症に陥っていくものもいました。単に食べ物がなかっただけではなく、食べられない状態になっていたのです。
兵士たちはおう吐を繰り返し、下痢になり、みるみる痩せていったといいます。こういう状態だからさまざまな感染症にもかかりやすく、けがも治りにくい。歯痛にも悩まされてますます食べられなくなっていく。

この状態で兵士たちは30キロ以上の装備を担がされていました。しかも日本軍はトラックなどが少なく、あってもすぐに故障するので、大砲の弾薬なども担がなくてはならず、場合によって40キロ、50キロを担ぐ兵士たちもいたというから驚きです。
このためいったん休憩すると自ら立ち上がれずに、裏返しになった亀のように手足をバタバタし、まわりからひっぱってもらって起き上がることが日常化していたそうです。

こうした過酷な状態の中に置かれた隊内では、さらに古参兵による若年の兵士たちへの構造的虐待が行われており、それが栄養失調症を促進する構造があったことも本書は解き明かしています。
食料の配給そのものが、古参兵に手厚く、新兵に薄いものになっていた上に、新兵たちは古参兵の身の回りの世話をさせられるため、食事の時間を十分にとれず、咀嚼をせずに飲み込んでしまい、消化不良をおこしやすかったからだそうです。

上官に逆らうことのできなかった隊内で、過酷な戦闘を生き抜き、殺人を繰り返してきた古参兵たちの中には、鬱屈したストレスのはけ口として新兵を虐待するものが多くいたといいます。
このため新兵たちは、戦闘や行軍で疲れた心身を癒すこともできない状態に追い込まれていました。

当然にも行軍についていけない兵士たちが続出するわけですが、その中からしばしば自殺が発生したのだといいます。小銃の銃口を加えて引き金を引いたり、手榴弾を抱いて爆発するものが多かったそうです。
自殺と言うよりうつ病による死と言った方がより実態にあっていると思います。若者たちは、過酷な毎日に虐待が加わり「戦争神経症」となって命を落としていったのです。

先にも述べたように「慰安所」などを典型とする日本軍の性暴力の背景には、こうした虐待構造があったわけですが、実はこうした点が1938年5月に執筆された論文にすでに書かれていたことが本書で紹介されていました。
中国戦線での戦場心理の研究に関わった早尾乕雄(はやおとらお)金沢医科大学教授が執筆した「戦場心理の研究(総論)」です。

ここでは「酒癖が悪く料亭を遊び歩くような将校ほど、批判を恐れて兵士に「慰安所」に行くことを勧め、さらには強姦をけしかけるなどしている」という点が論じられていました。
ところが日本軍はこうした将校を取り締まるのではなく、あるいは「戦争神経症」対策を施すのではなく、むしろ「慰安所」を拡大することで兵士に「はけ口」を与えていったのでした。こうして日本軍による性暴力は拡大するばかりでした。

本書にはこの他、日本軍の衣服や靴がいかに粗末だったのか、このため靴がダメになって裸足になり、凍傷や死亡なども拡大させたことなど、兵士たちのおかれた日常の苛烈さがたくさん書き込まれています。
けして楽しい本ではないですが、ぜひ手にとって、当時の若者たちが辿らされた足跡に思いをはせていただきたいです。


さて本書の特徴は、このように「兵士目線」から日本軍を捉え返すだけではなく、1990年代まで欠けていた歴史の立場から戦史を主題化していることにもあります。
どういうことが捉え返されているのかと言うと、そもそも日本軍がなぜ補給がおろそかな軍だったのかということなどです。兵士の人権を無視していたことはもちろんですが、戦争遂行における合理性も欠いていたのは何故だったのか。

その点で著者が明らかにしているのは、日本軍の軍事思想が「短期決戦、作戦至上主義」に偏っていたことです。
なんと日本軍は欧米列強と長期戦を戦い抜く国力、経済力はないと強く考え、だからこそ長期戦を回避した「短期決戦」「速戦即決」を重視していたと言うのです。
だから戦闘だけを重視する作戦史上主義にも偏り、「補給、情報、防御、衛生、海上防衛」などが軽視されたのでした。

これが多くの兵士が栄養失調症や戦争神経症にかかり、無残に死んでいった構造的要因だったわけですが、だとするとそもそも15年におよんだ日中戦争から太平洋戦争にいたる長期戦など、軍事的にもやってはいけないものであったことが分かります。
もともとできないこと=やってはいけないことだったのに、無責任にも突っ込んでしまったのがあの戦争だったのです。

この苛烈な戦争への痛烈な反省が、戦後、日本中に反戦思想を根付かせ、「平和力」を生み出してきたわけですが、しかしここにはまだ大きく欠けているものがあります。
こんなひどい戦争を行ったものたちの責任追及です。本書のような研究がやっと1990年代に始まったということは、まだまだ多くの責任が追及されていないことを意味しているからです。

私たちはこの点でこそ、軍隊「慰安婦」問題被害者の訴えを聞き、おばあさんたちの思いを胸に宿す必要があります。
実はこの先に、多くの兵士たち、いや戦争に巻き込まれた日本人(朝鮮人や台湾人などを含む)のたくさんの被害もまた横たわっているからです。

この大事な点、私たちの人権の基礎となるものを掘り下げることで、「平和力」をもっと高めていくことが問われています。

続く

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明日に向けて(1461)軍隊は人殺しを作る場!平和のためのものではない!(民衆の力を高めるために―5)

2018年01月18日 10時00分00秒 | 明日に向けて(1300~1500)

守田です。(20180118 10:00)

民衆の力、とりわけ平和力を高めるための考察の5回目です。
今回は「軍隊は人殺しを作る場」であって、「必要悪」などではなく、なくしていかなければならないものであることをみなさんと確認したいと思います。
いま日本には自衛隊という明確な軍隊がありますが、しかし一度も、他国の軍隊や武装グループと交戦もしていないし、いわんや他国の民を殺害したこともありません。

その意味では自衛隊は特殊な軍隊、「軍隊になり切っていない軍隊」です。
そして私たちが人殺しの部隊を持っていないがゆえに、私たちの暮らしはまだまだ穏やかなのです。
なんといっても町の中を歩いている殺人者の数が、戦争大国アメリカと比べて圧倒的に少ないからです。

僕はこの「軍隊になり切っていない軍隊」が「本当の軍隊」=人殺し集団に変わってしまうために解体し、災害救助隊として再編すべきだと考えています。
その点で「憲法9条の下でも個別的自衛権は否定されていない」とする「自衛隊合憲論」にはまったく反対です。なぜってほとんどの戦争は「自衛」の名のもとになされているからです。

こうした考察を深めるために、前回はアメリカ社会の暴力性を問題にしました。
その根拠として、映画『ボーリング・フォー・コロンバイン』の中で、アメリカ白人がアメリカ・インディアンや黒人を長く抑圧してきたがゆえに、報復を恐れる暴力的な感情があるからと洞察されていることを紹介しました。
なるほど、深い分析だと思うのですが、僕はそれだけでは足りないと思うのです。やはりこれに加えてアメリカが戦争を続けていること、だから人殺しをさせられている人間がとても多いことに、銃犯罪多発の大きな根拠があると思うのです。

アメリカ映画の中には「軍隊が人殺しを作る場」であることを鋭く告発している映画もあります。スタンリー・キューブリック監督による『フルメタルジャケット』です。アメリカ海兵隊を描いたものです。
「フルメタルジャケット」とは「完全被甲弾」のこと。弾芯が金属(メタル)の覆い(ジャケット)で覆われている貫通性の高い弾丸で、軍のライフルで使われています。

作品は二部構成になっています。前半は海兵隊員の訓練風景、後半はベトナムでの実際の戦闘風景です。
前半で海兵隊の実際の訓練に近い映像が流されますが、この訓練はもともと「徹底して個性を否定するためのもの」。若者たちを殺人マシーンに変えるものです。

見どころとなっているのは教官の「ハートマン軍曹」による訓練風景。実際に海兵隊の教官を行ったことがある男性が演じています。
一部がネットにアップされていたのでご紹介します。

 ハートマン軍曹
 https://www.youtube.com/watch?v=dxLUtipeke4

字幕つきのものを紹介したかったのですが、かなり意訳されているものしかでてきませんでした。
ここにはいわくがあります。この演説がもの凄いのです。人種差別や性差別など犯罪的な内容が連呼されるのです。こうした言葉の暴力によるいたぶりに、訓練兵たちは「イエス・サー」と連呼させられます。
特徴的なのは、性的な差別・罵倒が、スラングもまじってふんだんに出てくること。性が人間の尊厳に深く関わっているからです。それを踏みにじることで「個性を徹底的に否定する」のです。

海兵隊の訓練の象徴としてミリタリーケイダンスというものもあります。走りながら全体で復唱する歌で、『フルメタルジャケット』にも出てきます。
これも字幕のない画像がありましたのでご覧下さい。同じくハートマン軍曹が歌い、兵たちが復唱します。

 Military Cadences USMC 1 2 3 4 I Love The Marine Corps.wmv
 https://www.youtube.com/watch?v=oRKhGRfM8R4

これは実際に海兵隊で歌われていたものだそうです。歌詞の冒頭だけ紹介します。

 Mama and Papa were laying in bed.
 ママとパパはベッドでゴロゴロ

 Mama rolled over and this is what she said;
 ママが転がり、こう言った

 oh,give me some...
 お願い、欲しいの・・・
 
 ...P.T.!
 しごいて!

P.T.とはフィジカル・トレーニングの略で、性的意味と軍隊でしごくという意味とかけあわされています。

より調べてみたらこれでもまだ穏健な方で、ベトナム戦争時にはこんな歌詞も連呼されていました。

 ナパームをガキどもに

 村を爆撃 皆殺し
 広場にナパームを落とせ
 日曜の朝、敵が祈りに出かける途中に殺せ
 学校のチャイムを鳴らせ
 ガキどもが集まるのを見ろよ
 M240機関銃は撃つ用意
 クソガキどもをなぎ払え

こんなものもありました。

 I wanna Rape Kill Pillage’n’ Burn,annnn’ Eat dead Baaa-bies
 レイプするぞ ぶっ殺すぞ ぶんどって 焼き捨てて、死んだ赤ん坊を 食ってやる

訓練兵たちは毎日、毎日、性的スラングもふんだんに盛り込まれた人格の罵倒を浴び、「イエス・サー」と叫ばされる。
あるいはこんな歌を復唱させられ、個性を、尊厳を、押しつぶされていくのです。こうしたことが性犯罪に親和的な軍という組織を生むことにもつながっています。

私たちが注目すべき点は、こうしたトレーニングに名を借りた虐待を経なければ、平均的な若者は、とても残虐な殺人者などになれないのだという点です。
大事なのは、人、とくに若者が暴力的な行為に及ぼうとしたとき、両親の存在、とくに母親が心の中の抑止力になっていると言われていることです。だから軍隊は、兵士たちの心の中の両親、とくに母を殺すのです。

僕はすべてのみなさんに問いたいです。
「若者たちを殺人マシーンに変えてまで自分を守りたいですか?」と。
僕はまっぴらごめんです。

だから僕は自衛隊が「本当の軍隊=殺人集団」に変わってしまう前に、災害救助隊=救命集団に変えたいと切に思うのです。
みなさんも一緒に声をあげてください。

続く

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明日に向けて(1460)世界に日本から情報発信しよう!そのために今夏、南フランス・ナルボンヌに代表を送りだそう!

2018年01月15日 22時00分00秒 | 明日に向けて(1300~1500)

守田です。(20180115 22:00)

1月13日に京都市のかぜのねで「市民交流ツアー報告会&反核キャンプ2018in南仏に向けた公開秘密会議!」と題した企画を行いました。
15時からの企画に20数名が参加して下さり、さらに17時からの交流会に12人が残って下さって討論を続けました。
この結果、交流会の場で国際連帯に向けたネットワークグループ「世界とつながる公開秘密会議」を結成しようということになりました。
まずは独自のメーリングリストを作ります。可能ならばホームページも作ります。そこで情報交換を進めていきます。

「自分も入りたい」と言う方は僕にご連絡をください。
参加条件は特にありません。ただしMLでの他者への誹謗中傷はご法度です。自分の情報を流すためだけのML参加もご遠慮ください。
それ以上、細かく決めていることはありませんが、ともあれ生産的な討論の場を作っていきたいと思います。

目指すのは今年の夏、南フランスのナルボンヌで8月6日から12日に行われる国際反核サマーキャンプに代表数名が参加することと、これを軸にさまざまな形で世界への情報発信を目指すことです。
英語情報での発信を軸にしますが、他の言語にもチャレンジしたい。13日の企画にはフランス語ができる方が多く集まったので、フランス語発信もすぐに可能になりそうです。
「この言語なら協力できる!」という方もぜひご連絡をください。

また世界に向けても日本に向けても必要なものとして、「金曜行動掲示板」のようなものを作りたいと思います。
毎月の各地の原発反対金曜行動を好きに投稿してもらうページです。ホームページが望ましいですが、まずはFacebookページを立ち上げようと思います。
ここで日本各地の金曜行動の様子を流しあい、世界にも発信しようと思うので、全国のみなさん、ぜひご協力ください!

当面は毎回の金曜行動の写真・動画を僕にお送りください。
こちらで紹介ページを作ってアップしていきます。
その際、英語のキャプション付きで流してくださるとベストですが、初めのうちはこちらでも翻訳しますので、簡単な日本語のキャプションをお付けください。

ほぼ1年後の計画になりますが、特別企画にもチャレンジします。「みどりプロジェクト」です。
これは京都市のキンカン行動(金曜日関西電力京都支店前抗議行動)常連の和田美登里さんが、今年12月末よりピースボートにのり、毎週キンカン行動がなされている時間に船上等々でパフォーマンスをするのでそれを流すプロジェクトです。
和田さんは京都市のキンカン仲間の間では有名人!いつもいろんなプラカードを持ってきたリ、仮装をしたり、工夫がすごいからです。すごいというより楽しい。いや楽しいだけでなくて説得力がある。なにはともあれ彼女のFacebookのページをご覧ください。

和田美登里さんタイムライン
https://www.facebook.com/midoriw3

「そういう人ならうちの金曜行動にもいる!」なんて声が聞こえてくる気がするのですがどうでしょうか。
そんな写真もぜひ紹介して下さい。
それやこれやいろいろな知恵を集め、いろいろな形で日本からの発信を強化しながら、世界との連帯を強めていきたいと思います。その一つのピークとしてナルボンヌへのチームでの参加も実現したいです。

みなさん。一緒に世界とつながりましょう。
南仏キャンプに向けた招待メールを以下に貼り付けます。
英語で出されたものを紹介し、そのあとに僕の翻訳文を載せます。主旨が伝わりやすいように多少意訳してあります。
ぜひ自由に拡散されてください。

*****

Hello to all anti-nuclear interested people and activists!

We would like to draw your attention to the date of the next
International Anti-nuclear Summer Camp 2018 from 6th - 12th of August in France.

When: 6th to 12th August 2018

What: Gathering and networking for anti-nuclear groups and interested people and activists.

Where: Near Narbonne, France

More information will follow soon in the new year.

We would like to take the opportunity of a short reference on a current topic related as regards content with our upcoming gathering:
Recently, on 16th of December, a banner demonstration was held by independent anti-nuclear activists and the group "SofA" against uranium transports at the central station in Munster, Germany.
With this action they wanted to raise awareness for the high risks of these regularly shipments through densely inhabited areas.
A speaker with SofA informed that these uranium transports are frequently brought via Hamburg, Germany, to Southern France to Areva's Malvesi facility near Narbonne - basically every month.
That's exactly the area where the next International Anti-nuclear Summer Camp will take place!
With that gathering we want to raise the awareness for uranium transports and processing.

So save the date and spread the message please!

In solidarity,
the camp preparation team

Contact: camp2018@nuclear-heritage.net


日本語訳

 

こんにちは。反核に関心のあるすべてのみなさん、アクティヴィストのみなさん。
 
この夏行われる国際反核サマーキャンプにぜひご注目いただきたいと思います。 8月6日から12日にかけてフランスで開催されます。
 
日時 2018年8月6日から12日。
内容 反核グループやこの問題に関心のある人々、アクティヴィストが集い、語り合い、ネットワーク作りを進めます。
場所 南フランス・ナルボンヌ近郊。
新年早々に新たな情報をお伝えします。
 
このキャンプに関することとして、現在起きている問題についてこの場をお借りして簡単に触れたいと思います。昨年12月16日に、ドイツのミュンスター中央駅において、ウラン輸送に反対するグループ "SofA"と独立のアクティヴィストによるデモが行われました。
集まった人々は、この行動を通じて、人口密度の高い居住地域を通過する定期的なウラン輸送の大きな危険性へと注意を喚起しようとしました。 "SofA"のメンバーは、ウランが毎月、ドイツのハンブルグを経由して南フランス・ナルボンヌ近郊のアレバ社の施設に送られていることを明らかにしました。
ナルボンヌはまさに私たちが、次回の国際反核サマーキャンプを開催しようとしているところです。私たちはこの集いをもって、ウラン輸送やその転換処理についての意識を高めていきたいと思います。
 
キャンプの日付を記憶してください。そしてこのメッセージをいろいろな人に伝えて下さい。
 
連帯を込めてキャンプ準備チーム
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明日に向けて(1459)「ヨウ素剤を配ってよ@京都」へのご参加を!

2018年01月12日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1300~1500)

守田です。(20180112 23:30)

原子力災害対策を進める一助として、京都で「ヨウ素剤を配ってよ@京都」というグループを立ち上げました。
僕が参加する市民グループ「ウチら困ってんねん@京都」を事務局としています。担当は僕、守田敏也です。
ぜひご参加の意志をお寄せ下さい。参加にあたっては、個人一口500円、団体一口1000円の納付をお願いしています。(口座を作成中です)
「@京都」とあるように京都府、および京都府下の各市等への請願署名などを始めます。

Facebookページも立ち上げました。
「ヨウ素剤を配ってよ@京都」で検索されてください。

ただこの動きを他の都道府県にも広めたいし、それぞれに行政体への働きかけを全国から行いたいと思うので、参加は京都府外の方でも大歓迎です。
また「ヨウ素剤を配ってよ@〇〇」と他の都市、地域でも広げていただけたらと思います。
それぞれで自由に立ち上げてくださってかまいませんし、立ち上げに向けて相談していただければ幾らでも応じさせていただきます。
ともあれ、どんどん下から運動を作っていきましょう。

以下、「ヨウ素剤を配ってよ@京都」へのご参加の要請を貼り付けます。
どうかよろしくお願いします!

*****

「ヨウ素剤を配ってよ@京都」にご参加下さい!

原発の再稼働に憂いているみなさま
高浜原発から京都市役所まで約60キロ。
もしも事故があったら放射能がやってきます。
琵琶湖も深刻に汚染され、京都市では水が飲めなくなってしまいます。
だから稼働を止めさせることが一番ですがなかなか止められません。
大飯原発さえ動かされてしまうかもしれません。
どうしたらいいのか。

私たちは原子力災害に備えることが大切だと思います。
この備えは決して稼働を認めることではありません。
稼働している事実に向き合うことです。
事故は明日起こっても不思議ではない。
だとしたら身を守る準備をしなくてはなりません。
万が一のときに子どもたちを守りきる備えをしなくては。

そのためには一部の人が備えているだけでは足りません。
自分のこととして事故へのリアリティを想定し、とっとと逃げる準備をしましょう。
ヨウ素剤はそのときに飲むもので、事前配布をしておくことが大切です。
ヨウ素剤は緊急時に甲状腺を守るためのものです。
また事前配布をすることで、事故発生のリアリティを考えるようになり、
原発の危険性と向かい合えるようになります。

だからこそ、私たちはヨウ素剤を配るための運動を起こしましょう。
多くの人にヨウ素剤を手にしてもらいましょう。
そもそもヨウ素剤は5キロ圏内では政府が配れといっているものです。
原発賛成の人とも原発の危険性について話ができる。
ヨウ素剤配布にはそんな効果もあります。

誰もがみんな いざというときに放射能から身を守って欲しい。
ましてや 子どもたちを守りぬきたい。
災害をリアルに想定して備える発想はあらゆる災害対策にも有効です。
だからヨウ素剤事前配布には大きな効果と可能性があります。

それで私たちは12月10日に「ヨウ素剤を配ってよ@京都」を立ち上げました。
みなさん、ぜひここに一緒に集ってくださいませんか?
個人での参加も団体での参加も大歓迎です。
なお事務局を「ウチら困ってんねん@京都」におかせていただきます。

具体的に行って欲しいことは
(1)参加表明をお願いします。個人名、団体名をお知らせください。
個人の場合は肩書等を自由にお書きください。書かなくてもけっこうです。
なお個人参加と団体参加が重なるのも歓迎です。京都府外の方も大歓迎です。

(2)参加にあたって個人一口500円、団体一口1000円をお納めください。何口でも結構です。活動の原資とします。

(3)周りの方々、団体をお誘いください。
参加の可能性のある方、団体について事務局にお知らせください。

(4)事前配布を求める署名運動にご協力ください。
京都府および京都府下の各市への署名運動を行いたいと思います。
3月末を第一次集約とし4月初めに提出します。

(5)Facebookページとメーリングリストを立ち上げますのでご参加下さい。
a、HPやブログ、SNSのページを持たれている方はリンクをお貼りください。
b、自由に投稿してください。ただし編集権限を事務局におかせていただきます。
c、このページやMLに多くの方をお誘いください。

(6)資金集めにご協力ください。
参加費の他、カンパを集めて、活動資金とします。専用口座を開設します。

(7)各種イベントにご協力ください。
当面は2月17日広瀬隆さん、守田敏也さんのジョイント講演会に会として参加したいと思っています。その他、随時、関連企画をお知らせします。
以上、よろしくお願いします。

2017年12月10日
ヨウ素剤を配ってよ@京都 
連絡先 事務局(担当守田 morita_sccrc@yahoo.co.jp)

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明日に向けて(1458)「平和力」が崩れ、戦争に踏み込むと人殺しが増える!そんな道を歩んではいけない!(民衆の力を高めるために―4)

2018年01月10日 14時00分00秒 | 明日に向けて(1300~1500)

守田です。(20180110 14:00)

年頭より、民衆の力を高めるための考察を続けています。前回はこの国の民衆の力で連綿と紡ぎだしてきた「平和力」について論じました。
これに対し、東京の星川まりさんが「憲法前文を思い出した」とコメントしてくれました。その通りです。あそこに書かれていることが日本の「平和力」の大元です。

そしてそれこそが安倍首相が壊そうとしているものです。
そんなことになったらどうなるのか。私たちがいま、失ってはいけないどんな力を持っているのかを論じたいと思います。

2015年9月14日未明のこと、千葉県松戸市で警察官3人が発砲する事件が発生しました。
撃たれたのは7歳のオスの紀州犬。前夜に飼い主のもとから逃げ出し、路上で人に噛みついたりして110番されました。

飼い主も駆けつけ、捕獲も試みましたが、噛まれるなどして失敗。警官たちも噛まれたため、やむなく飼い主の許可を得て射殺することに。
しかしなかなか弾が当たらないし当たっても致命傷にならない。結局13発目で倒れたのですが命中したのはそのうちの6発だったそうです。
産経新聞の記事をご紹介しておきます。

警察官が人襲った体長120センチ「紀州犬」に13発発砲し射殺 千葉県警「拳銃使用は適正」…住民「バンバンバンの銃声、テレビ番組かと…」 千葉・松戸
産経新聞2015.9.14 18:21更新
http://www.sankei.com/affairs/news/150914/afr1509140024-n1.html
 
このときたまたまニューヨークから友人が来ていてこの話をすると笑ってこう言いました。以下、彼と僕の会話です。
「ニューヨークの警官なら1発で仕留めただろうな」
「なぜ?」
「だって人を撃ってるもん」

彼はさらに最近ある警官が「趣味」で犬の射殺を繰り返し、年間200匹を殺していたことが発覚したことなども教えてくれました。
ちなみにアメリカの警官と日本の警官とでは持っている銃の殺傷力そのものも違います。

それでさらに好奇心が沸いて日本の警官たちが年間どれぐらいの発砲をしているのか調べてみました。
発射された玉の数までは分かりませんでしたが、産経新聞にこんな記事が載っていました。

「相手に向けて拳銃を撃つ件数は10件に満たない。警察庁によると、平成21年4件、22年1件、23年1件、24年5件、25年4件-といった具合だ。死者はこの5年間で1人だった。」

「スズメ撃つのに大砲使うな」苦悩する日本警察 発砲、制圧…どこまで「実力行使」許される  
産経新聞2015.2.19 11:00更新
http://www.sankei.com/west/news/150219/wst1502190006-n2.html

「発砲数までわからないけれどこれなら多くたって年間100発にもいかないんじゃないかな」と僕が言うと、彼は大笑いして一言。
「それじゃあニューヨークでは一晩でも足りないよ!」

さらに彼はこんな話をしてくれました。彼には老齢のお母さんがいてケアしています。仕事を終えると職場からお母さんの家に向かい、一緒に食事をしてから自宅に帰っているのだとか。
ところがある晩、たまたま残業が多くてお母さんの家に寄ることができなかった。そのときギャングと警官隊がお母さんの家のそばで銃撃戦をしたのでした。

その弾丸がお母さんの家にも飛び込んできた。そしていつも彼が座っている椅子の背もたれに穴が空いていたのだそうです。
「あのときお母さんのところに行ってたら僕は死んでたよ」と彼。同時にこうも言いました。「守田さん。日本は本当に平和で良い国だよ。羨ましいよ」と。
彼の言葉が今もジーンと胸に響いています。

それでは実際にアメリカでは警官たちはどれぐらい発砲したり、「犯人」を射殺したりしているのでしょうか。
その後に調べてみると、なんと毎年1000人を前後する人が射殺されている。殺害にいたらなかったケースはもっとたくさんあるのでしょうから、発砲数に雲泥の差があります。記事をご紹介しておきます。

年間1000人が警官に殺される米国 「銃を持つ権利」と市民と警察の間の溝
THE PAGE 2016年07月18日 11:21
http://blogos.com/article/183840/

もちろん銃で死亡した総数はもっと多い。2013年の統計で自殺が21,175件。殺害は11,208件、暴発が505件だそうです。
人口規模が3分の1の日本では、同年の銃による死者は13件でした。

なぜアメリカではこれほどに銃犯罪が多いのか。よく語られる見解が、アメリカ社会が銃に対する規制があまりに弱く、大量の銃器が出回っているからというものです。
世界人口に占めるアメリカ人の比率は4.4%。しかし世界の銃の総数の42%をアメリカ人が所有しているといいます。これらが銃による殺人が世界の中でもダントツに多い根拠だと言うのです。
(なお銃で死亡した総数の数字もこの記事からとっています。)

アメリカで銃乱射事件が多いのはなぜ?
The New York Times 2017.11.24
https://www.cafeglobe.com/2017/11/065745nyt_mass_shootings.html

実際、銃の数を減らせば、銃による殺人は間違いなく減るでしょうから、これを根拠の一つに挙げるのは間違いではないでしょう。
しかし本当にそれが主因なのだろうか。何かもっと違う大きな理由があるのではないか。そう考えて映画『ボーリング・フォー・コロンバイン』を作り上げたのが映画監督のマイケル・ムーアでした。
1999年に起こったコロンバイン高校での銃乱射事件に取材し、銃犯罪の根源に迫ろうとした作品で2002年にリリースされています。

マイケル・ムーアが着目したのは銃の所有率ではアメリカを上回るカナダでの銃による殺人がアメリカよりも100分の1も少ないことでした。
銃がたくさんあるから銃による殺人が多いという図式はこの事実だけで覆されてしまいました。

これにかえて、マイケル・ムーアが導き出したのは、アメリカ白人が建国以来持っている強烈な被害者意識でした。
アメリカ白人は先住民族インディアンを迫害し、土地を奪い、さらに黒人を奴隷として働かせてきました。
このためアメリカの白人たちに、被害者たちからの復讐を強烈に恐れるメンタリティーが受け継がれており、それが銃社会容認と銃殺人の多発の根源を形作っているというのです。

非常に鋭い指摘だと思います。僕はおそらくこれに、もともとアメリカ白人がヨーロッパで迫害されて、海を渡り、アメリカ大陸を訪れた人々であること。
集団的無意識の中に常に自分たちは理不尽に迫害される。だから武装し身構えていなければならないという意識が強くあるのではないかと思えます。そしてその上に自らが繰り返してきた迫害に対する報復への恐怖が重なっているのではないか。

ただ、僕はそれだけでもこれだけの銃殺人の激発の根拠としては足りないと思えました。
やはりこれに加えて、第二次世界大戦以降、もっとも多くの戦争を行い、もっとも世界各地で殺人を犯し、もっとも多くの国民を戦場に送り出し続けてきたこと、このことに最大の根拠があるのではないでしょうか。
あるいはマイケル・ムーアが指摘したような被害者意識的な暴力性の発動も、戦争参加の中で肥大化されてきたのではないでしょうか。

そもそも戦争を繰り返せば、町の中に歩いている人殺し経験者の数がどんどん多くなります。当然、武器使用に長けたもの、しかも単なるテクニックだけでなく、人を撃ち殺せるメンタリティーを持ってしまったものの数も増えていきます。
幸いにも日本にはそういう経験者やメンタリティーの保持者が今は少ない。戦後72年間、戦争を経験してないからです。だから警官たちも犬もなかなか殺せない。これもまた「平和力」の実像だと思います。

これは宝です。この宝を守り抜きたいと思いますが、しかしそれでこの国だけが平和でいればいいわけではない。
この「平和力」を世界に広げることで、アメリカの人々をも殺人の連鎖から解放していきたいです。
だから「平和力」を守り、深化し、世界に輸出しましょう。世界を暴力の連鎖から救い出しましょう!

続く

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明日に向けて(1457)私たちには特有の「平和力」がある。このことにも目覚め、さらなる深化を実現しよう!(民衆の力を高めるために―3)

2018年01月08日 16時00分00秒 | 明日に向けて(1300~1500)

守田です。(20180108 16:00)

この間から、私たち民衆の力を高めるために必要なことについて論じています。
今回は私たちの社会が持つ「平和力」について論じたいと思います。

世界を旅して思うこと、みなさんに伝えたいことの中でも特筆したいのは、世界の多くの国の人々は一概に「戦争を悪いもの」とは思っていないことです。
正確には戦争には「良い戦争」と「悪い戦争」があると捉えている。侵略などの悪い戦争はしてはいけないけれども、侵略を防ぐような「良い戦争」は決然と行うべきだというのがまだまだ現代世界に主流的な考え方なのです。
だからこそ実際に世界中で戦争が繰り返されてもいるのです。世界の多くの人々はまだまだ「正義の暴力」を肯定しています。この点はとても大事です。

いま安倍政権が行おうとしている「憲法改悪」の軸は、この「日本的な常識」を覆すことに一番の主眼があります。もっともひっくり返したいのは「戦争はよくないものだ」という日本の中にかなり広く定着している考え方です。
事実、アメリカはまったく違います。だからこそ毎年、毎年、どこかで戦争を行うことができるのでもあります。
この点で戦争を「悪いもの」と捉えている日本の多数の人々の思いは、それ自身が「平和力」と呼びうるものだと僕は思います。戦後70年、民衆がこの国に戦争をさせなかったことにより強められてきたものです。

ここで僕が「日本の中の多数の人々の思い」と書いていること、あえて「日本人の中の」とは書かなかったことにご留意いただきたいと思います。
戦後社会を考えたときに、敗戦当時は大日本帝国憲法下では日本人とされ、サンフランシスコ条約における単独講和以降に「在日朝鮮人」と呼ばれるようになった人々など、日本国籍を持たないたくさんの人々も平和に貢献してきているからです。

そんな日本の「平和力」を象徴していると思われた記事を一つ紹介します。
2015年8月9日の読売新聞に載ったものです。実はこの日、僕は長野県伊那谷の大鹿村に向かっていました。祭りに参加して発言するためでした。
僕はこのときも原発だけでなく、戦争と平和のことについても発話したいと思っていて、話の入り口のつかみになるちょっとしたネタを探してふと駅の売店で読売新聞を買ったのでした。

なぜ読売新聞だったのか。この新聞社は安倍政権を強く支持、その戦争政策も強烈に後押ししているからでした。
そんな読売新聞が8月9日にどんな記事を書いているのか。「きっとけしからん記事を書いているに違いない。それをとりあげて話の入り口にしよう」と考えたのでした。

ところが一面に載り、中面にも続いていたのは、僕にとっては意外にも張本勲さんの読み応えのあるインタビュー記事でした。
張本さんはご存知のように東映フライヤーズで大活躍し、後に巨人軍にも移り、3000本を超える安打を記録した日本野球界きってのスーパースターです。
その張本さんが朝鮮人であることを知る方は多いと思いますが、同時に彼は広島で被爆した方でもありました。美しく、慕っていたお姉さんは、むごたらしい火ぶくれのような姿になって家に担ぎ込まれ、1日半ぐらいで亡くなったそうです。

その張本さんは記事の中でこう述べています。
「私はプロ野球を引退後、広島原爆の平和記念資料館に2度行こうとしたのですが、手に汗がにじんで震えて、入ることができなかった。
苦しみだけでなく、怒りと恨みがこみ上げてくるのです。よくもこんな姿に、こんな形で。身代わりで、あれだけの人をね。」

そんな張本さんの「8月6日は思い出したくない」というインタビュー記事が2006年に新聞に載ったのだそうですが、それを読んだ小学生の女の子から「自分は怖かったけれどいった」という手紙がきて、張本さんは初めて資料館を訪れたのだそうです。
さらにこの記事の中では、張本さんが朝鮮人としてさまざまな差別を受けたこと、とくに甲子園を前に野球部内でおきた暴力行為の責任を一人背負わされ、出場停止処分になってしまったことも語られています。
張本さんは「電車に飛び込もうかとも思い詰めた」そうですがお母さんの声がどこからか聞こえてきて思いとどまり、やがて在日の高校選抜チームによる韓国遠征に参加する中で救われ、帰国してみたらプロ球団のスカウトが待っていたといいます。

インタビュー記事は最後に張本さんのこんな言葉で締めくくられています。
「私たちには、それぞれが受け継いだ国をより良くして、後世に引き継ぐ責任がある。戦後70年、我々が抱き続ける戦争への怒りを、継いでいくこともその一つです。
日本と韓国の関係も含め、だからこそ仲良くしなきゃ。それが私の念願です。野球の世界では、ずっと交流が続いている。」

記事のアドレスをご紹介しておきます。ぜひ全文をお読み下さい。

熱風私をかばった母…元プロ野球選手 張本勲さん 75
読売新聞 2015年08月09日 05時20分
http://www.yomiuri.co.jp/matome/sengo70/20150808-OYT8T50000.html

・・・長崎原爆の日に、読売新聞を批判的に読み込もうと思って購読した僕は、同新聞社が載せたインタビュー記事に、大変、感動させられてしまいました。
それでこう思いました。「これがこの国に住まう民衆の中に根付いている平和力なのだ」と。
右傾化の道をひた走る現政権を支える新聞社=読売新聞とて、この日にはこういう特集を載せないと成り立たないのです。同時に右傾化を強める読売新聞の中にもまだまだこうした企画を組み、記事にできる記者がいるのです。

張本さんがここで語られていることは、私たちの社会に大きく浸透し、受け止められています。「我々が抱き続けている戦争への怒り」・・・その言葉に多数の人が共感できるだけの積み上げをこの社会は実現してきているのです。
だからこの国では誰もが戦争を良いものとは語りません。安倍首相だって「戦争法案という言い方は誤解だ。これは戦争を遠ざけるためものだ」としか言えない。もちろん大嘘です。でも「若人よ。御国を守るために今ぞたて」という本音は言えないのです。

これらは戦後70年間、連綿として繰り広げられてきた平和を守る運動があって、語り継がれてきたことがらです。
とくに戦争体験世代が、「戦火を繰り返してはならない。若い人に二度とあんな思いをさせてはいけない」と、絞り出すように辛い過去を語り続けてきてくれる中で、人々によって守り続けられたことなのです。
この70年に渡って培われてきた「平和力」を、私たちは感謝の念と自信と誇りを持って、受け継いでいくことが必要です。憲法9条はその思いの結晶です。


もちろんただ受け継いでいくだけでは足りません。私たちは私たちの手にしている「平和力」にまだまだ欠けているものがあることも自覚しなくてはいけない。
張本さんのインタビュー記事の中にある朝鮮人として背負ってきた苦しみに対する責任がとられていないこともその一つです。

そもそも戦後の日本の経済復興は、朝鮮半島で南北が分かれて激しく戦ったあの戦争での特需景気によってもたらされたのでした。
アメリカ軍はこのとき、日本空襲に使った弾薬を上回る規模の空襲を敢行しました。朝鮮半島は全土が戦場になり、多くの地域が丸焼けにされてしまいました。
この時、日本が大儲けをしたことを私たちは恥じる必要があるし、何かを朝鮮半島にお返ししなくてはいけないと思います。
いやそもそも長きにわたる植民地支配に対する謝罪とて、朝鮮半島の南半分にはある程度しただけで、北半分にはまだ一切していないのです。

さらに日本はベトナム戦争を行うアメリカをも全面的に支持しここでも大儲けをしました。
その後のアフガン戦争だって、イラク戦争だって日本はいの一番に支持しました。イラク戦争など「大量破壊兵器」などどこにもない、大義のひとかけらもない侵略戦争だったのに。
もうこんなことに手を貸し続けるのはごめんです。戦争が悪いものであるのなら、私たちはどんな国の戦争も支持すべきではないし、手を貸すべきではないのです。

だからもうこれ以上、この国の政権にアメリカの戦争を支えることをやめさせなければなりません。
そのことでアメリカ軍に殺される人々をなくすとともに、アメリカの人々、とくに若者たちを戦争から解放しなくてはならない。いや解放したいと切に思います。

この点で「右翼」を自称する人々にも僕は切に問いたいです。
あなたたちは日本人を、アジア人を、さらには世界中の人々を、世界で最も殺し続けてきたアメリカ政府になぜそれほどまでに媚びへつらい続けるのかと。あなたたちの言う「愛国」とは一体何なのかと。
アメリカはどうみても戦争犯罪である原爆投下も、都市空襲も、沖縄地上戦も何一つ謝罪もしてないし反省もしていません。

だからいままた世界で同じことを繰り返し続けており、かつアメリカの若者たちが虐殺行為に駆り立てられてもいるのです。アメリカは戦争で自国民をもたくさん殺しています。
その殺戮行為への批判の一つもできないのは、実はあなたたちには人間に対する「愛」がなさすぎるからだと僕はいいたい。そして「そうではない。愛があるのだ」と言うのなら、ぜひ、ともにアメリカの戦争に反対して欲しいです。

この点も含めて、つまり過去のアメリカによる日本や各国への戦争行為への真っ当な批判を貫くことも含めて、私たちは私たちの平和力をもっと大きく発展させましょう。
世界から戦争と暴力を一掃するため。戦乱に明け暮れた野蛮な人類前史の扉を閉じ、友愛に基づく豊かな人類後史の門を開けるために。

続く

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