明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(301)福島の現状は厳しい・・・放射能除染・回復プロジェクトに参加して(1)

2011年10月23日 23時00分00秒 | 明日に向けて(251)~(300)
守田です。(20111023 23:00)

放射能除染・回復プロジェクトに参加して、20日早朝より福島入りし、
22日まで3日間の除染活動を担って、今朝、京都に戻ってきました。
往復ともに夜行バスを使った強行軍でしたが、ホテルの部屋にパソコン
を借りて持ち込み、発信態勢を整えたものの、キーボードの前で考えあ
ぐねてしまい、発信できませんでした。もちろん連日の展開がかなり
ハードだったためもあります。

京都に戻り、この3日間を振り返って。何回かにわけて報告を書きたい
と思いますが、全体としての率直な感想は、「放射能はあまりに手ごわ
い」「除染はかなり厳しい」というものでした。また参加した目的の
一つに、行政主導の高圧洗浄方式の誤りを正したい思いがあり、それ
をリアルにつかむことができましたが、同時に、公的に除染すべきと
ころはあまりに膨大で、ほとんどぜんぜん進んでいないといわざるを
えないことも分かりました。


まず僕が驚いたのは、市内のある小学校の現状です。20日早朝に除染
プロジェクトを精力的に担っている市内のFさんが福島駅についた僕
を車で迎えに来て下さり、市内の御山地区に向かい、いくつか汚染の
激しいところに案内してくださりました。御山地区は、福島駅のすぐ
北側にある信夫山をトンネルで抜けたところにあります。ここは全体
として汚染レベルが高い。

ちょうど近くにある御山小学校が登校時間にあたっていたので、その
様子をみることができました。車から見ていると学校に向かう子ども
たちのうち、マスクをしている子どもはざっと2割から3割ぐらい。し
かし一方で、多くの親御さんたちが、子どもを車で学校まで連れてき
ています。夕方には正門前に、迎えの車で列ができるそうです。放射
能への対応が、マスクもつけさせない、マスクをつけて登校させる、
車で送り迎えすると大きく3つに分かれている。

この小学校の敷地に隣接してJR東北本線が走っており、通学路の一
部が線路がある土手の脇道に当たるのですが、その斜面にたくさんの
雑草が多い茂っています。「ここは線量が高いですよ」というFさんの
言葉に基づいて、車を降りて、僕が持参したガイガーカウンターRADEX
RD1503と他の方のTERRAで計測してみましたが、すぐに5μS/h(毎時5
マイクロシーベルト)を越えてしまう。0.5ではなく5です。

このとき使ったTERRAは、RADEXより常に少し高めに計測値が出る傾向が
あったのですが、こちらではより高いところでは8μS/hを越える値が
出ました。両方とも、アラーム音がなりっぱなしになり、すぐにアラー
ムの設定値を高く修正せざるをえなくなりました。ちなみにそれぞれ
茂っている草の上で観測したので、地上から10㎝ぐらいだったり、
もっと高い地点で測りました。

僕がすぐに思いだしたのは、世田谷の「ラジウム騒動」です。このとき
最初に報告された値は2.8μS/hでした。それで周囲は立ち入り禁止措置が
取られ、新聞沙汰にもなった。僕も「明日に向けて」で取り上げました
が、ここではそれを倍する以上の値が計測されるのに、話題にもならな
い。ショッキングなことにその横をマスクもしないで多くの子どもたち
が通学しているのです。頭がクラクラする気がしました。

「これはJRの土地なんです。ここの除染は第一にJRに責任がありま
す。もちろんここの値が高いことは連絡済みです。でもこんな状態で、
手がつけられてないのです。福島市にはこんなところがたくさんありま
す。除染なんかぜんぜん進んでないのです」とFさんが説明してくれま
した。


続いて、やはり学校から数百メートルの距離にある山田電機テックラ
ンド福島店の駐車場に行きました。ここは6月に側溝から150μS/hとい
う信じがたい値が計測された場所です。このときは放射能除染・回復
プロジェクトの面々が、すぐに周囲の雑草を刈り取って対応し、劇的
に線量が下がったのですが、そこに再び雑草が生えだしていました。

その中で水の流れが集まりそうなところを計測してみると、どんどん
数値が上がり、RADEXは検出限界の9.99μS/hに達してしまいました。
TERRAはさらに数値があがっていき、12.06μS/hという数値を計測し
ました。それも一か所だけではない。例えば駐車場から周りの草地な
どにわずかな傾斜で水が流れるようなところで測ると、すぐに10μS/h
に近い値が計測させる。Fさんは経験から、あそことあそこと・・・と
指さすのですが、それらはいずれも値が高い。

そんな私たちの横を、高校生の女の子が、やはりマスクもせずに自転車
で走り抜けていきます。小学生の子どもたちの通る時間は過ぎていまし
たが、ここもまた多くの子ども・中学、高校生が通る場所です。もちろ
んこれらのことも山田電機に伝えてあるし、一度は、プロジェクトが
除染も行っている。しかしそれでも再びこのような高い値の出る状態が
生み出されてしまっているのです。

これは厳しい、相当に厳しいという思いを感じつつ、今回の除染活動に
入っていきました。


続く・・・次回は、今回のメインの一つだった屋根にあがっての瓦の
除染について報告します。





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明日に向けて(300)放射能除染・回復プロジェクトに参加します!(10月20~22日)

2011年10月19日 14時00分00秒 | 明日に向けて(251)~(300)
守田です。(20111019 14:00)

明日、10月20日より22日まで、福島で「放射能除染・回復プロジェクト」に参加
してくることになりました。このプロジェクトは「福島の住民の呼び掛けに応じて
エントロピー学会有志と複数の大学教員らにより始められ、住民と一体となって
進めているプロジェクト」です。詳しい内容が「放射能除染マニュアル」(文責
京都精華大学山田國廣教授)がネットにアップされているので、ご参照ください。
http://entropy.ac/download/yamada.pdf

僕もすでに6月16日に「明日に向けて」でこのプロジェクトについて報じています。
「明日に向けて(154)福島で「放射能除染・回復プロジェクト」が始動中!」
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/c/cf8c2e5a75f2c8d16ffc43de25a5fa0a/1

もともと共感を持って見ていたこのプロジェクトに参加しようと思ったのは、少し
でもお手伝いしたいという気持ちはもちろんですが、プロジェクトが実践的に積み
つつある除染のノウハウを自分もまた身につけ、各地に拡大していきたいと思って
いるからです。

その場合、あらかじめ除染と避難の関係、また除染は可能か否かという点について
論点をまとめておこうと思います。さまざまに論じられている点だからです。
またこのプロジェクトと、行政が主導で行っている除染との違いを明確にしておく
ためでもあります。まず「放射能除染マニュアル」での記述に触れます。



「福島の子供たちは、一刻も早く避難すべき状況にある。一部の子供たちは家族と
ともに自主的に避難している。しかし、まだ多くの子供たちが福島で不安を感じな
がら暮らしており、一刻も早く放射能除染を行なうべきである。「避難」と「除染」
という2つの方法は、互いに矛盾するものではない。子供たちの健康と生命を放射能
の脅威から守るという最も重要で基本的な立場に立つならば、「避難」と「除染」
は相互補完的なものである。ところが、国や福島県は、避難させないことを目的に
“除染”を呼びかけているかのようにみえる。もしそうだとしたら、国や県の姿勢は、
守るべき根本価値を見誤った本末転倒な態度である。
 
福島における子供たちのこのような現状を憂慮した私たちは、「子供たちの放射線
被曝量を可能な限り減らす」ことを目的として「放射能除染・回復プロジェクト」
を立ち上げ、活動を開始した。」


つまり同プロジェクトは、汚染の激しいところからは避難をすべきことを主張し
つつそれでも避難できない人々とその子どもたちがいることにかんがみて、除染
活動に踏み切ったということです。この除染活動は、行政などの取り組みにはるか
に先んじたものであったことも知っていただきたい点です。

国と行政は夏ぐらいになって、避難をおしとどめる観点からも「除染」に取り組み
始めていますが、その際の主力は「高圧洗浄」です。これに対して同プロジェクト
はこの方式は、放射能を移動させ、拡散させているだけであり、除染にならないば
かりか、むしろ被曝を促進すると、批判を行っています。以下、マニュアルよりこ
の点を抜粋します。


「放射能除染において圧力洗浄機を使用することの問題点
1. 圧力洗浄機放水によって除去された放射能は、水の中に溶け込み混合して移動
して場所を変えて新たな汚染場所を生み出すだけであり、除染したことにはならない。
2.圧力洗浄は放射能除染のチャンス(情報)を失くしてしまう。
3.屋根やコンクリートにへばり付いているセシウムは、圧力洗浄では一部しか除去
できない。
4.砂、土壌にへばり付いた放射能を圧力洗浄する場合の問題点。
⇒新たな汚染場所を生み出すだけである。
5.「汚染者負担原則」により、除染された放射性物質は東京電力が引き取る責任が
ある。圧力洗浄は、東京電力の責任をわからなくしてしまうことになる。
6.集団被曝線量の考え方では、集団被曝線量=一人の被曝線量×被曝人口という式
で与えられる。この式では、圧力洗浄によって、一人当たりの被曝量を少なくするこ
とになるが、放射能を薄めて拡散するため被曝人口が増え、集団被曝線量は変わらない
ことになる。よって除染においては「放射能は薄めてはいけない」ということになる。」

・・・詳しくはぜひマニュアルの当該個所(27,28ページ)を読んでいただきたいと
思いますが、同プロジェクトが、「避難」と「除染」を有効にリンクすることを目指
していること、また行政による「高圧洗浄方式」を、除染ではなく拡散だとして批判
していることがつかみとれると思います。


実はこうした高圧浄水器を使った、「福島市による大規模除染」も昨日より開始され、
汚染が高い福島市大波地区の民家から「除染」が開始されました。この日は野田首相
も現場に訪れましたが、住民を含め、多くの人々が集まっている場の建物の屋根で、
高圧洗浄が行われ、放射能を含む水しぶきが舞っているのが、NHKニュースの映像
で流れていました。

僕は野田首相や、政府の要人がマスクをしてないことに、「本当に内部被曝の恐ろし
さを知らないのだ」と思いましたが、ある知人より「パフォーマンスだったのでは?」
と言われて、なるほど、そうかもしれないと思いました。なぜなら作業者は、かなり
厳重な防護を行っていたからです。この場面を捉えたものとは違いますが、民放の
ニュースがネットで見れるので、アドレスを記しておきます。
http://www.youtube.com/watch?v=6P1P5Gm4HdU

高圧洗浄方式による除染は必ず失敗します。放射能を移動させているにすぎないばか
りでなく、拡散させてしまい、除去=つかまえるチャンスを逃してしまうからです。
さらに霧状に舞い散らせることや、下流に流してしまうことで、周りの家、農地など
に放射能を入れてしまうことでも内部被曝を含んだ被曝を拡大してしまいます。膨大
な予算を使って、効果もなく、健康被害の促進ばかりを生む行為が行われつつあり、
ストップをかけていかなければならないと思います。


さてこうした点に踏まえ、ここからは僕の考えをまとめておきます。以降は同プロジェ
クトの見解ではないこと、守田の個人的意見であることに留意してお読みください。

まず除染は可能かどうかという点についてですが、それはどういうところで、どこま
での除染を行うかに依存する問題であるということです。
汚染の激しいところでは、恒久的に住むための除染は無理だと思います。例え個別の
家の放射線量を低減することは可能であったとしても、かなり膨大な労力もかかるし、
膨大な放射能のゴミがでてくるのでその処理も大変です。

しかし可能な地域もたくさんあります。福島だけでなくより広域に見ていくならば、
東京や横浜でも多数のホットスポットが続々と見つかっています。そうしたところでは、
その汚染物質をとりのぞいて、空間線量が平常値に落ち着くのであれば、除染は極めて
有効な手段になります。それが行われない現状では、どのような危険があるのか分から
ないので、子どもたちを避難させることが必要だと思います。ホットスポットにたまった
放射性物質が乾燥して舞い散り、吸い込む危険性が高いからです。もちろん大人にとっ
ても危険です。

横浜でストロンチウムが観測されたのですから、東京の多くの地域でも今後、発見さ
れると思います。その場合、その地点は必ずセシウムの汚染も高いところです。しかし
東京や横浜から大多数の人が避難することは、この先、ほとんど望みえないことだと
思います。なので各地でどんどん市民による計測を進め、ホットスポットを見つけては
対処していき、被曝を減らしていてくことが大事だと思います。

実際には、地域の全体的な線量は高くないけれども、部分的にホットスポットがあると
いう地域から、地域全体の汚染が非常に強い地域までが、グラデュエーションのように
存在しているはずです。まだら模様にといった方が正確かもしれません。なので多くの
地域で除染が有効な手段になると思いますが、除染しても住み続けて良いのかどうかと
いう判断もその都度、問われると思います。

ただしその場合、どこからが避難地域で、どこからがそうではないかという線引も大変
難しいことを踏まえる必要があります。ここには内部被曝の危険性をどのように見積も
るのかという問題も横たわります。僕自身は内部被曝の危険性を、外部被曝と比較する
ならば、同じ線量でも平均で600倍の身体への打撃があると考えるべきだいうヨーロッパ
放射線リスク委員会(ECRR)の考え方が正しいと思っています。しかし現状では
多くの方が、ある線量における内部被曝と外部被曝の身体への影響を同等とみなす国際
放射線防護委員会(ICRP)の考え方に従っています。

そのため僕自身は、内部被曝の危険性をより強く訴え、できるだけ避難を拡大させるこ
とを訴えていますが、そうした認識が一般的ではなく、社会的合意になっていないこと
に留意しながら、話を進めなければならないとも思っています。つまりどこからが避難
すべきところなのかという判断基準そのものが、社会的に定まっていない。現状では
政府による「放射能は怖くないキャンペーン」や、そのバックボーンにあるICRPの
考え方が社会に強い影響を与えています。だから避難しないで良いと考えている人も
多いわけです。

また政府が放射線の危険性を非常に過小に評価している現状では、人々は避難にあたっ
ての資金や、その後の生活保障が受けられません。そのことも大きなネックになってい
ます。さらにそもそも故郷を捨てるのは誰にとっても耐えがたいことであり、そこで失
うものの大きさを考えると、健康被害を差し引いても、移動するよりその場で暮らした
いという判断もまたありうると思います。

その点で避難は義務ではなく権利であることを私たちは忘れてはいけないと思います。
もちろんある地点からは「強制」になります。その場合、居住の権利は奪われる。現状
でも原発近隣の地域はそうなっています。しかしその周りに広がるのは避難の権利のあ
る人々の住まう地域で、その権利が認められていないのが私たちの国の現状です。

それらを考えれば、ある判断基準からは、もはやそこに住むべきではなく、避難すべき
だと考えられたとしても(それが妥当であっても)、なおそこに住むべき人々がいる限
り、その地域での除染(可能な限りの放射線の低減)はなされねばならないと僕は思い
ます。もちろんそれもまた公的補償のもとに行うべきことがらです。避難しない人が
被曝するのもその人たちの責任なのでは断じてない。すべて責任は毒を撒いた東電と
政府にあります。だからそこに残る人がいる限り、除染の努力はされてしかるべきです。


しかしここでもう一つの問題が浮上します。そもそもそんなに広域の除染の経験を、
人類はまだもっていないということです。いや正確にはチェルノブイリでいろいろな知
恵が重ねられてきているはずですが、政府や原子力推進派が、それを受け取り、温め、
発展させることを拒否してきました。それもあって、私たちはあまりに未経験なところ
から出発せざるをえません。

こうした状況を政府や行政にまかせていたら、高圧洗浄方式に明らかなように、またし
ても形だけの除染、形だけの安全宣言、実態としての汚染と健康被害の拡大を招くだけ
です。今後、医療予算に手厚く振り向けざるを得ない貴重な国家予算が、最悪の形で
浪費されてしまう。だから放射線計測を、積極的に市民の側で進める必要があるのと
同じように、除染においても積極的に市民の側で経験を積み、知識を蓄えていく必要が
あります。

これは矢ヶ崎さんに指摘していただいたことなのですが、例えば、東北の農地は、春の
段階で、つまり春以降の作付のために耕す以前の段階で、農地の上の数センチの表土を
剥げば、かなり汚染を低減できた可能性がありました。少なくとも、そうした措置を
なすまで、田畑を耕してはいけないという通告を政府がだすべきでした。しかし安全
宣言ばかりが繰り返される中で、多くの農家の方が、田畑を耕し、農地の深くまで、
放射性物質を梳き込んでしまった。

こうした経験はスリーマイルでもチェルノブイリでも積まれていたはずだ。その蓄積を
日本は怠った。そのため守るべき農地が守れなかったと矢ヶ崎さんは悔しそうに話され
ていました。もちろん当時から矢ヶ崎さんはそのことを主張してまわられたそうですが、
そもそも放射能に対する何の構えもなかった行政に理解できることではなかったの
でした・・・。

これに対して、今回僕が参加する「放射能除染・回復プロジェクト」では、田畑の汚染
の除去、すでに撹拌されてしまった農地でも可能な方法を考案し、実験に踏み切ろうと
しています。アイデアマンである京都精華大学の山田先生の発案です。僕自身がまだ
十分にその方法を飲みこめていないので、説明は割愛しますが、可能なら画期的なこと。
いやそうやって、色々なことにチャレンジしていくのも放射能との大きな闘いだと思い
ます。


なお作業にあたっては、被曝を伴います。内部被曝は厳重に避けるための努力をします
が、γ線による外部被曝は、減らす努力はしても、完全には避けようがないからです。
このため同プロジェクトのマニュアルには、若い方は参加すべきではないと明記されて
います。僕自身は若くないので参加しますが、しかし被曝するのはとても嫌です。怖い
というより東電によって被曝させられるのが悔しくてならない。

それでも僕が赴くのは、私たちの総体としての被曝を低減するためです。何よりも放射
能汚染と闘うための知恵を身につけたい。その点で、同プロジェクトの方々のこれまで
の実践は大きな魅力です。実践知の宝庫です。それに学ぶことで、市民の手に科学を
取り戻していくこと、あるいは実践的な、放射線科学とよぶべきものの確立に貢献して
いきたいと思うのです。

・・・福島からの報告にご期待ください。
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明日に向けて(299)あいた口がふさがらない・・・東電の「試算」に接して

2011年10月18日 11時00分00秒 | 明日に向けて(251)~(300)
守田です。(20111018 11:00)

昨夜、政府と東電による「改訂工程表」で、「冷温停止」の前倒しの
実現が発表されたことに対し、原子力資料情報室で行われた後藤政志
さんの講演を紹介し、水素爆発の可能性ひとつとってもみても、事故
は収束への階梯とはほど遠い段階にあることことをご紹介しました。

ちなみに一部の方へのメールで情報が抜けてしまいましたが、後藤
さんの会見が行われたのは10月13日。「改訂工程表」が出される数日
前のことです。しかし非常にタイムリーな指摘であったと思います。

ところがさらに東電が、「再び福島第一原発発電所の1号機から3号機
で炉心損傷が起こる確率」なるものを試算し、5000年に1回という数値
を発表したことを知り、あいた口がふさがらないというか、唖然とする
というか、本当にあきれ返ると同時に、強い怒りを感じました。

問題の発表では、今後起こる可能性として、注水停止が20時間起こり、
それで炉心損傷が起こりうるが、5千年に1回の確率だとされています。
これに対して記事を掲載した読売新聞は、事故前には炉心損傷の確率
が1000万年に1回とされていたので、2000倍になったと指摘しています
が、これもかなりトンチンカンな指摘です。

そもそも現在、炉心は激しく損傷していて、しかも誰も近づけず、
その実態すら完全につかめてはいません。また後藤さんが指摘して
いるように、水素が溜まって大変危険な状態が続いています。さらに
大規模余震も懸念され続けており、福島原発はまだまだ安心・安全と
は程遠い段階にあります。

そんなときに、今後の可能性は5000年に1回などと、どうしてそんな
ことを言い出すことができるのでしょうか。現実のあらゆる危険因子を
排除したシミュレーションを行ってこうした数値を出したのでしょうが、
僕は今の時期にこうしたことを言い出すこと自身が、もはや犯罪的で
すらあると思います。

こんな誰にでも分かるようなデタラメな試算を出す東電に、まともな
事故対処などできるわけがない。またこれを批判できない新聞社に
まともな記事が書けるわけがないと僕は思います。現に水素爆発の危険
性を排除できていないのに、「注水が止まる」ことを想定して、5000年
に1回だとうたっている。科学性はもちろん、技術者としての良心の
のかけらもない試算だと言わざるを得ません。

そんな「試算」を行う予算があるのなら、原発事故被災者の方たちへの
賠償にまわすべきです。あるいはそんな余剰人員がいるのなら、被災地
にでてがれきの一つでも運びなさいといいたい。一体、どれだけたく
さんの人々を傷つけ、今なお、避難などでどれほどの苦しみを人々に
与えているのか東電は分かっているのでしょうか。まったく分かって
いないのです。何の痛みも感じてないことが強く伝わってきます。

その点で、僕はこの発表は九州電力の「やらせメール」調査報告書と
同じ位相にあるものだと思えます。九電も、東電も、こんなことをして
国民・住民が怒らないと思っているわけです。いわんや詫びる姿勢など
まったく無い。何より僕はそこに強い怒りを感じるし、捨て置けないと
感じています。

これらのことは、こんなにひどい事故を起こし、もの凄くたくさんの
人々を傷つけながら、東電が潰されず、ただの一人の逮捕者も出て
いないことによってもたらされているのではないか。そのことが東電
のあまりに傲慢な体質を温存させているのではないか。そのことと
事故に今持ってなお、東電が真剣に向き合おうとしていないことが
絡まっていると思えます。

私たちは今、東電に対する追及の声をもっと強くしなければなりません。
事故の責任を追及し、一刻も早くしかるべき額の賠償をすること、また
必要な避難の措置などを東電が率先してとっていくことなど、さまざまな
ことを求めなくてはいけない。そしてあのような人災を引き起こした東電
を、解散に追い込まなくてはいけないし、責任者の処罰を求めねばなり
ません。

もちろん国の監督責任は重大です。枝野経済産業大臣は今、九電を前に、
正義派の顔をしていますが、その枝野元官房長官こそが、もっとも重大な
時期に「安全宣言」を繰り返し、国民・住民が被曝から自らを守る機会を
奪ったことを忘れることはできません。やらせメール事件より、枝野大臣
が犯した罪の方が甚大なのです。

ともあれ私たち国民・住民はもっと怒らないといけない。こんな試算を
のうのうと出されて黙っていてはいけないと思います。

・・・怒りを胸にしつつ、頭は適宜クールダウンしながら、情報ウォッチ
を続けます。

***************

注水停止20時間で炉心損傷、確率5千年に1回
読売新聞 2011年10月17日22時43分

東京電力は17日、福島第一原子力発電所1~3号機で再び炉心が
損傷する確率は、約5000年に1回とする試算結果をまとめた。

同日、経済産業省原子力安全・保安院に提出した施設運営計画に盛
り込んだ。事故前の試算では1000万年に1回としており、
2000倍も高くなった。

試算は、安定化の目標である「冷温停止状態」を維持するため、施設
運営に生かす。損傷確率の計算は、原子炉の注水系統の故障、外部
電源の喪失、大津波など7項目を想定。それぞれの原因で、1~3
号機の一つに約20時間にわたる注水の中断が起き、炉心損傷が起きる
1200度に達する確率を合計した。

炉心損傷に至る確率が最も高かったのは、大津波が原因で注水機能が
回復できないケース。大津波そのものの頻度は700年に1回と
見積もっている。
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20111017-OYT1T01099.htm

コメント

明日に向けて(298)福島第一原発3号機の爆発は水素爆発か(後藤さん談)

2011年10月17日 23時30分00秒 | 明日に向けて(251)~(300)
守田です。(20111017 23:30)

東京電力福島第1原発事故について、政府と東電は17日に発表した改定
工程表で、原子炉の「冷温停止状態」の達成時期を年内に前倒しする方針
を盛り込みました。本当なのでしょうか。すでに多くの方が、とてもそん
な段階ではないのではと感じられていると思います。

しかしこれと軌を一にして、避難計画区域が解除され、南相馬市で閉鎖
されていた小中学校が再開されるなどの動きがあります。戻った生徒は
4割。多くの方が不安にかられて戻らない状態を反映していますが、政府
の宣言は、これに対し「収束」ムードを強調する狙いもあると思われます。

実際のところはどうなのか、またこうした事態をどうみたらいいのか。
このところ政府が余りにデタラメを繰り返すので、逐一、分析する気が
落ちてしまう面もあったのですが、それではいけないと思え返し、現状の
分析に向かっていたところ、実にタイムリーに、原子力資料情報室の
会見で、後藤さんが、水素の問題について解説してくださいました。

要点を述べると、現時点で福島第一原発は水素爆発の可能性を抱え続けて
おり、とても事故の収束に向かっているとは言えないということです。
また実はこうした水素問題は、加圧水型原発でも抱えており、今回の事故
の教訓を考えると、これらの原発でも、今回のような水素漏れが起こった
時に対応できる体制を備えてはいないと思われ、その点からも原発の運転
の放置は危険であると言えるということです。

現在の福島原発の状態に関するリアルタイムでの批判的観点を私たち
の側できちんと保持し続けていくためにも、この後藤さんの提起は重要
だと感じ、ノートテークしました。みなさま、どうかお読み下さい。
いつものように、守田がかく聞きとったという内容で、後藤さんが
話された言葉通りのものではありません。その点を加味してお読み
ください。

********

福島第一原発3号機の爆発は水素爆発か
後藤政志さん談 10月13日
http://www.cnic.jp/modules/news/article.php?storyid=1214

(司会の方より、3号機の爆発について、海外で爆発音が入った映像が
流れたが、実際に映像を映したカメラはかなり遠くから撮影していおり
音は届いてなかった。なので音が無い方が正しいという指摘がなされた
上で、後藤さんの話に移った)

アメリカの研究者から、3号機の建物の上で起こった爆発は、1号機より
はるかに規模が大きいという指摘があった。これは水素爆発にしては
おかしいのではないか。爆燃という規模を越えて、爆轟になっていた。
その違いがある。1号機と3号機の違いは何なのか。

3号機は水素ではなくて、核的な、核反応が起こって爆発が起こったので
はないかという話がある。私はそれについて全面否定するというのでは
ないが、水素について、私の知っている基礎的な話をさせていただいて、
水素の問題については、3号機のことをいいたいのではなくて、本当は、
水素の爆発とは何なのかということと、現在問題になっているのは、配管
の中に、高濃度の水素が溜まっている。

配管の中にも溜まっている。これをどう考えたらいいのか。これは配管
の中の身なのか、格納容器の中の水素が出てきているのか。ここが問題
でなぜ問題なのかというと、水素爆発の危険性が懸念されるからだ。その
点から水素に関しての基礎的なことをおさえていきたい。

水素爆発についての話をしたい。水素の爆発は、水素と酸素が混じって
いて火がつくと、水素が燃える。水素と酸素が離れていると、その境界
でだけ、火がつく。ところが混ざっていて、ある濃度、水素が酸素に
対して4.65%あると火がつく。上限は93.3%ある。空気との混合比で
いくと、4.1%から74.2%。

普通は爆発する限界はもっと狭い。10%から20、30%で火がつくとか。
それ以上、濃すぎるとつかないことが多い。ところが水素の場合は、爆
発限界が大きい。ということは何が怖いかというと、もし水素が漏れて
きて最初に火がつけば、少ない%で爆発する。ところが大量の水素が
出て、濃くなって火がつくと、大きな爆発になる可能性がある。

そうなると1号機と3号機の爆発の違いは、水素の濃度の違いであったこと
もありうる。この点、きちんと分析しきれてないが、少なくともこうした
点を踏まえて論議をしないと誤ったものになってしまう。

これらの点から言うと、1号機は早く火がついたのではないか。3号機は
遅く火がついたのではないかと考えられる。また爆発のときに、建物の
横と上が抜けたかどうか。爆発は周りが抜けない方が強くなる。1号機を
見ていると横が抜けて、爆発が上にいかなかった。その分、弱く見える。

3号機の場合は、横に向けないで上に向かっている。そう見えるが、一つ
の仮説だが、水素の爆発については、相当に濃い水素が爆発した。先程
話したように、爆発には爆燃と爆轟がある。火炎の速度が音速以下だと
爆燃になり、音速を越えると爆轟になる。音速を越えると空気を圧縮し、
衝撃波がでる。ジェット機が音速を越えるときにでるものと同じで、その
衝撃波は周りを破壊する。

3号機のときは爆轟が発生しているが、飛んでいる放射性核種などのいろ
いろな条件からみて、私は核的な爆発が起こったとは断定できない、可能
性はあまり高くないと考えている。きちんとした議論をしなければいけ
ないし、全否定しているのではないので、この議論はこれ以上控え、今日
は水素がどのように怖いのかを押さえておきたい。

爆燃と爆轟というものがあるというのが一つだが、爆轟はいきなりボン
とはいかない。爆燃が始まり、ある程度いったときに爆轟が発生する。
これをD・D・Tという。爆燃-爆轟遷移という。テクニカルタームとしての
正確さについては、ちょっと自信がないが。こんな表現をする。ようは
爆燃から爆轟に遷移する。それがどれほどの濃度から起こるかの実験
などが行われ、それをもとに水素についての知見が得られている。

これらから、爆轟が発生すると、爆発による破壊力は飛躍的に増える。
3号機の原子炉建屋における爆発は水素爆発による爆轟であると推測
されると私は考えている。


水素問題について、まだ原子炉付近に残っているので爆発する恐れが
ある。どうしたらいいのかというと、酸素がない状態にもっていくのが
一番で、窒素を封入する。ところが配管などから水素が漏れて来ると
危なくなる。ましてや格納容器の中が今、どうなっているか。そこに
水素が高濃度であるとすると、格納容器の圧力が高ければ酸素は入って
こないが、今は外と圧が変わらないので、酸素が入ってきて、爆発する
可能性がある。

水素の発生原因はもともと燃料が露出して、水・ジルコニウム反応に
よって水素が大量に出ることだった。それだけはない。長期になると
放射線が非常に強く水を放射線分解して、水素と酸素が出てくる。初期
の段階では少ないが時間とともにこちらの方が増えてくる。それがどれ
ぐらいか。そこでは酸素も出てくるので、燃える段階に入ってくる。
それですぐに燃えるとは言わないが、慎重に対応する必要がある。

言いたいのは何かというと、今、事故収束が言われているが、水素の問題
一つとってみても不安定な要因がある。それが原子力の問題だということ
だ。しかも普通は圧力容器も格納容器もしっかりしていて、燃料も壊れて
いない。だから何かあってもその中で何かあっても閉じ込められるという
のが原子力の安全性だ。

それが全部突破されている。炉心溶融していて、格納容器が壊れていて、
水素もある。これほど危険なものはない。そういう状態の中でなんとか
それを押し込めているという認識をしないと判断を間違うと私は思う。
普通運転のときは、すべてが健全で、格納容器も漏れないことを確認して
それで運転して、万が一、0.5%以上漏れたら運転が止まる。これがあたり
前の安全設計だ。炉心溶融など関係ない。

ましてや今は、実際に炉心溶融が起こっていて、格納容器も壊れている。
だからそこには近寄れない。そうするとそういう中でできるのは、これ
から長時間冷やしてがまんするしかない。ずっとそうするしかない。
問題は、溶けた燃料がどこにあるか。それを取り出せるか。取り出せれば
まだ展望が見えるが、そうなっていないので、まだ収束もへったくれも
ない。まったく目処が立っていないというのが正直なところだ。

どうやったらいいのか。誰も分からない。少なくともトライはするだろう。
それが5年、10年という単位で行われる。それ以上になるだろう。そうする
と一体何をもって安定かといえるかというと、技術的に問題があって、
その中の一環として水素の問題もある。

沸騰水型においては、格納勇気の中に圧力抑制プールがあり、蒸気を凝縮
して閉じ込めることになっているので、格納容器が割と狭い。そのため
水素が大量に出てしまうと、圧力があがってしまう。それも考える必要
がある。爆発が怖いので、窒素が封入してあるから、初めのうちは爆発し
ない。しかしだんだん条件がかわってきて危なくなる。


続いて加圧水型について考えたい。加圧水型の可燃性ガス、水素が出た
ときの対策の変遷が書いてある。1979年にスリーマイル島事故が起こった。
このときは「設計ベースを超える大量の水素ガスの発生に対する対応策
について、原子炉安全基準専門部会のワーキンググループにおいて検討」
となっている。

1981年には「我が国の安全基準に反映させるべき事項」を決定。その中で
「加圧水型の格納容器については、現設計においても、かなしの水素発生
とそれに続く燃焼に耐えると思われるが、安全性を一層向上させるため、
格納容器は再結合器の設置を可能ならしめる設計であること」となっている。

再結合器とは水素をいれて戻して、水素を結合させて取り去る設備でそれを
つけると言われている。

ところが1985年から87年に「加圧水型電力共通研究において設計基準事象を
超える大量の水素発生に対して、外置可搬式再結合装置では大きな有効性が
認められないことを確認となっている。

つまりここで分かったのは、スリーマイル島事故で、水素の問題が分かって
再結合器が必要だと言う検討に入った。しかし85年から87年に分かったのは
水素再結合器は有効ではないということだった。それで1990年の安全設計
基準指針改定では、「再結合器の設置を可能ならしめる設計であること」
については、「反映されず」となっている。有効でないことが分かったので
反映しないとなった。

ではどうなったのか。1992年には例のシビアアクシデントが出てくる。
「発電用軽水型原子炉施設におけるシビアアクシデント対策としてのアク
シデントマネージメントについて」を決定。これはシビアアクシデント、
炉心溶融事故が起こった時は現状であるものを使って何とか対処する、
これがアクシデントマネージメントと言われている。

今回では津波がきたあとに、電源がなくなったから電源車を持ってくる
とか、ポンプ車を持ってくるとかした。それがアクシデントマネージ
メントだ。「共通問題懇談会で得られた知見として、設計基準事象を
超える大量の水素ガス発生に対しては水素再結合方式は適さないとの
見解。」また加圧水型は二つあって、ドライ型というのがある。圧力
抑制プールを置かないので格納容器が大きい。それに対してアイス
コンデンサ型格納容器がある。これはアイスコンデンサという冷やす
設備がついている。容積を数分の一にする。

その「加圧水型のアイスコンデンサ型格納容器への水素燃焼装置の設置は、
フェーズⅡのアクシデントマネージメントの一部として有効な対策と
なりうるとの判断」がなされている。フェーズⅡとは炉心損傷のときだが
ドライ型の格納容器の場合は容量が大きいのでいいと言っていたけれども
アイスコンデンサ型は容量が小さい。それで水素燃焼装置を付けるという。
漏れていたらできるだけ早く火をつけて処理をして、水素を減らしていく。
これが有効であると言っている。

これはどういう意味か。アイスコンデンサ型は危ないから、水素の燃焼
装置をつけるということだ。これが今の加圧水型の格納容器の設計概念だ。
この場合、気にしているのは、加圧水型の大型のものは、燃焼限界に
達しないから問題はないとされていることだ。これは30日ぐらいの事故
について危なくないと判断している。では40日、あるいはそれ以上では
どうなるのか。水素はどんどん増えてくる。処理はできない。

そうなったら電源の問題と同じだ。8時間までだったら対応できる。それ
までに何とか電源は復旧するでしょうと考えられていた。それとまったく
同じ論理になっている。つまり何日間かと切ってここまでくれば大丈夫と
考えている節がある。そういうものの見方をしたときに、本当に大丈夫
なのかという問いかけを私はしている。

大型のドライ型の場合に、水素の問題は大丈夫だと言っているが本当に
そうなのか。過酷な条件は考えているのか。それを問わないと本当に
危ないことになる。それはなぜかというと、スリーマイル島で水素の問題
が大問題になって対応をしてきた。それで窒素を封入して大丈夫になった
と思われてきた。ところがこれが建屋の外では爆発するし、今また、水素
が残って心配になっている。ではこれが加圧水型で起こったらどうなのか。


このように格納容器の水素問題一つとっても、厳しい状態にある。原子力
が厳しいのはこう言う問題がいくつもあることだ。水素問題はそのうちの
主要な一つになるが、どうも字面でみていくと、大型の格納容器では
水素の問題は大丈夫だと読める。

もっと言えばここでの表現がおかしい。ここには燃焼装置、イグナイター
が有効であると書いてある。こういう発想がおかしい。そういうことを
言うのではなくて、こういうところは対策とはいっているけれども、
アイスコンデンサ型では危険があるので、何らかの対策が必要であること
が分かった。それで燃焼装置をつけることにした。それが真実だ。そういう
表現をとるべきだ。

私が心配するのはその先で、燃焼装置の性能はどうかということだ。燃焼
はうまくいくのか。イグナイターというのは少なくともどこかで燃焼され
るのだから、どこかで火をつけて減らす。しかしうまく機能しないで水素
がどんどん出ていって何かの折り合いで着火したらむしろ自爆装置に
なってしまう。そういう可能性はないのか。

事故というのはだいたい、まさかそんなことはおきないだろうと思った
ことが、機械の故障や人のミスが重なって、実際に起きるという形になる
ことがいっぱいある。今回の福島でもそうだ。ミスもあるかもしれないと
思っている。そういうものなのだ。

ここでもイグナイターというものは、多重故障でそれが働かないとその
まま水素濃度があがっていく。今回、冷却もそうだった。そう考えると、
私が言いたいのは、基本的な安全装置として有効であるか、その基本的
な対応ができているのかという点が心配だということだ。

水素についてはどうなると爆発するかの研究はされている。それが他の
要因で突破される可能性を考えいるか。ストレステストではそういうもの、
あるものが働かない状態で事故にいたる可能性が生じて、それにどれだけ
耐えられるかを見ていく必要がある。それが現時点でプラントの安全性を
考える上で非常に重要であると考えている。

以上、水素の話についての提起を終えたい。


コメント

明日に向けて(297)同志社大学・花の駅・OHANA報告会・正義と平和京都協議会・KARAIMO BOOKSでお話します。

2011年10月16日 17時00分00秒 | 明日に向けて(251)~(300)
守田です。(20111016 17:00)

10月末から11月初めにかけての講演などのスケジュールをお知らせします。

10月25日に同志社大学社会福祉学会「ピース・プロジェクト」主催シンポジ
ウム
でお話します。13時15分から14時45分までが講演。18時30分から約2時間、
語り合いの会にでます。同志社大学新町キャンパスでの催しです。

10月30日には、北区鷹ヶ峰の「NPO法人花の駅」の「らいぶ&とーくのひろば」
に参加します。15時スタート。第一部はシンガーソングライター阿部ひろ江
さんのライブ。(僕も前座でリコーダーを吹きます)第二部で、原発問題に
ついてお話します。

11月3日に京都OHANAプロジェクトの報告会に参加。10時から
ひとまち交流会館です。はじめの30分間、僕が「東北支援に必要な放射能の知識」
と題してお話します。その後、京都OHANAプロジェクトの報告があります。

11月5日にカトリック正義と平和協議会京都のお招きで、三条カトリック教会で
お話します。14時から16時。「放射能の時代を前向きに生きる」というタイ
トルです。

11月6日に上京区大宮通芦山寺のKARAIMO BOOKSの第5回カライモ学校
お話します。15時から17時。「放射能汚染に立ち向かう。被災地を訪ねて見えてくる
こと」というタイトルです。

この他、11月12日午後に京田辺でもお話します。詳しい案内は後日に
アップします。

以下、案内の詳細を貼り付けます。お近くの方、ぜひお越しください。

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同志社大学社会福祉学会「ピース・プロジェクト」主催シンポジウム
「放射線被曝はなぜどのように恐ろしいのか。避けるために必要なことは何か」
-核戦略のもとで隠されてきた内部被曝の脅威-

10月25日(火)
第一部(講演) 13:15~14:45
第二部(語り合いの会) 18:30~約2時間
○どちらか一方だけでもご参加いただけます。
第二部ではお茶菓子などもご用意します。

ところ 同志社大学新町キャンパス Z20(第一部) R210(第二部)

講師 守田敏也(もりたとしや)
1959年生まれ。京都市在住。同志社大学社会的共通資本研センター客員
フェローなどを経て、現在フリーライターとして取材活動を続けながら、
社会的共通資本に関する研究を進めている 。ナラ枯れ問題に深く関わり、
京都大文字山での害虫防除なども実施。原子力政策に関しても独自の
研究と批判活動を続けてきた。

○ピースプロジェクトでは発足以来、論文やシンポジウム、アピール文などと
いう形で、平和と福祉について問題提起をしてきました。また福祉学や実践に
携る者として、平和を脅かす動きに危機感を覚えオピニオンを発信してきまし
た。これまで3回のワークショップでは、「平和創りとは?」というテーマで
福祉と平和のつながり、あるいは私たちの日常生活と平和についてともに考え
る機会をもち、また「ジェンダーバイオレンス」、いわゆる性暴力をテーマと
し、学生との意見交換を、去年は憲法9条について考える機会を作ってきました。
今年は3月11日に発生した東日本大震災によって起きた福島第一原発発電所の
事故を受け、原子力政策についての研究を続けている守田敏也氏を迎え、講演
及び学生との意見交換を行っていたたくことになりました。

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美しい日本、危険な原発よ、さようなら
音楽・震災・原発
らいぶ&とーくのひろば
・・・みんなでワイワイおはなししよう!

時間 14:30~オープン
   15:00~スタート
場所 NPO法人 花の駅 鷹ヶ峰街道・バス停土天井町すぐそば
参加費 500円

一部 ウクレレ・うた・・・まりねえさん
   リコーダー・・・・・守田さん
   シンガーソングライター 阿部ひろ江さん
二部 守田敏也さんのトーク
   被災地の現状や原発はいま、どうなっているのか等、
   タイムリーなお話をしてくださいます。

ゲストプロフィール
阿部ひろ江さん
ギター一本で世界中、日本中をかけまわるやさしさあふれる元気人。
マザーテレサの家、チェルノブイリ、また被災地にも歌いに行かれて
います。
http://www.eonet.ne.jp/~acorns/

守田敏也さん
同志社大学社会的共通資本研究センター客員フェローなどを経て、
現在フリーライター。平和を訴えるピースウォーク京都の活動にも参加。
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011

主催 よくばりの時間広場
問い合わせ mariism@r7.dion.ne.jp
090-9627-2498
URL http://puriism.blog.fc2.com/

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京都OHANAプロジェクト報告会

過ごしやすい季節となりましたが、いかがお過ごしですか?
早いもので、東北地方に行った日々から、2カ月近くが経とうとしています。

活動がひと段落してから、報告やまとめ等
かなりのんびりと進めているのですが、
ようやく報告会の段取りを立てることができました。
遅くて、すいません。

11月3日(木・祝日)の午前中です。
午後からは、近くのタイ料理屋さんで、ランチ懇親会も行います。
お気軽に遊びにいかがでしょうか?

ほんの一歩を踏み出す事が、東北に少しの変化をもたらすことはもちろん
なのですが、自分自身にも変化をもたらしてくれます。
OHANAの活動を通じて、そう感じています。

詳細はこちら⇒ http://www.success-running.com/news/2011/10/ohana_report.pdf
申込はこちら⇒ https://ws.formzu.net/fgen/S62729781/
<概要>
日時 : 11月3日(木・祝日)
     午前10時~12時(受付9:30開始)
場所 : ひと・まち交流館京都 
     http://www.hitomachi-kyoto.jp/access.html
参加費: 無料

それでは、季節の変わり目、風邪などひかれませんよう、ご自愛ください。

京都OHANAプロジェクト
森拓哉

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正義と平和京都協議会 第2回原発学習会
「放射能の時代を前向きに生きる」

日時  11月5日(土)午後2時~4時
場所  河原町三条・カトリック会館6階

報告  守田 敏也 さん
同志社大学社会的共通資本研センター客員フェローを経て、現在フリー
ライターとして原子力政策についても独自の研究を続けている。震災後
のデーター収集と鋭い分析力により、各地で講演活動中。

参加費  無料(原発被災者への募金箱を置きます)

フクシマの原発事故直後の東電発表、政府発表、「専門家」発表、今
すべてが崩れ去ってしまったようです。放射能汚染が拡がる中、何を
信頼してよいのかわからず、地域の絆、家族の絆の中で周りの反応を
気にしながらも、わが子の将来をどう守っていけばよいのか悩んでい
る大人たち。子どもへの影響が大きいといわれる放射能。今注目され
ている内部被曝。どんな影響?食べ物は?防護策はあるの!?

私たちは、今確実に放射能との共存時代を生きていくことになりました。
自分の周りの安全を守るだけではすまない時代です。まさに「共に
学習し、手をたずさえる」、教会にもその姿勢が求められる事態です。
皆さまのご参加をお待ちしています。

連絡先:正義と平和京都協議会 
電話・ファックス 075-223-2291

***************

第5回カライモ学校
放射能汚染に立ち向かう
被災地を訪ねて見えてくること


今や日本中に広がってしまった放射能汚染。放射能から身を守るために
勉強すればするほど、知らない方がよかった・・・なんて、きゅうきゅう
とした気持ちになってくること、ないでしょうか。
今回は前半で守田さんが訪ねていかれて被災地の今を映像とともにお話
いただき、後半で放射能汚染問題や被曝の恐ろしさ、いかに対処するのか
などを話していただきます。
つい目の前の問題にとらわれてしまいがちですが、被災地の現状を知るこ
とで、私たちの視野は実は大きく広がります。
被災地の今を見つめる中から、放射能に立ち向かう力をつけましょう!

講師 守田敏也さん
同志社大学社会的共通資本研センター客員
フェローなどを経て、現在フリーライターとして取材活動を続けながら、
社会的共通資本に関する研究を進めている。ブログ「明日に向けて」
(http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011)にて、原発事故や放射能汚染に
関する情報発信を続けている。

日時 11月6日(日)
15:00~17:00 講演会
終了後~20:00 交流会(オクバー、参加自由)
オクバーのみの参加も歓迎!

場所 カライモブックス
http://www.karaimobooks.com/
定員 20名
料金 カンパ制
赤ちゃん・子ども連れ歓迎!

ご予約受付中
075-203-1845
Karaimobooks@gmail.com


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明日に向けて(296)母乳から放射性物質(セシウム)・・・広島

2011年10月15日 11時30分00秒 | 明日に向けて(251)~(300)
守田です。(20111016 11:30)

このところ、市民団体からの活発な報告が続いていますが、11日に広島で、県内在住の
お母さんの母乳から、セシウムが検出されたという発表が行われていたことをキャッチ
しました。2人の方からで、1人は東京から避難されている方、もう1人はもともと広島
に住んでいた方だそうです。計測を行った広島大学大学院の静間教授は、広島に住んで
いた方の場合、「食材からの摂取の可能性がある」と指摘しています。

検出量はお2人の意向で明らかにされていませんが、厚労省の暫定規制値(1キログラム
200ベクレル)は、「大幅に下回っている」と記事には書かれています。ともあれ、東京
から避難してきた方だけでなく、広島在住の方からも検出されたことから、やはり食材
を通じて、放射性物質が、国中に蔓延してしまっていることが推測されます。残念ながら
放射性物質がもはや私たちの多くの体内に入ってきていることに対して、腹をくくり、
最大限の防護とともに、免疫力を上げていくことが大事だと思います。

またますます重要性を増すのは、市民放射能測定室をよりたくさん立ち上げることですね。
ともあれ、中国新聞の記事を紹介しておきます。

*****************

母乳から放射性物質 広島
中国新聞 2011/10/12

内部被曝(ひばく)防止に取り組む市民団体「繋(つな)がろう広島」は11日、広島県
内在住の母親2人の母乳から微量の放射性物質が検出されたと発表した。東日本大震災
後に東京から避難した1人と以前から県内に住む1人。測定に協力した広島大は「授乳
には問題ない値」としている。

検査は10月上旬、震災後に関東地方から広島県内に避難してきた4人と、震災前から同
県内に住む2人の計6人を対象に実施。それぞれ100ccの母乳を採り、同大大学院
工学研究院の静間清教授が検出器で調べた。

その結果、いずれも30代の2人から微量の放射性セシウムを検出した。厚生労働省は、
牛乳・乳製品の放射性セシウムの暫定規制値(1キログラム当たり200ベクレル)を
母乳の指標とする。同団体は2人の意向で具体的数値を明らかにしていないが、厚労省
の指標は大幅に下回っているという。

静間教授は「以前から県内に住む1人は食材からの摂取の可能性がある」とみて継続検査
する。

同団体の三田拓代表は「行政には母乳や尿の検査態勢を整え、食品の放射線量の測定場所
を設けるよう求めていく」としている。
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn201110120021.html
コメント (2)

明日に向けて(295)過去のウソを暴くよりも、今のウソと闘うことが大事!

2011年10月15日 08時00分00秒 | 明日に向けて(251)~(300)
守田です。(20111016 08:00)

読売新聞に「チャイナ・シンドローム、ひそかに試算・・・保安院」という
記事が出ました。保安院が3月25日以降、核燃料が格納容器の底部を大きく
溶かして漏れ出てしまう事態の想定を「ひそかに試算」していたという記事
です。保安院批判の記事であり、確かに批判されるべきことではありますが、
しかしなにかしらじらしい気もします。

そんなこと(チャイナ・シンドロームの可能性)はとっくの前に分かって
いたことで、すでにメルトスルーを起している可能性も認められているから
です。むしろここには、今になって、自分たちは保安院に批判的なのだと
いうアピールをしたい読売新聞の姿勢が見え隠れします。マスコミ各社が
この記事に追従するとしたらそれも同じことです。

あの時期、原発の危険性を指摘してきた在野の多くの人々が、事故のさらなる
拡大の可能性に警鐘をならしていた。そしてそれが取り上げられれば、もっと
有効な被曝対策を講じることができました。しかしマスコミは政府の安全宣言
だけを垂れ流し続けて、その可能性を広げることをしませんでした。このため
自主避難・自主回避などでしか、被曝対策は進みませんでした。

読売新聞はじめ各社はそのことを点検すべきなのです。保安院が「ひそかに
試算」していたというのなら、何故、各社はそれと同じ試算ができなかったの
か。何度も言いますが可能性は指摘されていたのです。ささやかですが僕も
危険性を繰り返し訴えました。しかしマスコミは動かなかった。政府の危険の
隠ぺいに手を貸したのです。保安院を叩く前にそのことを「叩く」べきです。


さらに大事なのは、このように過去のウソを暴くことよりも、今のウソと闘う
ことの方が100倍も大切だということです。今のウソとは、放射線の危険性の
隠ぺいです。現在、私たちの国は野菜、魚、肉など1キログラム500ベクレル
以下という基準を設けている。これは若者・子どもを4ベクレル以下としてい
るドイツと比べてあまりにも緩い値です。

しかもこれがあたかも安全ラインであるかのように受け取られている。ドイツ
とて4ベクレルを安全ラインとしているのではありません。止むを得ない値と
しているのが4ベクレルなのです。そのことがまったく報道されていない。あた
かも500ベクレルを越えたら危険なのかのような報道になっています。500ベク
レルを越えたらさわぐ。だから人々は500ベクレル以下は安全と思いかねない。

もちろん、人々はそれほど愚かではありません。多くの人が政府の基準値に
疑問も持っている。それで自主避難と同じように、自主的に放射能汚染が酷い
地域で生産されたものを避けようとしている。しかし人々が市場で避けて
も法的に売るのが合法化されているので、それらは容易に外食産業や加工業者
に流れてしまいます。そこからの混入を個人が避けるのはとても難しい。

しかし今、このように進行している危機を相変わらずマスコミは暴かない。
立ち向かわない。闘わない。そうして何カ月、あるいは何年もたってから、
「○○○が500ベクレルの危険性をひそかに試算」などという暴露記事が出る
可能性が非常に高い。しかしそのとき人々はたくさんの汚染食品を体内に
取り入れてしまっています。

そうなってからでは遅い。今、現に行われているウソを暴く必要があります。
今さら3月の時点で、本当はチャイナ・シンドロームになりそうだった。密かに
試算が行われていたと騒いでも、すでに多くの人々があのとき原発から出された
高濃度の放射能を浴びてしまった後なのです。その被害を暴き、東電に賠償請求
することは大事ですが、「ひそかな試算」ごときを暴いても大した位置はない。

マスコミ各社がすべきことは、まさに今、大規模な形で進行しつつある内部被曝
の実相を明らかにすること、その危険性を読者にむけてアピールすることです。
それで事故発生直後に放射能から人々を守れなかったあやまりを克服すること
です。政府の広報になり下がった自らを真剣に反省して欲しい。とくに現場の
若い記者さんがこれを先導して欲しいと思います。


その点で、記者さんたちには、今、私たちの国の危機を、先頭にたって明らかにし
暴いているのが市民の側であることに本当に注目してほしい。これまで偉そうに
してきた霞が関の官僚の誰が、危機を伝えてくれているでしょうか。新聞社の
内部も同じです。本社で偉そうにしている人たちの誰がまともな取材方針を出した
のでしょうか。これを覆す可能性を持っているのは現場の記者さんたちです。

もちろんこうした事実も新聞によって報道されているわけで、そこにはすでにこう
した事実の重要性をつかみとって動いている記者さんたちの存在がうかがえます。
さらに新聞をみていて救いを感じるのは、現場の記者さんたちが、各地で被災者に
より沿い、痛みを分かち合おうと、中に入りこんだ素晴らしい記事を書いていること
です。おそらくこれが人々を新聞につなぎとめているのだと思います。

そうした心ある記事を書いている記者さんたちに、さらにぜひ本社の変革に立ち
上がって欲しいと思います。そうして今ある危機を記者さんたちの力で暴いて欲しい。
ペンは剣よりも強し。だからペンは、権力と立ち向かう時にこそ、その本来の力を
発揮するのです。市民の側からの独自調査の重なりと、現場の記者さんたちの奮闘
との結合で、危機を越える可能性を切り拓いていきたいものです。

************

チャイナ・シンドローム、ひそかに試算…保安院
読売新聞 2011年10月15日03時05分

経済産業省原子力安全・保安院が、東京電力福島第一原子力発電所1~3号機で
核燃料が完全に溶け落ちて、格納容器の底部を大きく侵食する最悪のケース
(チャイナ・シンドローム)を想定した試算を、事故発生から2週間後の3月
25日以降、ひそかに行っていたことが14日わかった。

注水できなくなった場合、2、3号機は、厚さ約3メートルのコンクリートへの
侵食が10日以上続き、1号機の侵食は8日間で1・8メートル進んで収まると
した。保安院や東電は当時、燃料の状態について「一部損傷した程度」と説明し
ていた。

保安院が試算を指示した独立行政法人の原子力安全基盤機構が同日公開した。炉心
が溶融して、圧力容器底部の制御棒貫通部などから格納容器にすべて落下し、その
底部にあるコンクリート製の床「ペデスタル」をどの程度まで侵食するかを試算
した。全炉心が一瞬で落下する場合や溶融燃料がジェット状に噴出する場合なども
想定した。
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20111014-OYT1T01458.htm
コメント

明日に向けて(294)東京都葛飾区56地点で、市民が1μS/h以上を計測

2011年10月15日 01時00分00秒 | 明日に向けて(251)~(300)
守田です。(20111015 01:00)

今度は東京葛飾区56地点で、市民測定により1μS/hの計測が発表されました。
計測を行ったのは市民団体「葛飾青空の会」。区内の231か所を測り、うち
8か所では3μS/h以上だったそうです。最高値は区内農業施設で計測された
5.47μS/hという値。もの凄く高いです。

この結果は同会により葛飾区に伝えられ、行政による調査が開始されることに
なりました。成り行きを注目したいと思います。こうした値が出るたびに胸が
痛くなりますが、しかし各地で市民が積極的に測定を行い、行政を動かしてい
ることには、胸が熱くなります。

なお横浜市のストロンチウム発見に関する続報も出てきました。その後、市側
の3カ所の計測で、やはりストロンチウムが計測されたそうです。ちなみに新た
に計測した2地点は、もともと高濃度のセシウムが計測された地点。それぞれに、
約4万ベクレルが計測されていたのだそうです。横浜の汚染も深刻です。

また横浜市はこのストロンチウムの「発見」により、従来の「ストロンチウム
は重いので遠くまで飛ばない」という市の見解をあらためたそうです。横浜市
までがそんなことを言っていたことを、このニュースで初めて知りました。
放射性核種のあるものが「重いので飛ばない」という行政のデマへの用心を呼び
かけましょう・・・。

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葛飾の市民団体 231カ所線量調査 56地点で高濃度
東京新聞 2011年10月14日

葛飾区の市民団体「葛飾青空の会」が区内の民間施設など二百三十一カ所で、
独自に放射線量を調査した結果、五十六カ所で毎時一マイクロシーベルト
(マイクロはミリの千分の一)以上が測定された。このうち八カ所は同三マイ
クロシーベルト以上だった。区は学校の砂場などで測定や除染を進めているが、
同会は「民間建物の除染も必要」とし、調査対象の拡大と、その調査結果を
踏まえた除染を区に要請する。 (伊東浩一)

同区は福島第一原発事故後、子どもが出入りする学校のプールや砂場などを
調査、放射線量が高い砂場の除染を進めている。

同会は区の調査対象に含まれていない場所で、雨どいの排水口付近の空間放射
線量を調査。都が市区町村に貸与しているのと同機種の簡易測定器を使って、
道路や民家、アパート、工場敷地など、区東部を中心に二百三十一カ所を測定
した。調査期間は七月三十日~八月二十日。

その結果、最も高かったのは区東部の農業施設で測定された毎時五・四七マイ
クロシーベルト。放射線汚染区域は北東部を中心に区内全域に分布しており、
特に工場やアパートなど規模の大きい建物の排水口付近で高い傾向が出た。

同会は十八日、青木克徳区長に調査結果を説明する予定。吉川方章代表は「放射
性物質が付着する屋根が広い建物ほど測定結果が高く、屋根の除染が必要。われ
われのは簡易測定なので、区に合同で再調査してもらいたい」と話す。

同区の鈴木雄祐危機管理担当課長は「事実とすれば、高いという印象だ。民地も
含めてくまなく測定するのは現実的に困難だが、道路など、多くの方が利用する
公共施設から優先的に測定していきたい」とコメントした。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/20111014/CK2011101402000022.html?ref=rank

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横浜市検査でもストロンチウム検出 港北区の側溝
朝日新聞2011年10月14日20時30分

横浜市は14日夜、港北区大倉山の道路の側溝から1キロあたり129ベクレル
のストロンチウムが検出されたと発表した。ストロンチウム89と90を合計し
た値。同じ場所では、セシウムも3万9012ベクレル検出されている。

市民の独自調査で同区内のマンション屋上の堆積(たいせき)物から195ベク
レルのストロンチウム90が検出された問題を受け、市がマンションの周辺から
堆積物を採取し、鶴見区の分析機関「同位体研究所」に測定を依頼していた。

港北区は東京電力福島第一原発から約250キロ離れている。
http://www.asahi.com/national/update/1014/TKY201110140533.html

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「ストロンチウム飛来ない」見解修正
朝日新聞 2011年10月14日

横浜市港北区のマンション屋上からストロンチウム90が検出された問題で、
山田正人副市長は13日、「ストロンチウムは重いから横浜に飛んでこない」
と言い続けた市の見解について、「必ずしも放射能の知識を十分に習得して
いたわけではない」と説明し、遠回しに修正した。この日の市議会決算特別
委員会で答弁した。

豊沢隆弘保健所長が11日の同委で「ストロンチウム90は半減期が長く、核
実験の影響で1960年代には高い濃度で出た。最近でもわずかに検出されて
いる」と原発事故との因果関係を否定するような答弁をしたこともやり玉に。
「築7年のマンションに、30年以上前の核実験の影響はあり得ない。根拠の
ない無責任な発言だ」との批判を受けた。

山田副市長は「我々の知見は十分ではない。保健所長もその時点におけるベスト
を尽くした答弁をしている」とあいまいな答弁で締めくくった。
(佐藤善一)
http://mytown.asahi.com/kanagawa/news.php?k_id=15000001110140003

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明日に向けて(293)世田谷の放射性物質はラジウム。原発事故とは無関係だったが・・・。

2011年10月14日 22時48分58秒 | 明日に向けて(251)~(300)
守田です。(20111014 23:00)

12日に世田谷から発見された放射性物質は、民家の床にビン入りでおさめ
られていた放射性ラジウムであることが分かりました。原発事故とは無関
係です。しかしこんなものが民家にあったことは驚きです。特定はされて
いませんが、蛍光塗料に使われたものではないかと推論されています。

しかもビンの近くでは1時間あたり600マイクロシーベルトという値が出て
いたと報道されています。0.6ミリシーベルトですから1時間40分で年間
被曝量に相当してしまいます。距離を離れるだけ値は低くなりますが、
それにしてもこれが何十年もそこにあった可能性が高いのです。

また注目すべき点として、民家から放射性物質の発見は、これがはじめてで
ないことも報道されています。2000年6月には、長野県内の空き家や住宅の
敷地など3か所から放射性物質を含む鉱物「モナザイト」計17トンが。また、
2008年10月には、東京・文京区にある住宅の倉庫から核燃料の原料となり
得るトリウム232が見つかっているという。

これらは、いよいよ、市民がいろいろなところをくまなく測ることで、自ら
の安全を守った方が良いことを示唆しているように思われます。ともあれ
原発事故由来ではなく、したがってこの地域が避難を必要とするわけでは
ないことでほっと一息ですが、さらに多くの人による計測を続けたいもの
です。

なお、初期の報道からはよく分からないまま、明日に向けて(291)で、
3日の通報から発表まで9日たっていることを批判してしまいましたが、
その後、市民による通報があってからの世田谷区の対応は実に迅速で行き
とどいていたことも見えてきました。当初から、線量が地面の近くでは低く、
1mの計測値の方が高いことを的確につかむなどしていました。

また念のため、区内の砂場のある公園、約260か所もただちに計測を指示
するなど、市民の情報提供に敏感に応えて動いています。保坂展人区長
を中心とした世田谷区の行政の方々に感謝したいと思います。
これらについてより具体的に示すために、「世田谷区長保坂展人のどこどこ
日記」10月12日分を掲載しておきます。

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世田谷区内の局所的な「高い線量」計測について

世田谷区長保坂展人のどこどこ日記 政治 / 2011年10月12日

今日は8回目の記者会見だった。世田谷区内にピンポイントで「高い線量の
個所」を確認し、区としてその原因を究明し、また原因物を除去する対策
にあたっていることを発表した。記者会見ではあまり多くの質問は出なかっ
たが、夕方からテレビニュースで報道され始めて、NHKの9時のニュース
では冒頭に伝えられた。まず強調しておきたいのは、今回区で確認した高
線量の個所は狭く限定された空間(高さ1・5m×幅2m)であるというこ
とだ。10月6日に区が確認した最高の数値は「2.707マイクロシーベルト(毎時)」
で地上1mの計測値だが、直下の地上5㎝だと半減する。5~6m離れた公園
では、0.07前後の世田谷区の平均値の枠内となっている。

10月3日、携帯電話で受け取ったメールには、「区内に高い線量を記録して
いる場所があるので確認してほしい」と書かれていた。この日、定期的に
開催している世田谷区役所の放射能問題庁内連絡会議で「何かの間違いかも
しれないが、これまでの区内の放射線量とは桁違いに高い線量の場所がある
という情報提供があったので確認するように」と指示をした。夕方だったが、
簡易計測器で計測すると確かに高い値が出た。翌日、区議会で複数の会派
からこの点についての質問があり、「昨晩確認をしたので、より精度の高い
機器で再測定をして、なるべく早く対処していく」という趣旨の回答をして
いる。何人かの区議会議員が該当個所でそれぞれ測定をしての質問であり、
傍聴席には報道関係者もいた。

その後、何度か測定を重ね、9日には環境測定専門業者の立合いとアドバイス
を受けた。また、東京都と国・環境省に事実を通知して対処策を訊ねている。
今後は原因究明をしっかり行なって、すみやかに原因物を除去するという
プロセスに入る。報道後、区役所には問い合わせの電話が相次いだ。計測
された最高値が局所的であることを説明し、付近を通行することで顕著に
健康に影響があるとは言えないが、付近に保育園もあり、通学路にもなって
いるためにカラーコーンを置いて線源に近づかないようにした。これから
専門家を交えて、さらに詳しい調査を行い、すみやかな対策を進める。

今回の高い線量について、環境測定専門業者は「一定の所に雨水が集積したの
ではないか」という見方をしているが、更に詳しいことが判り次第公開してい
くことにする。今回の発表は、区民からの情報提供が発端だったが、区内の
砂場のある公園258カ所(※訂正します)を緊急に一斉調査することにした。
区のホームページの方でも情報掲載をした。

区内一カ所で比較的高い放射線量が確認されました

先日の文部科学省が発表した上空からの調査では、世田谷区内に異常値が認め
られたわけではなかった。福島第一原発事故以来、都内で初となる「今回の
高い線量」が何に起因しているのかを徹底して究明し、更なる情報開示を
行なっていく。
http://blog.goo.ne.jp/hosakanobuto/e/bfe7006ac08a6a89abaa27582cbdeb21?fm=rss


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明日に向けて(292)「プルトニウムは重いから飛ばない」というのはウソ!

2011年10月13日 12時00分00秒 | 明日に向けて(251)~(300)
守田です。(20111013 12:00)

昨日、ストロンチウムが横浜で検出されたことを紹介し、その際、プルト
ニウムについて、今は45キロより遠くでは「ない」とされているが、これ
も遠くまで飛散している可能性があることについて言及しました。すると
矢ヶ崎克馬さんがわざわざ電話してきてくださって、この点について解説
して下さいました。

矢ヶ崎さんが強調されたのは、プルトニウムが重いので飛ばないというの
がまったくの嘘だということです。「どうしてこういうデタラメが言われる
のかと思っています」とも。核心点は、原発事故で放射性物質が飛散する
とき、なにもそれぞれの核種が単体で飛ぶわけではないことです。

幾つかの核種がまじりあって、塵や埃の形になり、それで飛散していく。
その場合、その塊になった塵の総量としての重さが、風の強さとも相まっ
て、飛ぶ距離を決めることになっていくわけです。重い核種から落ちて
いくのではなく、重い塊から落ちていく。

プルトニウムも他の核種と一緒になって塵や埃を形成するわけですから、
その総量が比較的軽ければ、遠くに運ばれてしまうのです。このように
塵や埃が幾つかの核種から構成されることは、チェルノブイリ事故など
でも見られたことだそうです。

・・・非常にすっきりとしました。

僕自身は、例えプルトニウムの比重が他の物質より上回っていようと、
論理上、微粒子ならば飛びうるのではないか。重いから飛ばないというの
はまやかしではないかとずっと思っていました。そのために繰り返し、
プルトニウム飛散の可能性を指摘してきました。

単純な話ですが、綿と鉄では鉄の方が比重は圧倒的に上ですが、1キロ
グラムの綿と、1グラムの鉄では、前者の方が圧倒的に重いわけです。だから
微粒子になった場合、その粒の大きさによって、重い・軽いが決まるわけで、
比重と飛散の可能性をリンクさせるのはまやかしだと感じていたのです。


また誰よりもプルトニウムの危険性を訴えてきた故高木仁三郎さんが、
著書『プルトニウムの恐怖』の中で、プルトニウムは飛散しやすいと述べ
ていたことも、ずっと頭の中に残っていました。当該個所を引用します。

「プルトニウムが体内に入る経路は、一般には呼吸を通じるか、口から飲み
込んだり食べたりするものにまじってとりこむかである。プルトニウムは、
直径1ミクロン(1000分の1ミリメートル)前後の小さな酸化プルトニウムの
かたまりとなって空中に漂いやすい。プルトニウムを用いた大気圏内核実験
の際にも、核分裂をしなかったプルトニウムは、酸化プルトニウムの微粒子
となって空中にばらまかれる。」(『プルトニウムの恐怖』岩波新書p110)

ここでは高木さんは、プルトニウムが単体であっても、空中に漂いやすい
点を指摘しています。これはアメリカで実際にあったプルトニウム製造工場
でのプルトニウム漏れ事故などをも踏まえた記述ですが、矢ヶ崎さんの
指摘に端的なごとく、原発事故の場合は、プルトニウムは他の、より軽い
核種と塵や埃を形成して運ばれるのですから、この場合の方がより飛散
しやいと言えます。そして現に80キロ圏内のわずか100か所の調査で、
45キロ地点から「発見」されたのです。

このときストロンウムは79キロ地点で発見された。だから僕は確実にその
外にもあるはずだと書きましたが、それから数日後に250キロ地点での
「発見」が報じられました。プルトニウムはどうなのか。推して知るべき
ことだと思います。ぜひとも各地で測ることが必要です。プルトニウムは
精度の高い機器でないと検出できないので、行政などに圧力をかけていく
必要があります。


同時に、これまでプルトニウムは絶対に飛散しない、住民への影響はないと
豪語してきた方たちに、最低でも謝罪を要求していくべきだと思います。
その筆頭にあげられるのは、中川恵一東大病院放射線科准教授です。
中川准教授は、3月29日にテレビに出演して、「一般市民、私たちの生活
にはどのような影響がありますか」という質問に次のように答えました。

「これはありません。まずですね、この物質は非常に重いのですね。です
からヨウ素のように飛散していくことがありません。作業者の方には影響が
あるかもしれないので、気をつけて欲しいのですが、みなさんご心配だと
思いますけれど、私が生まれた50年前、プルトニウムの量は今の1000倍
だったのですよ。原水爆核実験のせいです。今は多少増えたと言っても
かなり減っているのですね。だから心配はありません」

この回答を含む内容が、映像で見られますので、ぜひご参照ください。
中川准教授は、プルトニウムが非常に危険な物質であると指摘されている
ことにふれ、吸い込んだときの肺がんの可能性を述べていますが、食べたり
飲んだりした場合は、排泄されるから大丈夫だとも述べています。
http://www.news24.jp/articles/2011/03/29/07179697.html

中川恵一准教授のプルトニウム解説は、飯舘村からの検出という事実に
よって完全に覆されたのですから、まずは誤りを認めて真摯に謝罪すべき
です。中川准教授は「東大病院放射線科」という、一般には信頼されやすい
肩書のもとに発言しているのですから、その責任はより重いです。

同時に中川准教授による50年前にプルトニウムの量は今の1000倍だったと
いう発言がかなりデタラメであることも指摘しておきたいと思います。
中川准教授もこ番組の中で触れていることですが、核実験で使われたプルト
ニウム239の半減期は24000年です。半分になるのにそれだけかかる。それが
なぜ50年で1000分の1になるのでしょうか。

これは放射性物質の崩壊と放射線の照射という、放射線学の基礎中の基礎を
無視した発言です。意図的にデタラメを言ったのか、あるいは東大病院
放射線科の准教授が、放射線に関する基礎すら理解していないことをあら
わしています。

また食べたり飲んだりしたものは身体の外に出ていくので大丈夫だという
のも誤りです。この点についても高木さんの著書の引用を行っておきます。

「いっぽう、消化器系を通してとりこまれたプルトニウムは、むしろ可溶性
のものが問題となる。胃腸壁を通して吸収されやすく、吸収されたプルト
ニウムは主として骨に集まりやすい。これは骨のガン、とくに白血病の原因
となる。もちろん、とりこまれた部位に応じて核種のガンを誘発しうるが、
肺ガンと骨のガン(白血病)が、プルトニウムの最も恐ろしい影響である」
(『同書』p111)

中川准教授の講演会に行かれる機会のある方は、ぜひともこうした発言
への謝罪を求めるといいのではないかと思いますが、私たちは少なくとも
中川准教授の誠意ある謝罪を耳にするまでは、東大病院放射線科を全く信頼
しないことにしましょう。これは一准教授の発言の問題ではありません。
大学病院総体の問題です。明らかにとんでもない間違いを東大病院の名で
国民・住民に発信してしまったのですから、大学病院側が、謝罪と訂正を
行うべきなのです。


以上、私たちは「プルトニウムは重いから飛ばない」というウソに、もう
二度と騙されず、各地で積極的なプルトニウムの計測を始めましょう。あ
るいはそのための動きを開始しましょう。先にも述べたように、専門の
高度な機器が必要なので、そのために関係機関を動かす必要があります。
東大アイソトープ研究センターの児玉教授に、全国から検体を送って
調べていただくのもいいかもしれませんね。

ともあれこの点でもイニシアチブを取るべきは私たち市民です。いまここに
ある危機を明るみに出すことでこそ、私たちの危機回避の可能性は増します。
プルトニウムは大変危険性の高い物質ですが、けしてそれに打ちひしがれず、
腹をくくり、開き直り、覚悟を決めて、危険物質の回避のために動きましょう。
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