明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(461)脱原発・がれき問題の連続講演を行います(5月7日~12日)

2012年04月30日 19時00分00秒 | 明日に向けて(401)~(500)
守田です。(20120430 19:00)

連休明けの7日から12日まで、脱原発・がれき問題の連続講演を行います。
以下スケジュールを並べます。

7日午後3時、 京都市左京区キッチンハリーナ。
8日午後6時半、兵庫県篠山市市民センター
9日午後7時、 京都市北区たかつかさ保育園
10日午前10時 滋賀県近江八幡市G-NETしが滋賀県立男女共同参画センター
10日午後7時、 京都市左京区キッチンハリーナ。
11日午後6時~7時から 広島県尾道市場所未定
12日午後2時から 京都府綾部市ひまわり保育園(クローズドの可能性あり)

このところ、がれき問題を僕なりに深めてきて、ようやくよくわからなかった
ことが見えてきたように思っているのですが、深めれば深めるだけ、これは
とんでもないことが起こっているという実感を深めています。実は危険なの
はがれきだけではない。東北・北関東では一般ゴミもかなり放射性物質を含ん
でいて、それがすでに1年近く、野放しに焼却されてきてしまっています。

まずはここに第一の深刻な問題があります。ゴミの収集、運搬、焼却という
システムが、人為的な放射能の濃縮過程になってしまっているのです。そのた
めきちんと対応するなら、ゴミの収集、運搬、焼却という非常に大きなシス
テムの総体をいじらざるをえない。

私たちの国の官僚の誰かがこのことに気づきながらも、それは「不可能」と
感じ、このまま特定地域での放射能の濃縮と焼却が続けば、特定地域に疾病が
出てくる脅威を感じて、抜本的対策ではなく、「希釈」という方針を打ち出し
たのではないかとすら思えてきます。水俣病問題で先例があることだからです。

・・・これらの点は推論に過ぎませんが、ともあれ放射性物質が膨大に降り注い
だ、私たちの国に起こっていることを、ひとたび俯瞰的な目で見て、その次に
個別の事象をみていくべき必要性を痛感しています。

今はまだ抽象的な書き方を出ていませんが、連休明けの連続講演ではこうした
点をもっと掘り下げ、わかりやすくまとめた上で、この問題にどう立ち向かって
いけばいいのかを論じていきたいと思います。

さまざまな地域にうかがいますので、どうかお近くの方、お越しください。
一緒に問題を深めていきましょう!

*****************

5月7日

キッチンハリーナにて、脱原発・がれき問題学習会
5月7日午後3時から
問い合わせ 電話&FAX 075-724-3568
http://kitchen-halina.net/modules/main/index.php?id=2

******

5月8日

『守田敏也さんと福島の方を招いての勉強会』

原発に関する問題、福島のことや、瓦礫の広域処理、内部被爆のことを、
京都でフリーライター活動していらっしゃる守田敏也さんからお話を聞
きます。わからないこと、不安なこと、少人数でゆっくりお話出来るの
で内容は濃いと思います。また福島県から篠山に避難してこられた方に
も参加して頂き、震災以降の福島県の現状をお話していただく予定です。

【日時】2012年5月8日(火) 
【時間】午後6時30分~午後8時30分頃
【場所】 篠山市市民センター・和室(みたけ)
【申込み定員】大人約30名
 ※託児はありませんがお子様連れでも可能です。
  木のおもちゃを貸し出しいたします。
【参加費】600円

~守田敏也さんプロフィール~
同志社大学社会的共通資本研究センター客員フェローなどを経て、現在
フリーライターとして取材活動を続けながら、社会的共通資本に関する
研究を進めている。東日本大震災1以降は原発事故問題をおいかけている。
2012年3月に物理学者の矢ヶ克馬氏とともに岩波ブックレットから
『内部被曝』を上梓。ブログ「明日に向けて」

【お問合せ】
(TEL)079-556-5766
(mail)HPのお問合せフォーム
(Twitter)@naturalbackyard

★この勉強会はハンサム食堂・神谷さんとNaturalBackyardで企画したものです。
原発問題や瓦礫問題についてわからないことが多すぎて、居ても立ってもいられ
ず勉強会を行うことにしました。
なので同じように今起こっている問題がよくわからない人、大歓迎です。
お気軽に参加いただけると幸いです。

★今回の勉強会については「憲法たんば」様にもプロジェクターをお貸し頂いたり、
たくさんのご協力を頂いております。心より感謝いたします。
6/22.23『チェルノブイリハート』上映会でも守田敏也さんのミニ講演会があります。

*******

5月9日

がれき問題学習会inたかつかさ保育園

□とき 2012年5月9日(水) 19:00~20:30(予定)
□ところ たかつかさ保育園(京都市北区大将軍坂田町8-1)
□お話をするひと 守田敏也さん
            ジャーナリスト、『内部被曝』(岩波書店)著者
            「市民と科学者の内部被爆問題研究会」呼びかけ人
□参加費 無料
□主催 保育園給食を考える会・京都
     お問い合わせ連絡先(メール) info.hoikuenkyuusyoku@gmail.com
※お子さま連れ可。詳しくは、たかつかさ保育園までお問い合わせください。
    たかつかさ保育園 TEL 075-461-8253

*******

5月10日

震災がれき焼却灰はほんまに大丈夫?
ちょっとまって!!

近江八幡市のみなさん、びわ湖を愛する みなさんへ

いま、近江八幡市の冨士谷市長は、放射能で汚染されている可能性が高い
被災地のがれき焼却灰1万トンを、水茎町にある一般処分場に埋める計画
を立てています。焼却灰は濃縮されていますので、元のがれきよりもはる
かに高濃度の放射能を含んでいる恐れがあります。
近江八幡にがれき焼却灰を受け入れても本当に大丈夫でしょうか?
  
日 時: 2012年5月10日(木) 受付 9:40 ~
お 話: 10:00 ~ 12:00
会 場: G-NETしが 
     滋賀県立男女共同参画センター 

参加費:500円 
     障がい者手帳をお持ちの方、中学生以下は無料です。
     託児はありませんが、お子様連れでご参加いただけます
    
講 師:守田敏也氏 
(フリーライター)

1959年生まれ。京都市在住。原子力政策に関してして独自の研究を
するとともに、東日本大震災以降は何度も被災地を訪れ、ブログ
「明日に向けて」を通じて情報を発信。各地で講演を行いつつ、
放射線被曝の恐ろしさを明らかにし、防護を訴えている。著書に
矢ヶ克馬琉球大学名誉教授との共著「内部被曝」 (岩波ブック
レット)がある。

主催: がれきの放射能から子どもを守る会・はちまん
お問い合わせ:hachimangarekinet@yahoo.co.jp
Tel:080-5351-7569(井野)

********

5月10日

キッチンハリーナにて、脱原発・がれき問題学習会
5月10日午後7時から
問い合わせ 電話&FAX 075-724-3568
http://kitchen-halina.net/modules/main/index.php?id=2

********

5月11日

脱原発・がれき問題学習会
5月11日午後6~7時ごろから
尾道(詳細は検討中)

********

5月12日

5月12日午後2時 脱原発学習会
綾部市 ひまわり保育園

完全クローズドの可能性があります。
詳しくは守田までご連絡ください。



コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

明日に向けて(460)「がれき」広域処理、矢ヶさんの訴えから考える

2012年04月28日 09時00分00秒 | 明日に向けて(401)~(500)
守田です。(20120428 09:00)

「がれき」問題・大飯原発再稼動問題での攻防が続いていますが、ここでは、
「がれき」問題に関する基本的な視座を確認しておきたいと思います。それ
には矢ヶさんが出された「がれきの広域処理について」という提言が役に
立ちます。

矢ヶは観点を5つにまとめています。(1)拡散してはならない、燃やし
てはならない。(2)汚染地帯のがれきは汚染されている。(3)万が一
受け入れが決まってしまう→これまでの焼却体制を抜本的に変えるような
設備を新設し、徹底した放射能対策を採らねばならなくなる→現実には
できない。(4)子孫や地球に恥じない支援―汚染の無い地域を保全する
ことが基盤―。(5) 棄民政策の数々:日本はとっても野蛮な国になりま
した!・・・の5つです。

それぞれにすっきりとポイントをまとめてあるので、ぜひお読みいただき
たいと思いますが、最後に書かれている「日本はとっても野蛮な国になり
ました!」というのは、事態のすべてを物語った言葉であるとも言えます。

なぜか。今行われている放射能対策、「がれき」対策のすべてが、東日本
大震災に伴う福島原発事故以前にあった多くの法律を踏みにじり、完全に
無視して進められているからです。要するに法的に言って違法なことば
かりであり、著しく正義を逸脱しているのです。

特に問題なのは放射線に対する法的許容度をいっきょに緩和してしまって
いることです。少し前だったら、「放射線管理区域」に指定され、飲むこ
と、食べること、寝ること、さらには18歳未満の青年・子どもを連れ込む
ことが禁止されていた地帯が、野放しにされ、そうした汚染の中に追い込
まれた人々への賠償どころか、避難の権利すら保障されていないのです。
これはもう本当にめちゃくちゃな状況です。

しかもそういう事態を作り出した東京電力の誰一人も訴追を受けていない。
政府も同じです。誰一人責任を追及されたものもいない。東電社長は多数
の人々を難民においやっているかたわらで、6億円もの退職金をもらって
勇退している始末です。

そんな無法・横暴・反社会性を野放しにしている政府がいう、「東北の
痛みを分かち合おう」という言葉の、あまりの欺瞞性をこそ、私たちは
まず見抜かなければなりません。痛みを分かち合うというのならば、まず
は東北で激烈に起こっている放射能被曝をなんとかすべきではないので
しょうか。東北に全国から新鮮な食材を送り込むべきではないのでしょうか。

高線量地域では、除染も技術的にあまりに困難で進めることができてない
のだから、政府が率先して避難を拡大すべきなのです。同時に、東電
の責任者の厳しい処断を行い、被害者への早急な補償措置もとるべきです。
それを抜きになんの「痛みの分かち合い」なのでしょうか。実際に、
行われているのは、東電の「痛み」の分かち合いに過ぎません。要するに
東電の罪を、当事者には償わせないままに、広く、国民・住民に背負わせ
ようとしているのです。

しかし、矢ヶさんも述べていることですが、真に東北を、汚染地を救おう
とするのであれば、非汚染地を保全し、そこで人を受け入れ、そこから食料
を供給することこそが肝要です。そうした点からも、がれきの広域処理は
愚作の中の愚作、いや政府による新たな犯罪行為に他なりません。

肝心なことは、こうしたことがまかり通り、被曝の責任者の処断がなされな
ければ、東北・被災地は見殺しにされてしまうということ、いやそれに続い
て私たちもまた、見殺しにされていくということです。僕はここに問題の
核心があると思います。だから「痛みを分かち合うため」に、私たちはこれ
以上、政府が野蛮化することを許してはならないのです。

その意味で、「がれき」の広域処理という野蛮行為をくいとめ、さらに政府
にもっと徹底した放射能防護対策の実行を迫っていく中でこそ、わたしたち
は汚染の中で苦しむ人々を救っていく道筋を作り出すことができます。

こうした視座を基礎にすえて、この問題への対処を続けましょう!
以下、矢ヶさんの提言をご紹介します。

**************

がれきの広域処理について
琉球大学名誉教授 矢ヶ克馬


(1) 拡散してはならない、燃やしてはならない
放射能に汚染された物は「拡散してはならない、燃やしてはならない。」
これが人間の命と環境を保護する鉄則です。
①汚染されたがれきを汚染地域外に持ち出すと、いのちに危害を及ぼす地域
が広がるから持ち出しはしてはいけません。原発では放射性物質を「封じ込
める」ことに務めていたはずが、いったん爆発して外に出ると「拡散させろ」
は如何に無見識で乱暴な行為であることでしょう。
②焼却処理すると2次被害を作り出します。瓦礫に放射性物質が付いているま
までは直接的に2次被害は及ぼしません。折角、吸い込んだり食べたり飲み込
んだりできない状態でいる瓦礫を、燃やすと吸い込んだり食べたりできる姿
に変えてしまいます。放射性微粒子が空気中に広がったり、残灰が再利用さ
れて生活の場を被曝したり、田畑にまかれたりすることになります。焼却と
いう2次被曝の操作をしてはならないのです。 このような意味で、がれき広
域処理は、いのちを守るための鉄則を破り、国や行政が決して行ってはなら
ない「市民の健康を傷つける可能性」を開き、強制する行為です。誠意と配
慮に欠けた最悪の処置です。


(2) 汚染地帯のがれきは汚染されている
政府が宣伝する「汚染されていない瓦礫だけを処理する」というのは事実と
違います。 対象となっている宮城・岩手は高度汚染地域の中です(文科省
汚染マップを見るとすぐわかります)。放射能汚染地帯にある野積み瓦礫に
は放射性物質が必ず入っています。 実際は汚染されているのですが、ある
限度以下の汚染は「汚染されていないとみなす」というからくりなのです。
「汚染されていない」という表現は、市民をだましているといえましょう。
政府はこれまでの100ベクレル/キログラムの放射能汚染物処理基準を、
突然8000ベクレル/キログラムまで釣り上げて、「安全に処理できる」と、
法律も何も作らずに勝手に決めていますが、とんでも無いことです。誰に対
して安全なのでしょう。 加えて汚染は放射能だけではありません。アスベ
ストや他の毒物・劇物が含まれています。専用処理施設が必要です。


(3) 万が一受け入れが決まってしまうと?
1.客観的にみて、放射能汚染、アスベスト汚染に対応する焼却炉を作らね
ばなりません。放射性物質の主成分はセシウムです。セシウムの沸点は低く
640℃ほどで、燃焼温度の800℃では完全に気体状態になります。とくに問題
なのは蒸気圧が高く、通常のバグフィルターの通過ガス温度約200℃でも100
パスカル(1000分の1気圧)ほどの蒸気圧があり、かなり大量に空気中に漏
れていきます。一方、アスベストは溶融処理する必要があり、アスベストの
融点は1521℃ですので、800度程度の燃焼温度では溶融できません。汚染ゴ
ミは通常の家庭ごみに混入して焼却されることが計画されているので、放射
能汚染とアスベスト汚染の二つだけでも、安全な汚染処理はできません。
2.運搬・分別・焼却等作業員の安全のためにきちんと汚染防護をすべきです。
3.放射能に対しては、入口、中間、出口での計測設備を設ける必要があり
ます。
4.処理を終了した時に施設の内部も清掃処理しないといけません。
5.灰の処理、溶融金属等の処理、最終処理施設等々、安全対策を施す、
あるいは今までの処理方法を変更する必要があります。


(4) 子孫や地球に恥じない支援―汚染の無い地域を保全することが基盤―
市民の「被災地の皆さんの力に何としてもなりたい」、という気持ちは尊い
ものです。しかし、「広域がれき処理」への協力はしてはいけません。「放
射能汚染を拡散してしまう協力」は、将来にわたって子や孫に危害を及ぼす
危険を導入することです。人類の安全という観点からは愚かな行為です。
被災者と非被災者の両方に、本当の利益を生み出す人道上に恥じない支援」
をすることが大切です。そのために、

①これから何十年も継続する汚染地獄を、日本として耐え抜くためには、汚
染されていない西日本は汚染されていないままに保つことが大切です。
②汚染されていない土地で食糧大増産を行い、逆に、汚染地帯では基本的には
食用作物は当分の間作らない。それを実施して初めて日本の市民の食の安全が
保障されます。遊休農地がすぐ役立ちます。汚染されていない土地に汚染地域
の農家を招きましょう。
③今の基準の100分の1程度の低い基準を「食料品」に適用して初めて“人の健
康を守れる基準”という意味合いが出てきます。それ以上の汚染食品について
は東電が当然補償すべきです。こうした基準で初めて農家の方が「おいしく無
害な食品」ということで、胸を張ることが可能です。消費者も生産者も共に
被害者です。両立して健康を防護できる基準を確保しましょう。
④避難者の支援や、保養の機会や場所を提供するなど、非汚染地で無ければ実
施できないことを行うのが、非汚染地の務めです。市民は正道に立つ支援を実
行しましょう。 「広域がれき処理」のような国際的ルールを踏みにじる乱暴
な、本質的支援で無い「支援」は行ってはなりません。


(5) 棄民政策の数々:日本はとっても野蛮な国になりました!
政府は原発爆発以来、どのようにして市民を守ってきたのでしょう? まず、
汚染物処理基準はどうでしょうか?

①以前は、汚染処理基準を100ベクレル/キログラムとしていました。事故の
際に突然それを8000ベクレル/キログラムに釣り上げました。さらに管理処理
できる場合は10万ベクレル/キログラムまで引き上げました。
②公衆(一般市民)の年間被曝限度(これ以上被曝すると政府の責任で防護し
なければならない基準)を、1ミリシーベルトから20ミリシーベルトに釣り上
げました。「日本人は事故の時は放射線に対する抵抗力が20倍になる」ので
しょうか?
③チェルノブイリ周辺国(ロシア、ベラルーシ、ウクライナ)は、住民の保護
基準を年間1ミリシーベルトで「移住権利(住んでいても良いが移住し世と思
えば、国が保障する)」、5ミリシーベルトで「移住義務(危険だから移住し
なければならない)」地域に設定しています。日本のこれに相当する基準は
何と20ミリシーベルト(計画的避難区域)および50ミリシーベルト(避難区域)
です。日本の住民はチェルノブイリ周辺国より20倍も放射線に対する抵抗力が
高いのでしょうか?とんでも無い。ひとえに、東電の賠償責任を軽減すること
と政府の責任を軽減するためだけなのです。
④同様に食物の放射能汚染限度値は500ベクレル/キログラムと極端に大きな
値を設定されましたが、ドイツの100倍の程の高さを設定しているのです。日
本政府は「基準以下ならば安全」と宣伝していますが、そうではありません。
汚染食品を食べることにより、チェルノブイリ周辺では大量の健康破壊が起き
ています。チェルノブイリ周辺では「貧しいがゆえに人々は汚染地帯の産物を
食べざるを得なかったのです。現在日本では、政府の強制によって汚染食品を
全日本人が食べさせられています。
⑤爆発直後、安定ヨウ素剤を政府は蓄えがあるにも拘わらず与えませんでした。
何ということでしょうか!人の命は切り捨てられ踏みにじられているのです。
これらの措置は、人の命と環境を守るためでしょうか? 全く逆に、市民の生活
の場に汚染被曝を強制し、人の命と環境を犠牲にして、東電と政府の責任を
可能な限り少なくし、政府の無策を人々の犠牲で補おうとするものです。市民
が自らの命を守るためには、知恵をつけ力を合わせ、このような国のあり方を
変えなければなりません。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

明日に向けて(459)『内部被曝』増刷決定です!鬼蜘蛛おばさんの書評をお読みください!

2012年04月27日 22時00分00秒 | 岩波ブックレット『内部被曝』発売中です!
守田です。(20120427 22:00)

矢ヶさんのお話を僕が聞くことで編んだ岩波ブックレット『内部被曝』
おかげさまで一刷がどんどん売れて、増刷していただけることが決まりま
した。嬉しいです!このご報告をしようと考えて、ネット検索していたら、
僕も前から時々拝読していた、鬼蜘蛛おばさんこと、松田まゆみさんの
ブログで、書評を書いてくださっていることを知りました。

松田さんは自然環境に関して大変、深く、豊かな知識をお持ちの方です。
彼女のツイッターの自己紹介には次のように書かれています。
「北海道十勝地方に在住で、クモや動植物、自然環境などに興味を持ち
自然保護運動に関わっています。原発はもちろん反対。自然に逆らわな
い生き方をモットーとしています。」

僕も原発事故が起きる年の前の2010年には、カシノナガキクイムシの移動
に伴う、ナラ類の集団枯損(ナラ枯れ被害)を食い止めようと、京都近郊
の山の中を走り回っていたこともあり、僕などにはおよびもつかない松田
さんの見識、また自然を見つめる暖かいまなざしに何度も共感しながら、
このブログを読んでいました。そうした松田さんのページに、矢ヶさん
と僕の本を取り上げてくださって、大変、光栄に思います。

恐らく、このページには、僕のように、いや僕よりももっと深く自然を愛
し、見つめてきた方々が訪問されているはずです。そしてそうしたみなさ
んが、もし『内部被曝』を手にとっていただければ、きっとすぐに、私た
ちが訴えようとしたことが届くはずだと確信しています。その意味で、こ
こに取り上げていただけたのは嬉しい限りです。

紹介していただいている文章でも、短い中に的確に内容のエッセンスが
きちんと盛り込まれています。最後の方に日本保健物理学会の考えと、
矢ヶさんのそれの対比が出てきていますが、ICRP的に準じた考えの
誤りが一目で見られるような、鮮やかな比較をしてくださっています。

矢ヶさんとも話しているのですが、今後、私たちの国でますますあらゆ
る食材の放射線計測が重要になってくる。肝心なのはでてきた数値をいか
に評価するかです。これはすべての市民放射能測定所にも問われてきてい
ることです。『内部被曝』は、ぜひそうした場で読んでいただきたいと
思います。また矢ヶさんと僕とで、さらに現場の測定や、健康診断で
出てくる数値に即した判断の仕方、数値の読み方を分かりやすく解き明か
し、ICRPに依拠した政府に騙されない民衆的判断のよりどころを
作り出していきたいとも思っています。

ともあれみなさま。鬼蜘蛛おばさんの疑問箱をお読みください!

***************

鬼蜘蛛おばさんの疑問箱Part.2
2012年4月12日 (木)

矢ヶ崎克馬・守田敏也著「内部被曝」を読んで
http://onigumo.cocolog-nifty.com/blog/2012/04/post-b6b7.html?cid=89922387#comment-89922387

 先日3日ほど東京に行ってきた。最近は本を買うこともあまりなくなっ
たのだが、都心を通ったついでに気になっていた本を2冊購入した。一冊
は矢ヶ崎克馬・守田敏也著「内部被曝」(岩波ブックレット)だ。今日は
この本について紹介したい。

 本書では守田敏也さんの質問に矢ヶ崎克馬さんが答える形で内部被ばく
についての解説がなされている。5つの章からなり、各章のタイトルは以下。

第1章 被曝直後の福島を訪れて
第2章 内部被曝のメカニズム
第3章 誰が放射線のリスクを決めてきたのか
第4章 なぜ内部被曝は小さく見積もられてきたのか
第5章 放射線被曝に、どのように立ち向かうのか

 これらの解説の中から、重要と思われる点についていくつか紹介して
おきたい。

急性症状と晩発性障害
 放射線被ばくによる症状には急性症状と晩発性障害がある。
 たくさんの放射線が身体に吸収されて、多量な分子切断が生じるとそれぞ
れの生命機能がうまく働かなくなることで脱毛、下痢、出血、紫斑などの
急性症状が出る。分子切断が多量の場合は死にいたる。
 もう一つの晩発性障害は、分子切断が密集して起こり、それを修復する際
に間違ったつなぎ直しをすることで遺伝子が組み換えられてしまうことによっ
て生じる。これは内部被曝で増大し、がんや様々な病気、体調不良を起こす。

内部被曝の恐ろしさ
 原発事故で発生する放射線はアルファ線、ベータ線、ガンマ線で、それぞれ
性質が違う。アルファ線は重い粒子で最もエネルギーが多く、大気中では
45ミリメートル程度、体内では40マイクロメートル程度しか飛ばない。ベータ
線は高速電子で、空気中では1メートル程度、体内では1センチメートル程しか
飛ばない。ガンマ線は電磁波で、空気中では70メートルほど飛び、人体の体を
突き抜けるが、分子切断は少ない。
 外部被曝はほぼガンマ線のみであるが、内部被曝の場合は体の中で発射され
る全放射線に被曝するため、外部被曝よりはるかに多くの被曝をすることにな
る。これが内部被曝の恐ろしさである。
 アルファ線は細胞の中で100分の4ミリメートル飛ぶ間に10万回の分子切断を
し、ベータ線では10ミリメートルの間に2万5千回の分子切断をする。アルファ
線の方が高密度に分子切断をするのだが、放射性原子の半減期を考えると必ず
しもベータ線よりアルファ線の方が危険とは言えない。また内部被曝では生物
的半減期も考えなくてはならないので、放射性原子の種類によって被曝の具体
性が違ってくる。被曝を考える際には内部被曝について理解しなければならない。

ICRPの問題点
 内部被曝の影響を過小評価してきたのがICRP(国際放射線防御委員会)であ
る。ICRPは「経済的・社会的要因」を考慮しているが、それは即ち核戦争や
原子力産業の都合のことを意味している。つまり人の命を守ることを考えてい
るのではなく、政治的な判断をしているということ。
 ICRPの評価を批判しているのがECRR(ヨーロッパ放射線リスク委員会)であ
る。矢ヶ崎氏は「外部被曝と内部被曝を比較するならば、数百倍の危険性を
見積もるべきだ」としてECRRの見解を支持している。
ICRPの評価の元となっているデータは広島・長崎で集められたものとされてい
るが、そこでは内部被曝による犠牲者を徹底的に隠してしまった。核戦略を進め
るためには核兵器による放射線の長期の被害を隠さなければならなかったという
ことである。また、核兵器以外で濃縮ウランを使う道が原発であった。原発と
核兵器は表裏一体のものということだ。

放射能とどのように向き合うか
 矢ヶ崎氏の提言は、「悲観して恐怖のうちに汚染を待つのではなく、怒りを胸
にしっかり収めて、開き直って、楽天的に、知恵を出し、最大防護を尽くしつつ、
やるべきことはすべてやる」ということだ。避難、内部被曝を避ける努力、
リスクの総量を減らし免疫力を上げる努力などだ。カルシウムをたっぷり摂るこ
とでストロンチウムの骨への吸収を減らすなどという例もあげている。

 薄い本ですぐに読めるので、詳しく知りたい方はぜひ本書をお読みいただきたい。

 なお、福島から遠く離れている関東地方などでは被曝によって鼻血や下痢と
いった症状が出ることはないと主張している方がいる。たとえば、大阪大学の
菊池誠氏だ。

 菊池氏は日本保健物理学会の見解を根拠に、関東地方などで鼻血や下痢の症状
が出ることはないと断言している。以下がその日本保健物理学会の見解。

 0.07μSvという空間線量率が継続したとして、これを年間の被ばく線量に換算
 しますと0.6mSv/yとなります。この値は直ちに健康に影響を与えるものではあ
 りません。また自然放射線による年間被ばく量の世界平均は2.4mSv/yです。
 日本平均では1.5mSv/y、またブラジル等では10mSv/yを超える地域もあります。
 また、飛行機に乗るなど高度が上昇すると、宇宙線と呼ばれる宇宙から降り注
ぐ放射線によって被ばくしますが、例えば東京-NY間を飛行機で往復する間に
0.1mSv被ばくすると言われています (参考:放医研HP 放射線影響早見図 
http://www.nirs.go.jp/data/pdf/hayamizu/j/0407-hi.pdf )。このような自
然放射線が鼻血などの原因とは考えられていません。
放射線被ばくによる紅斑(毛細血管拡張)が発症するのは、1回に受ける放射線
量が3~6Gy(GyはSvと同じと考えてください。)のときと言われています。
また、放射線影響研究所のHPに記載があるように、原爆被爆者の皮下出血と
いった急性放射線症についても同程度の線量で、被ばく後数日から数週間にお
けて起こったということです。これらのことから、0.6mSv/yという僅かな被ばく
量の増加で、子どもの鼻血が増加するということはないと思います。
http://radi-info.com/q-1243/より引用)

 これに関して矢ヶ崎氏は以下のように説明している。

 体内にとりこまれた放射性微粒子が鼻の粘膜にくっついてしまえば、鼻の粘膜が
集中して被曝します。この場合、外的に見て傷はないのに多量の出血をもたらす。
目では認められにくい小さな傷がいっぱい作られているのです。同様に下痢や
血便なども、ベータ線などの局所的に集中した被曝を想定すると、放射線を原因
と考えうる根拠が明らかに存在します。
もし外部被曝だけで同じ症状を出させるには、そうとう大量のガンマ線照射をし
なければなりません。なぜならば、外部からまばらにしか分子切断をしないガン
マ線の照射では、鼻の粘膜や小腸の壁に分子切断をする確率が非常に少ないので、
多量のガンマ線を照射することが必要になります。
これに対して内部被曝では、局所的に実効線量が高くなる被曝がおこなわれるの
です。
 医師の方には、内部被曝による影響のいろいろなあらわれ方を、頭ごなしに否定
することを、命を守る医師の使命にかけて、ぜひおこなわないでいただきたいの
です。

 日本保健物理学会は外部被曝しか問題にしていないことがよく分かる。原発を推
進してきた団体の調査結果を引用するなど、御用学会といってもいいだろう。菊池
誠さんをはじめとする「ニセ科学批判」の方たちは、矢ヶ崎氏の見解をどう思って
いるのだろうか。

**********

『内部被曝』購入先
岩波書店販売部 電話03‐5210‐4111
岩波書店ブックオーダー係 電話049‐287‐5721 FAX049‐287‐5742
岩波書店ホームページ http://www.iwanami.co.jp/hensyu/booklet/

またアマゾンの以下のページからも購入できます。
http://www.amazon.co.jp/s/ref=nb_sb_noss?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&url=search-alias%3Dstripbooks&field-keywords=%E5%B2%A9%E6%B3%A2%E3%83%96%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%88%E3%80%80%E5%86%85%E9%83%A8%E8%A2%AB%E6%9B%9D&rh=n%3A465392%2Ck%3A%E5%B2%A9%E6%B3%A2%E3%83%96%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%88%E3%80%80%E5%86%85%E9%83%A8%E8%A2%AB%E6%9B%9D&ajr=0
コメント (1)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

明日に向けて(458)4月30日、「放射能と食の安全」について伏見区でお話します!

2012年04月27日 16時00分00秒 | 明日に向けて(401)~(500)
守田です。(20120427 16:00)

表題にあるように、4月30日に京都市伏見区丹波橋駅そばの呉竹会館で
お話します。新日本婦人の会伏見の方たちのフェスティバルの一環で、
「放射能汚染や内部被ばくと食べ物の安全」のタイトルでお話します。
時間は11時20分から。1時間お話して、質疑応答を15分受け、その後、
別室でも質疑を受ける予定です。よろしければおこしください。

なお今回は、放射能汚染された食材をいかに避けるのかだけではなく、
いかによい食事をするのかについてもお話しようと思っています。
というのは、あるところで、放射能汚染された食材を徹底排除されよう
としている方から、結果として海産物のほとんどをあきらめていること
を聞き、それもまた違ったリスクを作り出してしまうことを感じたから
です。

今、大事なのは、栄養学を踏まえた視点だと思います。なぜかというと、
もともと日本の食事は、栄養学の観点から言って、非常にバランスがよ
く、健康食といえるものが多いのですね。だから一つの参考数字ですが、
OECD各国の「生活習慣病」事情をみると、日本は韓国と並んで、
ダントツのスリム国となっています。心臓疾患などが非常に少ない。
それらもあって、日本は世界最高峰の長寿国です。(もちろんこれには
日本の優秀な医療制度の貢献も大きく関与しています)

この健康食を支えている大きなものが豊富な海産物です。なので海の幸
を使った食事は、体に大変良いのです。ところがその私たちの恵みの海
に膨大な放射能が垂れ流されてしまった。そればかりか今もなお、垂れ
流されているわけです。何度も許せないという思いがこみ上げてきます
が、問題はそれですべての海産物を摂取しないようになると、それは
それで健康上のリスクが大きくなるということです。

ではどうするのか。測って、安全を確認して食べる。もう少し強調すれば
安全を確認したら、できるだけ積極的に食べることが必要だと思います。
現状では、西日本、とくに九州近海の魚などは安全性が高いですが、それ
もこの先どうなるか分からない。だからこそ、測定の充実が今後、ます
ます重要になります。

ただしここで重要な問題が浮上してきています。測った数値をどう解釈
するのかです。せっかく測っても、そこで内部被曝の脅威をまったく
評価していないICRPのものさしをもってきてしまっては、「安全」
「安全」のオンパレードになってしまう。だから測ることと同時に、
内部被曝のメカニズムをきちんと学び、これを隠してきたICRPへの
批判的視点を養っていくことが大事です。

今回は、こうした点についてもお話しようと思っています。可能な方は
ぜひご参加ください


**************

新婦人 サークル発表会&体験会
伏見フェスティバル

~新婦人50周年記念 私たちにできること~ 
     
にちじ  2012年 4月 30日(月)
ばしょ  呉竹文化センター 創造活動室・2階会議室・和室 
ないよう
10:00~  オープニング  南京玉すだれ キッズソーラン
10:15~  サークル発表
コーラス・フラダンス・英語・俳句・着物リフォームなど
11:20~  学習講演会 
   「放射能汚染や内部被ばくと食べ物の安全」 
講師 守 田 敏 也 氏  

12:35~  お昼休み(2階会議室にて)
豚汁・産直米ごはん・珈琲あります。マイ箸・食器 ご持参ください。
*スペースが狭いいので、30分ずつ 2交代で食事・交流をしましょう。
13:40~ 体験会 (要材料実費)
       デコアート・英会話・ロミロミマッサージ、笑いヨガ・着付け
        忍者コーナー・折り紙コーナー                              
15:00~ フィナーレ 大抽選会
       

作品展示、実演、販売もあります。
絵手紙・ぬりえ・絵画・編み物・裂織・書道・陶芸・パッチワーク・布ぞうり
・ビーズ・おりがみ・トールペイント・エコクラフト など手作り作品いろいろ
                                        
お問合せ 新婦人伏見支部 TEL 621-5598      




コメント (2)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

明日に向けて(457)命を大切に、正しく生きて、放射線に負けるな(肥田舜太郎さん談)

2012年04月26日 23時30分00秒 | 明日に向けて(401)~(500)
守田です。(20120426 23:30)

4月22日に、「市民と科学者の内部被曝問題研究会」第1回総会と、記念講演、
シンポジウムが行われました。僕も参加しましたが、この日の会合を持って
いよいよ内部被曝問題研は、その歩みを開始しました。僕もその一員として、
放射線防護を少しでも高め、より多くの人々を被曝から守るために、なお一
層の努力を傾けてまいります。どうかみなさん。ご支援をよろしくお願いい
たします。

総会に続く、記念講演会では、名誉会長に選出された被爆医師・肥田舜太郎
さんがいつものようではありながら、毎回、胸を打たれる素晴らしい講演を
してくださいました。肥田さんはこの中で、被曝した人にどう接するのかを
語られています。いったん被曝してしまったら、現代医療では治すすべがな
い。でも放射線の害と闘って、病気を押さえ込むことはできる。努力をして
生きようと、精一杯、励ますことが大事だと言うのです。

そのためには、「あなたの命がとても尊いものだということ、その命を大切
にしなさい」と問うことが核心だと肥田さんはいいます。だから「漫然と生
きてはいけない。理想的な健康的な生活をめざさなくてはいけない。正しく
生きて、放射線に負けるな」と、励まさなくてはいけないといいます。


・・・実は僕も今、昨年1年間の激しい活動の中で、体を壊してしまってい
ます。多くの人がそうだったと思うのですが、昨年1年間は、われを忘れて
走りぬける、そんな1年間でした。しかしその間に、疲労が蓄積し、それが
病を生み出してしまってもいます。被曝の影響も多少はあるでしょうが、と
もあれ僕は今、免疫力を落とした状態にいます。

そんなことではいけない!肥田さんの言葉が胸に染み込んできました。昨年
7月にお会いしてから、さまざまな機会を捉えて、肥田さんの言葉を伝えよう
としてきましたが、その僕自身が、もっと自分の体を、命を、大切にしなけ
ればいけないと痛感しています。僕が守りたいと思っている一つ一つの命と、
僕の命は同じであり、その僕の命を僕が守ることを通じて、僕はよりたくさ
んの命を守っていきたいと切実に思いました。肥田さんの発言に、感謝した
いと思います。

みなさんにもシェアしていただきたくて、発言を起こしましたが、話し言葉を
書き言葉に直す為に、僕が言葉を補いました。文責は僕にあることを踏まえ
てお読みください。なお動画のアドレスも貼り付けておきます。

**********


市民と科学者の内部被曝問題研究会 第1回総会記念講演
名誉会長 肥田舜太郎さん
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/12438
http://www.ustream.tv/recorded/22041423

ご紹介いただいた肥田舜太郎です。長い間、待望していた、みなさんのような
優秀な方々による内部被曝問題研究会が発足しまして、おそらくこれは世界で
初めてだと思います。核兵器に関心を持っている国、あるいは現在、原発を動
かしているどこの国でも、内部被曝の問題はほとんど知られていません。特に
国民のみなさんには、まったく伏せられています。それは、やはり放射能とい
うものを利用して、金を儲けようという側にとっては、その被害が詳しく知ら
れるのは最も恐ろしいことだからです。だから全精力をあげて、内部被曝は
害がないと、地球上のすべての国でそう思い込むようにやってきました。

私は広島で軍医をしていて、自分も被爆をしたのですが、偶然、命が助かりま
した。しかしその瞬間から、殺された人、焼き殺された人、そういうのをいや
というほどみてきました。ですから、あの爆弾が原爆だということわかって、
その原爆が放射線を出すということがわかるまでには、少し時間がかかりまし
たけれども、基本は放射線が主力の殺人兵器だというふうに私は認識していま
す。そして67年間、今でも私に相談にくる被爆者がいますから、ほとんど後半
の半生は全部、被爆者のために生きてきたといっても、過言ではない生活を
送ってきました。

それほど卓越した医者でもありませんし、学問的にもそれほど深いものを持っ
ているわけではない。平凡な町医者です。研究をすることは時間がなくてでき
ません。症例だけはたくさん持っている。そしてそれを今、振り返ってみると、
他人が見てああこの人は被爆したんだなと、ケロイドがあったり、やけどをし
た痕が残っている人がいます。そういう人ももちろん、大変な苦しみを味わっ
たのですが、内部被曝を受けた人には、外からみたのではなんの証拠もない。
具合が悪くて医師にかかっても、日本の医師で内部被曝を知っている医師は当
時、ほとんどいませんでした。

ですから検査をしたり診察をしても、彼らの持っている医学知識ではどこにも
異常が認められない。必然的に「あなたは病気ではない」という言葉が出る。
医師は自分が学んできたことに基づいて、検査の成績にせよ、診断の結果にせ
よ、どこかに異常があって、それが心臓なり、肝臓なり、すい臓なり、腎臓な
り、どこかの内臓に疾患があると判断がつけられない限り病名がつけられない。
ですから私のところに泣いて相談にくる大部分の人は、どんな大きな病院にい
って、有名な先生に診てもらっても、あなたには病気はないといわれたのです。

「自分がこんなに苦しんで、まともには生きていけないほど体が悪いのに、な
んで医者が診て、病気でないと言えるんですか。」そういってみんな怒ってき
ます。私はそういう患者ばかりをずっと診てきました。そしてできることは、
本人を励まして長生きさせることだけです。その状態を治療する方法がわから
ない。だから結局は本人に健康を守るような生活を指導して、一緒に長生きし
ようと言うことしかできなかった。

被団協という日本で唯一の被爆者の組織に加わりまして、たった一人の被爆医
師でしたから、結局、私がやった仕事は、20万、30万の、生き残った被爆者の
長生きをはかることでした。放射線のいたずらに抵抗して、健康を守って生き
抜く。これが私の任務だなと思ってそういう仕事をしてきました。ですから今、
日本中を歩いて、いろいろな話を頼まれてますが、みんなが私に要求するのは、
「どうやったらこの子を長生きさせられるのか」、「この女の子を結婚させて
子どもがちゃんと生まれるでしょうか」、「私もまだたくさん生きて、面倒を
みなければならない、長生きできるでしょうか。どうやって生きたらいいのか」
ということです。

だからたくさんの専門家の人が「事故を起こした発電所から、できるだけ遠く
に行って、放射線の来ないところで行きなさい。あとは水と食べ物を、絶対に
汚染されていないと確かめたものだけを食べなさい」と、そういう指示をする。
みなさんもそういう話をテレビで見たと思います。それができる人が何人いる
のか。大部分の人はできません。できないことを教えたって仕方がない。だか
ら私はみんなにできることを言います。それを言ってくれる医者だということ
で、全国から来てくれ、来てくれと話がくるのです。

それは私が被爆者として、たくさんの被爆者仲間を、ガンや白血病にかからな
いで、寿命の限り長生きさせようという運動を、何十万の被爆者と一緒にやっ
てきた経験があるからです。結論から言えば、自分の健康を守って、自分の命
を何より大事だと本当に思って、その命を損なわないような、理想的な、健康
な生活を意識的に努力してやる以外にない。それしかない。私はたくさんの
被爆者とそういう運動を続けた経験から、確信をもってそういいます。ほかに
名案はない。

もう一つは、「自分と自分の子どもだけは幸せになるという考えを絶対に持つ
な。幸せになるなら、みんな、同じ母親と子どもが、みんな幸せになる道を考
えろ。それには努力をして、日本中の原発を全部とめる。それと世界中の核兵
器をなくして、日本の国がんまたまた核戦争に利用されるようなことは絶対に
しない。それには勇気を持って、アメリカに帰ってくれと言うことなんだ。
そこまで突き詰めなければ、この原発問題は片付かないよ。」とそういう話を
して歩きます。

これは思想でもなんでもない。「いまある原子爆弾の放射能という、余計なも
のの被害で苦しんでいる状態から抜け出そうと思えば、一番それを妨害してい
るアメリカさんに帰ってもらう以外にしょうがない。原発どころじゃない。
核兵器まで持ち込んでくる。そんな手合いは、もう戦争は終わって、67年経っ
て、もうそのときの償いは、十分われわれはしてきた。明日からまだまだ奉公
しなければならない理由は何にもないんだ。そういう覚悟が決まれば、あなた
は、放射能と闘って生きる勇気が持てる。」そういう話をしてきます。

みなさんはもうとっくにご承知だと思うのです。直接、外部被曝を浴びる場合
は、放射線の強さに一定の条件がある。皮膚を貫いて中まで入るだけの、そう
いう放射能の強さがなければ、外部被曝で人間の体に害を与えることはできな
い。しかし内部被曝の場合は、放射線の量、大小は無関係、どんな少量でも
入ったら最後、被爆者なんです。入った放射能はたくさんだから危ない、少量
だから大丈夫などということはまったくない。

アメリカは、入った放射線が、内部被曝は微量だから、人間の体には害を与え
ないという何の根拠もないうそを、落とした瞬間からつき続けてきた。たくさ
んの人がそれに惑わされ、たくさんの大学教授が、研究もしないで、内部被曝
は量が少なければ安全だと今でもまだ思ってます。

私は、広島の被爆者の、同じところで、同じ状態で被爆をした人間が、片方が
3日後に死に、片方が今日まだ生きている例を知っています。人によって違う
のですね。つまり放射線と人間の関係は、その放射線と、今それを受けた人間
の健康状態の関係で、それが、その人の将来を決める。同じ状態が起こっても、
みんな被害が違う。それをたくさん私は経験しています。福島の人に何マイク
ロシーベルトでどうのこうのといろいろな意見が出ていて、全部同じように、
あなたの子も、向こうの子も、その向こうの子も、同じような条件で被曝をし
た。しかし明日からこの子達に起こってくる運命は一人ひとり、みんな違う。
こっちは100まで長生きするかもしらん。こっちは悪いけれども高校生のと
きにガンが出るかもしれない。それはその子の本人がもっている、被曝したと
きの健康状態によって違うのです。だから基本は、放射線が体に入ったけれど
も、その放射線が悪さをして、体の中であっちこっち悪さをしながら、時間を
かけて病気を作っていく。それを作らせないようにすれば長生きできるんだ。
日本の広島・長崎の被爆者はみんなそうやって長生きしてきました。

「だからあなたがたも、なんとなく生きているという生き方ではなくて、明日
から自分は正しく生きるんだ。放射線には負けない。そう思って、飯の食い方
から、夜の寝方から、トイレのいき方から、セックスまで、何もかも自分の行
為が、度が過ぎないようにすることが大切だ。許された自然の健康を守る生活
に慣れ、お酒も過ごさない、タバコは今日限りやめる。悪いといわれたことは
全部やめる。そういう生活にあなたもちゃんと見習って、子どももしつける。
そういう生活を明日からしなさい。それがかったるくて嫌なら、遠慮なく放射
線に負けて、死んでください。」そういう話をして歩きます。そこまで言わな
いといけない。ただ、放射線が怖いものですどうのこうのと、学者の先生が話
すような話をしても、今の本当に心底心配している母親の悩みはとまりません。

原発というものが、こんなに恐ろしいものだということ、その本当の恐ろしさ
はまだ出てない。放射線の恐ろしさの一番深いところは、医者が診ても病気だ
とは思えない。しかし本人は苦しくて活動ができないところです。それを悩ん
で自殺した被爆者はたくさんいました。会社に務められなくなって、あいつは
怠け者だと言われて、自分では働く気が十分ありながら、自分は爆弾にあった
んだと誰に訴えても分かってもらえない。人間こんなに苦しいことはないです
よ。本当に。

57歳のときに私のところにたずねてきた被爆者がいます。22歳のときに広
島で被爆をして、数週間経って、ぶらぶら病がでました。でも軽くて、何日か
たって治った。そのまま、なんともなしに57歳まできた。それで中小企業の
社長さんでたくさんの人を使って、それが1980年ぐらいに、ちょうど原爆が落
ちて35年経ったときに、急にぶらぶら病が出てきた。毎日、5つある自分の
工場をまわって、みんなを励まして、段取りをつけるのが社長の役目だった。
ところがそれが回れなくなった。かったるくて。

それで新潟の人なのですが、東京の病院にいって、ありとあらゆる医者に診て
もらった。でも「何ともない」と言われた。どうしても納得がいかなくて、
東大まで診てもらいにいった。ホテルを泊って。そして3日たってやっと診て
もらえて、何日か検査をして、何日になったら来なさいと言われていったら
「あなたには病気はありません」と言われた。「どうしてですか。私はこんな
に悪いのですけれど」といったら「私はどんな人を診ても、病気を見間違うこ
とはありません。あなたを診て病気はない。誰が見ても私の検査はまっとうだ
し、検査の結果は間違いではない。だからあなたは病気ではありません」と言
われ、帰りに埼玉県のこういうところに行くと、詳しい医者がいると聞いて、
私のところにきて、かんかんに怒るのですよ。

「なんぼ偉い、東大の先生か知らんが、世界中の人間の全部の病気が分かるわ
けはなかろう。てめえがわかんないときは、わかんないといえばいいじゃない
か。なんで病気がないなんて言うんだ」とかんかんに怒って僕のところにきま
した。それはその通りなのです。そのお医者さんの考えは間違っている。それ
で「あなたの病気はこうこうこういうわけで、いまの医学ではどうしようもな
いし、体が悪いということもわからない。治す方法もなければ、入った放射能
をつまみ出す方法もない。あなたが自力で自分の意思で、命を守って生きるし
かないんだという話を、2時間くらい話しました。それで納得して帰っていき
ました。それから毎月、報告書をよこしました。「先生に言われてこういう生
活をしています。」それでだんだんその症状が薄れて、結局、最後はガンで
亡くなりましたけれども、長いお付き合いをしました。

ぶらぶら病というのは、僕らはぶらぶら病という名前しか知りませんけれども、
患者さんの家族がつけた名前ですが、これが福島に、悪いけれども、でるだろ
うと私は推定しています。というのは、被曝した放射線は、広島と長崎と同じ、
ウラニウムとプルトニウムを混ぜ合わせたものがプルサーマルで使われて出て
きている。だから広島と長崎で経験したことは、必ずこの人たちにも起こって
くるだろう。まとまった始まりはおおむね3年後ぐらいだろうと推定していま
す。でも残念なことに、もう始まっています。何人ものお母さんの、脱毛が始
まっています。

放射線の疾患の特徴は、粘膜出血、高熱、それから口の中が口内炎になり、ど
んどん悪くなって腐ります。それから柔らかい皮膚に紫色の斑点がでる。最後
に、頭の毛が抜けます。抜けるというより取れるのです。手をもっていくとそ
の下の毛がすっと取れる。わたしのところに、福島の相馬の4人が、先生の書
いた本にある脱毛が始まったみないだと言ってきています。だからあと一年ぐ
らい経つと、被害がもっと出てくるのではないかと心配しています。

心配する理由は日本中の医者がみな、どの医者も、一人も、内部被曝の症状を
診たことがない。放射線被害について、何の知識も持っていないことです。
政府の力で、被爆者を診て正しい指導ができるように急速に体制を作らないと
医者も困るし、患者さんも気の毒な状態が作られます。しかしそういう心構え
も準備も、今の日本の中には何もない。みなさん自身が、現地のお母さんがた
から、「明日からどうすればいいか」と聞かれたときに、恐らく、自信を持っ
て、こう生きれば大丈夫だよといえることは持ってないでしょう。自分の努力
で生きる以外ないのですよ、放射能の被害は。だから自分が自分の命の本当の
主人公である。そういう思いを持っているものは誰もいない。朝起きて、ただ
自然に生きている。それを思い直して、今日一日、自分は放射線に負けないで、
生き抜くんだという意志を持って生きる。この努力が、私は放射線と闘って生
きる一番大事な要素だと経験上、思っています。

もう時間が来ました。

みなさんがこれからできる一番、大事なことは、孫子、ひ孫のために、日本の
すべての原発を止めて、きれいにした日本を残すということが一つ。もう一つは、
今、被曝をして苦しんでいる人を励まして、元気よく、明るく生きれる道を一緒
に作ってあげることです。つまり被曝した人は助けが欲しい。医者もだめ、薬も
だめ、何もだめとなったら、やはり背中をたたき、腰を支えて、一緒に生きよう
という人をたくさん作らなくてはいけない。それには、放射線に関心を持ったみ
なさんが学んで、そういう人間になっていただくほかにはない。そう思って、
私は95歳でも、負けないで、毎日、講演をして歩いています。だからみなさん
も、私の話を聞いた後、そういう立場で、被曝者に対し、励ます人間として立ち
向かって欲しい。そうお願いして、私の話を終えます。
コメント (2)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

明日に向けて(456)大飯原発再稼動反対!政府は放射線防護を徹底せよ!

2012年04月21日 13時00分00秒 | 明日に向けて(401)~(500)
守田です。(20120421 13:00)

大飯原発再稼動を止めるため、また放射線防護を強めるため、この週末
から月曜日にさまざまな取り組みがあります。以下、紹介します。

一つは4月18日より、京都の「使い捨て時代を考える会」の方たちを中心に
行われている、原発の運転再開に反対した関西電力京都支店前での座り込み
とハンガーストライキです。泊原発が泊まる来月5日まで、朝から夕方まで
交代で行っています。
下記よりNHKのニュースが見れるのでご覧ください。
http://www.dailymotion.com/video/xq7jk5_yyyyyyyyyyyyyyyyy_news

******

続いて、明日、22日に京都で計画されているデモの紹介です。
僕が参加している「脱原発を京都から!勝手連」も参加します。

緊急告知!「大飯原発ぜったい動かすなデモ!」再び!
【大飯原発ぜったい動かすなデモ!】


日時:4月22日(日)12:30京都市役所前集合 13:00出発(雨天決行)

集合場所:京都市役所前集合

ルート:京都市役所前出発 → 円山公園

主催:原発ゼロアクション in KYOTO
   京都・水と緑をまもる連絡会
   脱原発を京都から!勝手連
   脱原発・洛北の会

   ※ さらなる共催団体大募集!

HP:http://kyoto-energy-shift.tumblr.com/
Twitter:@ZEROinKYOTO
連絡先:energy-shift@hotmail.co.jp

趣旨:

京都・滋賀にお住まいの皆さん、今こそ声をあげましょう。

 政府は福井県・大飯原発を「安全」だとして、原発立地地元である福井県と
大飯町の合意さえとれれば原発を四月中にでも再稼働させるつもりでいます。
しかし、その大飯原発がもし事故を起こしたときに汚染被害を受けるのは、
福井県だけじゃありません。実際、福島第一事故の汚染被害範囲を踏まえれば、
京都府と滋賀県だって十分「被害地元」になります。それにも関わらず、僕ら
京都府民や滋賀県民の声は無視して、勝手に原発を動かそうとしています。

 誰も一度汚染された大地やびわ湖を元に戻すことなんてできないのに、政府
は軽々しく「政府が責任をとる」なんて言わないでほしい。僕らにはこの街に
住むものとして「ここを汚すな」という権利があります。「京都を汚すな、
びわ湖を汚すな。無視して勝手に動かすな。」と政府がわかるまで声をあげ
続けなければなりません。

 このような京都府民と滋賀県民を馬鹿にした政府の態度に、今こそ怒りの声
をあげましょう!

※持ち物について、プラカードをいくつか用意しているので手ぶらでも構いま
せんが、せっかくなので自らお作りになったプラカードなどをぜひお持ち寄り
ください!また、音だし楽器、仮装なども大歓迎です!

************

さらに23日月曜日に、京都に経産副大臣が来ることに合わせての
抗議行動が予定されています。

23日(月)15時から1時間、京都に経産副大臣が来て、
山田京都府知事に大飯原発の再稼動について
説明することが確定したそうです。
滋賀への説明は午前11時だそうです。

23日14時に京都府庁前に集まって、
とにかく、京都も滋賀も「地元」だと認めさせ、
ピークカット・ピークシフト、自家発電等の買い上げ努力を迫るともに、
私たち府の住民は、「節電」「省エネ」何でもして、
絶対に再稼働は許さない!という、
強いアピールを発信しましょう!

*************

東京でも大飯再稼動に反対した、経産省前の集団ハンストが取り組まれています。
内容に関しては、以下の毎日新聞記事をご覧ください。
http://mainichi.jp/select/news/20120418k0000m040063000c.html

******

こうした動きの一方で、すでにお知らせした、本日の講演会、明日の、「市民と
科学者の内部被曝問題研究会」総会と記念講演、シンポジウムに続き、月曜日には、
矢ヶ克馬さんによる主に弁護士さんを相手とした学習会が、弁護士会館で行われ
ます。僕は月曜日にはこの会合に出席します。


東京弁護士会・消費者問題特別委員会 食の安全部会勉強会

名称:「ふくしまの放射能汚染について
 --ふくしま集団疎開裁判の中で明らかにされた事実--」


趣旨: 疎開裁判は、福島地裁郡山支部(一審)で「チェルノブイリ事故によ
る健康被害との具体的対比」からふくしまの未来を予測し、警告しました(矢
ヶ崎意見書〔抜粋〕・松井意見書〔抜粋〕参照)。しかし、私たちの予想を超
えて、半年を経ずして、その予測・警告は現実のものとなりました。すでに心
筋梗塞で3名の高校生が亡くなったと言われています。昨年10月の甲状腺検査
の結果、南相馬市など4市町村の子供たちの約30%にしこりや嚢胞が見つかり、
札幌に自主避難した郡山市の子供にも甲状腺のしこりが見つかりました。もは
や「チェルノブイリからの警告」ではなく「ふくしま自身からの警告」が始ま
りました。
 ふくしまで始まったこれらの新たな放射能汚染の事態を警告したのが2月末
に仙台高裁(二審)に提出した矢ヶ崎意見書(4)(別紙参照)です。
 作成者の矢ヶ崎克馬氏自身から矢ヶ崎意見書(4)が提起した重大な警告の意
味について解説してもらいます。

開催日時:2012年4月23日(月)午後1時~3時

場所:弁護士会館5階501会議室(東京)
 
講師:矢ヶ崎克馬 氏(琉球大学名誉教授)

ふくしま集団疎開裁判
http://fukusima-sokai.blogspot.jp/

刑事訴訟を目指す弁護士さんにも連絡、参加を呼びかけれおります。

*********

以上、京都と東京の動きしかお伝えできませんが、各地でさまざまな取り組みが
あります。みなさん。それぞれの現場で頑張りましょう!







コメント (1)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

明日に向けて(455)原発直近の「がれき」まで焼却されようとしている!(内部被曝問題研パブコメの紹介)

2012年04月20日 10時00分00秒 | 明日に向けて(401)~(500)
守田です。(20120420 10:00)

4月13日に「放射性物質汚染対処特措法施行規則の一部を改正する省令」の公布が
行われ、施行が開始されました。
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=15114

この「改正案」は4月3日に突然でてきて、パブリックコメントを募集するも、9日
に締めきり。しかも明からにその内容的検討など経ずに公布がなされたものです。
民主主義を踏みにじる暴挙であり、抗議の意志を表明します。

内容的にも、原発直近で発生したがれきや廃棄物をも広域処理にまわそうとする
ものであり、断じて許されるものではありません。同時に、政府によるこれまで
の「がれき」受け入れの地方自治体の強制の前提も大きく崩れだしたことに注目
すべきです。

まずは「汚染の少ないがれき」を受け入れさせ、徐々により汚染の多いものに
変えていく意図もかいまみえています。私たちはすでに受け入れを表明した
自治体に対して、この点を強調し、政府がこれまで認めていなかった、原発直近
の廃棄物の処理まで強引に省令化したのだから、これまでの説明の前提が覆され
たに等しい、検討を白紙に戻すべきだということを訴える必要があります。

この「改正案」が出された時点でたくさんの方からパブリックコメントが提出さ
れましたが、僕が所属する「市民と科学者の内部被曝問題研究会」もコメントを
発しました。放射性廃棄物の焼却処理全般に関する批判の文章でもあり、問題点
がコンパクトにまとめられているので、ここに紹介したいと思います。

・・・それにしても私たちの政府はなんてひどい手口を使うのでしょう。市民の
善意に付け込んで、「これは汚染が少ないから」といいつつ、その裏ではもっと
危険性の高いものの流通の糸口をこっそりとつけていく、まるで悪徳商法のよう
な手口です。こんな政府をもってしまったことに本当に深い嘆きと憤りを感じま
すが、その姿が分かった以上、変えるのが私たちの務めです。

ちなみに私たちの国の憲法には次のような条文があります。
「第12条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつ
て、これを保持しなければならない。」

・・・「国民」がというところは大きな限界で、「市民」ないし「人民」に
早く変えたいと僕は思っていますが、ともあれ、私たちの自由及び権利は、私た
ちの不断の努力によって、保持されるべきものだということは、まったくその通
りだと思います。民主主義とは民主主義を守る義務を含むものです。

以下、内部被曝問題研の声明をご覧ください。

**********

「放射性物質汚染対処特措法施行規則改正案に対する意見」
http://blog.acsir.org/?eid=20

環境省の改正案:「事業活動に伴い生じた廃棄物については、対策地域内廃棄
物から除外し、当該廃棄物を排出した事業者が、事業系一般廃棄物又は産業廃
棄物として、自ら処理を行うこととする。」

●意見の要約 :
本改正案は、全国の住民に無用な放射線被曝を強制する人権無視の法案である。
特に子どもや胎児の健やかな成長を第一に考えるべき国の本来の政策の対極に
あり、絶対に容認できない。

●意見及び理由 :
<意見> 警戒区域・計画的避難区域内の放射能汚染度の低い残留物や廃棄物で
あってもこれらを一般廃棄物あるいは産業廃棄物として処理してよいことにする
規則改正は、絶対に容認できない。

<理由> この改正案には、以下のような問題がある。

(1) (放射能物質処理の一般原則)
放射性物質は、封じ込め、拡散させないことが国際的な原則である。放射性
微粒子による内部被曝は少量といえども大きな危険が存在することは常識となっ
ている。従って、放射能に汚染された物は「拡散してはならない、燃やしてはな
らない。」これが人間の命と環境を保護する鉄則である。

1)放射能汚染された廃棄物を汚染地域外に持ち出すことは、いのちに危害を及
ぼす放射性物質の存在地域を広げることであり、持ち出しはしてはならないので
ある。放射性物質を原発では「封じ込める」ことに務めていたはずが、いったん
爆発して外に出ると「拡散させる」は如何に不見識で乱暴な行為であることかを、
法治国家として認識すべきである。

2)放射能汚染度が高いところに野積みにされたりした廃棄物には放射能汚染が
あることは言うまでも無い。本特措法はこれら高度の放射性汚染物質を汚染の低
いところに持ち出すことであり、行ってはならないことを「法」の名を持って、
実施させることであり、かかる規則改正は行ってはならない。

3)廃棄処分される多くの場合いったん焼却される。焼却処理すると2次被害を作
り出す。瓦礫に放射性物質が付いているままでも、大気、地下水、漂流水、海水、
土を介して自然生活環境を汚染するので、汚染物と自然生活環境は遮断しなければ
ならない。しかしこれを燃やすと、さらに厄介な健康障害の原因物質が生み出され
る。吸い込んだり食べたりできる姿に変えてしまうのである。放射性微粒子が空気
中に広がったり、残灰が一般ごみと同じ処理をされて、再利用されて生活の場を
被曝させる状態に持ち込むことは、厳禁である。生活の場近くに再利用されたり、
田畑にまかれたりすることはさらに被曝を住民にもたらすこととなる。焼却という
2次被曝の操作だけでなく、一般ごみと同様に処理することは、焼却と同様な2次
被害を及ぼすこととなり、放射能汚染物質の処理の原則に反する。

いのちと環境を守るための鉄則を破り、国や行政が決して行ってはならない「市民
の健康を傷つける可能性」を開き強制する本特措法案は、誠意と配慮に欠けた最悪
の法案である。

(2) (つじつまの合わないダブルスタンダード)
我が国の現状は、事業所(原子力発電所)内から排出される放射性セシウム
(Cs-137 )が100ベクレル/キログラム以下(「原子炉等規制法」)の低レベル
放射性廃棄物は、ナベやフライパンなどの台所用品や公園のベンチなどにリサイク
ルすることが認められている(クリアランス制度)。この点は、去る3月26日衆議
院第一議員会館で開催された環境省交渉でも、厳しく追及されたきわめて重大な
問題点である。ヨーロッパでは、1997年クリアランス法がEU議会に提出されようと
したとき、低レベル放射性物資による内部被曝の危険性に留意して、放射性物質の
拡散を容認する同法案は阻止されたという経緯がある。クリアランス制度は国際的
にも厳しく批判されている制度である。本来、日本政府も、本「放射性物質汚染
対処特措法」はもとより、放射性物質のクリアランス制度も廃棄するべきである。

ところが、政府は、昨年6月、事業所外では放射性セシウムが8000ベクレル/キロ
グラム以下の廃棄物について、一般廃棄物最終処分場(管理型最終処分場)での
埋め立て最終処分を認め、8月には8000ベクレル以上、10万ベクレル以下の焼却灰
などまで一定の条件下の管理型最終処分場(ビニールシートなどによって地下水へ
の移行が遮断されるというが、ビニールシートなどの劣化は早く、地下水は早晩
放射性物質によって汚染されると考えなければならない)への最終処分を認めた。
さらに12月には、管理保管できる遮断型処分場の場合は10万ベクレルを超えるもの
まで処分できるようにした。遮断材であるコンクリートの寿命はたかだか数十年
であることを考えれば、このような措置は市民の健康と環境保護の視点に欠ける。

そもそも、わが国の現状は、原子力施設外の市民生活の場における汚染許容基準が
原子力施設内の80倍から1000倍以上という、完全に転倒したダブルスタンダード
(二重基準)が野放し状態になっており、決して容認できるものではない。

(3) (住民の健康と環境こそ守るべき本体)
放射能汚染度が極度に高いために設定された警戒区域・計画的避難区域から出る
廃棄物を、「事業系一般廃棄物又は産業廃棄物」として処理することは法理に反
するものである。

そもそも政府は憲法25条に基づき、国民の文化的で健康に生きる生存権を保護し、
その忠実な実施に徹すべきであるが、上記のような措置は、国民の命と環境保全
をあまりにも軽視するものである。

一般市民が「事故が起こったから放射線に対する抵抗力が20倍になる」はずはな
いが、政府は事故直後、公衆に対する被曝限度値を1ミリシーベルト/年から
20ミリシーベルト/年に引き上げた。この特措法はそれらと同様、法の視点か
ら国民保護を捨て去ったものであり、許されるものではない。

(4) (特に焼却処理について)
現時点での放射性物質の主成分は放射性セシウムである。セシウムの沸点は他の
多くの金属類と比較して低く、678℃ほどであり、融点は28.4℃である。(融点
以上ではセシウムは液体であり、沸点以上では気体となる。)一般焼却炉では
ダイオキシン発生を避けるために燃焼温度を800℃くらいに保つ定温燃焼をして
いる。しかし、800℃では放射性セシウムは完全に気体状態になる。とくに問題
なのは蒸気圧の高さである。蒸気圧とは、例えば、水は100℃で沸騰し、それ以下
では液体であるが、100℃以下でも空気中に気体状態の水分が含まれている。通常
空気中に含まれる水分を“湿度”と呼び日常生活に溶け込んでいる。これと同様
に、バグフィルターの通過ガス温度約200℃でも放射性セシウムは100パスカル
(1000分の1気圧)ほどの蒸気圧があり、これら気体状態の放射性セシウムは
バグフィルターに捕獲されることはない。

さらに、融点が28℃近辺と低いことは放射性セシウムの原子としての結合力が低い
ことを意味し、200℃ほどのバグフィルター通過温度では、仮に放射性セシウムが
単体であるとした場合は液体であり、固体微粒子となる他の物質に比べて極めて
通過しやすい。他の原子などと結合して、微粒子になるとしても原子の結合力が
他の大方の金属等に比べて弱いために、大きい微粒子は形成しにくい傾向にある。
一般のごみ処理用に設計されているバグフィルターでは、かなり大量に空気中に
漏れていくことが予想される。

加えて、セシウムに比べ骨や歯への蓄積性はるかに高いストロンチウム90や極め
て毒性の強いプルトニウム239を無視した現行の対応は、決して容認できるもので
はない。

以上のように一般ごみと同様に焼却する場合には、セシウムの漏洩は大量である
ことが予測され、放射性がれきの汚染ゴミも一般焼却炉では処理してはならない。
従って、本法案が前提としている「一般ごみ同様に」処理する方法には大きな
問題がある。もし、焼却する場合の鉄則は専用炉で行わなければならない。
依って本施行規則改正案は認められない。

以上

2012年4月9日
市民と科学者の内部被曝問題研究会
(略称 内部被曝問題研)
代表 澤田 昭二
コメント (1)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

明日に向けて(454)4月21日(土)、3つの企画へのお誘い

2012年04月19日 22時30分00秒 | 明日に向けて(401)~(500)
守田です。(20120419 22:30)

4月21日にある二つの企画へのお誘いです。一つは「京都みなみ会館」で上映中の
映画、「子どもたちの夏チェルノブイリ福島」です。25年が経過したチェルノブ
イリ原発事故と、福島の原発事故を追うドキュメンタリーで、なかなか見ごたえ
があります。上映自身は4月27日まで行われているのですが、21日の上映のあとに
僕が講演をさせていただくことになりました。

13時40分から映画開始。上映は15時30分まで。その後、30分ほどお話します。
映画に即して、とくに福島の今について、僕が見てきたこと、感じていることを
お話しするつもりです。内部被曝のメカニズムとその危険性についてもお話しま
す。お近くの方、ぜひご参加ください。

京都みなみ会館のHPを記しておきます。
http://movie.walkerplus.com/th134/sc494895.html

***

二つ目は「「核兵器のない世界」と「原発のない日本」をめざして 非核の政府を
求める京都の会 結成25周年記念のつどい」
です。

「市民と科学者の内部被曝問題研究会」代表の澤田昭二さんが講演されます。
僕も映画館でのお話が終わってから、かけつけたいと思っているのですが、時間的に
ちょっと無理かもしれません・・・。ともあれスケジュールを紹介します。

日時:4月21日(土)16時―17時45分
場所:京都教育文化センター103号室
〒606-8397 京都市左京区聖護院川原町4-13 TEL:075-771-4221

参加費(つどい資料代):500円

記念講演:澤田昭二(名古屋大学名誉教授、日本原水協代表理事)
「核不拡散条約体制から核兵器禁止条約体制へ
―広島・長崎と福島の被曝から考える―」

ミニ講演:山下正寿さん
(元高校教師、高知県太平洋核実験被災支援センター事務局長)
「ビキニ事件・福島原発被災と教育」

以下からチラシが見れます。
http://homepage2.nifty.com/hikaku-kyoto/25syuunenbira20120322.pdf

***

もう一つは東京で行われる「低線量被曝に向き合うーチェルノブイリからの教訓ー」
と題した講演会です。市民と科学者の内部被曝研究会と東京大学・北海道大学との
主催で、行われます。僕は参加できませんが、東京近辺の方はぜひ!

日時:4月21日(土)14時ー18時
場所:東京大学弥生講堂
(地下鉄南北線東大前駅から徒歩1分、千代田線根津駅から8分)

資料代:1000円(一般)500円(学生)
どなたでも参加できます。

講師:Y.ステパーノヴァ(ウクライナ国立放射線医学研究所小児放射線部長)
   「チェルノブイリとウクライナの子どもたちの健康(25年の観察結果)
講師:M.マリコ(ベラルーシ科学アカデミー主任研究員)
   「チェルノブイリ原発事故の放射線的・医学的影響」

以下から、チラシが見れます。
http://www.acsir.org/20120422.pdf



コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

明日に向けて(453)市民と科学者の内部被曝問題研究会、いよいよ始動!(4月22日)

2012年04月19日 10時00分00秒 | 明日に向けて(401)~(500)
守田です。(20120419 10:00)

1月に結成記者会見を行った、「市民と科学者の内部被曝問題研究会」が4月22日
に第1回総会と、記念講演・シンポジウムを行い、いよいよその活動を本格化させ
ます。記念講演・シンポジウムにはどなたも参加できますので、どうかお近くの方、
お越しください。豪勢なメンバーの発言があります!
(ただし会場のキャパの関係でメールでの申し込み制です)

内部被曝問題研は、1月以降も、すでに幾つかの緊急声明を出すなどの活動に入って
いますが、今回の総会で、正式に役員を選出するとともに、幾つかの部会を発生させ、
全体での活動と共に、それぞれの専門分野に分かれた活動を展開することになります。
内容については、総会後にまたお知らせしますが、本格的始動とは、これらをもって
の活動のことです。

僕自身も、微力ながらこの会を支える中で、放射線防護活動の大きな発展をつくりだす
ために尽力したいと思っています。みなさまのご協力をお願いします。

なおすでにお知らせしましたが、この内部被曝問題研設立にいたる経緯を、岩波書店
『世界』4月号に「市民と科学者が放射線防護に立ち上がった」というタイトルのルポ
にまとめて掲載していただいています。どうかご参照ください。

以下、案内を掲載します。転載・転送大歓迎です!

***********

市民と科学者の内部被曝問題研究会
第1回総会記念講演・シンポジウムのお知らせ


私たち、市民と科学者の内部被曝問題研究会は、4月22日に初めての総会を持ち、
いよいよその活動に大きく踏み出します。つきましては総会に伴って、記念の
講演とシンポジウムを広く市民のみなさんに公開して行います。
以下、講演とシンポジウムの内容をお知らせしますので、どうかご参加ください。

なお会場のキャパシティの関係で、参加は予約制とさせていただきます。
会員・賛助会員以外でご希望の方は、office@acsir.orgまでメールでお申し込み
ください。先着100名様までとさせていただきます。

なお総会は会員・賛助会員に限っての開催になりますが、その内容についても、
私たちのHPでご参照することができます。
http://www.acsir.org/

***

1)記念講演   14:00~14:30  肥田舜太郎


2)記念シンポ  14:35~18:30  司会・松井英介・西尾正道
   シンポジストからの発言   14:35~17:00
沢田昭二(物理学者)        「放射線内部被曝研究の現状と課題」
矢ヶ崎 克馬(物理学者)       「内部被曝の基礎」
大沼 淳一(市民放射能測定センター) 「食の安全、データの正しい評価」
岩田 渉 (市民放射能測定所)     「フクシマの第一線から」
山田 真(小児科医)         「子どものいのちを守るために」
堀口 信(内科医)          「遠隔地で福島からの避難者に寄りそって」
柳沢 裕子(内科医)          「相談現場から」
板井 八重子(内科医)        「ミナマタからフクシマへ」
石田 伸子(子ども全国ネット)    「フクシマからの声」
   総合討論 会場からの発言を交えて   17:10~18:30

3)立食式・懇親会 2500円    18:50~20:30
   総会会場隣接の会場    あいさつ 高橋博子 

★参加される方へ
会場へ行く、出発駅となるJR総武線(快速、緩行)の新小岩駅南口広場は、
バスやタクシー、乗用車、人がかなり混雑して会場への道順が分かりにくいか
もしれません。タクシーは1000円以内で行けるところですが、バス、徒歩の
場合は事前によく調べておかれることをお勧めします。


新小岩駅南口から【都営バス(1)(2)番のりば】
新小22 新小岩駅~(一之江駅)~葛西駅
新小21 新小岩駅~(船堀駅)~西葛西駅
「江戸川高校前」下車 徒歩3分
「江戸川区役所前」下車 徒歩5分


小岩駅南口から【(4)番のりば】
小74 小岩駅~小松川警察署前【京成タウンバス】
錦27 小岩駅~両国・錦糸町駅【都営バス】
「江戸川文化センター前」下車 徒歩1分

新小岩駅南口より 徒歩15分







コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

明日に向けて(452)岩手一関から、汚染が少ない土地の友へ(土壌を測れ!)

2012年04月17日 23時30分00秒 | 明日に向けて(401)~(500)
守田です。(20120417 23:30)

震災当初、気仙沼に繰り返しボランティアに赴き、その後につながって
折々に一緒に行動してきたアビスさんが、「東北に住み、住んでいる
地域が汚染されてしまった俺たちから、国の愚策で、瓦礫の焼却処分で、
今後、放射能汚染が懸念される土地に住んでいるみなさんへのメッセージ」
を発信してくれました。彼が指摘するのは、「今のうちに土壌の放射能
測定をしておけ!」という鋭いアドバイスです。

もちろん、そんな必要がないように、がれきの持ち込みを食い止めること、
焼却をさせないことが第一です。しかしそれがされてしまう可能性も確か
にあるし、他の原発の大小の事故で、放射能が流れてくる可能性だってある。
その場合、実際に、その立場にたった東北の人々が直面したのは、もともと
の値が極めてわかりにくいという現実でした。

まったくわからないのではない。実は文科省の測定データなども残っていま
す。しかしなかなかそれを市民が自由に使うことができない。それを考える
ならば、確かに今のうちに、日本のあらゆるところで、土壌の調査を行なっ
ておくことは重要です。

ただしその場合、土壌調査にはまだフォーマットがないことも踏まえておく
必要があります。端的には地表の何センチまでをとって測るのかなどです。
またその場合、採取した土を十分に混ぜ合わせることなども必要です。
(そうでないと上の方と下のほうで、放射線値がかなり違ってしまう)

なので、どういう条件で、どのように採取し、測ったのかまできちんと記録
しておく必要があります。アビスさんが言うように、これは確かに貴重な
データになります。

ちなみに、すでに全国の土壌調査を積極的に行なってきた、木下黄太さんらの
放射能防御プロジェクトでは、採取方法として「表面から5㎝を採取。砂場は
表面から15㎝を採取」という基準を採っています。すでに一定のデータが
蓄積されているので、これに合わせるのも良いかと思います。


さらに言えば、がれき搬入と焼却を食い止めるためにも、こうした調査を
積極的に行い、マスコミに発表するなどして、「汚染前の状況を市民が測っ
たぞ」という態度を示すことには、大きな意義があるということです。
焼却場に関する現状のあらゆるデータも集めておくと良いですね。

それやこれやを通じて、市民の側が、科学的な知恵と手段とデータを持って
いること、だからおおいそれと騙されやしないことをあらかじめ明示し、
焼却処分に睨みをきかせていくとよい。これをもって、直接的な反対運動へ
の側面支援がきます。

そのためにぜひ、それぞれの地域で稼働しはじめた市民測定所を使いましょう。
ただし、土壌の測定はさまざまな困難を伴うことへの留意が必要です。一番
やっかいなのは、ひとつ間違うと、測定器を汚染してしまい、大変な労力を
かけて除染しなければならないこと。このため、測定所によっては、土壌の
測定を避けているところもあります。この辺のことを頭に入れ、各地の測定
所と連絡を取りましょう。

以下、アビスさんの言葉に耳を傾けてください!

************

放射性を帯びているかもしれない瓦礫の各地での焼却処分は、
国がいくら推し進めようとしても、断固阻止しなければならない。

その阻止行動と同時に、一つの最悪なシュミレーションを想定して、
燃やされてしまった時のことも考えておいても、いいのではないだろうか。
その観点から、焼却が予定されている地域の方に、
焼却以前の土壌の現状を、放射性物質を測定し、
記録しておくことを、おすすめしたい。

俺は、岩手県一関市室根町に住んでますが、
福一事故後、我が家も汚染されてしまいました。
東北に住んでいると、同じように自分の住んでいる地域が、
汚染されてしまった人と出会うことも、よくあります。
野外でのイベントなどに出かけると、そこに集まっている何人かが、
ガイガーカウンターを持っていて、5台や6台のガイガーカウンターが集まり、
そこで、みんなで同じ地点を測定し、
自分の持っているガイガーカウンターと、
人がもっている機種の示す数値を見比べ、
自分の機種の特性を把握するのに役立てたりしています。

そんな時に、よく出る話題ですが、
事故前の数値の記録がないということは、比較する対象がなく、
想像するしかない状況です。
この現状を踏まえて、海外の原発がある国の人に、
「事故が起きる前の記録は貴重だから、
事故を経験した日本人からの忠告として、
事故前の測定結果を記録しておくべきだと、
メッセージとして伝えたいね。」
という会話を、何度かしたことがありました。

そんな会話をしたのは、去年の夏ごろの話です。
当時、まさか政府が、放射能災害のセオリーに反して、
汚染された物質を国内に拡散するような、
愚かな行為をするとは、夢にも思いつきはしませんでした。

東北に住み、住んでいる地域が汚染されてしまった俺たちから、
国の愚策で、瓦礫の焼却処分で、
今後、放射能汚染が懸念される土地に住んでいる
みなさんへのメッセージです。

汚染される前の土壌などの現状を、ちゃんと測定し、
しっかり記録しておきましょう。

その記録は、今後、今の私たちにとっても、
次の世代にとっても、重大な意味を持つデーターになる、
可能性があると思われます。



コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする