明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(632)愛しい君へ("Kakusei"・・・A Film by Dionより)

2013年02月28日 21時00分00秒 | 明日に向けて(601)~(700)

守田です。(20130228 21:00)

昨年の夏、ニューヨークから一人の青年が京都にやってきました。Dion Tanというシンガポール人の若者です。
メディア関係のカレッジに通っていて、課題制作として、福島第一原発事故によって「覚醒」を迎えた日本人の姿を撮りたいとのことでした。
僕に彼を紹介してくださったのは、秋田大学の村上東さん。2011年5月にはじめて東北を訪れた時に秋田でお会いした方で、以降、メール・ツイッターでつながってきました。

京都の僕の家までやってきたDionは、かなり綿密に事故のことを調べていて、すでに非常に優れた視点をつかんでいました。
僕への依頼は主に内部被曝のことを話して欲しいとのことでしたが、インタビューが始まると話がどんどん拡大し、都合2日間、8時間あまりの録画をして帰って行きました。
作品の制限は30分から45分と言っていたのに、8時間も撮ってどうするんだろう・・・と思っていましたが、時間が経つに連れてこのインタビューのことを忘れていました。

すると昨日、気仙沼の友人(アビスさん)が、海外の番組で「守田さんがインタビューを受けているシーンを発見しました」とメールをくれました。
ネット上にアップされたものの「16分30秒頃から、38分頃から」だと言います。クリックしてみたら、Dionの名前が出てきたので「ああ、あのときのものだな」と了解しました。
それで、とりあえず教えてもらった場所を観てみると、全体で5分ぐらいで僕へのインタビューがまとめられていました。「短い時間で、僕の言いたいことをうまくすくいとってくれたな」と感じました。

続いてせっかくだから全体も観てみようと、Filmの先頭から再生し始めたのですが、まず冒頭に出てくる女性の言葉が素晴らしく、というよりも胸に本当にぐっと迫ってきて、涙が出るのをおさえられませんでした。
「そうか、DIon、すごい番組を作ったのだな」と思いつつ、先も観て、さらに深く感銘しました。このFilmの中に僕へのインタビューを挟んでくれたことをとても光栄に感じるとともに、ぜひみなさんにも観ていただきたいと思いました。
冒頭の言葉は、福島県相馬市から秋田に避難している「TOMOMI ABE」さんが、15歳の息子のHIKARU君に宛てた切々たる手紙の朗読です。まずはこれを読んでみてください。

***

愛しい君へ

さすがに電話でのやりとりは厳しさが募る毎日
あたしは朝 目が覚めると同時に 夜 眠りにつくその瞬間まで君を想う
まるで身体がちぎられそうになるほど辛い
君がここにいないことが痛いほど辛い

何ヶ月も毎日 毎日 顔を合わせる度に 相馬を出る 出ないで口論していた君
どうして分からないのかが分からなかったあたし
「俺の命だ、俺の自由だ」と かたくなに拒んでいた君
それは15歳という若さの 今が何よりも一番楽しい時間で
きっと君は外を歩くたびに自殺している気分なんだって

あたしが君の弟を連れて相馬を出たのは
あたしが泣きながら君を説得する姿を見た君の弟が
夜 布団の中で「あきらめてもいいよ」と言ったから

「僕 にいちゃんのためなら がんになって死んでもいいよ あきらめたよ」
9歳の君の弟は そう言ってあたしに笑った
もう時間がないと判断したあたし
君の弟は恐い話をさんざん聞いて逃げていたから外に怯えてた

二人のうちのどちらかを選ぶなんて
絶対にできないと何度も何度も泣いたあたし
何千回 ため息をつき 何百回 涙を流したことか
今でもそう 君を想うと涙が出る

君を置いてきたこと 一生後悔する あたしは一生後悔する
あたしが君の 世界でたった一人の母だから
君はあたしの 世界でたった一人の君だから

でもあたしはそれでも 何が何でも君に助かって欲しい
君の命は 君が今 自分が思っているほど 軽くはないのだから
あたしにとって 家族にとって
世界でたった一人の君の弟にとってもね

あたしはあきらめない 絶対にあきらめない
君の命をあきらめない

***

全編は以下のアドレスから観ることができます。

"KAKUSEI: The Fukushima End " Pre-Screener
http://www.youtube.com/watch?v=AQydg6d05kU&feature=player_detailpage

番組は秋田にいるABEさんを取材し、さらに相馬にいるHIKARU君を取材していきます。
このHIKARU君のインタビューシーンも素晴らしい。内容は本編にゆずりますが、この映像には、「そこ」は危ないと知りながらもなお、「そこ」を離れられない若者たちのピュアな気持ちが凝縮しています。
ぜひ、多くの方に観て欲しい。そして「どうしてそんな危険なところから避難しないのか」という、どこか苛立ちも含んだ問いへのある種の回答がそこにあることを知っていただきたいと思います。

もちろん、それを知ってなお、僕はお母さんのTOMOMIさんと同じく、避難を願い、呼びかける側にいます。しかしその声を届けるためには、この若者の叫びを心に刻まなくてはいけない。
いや、ある意味ではお母さんの声は届いてもいるのです。しかし、彼には友がいる、恋人がいる。だから動くことは彼の心を裏切ることになってしまう。そんな状態を解消するのには集団的避難の実行しかないのです。
この解くに解けない難問、多くの人々がまさに今、もがき苦しんでいる、深い問いがここにあります。

多くの方がご存知のように、今、福島の子どもたちから甲状腺がんが次々と見つかりだしています。100万人に1人と言われる確率のものが、まだ3万人あまりしか検査していないのに、もう10人近くも見つかってしまった。
うち3人はすでに手術をうけたそうです。残りの7人は8割の確率でがんだと伝えられています。この状態では今後、検診が進むにしたがって、犠牲者は増えるでしょう。本当に大変なことです。酷いことです。
是非とも避難の促進を図らないといけない。といっても放射性ヨウ素による被曝はすでに終わっているわけですが、身体に深刻なダメージを受けているからこそ、本当にもう少しの被曝も加えない方がいいのです。

そのためには社会的な動きを作り出さないといけない。とくに必要なのは被災地からの避難の促進、子どもたちの疎開の促進を、政府に訴えることです。
とくにこれから行われる参議院選挙でこの声を広げる必要があります。みなさん、ぜひぜひ、それぞれの地域の脱原発派候補に強烈な訴えを行ってください。
脱原発をエネルギー問題に切り縮めず、高線量地域からの避難・疎開の促進、および福島4号機をはじめ、大危機が続いている福島原発対策に重点をおくことを選挙公約に盛り込むことを、ぜひ強力にプッシュしてください。

この他、ありとあらゆる機会をとらえ、被災地の人々を集団的に逃がすこと、少なくともその権利を確立させることを呼びかけてください。
そのような思いを深めるために、ぜひこの作品をご覧になり、かつまた多くの人に進めてください。(ただし一部に、覚醒とは言えないのではというシーンもあります。これはこれで日本の現実ですが)
・・・もともと英語圏の方に観れるように作られたFilmですので、積極的に海外にも拡散していただけたらと思います。

私たちはあきらめない 絶対にあきらめない
全ての命をあきらめない

 

 

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明日に向けて(631)福島で「震災関連死」が増えている・・・心臓を守ろう!(上)

2013年02月25日 16時30分00秒 | 明日に向けて(601)~(700)

守田です。(20130225 16:30)

再び心筋梗塞による死亡記事が毎日新聞に載りました。この方は50代男性で、原発に近い福島県浪江町から二本松市の仮設住宅に避難されていました。元原発作業員だそうです。福島民友新聞の記事では、いわき市出身で、震災時に浪江町のアパートに住んでいたと報じられています。
男性は布団の中で亡くなっており、推定死亡時刻は午前8時頃。心筋梗塞は午前中になりやすいのですが、この方も朝方に発作を起こし、手当が受けられないまま亡くなられたのだと思います。心よりご冥福をお祈りします。

この記事に関連する事実を探していて、「震災関連死」という言葉があることを知りました。災害後の避難生活の中で亡くなったことをさす言葉です。復興庁が統計をとっていますが、これによると2012年9月の時点で、震災関連死数は2303人。うち半数近い1121人を福島県が占めています。以下、「知恵蔵mini」の解説をご紹介します。

***

震災関連死(知恵蔵miniの解説)

建物の倒壊や火災、津波など地震による直接的な被害ではなく、その後の避難生活での体調悪化や過労など間接的な原因で死亡すること。復興庁の統計によると、2011年3月に発生した東日本大震災の震災関連死数は、同年9月末時点で2303人 (岩手、宮城、福島、茨城、埼玉の5県)。うち福島県民が約半数に当たる1121人を占める。09年1月の阪神・淡路大震災における震災関連死数(兵庫県、大阪府)921人を上回り、戦後最悪の被害となっている。震災関連死は県または市町村の審査を経て認定される。認められれば、主たる生計維持者は500万円、それ以外は250万円の災害弔慰金が遺族に支給される。
( 2012-11-18 )
http://kotobank.jp/word/%E9%9C%87%E7%81%BD%E9%96%A2%E9%80%A3%E6%AD%BB

***

そこで復興庁の出している資料を探すと、2012年8月21日付けで「東日本大震災における震災関連死に関する報告」という文書が出されていることが分かりました。以下のものです。
http://www.reconstruction.go.jp/topics/20120821_shinsaikanrenshihoukoku.pdf

この統計は2012年3月31日までのものですが、この時点で「震災関連死」で亡くなった方は1都9県で1632人。福島県761人、宮城県636人、岩手県193人でした。死亡時年齢別では66歳以上が約9割と報告されています。死亡時期は発災から1ヶ月以内で約5割です。
注目すべき点は、「震災関連死の死者数が多い市町村と原発事故により避難指示が出された市町村の1263人を対象」とした原因調査が行われていることです。その結果を抜粋します。

***

1、男女別では、概ね半々。
2、既往症の有無については、約6割が有、約1割が無、約3割が不明。
3、死亡時年齢別では、80歳台が約4割。70歳以上で約9割。
4、死亡時期別では、発災から1か月以内で約5割、3か月以内で約8割。

5、原因区分別(複数選択)
ア 全体では「避難所等における生活の肉体的・精神的疲労」が約3割、「避難所等への移動中の肉体・精神的疲労」が約2割、「病院の機能停止による初期治療の遅れ等」が約2割。
イ 岩手県及び宮城県では、「避難所等における生活の肉体的・精神的疲労」が約3割、「病院の機能停止による初期治療の遅れ等」が約2割、「地震・津波のストレスによる肉体的・精神的負担」が約1割。
ウ 福島県では、「避難所等における生活の肉体的・精神的疲労」が約3割、「避難所等への移動中の肉体・精神的疲労」が約3割、「病院の機能停止による初期治療の遅れ等」が約2割。
  福島県は他県に比べ、震災関連死の死者数が多く、またその内訳は、「避難所等への移動中の肉体・精神的疲労」が380人と、岩手県、宮城県に比べ多い。これは原子力発電所事故に伴う避難等による影響が大きいと考えられる。

6、死亡時の生活環境等区分別では、「その他のうち病院、介護施設等」と「自宅等震災前と同じ居場所滞在中」がそれぞれ約3割、「避難所滞在中」が約1割。
7、自殺者は、13人。

***

この報告を呼んでいると、あの震災と原発事故で、多くの方がいかに亡くなっていかれたのかが彷彿としてきて胸が痛くなります。亡くなられた全ての方のご冥福を祈るとともに、ご家族の心の痛みが癒えることを心から願うばかりです。
その上で、この結果を分析させていただく中で見えてくるのは、津波被害で亡くなった方の総数は宮城県の方がかなり多いのに、「震災関連死」で亡くなった方は、福島の方が多いという事実です。復興庁も指摘するように明らかに原発事故関連死が多い。
(なお臨海部全体の被災状況、死者数は「社会実情データ図録」http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/4362a.htmlを参照しました)

では何が原因だったのか。同庁は「避難所等への移動中の肉体・精神的疲労」が突出して多いことを指摘しています。つまりかなり無理な移動が強いられたということです。しかもはじめは原発3キロ圏内から、続いて5キロ、20キロと避難区域が拡大することで、避難が繰り返されたケースもたくさんありました。このことで多くの方が衰弱し、命を落とされたのです。
これは地震・津波という天災のためではなく、明らかに原発事故という人災によるものです。事故のリアルな想定をせず、避難対策を怠ってきたがゆえに、準備のできていないかなり強引な避難をせざるをえなかった。しかもそれを繰り返さねばならなかった。明らかに東電と政府に責任のある「死」です。

同時に考えられるのは、多くの方がかなりの量の放射能を浴びてしまったことです。全体として「既往症」が約6割とありましたが、移動のストレスだけでなく放射能被曝によっても、もともとの持病が急速に悪化した可能性が高い。
2月22日の毎日新聞の報道によれば、福島原発は、ベントを行った2011年3月12日午後2時半ごろ(4回目で「成功」)の以前に、10キロ圏が高線量になっていたことが最近になって明らかになっています。通常の700倍というものすごい値が出ていた場所もありました。それだけの被曝が人々を襲っていたのです。これが大きな原因になっているのではないか。

放射能被曝の被害に関して「高線量を浴びなければ、すぐに死亡することはない。「晩発性」の障害は時間が経ってからあらわれる」とされていますが、常々思うのは、それは健康な状態でのみ言えるのではないかということです。いやそもそも政府や国際放射線防護委員会(ICRP)などによるあらゆる被曝に関する記述は、健康な「平均的人間」が放射線を浴びたことを前提して書かれている。
しかし現実の人は健康状態も年齢もさまざまであり、とくに亡くなることにはいろいろな要因が働いています。高齢者の場合、何らかの要因で衰弱しているときに感染症にかかると、それだけで亡くなってしまうことがありますが、この場合はもともとの衰弱、ないしは重篤な病の上に、感染症が重なるわけです。そしてその衰弱や病には、長年の喫煙の影響があったかもしれず、食生活の影響もあったかもしれない。いずれにせよ、蓄積されたダメージの上に感染症がプラスされるわけです。
放射線被曝もまったく同じことが言えます。免疫力が下がっている状況では、健康な状態よりはるかに体へのダメージが大きく現れる。あらゆる他の病因がそうなのですから放射線被曝でも同じことがいえます。だとすれば、福島の場合でも、被曝が強引な避難のストレスに加わったと考えるのが合理的ではないでしょうか。

そして最も大事なことは、こうした避難のストレスとあいまった放射能の被害が、今も継続して人を襲っているのではないかということです。当初の事態を体力のある方はなんとか乗り来れれてきたでしょうが、その後の長期にわたる避難生活の中で、ストレスと放射線被曝による心身の衰弱が強まっているのではないか。
こうして考えると、1月に東京で心筋梗塞によって亡くなった49歳の方のケースも、今回、同じく心筋梗塞で亡くなった浪江町から二本松市に避難されていた50歳代の方のケースも、まさにあらゆるストレスに放射線被曝の影響が重なったものではないかと思われます。

僕が訴えたいのは、このようにきちんと事態を見据えた上で、心身のケアを行っていこうということです。とくに心不全による突然死を避けるため、心臓を守っていく必要があります。もちろん病の可能性はこれだけにとどまるものではありませんが、心臓の病は突然死に直結してしまうので、警戒を深めていただきたいと思うのです。放射線値の高い地域ではぜひこのことを周りの方たちにも呼びかけていただきたいです。
いや放射性物質の入った食材が全国に流通している現状や、肺がんや心筋梗塞を引き起こすおそれも指摘されている大気汚染物質=PM2.5が西日本を中心に大量に浮遊している現実をみたとき、どこにいようとも心臓へのケアを強めたほうが良いことは間違いないです。原発事故以降の世の中の現実にたくさんの方が深く胸を痛めてきていること、さまざまな心理的ストレスがあることを考えてみてもそうです。

では心臓のケアのためには何が必要か。次回にこの点のまとめをご紹介したいと思います。

続く

 

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明日に向けて(630)除染について考える(京都のNPO、環境市民のネット番組に出演しました)

2013年02月22日 15時30分00秒 | 明日に向けて(601)~(700)

守田です。(20130222 15:30)

2月12日のことになりますが、京都で脱原発のため、あるいは環境全般を守るために、精力的で多彩な活動を展開している京都のNPO、環境市民さんに除染活動についてのインタビューを受けました。環境市民さんのHPをご紹介します。

環境市民
http://www.kankyoshimin.org/

この内容を、同会の「環境Channei」というネット番組で流してくださっているので紹介します。また動画をみる余裕のない方のために、インタビューのガイスト(骨子)の書き起こしを加えました。以下、ご覧下さい。

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除染について考える
パーソナリティー 同会理事 下村委津子さん
ゲスト 守田敏也
2013年2月12日収録
http://www.youtube.com/watch?v=UkdopPDwPeo&feature=youtu.be


-杜撰な除染が明らかになったがどう思うか

除染がいい加減に行われていることが明らかになったことには社会的な意義がある。
しかし抜本的な問題は、除染が可能なのかどうかという問題だ。
もちろん、除染には出来るところと出来ないところがある。実際に行われているのは飯舘村の山林など出来ないところが多い。こういうところでは業者の対応もいい加減になりやすい。
そのためすでに環境省に市民から報告や抗議が寄せられていた。それが新聞で取り上げられたに過ぎない。
問題の根本は、末端の業者さんにあるのでなくて、無理な除染を行わせている政府や環境省の側にある。マスコミはそれを書かないので残念だ。

-国ができない除染させていることには何の理由があるのか

事故を小さく見せることだと思う。とくにたくさんの人がそこに住めなくて避難している。その方たちに戻れるという幻想を与えたり、酷い場合には実際に戻している。そのために出来もしない除染が行われている。

-実際に住んでいる人もいる。そこでの除染についてはどう考えたらいいのか

除染は放射性物質を消し去る行為ではない。どこかに移動することしかできない。「移染」と言った方が正しい。そのため汚染物質の量や状態によってできるできないが決まる。その仕分けがまったくされていない。
汚染を山だと考えると、裾野ではやることできる。ところが今は山の頂上あたりで行っている。例えば飯舘村を本当に除染するのなら、激しく汚染されている山の木をすべて切り倒さなければならない。しかもそれをどこかに移動しなくてはならない。現実には不可能だ。

-飯舘村の人から見れば、いつかは戻れると思わされているのでは

村の方々の間にはいろいろな意見があると思うので、代弁することはできないが、アンケートなどを見ていると、「もう戻れないだろう」「もう戻らない」という声がどんどん増えている。現実が見えてきている。そういう方にとっては「戻れない地域だ」とはっきりした方が、次の生活に向かいやすい。
とくに全村避難となった飯舘村と違い、福島市内などからの避難は自主避難であり、経済的な負担が余りに大きい。多くの場合、母子避難で、お父さんが高線量地帯に残って、生活を支えるために働いている。いろいろな負担が重なっている。戻れないことが明らかになれば補償が得られる。

-除染では、処理しなければならないものが新たにたくさんできているのでは

そのとおりで、汚染された土などはどこかに集めて管理しているが、除染に関わった人の衣服、手袋などの処理がとても曖昧になっている。
そもそも除染のもうひとつの問題は、除染がとても危険な被曝労働であることだ。そのままではそこに住めないものがあるから、どけにいく。自ら汚染物質に近づいている。原子炉の中の労働が、外に出てきてしまったようなものだ。
それが何らの専門的な知識もなく、対策もないままに、市民の方が参加させられたり、かき集められた労働者の方々がさせられている。とても深刻な被曝労働になっているが、これもマスコミはきちんと書かない。書いてくれているのは東京新聞だけだ。

-子どもたちが住んでいるわけで、お父さん、お母さんが少しでも放射線値を下げたい気持ちはわかる。しかし先に、本当にそこに住んでいいのかをはっきりさせるべきだ。それがなされないことが悔しく思える。

確かに悔しい事態だ。自分も除染に関わったことがある。福島大学と京都精華大学の合同チーム(放射能除染・回復プロジェクト)が行っている、可能な、あるべき除染のあり方を探る活動だった。
自分が行くと、そこには子どもが歩いている。その子を避難させることは自分にはできない。だとしたら、その子を守るために少しでも放射能を減らしたい。たとえ住めない地域であったとしても、放射能がたくさんあるよりは下がったほうがましだ。そういう気持ちから除染をしようと思うのはとてもよくわかる。
ところが除染をして「それで安心して暮らせます」と言われるとなんとも言えない。「申し訳ないけれど、ここは住むことができないところです」と言わざるを得ない。

-前には原発は安全だと言っていたが、今は放射能は(少しなら)安全だと言っている。

今、現実にあることは、放射線管理区域が広がっていることだ。この区域は、飲み食い、寝ること、18祭未満の者を連れ込むことが禁止されているが、福島駅周辺が全部、この値になっている。そこに住んでいて問題がないというのであれば、レントゲン室の管理などは一体どうなってしまうのか。
どう考えたって、今まで危険だと言われてきたところが、安全だと言い換えられている。そこに住んでいる人たちもそれを知っているので、心の中では不安だと思っているはずだ。その不安自身も身体に悪い。

-なぜ国は、ここは一刻も早く避難すべきことだと言わないのか。国民を守るのが国ではないのか。

原発を守るためだろう。国民の命よりも、自分たちの権勢を優先している。そのために原発を維持してきた。原発の維持のためには安全だと言わなくてはいけないから、安全対策をしてこなかった。この大きな矛盾に対して、市民が意識を覚醒しなくてはいけない。

-本当に必要な除染はどこであるかを考えなくてはいけないのでは。

必要なところと可能なところを考えなくてはいけない。可能なところとは、汚染が低いということと同時に、除染は非常に危険な被曝労働であるから、作業する人を守れる環境なのかということも大きなバロメーターだ。
実際に福島大学と京都精華大学の友人たちが、2011年5月に福島市で除染活動の調査を行ったときのことだが、福島駅から2~3キロのところで、150μSv/hという放射線を出しているところを見つけた。学校の通学路でその横を子どもたちが通っていく。これは即座に除染しなくてはいけないということで、放射性物質が付着している雑草を刈り取り、泥をすくって、近くの畑に埋めた。
もちろん放射性物質を畑に埋めていいのかと言えばいいはずがない。しかし近くを子どもが通っているのでせめて離さなくてはいけない。緊急除染だ。それで畑の持ち主の許可を得て埋めた。ところがその活動に関わった友人たちの多くに体調不良が出た。
福島大学の友人は、原因不明の全身の筋肉痛になった。原因が分からなかったし、参加者の一人が「破傷風の可能性があるのでは」というので病院で精密検査をしたが、何も異常は見つからなかった。現代医学で異常が見つからないのは被曝の症状としてよくあることだ。他の友人たちにも聞いてみたら、口内炎ができたり、下痢を起こしていた。
そのため今、除染に関わっている方は、ぜひとも危険性を十分に認識して、自分の身体を守って欲しい。同時に汚染物質を自分の家に持ち帰ることのないようにして欲しい。このことも除染ができるかどうかの大きな条件だ。

-今も危ない人たちが住んでいる人たちに何ができるかを考えると、政府にもっと真実を語ること、避難を促進することを求めなくてはいけないと感じた。また話を聞かせて欲しい。

以上


 

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明日に向けて(629)原子力災害をリアルに想定した備えを!備えることが危機の可能性をも減らす!

2013年02月20日 23時30分00秒 | 明日に向けて(601)~(700)

守田です。(20130220 23:30)

原子力災害に対して、私たちはいかなる構えを作るべきなのか。また国=原子力規制委員会の打ち出した「原子力災害対策指針」をいかに捉えるのか。この間、この紙面で論じてきたことを、学習会などで使えるようにレジュメ風にまとめましたのでご活用いただけたらとおもいます。
この中で4号機倒壊の可能性をどう考えるのかについても触れました。というのは、京都で活躍してる女性たちと話した時に、「ガレキの広域処理問題などと違って、4号機問題は大きすぎるし、自分がどうしたらいいかも分からない。危機を考えても呆然とするだけて思考が停止してしまっていた」という思いを教えてもらえたからです。
確かに4号機が倒壊した場合、膨大な放射性物質が環境に放り出されて、現場に近づけなくなってしまいます。そうすると他の原子炉も放棄せざるをえなくなり、事故はどこまでも拡大して、おそらく軽く見積もっても東日本崩壊につらなってしまうでしょう。あまりに呆然とする可能性です。
同時に危機を認識したからといって、自分たちが現場にかけつけてできることがあるわけではない。「がれき反対」では頑張れても、自分たちが倒壊を食い止める手段がない・・・最もな思いだと感じました。

しかし実際はそうではなく、危機を危機として見据えることこそが、危機の拡大の可能性を少しでも遠ざけるのです。なぜか。この危機を食い止めているのは現場の作業員の方たちです。高線量地帯で身体を張って、日本を、世界を守ってくれています。
にもかかわらず、それになんの光もあたっていない。危機はないことにされてしまい、命をはって社会を守っている人たちの努力がないものとされてしまっているのです。これで現場の士気が保てるでしょうか。
今、危機と立ち向かっているのは、心を持った人間です。その力は心のあり方に左右されます。だから全国からの応援を集めなくてはいけない。同時に、この方たちが少しでも被曝を避けられるように、あるいは医療保障が受けられるように、監視を集めなくてはならない。
そうした応援があってはじめて、現場の方たちの最高のパフォーマンスが発揮されるのです。人間のメンタリティの問題で言えば、スポーツの試合と同じです。あらゆるスポーツで選手を支えるのはサポーターの応援です。しかし今、福島原発で働く人々にどれだけのサポーターがいるでしょうか。

危機を隠してはならない!それでは現場の士気が低下する!命を張った活動が愚弄されてしまう!だからこそ、全国で危機を危機として認識し、すべての英知、物資を優先的にこの現場にまわす社会的合意を作り出すべきなのです。それでこそ少しでも危機は遠ざかる。
もちろん、大地震の危機は私たちの力では遠ざけることはできません。しかし大地震に襲われた時に、少しでもより耐えれるように強度をあげたり、さまざまな工夫を凝らすことはできるはずです。そこに社会的資本を大量に投下すべきです。
同時に、私たち市民も傍観者としてではなく、事故が起こったことを想定して、広域の避難訓練を行う必要があります。それが全国で行われるならば、現場の作業員の方たちも、より同じ苦境に立ち向かっている連帯感を持てるでしょう。
そのためにこそ、4号機の倒壊、福島原発事故の破局的拡大の可能性をこそ、私たちは見据えてあゆみましょう。合言葉はここでも、「腹を決め、覚悟を固めて、開き直る」(肥田舜太郎さんの言葉)です。

以上に踏まえて以下のレジュメをお読み下さい。

******

原子力災害をリアルに想定した備えを!備えることが危機の可能性をも減らす!

1、原子力規制委員会提出の「原子力災害対策指針」の骨子

○過酷事故の発生を想定したものとなっており、前提に、過酷事故の発生の容認が含まれている。
⇒過酷事故を想定しなければならないのであれば、即刻、全原発を廃炉にすべき

○他方で、現実に最も起こる可能性のある、福島第一原発事故の拡大、深刻化と、各原発の燃料プールの損壊が前提から排除されている。
⇒原発をすべて止めても、福島原発の深刻化の危機、燃料プールの危険性が残る。これに対して災害対策を立てねばならない。

[資料]「原子力災害対策指針」の核心部分

「前文」より
「平成23年3月に東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故が起こり、従来の原子力防災について多くの問題点が明らかとなった。」
 
「第1原子力災害」より
「原子炉施設においては、多重の物理的防護壁が設けられているが、これらの防護壁が機能しない場合は、放射性物質が周辺環境に放出される。その際、大気へ放出の可能性がある放射性物質としては、気体状のクリプトンやキセノン等の希ガス、揮発性のヨウ素、気体中に浮遊する微粒子(以下「エアロゾル」という。)等の放射性物質がある。
これらは、気体状又は粒子状の物質を含んだ空気の一団(以下「プルーム」という。)となり、移動距離が長くなる場合は拡散により濃度は低くなる傾向があるものの、風下方向の広範囲に影響が及ぶ可能性がある。また、特に降雨雪がある場合には、地表に沈着し長期間留まる可能性が高い。
さらに、土壌や瓦礫等に付着する場合や冷却水に溶ける場合があり、それらの飛散や流出には特別な留意が必要である。
実際、平成23年3月に発生した東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故においては、格納容器の一部の封じ込め機能の喪失、溶融炉心から発生した水素の爆発による原子炉建屋の損傷等の結果、セシウム等の放射性物質が大量に大気環境に放出された。また、炉心冷却に用いた冷却水に多量の放射性物質が含まれて海に流出した。
したがって、事故による放出形態は必ずしも単一的なものではなく、複合的であることを十分考慮する必要がある。」

⇒福島第一原発は「多重の物理的防護壁」が崩壊しており、4号機ブールにはそもそも防壁などない。各原発の燃料プールにも防壁などない!この危険性を踏まえていないことが「骨子」の最大の問題


2、過酷事故(シビアアクシデント)とは何か

○過酷事故とは「安全評価において想定している設計基準事象を大幅に超える事象」のこと。設計にあたって想定できなかった事態のことで、もともとプラントとしてあらかじめの対策ができないもののこと。
⇒過酷事故が起こるということは、プラントが設計思想的に破綻するということ。設計段階の事故を防ぐための想定が全部突破されてしまうこと。したがって設計思想の常識として、過酷事故が起こりうるプラントは認めてはならない。

[資料]原子力安全・保安院による「過酷事故」の規定

原子炉施設は、起こりうると思われる異常や事故に対して設計上何段階もの対策が講じられており、この設計の妥当性を評価するために、幾つかの「設計基準事象」の発生を想定して安全評価を行う。
このような安全評価において想定している設計基準事象を大幅に超える事象で、安全設計の評価上想定された手段では適切な炉心の冷却又は反応度の制御が出来ない状態で、設備の故障やヒューマンエラーが何重にも重なって安全装置が全く働かない等で、その結果炉心が重大な損傷を受けるような事象を、一般にシビアアクシデントと呼ぶ。
http://anzenmon.jp/vizwik/app/view_page_printable.html;jsessionid=92CFF12736DBC01AFA7B612D5B68A9CD?id=6948

⇒過酷事故を想定したものなど、絶対に認めてはいけない。各自治体からも声をあげるべき。


3、ベントの意味するもの

○過酷事故対策の中でも重要視されている「ベント」は、格納容器の崩壊を防ぐために、濃厚な放射能ガスを排出するためのもの。
⇒そもそも格納容器の最大の任務は、放射能を閉じ込めること!放射能を閉じ込める格納容器を守るために、放射能ガスを排出するのは全くの自己矛盾。設計士たちはこれを「格納容器の自殺」と呼んでいる。こんなベントの可能性がある原発の運転を認めてはならない。

○ベントはテストの方法がなく、実際にうまく機能するとは限らない
⇒設計思想を越えた場合に生じることへの対処法がベント。それを想定した実験や訓練などできず、いざというときに使える可能性は低い。事実、福島原発事故ではバルブが固着して空かなかった。そもそも想定できない事故が過酷事故であり、対策(想定)をするということ事態に無理(論理的・技術的矛盾)がある。

[資料]元東芝の格納容器設計技師、後藤政志さんによる「ベント」の解説

「大前提として押さえておくべきこと、後藤さんがこれまで繰り返し指摘していることになりますが、それは、そもそもベント「失敗」という言い方には、本来、成功すべきものが失敗したと言うニュアンスが含まれていて、あやまりだということです。ちゃんと行うべきベントに失敗したということになるわけですが、ここがおかしい。
なぜならそもそもベントとは、放射能の最後の防波堤であるはずの格納容器に穴をあけ、容器を守るために放射能を放出するためのものであり、言わば格納容器が自分を守るために、任務を放棄するものでしかないからです。
だから設計士の方たちは、ベントのことを「格納容器の自殺行為」と言っているそうですし、そもそも後藤さんの先輩の渡辺さんが設計に携わった頃にはついてなかったのがこのベントなのです。
その意味で、格納容器設計上の安全思想からは許されざるものであり、「あり得ないけれど一応つけておく」という非常にあいまいなものとして後から付け加えられていること。
それが「過酷事故対策」なのであって、その点で、バルブがきちんと開けば成功で良かったということではなく、これを使わざるをえなくなった時点で、設計思想は破産していること、原子炉の安全性は崩壊し、プラントとしてはもう存続が許されなくなっていることが押さえられなければならないわけです。」

明日に向けて(179)1号機ベント「失敗」を論じる(後藤政志さん談)
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/5adde585a50f1a698d6e930662a02b54

⇒ベントそのものが、矛盾の産物。しかも実際にうまく使える保証など何もない。想定ができないのが過酷事故だということが忘れられている。


4、最も可能性のある原発事故=4号機の倒壊など、福島原発事故の拡大

○「原子力災害対策指針」には、福島4号機の倒壊や、福島原発事故の拡大が想定されていない。実際の事故を想定しているとは言えない。
⇒2011年3月、政府は4号機が倒壊した場合、最悪170キロ圏は移住、希望者を含めれば250キロ圏の避難が必要と想定していた!

[資料]毎日新聞 2011年12月24日
ブログ「水は変わる」に記事の写真が掲載中
http://www.minusionwater.com/hinankuiki.htm

○4号機の倒壊や、福島原発事故の拡大の可能性から目をそらすのは危険!
⇒この危機を多くの人が見据えなければ、何より、日本壊滅の危機を防ぐために奮闘している現場が報われず、士気は下がるばかり。どんなに大変なことを担っているかを明らかにし、全国の英知を結集し、現場を支えるべき。それが危機を少しでも減らす!

○4号機の倒壊を前提とした広域の避難訓練こそ必要!
⇒不幸にも4号機が倒壊した場合でも、事故がどう広がるかは分からない。逃げ出せる可能性も多分にある。そのため備えがあれば、被害は減らせる。これを想定して広域の訓練を行うべき。250キロ圏外でも大量の避難民の受け入れ準備と、当該地域に迫る放射能のモニタリング態勢を準備すべき。

⇒このように事故を想定して現場を応援し、避難対策を施してこそ、事故の可能性を少しでも減らすことができる。大地震の可能性は減らせないが、現場の士気が少しでも高まり、少しでもいい仕事ができれば強度は上がる。事故の可能性から目をそらせば、この可能性が減る。危機の無視は危機を呼び寄せる!


5、福島原発事故が明らかにしたのは燃料プールの脆弱性

○燃料プールには「多重の物理的防護壁」など何もない。冷却ができなくなったり、水が抜ければすぐに危機に陥ることが明らかになったことが福島事故の教訓
⇒燃料プール対策(乾式キャストへの移動など)をただちに実施することが防災上必要。六ヶ所の巨大プールも閉鎖し、乾式に移すべき。使用済み核燃料の再処理をやめれば直ちに着手できる。

○燃料プールがある限り、原発は運転を停止しても危険
⇒過酷事故を想定した運転を許さず、原発の再稼働をさせてはならないが、止まっていても原発は危険。そのため燃料プール崩壊を想定して、各原発の周辺での災害対策を立てる必要がある。この場合も、最悪の場合は福島原発の悪化と同規模に被害が拡大することを想定すべき。


6、重要な点は、これまでの原子力災害対策の誤り=原発の運転を前提とした対策の限界を超えること

○過酷事故はなぜ想定されてこなかったのか
⇒過酷事故の可能性を認めると、原発の運転に国民・住民の合意がとてもでは得られないと想念されてきたから。そのため過酷事故など絶対に起こらないと言い張り、事故対策などしなかった。そのつけが福島事故でいっぺんに出た。

○福島4号機や燃料プールの危機はなぜ想定されていないのか
⇒この可能性を認めて、対策を施すと、脱原発の世論が決定的となり、核燃料再処理の展望が潰えるから。しかしこの発想こそが、現実の事故への対策をおろそかにする。これでは前に来たのと同じ道!

⇒「指針」の中身を捉えるためには、「指針」が寄って立つパラダイム=発想の大前提に踏み込むことが必要。原発の再稼働を射程に入れているからこそ、最もリアルな事故の想定ができない。リアルに想定すれば、原発を動かしてはならないこと、再処理をやめ、一刻も早く使用済み核燃料の安全対策を取らねばならないことが前面化する。この可能性を避けようとしているのが「原子力災害対策指針」。
この指針の大前提を批判的に捉え、事故をリアルに想定した災害対策を、すべての自治体・諸団体・個人で作ることが必要。それでこそ私たちの安全は少しでも拡大していく。脱原発の道は、原発災害防止の道と重なりあっている!

 

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明日に向けて(628)自治体の原発防災計画を丸投げさせてはならない!ぜひ積極的な市民参画を!

2013年02月19日 23時30分00秒 | 明日に向けて(601)~(700)

守田です。(20130219 23:30)

[注意] 文中に出てくる原発30キロ圏内の自治体の対応の記述に一部誤りがありました。伊方原発と玄海の原発の情報を混在させてしまいましたので、訂正いたします。どうもすみませんでした。(0220 12:00追記)

国の新たな「原子力災害対策指針」が昨年10月31日に発表され、本年1月24日に検討課題とされていた細かい点が決まりました。これを受けて原発三十キロ圏にある二十一都道府県と百三十市町村が「災害対策重点地域」となり、この3月18日をめどに、新たな原子力災害対策計画を作ることが義務づけられました。
まさに今、多くの自治体が新たな計画の策定にてんやわんやになっていると思いますが、東京新聞の調査によると、なんとこのうちの4分の1の三十八市町村が、検討作業をコンサルタント会社などに丸投げしていることがわかりました。
大変、由々しき事態であるといわざるをえません。
この「原子力災害対策指針」については、原子力規制委員会のパグリックコメント応募に合わせて、分析と批判を書いてきましたので、以下を参照していただきたいと思います。(なお622から連番の間違いがありましたので訂正しています)

明日に向けて(621)過酷事故を前提とした「原発災害対策指針(原子力規制委員会)」を批判する!(1)
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/1d2110ce6b55ad6624460c1ff2055b4b

明日に向けて(622)あまりに狭すぎる災害対策重点地域・・・「原子力災害対策指針(原子力規制委員会)」を批判する!(2)
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/4b5eb7a7feec6a59b17c541328445b02

明日に向けて(623)福島4号機の危機を見据えた現実的な災害対策指針の策定を!
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/47cbaedf2025cabf86e21402dbc83d48

明日に向けて(624)自治体自らの判断に立った原子力災害対策を!(京都市への意見提出から)
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/0659e75d054e67ebce6d97ff86bfd334

最後の(624)の記事では、各自治体が国の指針を鵜呑みにせず、福島4号機をはじめ、福島第一原発が危機に発展しうる可能性がまったく除外されていることや、燃料プールの危険性の問題が排除されていることなど、指針の限界をしっかりと見据え、災害対策重点区域の設定の仕方から見直すべきであること、そのために自治体自らが判断主体となって計画を立てなければならないことを強調しました。

ところが2月8日付の東京新聞の記事では、先にも述べたように、4分の1の自治体が、コンサルタント会社への丸投げをしており、「原発が集中的に立地する福井県の若狭湾周辺では、自前で計画をつくる自治体より、外注の方が多かった」ことが分かりました。
まったくひどい事態です。そもそもこの日本で、原発の危険性をきちんと把握して、災害対策計画を作れるコンサルタント会社などあるでしょうか。
事実、東京新聞は「新潟県のある自治体担当者の元には、別の自治体から委託を受けたコンサルタント会社の担当者が「うちは原子力関係の実績がない。自治体から仕事をもらったのはいいが、困っている」と、逆に相談を求めてきたケースもある」など、コンサルタント会社側も当惑している実態の一端を紹介しています。

これに対してどうすれば良いのでしょうか。ぜひとも市民が計画に関わる必要があります。まずはご自分の自治体に出向き、新たな原子力災害対策計画をどのように作ろうとしているのかを尋ねてください。その際、福島原発の事故の拡大や、燃料プールの危険性などを無視している、国の指針の災害対策区域にとらわれずに対話してください。
そして業者への委託の有無を含む、計画策定過程の公開を求め、そこへの市民の参画を求めてください。そうして自分たちで自分たちの安全を守る計画を立てていく必要があります。

そのための貴重な情報を東京新聞が掲載してくれているので、以下、紙面より書き写します。各電力会社の原発ごとの三十キロ県内の市町村の一覧です!

*****

【重要】原発30キロ圏内の自治体の、原子力災害対策への取り組みの姿勢
(×はコンサルタント会社などに外注、△は計画の一部を外注、○は自前で策定、-は策定する状態にない)

北海道電力 泊(北海道)
× 積丹町
△ 余市町
○ 北海道、泊村、岩内村、共和町、神恵内村、倶知安町、古平町、仁木町、蘭越町、寿都町、赤井川村、ニセコ町

東北電力 東通(青森)
× なし
△ なし
○ 青森県、東通村、むつ市、横浜町、六カ所村、野辺地町

東北電力 女川(宮城)
× 涌谷町、東松島市
△ なし
○ 宮城県、女川町、石巻市、南三陸町、登米市、美里市

東京電力 福島第一、第二(福島)
× 小野町、南相馬市、川内村
△ いわき市
○ 福島県、葛尾村、田村市、広野町、飯舘村
- 大熊町、双葉町、浪江町、富岡町、楢葉町

日本原子力発電 東海第二(茨城)
× 常陸大宮市、城里町、高萩市、鉾田市、大子町
△ なし
○ 茨城県、東海村、日立市、ひたちなか市、那珂市、常陸太田市、水戸市、大洗町、茨城町、笠間市

東京電力 柏崎刈羽(新潟)
× 長岡市、小千谷市、見附市、十日町市
△ 上越市
○ 新潟県、柏崎市、刈羽村、出雲崎町、燕市

中部電力 浜岡(静岡)
× なし
△ 牧之原市
○ 静岡県、御前崎市、菊川市、掛川市、吉田町、島田町、袋井市、磐田市、森町、藤枝市、焼津市

北陸電力 志賀(石川)
× 志賀町、中能登町、羽咋市、かほく市
△ 宝達志水町
○ 石川県、七尾市、輪島市、穴水町、富山県、氷見市

関西電力 高浜、美浜、大飯 日本原子力発電 敦賀(福井)
× 南越前町、越前町、おおい町、高浜町(福井)揖斐川町(岐阜)高島市(滋賀) 
× 舞鶴市、綾部市、南丹町、京丹波町、京都市、福知山市、伊根町(京都)
△ 敦賀市、越前市、鯖江市(福井)
○ 福井県、美浜町、小浜市、福井市、池田町、若狭町(福井)岐阜県(岐阜)滋賀県、長浜市(滋賀)京都府、宮津市(京都)

中国電力 島根(島根)
× なし
△ なし
○ 島根県、松江市、出雲市、雲南市、安来市(島根)鳥取県、境港市、米子市(鳥取)

四国電力 伊方(愛媛)
× なし
△ なし
○ 愛媛県、八幡浜市、宇和島市(愛媛)、山口県、上関町(山口)

九州電力 玄海(佐賀)
× なし
△ なし
○ 佐賀県、玄海町、唐津市、伊万里市(佐賀)長崎県、松浦市、平戸市、壱岐市、佐世保市(長崎)福岡県、糸島市(福岡)

九州電力 川内(鹿児島)
× 姶良市
△ なし
○ 鹿児島県、薩摩川内市、いちき串木野市、阿久根市、出水市、さつま町、鹿児島市、日置市、長島町

*****

とくに「×」の自治体に住まわれている方は、すぐに役所に問い合わせにいってください。若狭湾の原発群の周りが特に酷い!無責任な丸投げが進行中です!

一方で東京新聞は幾つかの自治体が積極姿勢を見せていることも紹介していますので、当該部分を引用します。
「長崎県佐世保市や松浦市は既に避難ルートや避難者の受け入れ先も決め、市内各地で住民説明会を開いた。北海道ニセコ町は、地形を考慮しない規制委の放射性物質の拡散予測では不十分と、独自の予測をし、より現実に近い計画づくりを模索している。
職員不足の問題も、北海道の泊村、岩内町、共和町、神恵内(かもえない)村のように合同で計画をつくれば、ある程度は解消でき、計画に面的な広がりもでる」

これらを参考にしつつ、ぜひそれぞれの自治体で、より市民の生命を守るに足る原子力災害対策計画を生むべく、積極的にアプローチしてください。

最後に、丸投げを報じた東京新聞の記事を紹介しておきます。

******


軽すぎる原発防災計画 4分の1自治体、丸投げ
東京新聞 2013年2月8日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/list/CK2013020802100004.html

重大事故が起きた際に住民を守るため、原発周辺の自治体は三月をめどに避難ルートなどを盛り込んだ地域防災計画をつくるが、四分の一に当たる三十八の市町村が検討作業をコンサルタント会社などに丸投げしていた。本紙の取材で明らかになった。業者任せでは、机上の計画になりかねず、住民の安全確保につながるのか疑問が残る。 
 
本紙は、原発三十キロ圏にある二十一道府県と百三十市町村すべてに電話で外部委託の有無を確認した。東京電力福島第一原発の事故で、役場機能が移転している双葉町など福島県内の五町は集計から除いた。
取材の結果、三十八の市町村が、計画づくりの作業全体をコンサルタント会社や行政と関係の深い出版会社に委託。八市町が住民の避難計画などを部分的に委託していた。
津波対策などと合わせて発注しているケースも多いが、委託費用は百七十万~二千八百万円と幅があった。
 
福島の事故を受け、重点的に防災対策を進める区域が大幅拡大され、初めて計画をつくる自治体が急増。外注している三十八市町村のうち、三十一は新たに区域入りした市町村で占められていた。
事故の際、自治体は住民の避難や内部被ばくを防ぐ安定ヨウ素剤の配布など重要な役割を担う。それだけに、地域を熟知する自治体が、自ら防災計画をつくるのが本来の姿。
だが、外部に委託した自治体の担当者に、理由を聴くと「担当職員が一人しかいない」「原子力災害の知識が不足している」などを挙げた。
 
外注する自治体の比率は地域によって大きく異なっていた。原発が集中的に立地する福井県の若狭湾周辺では、自前で計画をつくる自治体より、外注の方が多かった。東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)や四国電力伊方原発(愛媛県)の周辺自治体も外注と自前がほぼ同数だった。
一方、中国電力島根原発(島根県)と九州電力玄海原発(佐賀県)の周辺で委託はゼロだった。
 
<地域防災計画> 福島第一原発事故の反省から国の指針が改定され、重点的に防災対策を進める区域(UPZ)が、原発8~10キロ圏から30キロ圏へと拡大された。これに伴い区域内の自治体数は15道府県45市町村から21道府県135市町村へと3倍に増えた。住民の避難先や避難手段の確保などを検討、3月18日をめどに計画をつくるが大幅に遅れる自治体が続出する見込み。

 

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明日に向けて(627)「福島の空の下で」・・・佐藤幸子さんの体験に感動しました!

2013年02月18日 23時30分00秒 | 明日に向けて(601)~(700)

守田です。(20130218 23:30)

昨日(17日)に、丹波市開催されたフォーラムで、「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」代表の佐藤幸子さんのお話を聞き、続けてパネスディスカッションでコーディネータを務めました。自分の出来不出来は別として、全体としてとてもよく企画内容が練られていて、素晴らしい場が作られたのではないかと思います。
パネラーの方の発言の一つ一つもとても印象深かったのですが、やはり圧巻だったのは佐藤さんのお話でした。

佐藤さんはもともと自然農を営まれてきた方です。もう少し正確に言うと、はじめは普通に行われている「慣行農業」から始められ、もっと身体にいいものを作りたいと「有機農業」に進まれましたが、それもまた「自然に優しいとは言えない」のではと感じ始め、「自然農」へと転身されたのです。
この過程のことは、共著である『自然農への道』の中で詳しく書かれています。自然農とは何かを知りたい方、とくに有機農業と自然農がどう違うのかを知りたい方にお勧めの一冊です。
しかし耕す農業から、耕さない農の営みに転じられ、何年もかけて生き物の楽園となったその佐藤さんの畑にも、放射能が撒かれてしまいました。以来、佐藤さんは放射能から子どもたちを、人々を守るために走り出されました。その中で、今のこの社会のありようを変えるには教育を変えなくてはダメだと痛感したそうです。とくに文科省との交渉ではっきりそれを悟ったといいます。
それだけでなく、医療も何もかも自分たちの手で作り直さなくてはいけない。みんな下から作り変えることが必要だと思うと語られました。僕が講演会の後で、「佐藤さん、ようするに革命が必要だということですよね」と言ったら、「そうです。革命を起こさないとダメですよ」と首を強く縦にふられました。「ああ、いいな」と強く思いました。

そんな佐藤さんの話は、一から十まで迫力と緊張感に溢れていたのですが、中でも圧巻だったこと、まずみなさんにお伝えしたいことは、福島第一原発事故があったときの佐藤さんの行動です。
佐藤さんは1980年代に結婚し、就農し、お子さんを生まれましたが、1986年のチェルノブイリ原発事故のときは、放射能に関してはたいした知識がなかったそうです。そのときご長男が4歳、二人目のお子さんがお腹の中にいましたが、日本も被曝し、放射能が来ていることなどあまり分からず、有効な防護策を取れなかった。
その猛反省からその後に原発問題を懸命に学習。放射能の恐ろしさと、被曝を防ぐ術を学びました。その結果として、「もし福島原発で事故があったら、子どもを100キロ以上遠くの山形に逃がす」と心に決めていたそうです。
事故当日の2011年3月11日にも即刻行動を開始。まず動きを確保するために2台の車のガソリンを満タンにしました。そして5人いるお子さんのうち、東京で働いていた長男をのぞき、福島県内にいた4人をすぐに福島市内に集めました。うち3人は13日朝8時に早くも山形へと脱出。もうひとりの娘さんは、お連れ合いが職場をすぐに休めず13日には出発できなかったのですが、周りの方も交渉などしてくれて、14日午前10時に山形へと脱出したそうです。
福島市に最初の放射能が到達したのはそのわずか2時間後だったとか。見事な脱出劇でした。原発事故をあらかじめシミュレーションしておくことの大切さのお手本です!
 
ただしご本人は障がい者支援施設を運営するNPOの代表を務めていたため、続いて利用者さんやスタッフのケアに周り、脱出されたのは17日になってからだったそうです。15日に最も濃度の高い放射能が福島市周辺にもやってきてしまいましたが、何ら知らされなかったため、「屋外で動きまわってしまった」と悔しそうに語られていました。
それでも原発事故を想定していた佐藤さんは、合羽を着込み、マスクを厳重にするなど、可能な限りの防護体制をとって動いていて、やがて17日には脱出したわけですが、福島市内、その周辺市町村の大半の人々は何も知らされないままでした。しかも悪いことに15日は県立高校の受験発表の日と重なっていて、多くの受験生が、放射能の雪の降る中、発表を見に出かけてしまいました。
地震の影響で断水し、市役所が給水車を出したために、多くの人々が、雪の中、子どもさんの手を連れて何時間も給水を待っていました。僕もそこに立っていた女性たちから、「どうしてせめて屋内にいるようにと伝えてくれなかったのか。悔しい」と涙ながらの憤りを聞いたことが何回かあります。
この時、飛散した放射能の中には大量のヨウ素が含まれていました。そして今、子どもの発症が100万人に1人といわれる甲状腺がんが、福島だけでもう3人も見つかってしまいました。すでに手術を受けたそうなので間違いないことです。また7人が「濃厚な疑い」(8割もの確率)と伝えられています。佐藤さんは放射能の到来を何も伝えなかったことを「殺人行為としか考えられない」と語られました。
 
実はこのお話は、上梓されたばかりの佐藤さんの本、『福島の空の下で』(創森社)の冒頭にも書かれています。この数十ページの記録を読むだけでも価値があります。なんと2013年2月19日第1刷発行で、僕も会場で買ったのですが、その冒頭には次のように記されています。少しく引用します。

***

ついに来るべきときが来た

「お母さんは、この日のために今までの人生があったような気がする」
2011年3月13日に山形県の友人宅に避難した子どもたちより4日遅れて避難した私は、3月17日、子どもたちにそう話しました。
「原発がなくなっても、石油がなくなっても、食料が輸入されなくなっても生き残る。その技術と知恵を自分が習得して、そのすべてを子どもたちに伝えていくのが自分の使命だ」
そう思って、自給農の暮らしを30年間やってきました。「今、そのときが来たから、あなたたちはどこに行っても生きていけると話しました。」(同書P16)

***

この冒頭の数行を読んで、本当に深く共感しました。なんというか、僕もあの大事故の直後に、似たような思いを抱いたからです。もっとも僕の場合、生き残る知恵や技術を習得してきたわけではありませんが、それまでいろいろな仕事をしたり、社会運動に参加する中で、どこか僕はいつか何かの時のための訓練を自分に施しているような気持ちがあったのでした。なので「ついに来るべきときが来た。このときのために僕は数々の訓練と経験を重ねてきた」とそう感じたのでした。
・・・それはともあれ、佐藤さんがこのとき感じたことは、本当に大事な教訓に溢れています。彼女は次のようにも書いています。

***

自分で判断しなければ「いのち」は守れない

今回の原発事故で痛感したのは、即座に自分で判断しなければ「いのち」は守れないということでした。実際、早期に避難を決めた人たちは、テレビなどマスコミからの情報ではなく、インターネットからの情報で判断した人が多かったようです。
過去の公害問題を見て、「真実は隠される。企業を守るため、国民は捨てられる」ことを経験上知っていた人々は、政府の「大本営」発表しか発信しないマスコミを信じることはありませんでした。」(同書P27)

***

これも本当に大事な点です。僕もこのとき、まったく同じように感じました。「事故はかなり深刻だ。しかし絶対に政府は人々を逃がしてくれないだろう。避難を呼びかけなくてはならない」と感じ、すぐに情報収集と、発信を始めました。
同時にとても大切なのは、「真実は隠される。企業を守るため、国民は捨てられる」という事実を経験上知っていたかどうかだと思います。それがいざというとき、生死を分ける。だから今、ぜひとも僕は多くの方に、今回の教訓としてこの点を心に留め置いて欲しいと思うのです。
実は僕は事故直後に、大変レベルの高い科学者でありながら、政府を信用しがちな敬愛する友人に、原田正純著『水俣病』(岩波新書)を送りました。なぜか。2011年3月から、私たちの国は、まるで全体が「水俣」になったような状況にあると思えたからです。同書を読んだことがない人はぜひ、手に入れて読んでみてください。


こうした佐藤さんの経験から、原発事故に対する備えとして大事なことを導き出すことができます。一つは、常々、提案してきていることですが、事故が起こったらどうするか、あらかじめシミュレーションしておくことです。佐藤さんの場合、行く先の友人宅も決めてあった。すぐにお友だちから電話が来たことが記されていますが、この点もとても大事です。
まずは個人間で防災協定を結んでおく。どちらかにいざという事態が起こったら、他方がすぐに受け入れ準備を開始する。こうした関係を、きるだけたくさんの人がたくさん作っておくといい。それだけで私たちの国の防災態勢は格段にアップします。

第二に「真実は隠される。企業を守るため、国民は捨てられる」ことを肝に銘じておくことです。もちろん、その歴史を繰り返させないための行動は大事です。福島の人々はそのために「福島原発告訴団」を結成して起ち上がっている。国民、住民を捨てた人々を、後々のために社会的に懲らしめなくてはいけません。
しかしまだそれがなされていない以上、同じことは必ず繰り返されます。何せ膨大な放射能をばら撒いたことに責任のある人びと、さらにはすぐにも始まっていたメルトダウンを人々に伝えず、放射能の到来も教えなかった人々のうち、まだただの一人の逮捕もされていないからです。
だからこのままでは歴史は繰り返します。だからこそ、これまでどのような歴史的事実があったのかを知っておくことが大事なのです。そこから同じ歴史を繰り返させない知恵も生まれます。そのために私たちは広島・長崎の被爆者の方たちや、水俣病被害者の方たちが辿った苦難の歴史に学ばなくてはいけない。

いや、それだけではありません。まさに現在進行形の、この福島原発事故を、克明に記録しながら歩まなくてはいけません。望むべくはその記録が、悪者とたちを懲らしめるとともに、放射能の被害をできるだけ小さく食い止め、あるいは被曝の苦しみの中を超えるたくさんの実践が生まれ、未来が開けた記録となって欲しいし、そこにむけて私たちは歩んでいく必要があります。
そのために、まさしく明日に向けて、僕は佐藤幸子さんの経験をみんなでシェアすることが大切だと思います。僕自身、まだ本の初めしか読んでいないので、昨日の講演を思い出しながらじっくりとページを繰り、佐藤さんが体現されている福島の人々の格闘、福島原発事故と闘ってきた福島の方たちの歴史を、己のものにしていきたいと思います。

佐藤さんはこれからも精力的にあちこちで講演されると思います。どうかみなさん、お近くに彼女がきたときはぜひお出かけください。福島の現実を知るためでもありますが、きっとあなたにとっての英知、未来への励ましが得られると思います。
最後に、佐藤さんとの出会いの場を与えてくださった、「どろんこキャラバン☆たんば」実行委員会のみなさんにお礼を申し上げて、この報告を閉じます。


なお丹波・篠山には21日にもうかがいます!企画案内を貼り付けておきます。
ちなみに会場のナチュラルバックヤードさんは、素敵な木造りおもちゃのお店。ご自分のお子さんに安全なおもちゃを作ってあげようと取り組みだしたことが、仕事にまで発展したのだそうです。
昨年、積み木セットをいただき、岩手県大槌町の保育園(幼稚園かも・・・)に寄贈することができました。今回はそのときの写真もお見せします!
 
以下、案内を貼り付けます。
 
*********
 
守田敏也さんを囲んで聞きたい放題の会 パート2
 
昨年12月に行われたこの会。好評だったので、守田さんにお願いしてPart 2を企画しました!
今回は、大気汚染のことなどもお話しして下さるとのこと。心配事が尽きない社会ですが、不安なことをすこしでも解消し、守るべきものを守れるように備えたいですよね。
今回は午前中♩お母さん方が出やすいのでは?と思いこの時間にしてみました(^O^) もちろん「お母さん」じゃなくも シングル、メンズ、ハーフ ok !
お待ちしています!

託児も用意できるように調整中です♡

日時 : 2/21(木) 10時〜12時
場所 : ナチュラルバックヤードさん
住所 : 篠山市二階町89-1
 (駐車場がないため、市民センター又は近くの駐車場にお願いします)

参加費:カンパ制

守田敏也さんのプロフィール
1959年生まれ。京都市在住。「市民と科学者の内部被曝問題研究会」常任理事。
今年から篠山市原子力防災対策委員会委員に就任する。
同志社大学社会的共通資本研究センター客員フェローなどを経て、現在フリーライターとして取材活動を続け、社会的共通資本に関する研究を進めている。
原発関係の著作に、『内部被曝』(矢ケ崎克馬氏との共著、岩波ブックレット2012年)があり、雑誌『世界』などで、肥田舜太郎医師へのインタビューを行ったり、福島第一原発事故での市民の取り組みや内部被曝問題についての取材報告をして話題になっている。
東日本大震災以降、インターネットではブログ「明日に向けて」で発信を続けている。

主催: 放射能から子どもを守る丹波ネットワーク
つなぎ村子どもプロジェクト

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明日に向けて(626)危険な原子力の夢=核融合発電のための重水素実験に反対します!

2013年02月16日 21時00分00秒 | 明日に向けて(601)~(700)

守田です。(20130216 21:00)

14日に、多治見市に、「核融合科学研究所周辺環境の保全等に関する協定書等の締結および重水素実験に反対」する意見書を提出しました。今回はこのことについて書きたいと思いますが、あらかじめお断りしておくと、僕はまだ核融合の仕組みと危険性について、十分な把握ができてるとは思っていません。
それでも多治見市が応募したパブリックコメントを無視するわけにいかなかったので時間の許す範囲での批判を試みました。まだまだ不十分な理解でしかありませんが、みなさんと一緒に考えていくためにも、今回のコメント作成で学んだことを書いておこうと思います。


危険な原子力の夢=核融合発電のための重水素実験に反対します!

核融合発電の仕組み

核融合発電とは、核分裂によってエネルギーを得るのとは反対に、原子と原子がぶつかって融合するときに出るエネルギーを使うものです。これでお湯を沸かしタービンを回して発電する。お湯を沸かしてからは原発と同じです。ただし核分裂を応用する原発では、燃料のウランやプルトニウムも、これが分裂して生成される物質も、ともに放射性物質であって放射能汚染が避けられないことに対し、原子と原子の融合では、放射性物質が発生せず「クリーンなエネルギーを得られる」というのが開発側の謳い文句です。
しかし核融合が実際に実用されているのは水爆のみ。なぜかというと原子を核融合させるためには、超高温状態を作らなければならないのですが、これがとても難しくて技術がおいついていないからです。なにせ最低でも1億度前後のとんでもない状態(気体とも違い、「プラズマ」状態と呼ばれます)を作らなくてはなりません。たかだかお湯を沸かすのに、なんで1億度以上の場を作らなくてはならないのかという疑問が真っ先に生じますが、とりあえずそれは横において話を先に進めます。
核融合をもっともさせやすいのは水素の仲間の重水素と三重水素(トリチウム)です。重水素は海水の中に5000分の1ほど含まれているので「燃料は無限にある」とされます。しかし重水素だけでは融合させにくいので、一緒にトリチウムを使います。トリチウムは鉱物や、重水素と同じく海水に含まれているリチウムに中性子を当てると作られるもので、放射性物質です。重水素とともに水素の仲間(同位体)で、化学反応では水素とまったく同じようにふるまいます。
「水素爆弾」という名前の由来もここから来ています。水爆の場合でもまずは超高温状態を作らなければなりませんが、どうしているのかというと起爆装置としてなんと原爆を使っているのです。原爆でまず超高温状態を作り出す。それで核融合が行われてさらに莫大なエネルギーが放出される・・・わけですが、当然にも原爆による膨大な放射能(核分裂生成物)が発生します。50年前に繰り返し大気圏内で実験が行われたため、膨大な放射能が降り注がれてしまいました・・・。

今、目指しているのはより高温の「プラズマ」状態の安定した維持

発電のためには原爆など使えるわけがありませんから、原爆にかわって、1億度以上の場(プラズマ状態)を生み出す装置を作らなければなりません。これが大変難しい。しかもただ高温であるだけではダメで、高い密度が必要とされ、その状態で一定時間、封じ込めなくてはいけない。しかし地球上に1億度に耐える材質などありません。そのためこの装置の内部に強力な磁場を作って、そこにプラズマを閉じ込めることが目指されています。それで装置の壁面にプラズマが触れないようにしないといけない上に、プラズマ状態を保たせなければいけない。そのため装置は非常に大型化してしまいます。
現段階ではこれが何とかできて5億度ぐらいまで達しているぐらいの段階だそうです。装置の名前で言うと「トマカク型装置」がこれを達成しています。ここでは水素ガスが使われてきました。しかしこの「トマカク装置」、運転が難しくて、せっかく作ったプラズマが突然消えてしまったりする。一定の時間、もたせることも難しい。それで今、行われつつあるのはもっと操作が容易だとされる「ヘリカル型装置」で、より高いプラズマ状態を安定的に作ることです。
この「ヘリカル型装置」は日本の技術で開発されてきたそうで、その世界最大のものが土岐市の核融合科学研究所にあるのです。そこにこれまでの水素によるプラズマ発生段階を越えて、重水素を入れてより高温のプラズマ状態を作り出し、核融合を起こさせる実験がこれから始められようとしてる「重水素実験」です。この装置はまだ「核融合炉」とは言わないそうで、それを可能にするための実験という位置を持っています。同研究所のパンフレットには、重水素を研究すれば、三重水素(トリチウム)のこともよくわかるとも書いてあります。プラズマ状態でのトリチウムの状態なども研究対象になっているのでしょう。
では重水素を入れて、より安定的なプラズマ状態を作り出すとどういうことが起こるのか。重水素同士を核融合させるために必要な温度はなんと10億度以上だそうで、この装置はそこまでの状態を作れません。しかしそれでも核融合がわずかに生じるとのことで、そうすると重水素同士の融合から、エネルギーの他にヘリウムと中性子と三重水素(トリチウム)が生まれてきます。このうち中性子は放射線であり、トリチウムは放射性物質です。こうした放射線と放射性物質を生み出しながら、より高温で密度の高いプラズマ状態を安定的に作り出し、「核融合炉」の創出につなげようというのが「重水素実験」だということです。

重水素実験の危険性

この実験で生じる危険性にはどのようなものがあるでしょうか。研究所側は「ほとんどない」と言っていますが、なにせ1億度もの熱を発っする装置が壊れることはないのでしょうか。しかも内部で核融合が行われ、膨大なエネルギーが発生します。そもそもこの実験は重水素でプラズマ状態を作るとどうなるかを知る実験なのですから、多くの未知数があります。研究所側も「重水素を研究すれば、三重水素(トリチウム)のこともよくわかる」と言っているわけで、分からないことが多いことを意味しています。核融合を伴いつつ超高温のプラズマを発生させる実験はやはりそれだけで危険性が多いといわざるをえません。
二つ目に、重水素の核融合で、2つの放射能汚染の可能性が生じることです。一つには中性子が発生します。中性子は「透過力」が強くて、遮蔽がもっとも難しい放射線です。同時に中性子はあたったものを脆弱化させるとともに放射化してしまう性質を持っています。研究所側は、実験が終わってから設備が40年で無害化するというのですが、40年もの間、使った装置そのものが放射性物質になってしまうのです。この点で、中性子をたくさん発生させることのリスクは非常に高いです。
もう一つ厄介なのは、この過程で放射性のトリチウムが発生することです。そもそも水素は非常に扱いが難しい物質です。とくに封じ込めが難しい。しかもある割合で酸素ガスと混合すると小さな火種でも爆発を起こしてしまいます。実際に福島第一原発1号機はそれで建屋が吹っ飛びました。そのため現在も窒素を封入して水素の爆発を避けています。また水素は酸素と結合して水を作りますが、その水素がトリチウムの場合は、放射性の水ができてしまいます。放射性物質で汚染された水ではなく、水そのものが放射化されてしまうので回収が難しい。環境中の水と混ざったらもう回収不可能です。何せ水ですから、もちろん生物にもどんどん取り込まれる。
では土岐市で行われようとしている今後の実験でどれぐらいのトリチウムが出てくるかというと、実験所側はなんと毎年555億ベルものトリチウムが発生するとしており、「90%以上を回収する」と言っています。反対に言えば10%未満、55億ベクレル近くは回収できないと公言しているのです。回収しにくい物質であることはここからも明らかで、見積よりももって漏れてしまって、環境をより汚染する可能性も多分にあります。

「クリーンな発電」までの道のりはあまりにも遠い

さらにそうした危険性を犯して実験を行って、かりに次の段階=核融合発電の実施に到れるのだとしても、計画ではまず重水素とトリチウムによる核融合によって発電が行われることになっています。この二者の場合は1億度のプラズマ状態で核融合が可能で、放射性物質ではない重水素同士であれば10億度のプラズマが必要なためで、まず発電の実用化にはトリチウムを使うことが前提されているのです。というか10億度のプラズマ状態での発電はまだ技術的な展望が開けていないのでしょう。論理上可能だとされているに過ぎないのです。高速増殖炉と同じく、応用しようとすればさまざまな困難が発生するでしょう。
つまり危険な重水素実験を行って、その先に開けるのは、まずは放射性物質で、扱いの厄介なトリチウムそのものを燃料とする、とてもクリーンではない発電に過ぎないということです。その場合も、中性子が発生し、融合炉が放射化されてしまう。ここでも先々「低放射化材を使う」と言われていますが、これも現段階では絵に書いた餅でしかありません。
しかも、このとてもクリーンだとは言えないトリチウムを燃料とした核融合発電にやっと到達するのが、現段階の甘い読みで2050年なのです。それまで一切、電力を生まない危険な実験に、莫大な資金が投入され、せっせと放射性物質を作っていくことになります。なおかつそうまでして取り組んで、できることはたかだかお湯を沸かすことだけです。何億度もの熱の場を使って、水を100度にする。あまりに不合理です。
そんなことをするよりも、ここにつぎ込む資金を自然エネルギーに振り向ければ、すぐにも電気が得られるし、火力であろうが原子力であろうが、熱でタービンを回すことに伴うさまざまな限界を大きく超えていくことができます。これひとつとっても、わざわざ危険を犯すメリットが何もないことが明らかでしょう。

今は、福島第一原発事故の終息にむけて資金を投入すべき

私たちの国は今、未曾有の危機の中にあります。福島第一原発事故は依然、終息などしておらず、4号機をはじめ、ものすごく深刻な危機が私たちの前にあります。理想的な計画でも、2050年になってやっと放射性のトリチウムを燃料とした湯沸かし器など作るよりも、この資金を全部、福島の現場に投入すべきです。
そもそも溶けてしまった燃料を取り出す技術も人類はまだ持っていないのです。ここに真っ先に、国中の英知と資金を集中しなくてなりません。また作業している方たちの待遇改善、作業環境における放射線防御の徹底化や、医療保障なども、もっと手厚くしなければなりません。作業はまだまだ延々と続くのです。いくらお金があっても足りないのではないでしょうか。
同時に、すでに出てしまった膨大な放射能への対処、そのために起こってしまった被曝への対応に資金を潤沢に投入しなけばなりません。すでに子どもたちから次々に甲状腺がんが見つかっています。それだけでなく全国各地で、体調不良の報告が増加しています。間違いなく言えることは医療予算が今後、大きく膨らんでいくことです。ここを手厚くしないと医療スタッフがまいってしまい、私たちの健康の基礎としての医療制度が崩壊しています。
また線量の高い地域からの人々の避難の促進、子どもたちの学童疎開、可能な場での除染の促進など、事故の結果への対応には、これからも膨大な資金が必要です。これにあわせて津波被害からの復活にも大量の資金が必要です。それらを考えても、この危険性が膨大で、なおかつ無駄な計画に資金をつぎ込む意義はまったくありません。

結論

「クリーンな発電」としての核融合発電は、あまりに道のりが遠く、危険な未知の実験を幾つもくぐり抜けなくては到達できないものです。しかもその過程で、常に中性子が放射され、周りの物質を放射化するとともに、扱いにくい放射性のトリチウムが生み出され続けます。あまりに危険性が高い上に、それで私たちが電気を手にできるのは、理想的にいっても40年以上先です。
現在、私たちは福島原発事故と向かい合っているのであって、これ以上に原子力に関連するリスクを増やすことなどあってはならないし、貴重な財源をそんなことに費やす余裕などまったくありません。以上から土岐市で行われる重水素実験は絶対に進めてはならないものです。私たちと未来世代のために、反対の声を広げましょう!

最後に地元でこの問題と精力的に向かい合っている「多治見を放射能から守ろう!市民の会」のページと、実験反対の署名を紹介します。みなさん、ぜひ署名にご協力ください。

多治見を放射能から守ろう!市民の会
http://t-mamorou.digi2.jp/index.html

重水素実験調印反対署名
http://sukoyaka-koshigaya.jimdo.com/重水素実験調印反対署名/


 

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明日に向けて(625)放射能と食物、原発災害の話をします!丹波/篠山/三田/京都/彦根/奈良/西宮/加古川/高砂

2013年02月15日 23時30分00秒 | 明日に向けて(601)~(700)

守田です。(20130215 23:30)

今後の講演などのスケジュールをお知らせします。

まず今度の日曜日(17日)に、丹波市で、フォーラム「未来(あした)へつなぐ暮らし~わかちあう幸せ~」に参加し、2部のパネルディスカッション「未来のために今、何を選択するのか?」でコーディネータを務めます。
「放射能から子どもを守る福島ネットワーク代表」の佐藤幸子さんの講演を受けてのディスカッションで、僕なりに、今、福島の人々といかに連帯するのか、独自の思いを持ちながら、みなさんの討論をコーディネートしようと思います。

2月21日(木)には同じく兵庫県篠山市にうかがいます。僕に対する『何でも聞きたい放題の会』の2回目を開いてくださいます!僕としては、この間、温めている食の問題を中心にお話したいと思っています。

2月24日(日)には、やはり兵庫県の三田市にうかがいます。ここでも主に放射能と食の問題をお話します。何をどう食べればいいのか、この間、深めてきたことをお話します。ちなみに17日から24日は僕にとって丹波篠山ウィークです!

2月27日(水)には、京都市で市職労のみなさんにお話します。この日は、東北・岩手県の大槌町で起こっていること、「復興」の現実、復興の名のもとに行われているひどい現実についてお話します。震災遺物(がれき問題)で活動してきたみなさんにもぜひ聞いていただきたい内容です。

3月以降の内容もアップしておきます。これらについてはまた追ってお知らせします。

お近くの方、ぜひそれぞれの企画にお越しください!!

以下、企画内容を貼り付けておきます。

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2月17日兵庫県丹波市
 
フォーラム「未来(あした)へつなぐ暮らし~わかちあう幸せ~」

2月17日(日)
13:00~16:30
場所:丹波の森公苑 多目的ルーム
JR柏原駅より徒歩8分
兵庫県丹波市柏原町柏原5600
0795-72-2127
 
1部 こどもの未来のために 今!必要なことを聞いてみよう!
 
放射能から子どもを守る福島ネットワーク代表
佐藤幸子さん講演会
 
プロフィール
福島県伊達郡川俣町飯坂在住 1958年生まれ 
1976年 川俣高校卒業後、同町商工会勤務。結婚を機に農業従事。第一子誕生を機に「やまなみ農場」として敢行農業から有機農業に転換、10年間続ける。
1992年 自然農に出会い、耕さないやり方で田畑作り開始。2010年まで自給自足を実践。その間、研修生受け入れNPO法人青いそら設立ヘルパー派遣事業所開所。
2011年5月1日 子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク設立、現在代表を務める。子どもを守るためには多少の考え方の違いを認めつつ、あらゆる人々が繋がることで子どもを守って行くことができると考え、全国を飛び回る。
また「原発いらない福島の女たち」と共に原発廃炉をめざす。3.11以前にやまなみ農場が実践してきた自然と共生する生活が、人間本来の暮らし方であると衣食住の自給はもちろん教育・医療・エネルギー・福祉・流通のありかたを根本から変えていく必要があることを提案。
共著:『自然農への道』創森社 
 
2部 未来のために今、何を選択するのか?
 
パネルディスカッション:テーマ『未来へつなぐ暮らし』
コーディネーター:守田敏也(フリーライター 篠山市原子力災害対策検討委員会委員)
パネリスト   :佐藤幸子(放射能から子どもを守る福島ネットワーク代表)
        :大月 傑(NPO法人風和職員)
        :森田靖久(丹波新聞社記者)
        :廣岡菜摘(福島市から避難移住 篠山市在住)
 
主催:どろんこキャラバン☆たんば実行委員会
共催:NPO法人バイオマスフォーラムたんば・NPO法人風和・ピースたんば
   新しい風プロジェクト・3.11を憶念する会・つなぎ村こどもプロジェクト
   丹波篠山避難移住者ネットワーク:こっからネット
後援:丹波の森公苑・丹波県民局・篠山市・丹波新聞
 
問い合わせ:どろんこキャラバン☆たんば 実行委員会事務局長 足立眞理子
Email:doronko.caravan@gmail.com
http://doronkocaravantanba.seesaa.net/ 
*託児の必要な方はご予約ください*

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2月21日 兵庫県篠山市

『守田敏也さんを囲んで  何でも聞きたい放題の会 Part2』
午前10時から

詳細については追って掲載します。

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2月24日 兵庫県三田市
 
~三田っ子の健康を守る食べ物、避難計画のお話~
“子育てするならゼッタイ三田”の素敵なキャッチフレーズの三田にふさわしく、安心して子どもをはぐくみ、成長を見守るため、食についての最新の情報や放射能から身を守るために必要な情報を、ジャーナリストの守田敏也さんに京都からおいでいただき、お伺いします。
穏やかでわかりやすいお話で定評の守田さんは、精力的な福島支援活動を展開されながら、 お隣の篠山市でも避難計画の策定をなさっています。
素朴な疑問や不安なことなどを、気楽に質問できるコーナーもたっぷり時間を用意しますので、 皆様の日ごろの心配を解消するこのチャンスにどうぞお気軽にご参加ください。
 
日時:2月24日(日)13時半~15時半
場所:フラワータウン市民センター視聴覚室 (神鉄フラワータウン駅すぐ)
参加:500円
 ※一時保育あります。必ずご予約・事前連絡ください。 子ども1人300円、きょうだいは二人目から200円
 
主催 三田の未来を守る会 給食を考える部会
未来公房
申込・問い合わせ先 ryuujin55@gmail.com
090-6736-6750
(アマノ・留守電に連絡先をお知らせください折り返しご連絡します)
 
*****
 
2月27日 京都市中京区

東日本大震災から2年・・・ 被災地はいま
~私たちが知らなければならないこと、しなければならないこと~

東日本大震災から2年が経とうとしています。
この間、復興が遅々として進まないことや、派遣職員の自殺といった痛ましいニュースも報道されています。
その一方で、安倍内閣は原発の再稼働を推し進め、原発の新設まで言及する始末です。
いま、被災地の人々の暮らしや仕事はどうなっているのでしょうか?被災地の被曝の状況はどうなっているのでしょう?
守田さんが関わってこられた岩手県大槌町の現状から、あらためて被災地の今を学ぶとともに、内部被曝のメカニズムや危険性、そして京都への影響についてもお話をいただきます。

日時:2月27日(水)午後6時30分
場所:職員会館かもがわ 大会議室
講師:守田 敏也 さん
 
主催:京都市職労

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3月2日 滋賀県彦根市

13時45分~16時

彦根おやこ劇場にて

詳細は追って掲載します。

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3月9日 奈良県奈良市

オープニング・セレモニーのお知らせ

奈良・市民放射能測定所は3月10日(日)に開所します。阿部宣幸さん(福島)と奥森祥陽さん(京都)をお招きして第1回の準備会を開催したのは、昨年の3月18日でした。以来丸1年、ようやく開設の運びになりました。

開所日の前日の9日に下記の要領でオープニング・セレモニーを開催します。守田敏也さんをお招きし、講演していただきます。 内部被曝や食品の安全に不安を抱く多くの市民と手を携え歩んでいける測定所の充実・発展を願って、奈良での市民放射能測定所の開設をともに祝っていただきたいと思います。ぜひ、ご参加下さい。

日時:3月9日(土)10:00~16:00
場所:奈良・市民放射能測定所(医療問題研究会奈良事務所内)  
   奈良市学園北2丁目1-6 セブンスターマンション学園前103号
  (近鉄奈良線「学園前駅」北口徒歩3分)

内容:・準備会からの開設に向けての報告
   ・記念講演「低線量・内部被曝の危険性と市民放射能測定所の役割」  
    講師:守田敏也さん(フリージャーナリスト、岩波ブックレット『内部被曝』共著者)
   ・測定デモンストレーション
   ・祝!開設パーティー
参加費:500円(パーティー参加者は1000円)

連絡先:090-6059-5202(辻本)
http://nara-shiminsokutei.blogspot.jp/

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3月10日 兵庫県西宮市 加古川市

午前9時30分 西宮市フレンテにて

午後1時30分 加古川市にて

詳細は追って掲載します。

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3月15日 兵庫県高砂市

詳細は追って掲載します。

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3月16日 京都市中京区

午後3時より

堺町画廊にて

詳細は追って掲載します。

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3月20日 京都市南区

東日本大震災2年チャリティー・コンサート「福島をわすれない」

<開催趣旨>
震災から2年が過ぎ、2年前に福島で何が起こったかを私たちは忘れかけていませんか?
そして今も、福島の汚染地域はもちろんのこと、避難解除地域にも70%~80%の人々が故郷に帰りたい気持ちを抑えて、子どもたちのために避難生活を続けているのです。
そして今や京都でも、大飯原発再稼働をうけ、明日は福島の問題が自らの問題になるかもしれない不安を抱えるようになっています。
子どもたちのために、安全な未来社会をつくることは、今の私たちに大切な仕事です。そして福島を忘れることは、日本の未来を捨ててしまう行為と同じことです。
震災2周年を迎えて、震災で亡くなられた方々への追悼の心と共に、「福島をわすれない」というメッセージを心に刻むために、コンサートとトークイベントを開催したいと思います。

<開催概要>
・日時  2013年3月20日(水)開場p.m.1:00、開演p.m.1:30~4:00
  リハーサル&準備  同日 朝9:30~(予定)
・場所  龍谷大学アバンティー響都ホール 
・参加費 一般  2000円  学生1000円

<演奏出演者 >
 ●和編鐘奏者 ゆきね   http://yukinekoubou.com
 ●ロビンロイド      http://www.robbin-muse.info/
 ●えま&慧奏   http://www.yuraiworks.com/yw/
 ●Drakskip http://www.drakskip.net/menu.html                            

<トーク出演者>
 1、 真宗大谷派僧侶  山内小夜子
 2、 東北からの避難者の母 井上美和子 
 3、 フリーライター    守田敏也 

*ロビーイベント     NPOブース・フリーメッセージスペース
*主催:「福島をわすれない」清水・村澤ゼミ連合実行委員会
*共催・企画:「福島をわすれない」チャリティ・コンサート実行委員会

チラシ
http://fukushimawasurenai.seesaa.net/upload/detail/image/E38381E383A9E382B7E8A1A8-thumbnail2.jpg.html
http://fukushimawasurenai.seesaa.net/upload/detail/image/E38381E383A9E382B7E8A38F-thumbnail2.jpg.html

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3月23日 京都市伏見区

午前10時 伏見区役所大ホールにて

詳細は追って掲載します。

 

 

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明日に向けて(624)自治体自らの判断に立った原子力災害対策を!(京都市への意見提出から)

2013年02月14日 14時30分00秒 | 明日に向けて(601)~(700)

守田です。(20130214 14:30)

12日に国の原子力規制委員会に、原子力災害対策指針に対するパブリックコメントを提出し、これを援用しつつ、13日に京都市の「京都市地域防災計画 原子力災害対策編」(骨子)に対する意見書を提出しました。
その際、他の自治体に意見提出しようとしている知人から、京都市に出したものも参考までに見せて欲しいとの依頼があり、すぐに送ったのですが、これもこの場に掲載しておこうと思い立ちました。
自治体の多くが、国の指針を鵜呑みにしているのが現状だと思われますので、「そのままでは過酷事故を前提とした原発の運転という政府方針の大転換を認めてしまうことになる」というところから初めて、原子力規制委員会の指針を無批判的に前提にしてはいけないことを強調しました。
これも一つの参考に、ぜひそれぞれの自治体の原子力災害対策指針を市民の側からチェックし、より現実的な防災体制を築くことを訴えてください。

*****

京都市自らの判断に立った原子力災害対策を!

「京都市地域防災計画 原子力災害対策編」(骨子)に対する意見を申し上げます。
まず概論を申し上げます。骨子の策定にあたっては、国がきちんとした対応をとらないがめにご苦労されたと思いますが、結果的に国(原子力規制委員会)が2012年10月31日に提出した「原子力災害対策指針」(以下「指針」と略)を鵜呑みする形で、そこでの諸規定を無批判的に踏襲するものになってしまっています。何よりもこの点に大きな問題があります。ぜひ国の「指針」を批判的に捉え返し、京都市独自の立場を打ち出していただきたいと思います。以下、より具体的にな点について述べます。

第一に「指針」は、福島第一原発事故と同様の過酷事故が起こりうることを想定して作られていますが、これはこれまで「重大事故は絶対起きない」と国民・住民に約束してきたことからのなし崩し的な大転換です。このようなことは絶対に認められませんが、このことを問わずに「指針」の規定を受け入れてしまうと、あたかも京都市が、過酷事故(設計上の想定を越えた事故のこと。設計士がお手上げの事態)が起こりうる原発の運転を認めたことになってしまいます。それで良いのでしょうか。絶対によくないはずです。
国はこれまで国民・住民に、重大事故など絶対に起きない、だから運転を認めて欲しいと約束してきたのですから、福島原発事故と同様のことの起きうる可能性を認めた限り、即刻、稼働中の大飯原発を止め、全ての原発の廃炉を決定し、その上での防災対策を策定すべきです。まずもって京都市は国にそのことを問うてください。仮にそれをせずに国の「過酷事故が起こりうることを前提とした運転」を認めるのであれば、市民にその理由を明らかにしてください。

第二に、「指針」では、このように過酷事故を想定するとしながら、現実に最も可能性のある福島4号機の燃料プールの崩壊、およびそれに伴う原発サイト全体からの撤退という最悪の事態に対する防災対策が何も盛り込まれていません。同様に各々の原発にある燃料プールの危険性も指摘されておらず、この点に大きな欠点があります。現実の防災対策は、全ての原子炉を止めた上で、4号機がなお危険な状態になった場合、また運転を止めていても、核燃料プールなどから危機が起こることを想定して立てるべきなのです。
その場合、2011年3月に政府自らが4号機の崩壊の可能性に即して試算した、半径250キロ圏からの避難を射程に入れるべきです。これに踏まえて、京都市でも(1)4号機崩壊などによる福島原発サイトの危機の極限化の際の、東日本からの避難民の受け入れを準備し、(2)福島原発から新たに放出された膨大な放射能の京都市への接近に対するモニタリング態勢の構築(国や他県との連携が必須)、(3)京都市にも放射能が到達することを想定した避難・退避の準備を今から行っておく必要があります。
再度、述べますが、福島原発は極めて脆弱な状態に置かれており、再度、巨大地震や津波に襲われれば、容易に深刻な危機に陥ってしまいます。だからこそそれへの対処を京都市でも進めてください。

第三に、大飯原発をはじめとした他の原発においても、最も脆弱なのは燃料プールです。ここは「指針」に書かれているような多重の防護壁など何もありません。すぐに崩壊してしまいます。それが福島事故の重大な教訓です。従って防災の観点から、使用済み核燃料を早急に安全な体制に移すことを検討すべきであり、ぜひそれを京都市から関西電力に申し入れてください。プール保管から乾式保管に移行するなど、早急に少しでも安全マージンを広げることが、防災対策の重要な柱とならねばなりません。

第四に、「指針」がこのように、福島原発事故を受けた見直しを語りながらも、現実の危機をリアルに想定できていないのは「放射線被曝の防護措置の基本的考え方」として「国際放射線防護委員会等の勧告、特にPublication109、111や国際原子力機関のGS-R-2等の原則にのっと」るとしていることに根拠があります。しかし前二者は2008年に採用されたものであり、後者は2002年に出版されたものであって、福島事故以前のものにすぎません。これに則ることは、福島原発事故の教訓を無視することで認められないのです。このことを国に対しても明らかにし、福島事故の教訓をいかした独自の防災方針を立ててください。

第五に、同じく「指針」における「原子力災害対策重点地域」の設定も、2011年以前の指針に則っているため、あまりにも楽観論に支配されて、極端に狭いものになっています。「指針」は本来、福島原発サイトの大地震などを起因とする危機の再度の進行や、各原発や六ヶ所施設の燃料プールの崩壊を想定して重点地域を策定すべきなのです。福島原発事故にあっては、東京電力さえもが、一度、現場からの全面撤退を検討したのであり、事故の破局的進展の可能性がありました。4号機のプールは、僥倖の産物として冷却が可能になったのであって、次にこの規模で事故がとどまる保証など何もありません。従って、このとき想定された最悪の事態を、今回の指針での「仮定」にしなくてはなりません。

第六に、以上から「原子力災害対策重点地域」の設定においては、まずは福島原発の再度の危機を想定し、そのときの政府の試算通り、半径250キロ圏を「予防的防護措置を準備する区域(PAZ)」として設定すべきです。ただしあまりに膨大すぎて資産的に対処しきれないのであれば、国民・住民に、完璧な対応が不可能であることを十二分に説明した上で、アメリカが採用した半径80キロと設定することもやむをえないと考えます。
これに対し、他の原発および原子力施設の場合は、運転していないことを前提に、これよりももう少し狭い区域とすることもありえますが、その場合も、絶対に安全な範囲で線を引くことが不可能であることを十二分に説明し、住民の合意形成をしながら線引きを行うことが必要です。
京都市はかかる観点に立って、国に対して、これらの地域の区分そのものを、原子力規制委員会が一方的に天下り的に下ろすあり方を批判し、その策定そのものに参画することを表明すべきです。

第七に、「緊急時防護措置を準備する区域(UPZ)」については、福島原発との関係では、当然のことながら、前述の半径250キロ圏内を入れなければなりません。またこの区域は、被曝の「確率的影響を最小限に抑える」ことをめざす区域ですから、福島原発事故の経験から沖縄を除く日本の過半の地域が該当してしまいます。当然、京都市も全域がここに入ると考えるべきです。そのため国内で、区域を設定するのは無意味であり、沖縄を除く日本全土とするのが合理的です。

第八に、これに伴って、安定ヨウ素剤の確保も、全ての自治体で行う必要があり、京都市も確保する必要があります。大量の人々が一斉に飲んだ場合の副作用の発生も勘案し、必要な医療的バックアップ体制も取る必要があります。

第九に、過酷事故が想定しうる最悪の結果を招くときは、日本のみならず、海外にも大量の放射線被曝を招くことになります。従って国は諸外国にこの可能性を呼びかけ、頭を下げて、災害対策を行っていただくことを願いでるべきです。とくに4号機の不安定性をきちんと伝えることが重要です。それは日本国の国際的威信にかけた責任問題です。
国際観光都市としての京都も、京都を愛する世界の人々への信義にかけてこのことを発信する必要があります。また海外からの訪問者が京都滞在中に大事故が発生した場合の保護の体制、海外の方の連絡センターを特別に作り、このことを海外にアピールすべきです。

第十に、事態の深刻さに鑑みて、これまでの国の姿勢、とくに「指針」の作られ方自身があまりに拙速に過ぎます。起きうる事態の想定からして、全住民参加の討論を起こし、国民・住民の十分な合意のもとに指針を策定していく必要があるのであり、京都市もその一員として参画すべきです。かなり広域の協力が必須であることを見据え、十分に論議を尽くした防災体制の構築をなすべきです。


以上、福島第一原発事故を教訓とし、起こりうる事故をリアルに想定した場合の、原子力規制委員会による「原子力災害対策指針」の誤りを指摘しつつ、京都市がこれを前提とせず、独自の計画を立てるべきであることを述べました。
市民の命、京都市へのゲストの命、そしてまたこの国に住まう人々の全ての生命を大事にする京都市政を実現してください。このことをお願いして意見書を閉じます。

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明日に向けて(623)福島4号機の危機を見据えた現実的な災害対策指針の策定を!

2013年02月13日 23時30分00秒 | 明日に向けて(601)~(700)

守田です。(20130213 23:30)

このところ「原子力災害対策指針(原子力規制委員会)」批判に時間を費やしていますが、昨夜(12日)がパブリックコメントの締切だったので、とりあえずまとめたものを提出しました。細部のつめがまだなのですが、責任はあまりに短い期間を設定した原子力規制委員会の側にあると思っています。
なお本日(13日)は京都市の「京都市地域防災計画 原子力災害対策編」(骨子)へのパブリックコメントの締切だったので、さきほどまでこれも作成していました。その場合の要点は、京都市が原子力規制委員会の出した指針を鵜呑み的に前提にしていることへの批判でした。これでは京都市が、過酷事故を前提とした原発の運転を認めることになり改めるべきだと書きました。
この二つのコメントのうち、原子力規制委員会に提出したものをここにご紹介します。

なお細かい紹介は割愛させていただきますが、明日(14日)は、多治見市で進められようとしている「核融合科学研究所周辺環境の保全等に関する協定書等の締結について」のパブリックコメントの期限日です。
http://www.city.tajimi.gifu.jp/shimin_sanka/public_comment/24_nendo/kakuyukenkyotei.html

これも大問題です。以下をご参照ください。明日は多治見市に提出するコメントをご紹介する予定です。
http://rengetushin.at.webry.info/201302/article_6.html

以下、僕が原子力規制委員会に提出したコメントをご紹介します。

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福島4号機の危機を見据えた現実的な災害対策指針の策定を!

「原子力災害対策指針」に対する意見を申し上げます。
第一にこの指針は、福島第一原発事故と同様の過酷事故が起こりうることを想定して作られています。これまで「重大事故は絶対に起きない」と国民・住民に約束してきたことからのなし崩し的な大転換です。まずこのことが絶対に認められません。重大事故など絶対に起きないと約束してきたのですから、福島原発事故と同様のことが起きうる可能性を認めた限り、即刻、稼働中の大飯原発を止め、全ての原発の廃炉を決定し、その上での防災対策を策定すべきです。

第二に、指針では、このように過酷事故を想定するとしながら、現実に最も可能性のある福島4号機の燃料プールの崩壊、およびそれに伴う原発サイト全体からの撤退という最悪の事態に対する防災対策が何も盛り込まれていません。同様に各々の原発にある燃料プールの危険性も指摘されておらず、この点に大きな欠点があります。現実の防災対策は、全ての原子炉を止めた上で、4号機がなお危険な状態になった場合、また運転を止めていても、核燃料プールなどから危機が起こることを想定して立てるべきです。
その場合、2011年3月に4号機の危機に際して政府自らが試算した半径250キロ圏からの避難を射程に入れるべきです。また他の原発においても、防災の観点から、使用済み核燃料を早急に安全な体制に移すことを検討すべきです。プール保管から乾式保管に移行するなど、早急に少しでも安全マージンを広げることが、防災対策の重要な柱とならねばなりません。

第三に、指針はこのように、福島原発事故を受けた見直しを語りながらも、「放射線被曝の防護措置の基本的考え方」として「国際放射線防護委員会等の勧告、特にPublication109、111や国際原子力機関のGS-R-2等の原則にのっと」ることを表明しています。しかし前二者は2008年に採用されたものであり、後者は2002年に出版されたものであって、福島事故以前のものにすぎません。これに則ることは、福島原発事故の教訓を無視することで認められません。

第四に、「原子力災害対策重点地域」の設定も、2011年以前の指針に則ることなど止めて、福島原発サイトの大地震などを起因とする危機の再度の進行や、各原発や六ヶ所施設の燃料プールの崩壊を想定して策定すべきです。福島原発事故にあっては、東京電力さえもが、一度、現場からの全面撤退を検討したのであり、事故の破局的進展の可能性がありました。
4号機のプールは、僥倖の産物として冷却が可能になったのであって、次にこの規模で事故がとどまる保証など何もないのです。従って、このとき想定された最悪の事態を、今回の指針での「仮定」にしなくてはなりません。

第五に、以上から「原子力災害対策重点地域」の設定においては、まずは福島原発の再度の危機を想定し、そのときの政府の試算通り、半径250キロ圏を「予防的防護措置を準備する区域(PAZ)」として設定すべきです。ただしあまりに膨大すぎて資産的に対処しきれないのであれば、国民・住民に、完璧な対応が不可能であることを十二分に説明した上で、アメリカが採用した半径80キロと設定することもやむなしと考えます。
これに対し、他の原発および原子力施設の場合は、運転していないことを前提に、これよりももう少し狭い区域とすることもありえませすが、その場合も、絶対に安全な範囲で線を引くことが不可能であることを十二分に説明し、住民の合意形成をしながら線引きを行うことが必要です。

第六に「緊急時防護措置を準備する区域(UPZ)」については、福島原発との関係では、当然のことながら、前述の半径250キロ圏内を入れなければなりません。またこの区域は、被曝の「確率的影響を最小限に抑える」ことをめざす区域ですから、福島原発事故の経験から沖縄を除く日本の過半の地域が該当します。そのため区域を設定するのは無意味であり、沖縄を除く日本全土とするのが合理的です。

第七に、これに伴って、安定ヨウ素剤の確保も、全ての自治体で行う必要があります。大量の人々が一斉に飲んだ場合の副作用の発生も勘案し、必要な医療的バックアップ体制も取る必要があります。

第八に、過酷事故が想定しうる最悪の結果を招くときは、日本のみならず、海外にも大量の放射線被曝を招くことになります。従って諸外国にこの可能性を呼びかけ、頭を下げて、災害対策を行っていただくことを願いでるべきです。とくに4号機の不安定性をきちんと伝えることが重要です。それは日本国の国際的威信にかけた責任問題です。

第九に、事態の深刻さに鑑みて、これまでの指針の作られ方自身があまりに拙速に過ぎます。起きうる事態の想定からして、全住民参加の討論を起こし、国民・住民の十分な合意のもとに指針を策定していく必要があります。そのためにもパブリックコメントの募集がたった2週間ということに見られるあまりの拙速な態度を改め、十分に論議を尽くした防災体制の構築をなすべきです。

以上、福島第一原発事故を教訓とし、起こりうる事故をリアルに想定した場合の、現行の原子力災害対策指針の誤りと、是正の方向性について述べました。原子力規制委員会が、全ての生命を大事にするまっとうな道を歩まれることを切に希望して、意見書を閉じます。


 

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