明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(1657)原発の耐震性はハウスメーカーの建てた家よりはるかに低くて危ない!だから私は止めた!(樋口元福井地裁裁判長)

2019年02月27日 23時00分00秒 | 明日に向けて(1501~1700)

守田です(20192027 23:00)

2月23日、24日に滋賀県大津市で「全国有機農業者の集い2019in琵琶湖」が行われ、特別講演として樋口英明元福井地裁裁判長がお話されました。
2014年5月21日に大飯原発運転差止を命じる判決を出された方です。今回はこの樋口さんの講演についてご報告したいと思います。


樋口さんの講演に聞き入る満員の聴衆 守田撮影 2019年2月23日

なお樋口さんは講演に先立って岩波書店の『世界』2018年10月号に「原発訴訟と裁判官の責任」という文章を書かれています。この日の講演もこれに沿っていたので、当日の発言の紹介を兼ねるものとしてここからの引用も行います。

● 審理の比較的早い段階で大飯原発の危険性は分かった!

樋口元裁判長が述べたのは「原発の危険性は専門的知識などなくともすぐに分かった。実にシンプルなものだった」ということでした。どういうことか。『世界』から引用します。
「本件においては、原発が強い地震によって壊れるかどうかが争われているわけではなく、原告住民が「原発敷地に強い地震が来るかもしれない」と主張しているのに対し、電力会社は「将来にわたって原発敷地には強い地震は来ない」と主張しており、基本的な争いはそこにあった。ここでは強い地震に原発は耐えられないということを前提に議論がされている。このこと自体、私には驚きであった」(同書p59)
樋口さんは「電力会社は地震の予知ができると言っていることにほかならない」がしかし「わが国で地震の予知に成功したことは一度もない」。その上、将来にわたって強い地震は来ないという「消極的地震予知」の方が難しいと指摘しています。

さらに樋口さんは、そもそもいくら何でも原発に対してはもっとましな対策がなされているだろうと考えていたと述べ、以下のように指摘されました。
「三・一一後、原発の過酷事故がいったん起これば、多くの国民の生活が奪われ、国土が広範囲に荒廃してしまうことは国民の多くが認識しており、それ故に、現在の原発は地震に対してもそれなりには丈夫に備えがなされているのだろうと思い込んでいる。私自身もこの事件を担当するまでは同じ思いであった。
しかし、過去の我が国に到来した地震の強さに照らしても、他の建造物の耐震性に照らしても、大飯原発の耐震性は脆弱そのもので、それでもかまないとする唯一の根拠が、消極的地震予知だったのである」(同書p59)
「原発の耐震性を消極的地震予知に依拠して定めることはとてつもなく危険なことで、それだけで運転を差し止める充分な理由となる」(同書p60)

かくして大飯判決運転差止判決は、訴えから一年半あまりで「確信をもって」出されたのでした。


講演する樋口英明元福井地裁裁判長 守田撮影

● 原発は一般住宅よりも耐震性が低い

さらに樋口さんはこれまた自ら驚いたこととして、一般のハウスメーカーの耐震性より原発の耐震性がはるかに低いことをあげられました。
日本で記録された最大震度は4022ガルでハウスメーカーのうちの何社かはこの震度に耐えられる住宅をすでに建設しているのだそうです。
ところが大飯原発の設計基準は建設当初405ガル、大飯判決当時は700ガル、稼働中の現在でも856ガル。

しかもハウスメーカーの耐震性が実験を重ねた上での科学的数字であることに対し、原発は実験など何もせず、抜本的に作り直したわけでもないのに耐震性を2倍近くもあげてしまっている。根拠があまりに希薄です。
樋口さんはこう述べました。
「(こんな脆弱な)耐震性しかない建造物を建てておいて、その理由として「ここには強い地震は来ませんから」というのを聞いてどう思うだろうか。良識と理性は決してこれを許さない」(同書p61)

樋口さん持参の他所での講演会用チラシ 原発が一般住宅の耐震性にはるかに及ばないことを図示

樋口さんはさらに原発の危険性は「万が一」にでも起きてはならないほど大きなものであることを踏まえつつ、しかし現にある危機はもっと切迫していることも示しました。
なぜってハウスメーカーの耐震性よりも格段に低い耐震性しか原発がもっていないためです。このため樋口さんは「巨大地震ばかりを想定していてはいけない。もっと規模の小さな地震で原発は壊れうる」ことを強調しました。
だからそれは「万が一の危険という領域をはるかに超える現実的で切迫した危険」(判決文p59)なのです。だから即刻止めなければいけないのです。

続く

#大飯原発差止訴訟 #樋口英明 #原発と地震 #原発はハウスメーカーの家より弱い

*****

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明日に向けて(1656)あなたと私たちの命を守るために川と森の達人の話を聞きに来てください!

2019年02月21日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1501~1700)

守田です(20190221 23:30)

● 森が疲弊し川が氾濫し命の危機が続いている!

企画続きの毎日ですが、24日(日曜日)午後3時半から「川と森の達人に聞く」企画を行います。
京都市左京区京都教育文化センター103号室にてです。 僕がコーディネーターを務めます。

昨年、さまざまな災害が日本列島を襲い、7月豪雨では220人以上の方が亡くなりました。
9月初旬に到来した台風21号でも京都各地に多大な被害がもたらされました。猛烈な暴風が市内から北山の山々でなぎなたのように樹木を刈り倒し、電信柱も次々倒れて長い停電が現出しました。いま、京都の北山は倒木ばかりが目立っています。

ただこの被害は台風による暴風だけがもたらしたのではありません。温暖化による日本の山々の深刻な被害の進行と、あやまった林業政策のため、日本各地の山と森と山里が本当に疲弊を強めてしまっていたことが背景としてあります。
しかも倒れた木々はまだほとんどがそのまま。もしここに今年、豪雨が襲うと、木々は山肌を滑り落ちて川に入り、下流へと押し寄せます。橋にひっかかってしまうと川がせき止められ、最悪の場合、決壊し大洪水となります!

「まさかそんなことまで起こらないだろう」・・・などと思うなかれ。昨年も岡山県の真備町で大洪水が起こり、たくさんの方が亡くなってしまいました。日本各地で最悪の堤防決壊が頻発しています。
京都でも上流から流れてきた木々が三条大橋に挟まり、堤防が大決壊し、祇園や河原町一帯が水没してしまったことがあります。1935年のことです。
この時も前年の室戸台風で木々が倒され、処理できていなかったことが背景にあったのですが、京都市は昨年の被害を、この時の室戸台風なみと言っています。だから同じことが起こる可能性がある!

京都市消防局HPより

● 日本共産党京都市議団・府議団とともに防災対策に走る・・・

気候変動により災害の規模が大きくなり、同時に山々が疲弊を深め、保水力が低下している中で、昨年の初夏に日本共産党京都市議団の井坂博文さん(北区)、加藤あいさん(左京区)と懇談しました。
お二人とは原子力防災もともに担い、市議団全員に原発と放射能のことで講演もさせていただいてきたのですが、それらを踏まえつつ、僕はさらに災害対策全般への取り組みを強化して欲しいと訴えました。「災害に最も強い党になって欲しい」とも。

そのことがあったからというわけでもないでしょうが、災害が続きだった昨夏、京都市議団・府議団の方たち(元議員も含む)が素晴らしい活躍を見せてくれました。
発災とともにすぐに現場に飛んでいく。被災した方たちの話を聞き必要なアドバイスを行う。現場の状況を多くの人々に伝える。その上復旧のための活動も積極的に行う。感動しました!


いち早く被災地に駆け付けた日本共産党京都市議の樋口ひであきさん 2018年9月10日

一例として加藤あいさんが昨年9月27日に京都市会で行った代表質問をご紹介しておきます。
http://www.cpgkyoto.jp/topic/20180927%E5%8A%A0%E8%97%A4%E3%81%82%E3%81%84%E8%AD%B0%E5%93%A1%E3%80%80%E4%BB%A3%E8%A1%A8%E8%B3%AA%E5%95%8F%E3%81%A8%E7%AD%94%E5%BC%81%E3%81%AE%E5%A4%A7%E8%A6%81HP.pdf

いま統一地方選への取り組みが始まっていますが、僕は今回は自分のことととして、こんな活躍をしてきた共産党の候補予定者を市会、府会に送りこまねばと思い、応援を続けています。
とくに僕は左京区在住なので、現職の市会議員の加藤あいさん、樋口ひであきさん、前回わずかの差で惜敗したとがし豊さんを市議会に送りこもうと奮闘しています。

そんな中で府会議員のみつなが敦彦さんからの提案を受け、京都市の百万遍に市民と共産党で担う共同スペースを設けました。「左京・まちの交流ひろば」です。みつなが敦彦事務所に同居させていただいています。
京都で起こっていること全般を取り上げるつもりですが、やはり一番は災害に対する取り組み、山と森と山里を守ることです。そのための場を京都市の町場に設けたわけです。

町は山里によって守られています。山も森も長きにわたって人の手が入ってきた。山里の方によってです。そのことで下流の町の安定した生活が成り立ってきました。
だから山里を守らないと町は滅びます。そのために行動する場として「左京・まちの交流ひろば」を盛り上げていきたいと思い、今回の企画も立ち上げました。

● いま必要なのは私たちの目の前にある危機をよく知ること!

この迫りくる危機に対してどうしたら良いのでしょうか。まずは山々の状態、川が抱えている危険性をしっかり把握することです。
川の氾濫に対してはとっとと逃げてしまえば命を守ることができます。べったりと野山が被曝してしまう放射能被害とそこが抜本的に違う。

そのためにはすぐには動けない高齢者や障害者などの避難の準備を進め、また多くの人が正常性バイアスにかからずに危険地帯からとっとと逃げられるようにしておかなくてはいけない。
そのために避難所運営をより快適にし、人々が不安なく集まれるようにもしなくてはいけない。

その上で京都市の場合では最大の脅威である放置された倒木の処理を進めていくことが必要です。
それだけでなく、山と森と山里を守るため、大きく予算を振り向ける必要があります。

京都市にはいまや日本中から、いや世界中からたくさんの観光客が押し寄せてきています。そこで大洪水が発生したらどうなるのか。
実はこうした対策もまったく進んでいません。それで観光誘致を続けるのはあまりに無責任です。「どこにおもてなしの心があるのだ」と言いたい。このための対策も考えていく道義的責任も京都市にはある。

● 主原憲司さん、中川学さんの話を聴きに来てください!

そんな思いを込めて、今回、川と森の達人をお招きして防災を考える企画を行います。
洛北・東山を軸にお話していただきますが、日本の多くの地域が同じような構造を抱えているので、どこにでも通用する話になると思っています。

主原憲司さんは知る人ぞ知る森の達人です!山の生態系に誰よりも精通していて、温暖化に伴うカシノナガキクイムシによるナラ枯れ現象を食い止めるために日本各地の山々を駆け巡られてきました。
僕も20年前ぐらいに主原さんにお会いし、何度も京都府北部の「芦生の森」に連れて行っていただき、森の中で本当にたくさんのことを教えていただきました。

左京区で川について語る主原憲司さん 2019年1月17日 守田撮影

中川学さんは土木事務所で京都の川を守るために奮闘されてきた実践家です。
どこの川のどの堤防が危機に瀕しているかなどに精通されています。最近、知り合った方ですが、これまでの水害に対しても熟知しているので本当に学ぶことが多いです。

同じく川について語る中川学さん 2019年1月17日 守田撮影

お二人に共通するのは森と川への愛に溢れていること。だからみなさん。ぜひお話を聞きに来てください!
あなたの命、私たちの命を守るために集ってください! 

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明日に向けて(1655)関西無所属ネットワーク頑張れ!僕らはラディカル・デモクラシーでゆこう!

2019年02月20日 15時00分00秒 | 明日に向けて(1501~1700)

守田です(20190220 15:00)

関西無所属ネットワークへの応援の続きと、ラディカルデモクラシーでゆこうという呼びかけをしたいと思います。

● 今週、吉高ゆかこさん、井﨑敦子さん、佐々木まゆみさんとお話します!

この9名の中で3名の方から今週お招きを受けました。昨日19日京田辺市、明日21日(木)京都市、23日(土)宇治市にてです。
僕が発話したり、二人で対談したりしながら統一地方選に向けた思いをみなさんとシェアする場にできればいいなと思っています。それぞれにイベントページをご案内します。

まずは昨日、2月19日午後に関西無所属ネットワークの吉高ゆかこさんのお招きで京田辺市でお話してきました!
https://www.facebook.com/events/304527126874016/


1月6日の合同記者会見での吉高ゆかこさん 守田撮影

21日(木)午前中は同じく関西無所属ネットワークの一員で京都市左京区で市政に挑戦する井﨑敦子さんと対談です。
https://www.facebook.com/events/605305723319036/

合同記者会見での井﨑敦子さん 守田撮影

23日(土)午前中はやはり関西無所属ネットワークの佐々木まゆみさんのお招きで宇治市で対談します。社会的共通資本のことなどお話します。
https://www.facebook.com/events/2003482263053739/

合同記者会見での佐々木まゆみさん 守田撮影

● 資金集めも大きな課題

関西無所属ネットワーク参加のみなさんは政党に属していません。その場合、大変なのは資金集めです。
それぞれに訴えを行われていますが、その中の一人のにしむらしずえさんの訴えを転載します。僕も何かと資金を集めている側なのですごく共感しました!

*****

【チカラをかしてください】

市政への挑戦にはお金が必要です
でもわたしにはその資金はなくまだまだ足りない状況にあります

数年前、生活保護を受けようと思うほど限界の時がありました
それを相談した相手に「あなたを軽蔑する。人の金で生活するのか?」と言われたとき、「確かにそうだ」と申し訳なくなりわたしは生活保護を受けることをやめました

でも「それはあなたの権利だよ」と教えてくれた人がいました
言葉だけで生きてていいよと許してもらえたしあわせな気持ちがしました

いま、市政に挑戦するための資金を仲間と一緒に集めています

開口1番、「人のふんどしで相撲をとるのか?」「人の金をあてにしてるの?」という人にたくさん出会っています
確かにそうだと思うしそのまま受け止めるしかありません

でも
「見返りは制度設計ですからにしむらさんに託します」
「踏み出さない自分の代わり」
「みんなが出来ることを持ち寄る政治づくりに参加させてもらってるのはこっちの方です」

とわたしに資金を託してくれる人がいます
わたしはグッと背中を押してもらっている、しあわせな気持ちになります

生活保護への言葉も、資金集めでもらう言葉も、今の社会構造をあらわしているとわたしは体感し、感じています
人のお金で生活するしかないひとが社会にいること、また、それは制度によって許される権利であり、そんな社会をつくりまもることが、わたしが近江八幡市政へ挑戦する理由です

資金でチカラをいただきわたしは制度設計でお返しします
どうか資金でのチカラをかしてください

<振替口座>
 郵便局から 西村静恵 ニシムラシズエ ゆうちょ銀行 振替口座00930-8-211672

郵便局以外からの振込
店名》〇九九(ゼロキュウキュウ)店(099) 預金種目》当座 口座番号》0211672


にしむらしずえとくらしとせいじのミーティング(Facebookページ)より

● ラディカル・デモクラシーでゆこう!

これらの奮闘を応援しながら僕もぜひとも広げたいなと思うのは関西無所属ネットワークの理念としても語られている参加型民主主義=ラディカル・デモクラシーです。
ある意味でそれは選挙における「地盤」を作ることなんだとも思うようになりました。

ラディカル・デモクラシーは多くの人が政治に参加し、常に民衆に力がある状態を目指すものです。
けして未来の話だけでなく、例えば岸伸介首相を倒した60年安保闘争のとき、あるいはベトナム戦争反対の声が渦巻いた70年安保闘争の時にも現出していました。
いや遠い過去のことだけではなく、福島原発事故後、首相官邸前に最大20万人が集い、その後、各地で金曜行動を続行中の今の民衆運動もラディカル・デモクラシーそのものです。その力でもう原発24基を廃炉にしました。

この力をさらに高めることを選挙の中で担っていきたい。
もちろんそのために候補を当選させ、民衆の側に立つ議員を増やしていくことが必要ですが、そのためにも草の根市民運動をもっと育てなければいけない。市民派の「地盤作り」です!
そのために集会やデモだけでなく地域の自治会やPTA、防災会など、もっと既存のつながりの中に入っていき、新しい政治の輪を広げていく。そこでくらしとせいじをつなげることが大事です。そこに新しい可能性が生まれる!

今回の統一地方選、そんな新たな流れが始まっていて、それを女性たちが中心で担ってくれているように感じます。
どうしてそうなってきたのか。これまでの運動を通じ、民衆がもっと草の根から、社会の底辺から、世の中を変える必要に目覚めてきたからだし、その大きな中心を女性たちが担ってきたからだと僕は直感しています。

僕自身もそうなのです。昨年、それまでは積極的に取り組んでこれなかった社会的共通資本の学習会をスタートさせました。
僕は宇沢先生の弟子で、社会的共通資本を守ることが一番大事だと思ってきているのに、それまでなんで学習会を立ち上げなかったのかと考えると、とりあえずは放射線防護を優先する必要があったからでした。
でもいま、もっと社会全体の変革、社会の根底からの作り替えを考えなければ、そのための論を紡ぎ出さなければとの思いが、湧き上がるように高まってきています。僕もまさに民衆の一員として内側からの情動に突き動かされているのです!

そんなことをとても強く感じています!それが統一地方選への新たなうねりの中にある。かつてない何か!です。
そんな中で実現するのは参加型民主主義。もっとくらしとせいじへの覚醒を進め、よりたくさんの人々の参加で豊かにすることです。

だからみなさん。ラディカル・デモクラシーでゆきましょう!
Power to the people!


女たち いのちの大行進より 2015年5月16日 守田他撮影

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明日に向けて(1654)政治・市民自治を私たちの手に!関西無所属ネットワークを応援しています!(今日は京田辺でお話します)

2019年02月19日 09時00分00秒 | 明日に向けて(1501~1700)

守田です(20190219 09:00)

● 1月6日 関西無所属ネットワーク合同記者会見が開かれた!

4月の統一地方選に向けて京都・滋賀・大阪・兵庫で市政・府政に挑戦する人々が「関西無所属ネットワーク」というつながりをつくって奮闘しています。
「政治・市民自治を私たちの手に取り戻し市民参画政治を実行していくこと」を理念として昨年末に集まり、今年初めに合同記者会見を行って正式に起ちあがりました。以下に僕がタイムラインに書いた記事をご紹介します。
https://www.facebook.com/toshiya.morita.90/grid?lst=1182740570%3A1182740570%3A1550464094

参加しているのは以下の9人。大石さんのみ大阪府政に挑戦。あとはそれぞれの市政に挑戦されようとしています。

井﨑敦子さん(京都市左京区)
大石あきこさん(大阪府淀川区)
坂本まりさん(豊中市)
佐々木まゆみさん(宇治市)
白坂ゆうこさん(京都市東山区)
田中あきよさん(西宮市)
西谷 知美さん(吹田市)
にしむらしずえさん(近江八幡市)
吉高ゆかこさん(京田辺市)

今日はこのうちの吉高ゆかこさんに招かれて京田辺市にお話に行きます!午後1時からの開催です。
https://www.facebook.com/events/304527126874016/

● めざしているのは市民参加型民主主義(ラディカル・デモクラシー)

この日、ネットワークの声明文と理念が読み上げられたので動画でご紹介します。朗読しているのは、にしむらしずえさん(近江八幡市)です。
https://www.facebook.com/toshiya.morita.90/videos/pcb.10215491328214674/10215491133329802/?type=3&theater

語られた理念の一部を引用します。
「時の政権がどうあろうが民衆に力があり、それが権力を規制していく状態を私たちがはじめていく。
またこれは『そもそも国政は、民衆の厳粛な信託によるものであつて、その権威は民衆に由来し、その権力は民衆の代表者がこれを行使し、その福利は民衆がこれを享受する。
これを礎にした市民参加型民主主義(ラディカル・デモクラシー)の実現』
簡単にいうと/ふつーのひとたちが市民のために直接政治に口を出す「市民参加政治の実現」である」

なお記者会見の全体動画は以下のIWJさんのアーカイブからご覧になれます。

関西無所属ネットワーク キックオフ合同記者会見(京都市) 2019.1.6
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/439000

このネットワーク、女性だけで構成されていますが、理念をご覧になっても明らかなように特に女性に特化しているわけではありません。
でもそれでも国会も地方議会でもあまりに女性が少なすぎるのがこの国の残念な現状ですからこうした女性たちの奮闘をぜひみんなで応援したいです。

● この国を変えるためには女性の大きな議会進出が必要。男性も後押ししよう!

今回の統一地方選、こうした動きが全国各地からも起こりつつあり、その中で関西無所属ネットワークへの注目も高まっています。
この点にフォーカスしたのが以下の朝日新聞の記事です。

女性ゼロの地方議会、まだ2割も 「活動しづらい」
朝日新聞 山下剛 岡林佐和、三島あずさ 2019年2月16日05時00分
https://digital.asahi.com/articles/ASM2F0BV6M2DUTIL05X.html?fbclid=IwAR3hmP2L43zxiJgaV7MkQMSWrYgE1smwogpnbc7Ji6U49tVxPquwRQQ_eZI

冒頭にこう書かれています。
「全国の1788地方議会のうち、女性議員がいない「女性ゼロ」議会が339議会にのぼることが、朝日新聞社のアンケートでわかった。
8年前の調査で412議会、4年前は379議会で徐々に減っているが、依然として2割近くの議会で女性議員がいない。
女性議員が1人しかいない議会も460議会あり、女性議員が1人以下の議会が全体の計45%を占めている。」

朝日新聞より

なんたることでしょう!本当にみんなの力でこの現状を変えなくてはいけない。そのためにどんどん女性議員を増やしましょう。
ちなみに記事の後半で関西無所属ネットワーク参加のにしむらしずえさん(近江八幡市)、吉高ゆかこさん(京田辺市)、大石あきこさん(大阪府淀川区)が紹介されています。ご覧ください。

続く

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明日に向けて(1653)玄海2号機廃炉が決定!これで24基が廃炉決定済みないし検討中

2019年02月18日 21時00分00秒 | 明日に向けて(1501~1700)

守田です(20190218 21:00)

玄海2号機廃炉決定。理由はもはや経済的に展望がないから

九州電力が2月13日に玄海原発2号機(佐賀県玄海町)を廃炉にすると発表しました。これを報じた日経新聞の記事をご紹介しておきます。


写真は共同通信 20190217

原発、高まる経営リスク 九電が玄海2号機廃炉を決定 
日経新聞 2019/2/14 2:01
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41240940T10C19A2TJ1000/

記事では廃炉決定の要因を三つにまとめています。
一つは安全対策費があまりに大きくなってしまったことです。
二つはコスト競争力が悪くなってしまってきていることです。再稼働して目先の利益をあげても長期的な展望が揺らいでいると指摘しています。
三つは震災やその時の政府が原発を止めると言い出す可能性があるなど、リスクが大きくて投資を呼び込みにくいことです。以下、要点を引用します。

「九電には運転を延長して再稼働を目指す選択肢もあった。だが、福島原発事故以降の安全対策費は累計9000億円を超える。この費用がかさむほか、「(テロ対策施設建設の)スペースの問題がある」(池辺社長)ため断念した。」
「足元では原発再稼働は電力各社の収益にプラスだが、長期的にみると原発のコスト競争力自体も揺らいでいる。米投資銀行ラザードは世界の新設案件を比較し、18年時点で原発のコストは石炭火力の約1.5倍と分析。
欧州で普及が進む太陽光や陸上風力発電と比べると約3.5倍の高さになる。」
「原発を抱えると投資が呼び込みにくくなる面もある。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の荻野零児シニアアナリストは「原発は動いたり止まったりすると、利益への影響が大きい」と指摘。
再稼働すれば増益期待から株価は上がるが、「震災や、(そのときの政権が)原発はやらないと言い出すリスクもある」。海外の投資家にはデメリットを重視する傾向もあるという。」

現在24基が廃炉中ないし検討中!ここまで追い込んだのは民衆の力!

それで日本の原発の現状はどうなっているのでしょうか。現在廃炉が決定しているのが20基、これに廃炉検討に入っている福島第二4基を入れて24基が廃炉に向かってます。
稼働は9基。許可が出ているもの6基。審査中12基(島根3号機、大間1号機を含む)、未申請9基(東通1号機含む)です。以下に詳しく載っています。

原子力発電所の現状
経産省・エネルギー庁HPより
http://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/nuclear/001/pdf/001_02_001.pdf

ただこの図だと日本で作られた商業原発の合計が60基に見えますが、まだ一度も動かされたことのない島根3号機や建設中の大間1号機・東通1号機も含まれています。
このためこれらを除いた57基が日本で稼働したことのある商業用原発です。このうち福島原発事故前に東海と浜岡1,2号機が廃炉になっていたので2011年3月時は54基でした。その後なんと21基もが廃炉ないし検討中となったのです!
残る原発は33基。この他、実験炉だったもんじゅとふげんも廃炉過程に。(ふげんは2011年以前に廃炉に)。福島1~4号機は事故で壊滅しましたが、その後、私たちはもんじゅを含む18基を廃炉に追い込んだと言えます。

これらを促進してきたのは民衆の力です。安全対策費が高くなり、再生エネルギーにおされてコスト競争力が低下し、投資リスクが多くなったのは、すべて事故で目覚めた民衆の力によるものです。

老朽化し稼働そのものがリスクを背負っている!

さらに日経の記事には書かれなかったもう一つの重要な問題があります。玄海原発2号機は長いこと止まっていたため再稼働させることにかなり大きなリスクが伴っていたことです。
というのは機械は一般的に言っても長い間動かしていないと不具合が生じやすいものです。その上原発は、鉄にとってもっともやっかいな水と塩がふんだんに使われています。水での冷却が必須で一部は海水で行っているからです。
このため2015年の時点で世界で4年以上止まっていて再稼働した14例のうちすべてでその後に不具合が生じています。

日本における再稼働ではというと、9の原子炉が福島原発事故後に2年間、全原発が止まったのちに次々と再稼働してきましたが、そのうちの5つの原子炉で9回の故障事故を発生させています。
象徴的だったのは昨年3月の玄海原発3号機の再稼働時の故障事故でした。配管を覆う保温材に雨水が浸透してパイプが腐食。穴があいて中から蒸気が漏れだしたのですが、当時の九州電力瓜生社長がこう言ったのでした。
「(3号機は)7年間停止しており、再稼働で何が起こるか分からないということが現実になってしまい、残念」・・・。




20180402 RKBニュースより

これは住民の安全を無視したあまりに無責任でひどい言葉です。しかしこれが電力会社の本音です。
電力会社が心配しているのは、事故そのものよりも小さな事故でも原発がとまり経営リスクが嵩むことです。二重三重にひどいことですが、しかしここには民衆の意識の大変化に晒された電力会社の立場がにじみ出てもいます。
これは他の電力会社にも共通することです。例えば東海第二原発も長く停まっていてもはや再稼働そのものに大きなリスクがあります。事故と経営リスクの双方があります。

だからいま稼働を許すなという声をあげることがとても大事なのです。何より長く止めていた原発は「何が起こるか分からない」から動かすのが本当に危険だからです!
同時にこうした声が高まると電力会社はどんな小さな事故すらも恐れるようになり、経営リスクを考えざるをえなくなります。そしれそれが今回のように再稼働の断念につながっていくのです。
玄海2号機に続き、さらに他の原発も廃炉に追い込んでいきましょう!

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明日に向けて(1652)放射線防護、侵略と戦争の捉え返しなどで駆け抜いています!

2019年02月15日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1501~1700)

守田です(20190215 23:30)

みなさま。今回の「明日に向けて」、2月に入って2回目の投稿です。
長く空いてしまってごめんなさいですが、その間、なんだか猛烈に走り続けています。
「投稿がなくてどうしたかな?」と思ってくださる方のためにもこの間の行動に関してご報告します。

● 1日から6日まで京都市各地で奮闘しました!

まず1日には京都市で行われた日本共産党演説会に参加。4000人弱のみなさんを前に吼えさせていただきました。
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=2003495303097797&set=a.209497989164213&type=3&theater
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=2061554223958406&set=a.102061133241068&type=3&theater

2日は大阪の茨木市で行われた中田光信さんによる韓国元徴用工問題の講演会に参加。これはもうとてもためになりました。
何より中田さんは訴えた徴用工の方たちに寄り添われてきており、その点がグッときました。この点は今後、もっと詳しく展開します。

3日は新婦人岩倉班のみなさんのお招きで京都市左京区岩倉で「自然災害と原発からの命の守り方」をお話しました。
予想を上回る参加者数で、新婦人のメンバー以外の地域の方も多数参加されたとのこと。ありがたかったです。

4日は関西無所属ネットワークのにしむらしずえさんの招きで近江八幡市で放射線副読本の批判的読み解きをしてきました。中村あゆ美さんの投稿を紹介します。
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=1704912099609771&set=a.110089899092007&type=3&theater

この日の夜は「ウチら困ってんねん@京都」ミーティングでした。
ほんで5日明け方にスカイプ国際会議に参加。独2、仏2、英2、トルコ1 、僕と8人が各国各地域から参加し、今年の反核サマーキャンプについて語り合いました。
今年の開催はドイツ・デーベルンと決まりました。8月12~18日の予定です。

5日夕方には車椅子裁判を担って奮闘しているジョナさん呼びかけの懇親会に出てきました。楽しかった!裁判についてのページをご覧ください。
https://www.facebook.com/ライス-趙-ジョナさんの車椅子裁判を支える会-1514861815290120/

6日は午前中に京都市政に挑戦する日本共産党京都市議の加藤あいさんと関西無所属ネットワークの井崎敦子さんの対談の場に同席してきました。
夕方には旧日本軍性奴隷問題の解決を求める水曜行動に参加しました。水曜行動の写真を示しておきます。
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=10215717979720820&set=pcb.10215717983640918&type=3&theater

● 8日から13日まで関東を講演で行脚してきました!

8日は明け方から関東に向かい、群馬県館林市のある病院を訪問。夕方からは『原発からの命の守り方』を出してくださった海象社さんの方たちと懇談しました。

9日は午前中に東京大空襲戦災資料センターを訪問。僕の母をほとんど殺しかかった空襲と久し振りに向かい合って来ました。
午後は新婦人すみだ支部のみなさんに招かれて「軍隊「慰安婦」問題、元徴用工賠償について」とのタイトルでお話ししました。
駆けつけてくださった神奈川県藤沢市の朝倉優子さんがライブ配信してくださったのでご紹介します。
https://www.facebook.com/yuko.asakura.712/videos/2553028631391304/

9日夕方7時からは東京都千代田区のスペースたんぽぽで「自然災害と原発から命を守るには」のタイトルでお話ししました。

10日は茨城県守谷市で常総生協さんが組合員に行う安定ヨウ素剤自主配布会に参加し講演しました。午前午後の2回でした。
タイトルは「原発事故が起きたら・・・安定ヨウ素剤を飲んでとっとと逃げよう!」でした。
毎日新聞さんが茨城版に記事を乗せてくださったので記事をご紹介します。
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=10215781832357096&set=a.3300903639751&type=3&theater

夜は常総生協のみなさんと楽しく懇親しました!

11日午前中は埼玉県富士見市で「原発からの命の守り方~東海第二の危険性を問う~」というタイトルでお話ししました。
この場には日本共産党三芳町議で古くからの友人の本名洋さんほか、古い古い仲間が何人も集まってくれました。嬉しかったなあ。
夜はこれまた古い先輩で、広告関係の先鋭的な仕事をしている方と懇談しました。本の作成などかなり有効な知恵を教えていただけました。

12日午前中は神奈川県大和市でわが師、宇沢弘文先生の考案された社会的共通資本についてお話ししました!
これも参加して下さった朝倉優子さんがライブ発信してくださいました!でも残念ながら30分ぐらいで原因不明で途切れています・・・。
https://www.facebook.com/yuko.asakura.712?epa=SEARCH_BOX

それやこれやで13日に帰宅となりましたが、この日は東京の高麗博物館の見学をしてからの帰京となりました。
高麗博物館ではいま朝鮮で1919年に行われた3・1独立運動に関する素晴らしい展示を行っています。ちょうど今年が100周年になることを踏まえてです。これまたホームページを示しておきます。
https://kouraihakubutsukan.org/

さてこうやって連続で活動していると、次々とレジュメなどを作っていく必要があり、とにかく連日、濃密に作業が続くことになります。
その過程では本当に我を忘れるのですが、ちょっと手を休めたときに、なんとも「ありがたいことだなあ」という気持ちがひしひしと沸いてきます。
こんな風に連続で活動して、学んで学んで学んで、パワポを新たに作り込んでいると次々と見えてくることがあるからです。
この間も発見の連続でした!それらをそれぞれの講演会の場に還元してきました。

● 2月後半も頑張ります!

と、いうことで?無事に13日に帰ってきましたが、その後も激しく動きます!
まず明日16日は「ウチら困ってんねん@京都」の仲間10人と京都府綾部市でのヨウ素剤自主配布会に参加してきます!助っ人をしながらみんなでやり方を習得してきます。それで京都市でも実現しようとの魂胆です!
https://www.facebook.com/events/2633513466665680/

2月19日午後は関西無所属ネットワークの吉高ゆかこさんのお招きで京田辺市でお話してきます。
https://www.facebook.com/events/304527126874016/

2月21日午前中は同じく関西無所属ネットワークの一員で京都市左京区で市政に挑戦する井崎敦子さんと対談です。
https://www.facebook.com/events/605305723319036/

2月23日午前中はやはり関西無所属ネットワークの佐々木まゆみさんのお招きで宇治市にいって社会的共通資本についてお話します。
https://www.facebook.com/events/2003482263053739/

午後は大津市のアヤカレークサイドホテルでの企画に参加。大飯原発を裁判官として一度停めてくれた樋口英明さんの講演を聴き、その後、現場で囲む会などを行います。
https://www.facebook.com/events/644063632693235/

ほんで24日午後3時半から京都市左京区で、洛北・東山の防災を考える!川と森の達人に聞く!という企画でコーディネーターをします。
https://www.facebook.com/events/285793218781950/

これらについては再度、「明日に向けて」でご案内しますが、ともあれみなさま。どうか可能であればそれぞれの場にご参加していただきたいです!
ということで「明日に向けて」は更新できませんでしたが、2月に入ってからも元気いっぱいで奮闘しています!
みなさま。どうかこれからもよろしくお願いします!

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明日に向けて(1651)書評『核なき未来へ 被爆二世からのメッセージ』森川聖詩著-1

2019年02月01日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1501~1700)

守田です(20190201 23:30)

被爆二世の問題に切り込んで

昨年末に、画期的な書が上梓されました。表題に掲げた『核なき未来へ』です。神奈川県在住の森川聖詩さんが書かれました。
どこが画期的なのかというと、被爆二世である森川さんが、ご自身の経験を踏まえ、「被爆二世の問題」を主題として扱っていることです。

被爆二世の問題とは大きく言えば、被爆二世のそれぞれの実存のすべてに関わることでとても広い内容を含むと思います。あるいは何が「被爆二世の問題」なのかで一つの論議が起ちあがるかもしれません。
その点を踏まえた上でご紹介したいのは、この書で森川さんが問うているのは、放射線被曝による遺伝的影響を被爆者や二世、関係者がいかに捉えてきたのかという点です。それはまた差別といかに向き合うのかということにも深くつながる問題です。

森川さんはご自身の体験や近しい二世の友人などの経験から、はっきりと「遺伝的影響はある」という立場に身をおいています。
僕は京都「被爆2世3世の会」に参加していますが、私たちの会も、はっきりと「ある」という立場にあります。とくにこの間、独自に被爆二世の健康調査のためのアンケートを行ってきてその確信を深めてきました。

2015年被爆二世健康実態調査
http://aogiri2-3.jp/chousa/2015jittaichosachukanhoukoku.pdf

森川さんはこの問題について、1960年代末ごろに被爆二世の白血病死が相次いだことなどを契機に、被爆二世に対する医療保障や援護措置を求める社会的機運が高まったことがあったことも指摘されています。
しかし国は全面的に影響を否定し、1978年に突如として「来年度(1979年)から被爆二世健診を実施する」と発表し、目的を以下のように説明しました。
「放射線影響研究所のこれまでの調査研究で、被爆二世に放射線の遺伝的影響は認められていない。しかしながら、健康に不安を感じている被爆二世も存在することから、健診を行うことで遺伝的影響がないことを明らかにして不安を解消すること」と。

遺伝的影響に対する国の姿勢
 
この国の姿勢には以下のような判断があったと、森川さんは指摘します。
「1、被爆二世・三世等被爆者の子孫への影響を認めて、諸々の保障、援護措置をすることになると、多額の予算が必要となる。
2、核放射線の遺伝的影響を認めると、国民の反核意識を再び高揚させることに及ぶおそれがあり、核兵器・原発開発のためには不都合な状況につながりかねない。
3、国は一貫して「遺伝的影響は認められない」との主張を繰り返す。だが実際のところすでに何らかの有意差を示すデータについては把握していると推測される。(具体的な根拠となるデータは一切公表していない)」

国はこうして「遺伝的影響は認められない」と語り続けているのですが、問題はそれが被爆者運動の中にも入り込んでしまったことだと森川さんは指摘されています。
「(この主張を)国が長年押し通してきた歴史のなかで、被爆者の援護や核廃絶を求めて活動する人びとや当の被爆二世たちまでもが、この確固たる科学的な根拠に乏しい恣意的な主張をそのまま信じていないにしても、抗うことへの無言の圧力を感じてきた。そのうち金縛りにあったように、次第にそのことに正面から触れることを避けるようになっていった」。
「遺伝的影響の有無についてはいうに及ばず、1970年代のような被爆二世の健康状態や病状についての具体的なコメントも、今日においては、さらにいっそうタブー視されるようになってきた。それは被爆二世たちから発せられるものであっても、同様である。
大半の被爆二世が、そのことを予め察知し、また自らに降りかかるかもしれない偏見と差別を恐れて、口を閉ざしている。それが、現実なのである」。

● 壁を越えるために自らの経験を赤裸々に叙述

この大きな壁を越えるために森川さんはこの書で、自らの身体の上に起こってきたことを赤裸々に書かれています。
「私の半生から」との小見出しに続く、幾つかの例をご紹介します。

「母からは、私が生まれたときの体重は二七〇〇グラムで、幼少のころは、よく原因不明の発熱で何度も死線をさまよった、と聞いている」。
「(小学生のとき) 夏の思い出といえば、暑さでいつも体調をくずし、お腹をこわして下痢をし、ぐったりして、昼間は何もすることができず、ひたすら横になって休んでいたこと、ただそれだけである」
「その他の季節も、私は物心ついたころから、常に何らしらの体の不調を感じていた。日々感じるたとえようのない体のだるさ、脱力感と疲れやすさが我が身を襲っていた。そのことを、自分の精神力が弱く根気がないからだと自責して、自らを叱咤することも多かったが、自分ではどうにもならなかった。風邪をひくと必ずといってよいほどこじれて、急性気管支炎を併発し、高熱とひどい咳や痰をともなう症状にいつも悩まされた」。

「外で歩いたり、走ったりなどしていて、階段を踏み外したり、距離感の目測を誤り、つまずいて転んでケガをすることが多かった。後から振り返ると、その主な原因は、私が「交代制外斜視」だったことにあるようである」。
「ケガをすると、少々のかすり傷のようなものであっても、傷口がなかなか治らず化膿して、白い膿みがたまり、炎症を起こすことが多く、そのたびに病院にかよっていた」。

核と人類が共存できないことを訴えぬく

森川さんは、あくまでもこれらは己の身に起こったことで、どこまでが他の被爆二世に共通するかは分からないと書かれていますが、しかし私たちが行ったアンケートでもこれと似た体験がたくさん綴られています。
この本を読んだある会員の方は「森川さんの話の多くは自分の身にも起こってきたことだ。とくに私も傷口がなかなか治らず化膿してとても辛かったことが何度もあった。そのときのトラウマが蘇ってきて暫く本を読み進められなかった」とも語られました。
私たちは今後、さらに調査を継続し、再度のアンケートでこうした体験について多くの二世三世に問いかけ、世代を越えて起こってきたことをよりはっきりとさせていきたいと思いますが、おそらくたくさんのことが共有されるに違いないと思います。

もちろん森川さんがここで目指されていることは、遺伝的影響をはっきりさせることにとどまるものではありません。だからこそ核と人類が共存できないことをはっきりさせたいとこう述べています。
「私は、被爆二世のひとり、核被害の生き証人として、核の被害は、核兵器であろうと「核発電」(原子力発電)であろうと、世代を超えて苦しみを与え続ける恐ろしいものであり、この地球上から葬り去らなければ人類の生存はあり得ないことを、あらゆる場面、あらゆる分野、あらゆる方法を通じて、命ある限り訴え続けるつもりである」。

みなさま。どうか本書を手に取られてください!

『核なき未来へ――被爆二世からのメッセージ』
http://gendaishokan.co.jp/goods/ISBN978-4-7684-5849-5.htm


京都「被爆二世三世の会」との交流会で本について話される森川聖詩さん

続く

#森川聖詩 #核なき未来へ #京都被爆二世三世の会 #被曝の遺伝的影響

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