明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(1313)沖縄を「安全保障と地方自治」から観る!(日本環境会議基調講演より)‐1

2016年10月31日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1300~1500)

守田です。(20161031 23:30)

すでにご報告したように10月21日から25日の日程で沖縄に行ってきました。
日本環境会議沖縄大会に参加し、さらに高江にも足を伸ばしてきました。最終日は平和の礎にも訪れてきました。
とてもたくさんの収穫があったのですが、帰京後、すぐに京都府京田辺市、兵庫県姫路市、東京都千代田区と講演や企画参加が続いたため、報告を出せませんでした。申し訳ありません。

大会は21日より若者たちのプレ企画によって始まりましたが、全大会は22日の一つの特別講演と四つの基調講演によって始められました。
高江、辺野古の基地問題で揺れる沖縄での開催ですから、やはりこのことが一番大きなテーマとして提起されました。以下講演のタイトルと発表者を敬称略にてご紹介します。

特別講演 「日本にとって沖縄とは何か」新崎盛暉
基調講演 「沖縄の環境」桜井国俊
基調講演 「安全保障と沖縄」我部政明
基調講演 「安全保障と地方自治」宮本憲一
基調講演 「国際人権と環境・文化―先住民族の視点から」上村英明

どれもが貴重な内容でしたが、僕はとくに日本環境会議名誉理事長である宮本憲一さんの発言にとても深く感銘しました。
9月16日に福岡高裁那覇支部(多見谷寿郎裁判長)が行った辺野古の埋立をめぐる沖縄県敗訴の判決を批判しつつ、安保と地方自治の問題を解き明かされたのですが、あの判決が法理的にどう不当なのか、非常に分かりやすい説明でした。
また僕自身、地方自治について、というより私たちの持っている自治権について、まだまだ多くを知らなかったことに気が付かされました。
この点をもっと知り、かつこの権利を行使していかなければならないし、そのもとで環境権の確立を実現していくことが問われています。そのためにも高江、辺野古での民衆の側の勝利を実現しなければならないことが鮮明に見えました。

しかもそれはまた2014年5月によって、福井地裁が大飯原発3、4号機の運転差し止めを命じる際に掲げた「人格権」にも明確につながっていることも宮本さんは教えてくださいました。
その意味で高江や辺野古のことと、原発の再稼働を止めていくこと、さらに四大公害裁判に続いて、福島原発事故による放射能公害の補償を勝ち取り、避難の権利などの獲得していくことともしっかりつながっています。

感動が深かったので、宮本さんが提示されたスライドを現場からFacebookに投稿もしました。
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=10208941208425773&set=pcb.10208941212865884&type=3&theater

今回はこれをもとに宮本さんの基調講演の内容のノートテークをご紹介します。
重要な内容ですので、ぜひ今、高江の緊張が高まっているこの時期にお読み下さい!

*****

「安全保障と地方自治」-1
宮本憲一(日本環境会議名誉理事長)

1968年に屋良さんのお招きではじめて沖縄に入ることができました。
そのときにみた軍政下のあり方の衝撃が私をして専門ではないのですけれども沖縄の問題をいろいろと考えさせる契機となりました。
今日はレジュメに出した内容と少し話が異なりますので、パワーポイントを作りました。というのは9月16日に(辺野古の基地をめぐる)高裁の判決が出まして、これを通じて地方自治の問題を考えなければならないと思うからです。

あの裁判の冒頭陳述で翁長沖縄県知事は以下のように発言しました。本土から来た方に聞いていただきたいです。
 「歴史的にも現在においても沖縄県民は自由・平等・自己決定権をないがしろにされてまいりました。私はこのことを「魂の飢餓感」と表現しています。
 日本には、本当に地方自治や民主主義は存在するのでしょうか。沖縄県にのみ負担を強いる今の日米安保体制は正常なのでしょうか。国民の皆様すべてに問いかけたいとおもいます。」
この発言と全く反する判決が高裁から出たわけです。

辺野古判決は9点の論旨がありますが、私なりに次のようにまとめました。

「仲井真前知事の埋めたて承認は違法ではない。
 国の承認取り消しの是正措置に対する知事の不作為は違法である。
 公有水面埋立法の審査対象に国防・外交は含まれるが、これらは地方自治法に照らしても、国の本来的任務に属する事項であるから国の判断に不合理な点がない限り尊重されるべきである。
 普天間飛行場の被害除去には、海兵隊の一体運用などの条件を考え、辺野古埋め立て以外にない。沖縄の民意を考慮したとしても基地負担は軽減するので、公有水面埋立法の要件を欠くとは認めるに至らない。
 現在の環境技術水準に照らし、公有水面埋立法4条1項2についての前知事の判断に不合理な点はない。
 辺野古新基地建設はキャンプ・シュワブの地先という地理的必然性があり、普天間基地の半分以下であるので憲法92条に反しない。」

これはあまりに不当は判決です。
政府の沖縄県に対する態度はあたかも幕藩体制下の封建領主が百姓一揆に対するような問答無用で弾圧するような態度で、近代国家の政治とは思えません。
判決は政府の強権的な政治を是認したもので、憲法、地方自治法と公有水面埋立法の適用を間違っていると私は思います。

まず地方自治の本旨に反していることについて申し上げます。
戦後憲法は国民主権、基本的人権、平和主義と並んで、民主主義の基礎として地方自治を保障しました。地方自治の本旨とは住民自治に基づいた団体自治(分権)を保障するものです。
三権分立が重要と言われますが、地方自治はこれとならぶもので私たちは四権分立とも呼んできました。国家権力を制御するための自治権がこの憲法で保障されたのです。
住民が本来、自治権を持っており、それを保障する形で地方団体の自治権があると言えるのだと思います。

戦後の重要な改革は、都道府県を国の出先機関ではなく広域の自治体とし、知事が官選ではなく公選の公務員となったことです。これは一番保守政権が反対したものでありました。
当然ですが内閣総理大臣と都道府県知事は、その地域のことについては対等になりますので、保守政権はなんとしても防ぎたかったようです。
そのためせっかく憲法で地方自治が保障されたにもかかわらず、明治21年につくった「機関委任事務」というものを残したのです。国の事務を自治体が委任されて行うものです。それが大阪府でいうと60%を占めていました。
つまり事実上、都道府県は国の出先機関にされてしまっていたのです。

ところが1993年に東京の一極集中があまりにもひどいということで、弊害除去のために国会は全党一致で分権改革を決議しました。
このころグローバリズムのもとで国際的にも地方自治が重視されるようになり、EUが1985年にヨーロッパ地方自治憲章を決め、内政のほとんどを基礎自治体に移すという大規模な地方自治の進展があって、日本でも1999年に地方自治法が改正されたのでした。
その中で最も大きな改革が機関委任事務の廃止でした。地方団体の事務は自治事務と法定受託事務となったわけで、法定受託事務というのは国の事務のうちで自治体が行う方が有益な事務を自治体に受託し、国の関与は最小限に規定されることになったのでした。
かつて太田さんが基地のための土地の強制使用のための代理署名で負けたときは機関委任事務だったのです。
今回はそうではない。法定受託事務になって初めての国と地方の争いなのですから、これは当然、裁判において最も重要な論点になりうるものだと思うのですね。

判決には「改正地方自治法1条2項に国と地方の役割が示されている」とした上で今回の事務は国のものであると反転しました。
しかしこの1条2項では「国際的な事務とナショナルミニマム保持の事務を除いて、原則的に内政の事務はできるだけ地方公共団体の事務」という風に書いてあるわけです。
公有水面埋立法は法定受託事務として、知事の免許・承認の事務とされたわけであります。判決はこの重大な変化を全く考慮せず、機関委任事務と同様に「国防・外交は国の決定に従え」と述べているわけです。

しかし私はこれは現在の地方自治の考え方から言うと間違っていると思います。
安全保障は確かに国の専権事務でありますけれども、具体的な戦闘行為などの非常事態ならまだしも、基地が作られると恒久的に環境や防災問題、住民福祉、また地域の発展に決定的な影響を与えるわけです。これを国が一方的に決定するのは不可能なのです。
内政の権限を持つ地方公共団体の同意がなければ施設の維持はできないはずなのです。原発の立地と同じで、構造的に地域に影響を与えるものは、その決定にあたっては住民の同意がなければならないのです。
これは私が関係した公害問題の裁判で確立した見解なのですね。
しかも米軍基地ができれば地位協定によって治外法権になり、住民の基本的人権・自治権は制約されることになるわけです。したがって事前の環境アセス・協議と同意が絶対に必要なのです。

これまでの国政、地方政治の選挙でのオール沖縄での結果でも、住民自治、団体自治も辺野古の基地建設に反対なのは明らかです。政府の行いと高裁の判決は地方自治の本旨にもとるわけで法治国家なら協定を白紙に戻して、米国政府と交渉すべきだと思います。
判決の中でいろいろな人が指摘していて、私も頭に来たのですが、「40の都道府県が沖縄県と同じように反対したならば国の軍事活動は停止するではないか」と脅迫するような文章が書いてあるのですね。
驚くべきことでありまして、すべての都道府県が米軍基地を拒否するならば、日米安保条約は拒否されているのですから、それで強行しようというのはおかしいわけで国際政治を転換すべきだと思うのですけれども、一体裁判官は何を考えているのでしょうか。(大きな拍手)

続く

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明日に向けて(1312)原発事故対策についてお話し(京田辺市、姫路市)、被ばく防護のシンポに東京で出席します!

2016年10月21日 03時30分00秒 | 明日に向けて(1300~1500)

守田です。(20161021 03:30)

みなさま。夜中の投稿をどうかお許しください。
あと2時間したら家を出て沖縄に向かいます。21~23日の予定で開催される日本環境会議沖縄大会に参加のためです。その後、高江にも行ってきます。

京都に戻るのは25日ですが、そのあとすぐに27日に京田辺市で、28日に姫路市で、それぞれ原発事故対策についてお話します。
それぞれコープ自然派京都、コープ自然派兵庫の主催です。
さらに29日に東京で「シンポジウム放射線被ばくに備えよう」に参加します。福島原発行動隊の主催です。

沖縄に行く前にこの情報を投稿したかったのでこんな時間になってしまいました。申し訳ありません。
ともあれ新潟知事選での再稼働反対派候補の勝利に見られるような原発の危険性と被曝の恐ろしさを問う流れの強まりに掉さし、未来の展望を少しでも明るくするために駆けまわります!
お近くの方、ぜひそれぞれの会場にお越しください。

頑張るぞ!

*****

10月27日京都府京田辺市

10/27 連続講座「知っておきたい!大切な人を守る方法~原発災害編~」【第2回講演】
自分の町の避難計画を分析してみよう! 
https://www.facebook.com/events/946103635494148/
http://www.shizenha.ne.jp/kyoto/detail/5/index.html?articleId=19967

原発がある限り起こり得る「いざという時!」に、行動できる自分になっておきましょう

東京電力福島第1原発事故から5年を過ぎた今でも、先の見えぬ収束作業の途上で、事故の全容は明らかでなく、放射能は今も海や大地に広がっています。食品のみならず、さまざまな物の流通により、「被ばく」は京都に住む私たちにとっても身近な問題です。
若狭の原発は今は運転されていません。しかし、国や関電は一刻も早い再稼働をのぞみ、それどころか、運転開始から40年を過ぎた危険な老朽原発までも動かそうとしています。また、愛媛県の伊方原発が、今夏の再稼働にむかっています。
予告なしに訪れる災害や事故、「まさか、自分の身に起こるわけがない」と、どこかで安心していませんか? その場に立ちすくむことがないように、今、何をしておけばいいのか?一緒に考えましょう。
 
■日 時:10月27日(土)10:00~12:00
■会 場:京田辺市社会福祉センター 第1研修室
(〒610-0332 京田辺市興戸犬伏5番地の8)

■講 師:守田敏也さん
京都市在住。同志社大学社会的共通資本研センター客員フェローなどを経て現在はフリーライター。環境問題や平和問題にも関わり、京都大文字山での森林保護活動などを実施。
アフガン・イラク戦争に反対、旧日本軍性奴隷問題、原子力政策の研究・批判活動など幅広い活動を続け、福島原発事故以降は被曝地を度々訪問。2012年より兵庫県篠山市原子力災害対策検討委員会委員に就任。
ブログ「明日に向けて」で情報を発信。著書:物理学者矢ヶ﨑克馬氏との共著『内部被曝』(岩波ブックレット)『原発からの命の守り方』(海象社)

■参加費:参加費(1講座):組合員/ 300円   一般/450円
■定 員:50名 *定員に達した場合 先着順
■託児:あり。10名 (1歳半~未就学児) 1人 / 500円
 託児対象外(1才半未満)の同伴:可 ※託児締切は9/7(水)
■申込み締切日:10/20(木)午後5時まで
■イベントID: 06161003
■主 催:守田さん講演会実行委員会

JR「京田辺駅」・近鉄「新田辺駅」より、奈良交通バス同志社方面、田辺中学校前下車、徒歩1分/近鉄「新田辺駅」から徒歩約20分/JR「京田辺駅」より徒歩約15分

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お問い合わせ・お申し込み
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<24時間受付> FAX : 0742-93-4485
mail : shizenha_kyoto@shizenha.co.jp
<月~金8:30~20:00> フリーダイアル:0120-408-300 (携帯・IPフォン:088-603-0080)

▼お申込み時①~⑥をお伝えください。
①イベントID
②参加者氏名
③組合員コード
④参加人数      
⑤連絡先
⑥託児(名前・年齢・性別)
※託児がある場合

*****

10月28日兵庫県姫路市

もしも原発事故が起こったら
https://www.facebook.com/events/1699622567029829/?active_tab=about

【イベントID:1816999】
 原発銀座とよばれている若狭から100㎞にあたる姫路、80kmの神戸は、もし原発事故が起きたら2時間で放射能がやってきます。おそらく行政からの指導や情報はないでしょう。
また、再稼働された伊方原発で何かあれば、逃げるところも食べるものもなくなってしまいます。
どう備えておけばいいのか、守田さんに教わりましょう。
 不安が吹き飛ぶ、優しく心強い講義内容になっています。
ぜひお越しください!

【講師プロフィール】守田敏也(もりた・としや)さん
同志社大学社会的共通資本研究センター客員フェローなどを経て、現在フリーライターとして取材活動を続けながら、社会的共通資本に関する研究を進めている。3.11以降は原発事故問題に取り組み、各地で放射線防護の講演を行っている。
・著書:「内部被曝」「原発からの命の守り方」他

 ***********************

と き:10月28日(金)10:00~12:00
ところ:じばさんびる 6階 601会議室 「姫路・西はりま地場産業センター」(姫路市南駅前町123番 )
※専用駐車場はありません、近隣の有料駐車場をご利用ください。

■定 員:70名
■参加費:300円( 一般450円)
■託 児:400円(一般600円)
※1歳半以上のお子様は必ず申込み下さい。
※要予約 ※託児申込締切10/17(月)※定員5名
■持ち物:筆記用具
■応募締切:10月26日(水)

 ***********************

◆イベントのお申し込み先◆

 ①【組合員サービスセンター】
TEL:0120‐408‐300
 (携帯・IPフォンからは088‐603‐0080)
 「営業日」  月~金
 「営業時間」8:30~20:00

 ②【組織企画部】
Eメール:event18@shizenha.co.jp
FAX:078‐998‐1672

※【Eメール・FAXでの申込みをされる皆様へ】
・Eメールをご利用の場合は「コープ自然派イベント申込」と件名へ必ずご記入下さい。
・Eメール・FAXの事務局への着信後、申込確認のご連絡(返信)を致します。 2営業日を過ぎても連絡がない場合は組合員サービスセンターへ問合わせ下さい。

 【イベント当日のご連絡先】
・やむを得ず当日、欠席や遅刻となる場合は必ず事前にご連絡下さい。
 平日(祝日を含む) 「組合員サービスセンター」
 土曜日・日曜日   「イベント携帯 080-2435-4868」

◆お申し込み内容◆
 ①【イベントID:1816999】 ②イベントタイトル
③組合員名or氏名 ④組合員コード
⑤参加人数 ⑥当日連絡のつく連絡先
⑦お子様の情報(託児の有無、年齢)

■ 応募多数の場合は組合員を優先し抽選を致します。
※各ブロックの主催するイベントに関してはブロックエリアに居住の組合員さんを優先させて頂きます。
※抽選の場合は落選者へのみ連絡を取らせて頂きます。

*****

10月29日東京都千代田区

シンポジウム 放射線被ばくに備えよう
https://www.facebook.com/events/545783268961228/

放射線防護、内部被ばく、外部被ばくなどのテーマについて、学習・意見交換をするシンポジウムです。皆様のご参加をお待ちしております。

=放射線被ばくに備えよう=
〜福島第一原発事故から学ぶ〜
主催 公益社団法人 福島原発行動隊

会場 星陵会館ホール(東京メトロ 「永田町」歩3分) 千代田区永田町2丁目16ー2

参加費 500円(資料代)
障がいのある方、大学生以下無料

 講演 井出 寿一 氏
(元福島川内村総務課長)
 *パネリストとしても参加

パネリスト
伊藤邦夫 氏
(行動隊前理事長・東大名誉教授)
竹岡健治 氏
(横浜栄区 放射線を測る会)
守田敏也 氏
(ジャーナリスト)
山田英雄 氏
(ロシア語医療通訳)

ファシリテーター
吉田悦花 氏
(神田雑学大学理事長)

本シンポジウムにご参加ご希望の場合は、会場整備の準備のため、お手数ですが下記までご一報ください。

090ー5341ー1169
(事務局・杉山)

または、
svcf-admin@svcf.jp
(行動隊事務局)

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明日に向けて(1311)沸騰水型原発の配管破断事故の危険性を問う(沸騰水型原発の危険性-連載4回目)

2016年10月19日 17時00分00秒 | 明日に向けて(1300~1500)

守田です。(20161019 17:00)

10月16日に柏崎刈羽原発再稼働反対を掲げて当選した新知事の米山さん、さっそく再稼働は少なくとも福島原発事故の原因解明がなされるまでは稼動を認められないと表明してくれています。
実はこれは原子力規制委員会が打ち出した新規制基準にも沿うものなのです。なぜなら新規制基準では福島原発事故の教訓を取り入れることがうたわれているからです。
しかし、まったく当たり前のことなのですが、教訓を取り入れるためには原因が解明されなければなりません。しかし福島原発1号機から3号機ははメルトダウンした燃料デブリから発する放射線値が高すぎていまだに誰も近づけないのです。
投入したロボットも次々と壊れてしまって一台も帰ってきません。そもそもコンピューター制御されているロボットは人間以上に放射線に弱いからでもあります。これでどうして教訓を生かすことなどできるのでしょうか?

「再稼働の前に福島原発事故の検証が先だ」という見解は、3月10日に稼動中の高浜原発3号機と、自らシャットダウンした4号機の運転禁止の仮処分を命じた大津地裁決定(山本裁判長)の中でも指摘されたものです。
以下、稼働中の原発を停めた初めての司法判断である大津地裁決定から抜粋します。

 「福島第一原子力発電所事故の原因究明は、建屋内での調査が進んでおらず、今なお道半ばの状況であり、~津波を主たる原因として特定し得たとしてよいのかも不明である。」
 「その災禍の甚大さに真摯に向い合い、二度と同様の事故発生を防ぐとの見地から安全確保対策を講ずるには、原因究明を徹底的に行うことが不可欠である。」

これまた実に鮮明ですが、大津地裁は「津波を主たる原因として特定し得たとしてよいのかも不明です」と重要なポイントも示唆しています。
なぜかといえば、田中三彦さんや後藤政志さんたち、技術者の方たちが、早くから福島原発事故は、津波によれる電源喪失によって引き起こされたのではなく、地震による配管破断によって引き起こされた可能性が高いと、パラメーターの解析などから主張してこられたからです。
僕も当初からこの解析に注目し、この場に紹介してきました。2011年6月29日に掲載した記事をご紹介しますのでご興味のある方はご覧下さい。長いので1,2に分けています。

 明日に向けて(176)地震による配管破断の可能性と、東電シミュレーション批判(田中三彦さん談再掲1) 20110629
 http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/f1914e7352792c89767a9c7585ee4a00

 明日に向けて(176)地震による配管破断の可能性と、東電シミュレーション批判(田中三彦さん談再掲2)20110629
 http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/8d603fe6649fe963d189d712df46e0c5

しかもこのような事故が起こりうることを国の原子力担当者や電力会社が事前に知っていた重要な証拠があります。
独立行政法人・原子力安全基盤機構が、原子力防災専門官向け資料として作成していた炉心溶融のシミュレーション画像で2009年に作成されたものです。
すでに「明日に向けて(1307)島根原発(沸騰水型原発)の構造的危険性を把握しよう」でも紹介していますが、わずか5分のものなのでぜひご覧になってください。
ナレーションで実際には20時間あまりと想定される事故の進展を5分で紹介するとしています。

 動画で見る炉心溶融  防災用事故シナリオ理解のための教材(BWRマークⅠ型)
 https://www.youtube.com/watch?v=wwYk62WpV_s

この動画で重要なことは、事故が配管破断によって始まるとされていることです。要するに配管破断が起こりうるという判断を原子力安全基盤機構は福島原発事故前からもっていたのです。ちなみにここでは津波による電源喪失は想定されていません。
ではなぜ配管破断が起こりうることが想定されたのでしょうか?最も考えられるのは2007年に起こった柏崎刈羽原発事故で、設計上の想定を大幅に上回る地震に同原発がさらされたからです。
そこでこうした事故のシナリオがより強く考えられたのだと思われますが、さらに言えば、地震学についての学問的進歩がなされる中から、日本中の原発の多くが活断層の上、ないし直近に位置していることがどんどん明らかになってきたことも大きな要因に違いありません。
その際、もっとも配管破断の発生が恐れられたのが、沸騰水型原発のマーク型であるがためにこの動画が作られたのでしょう。ちなみに動画ではマークⅠ型とされていますが、正確にはこれはマークⅠ型改です。

これまでお伝えしてきたように島根原発は1号機がマークⅠ型、2号機がⅠ型改、3号機が改良沸騰水型(ABWR)の格納容器です。
柏崎刈羽原発は1号機がマークⅡ型、2~5号機がⅡ型改、6,7号機が改良沸騰水型です。動画を観ると核燃料は圧力容器からメルトスルーしていますから、その直下にプールがあるマークⅡ型、Ⅱ型改でこの事故が起きていたことを考えると慄然とします。
実際、2007年の中越沖地震でこの原発は猛烈な揺れにさらされたのですから、過酷事故に進展しなかったことは私たちにとって本当に僥倖の産物でした。しかしそんな幸運はけして続きはしません。もう絶対にこの原発は動かすべきではないのです。

これまでも示してきましたが、理解を進めるためにここでも沸騰水型原発の変遷を記しておきます。アトミカ掲載のものです。
 沸騰水型原発の変遷
 http://www.rist.or.jp/atomica/data/pict/02/02010101/10.gif

さて島根原発はどうでしょうか?ぜひ多くの方に知っていただきたいのは、この原発の直下、わずか2キロ足らずのところになんと「成長する活断層」が存在していることです。
もちろん実際には活断層が成長しているわけではありません。この原発を運転してきた中国電力の活断層への認識が徐々に変遷してきたこと、初めは「ない」と言い張っていたのに、だんだんとより長いものであることを認めてきたことを揶揄したものです。
より具体的には1号機の設置許可時(1969年11月13日)には、1981年にできた旧耐震設計指針すらなく、活断層の存在もまったく考慮せずに、耐震基準は300ガルとされていました。
これに対して福島原発事故時の現実の地震動は南北方向に460ガル、東西方向に447ガルでした。300ガルなど1.5倍も上回っていました。完全にアウトです。

ところが島根原発の直下で、その後に活断層が発見されました。しかもそれは年々、より長いものでありことが判明してきました。
活断層の揺れは長さと相関関係があると考えられているので、そのたびにより大きな地震に島根原発がさらされる可能性があることが見えてきたのです。
私たちが新潟県新知事米山さんをさらに強く応援するためにも、同じ沸騰水型原発の立地場所で発見された「成長する活断層」について、さらに詳しく見ていきたいと思います。

続く

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守田敏也 MORITA Toshiya
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明日に向けて(1310)沖縄で「原発と地球人・地球環境の生存権」というタイトルでお話してきます!

2016年10月18日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1300~1500)

守田です。(20161018 23:30)

21日より沖縄に行きます!
同日から23日まで沖縄国際大学で行われる第33回日本環境会議沖縄大会に参加するためです。
もちろんその後に高江にも行ってきます。

大会の開催案内をご紹介します。
http://www.einap.org/jec/article/jec/33/50

全体会が始まる22日は素晴らしい講演がひしめいています。

特別講演 「日本にとって沖縄とは何か」新崎盛暉
基調講演 「沖縄の環境」桜井国俊
基調講演 「安全保障と沖縄」我部政明
基調講演 「安全保障と地方自治」宮本憲一
基調講演 「国際人権と環境・文化―先住民族の視点から」上村英明
 
第1分科会 環境・平和・自治・人権についての辺野古・高江の問い
第2分科会 辺野古が提起する法的(国際法を含む)諸問題

時間的に全て聴くことができるので、可能な限りノートテークを行い、全国のみなさんにエッセンスをお伝えするつもりです。

翌日23日は参加者がそれぞれに分かれての分科会が開催されます。
僕はこのうちの第5分科会に参加して発言させていただきます。

第3分科会 米軍基地の騒音・汚染問題~フェンスの外からのアプローチ~
第4分科会 琉球弧における自衛隊配備と環境問題
第5分科会 放射能公害と生存権
第6分科会 【第3部】「青年と環境」 若者の可能性編
 
そののちに再び全大会が行われ、分科会報告、シンポジウム、大会宣言採択と続きます。

この大会に僕を招いて下さったのは、『内部被曝』をご一緒に編むなど、ともに被曝防護のために奮闘してきた琉球大学名誉教授の矢ヶ崎克馬さんです。
僕にとって内部被曝のことを一から教えてくださり、いまなお新しい知見を伝えてくださっているお師匠さんでもあります。
その矢ヶ崎さんが第5分科会を統括されていて、僕に発言を求めて下さいました。光栄の至りです。

矢ヶ崎さんが県内向けに発信された第5分科会へのお誘いメールを転載します。(添付文章についてなど一部を割愛しています)

*****

各位

お元気でいらっしゃいますか?

すでにお聞き及びと思いますが、日本環境会議沖縄大会が10月21日~23日、沖縄国際大学にて開催されます。

多くの方のご協力を得て、「放射能と生存権」というテーマで第5分科会を設定いたしました。
第5分科会は23日(日)朝の9時から 7-201教室で開かれます。
早朝からの開催ですが、頑張っていらっしゃってください。

県外からいらっしゃって報告される方々は、医師として抜群の科学的分析活動をされている大阪の小児科医師の高松勇氏、国内では第一線のジャーナリストとして活躍している守田敏也氏、台湾ランショ島の放射能調査で知られる中生勝美氏の報告が聞けます。
県内ではベトナム研究の吉井美知子氏、内部被曝研究の矢ヶ崎克馬が報告します。
さらに沖縄に於ける避難者のアンケート報告が黒潮武敬氏によってなされ、避難者の方の実情報告が伊藤路子氏、久保田美奈穂氏によってなされ、コメントとして作家の山口泉氏、研究者の除本理史氏、吉村良一が発言いたします。
放射能・原発関係ではまたとない情報収集の好機ですのでぜひいらっしゃってください。

なお、22日の全体会については沖縄関係、環境関係の権威が特別報告をいたします。
朝9時からという早朝からの開催ですが、耳学問としては絶好の機会です。
どうぞお出で下さい。

参加料は無料ですが、資料代として1000円を頂くことになります。
1回受付を済ませたら、1日だけでもあるいは両日でも自由に参加できます。
以上ご案内をいたします。

矢ヶ崎克馬

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僕はこの分科会の3番目の発話者として登壇しますが、タイトルはこの記事の表題でもご紹介したように「原発と地球人・地球環境の生存権」です。
もともと矢ヶ崎さんから提案していただいたタイトルなのですが、僕にとってこの切り口でお話するのは初めてのこと。
それで大会に向けて文章も作成したのですが、そうするとこれまで言いたいと思いながら十分に表現できていなかったことが見事に言い表せることが分かりました。
詳しい内容は大会での報告が終わった後に紹介しますが、こうした機会が与えられたことを非常にありがたく思っています。

なおこの分科会の詳しい内容も記しておきます。これまたなんとも贅沢な内容です。
沖縄で参加可能な方、ぜひいらしてください。

第5分科会 放射能公害と生存権
日時:2016年10月23日(日)午前9時~午後0時30分/会場:7号館201教室

コーディネーター:新城知子、矢ヶ崎克馬、吉井美知子(50音順)
司会:上岡みやえ、新城知子
(1)歴史上最悪の放射能公害と健康被害
報告1:「福島事故による放射能公害/原発・被曝に関する国際的枠組」矢ヶ崎克馬(琉球大学名誉教授)(20分)
報告2:「原発事故がもたらす健康被害)」高松勇(小児科医・医療問題研究会)(20分)
報告3:「原発と地球人・地球環境の生存権」守田敏也(フリーライター)(20分)

(2)放射能公害下の避難者・市民
報告4:「避難者の実状と生存権」黒潮武敬(20分)
報告5:「避難者体験談:福島県内から」伊藤路子(13分)
報告6:「避難者体験談:福島県以外:茨城県から」久保田美奈穂(13分)

(3)海外への原発輸出と先住民族の人権
報告7:「ベトナムの原発計画と先住民族チャム人」吉井美知子(沖縄大学教授)(20分)
報告8:「台湾離島の核廃棄物貯蔵場とタオ族の民族運動」中生勝美(桜美林大学教授)(20分)

コメント1:「放射能公害と人権意識」山口泉(作家(小説、評論))
コメント2:除本理史(日本環境会議事務局次長・大阪市立大学教授)
コメント3:吉村良一(日本環境会議代表理事:立命館大学教授)

大会が終わったら高江にも行って、熱く行われている基地建設反対行動に参加してきます。
沖縄からの報告を楽しみにお待ちください!!
頑張るぞ!

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連載1300回越えに際して、カンパを訴えています。
とりあえず1310回目をもって一度訴えを終えますが、とにもかくにも私たちの前にはさまざまな課題が山積しており、どこを掘っても重要な問題がでてきます。
その一つ一つに力の限りを尽くしてアプローチし、解析し、情報発信を行いながら、問題の解決に少しでも寄与していくことを繰り返していく決意です。
どうかこうした活動をお支え下さい。よろしくお願いします。

振り込み先を記しておきます。
振込先 郵貯ぎんこう なまえ モリタトシヤ 記号14490 番号22666151
他の金融機関からのお振り込みの場合は
店名 四四八(ヨンヨンハチ) 店番448 預金種目 普通預金 口座番号 2266615

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明日に向けて(1309)新潟知事選で柏崎刈羽原発再稼働を認めない米山さんが当選!

2016年10月16日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1300~1500)

守田です。

このところ島根原発の取材を踏まえて沸騰水型原発の特有の危険性をレポートしてきましたが、その沸騰水型原発の柏崎刈羽原発を抱える新潟県の知事選で、同原発の再稼働を認めない前泉田知事の路線継承を掲げた米山さんが当選しました。素晴らしい!
7月に行われた鹿児島知事選での三反園さんの当選に継ぐ快挙です。これは全国で原発再稼働反対の声をあげて活動しているみなさんの努力が生み出したものに違いありません。
そのうちの一つである京都駅前にある関西電力京都支社前で毎週金曜日に行わている抗議行動に先週の14日に参加してきましたが、この日で225回を数えるとのことでした。
同じように全国で電力会社前などの抗議行動が200回を超えています。不屈の行動です。この行動が鹿児島県での三反園さんの勝利に継ぐ、今回の選挙結果をもたらしたのです。

私たちはこの民衆の力をさらに成長させていきましょう。そのために三反園さん、米山さんに全国からエールを送り、支え続けましょう。
すでに川内原発1号機は10月6日午前6時過ぎに定期点検のために停止しています。再稼働は12月8日にも予定されているそうですが、原発に厳しい態度をとり続けている三反園さんが合意しなければ困難です。
米山さんの勝利は、保守王国と言われる鹿児島県の中で猛烈に吹いているであろう再稼働に向けた逆風の中で奮闘している三反園さんを大きく勇気づけたことでしょう。
だからこそいま、私たちはより大きな声をあげて、当選したばかりの、再稼働に立ち向かおうとしている知事たちの背中を押していく必要があります。ぜひみなさん、電話、FAX、メール、その他あらゆる手段で三反園さん、米山さんへの激励を続けましょう。

僕にとっては、今回の米山さんの当選は、島根原発を取材して、沸騰水型原発の特有の危険性とあらためて向い合っている時だけになおさら嬉しいものがありました。
ここで米山さんをさらに応援するためにもみなさんと柏崎刈羽原発の構造をしっかりとおさえておきたいと思いますが、まずみなさんに知っていただきたいのは、この原発は合計で7つの原子炉を有し、総合出力で世界最大を誇る原発だと言うことです。
もっとも現状ではすべての炉が停まっているわけで、世界最大であるがゆえに反対に世界の原子力村に与える影響も甚大なのです。何せ、世界で一番ウランを買って使ってくれる原発が動いてないからです。
このためウラン燃料製造の世界4大会社の一つだったユーゼックが2014年3月5日に倒産しました。それほどにこの原発が停まっていること、より正確には私たち民衆が停めている影響は大きいのです。

さて原子炉の構造からみると柏崎刈羽原発の特徴はどのようなものでしょうか。この原発は1号機がマークⅠ型、2号機から5号機までがマークⅡ型改の格納容器を使っています。
さらに6、7号機が前回の記事で、その危険性を指摘した改良沸騰水型原子炉(ABWR)が採用されています。
2007年7月にこの原発を中越沖地震が襲いましたが、そのときに動いていたのは2、3、4、7号機。緊急停止には成功しましたが、その後、2~4号機はそのまままったく動いていません。9年3カ月にもなりますからもはや機械としてダメでしょう。
これに対して1号機と5~7号機は地震から数年経って営業運転を開始しましたが、これらも福島第一原発事故を経て停止中です。

さて柏崎刈羽原発の固有の危険性はなんでしょうか。まずは1~5号機までがマークⅡおよびその改良型を使用していることです。再びアトミカの図で構造を確認しておきましょう。
 沸騰水型原子炉の変遷
 http://www.rist.or.jp/atomica/data/pict/02/02010101/10.gif

実はこのマークⅡはその前のマークⅠよりも恐ろしい危険性を持っています。図から明らかなように圧力容器の真下にプールがあるからです。
おそらくは原子炉内でメルトダウンからメルトスルーに発展することなどあり得ないと思われた時にこのような設計がなされたのでしょうが、ここでもし核燃料が溶けだして、圧力容器下部を突き破るメルトスルーが起きたら破局的なことが起こります。
2000度前後の燃料デブリが直接、プールの中に落下するからです。そうすると一挙にプールの水が蒸気化し、急激に体積が大きくなって爆発を起こしてしまいます。水蒸気爆発です。
そうしたら格納容器は内側から崩壊し、内部の核燃料の多くが環境中に飛び出してしまいます。福島原発事故をはるかに上回る破局がもたらされます。
僕にはなぜマークⅠ型からⅡ型にステップアップしたときに、Ⅰ型よりも圧倒的に危ない構造にこの原子炉が「進歩」したのか合理的な理由、ないしメーカーが合理的だと思っていた理由が分からないのですが、ともあれ極端に危ないことはよく分かります。

それでは6、7号機ではどうでしょうか。東京電力がさしあたって再稼働を目指しているのはこの二つのABWRの原子炉ですが、前回、つぶさにみてきたようにこの原子炉はそれ以前のものより格納容器内の空間の体積も、プールの容量も相対的に少なくなっています。
出力を大きくするという経済性のみが優先されて、安全マージンが削られてしまった結果であって、出力が大きくなっている分だけ、より危険性も増しています。
そう考えるとかえってマークⅠ型の方が、他の炉よりも安全マージンが高いようにすら見えてくるのですが、そのマークⅠ型を1号機から5号機まで使っていたのが福島第一原発であり、そこであれほどの放射能大量漏洩事故が起こったのです。
これらを考えるならば柏崎刈羽原発1~7号機が極めて危険性の高い原発であることがよく見えてくると思います。

さらに重要なのはこの原発を中越沖地震の際に、設計上の想定を大きく上回る地震が襲ったことです。
それ以降、停まったままの3号機をみるならば、建屋1階で2058ガル(想定834ガル)、地下3階で581ガル(想定239ガル)、3号機原子炉建屋基礎で384ガル(想定193ガル)が観測されています。
どれも設計基準を大幅に上回る揺れでした。その大揺れが原発に与えたダメージが全面的に補修されたとはとても言えないでしょうし、なおかつ同原発が再びこうした揺れに襲われることがありうることもこの数値は示しています。
2007年の地震の時には、幸運にも制御棒が炉心に入って運転が停まりましたが、次のときに同じように停まる保障などまったくない。なんといっても地震の揺れが設計基準を倍以上も上回っていたからです。

ちなみに前知事の泉田さんはこのような沸騰水型原発の危険性を実によく把握して、再稼働反対を唱えられていました。とくに泉田さんが強調されていたのは格納容器の崩壊を防ぐと称したベントは認められないと言うことで、次のように語られていました。
「フィルターベントは放射能を放出する装置ですから、健康に影響ある被曝をするような装置はOKできません。
したがってこれから避難計画との整合性や機器の性能もチェックする。つまり住民の健康が守れないということが明らかになれば、今回の(東電の再稼働に向けた・・・守田注)申請の承認は無効です。
県の了解を取れない限り、ベントの運用ができないということは、稼働できないということなんです」。・・・実に明解です!

今回の選挙はそもそもこの前泉田知事が、新潟日報などの執拗な県政糾弾攻撃を受け続け、再選に向けた出馬を断念するという事態を受けて行われたものでした。
自民党、公明党が稼働容認の候補を擁立したわけですが、先にも述べた如く、この背景に世界の原子力村の熱いまなざしがあったことは間違いありません。
これに対して米山さんは、共産党と自由党(旧生活の党)、社民党の推薦を受け、自由投票にした民進党の事実上の支援も受けながら、与党勢力、あるいは世界の原子力村の思惑を打ち破って当選したのです。痛快です。

この流れをさらに強めるために、みなさんと一緒に原発の危険性の構造的把握を続けていきたいと思います。

*****

連載1300回越えに際して、カンパを訴えています。
三反園さんや米山さんを支えるためにももっと行動力を増して、各地を訪ね歩きたい思っています。今回はそのための資金提供を訴えます。
よろしくお願いします。

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明日に向けて(1308)改良沸騰水型原発(島根3号機など)もかなり危ない!(連載3回目)

2016年10月14日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1300~1500)

守田です。(20161014 23:30)

島根・鳥取訪問記の3回目です。

これまではマークⅠ型、マークⅠ型改、マークⅡ型、マークⅡ型改、改良沸騰水型(ABWR)と変遷を遂げてきた沸騰水型原発の危険性についてみてきました。
とくに繰り返し「改良」がなされたことから、改良がなされなければならなかったもともとの危険個所をおさえてきました。
今回は改良を重ねた末に到達した改良沸騰水型(ABWR)原発が抱えている危険性について論じていきたいと思います。
その際、やはり最も信頼できるのはAPAST主宰者の後藤政志さんの提言で、とくに今回は以下の内容をご紹介したいと思います。

 改良沸騰水型原発(ABWR)の技術的特徴(その2)
 後藤政志談 20130817
 https://www.youtube.com/watch?v=j9NwIwqC2qo&feature=youtu.be&t=14m31s

話を分かりやすくするためにここでもアトミカ掲載のABWRに図を掲載しておきます。
 http://www.rist.or.jp/atomica/data/pict/02/02030402/08.gif

前回も述べたようにこの型の格納容器の特徴は鉄筋コンクリート製であることです。このため英語ではReinforced Concrete Containment Vessels(RCCV)とも表記されます。
このことで構造が簡素化し、内部の機器なども収めやすくなったことを前回ご紹介しました。
基本構造を後藤さんがビデオの中で詳しく説明してくださっているので、ぜひ動画をご覧になってください。

さてこのABWRの最も大きな問題として後藤さんが指摘しているのは、これまでマークⅠ型からⅠ型改になったときも、マークⅡ型からⅡ型改になったときも、格納容器の容積の拡大(約1.5倍に)が行われたのにも関わらず、ABWRでは縮小してしまったことです。
より正確に言うと、格納容器の容積の絶対量は拡大しているのですが、同時に出力も上げられており、この出力あたりの容積が小さくなっているのです。
格納容器の内部はドライウェルとウェットウェルという部分に分かれているのですが、この全空間の容積がマークⅠでは6030㎥だったのがマークⅠ改で14100㎥、マークⅡで9800㎥だったのがマークⅡ改で14400㎥と大きくされてきました。
ところがABWRでは13400㎥に縮小されてしまっているのです。

熱出力をみるとマークⅠ型が1380MWt、マークⅠ改、マークⅡ、マークⅡ改が3293MWt、これに対してABWRは3926MWtと大きくなっています。
これらを総合的にみるために容積を熱出力でわった数値をみると、マークⅠ型4.37、マークⅠ改4.28、マークⅡ2.98、マークⅡ改4.37に比して、ABWRは3.41しかないのです。明らかにマークⅠ、Ⅱの改良型よりも小さくなってしまっています。
後藤さんはこのように格納容器が出力との関係比率ではマークⅠ型からすらも小さくなってしまっていることを、より危険で、より早くベントしなければならない構造だとして厳しく批判しています。

さらにサブレッションプール=圧力抑制プールの水量についても同様のことが言えます。
圧力抑制プールとは格納容器の下部にあるものです。役割は圧力容器内で深刻な事故が起こり、大量の蒸気が発生した場合に、配管を通して蒸気をこのプールの中に持ち込み、プールの中に噴出させて一気に冷やし、蒸気から水に戻すためのものです。
蒸気から水に戻ることで体積が一気に縮まるため、圧力抑制プールと呼ばれるのですが、その場合の水の量は大きな意味を持ちます。水の量が蒸気を冷やせる量そのものだからです。
蒸気は高温ですから当然それをプールの中で噴けば熱がプールの水に移行してだんだん高くなります。最後に沸点まで到達しますがその段階でもう蒸気を水に戻す能力はなくなり圧力抑制ができなくなるのです。

しかしこのプールの水量が、マークⅠ型1750㎥、Ⅰ型改3800㎥、Ⅱ型3400㎥、Ⅱ型改4000㎥と増量されてきたのに、ABWRでは3600㎥と少なくなってしまっています。
ここでも水量を熱出力で割ってみると、マークⅠ型1.27、Ⅰ型改1.15、Ⅱ型1.03、Ⅱ型改1.21に対して、ABWRでは0.92となっています。これまた熱出力との関係では、これまでで最も少なくなっているのです。
これでは圧力抑制プールの性能をわざわざ落としたことにしかなりません。

なぜこのようなことがなされたのか。少なくとも安全性の確保の面からは合理的な理由は見つからないのですが、後藤政志さんはご紹介したビデオとは別のところで開発側が次のように述べていることを紹介しています。
ABWRでは格納容器を鉄筋コンクリート製にするとともに、原子炉内をまわる一次冷却水の流れを促進する「再循環ポンプ」を圧力容器内に収めてしまい、「インターナルポンプ」としたことも大きな「改良」点でした。
このため圧力容器の周りにあった再循環ポンプを差し込んだ配管もいらなくなり、その分、大きな口径のパイプを減らせたので、その分、配管破断事故のときの余裕ができたから格納容器を小さくできたといっているというのです。

しかし安全性の面から言うのであれば、余裕が増えるこそ安全マージンの拡大なのですから、その分、格納容器の容量を減らしたり、圧力抑制プールの水量を減らしたのでは元も子もありません。
では何が理由なのかと言えば、考えられるのは一つ、経済性の「向上」だけです。
そもそも格納容器の変遷は、熱出力の拡大ともセットになって行われてきました。安全面だけでなく、よりたくさんの発電ができるようにとの理由からも改良が重ねられてきたのです。
そしてその改良に資金を費やした分だけ多くの開発費がかかっています。このような状態下で格納容器をさらに大きくすると施設そのものがより巨大になり、当然にもさらにたくさんの資金が必要となります。この面から容積と水量が減らされたのではないか。

この点で示唆的なのは、後藤政志さんと共にAPAST参加し、元技術者の立場から原発の危険性を訴えている小倉志郎さんが、著書『元原発技術者が伝えたいほんとうの怖さ』(彩流社)の中で述べられている次の点です。
「新しい原発には古い原発よりも危険性が高くなる側面がある。なぜなら、新しい原発ほど、計算技術の発達によって発見された余裕がどんどん削られていく傾向があるからだ。」(同書p5)。動機がコスト削減にあることも小倉さんは指摘しています。

このように見てくると、確かに一方でABWRは、これまで見てきたように、マークⅠ型以降の沸騰水型格納容器の危険性を克服しようとする方向性を持ってはいて、そのことで逆説的に沸騰水型原発の抱える矛盾を体現してもいます。
しかし同時にABWR自身、せっかく致命的欠陥を克服しようとしながら、他方で安全マージンを大きく切縮めてしまい、かえって古い型よりも危険にもなっているのです。
この危険性は、そもそも沸騰水型原発では、「改良」の度に出力が大きくされてきたこと、その分だけより多くの核分裂を行い、熱を発生させられるようになっていることでも高まっています。
なんと言っても熱出力を上げながら、安全マージンを削ってしまっているわけですから、改良ではなく改悪になってしまっています。その点でこの原子炉は「改悪沸騰水型」と呼ぶべきだと思います。

以上、ABWRの構造的欠陥について分析してきました。もっとたくさんのことも言えますが、ここではとりあえずは格納容器内の容量と水量の縮小が極めて大きな危険性を持っていることを強調しておきたいと思います。
この炉は日本の中ではまだ動かした実績のあるのは柏崎刈羽6,7号機、浜岡5号機、志賀原発2号機の4炉しかありません。
その柏崎刈羽6,7号機の再稼働が目指されていることもしっかりと見据え、沸騰水型原発全体の危険性をひろめていきましょう。

続く

次回は島根原発固有の問題としてわずか2キロあまりのところに走る断層帯の問題を特集します。

*****

連載1300回越えに際して、カンパを訴えています。
今回はさまざまな取材を通して得た知見をまとめ書籍化していくための資金提供を訴えたいと思います。
よろしくお願いします。

振り込み先を記しておきます。
振込先 郵貯ぎんこう なまえ モリタトシヤ 記号14490 番号22666151
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明日に向けて(1307)島根原発(沸騰水型原発)の構造的危険性を把握しよう!(連載第2回)

2016年10月13日 19時00分00秒 | 明日に向けて(1300~1500)

守田です。(20161013 19:00)

前回から島根原発への取材とお隣の鳥取県境港市での講演についての連載を始めました。
これまで述べてきたのは島根原発が1号機(マークⅠ型)、2号機(マークⅠ改型)、3号機(改良沸騰水型)と、このタイプの原発の変遷の見本のような原子炉が並んでおり、それをみていると沸騰水型原発の危険性がよく分かるという点でした。
実際に1号機から5号機までマークⅠ型を使っていた福島第一原発では1号機から3号機までメルトダウンからメルトスルーを起こし、ベントが試みられましたが、それでも格納容器が破損して大量の放射能漏れ=毒ガス噴出事故を起こしました。
とくに2号機はベントに失敗して格納容器下部が激しく壊れ、3つの炉の中でも圧倒的な量の放射能の噴出を起こしてしまいました。

前回も書きましたがここで注意を促したいのは、もともとこの原発が作られた時に公言され、技術者たちの間でも絶対に守るべき原則とされていたのは、深刻な事故を起こしても大量の放射能漏れなど、絶対に起こさないということでした。
しかしスリーマイル島事故などの経験から、メーカーが理解したのは、配管破断などの何らかの要因で冷却材喪失事故が起こった時、炉心でメルトダウンが起こり、メルトスルーに移行し、膨大なガスが発生して格納容器が持たない状態に陥ることでした。
このため後付けでとりつけられたのがベントだということです。ベントは放射能を閉じ込めることを絶対的な任務としてる格納容器を崩壊から守るために、放射能を自ら噴出させる装置であって、「格納容器の自殺装置」なのです。
このことだけでも原発賛成論のすべてはもう崩壊しているのです。なぜって賛成論ではあくまでも原発が深刻な事故を起こす可能性はまったくないか、あったとしても「天文学的確率でしかない」などと言われてきたからです。

こうした点から、最低でもマークⅠ型原発はもっと早く廃炉にすべきであったこと、こうした決断を行えば十分に福島第一原発事故は防げたのだと前回書きましたが、実はこうした可能性を政府もメーカーも電力会社も100%知っていたのでした。
今回の記事を書くにあたって、元東芝の後藤政志さんや小倉志郎さんらがこの9月に行った集会動画を参考にしていたら、その中でやはり元東芝の渡辺敦雄さんが、このことを示す驚くべき動画をご紹介してくださっていたのでそれをここでも示しておきたいと思います。
独立行政法人・原子力安全基盤機構が、原子力防災専門官向け資料として作成していた、炉心溶融のシミュレーション画像で、作成は2009年のようです。

 動画で見る炉心溶融
 https://www.youtube.com/watch?v=wwYk62WpV_s

ご覧になると分かるように、なんと福島第一原発事故は、かなりの精度で発生と進展が予測されていたのです。
予測が外れたのは、ベントが円滑に行えなかったことでした。動画ではベントによって排気塔から大量の放射性ガスが排出されて、まるで「めでたし、めでたし」と締めくくられています。(なお水素爆発の可能性も把握されていませんでした)
最後にこんな文章が映されます「最悪の事態に至った場合でも、住民の方々に安全・安心して頂けるよう、日頃から、防災担当者への訓練を通して、原子力災害時の対応能力の習熟に努めております」・・・。
実際にはこんなことが起きる可能性があることは明らかにされず、また起こった際の対処もなんら準備されていませんでした。それどころかこうした可能性を知っていた東電は、自社の家族だけに「とっとと逃げろ」という指令を出したのでした。

ちなみに動画の中では「マークⅠ型を例に説明します」と語られていますが、正確にはこれはマークⅠ改型です。つまり島根原発2号機と同じタイプです。
何度も言いますが、こんな危険極まりないものの再稼働など、絶対に許してはなりません。ぜひこの動画を多くの方と共有して欲しいです。

さて今回は島根原発3号機に採用されている改良沸騰水型原発(ABWR)の構造と問題点について考察を進めていきたいと思います。
理解を容易にするため、前回もご紹介した沸騰水型原発の変遷を表す図を示しておきます。アトミカ掲載のものです。
 http://www.rist.or.jp/atomica/data/pict/02/02010101/10.gif

この平面図では分かりにくいのですが、ABWRの格納容器は円筒形になっています。これを縦に切り取った断面図がご覧いただいた図のように四角になっています。
横方向から見ると四角、上から見ると円になっていると言えばお判りでしょうか。
最大の特徴は、これまで鋼鉄製だった格納容器がコンクリート製になっていて、内側に6.4ミリのライナーと呼ばれる鉄板がはられていることです。

ここからは島根原発に併設されているPR館の方の説明に沿って、「何が改良されたのか」を説明しておきますが、最も強調されていたのがこのコンクリート製格納容器の採用により、横からみると四角い形状にすることができたことでした。
なぜならそれまで使っていた鋼鉄の場合、四角くするとどうしても角にあたる部分が脆くなってしまい、内側から圧力がかかったときにそこから破断する可能性ができてしまうので、円形にしか加工できなかったからです。
実際、マークⅠ型はフラスコ型をしており、マークⅠ改型は魔法瓶型をしていて、ともに上下が丸みを帯びています。
こうすると格納容器内部にはさまざまな機材や配管を置かなければならないし、点検作業で立ち入らなければならないので、不都合が多いのですが、それが改良されたのだというのです。

さらにコンクリートの中には51ミリという国産では最も太い鉄筋が採用されて、複雑に編み上げられています。PR館ではこれを手で握って重量を確かめられるようになっているのですが、これで強固さが増したのだと言うわけです。
といってもコンクリートはもともと水が浸潤する性質をもったもので、常識的にいってひび割れも生じるので、内側にライナーを貼ってあるというわけです。
さらに横から見て四角い形状が可能となることで内部機器の配置に余裕ができ、全体として重心を下げられるようになったことで耐震性が強化された点も述べられています。

この他の改良点であげられているのは原子炉再循環ポンプを原子炉圧力容器に内蔵したこととされています。
この「再循環ポンプ」は加圧水型原発では「一次冷却材ポンプ」と言われているもので、現在稼働している伊方原発3号機で稼働直前の7月17日に水漏れ事故を起こしたものに相当するものです。
配管の中にモーターを差し込み、プロペラを回して流れを強めているのですが、このモーターのシャフト部分から、一次冷却水が漏れだしてきてしまう。そのためさまざまに工夫を凝らしてシールドしているのですが、事故が繰り返されている部分です。

僕はこの夏に伊方原発再稼働前にこの部分の解析を行っていて、実はこれが技術的に未完成の構造的欠陥部品であることを突き止めました。
その上で、元東芝でポンプなどに詳しい小倉志郎さんにご意見を請うたところ、以下のような回答を得ました。

「問題の伊方原発3号機ポンプ故障についてですが、守田さんのご指摘の通り、この軸シール=軸封装置=こそ、原子炉システムの「アキレス腱」です。そして、この装置については政府=原子力規制庁=の技術基準はありません。
原子炉圧力バウンダリーを構成する箇所でありながら、「溶接部」「フランジ部」とは異なり、圧力に耐えている部品同志が相対的に移動しあっているのですから、内部から液体が漏れるのを防ぐのは至難です。
とりわけ、原子炉の高圧がかかるのですから、その部品の設計はメーカーの設計、製造技術、経験のノウハウ固まりのようなものです。」

「私がBWRの原子炉再循環ポンプをはじめ各種のポンプでのシール部漏洩を起こした場合に良く見たのは「シール面=こすれ合う面=に微細な異物が侵入した」という理由です。しかし、分解してみてもそんな微細な遺物が見つかったためしがないのです。
今回の伊方の場合もそうですが、本当は漏洩の原因は不明なのです。しかし、「原因不明」と公表してしまえば、「対策の妥当性」を説明できなくなります。そこで、苦し紛れの誰も確認できない理由を挙げざるを得ないのです。

シールの断面の構造をみるかぎり、原子炉格納容器の漏えいテストのために原子炉格納容器の内圧を挙げたところで、第3シールの固定リングが傾くとは考えられません。
上記したように、傾きの存在を確かめられないし、Oリングの摩擦力が(不均一に)増えたことも確かめられないのですから、これは空想による「屁理屈」でしかありません。」

なおこれについては以下の記事に詳しく書いています。
 明日に向けて(1299)一次冷却材ポンプ、再循環ポンプは原発のアキレス腱!川内、伊方原発をただちに停止すべきだ!
 http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/15be99138463055eb10641f091bb8341

改良沸騰水型原発ではこのポンプを配管の中に差し込むことを止め、原子炉の中に内蔵したのです。
構造的欠陥があり、繰り返し事故を起こしてしまう部分らから配管の中に組み込むことを止めたのではないかと思われます。
またより大きな理由として、破断のしやすい配管そのものの多くを、原子炉圧力容器の中に取り込んでしまうことで、この部分での様々な事故の発生の可能性を抑止したということでしょう。

さらに3つ目の改良は制御棒駆動機構の駆動源を水圧と電動機に多重化したことです。
沸騰水型原発では原子炉内の核分裂を調整している制御棒が下から差し込まれる構造になっています。
単純に考えれば、重力に沿うように上部に設置した方が、緊急時のスクラム(一斉差し込み)の失敗などの危険性を減らせることになります。事実、加圧水型原発は上から差し込んでいます。
ところが沸騰水型原発では、圧力容器上部で一次冷却水が沸騰し、タービンに送られるため、ここに駆動系の装置を設置することが難しいのです。そのため下から差し込む構造になっているのですが、重力に逆らうために危険性を伴います。

また自重で制御棒が抜け落ちてしまう落下事故も繰り返されています。
制御棒は原発の主要なブレーキですから、これもまた致命的な欠陥なのです。このため改良沸騰水型では、それまで制御棒の駆動系が水圧のみだったことに対して、電動系を加えたわけです。
PR館の説明ではこれに伴って、制御棒の抜き差しのときのストローク(いっぺんにどれぐらい動かせるか)もより細かくなり、炉内の微妙な調整が可能になって安全性が増したことが説明されていました。
炉内の反応は穏やかに上昇し、下降した方が安全で、そのためには制御棒を少しずつ上げ下げできた方が良い。それが可能なので安全性が高められたということです。
なおこれらについて、中国電力よりも大間原発でこの方の原子炉を建設中のJ POWER(電源開発)の方がホームページでより詳しく説明しているのでこれを示しておきます。文章で分かりにくいところは図などでご確認ください。

 ABWRについて
 J POWER 電源開発HPより
 http://www.jpower.co.jp/bs/field/gensiryoku/project/aspect/adoption/abwr/

以上、詳しく見れば見るだけ、マークⅠ型、Ⅱ型およびその改良型の沸騰水原発がさまざまな問題を抱えてきたことが見えてきます。
ではABWRではこれらの矛盾は克服されたのでしょうか。断じて否です。
次回はこの点について後藤政志さんが詳しく解説してくださっているので、その点を特集したいと思います。
なお前回の最後に、これに加えて島根原発の固有の危険性である活断層問題について述べることを予告しましたが、この点は次々回に回したいと思います。(申し訳ありません)

続く

*****

連載1300回越えに際して、カンパを訴えています。
今回はさまざまな取材を通して得た知見をまとめ書籍化していくための資金提供を訴えたいと思います。
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明日に向けて(1306)島根原発の危険性と境港市と水木しげる記念館―1

2016年10月12日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1300~1500)

守田です。(20161012 23:30)

みなさま。このところとても長い間、ブログの更新を怠ってしまいました。大変、申し訳ありません。9月23日の投稿から書いていませんから19日間のブランクを作ってしまいました。これまでで最長です。
理由はこれまでにない密度で講演を依頼いただき、かつまた内容にも大きな幅があったので、準備に追われて「明日に向けて」を書く時間がなかったことにあります。
また四国全県や島根県、鳥取県など、これまで行ったことのなかったところに次々と呼んでいただき、講演小旅行を繰り返してきたことでも時間がとれませんでした。
けして体調不良や精神的不調のためではありませんのでどうかご心配されませんように。

Facebookを観ていただけている方には、時々の集会報告などをまめにアップしているので、けして身体の問題ではなくあちこちを走り回って時間がとれないことをご理解いただけていると思うのですが、そうでない方にはご心配をかけたと思います。
ともあれ僕は現在、心身共にとても元気です。今年の前半期にかかってしまった坐骨神経痛も完治しました。なのでご心配はご無用です。
今後、こうして飛び回っている中でも、ブログの更新を続けられるように、活動や執筆に工夫を加えることでパワーアップしていくつもりです。ご心配していただいた方がおられましたら、この場を借りてお詫びとお礼を申し上げます。

さてその講演小旅行ですが、先週の7日に島根県松江市までいきました。鳥取県境港市で8日に講演するためですが、この日は松江駅から島根原発見学に行ってきました。
僕を招いてくださった鳥取の方のコーディネートのもと、長い間、島根原発に反対してきた地元の方たちが案内してくださいました。
あけて8日には午後から境港市民会館で講演にのぞみました。新聞の折り込みや、学校でのチラシの配布のお願いと実現など、幅広い宣伝を行ってきてくださったみなさんのご尽力のもと、実数で70名以上が集まってくださいました。
境港市の人口が34000人弱であることを考えたとき、とても大きな成果だったと思えます。また境港市の防災課の方々や、鳥取県会議員さん、境港市、米子市双方の市会議員さんなども多数、参加して下さいました。

今回はこの島根原発取材と、境港市での講演についてご報告したいと思います。

島根原発は島根県の県庁所在地の松江市に位置しています。全国で唯一、県庁所在地に立地している原発です。もともとは鹿島町に建てられたのですが、その後に鹿島町が松江市と合併したので県庁所在地への立地ということになったとのことです。
松江市から原発に向かう際に驚いたのはあまりにこの原発が人口密集地の近くに作られていることでした。正確には日本の原発の第一号機である東海原発の方が、周辺の人口が多いそうですが、それでも県庁所在地のすぐそばにあるのは際立っています。
もちろん人口密度の低いところに建てれば良いと言うのでは断じてありませんが、それでも人口の多い現在の松江市内に原発があることの危険性をひしひしと感じざるをえませんでした。

しかもそこからお隣の鳥取県までもわずか20キロ。島根県に接する境港市の市役所まででも21.1キロしかありません。
その境港市には米子市を起点とするから境線が運行されています。米子駅の「0番線」から出発して終点が境港駅になりますが、現在は鬼太郎ワールドの入り口で、走っているのは「鬼太郎列車」「ねこ娘列車」「ねずみ男列車」「目玉おやじ列車」です。
境港駅からは「水木しげるロード」が続き、辿っていくと「水木しげる記念館」に至ります。たくさんの妖怪の大小の銅像を楽しみながら歩けるのですが、その記念館までも島根原発からほぼ21キロしかないのです。
僕も講演の前日に宿泊したホテルから境線の駅に出て「目玉おやじ列車」に乗り、水木しげるロードを記念館まで辿り、見学をしてから会場に向かったのですが、終始、「妖怪たちは原発をどう捉えているのだろう」との思いが消えませんでした。

さてこの島根原発は日本の電力会社が設置する原発としては美浜原発、福島第一原発に継ぐ3番目のもので、1号機は福島第一原発1~5号機と同じマークⅠ型の格納容器を使っています。
2号機はマークⅠ改良型、建設中でまだ一度も稼働していない3号機は「改良沸騰水型原発」と呼ばれる格納容器を持っています。
沸騰水型原発の段階的改良が良く分かる原発サイトだと言えますが、そのうち1号機は老朽化を理由にすでに廃炉になることが決まっているものの、2号機は再稼働が、3号機は初めての稼働が狙われています。

これら沸騰水型原発の変遷を分かりやすく図示しているページを紹介します。(アトミカより)
http://www.rist.or.jp/atomica/data/pict/02/02010101/10.gif

マークⅠ型から始まった沸騰水型原発が、次々と改良を繰り返してきた事実から分かるのは、この原発が致命的な欠陥を持っており、度重なる改良を加えてこなければならなかった事実です。
何よりも深刻なのは開発時にあまりにコストを抑えすぎたために、格納容器を小さく作ってしまったことでした。
どこが致命的なのかというと、そもそも格納容器は、核分裂を行っている原子炉圧力容器で何らかのトラブルが起こった時に、内部から発生してくる放射能入りの蒸気を閉じ込めることを役割とした装置です。
ところが容量が小さいために、その分、受け止められる放射能の入った蒸気の量も多くはなく、一定量を超えると破裂してしまう可能性があることが、この炉を各地に建設した後に分かったのです。破裂したら最悪の場合、破局的な事故になります。

設計者はゼネラル・エレクトリック社ですが、同社はスリーマイル島原発事故のあとにこの事実を悟り、非常事態に備えて、放射能を排出するベントを後付けすることにしました。
しかしこれはもともと矛盾した装置でした。先述のように格納容器の役割は放射能を含んだ気体を封じ込めることにあります。ところがベントは格納容器を守るために放射能を含んだ気体=猛烈な毒ガスを環境中に噴き出すためのものなのです。
実際のところ、東芝に中途入社して格納容器設計担当者となり、やがてベントの後付けを担わなければならなくなった元設計者の後藤政志さんは、これを「格納容器の自殺装置」と呼んでいたといいます。

しかもベントはいわば急場しのぎの緊急装置でしかなく、格納容器そのものの欠陥が変わるわけではありません。このためゼネラル・エレクトリック社は日立と会社的に結合するとともに東芝とも合同で格納容器そのものを新しいものに変えていきました。
まずマークⅠ型ではフラスコのような形状をしていた格納容器をマークⅠ改で大きくしました。この格納容器は「魔法瓶型」と呼ばれています。容量は約1.5倍になりました。
さらにマークⅡ型では格納容器の形が大きく変わり、やはり容量が拡大されましたが、さらにマークⅡ改良型も作られて、この時も容量がⅡ型の約1.5倍にされています。

この際、出力も大きくなっているので「出力あたりの格納容器の容積は変わらない」という見解もだされていますが、問題は深刻な事故に陥った時に、格納容器がどれだけの放射能を含んだ気体を受け止められるかなので容積拡大は重要なポイントです。
しかしそれでも安全性が確保されたと思えないがゆえにさらに「改良沸騰水型原発」が開発されました。ABWRと略称されるものです。
もともと沸騰水型原発は英語ではBoiling Water Reactor(BWR)と表記されていて、これに「進められた」という意味のAdvancedがつくのが改良型の呼び名なのです。まだ稼動してない島根原発3号機がこの型です。

こう見てくると、マークⅠ型の危険性はかなり前から認識されていたのだから、1号機から5号機までマークⅠ型を使っていた福島第一原発はもっと早くに廃炉にすべきだったことが見えてきます。
しかも福島第一原発事故ではベントはなかなか開けられず、2号機では完全失敗したのでした。後付けのベント装置はうまく機能しなかったのです。ここでは1型の欠陥対策が十分な効果を果たさなかったことも明らかになったのです。
島根原発1号機はこの福島第一原発1号機とまったく同じ型ですし、古さも福島とほとんど同じですから、廃炉にされるのは当然のことです。むしろここまで深刻な事故を起こさなかったことは幸運以外のなにものでもありません。

これに対して2号機はこのマークⅠ型改ですが、メーカー側はその後にⅡ型、Ⅱ型改、ABWRと改良を重ねていったのですから、これまた危険性が自覚されていたことが見え見えの炉であることが明らかです。
にもかかわらず中国電力は、この炉でプルサーマル(燃料の一部にプルトニウムを混ぜて運転すること)を狙っていました。とんでもないことです。安全感覚と倫理観が麻痺しています。これらからもこの炉は絶対に再稼働すべきではないのです。

こうした1号機、2号機の危険性は現地見学でも実感しました。とくに島根原発のすぐ横にあるPR館に入り、館長代理の方から丁寧な説明も受けたことが印象的でした。
この説明は、見学に同行してくださった島根原発に長いこと反対している地元の議員さんと面識のある館員の方からのもので、その紳士的な対応には感謝していますが、しかしその内容は1,2号機の危険性を言外に明らかにするものでした。
というのはPR館では3号機=改良沸騰水型原子炉のことが強調されていたからです。説明もそれに沿うもので、いかに3号機で安全面での重要な改良がなされたのかというものでした。
しかし聴けば聴くだけ見えてくるのは、改良を施さなけれがならなかった1号機、2号機に、明確な欠陥があるということでした。そもそも原子力が完成されたテクノロジーなら安全面での改良などされる必要はないはずなのです。

この最新型の稼働実績があるのは柏崎刈羽原発6、7号機(1996年、1997年)、浜岡原発5号機(2005年)、志賀原発2号機(2006年)だけで、島根3号機はそれに続くものだとも自慢気に語られていましたが、それなら他の炉は全て危ないことになります。
いやこのABWRもとても安全だとは言えないこと、むしろ新しい型の方が安全マージンを削っている傾向があることを元東芝の技術者である小倉志郎さんが著書で述べられているのですが、ともあれ中電のPRを聴けば聴くだけ、再稼働が狙われている2号機の危険性が浮き立ってくるのでした。

続く

次回はABWRの改良点が映し出す沸騰水型原発の危険性と、この原発の直近を走る断層帯の問題について述べます。

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