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明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(2523)『月刊社会民主』8月号に「被爆80年―広島・長崎・福島の被害の実相と向き合う」という論文が載りました!戦後80年特集も充実、お読み下さい!

2025年08月01日 16時30分00秒 | 明日に向けて(2401~2600)

守田です(20250801 16:30)

被曝被害の実相をきちんと書き掲載して頂きました

『月刊社会民主』2025年8月号に僕の論文が載りました。この冊子は社会民主党の機関誌です。
今回は戦後80年にあたりますが、「戦後80年と村山首相談話の意義」という特集が掲載されており、それに絡める形で広島、長崎、福島の被害の実相を問うた論文が載りました。54ページからです。

同冊子に関する社民党のページをご案内しておきます。
https://sdp.or.jp/category/sdp-journal/

内容は各地の講演で繰り返し話していることですが、まずは広島・長崎の被害がかなり過小評価されてきたこと。それを背景に福島原発事故での被曝被害の多くも隠されていることです。
しかしそれを打ち破る形で三田茂医師が、「新ヒバクシャ」に「能力減退症」が起きていることを明らかにし、治療の道を切り開いてきたこと。
私たち京都「被爆二世・三世の会」もそんな三田さんの実践にも励まされて被爆二世・三世の健康調査アンケートを進めてきたこと。
そしれそれらを最近、被曝医療の領域で長い実践を重ねてきた村田三郎医師が、積み上げてきた大きなデータを背景に、三田さんの実践を高く評価して下さったことなどを書き込みました。

この内容で、こうした紙誌に原稿を載せることができたのは初めてのことです。
京都「被爆二世・三世の会」の2024、2025年度年次総会で、三田さん、村田さんにご講演して頂いた時の動画や、私たちのアンケート結果報告書も、QRコードを添えて紹介することができました。
三田さんの実践を取り上げて下さった文春オンラインの記事も紹介しました。
ここからもっとこの内容を積極的にあちこちに広げていきたいと思います。どうか手に取って頂きたいです。


こんな情報も掲載して頂きました

なお社民党に申し込んで頂ければ送られてくると思いますが、購入先がちと分かりづらいので、僕に申し込んで頂いても良いです。
僕からは定価800円、送料込み1000円でお送りします。


特集「戦後80年と村山首相談話の意義」が素晴らしい!!

同時にご注目頂きたいのは、先ほども紹介した特集「戦後80年と村山首相談話の意義」です。
執筆者は内海愛子(恵泉女学園大学名誉教授)、東郷和彦(元外務省条約局長)、田中宏(一橋大学名誉教授)、藤田高景(村山首相談話を継承し発展させる会・理事長)、内田雅敏(弁護士)の各氏。
それぞれが違った角度から村山首相談話の意義について述べているのですが、これが素晴らしい!

この談話は1995年に戦後50年の節目になされたもの。核心部でこう述べられています。

「我が国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損失と苦痛を与えました。私は、未来に誤ち無からしめんとするが故に、疑うべくもないこの歴史的事実を謙虚に受け止め、ここに改めて痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを表明いたします。また、この歴史がもたらした内外すべての犠牲者に深い哀悼の念を捧げます」
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/danwa/07/dmu_0815.html


特集ページに添えられた写真より 「歴史を直視し日中友好、永久の平和を祈る」との村山首相揮毫の額の前で 

大事な点は、この談話は日本政府の公式見解として、その後、20年もきちんと継承され続けたことです。その間、数々の首相が誕生し、談話を発表しましたが、どれも村山談話を継承しました。
この流れを変えようとしたのが安倍晋三氏でした。安倍氏は事前に「全体として引き継ぐ」けれども「個別には引き継がないところもある」と述べていましたが、実際には確かに次のように「全体ととして引き継ぐ」立場を表明しました。

「事変、侵略、戦争、いかなる武力の威嚇や行使も、国際紛争を解決する手段としては、もう二度と用いてはならない。植民地支配から永遠に訣別し、すべての民族の自決の権利が尊重される世界にしなければならない。」「先の大戦への深い悔悟の念と共に、我が国は、そう誓いました。」「我が国は、先の大戦における行いについて、繰り返し、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明してきました。」

それでは「個別に引き継がないところもある」という点はどうか。実はここで五氏の論はベクトルの違いを見せていて、そこも読ませます。特に元外務省条約局長の東郷和彦氏の論は、僕の中になかった視座で、唸る思いで読みました。
いずれにせよ大事なのは、歴史の修正を行おうとし、旧日本軍性奴隷問題についても「広義の強制はあったが狭義の強制はなかった」など、強制連行の事実を消し去ろうとした安倍氏をもってしても、村山首相談話の骨格は崩せなかったことです。

つまりここに先の大戦から学んで戦争を否定し、侵略の過ちを捉え返そうとしてきた日本の市民、あるいは私たちの先輩たちの努力が結集しているのです。修正主義を跳ねのけて!
それがアジアをはじめとする諸外国から高く評価されてきたことも、私たちは広めていく必要があります。

今日、再び歴史修正主義とレイシズムを掲げる政党が伸長する中で、あらためて私たちは村山首相談話を振り返り、侵略戦争への反省を真摯に行い受け継いできたことを、誇りをもって語っていきたいです。
一方で、執筆者の一人の内田雅敏さんが述べているのですが、その談話の精神は未完のもの。今なお実践が問われています。僕はこの観点から、旧日本軍性奴隷問題の真の解決を求めて行動し続けていますが、私たちはさらに頑張らねば。
ぜひみなさんとこの夏、この思いを共に深めたい。

なお特集以外の他の記事も読みごたえのあるものが多い、かなり充実度の高い冊子です。ぜひお手に取って下さい。お読み下さい。

#月刊社会民主 #社会民主党 #村山首相談話 #戦後80年 #被爆80年 #侵略戦争の反省 #アジアへのお詫び #歴史修正主義を許さない #被曝被害の実相を問う #広島長崎福島

*****

戦後80年、被爆80年の夏の特別カンパをお願いしています。
二度と戦争を許さないため、放射線被曝から命を守るための活動のためです。
ぜひともお支え下さい!

振込先 ゆうちょ銀行 なまえ モリタトシヤ 
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明日に向けて(2522)8月6日「響き合う祈り 解き放つアート Ask the sky on August 6th」にご参加を

2025年07月26日 13時00分00秒 | 明日に向けて(2401~2600)

守田です(20250726 13:00)

goreycafeにて午後7時スタートです

前号でお知らせしたとおり、8月6日午後7時から三条大橋でキャンドルビジルを行いますが、この同じ時間帯に京都goreycafeで素敵なイベントが行われるのでご紹介します。

響き合う祈り、解き放つアート:8月6日、京都から平和を願うライブペイント「Ask the sky on August 6th」
https://be-myself.llc/events/20250806/

8月6日の空に描く、奏でる企画です。

ピアニストの大前チズルさん、ダンスペインティングの寺嶋康浩さんが中心。8月6日を考え、問う企画をもっと京都で・・・と数年前から始められました。
これに絵本朗読のnaoさん。音楽モジュールと笛の末田力さんが加わります。naoさんと末田力さんは広島出身。企画のチラシをご紹介します。



https://toshikyoto.com/wp-content/uploads/Ask-the-sky-on-August-6th.pdf

僕もこれにビジル後に三条大橋からタクシーで急行して参加します。3回目の参加で、昨年、今年とビジル後に駆け付けます。
今回は広島平和公園に碑としても残されている峠三吉さんの『原爆詩集』の序、また峠三吉の詩に影響を受けたトルコの詩人ヒクメットの『死んだ女の子』を朗読し、広島のこと、被爆者のことを語らせて頂きます。

同時に二つの企画をお誘いしてしまいますが、ぜひここにもご参加頂きたいです。
会場の住所は「京都市左京区浄土寺西田町82-1」 今出川白川の交差点から少し西にいった南側です。電話は075-203-6296

8月6日18時半オープン、19時開始です。



ダンスペインティングと音楽のコラボが幻想的

この企画、あらかじめの打ち合わせなしの即興パフォーマンス
ペイントしながらダンスするのはおそらくは寺嶋さんだけではないかと。(ご本人談)
昨年はこれにギターも加わっていました。今年は音楽モジュールと笛が加わります。絵本朗読もあり。ともあれ盛りだくさんで迫力満点です。

といってもなかなか分かりにくいと思うので、大前さんと寺嶋さんがKBS京都に出演してこの企画を宣伝したときのアーカイブをご紹介します。
スライド作成は大前さんです。

大前さんがどんな思いでこの企画を立ち上げたのか。また寺嶋さんとの出会いからともに企画を立ち上げた経緯が語られています。
寺嶋さんからも、そもそも踊りながら絵を描くというのはどういうことなのかが、軽快に?清々しく?話されています。
これを聴くとどんなパフォーマンスがなされるのか、目に浮かんできます!お聞き下さい。

なお最後に大前チズルさん編曲のスカボロフェア(サイモンとガーファンクルの名曲)を流して下さっているので、ぜひぜひそこまで聞いて頂きたいです。
僕は相当に痺れました。この曲、メインの歌詞に詠唱が加わるのですが、そこに深い意味が込められています。その一部を日本語で朗読して下さっています。
8月6日の企画の告知にふさわしい名曲の編曲です。

実際に描いた絵の前でポーズをとる寺嶋さんをご紹介します。(左側の方)

大前さんが僕のことも紹介して下さったのでツーショットをご紹介します。

さて参加料金ですが大人3000円、子ども同伴の場合は2000円、子ども(小学生以下)は1000円
お子さんにも聞いて頂きたくて、こうした設定にされたそうです。かなり盛りだくさんな企画で、この料金はリーズナブルかと。
ぜひご参加を!

#AsktheSkyonAugust6th #8月6日の空に描く奏でる話す #広島原爆 #大前チズル #寺嶋康浩 #nao #末田力 #守田敏也 #goreycafe #スカボロフェア  

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明日に向けて(2521)被爆80年の夏、あらためて平和を守り核なき未来へ歩む思いをみんなで分かち合おう!原爆と核の犠牲者を追悼するキャンドルビジル2025にご参加を

2025年07月25日 22時30分00秒 | 明日に向けて(2401~2600)

守田です(20250725 22:30)

8月6日、9日はキャンドルビジルにご参加を

恒例になった広島・長崎の日のキャンドルビジルを今年もまた行います。
特にこの夏は被爆80年の夏です。昨年は日本被団協にノーベル平和賞が授与されたり、原爆を作った博士を描いた映画『オッペンハイマー』が上映されるなど、何かと広島・長崎原爆に関心が集まりました。
そんな中であらためて「ノーモア・ヒバクシャ」の訴えを静かに行いたいと思います。キャンドルを灯し、核の犠牲になった方々を追悼しながらです。ぜひご参加下さい。




2024年8月9日のビジルより 守田撮影 なお他の写真も同じ

この日、私たちは、できるだけたくさんの方と共に、広島、長崎に想いを馳せたいと思います。
さらに同じ1945年の7月16日に、アメリカニューメキシコ州で行われた人類初の核実験の犠牲者や、広島、長崎で大量殺りくの後に繰り返された太平洋の島々を始めとする核保有国の実験場とされた地域での犠牲者にも心を寄せます。

また私たちは、核兵器製造工場の事故で被爆(被曝)した人々、スリーマイル、チェルノブイリ、フクシマをはじめとした原発事故や原発労働で被爆(被曝)した人々、ニューメキシコ州チャーチロックでの鉱滓ダム決壊事故をはじめ、ウラン鉱山関連で被爆(被曝)した人々や、世界各地におけるウラン採掘関連で被爆(被曝)した人々など、あらゆる核の犠牲者のことを思い、静かに立ちます。




主催は京都「被爆二世・三世の会」です。問い合わせは守田まで。morita_sccrc@yahoo.co.jp

Facebookのイベントページをご紹介しておきます
https://fb.me/e/31M6Omp72

なお立つのは6日、9日だけですが、イベントページは6日の開始から9日の終わりまでを開催時間として設定しています。
この期間に思いを共にして頂ける方、ぜひ「参加」ボタンを押してください。シェアと拡散もお願いします。


両日ともに午後7時から8時まで行います

両日とも開始時刻の午後7時前に三条大橋の東側(京阪電車側)のたもと(北側)にお集まりください。両日とも1時間行いますが、もちろんどちらか1日のご参加も大歓迎です。
京都市には遠くて、リアルでご参加頂けない方のためにLIVE配信も行います。守田敏也のFacebookタイムラインから行いますが、1時間は長いので人が集まっている7時半から30分行います。
時間になったら以下からご視聴し、ビジルを共にして下さい。
https://www.facebook.com/toshiya.morita.90



キャンドルは60本ぐらい用意します。ぜひそれぞれでプラカード・バナーなどご持参ください。
核の問題にとどまらず、あらゆる戦争の犠牲者を追悼するプラカードも歓迎です。それを持ってみんなで静かに立ちましょう。
小雨の場合は決行、台風や強い雨の場合は中止します。


ビジルのまとめ集会より

#広島 #長崎 #原爆 #核の犠牲者 #追悼 #ビジル #反戦反核 #京都被爆二世三世の会 #被爆者 #ヒバクシャ

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明日に向けて(2520)うそと差別は戦争と人権侵害への道!平和と人権を守るための投票を!

2025年07月19日 23時30分00秒 | 明日に向けて(2401~2600)

守田です(20250719 23:30) 

うそつきが国会の議席を得続けてはいけない!うそつきを落とすための投票を!

あと30分で参院選の選挙期間が終わります。
最後に明日投票される方は、平和と人権を守るため、戦争と差別をなくすため、戦略も考えて投票されることを訴えます。
そのためにうそつきに議席を与えないようにしようと訴えたいです。戦争も人権侵害もいつもうそによって始まるからです。

まず京都のことを書きます。
この間も述べてきたように、京都では長年トップ当選してきた自民党の西田昌司参議院議員を落とせるかどうか、ギリギリの攻防が続いています。

そんな中で西田陣営は京都新聞にこんな広告を出しました。
「自民か共産か 選択の時 このままでは日本が危ない 京都の保守の火を守ってください」

これに対し、保守のみなさんに訴えます。
保守のみなさん。保守って平気でうそをつく人のことをさすのでしょうか。
あるいは繰り返し平気でうそをつく人を「保守」と認めるのでしょうか。

これは危機にさらされた西田氏が打ち出したものですが、そもそもその危機は沖縄の人々にうそを元に暴言を吐いたことで強まったのです。
あるいは京都の地下水をダメにするからと、多くの人が反対している北陸新幹線小浜ー京都ルートをごり押しすることで、深まってきたのです。

ところがそれを「自民か共産か 選択の時」と言い換えている。またもやうそによるごまかしです。
ではこのスローガンにお答えしましょう。「このままでは日本が危ない」かどうか。それまったくその通り。こんなうそをつく方が国会に居座り続けたらそれは危ない。京都も地下水がダメになるから危ない。
「新幹線は京都府民の合意なしに進められることは絶対にありません」とも書いてありますが、そこにあるのは「合意の体裁を繕って進める」という本音です。

だから選択肢はこうです。「うそつきをまたも議員にしてしまうのか否か」「京都の地下水脈を守れるのか否か」
京都の保守のみなさん。あるいは保守であろうとなかろうと、京都を愛し、うそのない誠実なあり方を大切にするみなさん。良識を示しましょう!


大うそをつきながら気に食わない人を差別・抑圧し、憲法=人権を否定する人々を通さないための投票を

その西田氏は憲法も否定し、国民に主権あるのがおかしいとまたも言っていますが、まったく同じことを言っているのが参政党です。
さらに「偏った公務員を追い出す」と、ものすごく偏りながら言っているし、スパイ防止法や徴兵制まで必要だと言っています。

この参政党も大うそを連発し、ありもしないことを掲げて外国人への罵倒を繰り返しています。
いや最近ではこうも言い出しました。「私たちがたたかっているのは反日の日本人だ」と。

参政党が掲げる「日本人ファースト」は、「日本人」とそうでない人を差別するもので、絶対に認められないものです。
でもそれだけではありません。その日本人があの大戦を通じて得た「人権」をなくし、徴兵制を復活させようとしているのですから、実は攻撃は日本人にも向けられているのです。
日本人から人権を奪い、徴兵して人殺しを強制し、戦場に送り込もうとしています。

参政党支持者のみなさん。ここに気がついて下さい。
国民主権をなくそうとしているのですから、攻撃対象はあなたの人権でもあります。
あなたが人殺しを強制されない権利を奪って、あなたを、あなたの大事な人を、場に送り込もうとしているのです。

だからもう、あたなを攻撃しようとしている政党を支持するのをやめましょう。
外国人に悪罵を投げつけるという酷いことをしながら、痛めつけつつあるのは実はあなたの人権でもあります。

みなさん。
ウソと差別は戦争と人権侵害への道。
平和を人権を守るための投票をしましょう!


自らの決意を込めて紙を掲げる女性=神戸市中央区 神戸新聞より

#参議院選挙 #差別に投票しない #ウソと差別は戦争への道 #ウソと差別は人権侵害への道 #参政党に投票しないで #京都の地下水を守ろう #平和と人権を守ろう

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明日に向けて(2519)7月16日は恐ろしい核災害(ウラン精錬所鉱滓ダム決壊)が起きた日(1979年)、京都の街頭で訴えます。

2025年07月12日 23時00分00秒 | 明日に向けて(2401~2600)

守田です(20250712 23:00)

前回の記事でもうすぐ迎える7月16日が、1945年に人類初の核実験が行われ、アメリカの多くの人々が被爆されられた日であることを述べました。
今回は1979年のこの日にあった恐ろしい核災害のことについて述べます。

環境人種差別によってこの災害が起きた

1979年7月16日、アメリカニューメキシコ州ナバホネーションのチャーチロックにあったウラニウム製錬所で、放射能汚染水などを貯めこんだアースダムが決壊しました。
1,100トン(1,000トン)の固形放射性工場廃棄物と9,400万USガロン(360,000㎥)の酸性放射性鉱滓溶液が近くのプエルコ川に流れ込みました。
それらは75マイル(120キロ)以上下流のアリゾナ州まで流れ、多数のナバホのコミュニティーとニューメキシコ州ギャラップ市を通過。ナバホネーションに大変な被害をもたらしました。


ナバホネーションの首都があるウインドウロックにて 2019年7月15日 守田撮影


チャーチロック遠景 なるほど、教会のような形をしている 2019年7月16日 守田撮影

とても酷い核災害でしたが、ダム決壊の原因は、工場を運営する会社が経費削減のためにダムを強固に作っていなかったことにありました。
また先住民族に対する差別意識からも、ダムを杜撰に作っていたのです。環境人種差別によって、深刻な汚染が生じてしまいました。私たちはこの災害のことを決して忘れません。
私たちは工場を運営していた会社(GE)とアメリカ政府に強く抗議します。両者はただちにクリーンアップを実行するとともに、ナバホ(ディネ)の人々に補償を行うべきです。

私たちは1945年の人類初の核実験と、1979年のこの恐ろしい核災害の犠牲者を追悼し、被害者への補償を核の廃絶を訴えて、四日後の16日水曜日、午後6時から7時半まで街頭行動に立ちます。
京都市三条河原町街頭にてです。お近くの方ご参加下さい。遠くの方、Facebookでlive配信するので視聴の形でご参加下さい。
https://fb.me/e/3kVzdi3YL


この日に配るチラシも公開します。日本語版と英語版を作りました。
https://toshikyoto.com/press/9478.html
https://toshikyoto.com/press/9486.html


最初のヒバクシャは先住民族の方たち

この事故の背景をなすのは、1944年、原爆製造計画=マンハッタン計画が動いている時に、ナバホ・ディネ、そしてホピの「居留地」から次々とウラン鉱が発見され、発掘されだしたことです。
広島・長崎に投下された原爆に使われたウランは、ベルギー領だったコンゴやカナダから持ち込まれたものでした。
ニューメキシコでのウラン発掘は、第二次世界大戦が終わり、ソ連との核兵器を向き合わせての「冷戦」が始まるや、どんどん拡大、1000以上もの採掘場が作られ、精錬工場も建てられました。(今はほとんどが廃坑)

そこで劣悪な労働に従事したのも、多くはナバホ・ディネの方たちでした。そんな中で起こったのが、1979年の大量のウラン精錬工場から出た汚染水の川への流出だったのです。
1979年というと何かに気づかれる方もおられるのではないでしょうか?そうです。この年はスリーマイル島原発事故の年です。
このためチャーチロックの事件もさぞや注目が集まったかと思いきや、そんなことはなかった。先住民族の地だからでした。明らかなる人種差別が横たわっていたのです。


多くのウラン鉱は周辺環境にとって最悪の露天掘りだった ナバホネーションのレストランの壁に貼られていた写真 2019年7月16日 守田撮影

前回の記事で僕は人類初の核爆弾によるヒバクシャがアメリカの方たちだったことを述べました。
しかし最初のヒバクシャはというとその核爆弾を作るためにウラン鉱を掘らされた人々でした。世界各地にウラン鉱があり、僕はいまそのどれが一番最初かまで突き止めていませんが、その多くが先住民族の土地でした。
だから最初のヒバクシャは各地の先住民族の方たちなのです。核開発は先住民族の犠牲の上にのっかって走り出した。人種差別の上に乗って進んできたのです。このことを問う思いも込めて、716鉱滓ダム決壊事故を問います。

ウランは地中においとけ! 2019年7月16日 鉱滓ダム決壊事故を糾弾する集会の一幕 守田撮影


ナバホ・ディネの方たちを中心としたラリー 2019年7月16日 守田撮影


今年の現地集会のFlyer 7月19日開催 


ナバホ・ディネと日本のつながり

ところで僕がここでナバホ・ディネと書いているのは、ナバホという名がもともと当事者が使っていた名ではないからです。アメリカ連邦政府による名なのです。(もともとはスペイン語)。当事者の方たちはディネと自分たちを呼んでいます。
ナバホの方たちはアメリカ先住民族の中でも比較的人数が多いのでアメリカで、あるいは日本で、出会うこともあるかも。そんな時は「ディネの方ですね」と声掛けして頂くとよいかと。

そのナバホ・ディネの方たちが実は日本と悲しい縁があることも知って下さい。コードトーカーのことです。
第二次世界大戦の最中、太平洋を主戦場とした日米戦争の中で、両軍は暗号の解読合戦を行いました。その時、日本の軍事情報はほぼ筒抜け状態でした。これに対して米軍はナバホの言葉を暗号としたのです。
ナバホの人々も自分たちの土地を守らんと対日戦に参加しましたが、米軍はナバホ以外のアメリカ人にもこの言語を理解することが難しいことに着目し、あらゆる軍事命令をナバホの人にやりとりさせ、それを英訳して伝達したのでした。

この作戦に従事した人々をコードトーカーと言います。「暗号を話す人」というほどの意味です。コードトーカーはアメリカ政府によって賞賛され、ナバホネーションにいまも銅像が立っています。
しかしこの作戦に加わったナバホの長老は、太平洋諸島で日本兵と至近距離で向かい合ったとき、「後ろにいる白人たちよりも敵である日本人のほうが自分たちと外見が似ており、親近感を覚え動揺した」と語ったそうです。
この情報はエリコ・ロウ著『太ったインディアンの警告』NHK生活人新書に載っているそうです。僕はこの書をまだ読んでなくて発注中なのですが・・・。ともあれなんとも悲しくなる情報です。


ウインドロックのナバホ議事堂の前に立つコードトーカーの像 2019年7月15日 守田撮影


世界のヒバクシャとともに歩もう

そのナバホネーションに2019年に玉山ともよさんに導かれて訪れたのでしたが、その時、玉山さんを実の娘のように遇して下さっている女性と話をしました。
それで僕が「僕は被爆二世です」と語ったら、僕の手を両手で包み込み、目にいっぱい涙を浮かべて「アイムソーリー、ベリーソーリー」と言ってくれました。僕は「でもあなたたちの方がファーストヒバクシャですから」と語りながら、泣きそうになりました。
実はトリニティサイトを訪れた時も同じような経験をしました。ビジルに先立ってアラモゴードの町で行われた犠牲者の方たちの40人ほどの集会で、みなさんがそれぞれに次々と家族の被害を語りました。

「先日、兄ががんで他界しました」とか「私の娘は若くしてがんになりました」など。それで僕の順番の時、「僕は京都の被爆二世三世の会のメンバーです。ここにいるとみなさんが家族のように感じます」と語ったら割れんばかりの拍手に包まれました。
その後の発言が劇的に変わったのです。みなさん、相変わらず「私の家族はほとんど死に絶えました」とか言うのですが、そのあとに「だけど守田さん。ごめんなさい」との一言がつく。どの方もそうなのです。「だけど守田さん。ごめんなさい」・・・・。
それで分かりました。アメリカの核の犠牲者は、最も酷い犠牲を受けたのが広島・長崎の被爆者だと思って下さっているのです。そしてアメリカ人として責任を感じて下さっているのです。この時も泣きそうになりました。

僕は本当に「ああ、この人たちと共に生きるのだ。世界のヒバクシャと共に歩むのだと」と思いました。そしてそれから6年。僕は京都「被爆二世・三世の会」の仲間たちとともに、被爆二世の健康実態の報告書をまとめ、英語版も作りました。
今回、それを再度、アメリカに渡航している玉山ともよさんに託して現地のみなさんに渡して頂きます。ほんの少しかもだけれど確実に一歩前に進めたと思っています。世界のヒバクシャと被害実態とその治癒の展望をシェアしていくのです。
7月16日はそんな思いも込めて街頭に立ちます。みなさん。核なき未来は世界の人々の連帯と団結でこそたぐり寄せられます。だから世界のヒバクシャとともに歩みたい。あなたもこの輪に加わって下さい。


アラモゴードでのダウンウィンダーズ=被災者・家族の集会より みなさんが口々に「守田さん、ごめんなさい」と 2019年7月20日? 守田撮影

#7月16日 #人類初の核実験 #トリニティ核実験 #ニューメキシコ州 #アラモゴード #ウラン精錬所鉱滓ダム決壊 #ナバホネーション #チャーチロック #ナバホディネ #コードトーカー

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明日に向けて(2518)7月16日は人類初の核実験がアメリカ・ニューメキシコ州で行われた日、京都の街頭で訴えます!

2025年07月11日 23時30分00秒 | 明日に向けて(2401~2600)

守田です(20250711 23:30)

もうすぐ被爆80年の夏、広島、長崎の日を迎えます。多くの方が広島、長崎でいろいろな企画に取り組まれると思います。
僕も京都「被爆二世・三世の会」の仲間たちと6日、9日キャンドルビジルを行いますが、その前に7月16日に大事な日を迎えることを知って下さい。この日は二つの核の大事件があった日なのです。今回はこのうち1945年のことについて述べます。


1945年、人類初の核実験が行われ初めての核爆弾によるヒバクシャが生まれた

1945年のこの日、アメリカのニューメキシコ州アラゴモード周辺のトリニティサイトで人類初の核実験が行われました。
使われたのはプルトニウムで作られた原爆で、長崎での大量虐殺に使われたものと同じタイプです。長崎原爆のためのテストでした。その様子は映画『オッペンハイマー』などでも描かれました。

実験は極秘裏に行われたため、周辺住民はおろかアメリカの大半の人々も何も知りませんでした。このため核爆発が生み出した膨大な放射能を避けることができず、たくさんの人々が被曝しました。
人類初のヒバクシャ、核爆発の犠牲者はアメリカで生まれたのです。膨大な数のアメリカ人、ないしアメリカにいた人々が被曝させられたのです。広島、長崎、私たち被爆二世の親たちが初めてではなかったのです。

その点で日本は「唯一の被爆国」ではけしてないし「唯一の戦争被爆国」でもない。戦争の中で、アメリカ軍はまずアメリカ人を大量被曝させました。その実験の上に立って長崎での大虐殺を行ったのです。
本年の7月16日水曜日の午後6時から7時半まで、僕は京都「被爆二世・三世の会」の仲間たちと、三条河原町の街頭でこのことを訴える行動に立ちます。近くの方、ご参加下さい。遠くの方、Facebookでlive配信するのでご覧下さい。

https://fb.me/e/3kVzdi3YL

この日に配るチラシも公開します。日本語版と英語版を作りました。
https://toshikyoto.com/press/9478.html
https://toshikyoto.com/press/9486.html

放射能は米本土全体に飛び散っていた!

トリニティサイトでの核実験で生み出された放射能はどのように飛散したのか。地元のニューメキシコ州の方たちは早くから実験場の風下でたくさんの被害が出ていることを訴えてきました。
しかし当時の気象データが不十分だったため、長らく詳細は不明のままでした。ところが2023年に欧州連合(EU)のコペルニクス気候変動サービスが、1940年以降の大気条件についての膨大な観測記録を再解析したデータを発表したことから、解析が可能になりました。

それで米プリンストン大などの研究チームが爆発から10日間の放射性物質の推定蓄積量をシミュレーションしたところ、アラスカ州とハワイ州を除く米本土全体が被曝し、プルトニウムがカナダのトロント郊外のクロフォード湖にまで到達していたことが判明。
被害がこれまでの予想を、はるかに超えていたことが明らかになりました。核実験の放射能はそれほどにアメリカ本土を汚染していたのです。アメリカ人の大半が被曝被害を受けていたのです。


このことは直ちに次の問いを引き起こします。それでは長崎原爆はどうだったのか、広島原爆はどうだったのかという問いです。とくにトリニティの核実験で使われた原爆は長崎のものと同じタイプで爆発力もほぼ同じでしたから、相当広範囲に放射能が飛んだはずです。
アメリカ本土を覆ってしまったこと、日本の上空に偏西風が吹いていることを考えれば、日本列島も軽く飲み込まれていたのではないでしょうか。あらためて「許せない!」という思いが沸いてきます。

これについて報じている毎日新聞の記事とプリンストン大学SGSのサイトをご紹介しておきます。後者は英文ですが翻訳ツールなどで簡単に日本語にできます。

1945年、世界初の核実験 「死の灰」降下、46州に カナダ・メキシコにも 米大学解析
https://mainichi.jp/articles/20230731/ddm/001/030/128000c

SGSは1945年7月のトリニティ実験から始まる米国の核兵器実験からの放射性降下物をマッピングします
https://sgs.princeton.edu/news-announcements/news-2023-07-21


現地での追悼行動と連帯して

ニューメキシコ州の現場に話を戻しましょう。この地では長らく、核実験で被害を受け、家族をがんなどで失った方たちが、7月16日に追悼のビジルを行ってきました。僕も2019年に初めてこの地を訪れた時に参加してきました。
その時にアメリカのシアトルから発信した記事と、現場で撮影したビジル動画をご紹介します。2分です。まずは日本の鐘がゴーンと鳴らされ、犠牲者の名前が読み上げられ、インディアンドラムがドンドンと鳴らされます。
なおご自分の亡くなられた親族の写真を貼りだしている女性がいたので、それも撮影させて頂きました。ぜひご覧ください。




明日に向けて(1721)トリニティサイトの周りの被爆者と交流して (ニューメキシコの旅9)
https://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/176b131d199559b77feef5153cbb4775

今年も現地で追悼行動が行われますが、2019年に僕をニューメキシコに連れて行って下さった玉山ともよさん(丹波篠山市原子力災害対策検討委員)が、今回、参加するためにすでにアメリカに渡っています。
彼女から幾つかの現地行動の案内を頂いたので、貼り付けておきます。(英文です。訳をつけられずにごめんなさい) 
僕はこのうちニューメキシコ州アルバカーキで現地時間13日午後2時半から行われる企画をwebで拝聴します。




玉山さんには私たちの716チラシの英語版と、「被爆二世三世健康調査アンケート報告書」英語版を託させて頂きました。ニューメキシコのヒバクシャ、ゆかりのある方に渡して頂きます。
この点も含めて、今回はできるだけ現地サイドと連絡をとりながら行動するつもりです。
7月16日、三条河原町で、あるいはwebからの視聴で、ご参加下さい!

なお次回はもう一つの716、1979年のナバホネーションにおけるウラン精錬所鉱滓ダム決壊事故について書きます。

#7月16日 #人類初の核実験 #トリニティ核実験 #ニューメキシコ州 #アラモゴード #ウラン精錬所鉱滓ダム決壊 #ナバホネーション #チャーチロック #ビジル #核なき未来へ

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明日に向けて(2517)被爆者、原発被曝労働者、在韓被爆者、被爆二世、水俣病患者、福島原発事故避難者と向かい合い、診察も行ってきた村田三郎医師講演の読み解き行います(7月7日月曜日より)

2025年07月02日 23時00分00秒 | 明日に向けて(2401~2600)

守田です(20250702 23:00)

7月7日(月)から全3回で読み解きを行います

阪南中央病院村田三郎医師が5月に行った講演動画を読み解く会を行います!対象とするのは以下の講演です。

5月の京都「被爆二世・三世の会」年次総会記念講演として話して頂いたもの。
これを3回に分けて丁寧に読み解きます。村田医師もご参加して下さいます!

日時:7月7日(月)午後6時半から8時半
場所:京都市西院のラボール京都とZoomのハイブリッド

以下からお申し込みを
https://forms.gle/YoivGMcQ3VbsU8GT9

なお第2回は9月8日(月)午後6時半から
第3回は10月6日(月)午後6時半からです

アーカイブ視聴も可能です。
参加費無料ですが可能な方はカンパでお支えを!

Facebookイベントページもあります
https://fb.me/e/53pAjCiac


被曝医療の可能性を広げるために―三田医師と歩んできた日々

この企画を行う目的は、被曝医療を広げ、多くのヒバクシャ(すべての核被害者)を苦しみから救い出していくことです。

これまで僕はそのために京都「被爆二世・三世の会」の仲間と共に、岡山在住の三田茂医師と連携してきました。
三田医師は、福島原発事故で被曝した『新ヒバクシャ』が、間脳の視床下部から分泌されるホルモンの出方が悪くなっていることをつかまれ、『能力減退症』と名付けてホルモン補充療法に乗り出し顕著な効果を上げてこられました。

そのお話を耳にしつつ、私たちは一方で自ら被爆二世・三世の身に起こっていることをつかみとろうと健康調査アンケートを行い、被爆二世100人以上の回答を得て『被爆二世健康調査アンケート結果報告書』を出版しました。これです。
『被爆二世・三世健康調査アンケート結果報告書』
http://aogiri2-3.jp/chousa/20240430.pdf

これを三田さんにお渡ししたら大変驚かれてこう言われた。「新ヒバクシャとの類似性、共通性に驚いた」「かなりの高率で治療できる、症状を軽くできるという確信を得た・・」
それで昨年の年次総会にお呼びし、講演して頂いたのです。それがこの動画です。

私たち被爆二世が被ってきたさまざまな症状が、福島原発事故で被災した「新ヒバクシャ」の身におきていることと大きく重なっているのです。私たちの報告書は、福島原発事故での被曝によって起きたことを点検する手引きにもなっている。
三田さんはこの点をおさえて、具体的な症状の一つ一つについて解説して下さいました。まるでみんなで三田さんの診察室に入り、丁寧にキュアして頂いているような時間でした。


被爆80年、村田医師の経験に学んで、被曝医療の可能性をさらに大きく広げよう

この三田医師と私たちの企画を熱い目でご覧に下さっていた方がおられました。阪南中央病院の村田三郎医師です。
村田さんは同病院スタッフとともに、1200人の被爆者の対面調査を行い、100人の福島原発の被曝労働者の聞き取り、20人の治療に加わり、さらに在韓被爆者50人、被爆二世50人、水俣病患者、福島原発事故被災者の診察も行われてきました。

その村田さんが、長年の経験から、三田さんの治療を全面的に支持して下さったのです!それでお話をうかがいにいったところ、なんと被曝で中枢神経系の問題、ホルモンの異常の可能性があることまでつかまれていました。
しかし当時、ホルモン検査だけでも高額で市中病院では手が出なかった!それで実際に検査、治療に三田さんが進まれたことをみて、「自分の考えが正しかったことが立証された」と思われたのだそうです。

そんなお話を聞いて、村田さんの長い経験をじっくり語って頂いたのが5月講演でした。それは三田医師が行っておられることの大きなデータ的裏付けであるとも言えました。たくさんの被爆者、被曝労働者、被爆二世を診られた経験によってです。
だからこそ、いま村田さんが講演で話された内容を、じっくりと深めたいと思い、連続三回の学習会をセットしました。

おりしも今年は被爆80年。たくさんの方が被爆者を助けようと活動を積み上げてきました。しかしなかなかこじあけることのできなかったのが「原爆ぶらぶら病」の苦しみでした。その手当ての道が大きく開けつつあります。
これにもっと、たくさんの医師たちに参画して頂きたいですが、そのためにも私たち自身が学びを深めねば。それがきっといまも苦しみの中にいる世界のヒバクシャを救う道へと太くつながると確信しています。ぜひご参加下さい!


村田三郎医師と 阪南中央病院にて 柳田かや乃撮影

#京都被爆二世三世の会 #村田三郎 #阪南中央病院 #三田茂 #被爆者 #被爆二世 #新ヒバクシャ #能力減退症 #原爆ぶらぶら病 #被曝労働者

*****

連載2500回越えと夏季一時金の時期に際して活動カンパを訴えます!
この夏、被爆80年を迎える中、ますます反核・反被爆(被曝)・反原発の運動を力強く推し進めます。ぜひ応援して下さい。

振込先 ゆうちょ銀行 なまえ モリタトシヤ 記号14490 番号22666151
他の金融機関からのお振り込みの場合は 
モリタトシヤ 店名 四四八(ヨンヨンハチ)店番 448 預金種目 普通預金 口座番号 2266615
Paypalからもカンパができます。自由に金額設定できます。
https://www.paypal.me/toshikyoto/1000

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明日に向けて(2516)連載2500回越えに際し、核と戦争のない未来に向けた活動支援=夏の一時金カンパを訴えます! 

2025年06月27日 23時30分00秒 | 明日に向けて(2401~2600)

守田です(20250627 23:30)

核なき未来に向けてカンパをお願いします!

ブログ「明日に向けて」は2月22日に2501回目を迎えました。2500回越えに際し活動支援のカンパを訴え、幾人かの方から嬉しいご協力を仰ぐことができました。
核なき未来に向けた活動ですが、まず訴えたのは、2015年に上梓した『原発からの命の守り方』の続編を書くこと。いま精力的に作業を進めています。

このときブログで「この他にもまだまだ計画があります。続きは次号に書きます」と予告しつつ、参加すべき企画の告知を続けることなどを優先して、なかなかできませんでした。
そこでさらなる計画についてここで明らかにしたいと思います。夏の一時金の時期であることも踏まえて、心よりカンパを訴えます。
核なき未来を引き寄せるための活動に、ぜひお力添え下さい。以下にお願いします。

振込先 ゆうちょ銀行 なまえ モリタトシヤ 記号14490 番号22666151
他の金融機関からのお振り込みの場合は 
モリタトシヤ 店名 四四八(ヨンヨンハチ)店番 448 預金種目 普通預金 口座番号 2266615
Paypalからもカンパができます。自由に金額設定できます。
https://www.paypal.me/toshikyoto/1000


放射線被曝被害隠しとの対決こそが核なき未来への道を開く

この間、放射線防護活動を様々に担ってきましたが、この中で強く実感してきたのは、被曝被害を正確につかみとることの重要性です。
なぜか。広島と長崎での大量虐殺の後、アメリカや核推進勢力が、最も力を注いできたのが被曝被害の隠蔽だったからです。
それは相次ぐ核実験、核兵器製造工場や原発の事故での被害隠しにもつながってきました。

とくに力が注がれてきたのが、被曝の遺伝的影響の否定でした。原爆の犯罪性を最も鋭く批判したのが遺伝学者たちであったからです。
そのため様々なからくりのもと、被爆被害、遺伝的影響が否定され、被爆者にも大変な圧力がかけられてきました。
被害を訴えても誰も助けてくれず、バッシングや差別すら行われる中で、往々にして被害者自身による被害隠しも行われてきました。

それが今も続いています。典型例は福島原発事故で膨大な放射能が飛び出したのに、健康被害が一件も報告されていないこと。また主要な政党やメディアのどこもが、ここに切り込もうとしていないことです。
「核なき未来」を手繰り寄せるためにキモになるのはここです。放射線被曝が、人間の命に、心身に極めて危険であることを実情に即して明らかにする必要がある。まるまる隠されている実態を明らかにするのです。
僕が今後も最も精力的に進めたいのはこの領域です。


これまでの活動で被曝被害の実相をつかみ治療の可能性にも辿り着いた

それで被曝被害の実相をいかにつかみとって行くのか。それを僕は二つの系で進めてきました。
一つは東日本を中心に、講演で訪れた各地で聞き取りを行うこと。それをその後の講演に反映させ、さらなる反応を聞き取ることです。
この行為の中で、被曝被害と格闘し、治療の可能性を切り開いてきた三田茂医師と合流しました。それで三田医師に学んだ知見も講演に反映させ、さらに様々に反応を集めてきました。

もう一つは被爆二世・三世健康調査アンケートを通じてでした。京都「被爆二世・三世の会」の仲間との共同作業で、被爆当事者による被害実態の炙り出しです。この報告書が昨年1月にできました。
これです→http://aogiri2-3.jp/chousa/20240430.pdf

ところがこの報告書を読んだ三田茂医師から驚くべきことが語られました。福島原発事故の被災者、三田医師が『新ヒバクシャ』と定義している人々に起きている症状と、極めて似通っているというのです。
すでに三田医師は、新ヒバクシャの症状、広島・長崎で「原爆ぶらぶら病」と言われた症状を『能力減退症』と規定し、その原因が大脳視床下部からのホルモン分泌異常にあることをつかみ、その補充療法を確立させてきました。

このことを京都で講演して頂いたところ、阪南中央病院の村田三郎医師が現れ、強く支持して下さった。村田さんは1200人の被爆者の面談調査、100人の原発労働者の聞き取り調査のもとでの20人の診察。50人の在韓被爆者と被爆二世の診察もしてこられた。
その村田さんが「自分も中枢神経系の問題とまで追及したが、ホルモン検査は高値で市中病院からは手が出なかった。三田さんの実践で、自分の推論が正しかったことが証明されたという思いがある」ともおっしゃって下さっています。
この村田さんの長きにわたるヒバクシャの治療とサポートは、三田さんの実践の正しさをかなりの厚みをもって裏付けるものでもあります。今後、ぜひこれらを広げていきたいです。(お二人の講演動画を貼り付けておきます)


今後、行っていくべきこと

それでは今後、とんなことを進めようとしているのか。一つには三田さんや村田さんの見解を広げていくことです。医師を中心にさまざまな人と意見交換して深めていきたい。
そのために今後もさまざまに学習会なども行います。呼びかけますのでご参加下さい。

さらに被爆二世・三世アンケートをリニューアルして進めます!現在二世100名ちょっと。三世10名ちょっとですが、もっと大きく広めたい。
また調査を進める中で、いまのアンケートでは問うことができてないものが、たくさんあることが見えてきました。それらを取り込んでより進化したアンケートを進めます。

同時にここで扱っている項目が、新ヒバクシャ=福島原発事故による被曝被害をも浮き彫りにできていることを踏まえ、ぜひ新たに新ヒバクシャアンケートにも踏み込みたいと思っています。
これをぜひ避難者のみなさんとの協力のもとに進めたいです。

僕はこれらの調査を、私たちの世代から未来世代への贈り物としても行いたいと思っています。残念ながら世界にはすでに膨大な量の放射性物質が生まれていて、確実に未来世代に送られてしまいます。ならば少しでもこれに対抗する何かを送りたい。
それには被曝の実相をつかみ、明らかにし、そのメカニズムと対処法を送ることだと思います。ぜひみなさんにも共に担って頂きたいです。

以上のことを、核なき未来をたぐりよせるために進めます。そのためにはとにかく資金がいります。ぜひカンパをお願いします。カンパを通じてみなさんもこの活動を共にされることを呼びかけたいです。どうかよろしくお願いします!

#カンパ要請 #明日に向けて2500回越え #原発からの命の守り方 #被曝の実相をつかむ #被爆二世三世健康調査アンケート #三田茂 #村田三郎 #原爆ぶらぶら病 #能力減退症 #新ヒバクシャ

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明日に向けて(2515)「原発からの命の守り方」について茨城県つくば市でお話しします(6月28日土曜日)

2025年06月17日 23時30分00秒 | 明日に向けて(2401~2600)

守田です(20250617 23:30)

コリドイオつくば市民センター3Fにて 14:00からです!

表題のように「原発からの命の守り方」についてお話ししますが、これに向けたチラシが素晴らしい。
まるでパンフレットのようなチラシです!まずはご覧下さい。



チラシは以下から入手できます
https://toshikyoto.com/press/9454.html

主催の「軍拡NO!女たちの会茨城」のHPでも詳しく案内されています。
https://atcube8.main.jp/13/


企画の詳細です。
2025年6月28日(土)14時~17時
コリドイオつくば市民センター3F大会議室
参加費 一般1000円 学生500円
高校生以下、障害者無料

主催:軍拡NO!女たちの会茨城
https://atcube8.main.jp/13/

問合せ申込み
長田満江 090-7845-6599 osada3220@nifty.com
小張佐恵子 090-9108-0464 saekoobari@gmail.com
小林納美子 090-1258-9868 12namiko17@gmail.com


一番のポイントは放射線被曝の危険性

今回、あらためて福島原発事故とは何だったのかからお話ししますが、一番のポイントは放射線被曝の危険性についてです。
この点について、チラシで冒頭にこう書いて下さっています。

「知らされなかった「危険」—福島原発事故から学ぶ
2011年の福島原発事故では、放射性物質の危険性が十分に知らされていなかったため、多くの人が避難の判断を誤り、汚染地にとどまることを余儀なくされました。
日本で原発を止めることができない背景には、放射線被曝に関する正しい知識が社会に広まっていないからかもしれません。」

そうなのです!ここがキモ。原発事故はなぜ怖いのか。放射能がたくさん飛び出してきて、被曝が起きるからです。心身が危機に晒されるからです。
そうであるがゆえに、原子力を推進してきた人々は、あの手、この手で、「被曝の危険など大したことない」というキャンペーンを繰り返してきました。
それは広島・長崎で原爆による大量虐殺が行われた時から続けられてきたことです。だから「原発からの命の守り方」にとって一番のポイントは、被曝の危険性、何が起きるのか、きちんと知ることです。


● 被爆(被曝)と向き合う上で大事なこと

ここまでは誰もが納得して下さると思いますが、しかし「被曝で何が起きるかきちんと知ること」には大きな壁があります。
被爆(被曝)によって生じるのは様々な傷害と障害、遺伝的影響もあります。
そうするとそれをきちんと知ると、しばしば自分が抱えている深刻な何かを知ることにもなる。それは当然にも怖く、しんどいです。

しかもそれは、大量被曝でなければ「必ずこうなる」と言えるものでもない。影響は深刻かもしれないけれど、さして出ないかも知れない。
それなら知らないで過ごして、結局、被害が出ない結果に辿り着くことを望みたい。誰しもがそう思って当然だと思います。
地域の汚染を知って「避難しなければならないのか」と思い、悩みたくもない。「避難せよ」と言われて言葉を交わすのもしんどい。そう思うのもよく分かります。

実は「放射能安全キャンペーン」は、ここに乗っかってきます。「そんなことない。大して危なくなんかない。大丈夫だ」・・・誰もがそう思いたいので幾重にも畳みかけてくる。
それって典型的な詐欺です。人のどこかにある「騙されたとしても安心したい」「自分に都合の良いように思いたい」というツボに付け込んでくる。原子力マフィアが重ねてきたのはまさにそれです。
これを超えないと騙されてどんどん命を削るだけ。ではそうならないためにどうしたらいいのか。ポイントは不安は漠然としているほど大きくなることです。正体があいまいなものほど怖い。だから具体化すると良いのです。それで向き合えるようになる。
それで僕は被爆(被曝)の実相を一緒に具体的につかむことを呼びかけ続けています。


被爆(被曝)しても終わりじゃない!治療し克服する道が切り開かれている!

僕がこの間、最も力を割いてきたのはこの具体化の領域。そのために各地で講演しながら聞き取りを行い、被爆で何が起きているのか、鮮明化してきました。
同時にこの「怖さ」を内側から越えようと、京都「被爆二世・三世の会」の仲間たちと、被爆二世に生じている遺伝的影響をつかみ取る調査を行ってきました。漠然とした不安を具体化し、見える化してきたのです。
そうしたらなんと、被爆二世に起きてきたことが、福島原発事故の被災者=「新ヒバクシャ」に起きている症状とかなり似通っていることが見えてきた。驚きの発見です。

さらに対処の可能性も大きく開けてきています。岡山市在住の三田茂医師が、被曝で大脳の間脳の視床下部が影響され、そこから出るべきホルモンが出なくなっていること、だからホルモンを補充すれば症状を軽減できることをつかんで実績を上げてます。
そしてここを掘り下げたら、実は戦後直後に広島・長崎に入り、被爆者を診ていた日本の医師たちが気づいていたことが見えてきた。重大な事実です。80年近く前に、すでにこの道は切り開かれつつあったのです。
悔しくてならないことに、その道はなんと大量虐殺の下手人、アメリカ軍によって潰されたのでした。悲しい!でもそれならもう一度、ここを掘り起こせばいい。


三田茂医師と。岡山市でのライブハウスでの講演で 2024年11月

この点に気付いて、実際に道を切り開いてきたのは三田茂さんですが、最近、同じ方向性で被爆(被曝)と立ち向かわれてきた方と新たに出会いました。阪南中央病院の村田三郎医師です。
村田さんは同病院で行った1200人の被爆者との面談調査、100人の福島原発被曝労働者からの聞き取り、50人の在韓被爆者への関わり、さらに50人以上の被爆二世の健康診断など、被爆医療を様々に積み上げて来ています。
その村田さんが「自分が行ってきた経験から三田さんの治療の方向性は正しいと確信している」と述べ、それを裏付けるたくさんのデータも示し、私たちの確信をさらに強固なものにして下さいました。


村田三郎医師と 2025年3月11日 阪南中央病院にて


正常性バイアスを克服し、あらゆる災害に対応できるたくましさを身に着けよう

これらの点も含めて、チラシでも紹介して下さっている「正常性バイアス」の克服についてお話しします。
原発事故に際して働く「正常性バイアス」は、「事故は拡大などしない」「収束していく」というものと、「放射能は思ったほど危なくない」「多少被曝したって大丈夫」というもの。
福島原発事故の時も、枝野官房長官(当時)に「にわかに健康に被害はない」と言われ、たくさんの方が逃げ遅れてしまいました。「健康に被害はない」とは言ってなかったのに。

こういう言葉にもう騙されないために知恵を身につけましょう。
その知恵はあらゆる災害にも適用できるもの。だからあなたとあなたの愛しい人を守るために、この知恵を一緒に身に着けて下さい。
6月28日、お待ちしています!


コリドイオの地図 つくば駅そば

#原発からの命の守り方 #コリドイオ #つくば #福島原発事故 #軍拡NO!女たちの会茨城 #放射線被曝 #原発避難 #とっとと逃げる #正常性バイアス #原子力災害対策

*****

連載2500回越えと夏季一時金の時期に際して活動カンパを訴えます!
この夏、被爆80年を迎える中、ますます反核・反被爆(被曝)・反原発の運動を力強く推し進めます。ぜひ応援して下さい。

振込先 ゆうちょ銀行 なまえ モリタトシヤ 記号14490 番号22666151
他の金融機関からのお振り込みの場合は 
モリタトシヤ 店名 四四八(ヨンヨンハチ)店番 448 預金種目 普通預金 口座番号 2266615
Paypalからもカンパができます。自由に金額設定できます。
https://www.paypal.me/toshikyoto/1000

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明日に向けて(2514)被爆者はひとたび米軍の核兵器大量使用を食い止めた!「二度と被爆者を作るな」という声こそ受け継がねば(長岡京市講演をご覧下さい)

2025年06月13日 23時00分00秒 | 明日に向けて(2401~2600)

守田です(20250613 23:00)

● ノーベル平和賞と核兵器禁止条約と憲法9条は深くつながっている!

昨年の日本被団協のノーベル平和賞受賞以来、これをどう受け止めると良いのか、繰り返し講演してきました。
そのような中で、「ノーベル平和賞と核兵器禁止条約の関連を語って欲しい」「憲法9条との関連にも触れて欲しい」というご依頼を頂きました。
主催の「「憲法9条の会」長岡京校区連絡会」の方たちからです。「さよなら原発長岡京市民の会」も協賛して下さいました。

それで行った講演のアーカイブをご紹介します。ぜひご覧下さい。

僕なりにこの3つの深いつながりをきちんとお話しできたと思っています。


● 広島の被爆者の声ー峠三吉さんの『原爆詩集』を紹介

これまで僕はノーベル平和賞が被爆者のどんな声に対して授与されたのかを説くため、2022年の長崎平和式典の田上市長(当時)のスピーチをお借りしてきました。
田上さんこの時、被爆者の渡辺千恵子さんのことを紹介されました。学徒動員中に被爆し、落ちてきた梁で腰をやられて、終生、歩くことができない状態ながら、1956年の長崎大会に出席し「二度と私のような被爆者を作らないで」と訴えられた方です。

今回はこれに加えて広島の声を紹介しました。取り上げたのは峠三吉さん。
峠さんのあまりに有名な『原爆詩集』の序を読み上げさせて頂きました。

ちちをかえせ
ははをかえせ
としよりをかえせ
こどもをかえせ

わたしをかえせ わたしにつながる
にんげんをかえせ

にんげんの にんげんのよのあるかぎり
くずれぬへいわを
へいわをかえせ

何度読んでも、心がかきむしられるような詩です。「かえせ、かえせ、かえせ」という悲痛な叫びを通して、へいわを訴える思いが胸にストレートに迫ってきます。ぜひみんなで受け継いでいきたいです。
なお講演ではこれに続いて渡辺千恵子さんの言葉も読み上げさせて頂いています。


守田講演スライドより


● 峠三吉はあの詩を通じアメリカの原爆使用を食い止めようとした

僕がこの詩の紹介に続いて述べたのは、峠三吉さんがこの詩によって、朝鮮戦争による米軍のよる原爆使用を食い止めようとしたことです。

朝鮮戦争は1950年6月に始まり、当初、朝鮮民主主義人民共和国軍は韓国軍を圧倒。一時は釜山一帯にまで追い詰めました。
これに対し一旦は朝鮮半島から撤退していた米軍が地上軍派遣を決定、マッカーサーの指揮のもと、9月に仁川(インチョン)に電撃的に上陸して反攻を開始。
韓国軍とともに国連軍を名乗って北へ進撃し、朝鮮と中国国境の鴨緑江まで北側を追い詰めました。
これに対して中国が人民義勇軍を派遣。10月に川を渡って反撃に打って出ました。国連軍は南部に後退。やがて北緯38度線を流れるイムジン川付近で戦線が膠着し、休戦協定が結ばれました。

この過程でアメリカは何度も原爆攻撃をほのめかしました。とくにマッカーサーは執拗に原爆攻撃を主張した。なんと彼は原発30~50発を朝鮮半島の付け根部分に「落とす」ことを考えていました。
後年、ニューヨークタイムズのインタビューに答えてこう語っています。(1954年1月に行われ死後に公開)

「まず(北に進出している)海兵隊を南に移動させ、その後ろに、満州の付け根の部分に沿ってコバルト60を使った原爆を30発から50発落とす。
その目的は、半島を日本海から黄海まで横切る、放射能に汚染された広い帯状の地帯を作ることだ。(もしくは)車やトラックや飛行機を使って放射性物質をばらまいてもよい。
コバルト60の放射能は60年から120年は消えないから、そうなれば少なくとも60年は北(中国やソ連)から朝鮮への侵入はない。これこそ切り札だっただろう」

これに対して峠三吉さんは仲間とともに、原爆使用を食い止めるために詩を書き続けました。「ちちをかえせ ははをかえせ としよりをかえせ こどもをかえせ」と突きつけることで、原爆を使わせまいとしたのです。


守田講演スライドより


● 原爆使用反対の声が世界に広がる中、アメリカは使用を断念

峠三吉さんはまた吉川清さんら30人の被爆者とともに「原爆障害者更生会」を1951年9月に結成、これが初の被爆者団体でした。
彼はまた「われらの詩の会」も結成。冊子『われたの詩』を発刊して原爆と朝鮮戦争に反対し続け、それらの詩を世界に向けても発信しました。

これが世界中に伝播するとともに、イギリス・フランス政府からも、米軍の使用に対する報復でヨーロッパが核戦争に巻き込まれるとの懸念から、米軍に原爆使用中止を要望。
けっきょくアメリカは、原爆を使えば世界中から孤立すると悟り、原爆使用を断念。最後まで使用をあきらめないマッカーサーを司令官の地位から解任しました。

広島、長崎に次ぐ原爆での大量虐殺、しかも30発から50発の使用というとんでもない事態は、こうしてあやういところで食い止められたのです。
核兵器の使用を実際に食い止めたこの歴史を私たちはしっかり受け継ぐ必要があります。


守田講演スライドより

続く

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