守田です(20200330 23:00)
● 専門家会議は緊急事態宣言などには否定的
にもかかわらず安倍首相を批判する人々が、専門家会議や医療界をも串刺しに批判し、「PCR検査を意図的に増やさず、感染拡大の事実を隠している」「新型コロナの死者数もごまかしているのでは」などと疑う人々がとても多い。
けしてそんなことはないことを、後に稿を改めて立証したいと思いますが、その前に専門家会議に集う方たちの語っていることに注目していただきたい。
例えば朝日新聞に3月18日に掲載されたインタビュー記事の中で、メンバ―の川崎市健康安全研究所所長、岡部信彦さんは特措法の下での「緊急事態宣言」の発動に反対し、理由を以下のように述べています。
「(緊急事態宣言の発動に反対なのは)新型コロナはそこまでのものではないと考えているからです。新型インフル等特措法に『等(とう)』を入れることには私も強く賛成しました。
新型インフルだけでなく、新しくて重症で広がりやすい病気の場合にも、応用として使えるようにしておいた方がいいと考えたからです。しかし、そこで想定した新感染症は、感染症法での1類感染症(エボラ出血熱など)並みの極めて危険なものです」
「緊急事態宣言を出せば、私権制限などで対策の幅が広がる半面、社会の日常的な活動を止めてしまうと副作用も大きくなります。致死率が5%、10%を超える1類感染症並みであればやむを得ませんが、新型コロナは指定感染症で2類相当とされました」
「コロナ、そこまでのものか」専門家会議メンバーの真意
https://digital.asahi.com/articles/ASN3L3D4DN3GUPQJ001.html?ref=opinion_mail
タイトルの「コロナ、そこまでのものか」には、少なくともこの病に対しては、強権を発動して、社会活動を封じ込めることは妥当ではないという思いが表現されています。
この専門家会議の方向性をぜひ支持し、後押ししたいです。
川崎市健康安全研究所所長、岡部信彦さん 朝日新聞より
● 社会経済機能をなんとか維持する「日本モデル」が目指されている
さらに3月19日の専門家会議の記者会見で、北海道大学の西浦博教授が、「アメリカのようにバーの閉鎖などはしないのか、必要ないのか」という海外の記者からの質問に対して、およそこのように返答しました。
「アメリカではバーが閉鎖されています。研究者でも研究室や大学に行っているのは韓国と日本ぐらいです。それほど通常営業が止まっています。
それぐらい社会的規制を強く打つべきなのかどうか、私たちはそう考えていません。確かに接触をなくすことで二次感染が減ります。すでに一定の協力をしていただきましたが、みなさんとさらに話し合いたいと思っているのです。
アメリカのような状況が、長期間、持続可能かどうかということです。おそらくそうじゃないと思います。経済的インパクトがあまりにも大きすぎて、長く続けることができません。
ただ一定の期間、長く行動が変わらないと流行が拡大してしまいます。
今、私たちが何とかして日本モデルで活路を見いだそうと思っているのは、社会経済機能をなんとか維持し、無駄を省き、そのしわ寄せを受ける社会的弱者を助ける持続可能な道です。
長期間、持続可能なオプションをいま必死に考えていますが、国民のみなさんが簡単に譲歩できるものではないかもしれないので、皆さんで合意をするプロセスを専門家としても作っていかないといけないと考えています」
全国イベント自粛解除「慎重に」 爆発的な感染拡大を警戒
専門家会議が見解(2020年3月19日)
https://www.youtube.com/watch?v=t-LdtN5GrWM
1時間40分ぐらいから43分ぐらい
北海道大学西浦博教授 会見を報じたYoutubeより
みなさん。どう思われますか? 僕はとても感動しました!
専門家会議は、「社会経済機能をなんとか維持する日本モデル」で活路を見いだそうとしています。それはまた可能な限り自由を尊重することです。
「ぜひそのことをみなさんと話し合いたい」との呼びかけも素晴らしい。民主主義的な合意形成をとても大事にしている。
こうした専門家会議の努力にも関わらず、あるいは明日にも都市封鎖や緊急事態宣言がなされるかもしれませんが、そうであっても私たちはこうした民主主義的な志向性を強く示してくれている方たちと共に歩んでいきたい。
そのためにも、安倍政権と医療界をはっきりと分けて、前者への鋭い批判を続けながら、後者をみんなで支えていきましょう。
続く
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なお「守田敏也」の名が「森田俊屋」になってしまっていますがご愛嬌です・・・。
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