明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(571)原発災害に対する心得(下)

2012年10月28日 23時30分00秒 | 明日に向けて(501)~(600)

守田です。(20121028 23:30)

原発災害に対する心得(下)、連載の最終回をお届けします。すでに(上)(中)でレジュメを掲載しましたので、今回はレジュメ全体は割愛し、取り上げる部分だけ紹介します。「3、避難の準備から実行へ」です。まずは以下に目を通してください。続けて講演の文字起こしにうつります。

***

避難の準備から実行へ
○災害を起した原発と自分の位置関係を把握。基本的には西に逃げる。
○マスク、傘、雨合羽必携。幾つか代えを持つ。
○お金で買えない一番大事なものを持ち出す。その場に戻ってこられないと想定することが大事。どうでもいいものは持っていかない。
○可能な限り、遠くに逃げる。逃げた先の行政を頼る。
○雨にあたることを極力避ける。降り始めの雨が一番危ない。
○二次災害を避けるべく、落ち着いて行動する。

***

同志社大学学生寮講演「原発災害に対する心得」(下)

まず「災害を起した原発と自分の位置関係を把握。基本的には西に逃げる」というところを見てください。ただ事故のときの雲の流れは、必ずしも西から東へではありません。
福島原発事故のときは、セシウムを中心にしてみるならば、最も濃い放射能を含んだ雲は原発から北西の飯舘村方面に流れていき、原発から60キロ離れた福島市まで到達してから大きく南南西に向きを変えて、グッと南下していきました。

都市でいうと、二本松市、郡山市、那須塩原市と通って、やや南西から西南西へと向きを変え、日光を経て前橋方面へと流れていっています。火山学を専攻していて火山灰の飛散などに詳しい群馬大学の早川由紀夫さんが書かれたマップがネットで紹介されています。
繰り返しバージョンアップもされているので、それなどを見て参考にして欲しいのですが、僕も今回の事故があるまで、雲がこのような動きをすることがあるとは知りませんでした。

日本の上空には西から東に強い気流が流れています。だから高い山の上、3000m級の山などで空を見ていると、西側の様子からその後の天候を推察することができます。西の空に雨雲がかかっていると、次第に東に流れてくるので、おおよそいつ頃雨が降るかの予想がつくのです。福島原発事故で、東日本に比べるならば西日本が被曝の影響が少なかったのも、この気流による面が大きいと思います。

ところが福島原発事故にはチェルノブイリ原発事故と比べたときに、雲の流れの面で大きな特徴がありました。というのはチェルノブイリ事故のときは、原子炉の大爆発と同時に、中に入っていた黒炭に火がついて大火災が起きたのです。
そのため放射能が空高くまい上げられました。それが上空を流れる気流にのり、ヨーロッパ中に濃い放射能が流れ、世界中にも放射能が拡散してしまいました。

これに対して福島原発事故では爆発があったり、ベントがなされたり、燃料プールの水が減って、そこから放射能が出たりしたわけですが、火災などはなかったので、放射能は地を這うように流れていきました。どこを通ったのかというと、地表を流れる風の道、つまり谷筋などに沿って流れていったのです。そこは同時に人の道でもあります。

とくに福島市に向かった流れは、国道114号線や399号線があって、浜通りの人々が福島市に出る道でした。南側には阿武隈山地がある。その北側に飯舘村などの高地があり、その低いところに街道があるわけですが、そうしたところに沿うように雲が流れています。

さらに福島市で大きく南に方向を変えるのですが、ここから暫くは恐ろしい程に新幹線の軌道に沿って雲が流れました。福島駅、郡山駅、那須塩原駅の上を通過しています。新幹線は阿武隈山地と吾妻連峰に挟まれた谷の底の、地盤の安定したところを走っていますが、その上に雲が流れていったのです。

それから考えると、地表の普段の風の流れを把握してマップにしておいて、季節ごとの変化などをおさえておくと、いざというときに役立つので、僕もどこからか予算を引き出して、それを作ることを検討したいと思っています。
例えば京都を中心に関西の風の流れマップを作っておけば、どちらに逃げるのがより有利なのかを判断できます。もちろん完全に予測するのは不可能で、賭けのようになる面もあります。その際、上空には西から東へと向かう風が流れていることは大きなポイントです。

この風の流れ、雲の流れを知っていないと、とんでもない悲劇に遭遇することにもなりかねません。今、見てきたように、原発から北西に向かう道、福島市への続く道は、もともと福島県の浜通りの人たちが福島市に出るときの通り道でした。
それで原発の事故のときもこの地域の人々はこの道を通って逃げました。沿岸部は津波の被害も甚大でしたからそのための避難でもありました。

その逃げ道にあたる街道に、3月15日に非常に濃い放射能が降りました。雨や雪になって落ちたのですが、政府も福島県もそのことを人々に一切教えなかった。そのため放射能が降った後にも人々がこの道に殺到し、交通渋滞が起きてしまいました。
たくさんの放射能が降ったその場に、わざわざ車で入っていって、そこに居並んでしまう事態になったのです。原発災害からの避難勧告が五月雨式に出たため、後から逃げた人が多かったことも要因でした。

このとき飯舘村の人々は、自分たちの村が放射能で汚染されていることなど知らずに、浜通りから逃げてくる人を助けました。農家が多かったので、備蓄していたコメを出して、炊き出しをしたそうです。それも家の中でやっていたら間に合わないので、庭先に出て、どんどんご飯を炊き、オニギリを作って、後から後から逃げてくる人々に差し出した。

ところがそのときにものすごい量の放射能が降っていたのです。そのため、あるおばあさんは、後になって「私が放射能を握って食べさせてしまった」と涙を流したそうです。
人々を助けようとした飯舘村の人々にそんな思いをさせただけでも、この情報隠しは本当に罪作りでした。これらは避けることのできた被曝だったのです。「ここに放射能が流れている」と一言伝えれば避けられたのです。こうしたことがあったことを知っておいてください。


次に「マスク、傘、雨合羽必携。幾つか代えを持つ」というところにいきます。放射能はマスクで防げるのかというと、全部は防げませんが、防げるものも多くあります。なのでマスクはしたほうが絶対に有利です。

放射線を発する放射性物質の一つ一つは、原子としてあり、いくつか集まって塊を作ったり、化合物になっていたり、イオン化していたりと複雑ですが、いずれにせよ、その物質だけで存在せずに空気中にあるチリやホコリに付着して、巨大な塊になって存在していることが多いです。それが大きくなればなるだけ危険性が増すわけで、そのためマスクはどんなものでもしないよりはしたほうがいわけです。

もちろん、よりキメの細かなマスクをした方が、より有利さが増しますが、ともあれしないよりはしたほうが断然いいと考えて、とにかく手に入るマスクを必ずするようにしてください。普段から常備しておくといいですね。

この際、有利なのは花粉症を持っていて、対策に苦労を重ねてきた方です。花粉症対策がそのまま放射能対策に適用できるからです。あらゆる微粒子が粘膜に入らないようにする。そのためにゴーグルなどを使っている方もいますが、あの対策をすれば、チリやホコリについてくる放射能をカットしやすいです。

同じように、インフルエンザ対策も放射能対策に適用できます。外出から帰ったあとの、うがい、手洗い、着替えなど、ぜひ花粉症やインフルエンザ対策をよく調べて、それを頭の中においておいてください。実際に花粉が飛んでいるときは、その花粉に放射性物質が付着して飛んでくるので、まさに花粉のカットが放射能のカットに直結します。

あとマスクはすぐに取り替える習慣をつけてください。マスクの仕方は結構、難しいのです。国連では伝染病などがある地域に派遣する職員には必ずマスクの仕方の指導をするそうです。
例えばマスクをはずすときは、両手で耳のゴムをはずし、そのままゴミ箱に捨てなくてはいけない。そうでないと、表面についている汚染物がどこかについてしまいかねないからです。それに触ったら、そこから汚染を受けてしまいます。

ところが実際に、マスクをして長時間経つと、途中で何かを食べたり、飲んだりしたくなります。そのときに外してしておいたりしがちですが、そのときに表面が触ったところを汚染してしまうわけです。ときにはマスクの表と裏がわからなくなって逆さまにつけてしまったりする。こうなったら元の木阿弥です。

ですからマスクは長い時間、同じものを使わないで、どんどん付け替えたほうが良い。インフルエンザ対策などでしっかりしたマスクが大量に安く売っていますから、それらを重ねて使うなど工夫をこらして、頻繁に変えていくとよいです。


次に、傘や雨合羽を使用して、できるだけ雨に当たらないようにしてください。とくに注意すべきは降り始めの雨です。雨は空気中のチリなどに付着して漂っている放射性物質を捕まえて地上に降ろしてきます。なので降り始めが一番、たくさんの放射性物質をつかまえて落ちてくるのです。

ただし経験的に分かることですが、雨は降り始めが一番避けにくいのですね。なので雨が降りそうだったら、あらかじめ合羽を着てしまうとか、傘をすぐにも出せるようにしておくと良いです。また降り始めから雨に当たらないように普段からシミュレーションしておくといいです。自分が用意した合羽で実験しておくのもよいですね。

最後に「二次災害を避けるべく、落ち着いて行動する」ことが大事です。もちろんこれは正常性バイアスにはまり込むことなく、実際の避難行動に移ってからのことです。この場合は危機をしっかり認識しているので、やはり焦りなども生じます。
そのため、いったん逃げようと決意できたら、そこからは心を落ち着け、交通事故などにも気をつけて行動してください。以上が避難の準備から実行に必要なことです。

***

講演内容は以上です。当日はこれに続いて、放射線被曝のメカニズムと、その防ぎ方をお話しましたが、ここでは割愛します。

ともあれ、これまで述べてきた「原発災害に対する心得」をぜひ、多くの方と共有し、話し合い、深めて欲しいと思います。ここにはアウトラインしか書いてないので、どんどん自分たちで工夫を加え、深めていって欲しいです。その際、より良い知恵が浮かんだらぜひ教えてください。

またこうした観点に基づいて、地図を広げて、シミュレーションを行ってください。また例えば旅行に出ているときに原発事故に遭遇したらどうするかとか、シミュレーションを広げていくことも可能です。それらを重ねていればいるだけ、実際の事故のときに役に立つし、他の災害にも応用が効くものが多いと思います。

みなさんの命を守るため、愛する人々の命を守るために、このささやかな「心得」がお役に立つことを祈りつつ、この連載を閉じます。

終わり

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明日に向けて(570)【詩作】「バイアスを越えでて」「説得」「能力」

2012年10月24日 07時00分00秒 | 詩作

守田です。(20121024 07:00)

詩を三編、ご紹介します。

***

バイアスを越えでて


人は自らの思いや
行いことに合わせて
容易に認識を
加工する

前々から知っていた
この事実に
嫌というほど直面したのが
この19ヶ月の日々だった

人はそこにいたければ
そこを安全だと見なそうとするし
それを食べたければ
大した害はないと考えようとする

懸命に飛びついても
採ることのできないブドウが
次第に酸っぱく
見えてくるのと同じだ

このある種の
「認知機能」は
バイアスと呼ばれる
それは生活の知恵でもある

大事なのはバイアスが
心の防衛機能でもあるということだ
だから正しい認識を
ただ対置してもだめなのだ

認識を変えるのには
心の支えがいる
でもだとすれば支えがあれば
認識は容易に変わりうるはずだ

だから今
言葉たちは
人の心に向けて
発せられなければならない

脳に対してではなく
胸に向けて
知ではなく
熱をもたらさなければならない

そうして心が
勇気に充たされたとき
人は認識の枠組みに
ようやく手を入れることができる

バイアスを笑うことなかれ
バイアスを厭うことなかれ
求められているのはそれを
必要としている関係性の打破だ

人々をして
真実に向かわしめるのではなく
人々の一員として
真実をともに創造せよ

強くなることによってではなく
優しくなることによって
バイアスを君とともに
越えでていこう

20121023


説得


君の心の中に
不躾にも僕は入っていって
それで好き勝手なことを
喋りまくり
色々なことを
たきつけたりしているのだが

一つ言えることは
僕は君の目を見て
その奥にある光をガイドに
喋っているのでもあり
だから実は
一方的に喋っているようでありながら
随分、喋らされても
いたりするということで

だから
責任を取らなけければいけない時は
僕の言葉を僕に帰属させてもらって
全く構わないのだが
何か僕の言葉に
打たれてくれるものがあるとするならば
それは君の中にもともとある
何かであることだけを
知って欲しいと思う

アプリオリなものへの
後天的かかわり
少々味気ない言葉だが
そんなところに
関わりのポイントというのは
やはりある

だからそれは創造のようで
創造ではなく
発掘のようで
発掘ではない

では何かという問いに
答えねばならないのならば
それはかのギリシャの
偉人が述べたことだと
そう言う以外にないだろう

そういうわけで
僕は相変わらず不躾に
君の中に入っていくのだが
僕は実は君の君に対する関わりの
水先案内人にすぎない

そのことを知ってもらって
まあ偉そうな口ぶりに関しては
大目に見てもらおうというのが
僕の魂胆だというわけだ

19990607


能力


人を愛することは
素晴らしい
恋焦がれるほどに
愛することは
もっと素晴らしい

実際のところ
快活な速度で
野山を駆け巡ることや
美しい声で唄えることが
ひとつの
人間的能力であるように
人を愛する力もまた
まごうことなき
一つの能力なのだ
それゆえ
人に恋焦がれるとき
その能力は
実に伸びやかに
発達していく

だから君は
大いに人を愛すると良い
恋焦がれ
身をよじることが
できるほどならば
それだけ君の
人間的力は
高まってゆく

そうして君は
情熱の中で
あるいは歓喜を
あるいはほろ苦さを知り
人生の断面の鮮やかさに
魂を磨くことになる

君は人を愛することで
君自身を育てる
誰もが
愛される存在から
愛する存在者へと
転換していくように
君もまた
育てられる存在から
自らを育てる存在者へと
立場を入れ替え
そのことができて初めて
人を育てる側に移行していく

だからまた
もし、君が今
人を失って
悲嘆に暮れているのならば
少しだけ冷静になって
その痛みもが
君を磨いていることを
知るといい
人を失う経験もまた
この能力の造成のためには
不可欠な
一コマでさえあるのだ

人に対して
能動的に生きる
だから己に対して
肯定的に生きる

ああ
人生はかくも素晴らしい

19991021
20121024改訂


 

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明日に向けて(569)原発災害に対する心得(中)

2012年10月23日 23時00分00秒 | 明日に向けて(501)~(600)

守田です。(20121023 23:00)

明日に向けて(556)で「原発災害に対する心得(上)」を書きました。これは10月7日に同志社大学のある寮で行った防災訓練でお話したことに基づいたものです。そこでは次のようなレジュメも配りました。

***

原発災害に対する心得
 
知っておきたい心の防災袋(防災心理学の知恵)
1、災害時に避難を遅らせるもの
○正常性バイアス⇒避難すべき事実を認めず、事態は正常と考える。
○同調性バイアス⇒とっさのときに周りの行動に自分を合わせる。
○パニック過大評価バイアス⇒パニックを恐れて危険を伝えない。
○これらのバイアスの解除に最も効果的なのは避難訓練
 
2、知っておくべき人間の本能
○人は都合の悪い情報をカットしてしまう。
○人は「自分だけは地震(災害)で死なない」と思う。
○実は人は逃げない。
○パニックは簡単には起こらない。
○都市生活は危機本能を低下させる。
○携帯電話なしの現代人は弱い。
○日本人は自分を守る意識が低い。
 
3、災害時!とるべき行動
○周りが逃げなくても、逃げる!
○専門家が大丈夫と言っても、危機を感じたら逃げる。
○悪いことはまず知らせる!
○地震は予知できると過信しない。
○「以前はこうだった」ととらわれない。
○「もしかして」「念のため」を大事にする。
○災害時には空気を読まない。
○正しい情報・知識を手に入れる。
 

原発災害にどう対処するか
1、原発災害への備え
○災害対策で一番大切なのは避難訓練。原発災害に対しても避難訓練が有効。
何をするのかというと、災害がおこったときをシミュレーションしておく。
○家族・恋人などと落ち合う場所、逃げる場所を決めておく。
○持ち出すものを決めておき、すぐに持ち出せる用意をしておく。
 
2、情報の見方
○出てくる情報は、事故を過小評価したもの。過去の例から必ずそうなる。
○「直ちに健康に害はない」=「直ちにでなければ健康に害がある」。
○周囲数キロに避難勧告がでたときは、100キロでも危険と判断。
 
3、、避難の準備から実行へ
○災害を起した原発と自分の位置関係を把握。基本的には西に逃げる。
○マスク、傘、雨合羽必携。幾つか代えを持つ。
○お金で買えない一番大事なものを持ち出す。その場に戻ってこられないと想定することが大事。どうでもいいものは持っていかない。
○可能な限り、遠くに逃げる。逃げた先の行政を頼る。
○雨にあたることを極力避ける。降り始めの雨が一番危ない。
○二次災害を避けるべく、落ち着いて行動する。
 

放射線被曝についての心得
1、福島原発事故での放射能の流れと情報隠し
○福島原発事故では風の道=人の道に沿って放射能が流れた。
○被曝範囲は東北・関東の広範囲の地域。京都にも微量ながら降っている。
○SPEEDIの情報隠しなど、東電と政府の事故隠しが被曝を拡大した。
 
2、知っておくべき放射線の知恵
○放射能から出てくるのはα線、β線、γ線。体への危険度もこの順番。
○空気中でα線は45ミリ、β線は1mしかとばず、γ線は遠くまで飛ぶ。
○このため外部被曝はγ線のみ。内部被曝ですべてのものを浴びる。
○より怖いのは内部被曝。外部被曝の約600倍の威力がある。(ECRR)
○外部被曝を避けるには必要なのは、放射線源から離れること、線量の少ないところにいくこと。
○内部被曝を避けるために必要なのは、汚染されたチリの吸い込みを避けること、汚染されたものを飲食しないこと。
 
3、放射能との共存時代をいかに生きるのか
○元を断つ。
○被曝の影響と向き合う。被爆者差別とたたかう。
○あらゆる危険物質を避け、免疫力を高める。前向きに生きる。

***

「原発災害に関する心得(上)」では、このうち「知っておきたい心の防災袋(防災心理学の知恵)」についてポイントとなることを書いておきました。今回の(中)では、「原発災害にどう対処するか」について述べていきたいと思います。この点は重要なので、当日行った講演を文字起こししてお伝えしようと思います。

(上)にあたるところで、僕が強調したのは、災害心理学によれば、避難を阻む最も大きな壁は、災害時に、災害の発生そのものを認めようとしない「正常性バイアス」であり、それを解除するにの有効なのは、事前に避難訓練をきちっと行っておくということでした。
それでは原発災害に対してはどのような避難訓練を行えば良いのかですが、それは事故が起こったときに、自分がどう行動するのか、きちっとシミュレーションしておくということです。


原発災害に向けたシミュレーション

ではシミュレーションではどういうことが重要なのか。「家族・恋人などと落ち合う場所、逃げる場所を決めておく」。これがぜひやっておいて欲しいことです。
もしも福井原発で事故が起こったときに、自分がどうするのか。僕が実際に連れ合いと打ち合わせていることをお教えすると、僕らは京都駅前のあるホテルのロビーで待ち合わせることにしています。その心は、電車が動いていたとすると、新幹線に飛び乗って西に逃げるということです。

しかし地震で電車が止まることがありますが、その場合でもバスは動きます。そうしたらバスターミナルからバスに乗ってとりあえず行けるところまで逃げる。行く先も考えてあります。四国の友人が農の営みをしているある地域です。もちろん「そのときは助けてね」と伝えてあります。反対に、「京都に避難するのが必要なら受け入れるよ」とも。こうやってあらかじめ「避難協定」を結んでおくといいのです。

実際に、福島原発の事故のときも、電車は止まりましたが、バスは動いていたのです。だからバスに乗って福島から逃げ出した人がたくさんいました。この中の大きな部分を占めたのが誰だか知っていますか?東京電力の社員の家族だったのです。
東京電力は、もうダメだから逃げろと、家族にだけ指示したのです。僕の友人は、東京電力の社員の家族の友人でもあったので、その人から「今、会社が逃げろと言っているので逃げて」という情報をもらったそうです。「バスが動いているからそれで逃げろ」とも。
ようするに東京電力はイザというときのシミュレーションをしていたということなのです。誰にも教えずに。ひどいですね。国民、住民には教えなかった。

あとは人がただちに避難に移れない大きな理由に、家族の居所が分からないということがあります。とくに小さなお子さんをもった親御さんは、子どもの安全が確認できないと、自分の避難ができない。むしろ子どもを探しにいって、災害に巻き込まれてしまったというケースが多いのです。

そのため小学生の子どもを持ったママさん、パパさんには、例えば学校に子どもがいるならば、「動かないでそこにいなさい。迎えにいくから」と決めておくことも大事です。もちろんそこが津波地域にあたる場合で、地震の直後なら別ですよ。

この点はケースバイケースですから、幾つかの想定をしてシミュレーションをしておく。それで家族と落ち合えるようにしておくのです。みなさんの場合は、学生さんですから、まだ子どもはいないと思うので、恋人とか、親しい友だちとかとあらかじめ話をして、いざ事故があったら一緒に逃げよう、だからどこで落ち合おうと決めておくといいです。


持ち出すものを決めておく

次に、災害のときに、これは原発災害だけのことではないですが、持ち出すものを決めておいてください。持ち出すものは一番大事なものです。これにも例があります。僕の友人で国連の職員をしている人がいます。アフガニスタンのある都市にいて、政情が不安定になり、事務所から緊急に逃げなくてはならなくなった。

それで彼女はとっさに、お気に入りの服をバックにつめて逃げたのだそうです。それで逃げた先でものすごく後悔した。なざ後悔したのかというと、そんなものは買い戻せるのです。では何をもって逃げるべきだったのかというと、写真や日記や手紙や、絶対にお金で買えない、自分のメモリーにとっての大事なものです。

それは全部、おいてきてしまったのだそうです。なぜおいてきてしまったのかというと、人はそこから逃げ出すときに、二度とそこに帰ってこれなくなるとは思いたくない。だからちょっと出て、すぐに戻ってくるようなつもりで出てしまうのだそうです。そうなると出た先の自分の格好の方が気になるから、お気に入りの服を持っていったのです。
ところが彼女が戻れるまでに1年以上かかりました。政情がまた変わって、事務所にまた戻れたのですが、内部は荒らされていて、自分の大事なものは残ってなかったそうです。

今、実際にも、福島原発の周りに住んでいた人たち、大熊町や双葉町の中には、一生、戻れない人たちもたくさんいます。でもこの人たちもほどんと、着の身着のままで出てしまったのです。だからこの人たちは、少しでもいいからどうしても家に帰らしてくれといって、放射能防護服を着て、「1時間だけいさせてあげましょう」とか言われて、家に入りました。それで最初に持ち出すのはアルバムだそうです。家族のメモリーが一番大事なのですね。

もちろん、大事なものは一人一人違うと思います。例えば卒論を書いている方なら、そのデータを持ち出し可能な媒体に記録しておいて、それを持って出ることをシミュレーションしておくといいのではと思います。学問をされている方にとっては、自分で書いた論文や、研究成果を持ち出せるようにしておくのが良いでしょうね。


危険な情報は隠される

レジュメを見てください。「出てくる情報は、事故を過小評価したもの。過去の例から必ずそうなる」。これも重要な点です。
これまでの原発事故のすべてに共通しているのは、当初、事故が非常に過小評価されていることです。これには二つの理由があります。一つには明確に事故隠しがあったということです。
福島原発事故では、スピーディーという、放射能の拡散予測の情報が隠されてしまいました。それでどうのようなことが起こったのかというと、福島市のお母さんたちが泣きながら話すことなのですが、実は原発から60キロ離れた福島市にも、とても濃い放射能が流れていったのですよね。
 
ところがそのことがまったく知らされなかった。福島市の人たちは、原発から60キロ離れていて、よもや自分たちが原発事故に巻き込まれるとは思っていなかったそうです。それで何が起こっていたのかというと、停電や断水が起こっていました。水が得られないので、福島市が給水車を出して、水を配り始めた。

その前にたくさんの人たちが並んでいたそうですが、若いお母さんたちは、他に子どもを見てくれる人がいないので、子どもの手をつないで、何時間も並んでいたのですが、実はそのときにたくさんの放射能が降ってしまったのです。もろに浴びてしまったのですね。
だから今、子どもの甲状腺がんの発生の可能性が非常に高いのではと思われていて、すでに福島市で、甲状腺がんになってしまった子が見つかっています。

僕の友人も医師で、検査に関わっていますが、ものすごい状態だといいます。これから間違いなく深刻な状況が訪れると思います。

それはそのときに外にいて並んでなかったら、それだけでもかなり違ったのです。ヨウ素剤を配って飲んでいたら、かなり防げた。ところがそれがなされなかった。残念ながらこの国はそういう国なので、自分で自分の命を守らないとダメです。


運転員や政府も「正常性バイアス」にとらわれる

一方で、意図的なものではなく、本当に間違えて過小評価してしまう場合もあります。原発に運転員の方や、責任者も、容易に「正常性バイアス」にかかるのです。原発の非常に重要な事故のすべてで共通しているのは、運転員がはじめに計器が壊れたと思っていることです。同じことが繰り返し起こったのですよ。

チェルノブイリの場合では、原子炉が爆発して、蓋があいていました。それですべての計器が瞬時にダメになった。そのときにどうしたのかと言うと、運転員の一人が、「計器が壊れたから現場を見に行ってくれ」と言っています。言われた人は、蓋があいた原子炉を見にいって、大量の放射線を浴びて、ほとんど即死しています。

同じことは必ず起こります。なぜかというと、原発はしょっちゅう事故や故障を起こしてるのです。とくにメーターが壊れることなど日常茶飯事です。だからいつも「また壊れたか」という感覚を持ってしまっています。計器の示す数値をみて、その度に事故を想定して動いているとやっていられないので、「ああ壊れた」と思うことが習い性になってしまっているのです。

それが原発が危ない理由の一つでもあるのですが、政府も実はそうなのです。政府は半分は意図的に隠しますが、半分は本当に「事故であって欲しくない」という意識が働いて、事故の過小評価に陥りがちなのです。

福島の事故のときも、菅首相が、斑目原子力安全委員長の「安全」という言葉を信じてしまったということがありました。ヘリコプターで原発を見に行ったときに、斑目さんが「首相、大丈夫です。原子炉は絶対に壊れません」と叫んだ。そうしたら菅さんはころっと信じてしまった。そのすぐ後に原子炉の爆発があったので、まったく動揺してしまったのでした。

事故が起こって欲しくない、事故はこれ以上進まないと思いたい、思いたいという願望から、「安全だ、安全だ」と自分の思い込みたくて、認識がずれていってしまっているという面もありました。当然なのです。それまで真剣に原発災害の危険性を考えてこなかったから、つまり避難訓練をまともにしたことがなかったから、正常性バイアスに捕まってしまうのです。これは傾向的に生じることです。原発が、事故も可能性を隠して、あるいは非常に小さく見積もることで運転にこぎ着けてきているからです。

そのために「周囲3キロは避難しろ」という言葉が出たら、それこそ100キロ圏はとりあえず避難した方がいいです。福井で何かあって、近くに避難指示が国から出たら、もうとにかく逃げてしまうのが勝ちですね。放射能が来る前に逃げてしまうのが勝ちなのです。これをぜひ覚えていてください。


今も続く「正常性バイアス」による心理的ロック

実はみなさん、知っていますか?東日本は壊滅するかもしれなかったのですよ。4号機に1000本以上の核燃料が入っています。それを冷やしている水が抜けてしまったのです。温度が上がりだしてもうどうにもならない寸前までいった。そのとき偶然に、その横にはってあった水の敷居板が壊れて水が流れ込んで、大きなことにならなかったのでした。

この段階で日本政府はこの危険性を察知しました。それでシミュレーションしました。なんと170キロ圏が強制避難だとされたそうです。避難対象は3000万人にもなった。自衛隊に避難のための命令が出たそうです。それで自衛隊の幹部は絶望したそうです。軍の総力をあげたって、せいぜい一度に1万人も動かせるかどうかも分からない。お手上げたったのです。

なおかつ4号機は今も大地震が来たら、かなり危ないです。他の原子炉だってそうです。そうなったら関東や東日本は壊滅するし、西日本にも、世界にも本当に深刻な影響がでます。本当にその危機が今、私たちの前にあるのです。
でもそれを見たくないので、多くの人たちが事故がもう終わったかのように振る舞い、政府の側もそれを直視したくないので「安全だ、安全だ」と繰り返しているのです。

そのため関東や東北で問題意識のある人は、4号機の倒壊に備えて、子どもまでパスポートをとっていたりします。仙台で話したあるお母さんたちは、4号機が倒壊したら、とにかく高速道路に乗って、一路、秋田空港を目指し、そこからアジアに出国することをシミュレーションしているそうです。そのように考えている人ほど、逃げられると思います。


放射能は見えない・・・しかし感じることはある

あと、原発事故で注意すべきことは、放射能が見えないことです。だからより正常性バイアスが働きやすい。津波は見えますよね。見えていても、正常性バイアスが働いている人は津波を認識できずに迅速な避難に移れないことがあります。放射能がやっかいなのは、見えないから余計に、「大丈夫だ、大したことはない」という心理的ロックが働きやすいのです。

ただし一般に放射能は、無味無臭だと言われますが、敏感な人は感じています。感じているだけではなく、子どもたちが激しい鼻血を出す例がたくさんありました。福島県内では当たり前、東京でもたくさんの子どもたちが鼻血を出しました。
どういう鼻血なのかというと、東京の町田市の5歳の男の子と例ですが、「25分から30分間、水道の蛇口を全開にしたような鼻血」だったそうです。

そういう鼻血を出した子どもでなくて、お母さん本人が出した話も直接、聞いたことがあります。「それでどうしたの?」と聞いたら、女子トイレに駆け込んで、便器を抱えていたそうです。ティッシュは論外、タオルもすぐにぐしょぐしょになって役に立たない。
これは被曝の影響です。鼻の粘膜に、放射性微粒子が付着して、ホットスポットができて、それで鼻血を出したのだと思います。

しかしこういう目に会った人は、かえって即刻逃げ出したり、防護体制を厳重にとったりするので、まだましだとも言えます。人間の感受性は人によってかなり大きく違うので、放射線に対してもかなり敏感な人もいれば、かなりの程度まで全然、感じない人もいるのだと思います。

感じる人では、喉がイガイガしたという人が多いですね。全身にじんましんのようなものが出たという人もいます。だから結構、人間は放射線の影響を五感でキャッチするのですね。より放射線が強いところにいると、口の中に金属を含んだような嫌な味もするそうです。これは空気中にあるいろいろな物質が、イオン化され、そのうちの金属性のものを舌が感知するようです。それで「ずっとつばを吐いていた」という経験も聞きました。だいたいそういう人ほど、感じたことを避難や放射線防護に結びつけています。

続く


 

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明日に向けて(568)これまでの幾つかの講演会を振り返って(感想文、取材記事、動画も貼り付けます)

2012年10月22日 22時00分00秒 | 明日に向けて(501)~(600)

守田です。(20121022 22:00)

10月20日に京都市左京区の「茶山のさと」で講演しました。新日本婦人の会左京支部 高野団地班「旬の会」&第二中央病院班の共催の企画でした。
僕の講演は僕が京都市に住んでいるために、西日本で行われることの方が多いのですが、そのためもあって、多くの場合、東北・関東の被曝状況の確認から話をはじめます。そののち、福島市内で起こっていることを紹介します。
放射線の問題を語る場合、まずは今、現に起こっていること、今、現に苦しんでいる人々のことから知って欲しいと思うからです。それをシェアし、ともに解決の道を探りたいとも思うからです。

どの会場でも感じることですが、このように話し始めると、ほとんど必ず、会場の雰囲気がきゅっとしまって、集中力が高まり、みなさんの聴きとり力とでも言うべきものが上がることを感じます。
そのとき僕は、「わたしたちの国には優しい方が多いな」と感じます。誰もがきちんと現に起こっている事実を語れば、必ず耳を傾けてくださり、胸を痛めてくださいます。同時に、「こんなことが起こっているとは知らなかった」という、怒りとも悲しみともつかないような感想が聞こえてきます。

こうした講演会にはどなたにも来ていただきたいのですが、ぜひ積極的に参加して、僕を助けていただきたいと思うのは、東北・関東の出身者のみなさんです。もちろん避難者の方は大歓迎です。
20日も参加者の中に、山形の出身の方がおられました。質疑応答のときに、その方が、山形のおいしい新米のことを話されました。本当においしいので、友達に食べて欲しいと思ってあげたところ、「放射能は大丈夫?」と言われたそうです。そのことを十分に考えていなかったので、とてもショックだったと彼女は涙ながらに話してくださいました。

僕が答えたのは、「まずは放射能測定をするといいですよ」ということでした。測って安全が確認されれば、それを説明して手渡せばいいし、反対に安全でないことが確認されたら、それを地元の方と話すといい。まずは実態を知るのが大切だということです。
同時に、みなさんにこの涙のことを忘れないでくださいとも語りました。話していて思わず涙がでてきてしまうのが汚染の実態なのです。自分たちが誇りにしている郷土のおいしい食べ物に汚染の可能性があること、それほど悲しことはない。
こうした涙に対して、僕にはこの悲しみの責任を、国と東電にきちんととらせなければいけないという明確な答えがありますが、そうした答えがなくてもよいので、ぜひそうした声に多くの方に向き合って欲しいのです。

そのために、それぞれの地域で行われる学習会・講演会に、汚染を受けてしまった東北や関東の方、そこから避難してきている方が参加されることにはとても大きな意味があります。
僕はメッセンジャーとして、そうしたみなさんの気持ちを少しでも代弁したいとも思っていますが、当事者がいると、その場の空気はさらに濃くなり、温かくなります。悲しく、苦しい思いを、みんなでシェアしようという気持ちが生まれるからです。だからぜひ一緒に講演会・学習会を作っていただきたいと思います。

同時に、事実がもっときちんと伝わりさえすれば、私たちの国の市民はもっと立ち上がってくれる。そう僕は思います。そのためにもっといろいろなところでお話をしないといけないと思うのです。
どうかみなさま、僭越ですが、そのためにみなさんの地域に、僕をお呼びくださると嬉しいです。どこにでも出かけていってお話します。そのために今回は、幾つかの講演の記事、動画を貼り付けましたので、参考にしていただければと思います。
篠山市・丹波市での講演の記事(丹波新聞)、山水人(やまうと)で行った小浜市の中嶌哲演さんとの対談、企画TAIYO33OSAKAでの廣海緑朗さんとの対談(ロクローさんはノンベクレル定食屋を開いた方)、京都市北部クリーンセンター関連施設での講演の動画です。

またそんな気持ちを込めて、今日は20日の講演会の後にいただいた、幾つかの感想文を紹介しておきたいと思います。このときのみなさんの温かい気持ちもおすそ分けできればと思うからです。
放射線防護と脱原発を進めるためにはさまざまな行動が必要です。現に今、多くの方たちが各地で駆け回っていて、その一つ一つにとても共感しますが、そうした行動もまたこうした小さな話し合いに支えられているのだと思います。
市民が集い、痛み、悲しみをシェアしあい、それをなんとかしようとすれうときに、そこに熱が生まれます。それこそが僕は世の中を変える源だと思います。一緒に素敵な企画を重ねていきましょう。

*********

守田敏也さん講演会 感想文まとめ 10月20日


放射能が風の道に乗って広く飛散してしまっているのを初めて知りました。
日光に旅行に行こうと思っていたのですが、考え直そうかと思います。
これからの心配は、海に流れ、汚染された魚を食べることを避けられるかです。
将来のことを考えるとまず、「原発を止める事」につきますね。(K.S)


リアルな東北の実態をわかりやすくお聞きして「まだフクシマは終わってない」と気づきました。
もっと多くの人にわかりやすい話を私達もしなけりゃ!
福島の人が慣れっこになってると聞き、とても不安。
スーパーNのさんまは、添加物関係ないと思うが…海はつながっているので大丈夫なのか?
吉田所長はやっぱりガンなのか?
病院でバリウム飲んでるけど、それって内部被曝?


今まで学習会に参加する機会がなく、原発事故後一年半もたつまで、ろくな知識もありませんでした。
福島がどのようになっているのか想像できないことはありませんでしたが、日常生活は今までと変わらず、本当に今後チェルノブイリの事故と同じようなことが起こってくるのか、信じたくない気持ちもあったかもしれません。
目を覚まして現実をちゃんと見なければいけないと思いました。(K)


数値のことなども公表されていないのが問題。
風評被害を防ぐためということなのでしょうか。たてまえとして。
よくかんで食べて、3キロでも痩せたいです。


来てよかったです!
真実・事実を知ることって大事ですね。
私達東北人はみんな苦しんでいます。(東北に住んでいなくても)
だからこそ、今日みたいな真実の話を聞いて学習することが必要だと思いました。
いつもツイッターで知ってる守田さんって近くに住んではるんですね(感動☆彡)
また、ぜひお話聞きたいです!!(M.M)


福島の現状を詳しく知ることができました。ありがとうございました。
実は、福島市御山一本松に大学時代の後輩が住んでおり、案じられます。
福島の惨禍を忘れないよう心がけたく思います。
私たち、家庭の母は、日々の中で気づくこと気になっていること多いです。
私たちに出来るのは、今日の気づき、知ったことを色んなところで広めてゆく、拡散してゆくことと思います。
忘れてゆくので、時に聞き直さねばならないです。思い出し直して、ブックレット読みます。


福島から谷に沿って放射能が広がっていく道があって、関東界隈にまでも汚染が広がっていることがわかり、ショックです。
放射能に対する個々の考え方が大きく4つのパターンにわかれていて、人間関係がギクシャクするということも、深刻な被害のひとつだと思います。
実際、震災直後、1ヶ月ほど東京から京都へ避難してきた知人は、幼い子供のこと、今後の生活のことなどで、夫と意見が合わず、離婚の危機だとホロホロ泣いていました。
人間が考え出した原子力発電、人間の手に負えないのだから、早くやめてしまえばいいと私は思います。
既に、被曝しているので、今後の日本人は、病気や障害児が増えるだろうということも、素人でも想像が付きます。国を挙げて手厚い保障を考えて欲しいものです。
それが原発を許してきた国としてのせめてもの償いかと思います。
あと、母としての直感というのは、やっぱり大事だなあと改めて思いました。(T)


*****

篠山市・丹波市講演記事
2012年9月27日・28日
http://www.facebook.com/photo.php?fbid=367479196668932&set=p.367479196668932&type=1#!/photo.php?fbid=367479196668932&set=p.367479196668932&type=1&theater

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山水人2012 in わくせい広場
2012年9月1日

中嶌哲演×守田敏也対談

http://www.ustream.tv/recorded/25102848

http://www.ustream.tv/recorded/25104091

http://www.ustream.tv/recorded/25104389

http://www.ustream.tv/recorded/25104420

http://www.ustream.tv/recorded/25104581

http://www.ustream.tv/recorded/25104805

http://www.ustream.tv/recorded/25104931

http://www.ustream.tv/recorded/25105165


*****

TAIYO33OSAKA 場所UrBANGUILD(アバンギルド)
2012年8月25日(土)

守田敏也×廣海緑朗対談


http://www.ustream.tv/recorded/24948127#./24948127
http://www.ustream.tv/recorded/24948127#./24948678


*****

京都市北部クリーンセンター関連施設で講演
2012年7月29日


http://www.youtube.com/watch?v=uayb0RSLr3Q

http://www.youtube.com/watch?v=lu74D_4kyQQ&feature=relmfu

http://www.youtube.com/watch?v=aok4N3FpsyQ&feature=relmfu

http://www.youtube.com/watch?v=b6Vqwcnsf8E&feature=relmfu

http://www.youtube.com/watch?v=2a-SYAtBsZ8&feature=relmfu

 

 

 

 

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明日に向けて(567)功利主義の検討(1)・・・哲学・倫理学に挑戦します!

2012年10月21日 22時30分00秒 | 明日に向けて(501)~(600)

守田です。(20121021 22:30)

哲学を、思想を、倫理学を、論じなければいけないと思っています。

最近、忙しさにかまけて、学習量がかなり落ちてしまいました。忙しさの中には、そのときどきで自分がおいているプライオリティが反映しています。それを冷静に見つめてみると、今の僕は、目の前にある課題を追いかけるようになっていて、物事をその深いところから捉え、変革の可能性を探っていく姿勢が衰えてしまっています。

何というか、だからこそ、忙しさに苦しめられています。受動的なのです。これを打開するためには何が必要なのか。今ここで、今後の長い射程を視座にいれた思想的な捉え返しを進めることであると思えます。それが哲学、思想、倫理学を論じなければいけないと思う内在的な根拠です。

課題は日々押し寄せてきます。そのさまざまな課題に、多くの人が立ち向かってくれています。とても共感します。
僕もその一つ一つに駆けつけたいのだけれど、おそらく、今の僕の役割はそれをすることではなくて、現場で奮闘する人にタッチできない領域を切り開き、そこから言葉を贈ることだと思っています。そのためには文学も必要ですが、同時に哲学が求められていると僕は思います。だからこの領域にチャレンジします。


原子力産業が依拠する功利主義

さしあたってとりかかるべきは功利主義に対する検討です。なぜか。『内部被曝』共著者の矢ヶ克馬さんは、DAYS JAPAN最新号(2012年11月号)で、端的に次のように書いています。

***

功利主義は「公益が得られるならば、犠牲者が出てもしょうがない」という考え方で、日本国憲法、国連憲章、世界人権宣言、等で謳われている「基本的人権と人間の尊厳」の民主的社会の原理を真っ向から否定する考え方です」(同誌p26)

***

非常に端的な批判だと思います。
功利主義のスローガンは、最大多数の最大幸福です。社会的な幸福の総量が最も多い状態を目指すことがもっとも善であるという考え方です。現代の国家の多くはこの考え方を採用しています。

功利主義の弱点は、「配分の中身を問えない」ことにあると言われてきました。すべての人の幸福量を足し合わせて最大になるのが善だとすると、一部の人は不幸でも、より多数の人の幸福が非常に大きければ、この不幸が社会的に是認されてしまうことになるからです。それが幸福の「配分の中身を問えない」ということです。

この考えが適用されているのが、原子力産業です。原子力発電は被曝労働を前提とした体系です。燃料の加工から運転、点検などさまざまな点で、被曝を生み出します。また繰り返し事故を起こして、周辺環境への放射能漏れを起こしてきたし、常に大事故のリスクも抱えています。実際に、スリーマイル、チェルノブイリ、フクシマと破局的な大事故も起こしました。

それだけではありません。原発は平常運転時でも微量の放射能を出し続けています。これらは周辺の環境を汚染し続けています。ドイツで行われた長期調査(kikk調査)で、原発の近くでは小児白血病の発生率が、有意に高いことが明らかになっています。

これらは公然たる事実です。ところがまさに「公益が得られるならば、犠牲者が出てもしょうがない」という功利主義の考え方が現代社会を支配しているがゆえに、こうした犠牲が省みられずに、運転が続けられているのです。

もちろんその際、犠牲が非常に小さくカウントされていたり、ある部分はまったく隠蔽されているという事実もあります。これに対しては思想的な批判ではなく、事実関係の暴露が必要です。そのことを僕はこれまで心がけてきたし、これからも行っていきたいと思います。

しかし同時に今、功利主義思想をきちんと批判していくとが問われていると強く思うのです。なぜなら被害や危険性の隠蔽だけでなく、少数者が犠牲になっても、社会的幸福の総量が大きくなればいいというこの冷酷な考え方に、私たちの社会が毒されているからです。


最大多数の最大幸福は何によって測られているのか

では社会的幸福の総量とはいかに測られているのでしょうか。本当はそんなもの、測ることはできないということが非常に重要なポイントなのですが、今はそれを脇においておいて、現代では事実上それが、GDP(国内総生産)によって表されていることを指摘したいと思います。

それで原発を止めてしまうと、やれ国際競争が弱くなると困るとか、産業が衰退するとかいうことが言われます。しかし例えば数十年前から比べると、GDPは圧倒的に多くなっているのに、現代では多くの若者が仕事にも就けずにワーキングプアの生活を送っています。仕事に就くことだけを考えるならは、高度経済成長期の方が、ずっと働きやすい社会でした。

もちろん、その時にはその時の矛盾があったので、今と比較して過去の方が社会が幸せに満ちていたと言いたいのではありませんが、ここで指摘したいのは、戦後67年間において、GDPの総額が確実に、ものすごい勢いで上がってきたのに、それで私たちの幸せがどんどん拡大してきたわけではないという点です。確実に増えたと言えるのは使用できる消費財の量と質のみです。


なぜなのか。まさに功利主義の罠にはまっているからだと僕は思います。幸福が金銭の多寡に置き換えられた上で、その総量は年々拡大してきたのに、その配分は著しく平等性を欠いています。
また同じく幸福の中身が具体的に検討されないで、常に数値に単純化して表されていること、また社会を担う人間も平均化され、数値化された単純な「幸福」の拡大を「配分」されているという錯覚を与えられてきたからです。

しかしGDPはいろいろな意味で矛盾に満ちています。例えばたくさんの人が病気になり、通院するようになり、医療費がたくさん支払われると、それでGDPは上がったことになります。名医が出てきて、薬もあまり使わないで治してしまうと、儲からないので、GDPは増えません。そのように「幸福」の中身の具体性が検証されないのです。


単純化と平均化の誤り

つまり功利主義は、幸福が、金銭的多寡に単純化されて測られ、それが国民・住民の中にどのように分配されたのか、その具体性は何ら問題にされずに、あたかも国民・住民が平均的にそれを受け取っているかのような錯覚を生み出してきたのです。そのために現実には多くの不幸が眼前として目の前にあるのに、無視されてしまうし、自分の幸せに直接につながっているわけではないGDPだとか、国際競争力だとかの強弱に、多くの人々が振り回されてもきたのです。

それが絶対に被曝することが確実な労働がなければなりたたない原発が、私たちの社会で容認されてきてしまった根拠なのですが、実はこうした単純化と平均化の考え方は、原子力産業が依って立つ放射線学の考え方にも深く浸透しています。


この点は、岩波ブックレット『内部被曝』の中で、矢ヶさんによって明快に指摘されています。第3章「誰が放射線のリスクを決めてきたのか」の冒頭の、「放射線によるリスクを単純化・平均化」というところです。少し引用します。

***

 内部被曝が見えなくされていることと、放射線の生命に対する被害が非常に軽く扱われていることに問題があります。そしてそれは、ICRPの二つの致命的な欠陥なのです。
 その一つは放射線被曝の具体性が切り捨てられ、単純化と平均化が行われていることです。この点は、内部被曝の危険性を隠してしまうことにつながっています。(p32)

 問題を放射線の持つエネルギーだけに抽象化しているので、それがどれだけの回数の電離(分子切断)をおこなうかということすら、具体的に考察しないのです。
どのような作用を人体に及ぼし、どのように推移していくかが、電離(分子切断)の具体的な分布のようすを捨て去り、平均化・単純化されているのです。これが私の指摘する「具体性の捨象と単純化・平均化」という誤りです。

***

このように、原子力産業は、少数者の犠牲を無視した功利主義に依拠して、原発の運転を行っているのですが、同時にその放射線被曝の評価においても、被害の具体性を捨象する功利主義の単純化・平均化と同じ発想を採用しているのです。もともと共通の価値観に支配された考え方なので、必然的に出てくる類似性であるとも言えます。

したがって功利主義を、その成り立ちに遡り、その発想の根幹にまで立ち入って、批判的に検討することは、内部被曝の科学を、私たちが取り戻していく上でも極めて重要な位置性を持っていると言えます。

この点については、ECRR(ヨーロッパ放射線リスク委員会)も注目しており、その2010年勧告でも一つの章をこの点の検討に費やしています。第4章「放射線リスクと倫理原理」の章です。

ここでも、このECRR2010年勧告で指摘された内容を考察するところから、さらに功利主義の検討を深めていきたいと思います。

続く

 


 

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明日に向けて(566)10月以降の講演予定一覧最新版をお届けします。(明日21日は上京区でお話します)

2012年10月20日 23時00分00秒 | 講演予定一覧

守田です。(20121020 23:00)

10月から11月にかけての講演予定を(563)でお知らせしましたが、明日21日上京区の予定の詳細と、11月4日平智之衆議院議員との対談の詳細を記していませんでしたので、これらを含めた講演予定一覧最新版をつくりました。お近くの方、ぜひお越しください。

***

10月21日京都市上京区

来て・見て・聞いて!

できることは何?

子どもたちを放射能から守る
守田敏也さんのお話!!

10月21日(日)
午後1:30~3:00
ソーシアル・キッチン
京都市上京区相国寺門前町699

午後1:30~2:00
放射能から子どもを守ろう(DVD)
毎日の暮らしの中でこんなことに気をつけよう

午後2:00~3:00
守田敏也さんのお話
「子どもたちを放射能から守る」
-内部被曝って?食べ物は大丈夫?-

参加費は会場カンパでお願いします

問い合わせ
室町学区チェルノブイリハートを観る会
080-3038-9227

*****

10月27日 大阪府島本町

原発シリーズ 第11回 原発を知ろう!入門編
講演会のお知らせ

フクシマ-放射能汚染時代から未来へ!

ひとたび原発大事故が起きれば、故郷を失い、海も大地も放射能され、取り返しのつかないことになることが分かりました。
それなのに原発は再稼働、原発を運転するだけで核のごみ(死の灰)が出続け、100万年も管理しなければなりません。
未来をつくるために、原発に依存しない社会に向けて、私たちは何をしたら良いのか、一緒に考えてみましょう。

講師 守田敏也さん(フリーライター)
共著『内部被曝』

日時 10月27日(土) 13:30~15:30
場所 島本町ふれあいセンター1F 健康教育指導室

主催 ぴあ・ネット/100万年の会
問い合わせ ミヤマエ 075-961-4450

島本 反核・平和・人権フェスティバルの一環としての催しです。

***

10月29日奈良市

日時:10月29日(月)
場所:JR奈良駅前 はぐくみセンター1階 ボランティアインフォメーションセンター 会議室
時間:講演10時から12時

***

11月3日大阪市

11・3イノチアクション
反原発・反放射能デモパレードin大阪
大阪西梅田講演

15:00?17:00「一部/パレード」
17:00? 19:00「二部/おまつり」
二部で17:30ぐらいから30分間講演

詳細は以下より
http://inochicore.web.fc2.com/index.html

***

11月4日京都市

げんぱつ震災を生き延びる為の緊急対談
「わてら爆発しますえ、助けとくりゃす。地震来る前に止めとくりゃす。」byげんぱつ

講師 平 智之(衆議院議員)
   守田敏也(フリーライター)

11月4日(日)18:00開場 18:15~20:30(予約不要)

ひとまち交流館・京都 第5会議室(定員80名)カンパ制(500円程度)

託児アリ 2歳以上6歳まで(未就学児)
(8日前迄に要予約・10名程度 託児1000円)

問い合わせ 託児は要予約 :ママパパ&放射能バスターズ京都
kyoto.kodomo.inochi@gmail.com

プログラム

18:15~18:45
大飯げんぱつ事故想定の際の避難訓練と心構え」:守田敏也
18:45~19:15
電気は足りている。科学に基づいた禁原発論」:平智之
19:20~20:20
平智之さん&守田敏也さん トークセッション
20:20~20:45
質疑応答など
○プログラム内容は告知無く変更になる場合もございます。

平智之さん プロフィール
昭和34年京都市中京区生まれ、京都育ち。洛南高校・京都大学工学部卒業
米国UCLA大学院修了。KBS京都・関西TV「モーレツ科学教室」等タレント活動
喫茶店マスター、政策シンクタンク等を経て、現在、衆議院議員(京都1区)
同志社大学嘱託講師。平成24年7月3日に大飯原発再稼働に反対して民主党を離党
現在「禁原発」を唱える「平安党」の発足に尽力。
http://www.t-taira.net/

○ご参加のみなさまに講演をしっかりと聴いて頂きたいので、
18:10までにご着席ください!

***

11月11日京都市伏見区

いのちを生み出す母親はいのちを育ていのちを守ることをのぞみます
第25回醍醐母親大会

11月11日(日)13:30~16:00
醍醐交流会館(ダイゴロー)第2会議室

放射線被曝の真実
~こどもたちを放射能汚染から守るために内部被曝と食べ物の安全について学ぼう~

どなたでも気軽にご参加ください。

13:15 受付
13:30 おはなし
15:00 被災者の方から
15:20 質問など

原発事故による不安や疑問を出し合いましょう

参加協力券 200円(飲み物付き)

醍醐母親大会実行委員会

連絡先 久保
電話 075-571-4422 FAX 075-571-4450

***

11月13日京都市

同志社大学にて講演
時間 10:45~12:15
詳細はおってお知らせします。

***

11月13日京都市

京都ライトハウスにて講演
時間 19:00より

主催 民青同盟佛教大学班

***

11月18日広島市

守田敏也講演会
「福島の現状と内部被曝の危険性について」

京都在住のフリーライター守田敏也さんの講演会を開催します。
昨年に引き続きカトリック教会では脱原発学習会を計画しました。
その一環として、守田敏也さんをお呼びして取材活動を通しての
福島の現状、内部被曝についてお話をお聞きします。

日時 11月18日(日)
14:00~16:00

場所 世界平和記念聖堂(幟町カトリック教会)

資料代 500円

問い合わせ カトリック正義と平和広島協議会
090-7997-1855(牧山)

主催 広島地区平和推進チーム・カトリック正義と平和広島協議会

***

11月25日京都市
 
ベジタリアンフェスティバルにてトーク
午前10時から11時の間(詳細未定)

***

11月25日京都府宮津市

震災から学ぶ

講演「内部被曝と避難計画」

福島から若い人がなぜ避難するのか 避難計画は?
内部被曝と子どもたちの安全が今しっかりとした知識として必要になっています

11月25日 午後1時~4時
ところ 宮津市城東会館 入場自由
(JR宮津駅南口徒歩5分)
 
1部 9月30日NHK放送「丹後大地震」ビデオ上映
2部 講演『内部被曝と避難計画』守田敏也氏

会場展示
丹後大震災と23号台風の写真及び東日本大震災福島の写真
 
主催
宮津市東武地域(まち)づくり会議
後援
宮津市東部地区自治連合協議会
 
***

12月6日京都市伏見区

10:00~12:00
あゆみ助産院『のびの会』定例会で講演
詳細未定

***

12月8日京都市上京区

午後2時~4時
YWCA会館にて
京都市上京区室町通り出水上る近衛町44
詳細未定

***
 
12月11日京都市右京区
 
フライングタッチマンとのジョイント企画
午後6時頃より 佛教大学にて
 
詳細未定
 
****
 
2013年1月26日
 
兵庫県加古川市にて講演
 
午後より
 
主催
脱原発はりまアクション
 
 

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明日に向けて(565)岩波ブックレット『内部被曝』4刷が決まりました!

2012年10月18日 09時00分00秒 | 岩波ブックレット『内部被曝』発売中です!

守田です。(20121018 09:00)

3月に上梓した『内部被曝』、いまなお、多くの方が読んでくださっていて、最近、4刷が決まりました!とてもありがたいです。

同書には矢ヶさんが解明してきた内部被曝のメカニズムと脅威を、できるだけ分かりやすく書けたと思っていますが、同時に、広島・長崎原爆以降、アメリカ核戦略の最重要課題として、内部被曝隠しが行われきたことを後半で平易でありながら詳しく解説しました。
自画自賛ですが、非常にバランスが取れた著述になったと今でも思います。6月に放影研に、ドイツからのおふたりとともに訪問するなどして、ますますその思いを深めてきました。

これから私たちは長い期間、放射線被曝、とくに内部被曝の脅威と向かい合い続けて行かなければなりませんが、そのために必要な基礎的知恵をここに盛り込むことができたと自負しています。

ぜひみなさんに読んでいただきたいし、広めていただきたいと思っているのですが、そんな折り、僕から30冊を買ってくださった元東洋大学助教授の杉浦公昭先生が、首都圏での脱原発デモの現場で、同書を売り歩いてくださっていたという話を、東京の友人から聞きました。胸が熱くなりました。

僕はさらにこれに次ぐものを作っていきたいと思います。より研究を深め、より筆を磨いて、みなさんの手元に必要な知識を、わかりやすい形でお届けする努力を続けます。

同書の購入先を記しておきます。

『内部被曝』購入先
岩波書店販売部 電話03‐5210‐4111
岩波書店ブックオーダー係 電話049‐287‐5721 FAX049‐287‐5742
岩波書店ホームページ http://www.iwanami.co.jp/hensyu/booklet/

またいろいろな方が、ご自身のHPやブログで、同書を紹介してくださっていますが、そのうちのひとつの「里山のフクロウ」というブログを見つけました。きちんと内容を把握してくださっていてありがたいです。
感謝を込めて、同ブログの内容をここに転載させていただきます。

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矢ヶ崎克馬・守田敏也対談『内部被曝』を読む

里山のフクロウ
http://minoma.moe-nifty.com/hope/2012/06/post-1373.html

地元での「脱原発&放射能から子どもをまもる」活動の最初の集まりは、放射能の健康への影響を取り上げた映画『放射線内部被曝から子どもを守るために』(企画・制作:家庭栄養研究会・食べもの通信社・全国農村映画協会)の上映会と決まりました。
広島・長崎とチェルノブイリの教訓から、放射能の健康への影響を紹介するとともに、被曝を少しでも減らすための食生活の工夫や免疫力を高める食べ方・暮らし方を提案しています。
 
集会では、映画上映とともに、内部被ばくについての学習会も計画しました。そこで、この映画に出てくる原発・放射能・内部被ばくなどに関する専門用語を説明した、簡単なパンフレットを作ることにしました。このため早速、にわか勉強の開始。最初のテキストは、矢ヶ崎克馬・守田敏也対談『内部被曝』(岩波ブックレット、2012.3刊)。
矢ヶ崎克馬さんは長年、放射線内部被曝を研究してきた物理学者で、03年から原爆症認定集団訴訟で「内部被曝」について証言してきました。また、3・11以降は沖縄から福島に赴き、数多くの講演会で内部被曝の危険性を訴えてきました。

このブックレットから、「内部被曝のメカニズムとおそろしさ」について、要約します。すべて、同書からの引用です。

内部被曝のメカニズムを理解するためには、その前提となる「物質」について理解する必要がある、と矢ヶ崎さんは力説されます。最初のポイントは、「電離作用と分子切断」。 

つまり、放射能が飛んできて電子にあたると、放射能の持つエネルギーによって、電子を軌道から弾き出してしまう(電離作用)。そうすると電子と電子のペアが壊されて、結合が解け、分子が切断されてしまう(分子切断)。人間のすべての分子は何らかの生命活動をつかさどっているので、分子切断がおこると、生命活動に障害が生じる。
一方、生命体ゆえに、切断された分子を修復し、再び結合しょうとする。しかし、この再結合は、正常におこなわれる場合と異常な場合がある。この「分子切断」と「分子再結合」の相対立する作用、および「正常再結合」と「異常再結合」の相反する修復結果が、放射線被曝を理解するための鍵となります。

以上を踏まえて、放射線被曝による二つのタイプでの危険性が、指摘されます。
ひとつは、分子切断での破壊効果による危険性です。多くの放射線が身体に吸収されて、多量の分子切断が生じると、それぞれの生命機能がうまく働かなくなり、急性症状が出てくる。脱毛、下痢、出血、紫斑などの症状がで、分子切断が多量の場合、死にいたる。このことを、高線量被曝による急性症状といい、おもに外部被曝によってもたらされる。

第2のタイプの危険性は、異常再結合による危険性です。つまり、生命活動がまさって修復作業が進むものの、間違って結合してしまうケースです。
二重になっているDNAは、一本が切られても片方が残っていて、正常につなぎ直すことができる(正常再結合)。しかし、分子切断が密集して起こっている場合は二重らせんの両方とも切られてしまう。その場合は切断された切り口が周囲にあることによって、間違ったつなぎ直しをしてしまう可能性が高い。その結果、遺伝子が組みかえられて、遺伝子情報が誤って書き換えられてしまう(変成)。
変成は、放射性微粒子が体内に入ってしまう内部被曝で増大する。変成された遺伝子を持つ細胞が分裂をくり返したり、変成が数十回くり返されると、ガンにいたると考えられている。免疫力が低下し、さまざまな体調不良や病気、倦怠感につながるといわれている。
また、遺伝子の組み換えによって、不安定さが子孫に伝わる危険がある。
これらは、「晩発性の危機」といわれ、低線量被曝でも生じる内部被曝特有のものです。

分子切断の生じ方は、放射線の種類によって異なり、ダメージのあり方もかなり違います。まず、各放射線の特徴について。
アルファ線は、一番エネルギーが多く、重い粒子が飛ぶ。飛距離は、空気中で45㎜、体内で40μm(4/100 mm)。1本のアルファ線が飛び出してから全エネルギーを使い切って止まるまでに、約10万個の分子切断をおこなう。
ベータ線は、大きなエネルギーを持つ高速電子。空気中で1m、体内で1㎝ほどしか飛ばない。1本のベータ線は、2万5千個の分子切断をおこなって止まる。
ガンマ線は、大きなエネルギーを持つ電磁波。空気中で70m飛び、体内は突き抜ける。物質中の原子との相互作用は弱く、距離あたりの分子切断は、非常に少ない(ゆえに遠くまで飛ぶ)。

外部被曝の場合は、アルファ線とベータ線の飛距離がきわめて短いために、それらによって被曝することはほとんどない。外部被曝で人間に突き刺さるのは、ほぼガンマ線だけ。しかも、体に向かってくる一方向のガンマ線だけにあたる。
一方、内部被曝の場合は、3つの放射線を発する放射性微粒子を、呼吸や飲食で体内に入れてしまうので、すべての放射線に被曝することになる。そして、体内に入った放射線は、全方向に向かって飛ぶために、出てきた放射線すべてが、あたってしまう。
 
ガンマ線は、原子との相互作用が少ないために、「まばらな分子切断」をおこなうことになる。このため、放射線1本ごとに放射線の分子切断とDNAの再結合の成功率を比較すれば、ガンマ線は、正常再結合がなされて、DNAが修復される可能性が高い。
一方、アルファ線とベータ線は、体内で半径4/100㎜または10㎜という局所で「高密度な分子切断」をおこなう(矢ヶ崎さんは「ギシギシと分子切断をおこなう」と表現します)ため、二重らせんの同時切断も多くなり、一つのDNAにあたる放射線量も多くなるので、DNAが死滅したり、異常再結合に追い込まれる場合が多くなる。
以上のDNAの分子切断と再結合について模式化したのが、下の図です。

このように、内部被曝の方が、はるかにDNAが変成される確率は高く、人体に大きなダメージを与え、晩発性障害の危険性が大きい、と結論付けられました。

内部被曝についてのメカニズムとおそろしさについての主な記述は、以上の通りです。物理的知識に疎い私にとっては、比較的わかりよい解説で、基本的なことは押さえられたのではないか、と思います。

この本の後半は、放射線被曝とりわけ内部被曝についての日本政府の過小評価を国際的に支えてきた、ICRP 国際放射線防護委員会に対する批判が、展開されます。そして広島と長崎での被爆以降一貫して、内部被曝が小さく見積もられてきた背景に迫っています。
結論を先取りすれば、「ICRPが内部被曝を、無視した体系を作り上げてきたのも、核戦略の重要な一環」だったということです。日本の原発が、アメリカの核戦略のなかで展開してきたことを、ここでもあらためて確認することができます。原子力基本法に、安全保障の文言を入れた狙いも、原発が核戦力とは無縁でありえないことの、体制側の露骨な意思表示です。

「内部被曝」入門編として、このブックレットを読むことをおすすめします。

 

 

 

 

 

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明日に向けて(564)詩作の再開に向けて

2012年10月17日 20時00分00秒 | 詩作

守田です。(20121017 20:00)

まったく唐突な話ですが、僕はかつてたくさんの詩を書いていました。
たくさん書いて、どこにも発表しなかった。
何よりも僕が僕を励ますために詩を書き綴っていたのだからです。

でも最近、無性に詩が書きたくなってしまいました。
舞鶴の講演で出会ったある方が、詩のようなメールを送ってくださることに刺激されたためでした。
そのとき僕は、ああ詩が書きたいと思った。詩を書いて、世に熱を送りたいとそう思った。

それで詩作を再開することにしました。
恥ずかしさや逡巡する思いもありますが、この「明日に向けて」の一環として書き留めていこうと思います。
僕にとって大事な過去の詩も少しずつ、紹介していこうと思います。

まずは今宵は、詩作の再開に向けてそのものズバリ、「詩作」という作品、そして過去に書いた「君へ」という作品をお届けします。

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詩作

僕はかつて
たくさんの詩を書いた
ノートの上に、便箋の上に、パソコンの上に

それらの詩を僕は愛した
でもどうしたことだろう
僕の詩作はここ数年、途絶えてしまった

今、その理由がわかる
僕はあのとき、僕のために詩を書いた
僕が生きるため、苦難を乗り越えるために書いた

でもいつの間にかそれは
僕にとって必要のない行為になった
僕は40歳台という人生の大きな壁を越えた

僕の言葉たちは僕の励ましであり
苦境を乗り越えようとする気合だった
だからそれは自然に眠りについたのだ


そうして今、
僕は再び新たな詩作をはじめようとしている
何のため?明日のためだ

明日を人々とともに
紡ぎ出していくためだ
われらの苦境を越えるためだ

だからそれは、正確には
僕のためでないわけではないが
しかし僕のためだけなのではない

人々と可能性を開きたいのだ
そのための熱を生む必要があるのだ
可能性は信じることから始まる

そのために僕はまた
言葉を編んでいこう
日々、刻々と、編み出していこう

言葉よ、熱を産め
熱よ、可能性を開け
可能性への確信こそが未来を作るのだ

20121017

 

君に

心が震えている
静かに目を閉じて、耳を傾けると
ホラ、その音が
こんなにも聞こえてくるものだ

そのさざ波は、あるいは喜びであり
あるいは哀しみであるのかもしれない
しかし、いずれにせよ、確かなことは
こうして、心が
脈を打っているということなのだ

君も、今宵
できれば、一人きりになって
そっと、胸に手を当てて
そうして、君の心の震えに
耳を傾けてみたまえ
 
そうすれば、君は
今よりも少しだけ君が
いとおしくなるだろう
そうすれば、君が、いつしか君を
邪険にしてやしなかったかと
少しだけ思い返す気持ちも
沸いてくるだろう
 
そうだ、そうして君は
君と仲直りするがよい
君のかけがえのなさを
思い出すがよい
 
そうすれば、明日の朝
君の目には、いつもより眩い光が
もたらせるはずだ
 
そうして君は、出逢う人々に対して
いつもより少しだけ柔らかく
接することができるだろう
 
・・・人の心には浄化作用がある
それは実は
訓練によって高められる力だ
それを引き出すためには
ただ己と毎日
静かに見つめ合うことが
必要なのだ
 
そのために
今宵、君は
一夜のレッスンを
試みてみるといい
 
そしてもし
それを上首尾に
やりとげることができたのなら
明日の朝
僕を見て
ニコッと笑いかけてくれたまえ

19990117 0509改訂

 

 

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明日に向けて(563)京都市、大阪府島本町、大阪市、奈良市、広島市などでお話します。

2012年10月17日 19時00分00秒 | 講演予定一覧

守田です。(20121017 19:00)

10月から11月にかけての講演スケジュール一覧をお知らせします。
それぞれの会場のお近くの方、ぜひお越しください!!

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10月20日京都市

知ろう!東北の実情
考えよう!放射能汚染

内部被ばく 食べ物の問題

と き*2012年10月20日(土)
    午後2時~4時頃
ところ*茶山のさと

講 師*守田敏也さん
 (フリーライター)
~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~
岩波ブックレット「内部被曝(ひばく)」
(矢ケ克馬、守田敏也著)好評発売中!

この夏に、岩手県大槌町での放射線計測、山形県、福島県会津若松市などのフィールド調査をされてこられました。
放射能汚染の時代をどう生きるのか?いま私たちにできることは?
~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~

参加費*新婦人会員は無料
    新婦人会員外は200円

興味のある方、老若男女どなたでも、
お誘いあわせの上、お気軽にお越しください。

共催:新日本婦人の会 左京支部(電話721-0970)
高野団地班「旬の会」&第二中央病院班

***

10月21日京都市

日時 13:30~
場所 ソーシャルキッチン(京都市上京区相国寺門前町699)

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10月27日 大阪府島本町

原発シリーズ 第11回 原発を知ろう!入門編
講演会のお知らせ

フクシマ-放射能汚染時代から未来へ!

ひとたび原発大事故が起きれば、故郷を失い、海も大地も放射能され、取り返しのつかないことになることが分かりました。
それなのに原発は再稼働、原発を運転するだけで核のごみ(死の灰)が出続け、100万年も管理しなければなりません。
未来をつくるために、原発に依存しない社会に向けて、私たちは何をしたら良いのか、一緒に考えてみましょう。

講師 守田敏也さん(フリーライター)
共著『内部被曝』

日時 10月27日(土) 13:30~15:30
場所 島本町ふれあいセンター1F 健康教育指導室

主催 ぴあ・ネット/100万年の会
問い合わせ ミヤマエ 075-961-4450

島本 反核・平和・人権フェスティバルの一環としての催しです。

***

10月29日奈良市

日時:10月29日(月)
場所:JR奈良駅前 はぐくみセンター1階 ボランティアインフォメーションセンター 会議室
時間:講演10時から12時

***

11月3日大阪市

11・3イノチアクション
反原発・反放射能デモパレードin大阪
大阪西梅田講演

15:00〜17:00「一部/パレード」
17:00〜 19:00「二部/おまつり」
二部で17:30ぐらいから30分間講演

詳細は以下より
http://inochicore.web.fc2.com/index.html

***

11月4日京都市

夕刻より
国会議員平さんとの対談

場所 ひとまち交流会館

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11月11日京都市伏見区

いのちを生み出す母親はいのちを育ていのちを守ることをのぞみます
第25回醍醐母親大会

11月11日(日)13:30~16:00
醍醐交流会館(ダイゴロー)第2会議室

放射線被曝の真実
~こどもたちを放射能汚染から守るために内部被曝と食べ物の安全について学ぼう~

どなたでも気軽にご参加ください。

13:15 受付
13:30 おはなし
15:00 被災者の方から
15:20 質問など

原発事故による不安や疑問を出し合いましょう

参加協力券 200円(飲み物付き)

醍醐母親大会実行委員会

連絡先 久保
電話 075-571-4422 FAX 075-571-4450

***

11月13日京都市

同志社大学にて講演
時間 10:45~12:15

***

11月13日京都市

京都ライトハウスにて講演
時間 19:00より

主催 民青同盟佛教大学班

***

11月18日広島市

守田敏也講演会
「福島の現状と内部被曝の危険性について」

京都在住のフリーライター守田敏也さんの講演会を開催します。
昨年に引き続きカトリック教会では脱原発学習会を計画しました。
その一環として、守田敏也さんをお呼びして取材活動を通しての
福島の現状、内部被曝についてお話をお聞きします。

日時 11月18日(日)
14:00~16:00

場所 世界平和記念聖堂(幟町カトリック教会)

資料代 500円

問い合わせ カトリック正義と平和広島協議会
090-7997-1855(牧山)

主催 広島地区平和推進チーム・カトリック正義と平和広島協議会

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明日に向けて(562)【誤報訂正・深謝】台湾の呉秀妹阿媽は危篤状態を脱しつつあります。

2012年10月15日 23時00分00秒 | 明日に向けて(501)~(600)

守田です。(20121015 23:00)

みなさま。先週金曜日に、台湾の呉秀妹阿媽が逝去されたというメールを発信しましたが、大変な誤りでした。その段階で
阿媽は危篤状態で、あと2日と主治医が言っていたそうですが、さきほど、台湾より、「阿媽が持ち直した、こちらの呼びか
けにも答えてくれている」との報告がありました。とても嬉しいです。阿媽は今も生きています。

同時にみなさまには大変、申し訳ないことをしてしまいました。お詫びの言葉もありません。実は連れ合いのお義母さんも、
この時期に脳の緊急手術を受けることになり、二人で、彼女の実家に行っていました。幸い手術はうまくいったのですが、
連れ合いが病院のベッドサイドで台湾からの突然の電話を受け、「亡くなりそうだ」という内容を「亡くなった」と受け取っ
てしまい、情報の再確認ができないままに、僕が大変なショックを受けてそれを受け取り、情報発信してしまいました。
その後の訂正も遅れてしまい、本当に申し訳なく思っています。深くお詫びいたします。

阿媽が頑張ってくれている間に、さらに台湾のことを書きつぎます。

なお誤報を書いてしまった「明日に向けて(558)」はブログから削除し、欠番としました。

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