明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(103)生活の周りに、溢れ出てきた放射能と闘おう・・・

2011年05月09日 02時30分00秒 | 明日に向けて5月1日~31日
守田です。(20110509 02:30)

3月11日以降の福島原発事故で、数日間の間に、チェルノブイリ原発事故の
1割以上と言われる放射性物質があちこちに飛びだしました。
それは周辺の町々を高濃度に汚染しましたが、僕はそれがどのような形で
表面化してくるのか、不安でなりませんでしたが、このところ、広範囲に及んで
いる被害の実態を示す兆候が現れ出しています。


まさに、放射能は、私たちの周りにどんどん溢れだしてきています。
このことをしっかりと見据えなければならない。見据えて対処していく必要が
あります。子どもたちを、そしてまた私たち自身を守らなければならない。
そのために、何がどこでどのように溢れだしてきたのかを、逐一、おさえていく
必要があります。こうした観点から、この間のニュースを拾って、まとめてみました。


まず注目すべきは、放射能汚染は、福島県だけでなく、他県でも次々と
その兆候を表しだしているということです。
その一つを報じているのが、「群馬の牧草から規制値上回る放射性セシウム」
という読売新聞の記事です。(5月6日)

記事はこう述べています。
「牧草1キロ・グラムあたり、前橋市富士見町で750ベクレル、高崎市箕郷町で
530ベクレル、館林市で440ベクレルがそれぞれ検出された。」
汚染は前橋市や高崎市、館林市にも広がっています。


続いて母乳の調査が国によって行われました。朝日新聞はこう伝えています。
(4月30日)
「母乳は4月24、25日に採取。同県いわき市の女性の母乳から1キロ当たり
放射性ヨウ素3.5ベクレル、放射性セシウム2.4ベクレルが検出されたほか、
茨城県の5人と千葉市の1人から放射性ヨウ素2.2~8.0ベクレルが出た。」

注目すべきことは、4月24日、25日に採取された母乳から、なお、ヨウ素が
検出されていることです。これはヨウ素の半減期や、体内残存時間を
考えると、もともとの被ばくはかなりの量だったことが予測される大きな値で、
とても胸が痛いです。


さらに毎日新聞は次のような記事を載せています(5月3日)
「東京電力は3日、福島第1原発から約15~20キロ離れた海底2地点の土
から放射性物質が検出されたと発表した。海底土壌の汚染が明らかになった
のは初めて。」

とうとう海底土壌からも、「初めて」、放射能が検出されてしまいました。

記事は続けます。
「海底土壌の汚染に規制値はないが、いずれも通常時の100~1000倍
以上の値だという。東電は海洋生物への影響について「魚介類の継続的な
監視を進めて評価したい」とした。」

海底土壌の汚染に規制値がないのは、これまでそんなことは考えられも
しなかったからです。そこに通常時の100~1000倍もの汚染が起こっている。
さすがの東電も、「にわかに被害はない」とは言わずに「魚介類の継続的な
監視を進めて評価したい」と述べている。
もはや東電すら「にわかに・・・」とは言えなくなりつつある点、深刻さが象徴
されているようにも思えます。


6日には、読売新聞に次のような記事が載りました。
「東京電力は5日、福島第一原子力発電所の防波堤内の海底で採取した
土から、1キロ・グラム当たり8万7000ベクレルの放射性セシウム137を
検出したと発表した。
 事故前に同じ場所で行った環境調査に比べ約3万8000倍の濃度にあたる。」

防波堤内とはいえ、今度は3万8千倍です。ともあれ、海の汚染は本当に
深刻です。

そして8日、今度はストロンチウムが出てきたことが読売新聞によって
報じられました。
「東京電力は8日、福島第一原発敷地内3か所の土壌と、同原発と福島第二
原発の沖合4か所の海水から、放射性物質のストロンチウム89、90を検出した
と発表した。 」

これまで東電や保安院、政府は、放射性ヨウ素やセシウムのことばかり
発表していて、この二つに次いで、放射能漏れ事故のとき出てきやすいこの
ストロンチウムのことに触れてきませんでした。わずかに4月12に検出が
報告されただけでした。

ところがこれが敷地内と沖合の海水から出て来ている。これはストロンチウムが
もっと広範な被ばくを生み出している可能性を強く示唆するもので
ストロンチウムが体内に入ってくると、私たちの身体は、それをカルシウムと
勘違いして取りこんでしまう。だから怖い物質です。それが検出され
出している・・・。


一方で読売新聞は、5月3日に、郡山市にある県中浄化センターの汚泥から
放射能が検出された問題で、汚染された汚泥が、セメント材として、すでに
群馬県内に出荷されていたことを報じています。

これはショッキングな記事です。放射性物質が、このようにして、人為的に
運ばれてしまう可ことがあることが表面化したからです。出荷先は
栃木、群馬、茨城県だという。


そして本日9日、午前1時に、朝日新聞が、次のような記事をアップしました。
「福島県郡山市の下水処理施設の下水汚泥などから高濃度の放射性セシウム
が検出された問題で、県は8日、福島市の施設の汚泥からも、より高濃度の
放射性セシウムが検出されたと発表した。県内の19施設を調査した結果、
18施設で検出。原発事故の影響が県内の広範囲に及んでいる可能性を
うかがわせる。」

かなり深刻です。残念なことに、記事は現れてきた放射能の量を書いてない
のですが、それでもここには郡山市のものより、高濃度のものが出て来て
いると書かれている。

そもそも郡山市の県中浄化センターから出てきた放射能の量は、
あの海洋投棄されて国際問題になった「低レベル放射能汚染水」の総量の
約三分の二という莫大なものでした。
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/5f22cfa08625392a8a5cda6900c13449

これは誰も指摘しなかったことですが、今回は、その時よりももっと濃度が
濃いという。だったら量を発表しなさいと、福島県に詰めよりたくなりますが、
そんな形での検出が、県内19か所の施設のうち、18か所で起こっている。

これを読んですぐに思うのは、これは18か所の施設は除染が必要なのでは
ないかということです。県中浄化センターもそう。浄化センターも除染する
必要がある。しかしそうなると、そこにいたる水や汚泥の経路はどうなるので
しょうか。一体、何をどこまで除染しなければならないのか。

・・・もはや私たちは、こうしたことをあいまいにしてはいけない。いわんや次々と
溢れてくる放射能を前に、けして無力感に捕らわれてはいけない。一つ一つの
データをきちんと明らかにした上で、断固として、除染に取り組むべきです。
能動的に立ち向かわないと、とても身を守ることなどできません。


このように、注意して記事を拾い上げて行くと、わたしたちが今、だんだんど
放射能に取り囲まれていっていることが分かります。それさまざまな形で
福島県境を越えて、周辺に広がりだしています。

当たり前の話ですが、放射能汚染に県境はないし、国境もありません。
福島原発から漏れ出した膨大な放射能は、まさにさまざまな形で私たちの
生活圏に出て来ています。だから汚染は福島だけのことはありません。
これは私たち、みんなを襲いだしているのです。

だから今、これと闘わなくてはいけない。闘って、命を守っていく必要があります。
まさにそのために僕は、ますます多くの人々に、放射線被ばくからの防御を
固めることを訴えたいです。


みなさん。真剣に、一生懸命に、命への愛を燃やしながら、放射能汚染の
拡大と闘いましょう!

*************************

群馬の牧草から規制値上回る放射性セシウム

2011年5月6日13時11分 読売新聞
 群馬県は6日、乳用牛と肉用牛の牧草に含まれる放射性物質について検査
した結果、採取した6か所のうち3か所で農林水産省の暫定規制値を上回る
放射性セシウムが検出されたと発表した。

 牧草1キロ・グラムあたり、前橋市富士見町で750ベクレル、高崎市箕郷町で
530ベクレル、館林市で440ベクレルがそれぞれ検出された。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20110316-866921/news/20110506-OYT1T00386.htm

*****

母乳から微量の放射性物質 福島など在住、健康影響なし

2011年4月30日19時0分 朝日新聞
 厚生労働省は30日、福島県や関東地方に住む女性23人から提供された
母乳について放射性物質の調査をしたところ、7人から微量が検出された
発表した。厚労省の担当者は「調査結果は不検出か微量の検出であり、
母乳を与えても乳児の健康に影響はないと考えられる」としている。

 厚労省によると調べた母乳は4月24、25日に採取。同県いわき市の
女性の母乳から1キロ当たり放射性ヨウ素3.5ベクレル、放射性セシウム
2.4ベクレルが検出されたほか、茨城県の5人と千葉市の1人から放射性
ヨウ素2.2~8.0ベクレルが出た。

 残り16人(福島県3人、茨城県4人、千葉県1人、埼玉県1人、東京都7人)の
母乳からは、検出されなかったという。

 母乳には国の基準がないため、厚労省は、飲料水の暫定基準の放射性ヨウ素
100ベクレル(乳児)、放射性セシウム200ベクレルを参考に評価した。

 調査の対象者は、食品の出荷停止や水道水の飲用を控えるよう求められた
地域に住んでいる授乳中の女性ら。日本産科婦人科学会などを通じて協力を
求めたという。
http://www.asahi.com/special/10005/TKY201104300238.html

*****

福島第1原発:海底2地点から放射性物質検出

2011年5月3日 20時54分 毎日新聞 
 東京電力は3日、福島第1原発から約15~20キロ離れた海底2地点の土
から放射性物質が検出されたと発表した。海底土壌の汚染が明らかになった
のは初めて。東電は同原発から大気中に放出された放射性物質が海底まで
沈んだか、海洋に流出した汚染水が拡散する過程で海底に蓄積したとみている。

 事故に伴う海洋汚染を受け、東電は先月29日に同原発の北約15キロの
福島県南相馬市沖3キロの海底(深さ20~30メートル)の土を採取。1キロ
グラム当たりの放射性物質の濃度は、ヨウ素131が190ベクレル▽セシウム
134が1300ベクレル▽セシウム137が1400ベクレルだった。同原発から
約20キロ南の海岸沖3キロの海底土も同程度の濃度だった。

 海底土壌の汚染に規制値はないが、いずれも通常時の100~1000倍
以上の値だという。東電は海洋生物への影響について「魚介類の継続的な
監視を進めて評価したい」とした。【八田浩輔、久野華代】
http://mainichi.jp/select/weathernews/20110311/nuclear/archive/news/2011/05/20110504k0000m040102000c.html

*****

1号機近くの海底土砂から高濃度放射性セシウム

2011年5月6日11時14分 読売新聞
 東京電力は5日、福島第一原子力発電所の防波堤内の海底で採取した
土から、1キロ・グラム当たり8万7000ベクレルの放射性セシウム137を
検出したと発表した。

 事故前に同じ場所で行った環境調査に比べ約3万8000倍の濃度にあたる。

 土は1号機北側の岸壁から東約30メートルの海底で4月29日に採取された。
セシウム137以外にも、事故前は検出しなかった放射性のヨウ素131が
同5万2000ベクレル、セシウム134が同9万ベクレル検出された。

 これらの濃度は、事故で放射性物質が飛び散った同原発敷地内の土壌に
比べ、5分の1以下のレベル。東電は「高濃度の放射能汚染水が流れ込んだか、
大気中の放射性物質が落ち、海底に沈殿した可能性がある」としている。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20110316-866921/news/20110505-OYT1T00619.htm

*****

原発敷地内土壌と沖合の海水からストロンチウム

2011年5月8日23時17分 読売新聞
 東京電力は8日、福島第一原発敷地内3か所の土壌と、同原発と福島第二
原発の沖合4か所の海水から、放射性物質のストロンチウム89、90を検出した
と発表した。

 特に土壌2か所から見つかった、骨に沈着するストロンチウム90は、冷戦
時代に実施された核実験の後に、日本で観測された濃度の約100倍に上り、
東電は今回の原発事故で放出されたものとしている。一方、第一原発の放水
口付近などから採取した海水に含まれていたストロンチウム90は、国が定める
濃度基準の最大でも3割程度だった。採取日はいずれも4月18日。

 文部科学省は4月12日、福島県飯舘村など6市町村の土壌などから微量の
ストロンチウム90が検出されたと発表している。

 ストロンチウム90は、カルシウムと似た性質を持ち、体内に取り込まれると
骨に沈着するため、毒性の高い放射性物質の一つとされる。
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110508-OYT1T00509.htm

*****

放射性物質含む汚泥、セメント材に使用

2011年5月3日23時06分 読売新聞
 福島県郡山市の県中浄化センターの汚泥から高濃度の放射性物質が検出
された問題で、汚泥がセメント材として栃木県内などに出荷されていたことが
3日、わかった。

 住友大阪セメント(東京)によると、汚泥は栃木県佐野市の栃木工場で
セメント原料として再利用されていた。同工場でのセメントの生産・出荷を中止した。

 福島第一原発事故後に使った汚泥は928トンに上り、栃木をはじめ群馬、
茨城県などに出荷していた。

 汚泥から放射性セシウムが1キロ・グラムあたり2万6400ベクレル検出
されている。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20110316-866921/news/20110503-OYT1T00636.htm

*****

汚泥の高濃度セシウム 福島市の下水処理施設からも

2011年5月9日0時58分 朝日新聞
 福島県郡山市の下水処理施設の下水汚泥などから高濃度の放射性セシウム
が検出された問題で、県は8日、福島市の施設の汚泥からも、より高濃度の
放射性セシウムが検出されたと発表した。県内の19施設を調査した結果、
18施設で検出。原発事故の影響が県内の広範囲に及んでいる可能性を
うかがわせる。

 県は、汚泥の搬出先について追跡調査する。また、国は下水汚泥の放射性
物質の処理基準を策定中で、基準がまとまり次第、県は処理方法を決める。
県内の下水処理施設は汚泥などの搬出を休止しており、基準策定が遅れると
下水処理が滞る恐れがある。

 郡山市の県中浄化センターでは4月30日の調査で、汚泥から1キロあたり
2万6400ベクレルの放射性セシウムを検出。その後、19施設を調査した結果、
福島市の堀河町終末処理場の汚泥から同44万6千ベクレルの放射性セシウム
が検出された。郡山市の別の施設でも汚泥から高い値を検出。いわき市の
施設では、原発事故前は検出されなかった汚泥の燃え殻から3万5700
ベクレルを検出した。

 堀河町終末処理場の汚泥が高濃度になったことについて、県は「下水に対して
雨水の割合が高い処理場で、広い範囲の土壌から放射性物質が流れ込んだ」
とみている。

 同処理場を管理する福島市によると、郡山市の施設の問題が明らかになった
後は脱水処理や搬出を休止し、汚泥は敷地内でコンテナに保管しているという。
福島市は「処理をしなければ今月20日ごろまでに満杯になり、汚泥が河川に
流出してしまう」としている。
http://www.asahi.com/national/update/0508/TKY201105080250.html


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