明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(2038)被爆した浦上天主堂の取り壊しと山田かん氏の告発ー山口研一郎氏の論稿から−2

2021年05月30日 10時30分00秒 | 明日に向けて(2001~2200)

守田です(20210530 10:30)

愛媛県松山市のホテルからです。四国を講演などで巡る旅の途中です。
今日は午後1時半から行われる「伊方原発をとめる会」の定期総会で講演させていただきます。コムズ大会議室にてです。
この講演の前に、前回から掲載している山口研一郎氏の論稿、「原発被災地・フクシマに漂う「核との共存」ー被爆地・ナガサキも同じ過ちを経験した」の続きを掲載します。

以下、山口さんの論文の続きです。

######

3 . 浦上天主堂の取り壊し
永井氏(「永井精神」)の偶像化の結果は、1958年の浦上天主堂の取り壊しとして現われました。1895年(明治28年)から1925 年(大正14年)の30年の歳月をかけて建立された天主堂は、浦上地区のカトリック教徒の精神的支柱でした。それが、1945年8月9日の一瞬の出来事によって破壊されてしまったのです。

永井氏は、先の合同葬において、「世界戦争という罪の償いとして浦上教会が犠牲の祭壇に供えられた」 と述べました。
浦上地区の人々を始め長崎市民は、「被爆の象徴」たる天主堂の廃墟の存続を切望しました。 しか し、 1956年8月から9月訪米を果たした当時の 田川務市長(被爆者でありカトリック信者)は、取り壊しを決定したのです。市議会議員全員の反対にも関わらず、浦上司教区山口愛次郎大司教が有した永井氏の「神のこ摂理」に沿う考えがその原動力となりました。 こうして、1958年5 月初旬、天主堂は跡形もなく 地上から消え去りました。

その背後に、来たるべき「冷戦」をひかえたアメリカの核戦略構想があったことは言うまでもありませ ん 。
その推進のために開発された原爆が、カトリック教徒の聖地(天主堂が存在する長崎は、 東洋のローマ=ヴァチカンと称された)を破壊し尽し、8500人の信者を死亡させた事実を一日も早く葬り去ることが必要でした。その象徴こそ天主堂であったのです。天主堂の取り壊しは、同時に「被爆への怒りの終焉」 とも言えたのです。こうして長崎は、「平和記念都市」から「国際文化都市」へと変質しました。


原爆の残虐さを示していた被災した浦上天主堂


4 . 反旗を翻した山田かん氏

そのような風潮に敢然と反旗を翻したのが長崎市在住の被爆詩人山田かん氏でした。山田氏は、「偽善者・永井隆への告発」(原題「聖者・招かれざる代弁者」)の雑誌投稿(『潮』1972年7月号)によって、永井氏の数々の著書を真っ向から批判しました。特に、『長崎の鐘』における原爆が終戦をもたらしたとする論が、「アメリカの(原爆を投下した)政治的発想を補強し支えるデマゴギ—」であるとしました。

全国のカトリック教徒や一部長崎市民の反発は大きく、当時「家庭内にはタブーに触れた恐れのような不安感が漂っていた」(長男貴己氏)、「毎日はらはらして過ごしました」(妻和子さん)といった状態でした。しかしその後山田氏の主張は、1994年出版の高橋慎司氏(長崎大学名誉教授)によ る『長崎にあって哲学する一核時代の死と生』 を始め、多くの長崎市民に受け継がれました 。

毎年「金魚売り」のように夏の風物詩になってしまった原爆慰霊祭に対して心底から怒り続けた山田氏は、1952年から亡くなる(享年72歳)2003年6月までの50年余りに、550篇に及ぶ詩を詠まれました。
山田氏の業績を偲ぶべく、ここに1985年2月に詠まれた現代にも通じる一篇を紹介します 。


帰リ来よと一

夏が過ぎまた残酷の刻(とき)が去り
初秋の雲が流れゆく夕暮れどき
テレビは明滅しながら報じていた
アメリカ人ジョン・スミザーマンの死を

もういつだったか
画面に見ていた記憶があった
リンパ浮腫のため両足を切断
陽気な笑みでグローブ大にはれた両手を差し出した
車椅子の男の姿
1946年6月7日戦後初のビ年二環礁原爆実験
17歳の少年はこの時
アメリ力海軍艦上消防兵として
核の前面に晒(さら)されていたのだ

スミザーマンのそれからの人生が
被爆者としてのものだったことを
アメリカ国家はついに認めようとしなかった
間断なく続く実験のあと多くの被爆兵士が生じたことも

日本に帰りたかった
との言葉を遺(のこ)して死んだと
テレビが伝えたとき
ふと湧き上がる涙をとどめようもなかった

帰りたかった 何処(いずこ)へか
帰るに値するところがあるのか
わが国の中に
なにほどの救護の拠点があったというのか
被曝民族がいまや世界に満ちている
韓国・朝鮮人、中国人、インドネシア人、オランダ人、マーシャル人、アメリカ人
日本人、さらに核保有国のすべての民族さらに原発保有国のすべての民族

核の禍(わざわい) 
救いのない国家の中の孤独
ひとりひとりは分断されつづけ後遺症をかかえ
なおもたたかいつづけ帰るところもなく
恢復の望みも見えぬままに

世界に向けて かえるところはここなのだと
ユイイツノヒバクコクニッポンならば
それをどうして言えなくしてしまったのか
ぐんびもかくもわが国には一切ない と

あるのはすぐれた医療と海と緑と風と光 
なぐさめの雨と苦しい思いからの目覚めと
鋭い反核の意志だけだと
たたかい疲れたおとろえた人よ 
帰り来なさい と


埼玉協立病院を訪れたジョン・スミザーマンと付き添う肥田舜太郎医師
撮影 森下一徹 世界ヒバクシャ展より

#浦上天主堂 #永井隆 #ジョンスミザーマン #肥田舜太郎 #ナガサキ #フクシマ 

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明日に向けて(2037)原発被災地・フクシマに漂う「核との共存」-被爆地・ナガサキも同じ過ちを経験した・・・山口研一郎氏の論稿から-1

2021年05月27日 21時30分00秒 | 明日に向けて(2001~2200)

守田です(20210527 21:30) 

山口研一郎医師の問い

本年3月18日の号で、以下のタイトルで山口研一郎医師の論稿をご紹介しました。
明日に向けて(2005)『放射線副読本』の次に来るもの-放射線災害復興学にまっとうな批判の目を!ナガサキの経験に学びながら
https://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/b94fd007ea75aa87347aae6a86a7829c

山口医師が指摘されたのは、アメリカによる原爆による虐殺攻撃を受けたナガサキにおいて、カトリック信者の永井隆氏が「浦上は神に選ばれたいけにえ」「原爆を喜べ」と説いて、怒りを抑えこもうとしたという衝撃的な内容でした。


長崎原爆資料館に祀られた永井隆氏 守田撮影

しかもその永井隆氏の信奉者が、原発事故後に福島に入って安全論を吹聴した山下俊一氏であり、その一番弟子の高村昇氏が「放射線災害復興学」という「核との共存」を目指す「学問」を立ち上げていることを、山口氏は指摘されています。
その高村昇氏は、文科省が出した『放射線副読本』の事実上の主筆であり、さらにいま、福島県双葉町に設立された「福島原発事故伝承館」の館長にもなっています。

それらの点から、山口研一郎医師の論稿が極めて重要と考え、論点の紹介にとどめずに全文を掲載させていただくことにしました。もちろん山口医師のご快諾を得ています。
長いので3回に分けます。なお初出は、原発設置反対小浜市民の会が発行している『はとぽっぽ通信』227号(2019年2月)への掲載です。

ただ前回の記事を書いた際、永井氏の発言によってあたかも長崎の怒りのすべてが押さえつけられたかのような誤まった紹介の仕方にもなってしまいました。実際にはこれを突き破る力強い運動も生まれました。この点、お詫びして訂正させてください。


以下、山口氏の論稿をご紹介します!

原発被災地・フクシマに漂う「核との共存」-被爆地・ナガサキも同じ過ちを経験した

1 . はじめに
2011年3月11日の福島原発災害以来、 8年目を迎えようとしている現在、政府や電力会社は、「原発の有効性、安全性」を強調しながら(「福島を経験したからこそ、日本の原発は安全」)、いったん停止した原発の稼働を一基また一基と再開しています 。司法もそれにお墨付きを与えています。
そのような国ー企業ー司法一体となった原発推進の動きがある一方で、私がより深刻に感じるのは、民間の人々の中から「核との共存」「核への敗北感・あきらめ」といった思考・感情が沸々と沸き上がり、それを肯定し理論化する専門家や文化人、知識人が出ていることです 。

実は、そういった現象は今に始まったことではありませ ん。私の生まれ故郷である長崎でも、被爆直後から「核との共存」「平和利用」が語られ始め、その挙句、原爆ヘの怒りから「祈りの長崎」へと変質した過程があります。決して現代の「フクシマ」は独立したものではなく、「ヒロシマ・ナガサキ」から連綿と繰り返されてきた負の歴史の延長線上にあります 。そして、またもや「ヒロシマ・ナガサキ」の過ちを「フクシマ」が繰り返そうとしている厳しい現実を、私たちは直視する必要があると思うのです。


あたかも「事故があって良かった」ように語り、二十歳を過ぎると放射線の影響はないといいきった山下俊一氏 ネットより


2 . 被爆地 ・長崎において、永井隆氏が果たした役割
 
永井隆氏と言えば皆さん御存知のように、長崎の原爆中心地(グランドゼロ)浦上在住のカトリック信者であり、原子物理学者で、長崎医科大学放射線科助教授としての仕事中被爆した方です。被爆7年目の1952年、幼い2人の子ども(夫人は爆死)を残し、白血病で亡くなりました(享年43歳)。そのいきさつは、戦後出版された『長崎の鐘』(1946年)、『この子を残して』 (1948年)、『いとし子よ』 (1949年)とい った数々の著書でも知られています。まさに、被爆地長崎における平和の使者として崇拝されてきました。

しかし私は、長崎大学に入学した1970年頃より、医学部の先輩たる「永井先生」に対して、何がしかの疑問を持っていました。それを決定付けたのは、1970年7 月発行の『週刊朝日』 臨時増刊号「長崎医大原子爆弾救護報告」でした。被爆直後に記録された永井氏直筆の「報告」は以下の文章で結ばれています 。

「原子爆弾の原理を利用し、それを動力源として、文化に貢献できる如く更に一層の研究を進めたい。転禍為福。世界の文明形態は原子エネルギーの利用により一変するに決まっている。 そうして新しい幸福な世界が作られるならば、多数の犠牲者の霊も亦、慰められるであろう。」


「長崎医大原子爆弾救護報告」が掲載された『週刊朝日』 臨時増刊号

また、被爆の年11月の合同葬において弔辞を読んだ永井氏は、以下のような言葉で締め括りました 。
「嗚呼、世界大戦争の闇、将に終わらんとし平和の光さし始めたる八月九日、この天主堂の大前に立てられたる大いなる播祭よ一悲しみのうちにも私共はそれを美しきもの、潔きもの、尊きものよと仰ぎ見たのでこざいます。浦上教会が世界中より 選ばれ熾祭に供せられたことを感謝しましょう。」

さらに、1948年出版の『ロザリオの鎖』には、以下のような文章がみられます 。
「原爆に見舞われて私たちは幸せであった。浦上住民の信仰一途を見よ。天主堂に存する御聖体の下、隣人互いに助け合って快く苦難の道を歩みつづける姿は、外観は貧苦であるが、幸福に満ちているのである。」
「あれほど恐れられた残存放射能も、ひと雨ごとに洗い流され、いまではほとんど証明できない。田畑の作物もむしろ出来がよくなった。生まれ出る子供に不具 〔ママ〕がありはしないかと心配されたが、丈夫な赤ちゃんが次々と産声をあげた。お嫁さんの妊娠率も悪くなく、祝福された女の人がよく私の家の前を通る。もう何の心配もいらない。」

晩年、浦上近郊の一画二畳ー間の「如己堂」に臥すことになる永井氏は、1948年10月へレン・ケラー女史の訪問を受け、1949年5月長崎へ「行幸(ぎょうこう)」した天皇への「拝謁(はいえつ)」、12月長崎市名誉市民、そしてノーベル化学物理学賞を受賞 (1949年) した湯川秀樹氏らと共に文化勲章を授与されました 。1949~50年には、『長崎の鐘』が同じ題名で歌になり、映画化されました。

こうして永井氏は、長崎における聖人として奉られ、「永井精神」に対する批判はタブーとされ、1970年までの20年間封印されました(現在でも、観光バスが如己堂近くを通過する際、「長崎の鐘」のメロディーと共に、ガイドさんより永井氏が果たした数々の偉業が紹介されているようです)。


山下俊一氏の「右腕」の高村昇氏が「放射線副読本」を執筆し「放射線災害復興学」を起こしている

続く

#山口研一郎 #永井隆 #山下俊一 #高村昇 #ナガサキ #長崎の鐘 #核との共存

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明日に向けて(2036)身近にひそむ危険なものたち・・・について高松市でお話します-5月31日(月)10時から

2021年05月25日 23時30分00秒 | 明日に向けて(2001~2200)

守田です(20210525 23:30)

放射能と電磁波の危険性を「身近な視線」からお話します!

29日徳島市、30日松山市と講演し、さらに31日に高松市でお話します。
主催は「going my way+」というグループ。
少し前にコープ自然派しこくの高松オリーブセンターでzoom講演をさせていただいたときに、企画の中心になってくださった方がお仲間と立ち上げてお話会を設定してくださいました。

タイトルは「身近にひそむ危険なものたち」
「放射能」について、「電磁波」についてお話して欲しいとのこと。
「電磁波」についてはこれまでそれほど詳しくは論及していませんが、折に触れて避けることをお話してきたので、今回、まとめてお話しできるのでありがたいです。

チラシに「知らないことを知るのってとても大切」とあります。
その通り!現代社会は危ないものが本当にたくさん野放しにされています。
でもその一つ一つをきちんと把握すれば、心身を適切に守ることができます。今回、そんなことをお話します。

 

絶品のチーズケーキも!

場所は高松市のテキーラバーAnejo アネホと読むそうです。
住所は高松市瓦町2丁目1-28 2F バーを午前中に開けて下さいます。
ご店主のHIDETOUさんもご参加してくださるそうですが、その方の特製バスクチーズケーキをいただきながらの会です。

ちょっと調べてみたらなんと「人生が変わるチーズケーキ」とうたわれている。
スペインバスク地方のサン・セバスチャンにある料理店ラ・ビーニャのレシピをもとにしたベイクドチーズで、表面が黒くなるまで焦がしたキャラメルで覆われていながら、中はトロトロなのが特徴だとか。
ただしバスク地方では「バスクチーズケーキ」の名で売られているものはないそうです。

こ、これはやばいかもしれない。しかもご店主のことを調べると「食文化仕掛け人」とある!
Facebookページも見つけてしまいました。
https://www.facebook.com/HIDETOU.OHNISHI/


命と身体と食べ物と

HIDETOUのFacebookページを読んでいて、これはお話会に本当に素敵な場を選んでいただけたなと、ジーンと感動してしまいました。
命と身体と食べ物のことに強いこだわりをもち、生業としているコープ自然派さんに関わる方ならではのチョイスだなとも。
放射能や電磁波の害から身を守るためには、確かに直接にその危険性を知り、対応していくことが大事です。

でも同時に、危険なものの反対にあるもの、それも単に安全だというだけでなく、心にいいもの、身体にいいもの、それをたくさん採りたいものです。
そしてそのために深めれば深めるほど良いのが食文化だと思うのです。
「ああ、おいしい」というあのひと時、舌先をとろかす官能や、そこからじんわりと身体全体に広がる喜悦、その総体がさまざまな危険物質からの暴露から私たちを守ってくれます。


HIDETOUさんHPより

だから「身近にひそむ危険なものたち」の反対側にあるのが「身近にあるおいしいものたち」です。
ところがFacebookを読んでいると、HIDETOUさんも周りのお店も、コロナの中のあやまった事実上の営業禁止の中でものすごくあえいでいるのも分かる。
HIDETOUさんは、こう書いておられます。「外食は決して不要不急では無いし、お酒や夜の飲食店が直接コロナに感染する原因になってるわけではありません。」

本当にその通り!
だからこの日は、放射能や電磁波の危険性を知るだけにとどめず、その害から身を守るためにも、アネホのような場をどうみんなで支えるのかもお話できたらなと思います。


HIDETOUさんHPより

あ、しかしチラシを良く見ると連絡先が書いていない!
またすでに定員ギリギリかも。
われはと思う方はとりあえず守田まで連絡をください。(morita_sccrc@yahoo.co.jp)

#身近にひそむ危険なものたち #Anejo #放射能 #電磁波 #バスクチーズケーキ #HIDETOU

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明日に向けて(2035)危険な伊方原発を止めるために!ー5月30日(日)松山市でお話します

2021年05月24日 22時30分00秒 | 明日に向けて(2001~2200)

守田です(20210524 22:30)

伊方原発をとめる会総会でお話させていただきます

5月30日に松山市で開かれる「伊方原発をとめる会」第11回定期総会で記念講演させていただくことになりました。
大変、光栄です。まずは総会情報をお伝えします。

伊方原発をとめる会 第11回定期総会のご案内
日時:5月30日(日)13:30~16:30
会場:コムズ 5F大会議室(松山市男女共同参画推進センター)
(松山市三番町6-4-20  ℡089-943-5776)

 



「原発からの命の守り方」について13:30からお話します

総会の初めに「原発からの命の守り方」というタイトルでお話します。
このところ話したいコンテンツがたくさんあって悩ましくも思い、あれやこれや考えあぐねましたが、さきほどようやくパワポを作り上げて、レジュメを送りました。
こんな感じでお話します。

1、原発の現状と新規制基準の問題点
2、事故の影響は250キロ? その原発の耐震性はハウスメーカーより低い -樋口英明元裁判長の問いから
3、南海トラフ地震とひずみ集中帯地震の危機
4、とくに伊方原発はこんなところが危険

5、災害時にはとっとと逃げる‐正常性バイアスにはまらない
6、日本中の中核都市が危機に瀕している
7、原発災害のときはこうする

8、被曝被害の現実を考える‐三田茂医師の問いから
9、なぜ被害が隠されるのか-原発は核兵器製造から生まれた
10、原爆投下と被害隠し
11、米核ミュージアムに示されたもの
12、アメリカの被曝を思う

13、『放射線副読本』について-ナガサキとのつながりが!
14、被曝の遺伝的影響と立ち向かう
15、被爆国論と「資本主義と暴力の関係性」を捉え返す

記念講演:13:30~    【入場無料】
講師: 守田 敏也さん(フリージャーナリスト)
 「原発からの命の守り方」


15時10分から総会です!

以下に進められるとのことです。
伊方原発をとめる弁護団からの報告 活動報告 会計報告 活動方針案 予算案 役員案の提案 質疑討論

チラシ掲載の文章をご紹介しておきます。

東京電力福島第一原発の事故から10年。
「原子力緊急事態宣言」は出されたままですが、誰も責任を取らないままに「安全神話」が復活し「安心神話」がつくられ原発推進が続いています。 
四国電力伊方原発3号機は、2019年末の定期検査以来、停止していましたが、3月18日の広島高裁の運転を認める不当決定により、10月からの再稼働を四国電力は目論んでいます。
伊方原発の廃炉と再生可能エネルギーへの転換を求めて、私たちは一層活動を強化しなくてはなりません。
ご一緒に学び、意見交換をしましょう。ぜひご参加ください。

伊方原発をとめる会
〒791-8015 松山市中央2丁目23-1、201号
電話 089-948-9990 FAX 089-948-9991
e-mail: ikata-tomeru@nifty.com

近隣のみなさま。5月30日(日)、松山市でお会いしましょう!

#伊方原発をとめる会 #原発からの命の守り方 #新規制基準の問題点 #原発の危険性 #原発と原爆

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明日に向けて(2034)『放射線副読本すっきり読み解きBOOK』読み会を近江八幡市と徳島市で行います(本日5月23日日曜日と5月28日土曜日)

2021年05月23日 10時00分00秒 | 明日に向けて(2001~2200)

守田です(20210523 10:00)

ひとつぶてんとう園(近江八幡市コープ)にて本日開催します!

『放射線副読本すっきり読み解きBOOK』を読む会を行います。
一つは本日5月23日日曜日、ひとつぶてんとう園(近江八幡市)の場にてです。
「ひとてん」ではこれまで、参加しているお母さんたちと一緒に2回の読み会を行いましたが、その日は「さんのの日」を同時に開催。

「さんのの日」とは自分の娘さんも連れてひとてんに参加している馬場山往(さんの)さんと子どもたちの日。
かあちゃんたちはあえて参加せず、こどもたちとさんのの素敵な日。いろいろなことに果敢に挑みます。
この日が同時にあると、かあちゃんたちが学習に集中できて良いのですが、さんのの日にいくのか、学習に参加しているかあちゃんのそばにいるのかは子どもたちが決めます!

さて、以下はさんのさんの言葉
「危ないこと、ものからは、子どもたちを遠ざけようというのが最近の風潮のように感じる。
ナイフでもそうだけれど、いいところ、わるいところ両方あること、どうしたら危なくないのか、人を傷つけないのか、それを身につけるには早い方がきっといい。
素直に吸収するし。
子どもには危ない危ないと言うけれど、使い方を知らない大人が持つのが一番危ない。」

うーん。さんのの日、興味がある。でもなあ「さんのの日と一緒だとさんのさんが学習に参加できないですねえ。さんのの学習の日があるといいなあ」と言ったら、「それでは」ということでさんのさんの学習日が設定されました。
さらに「それなら」ということで、パパさんたちへの呼びかけが始まった。というわけで今日は「さんの+パパたち」の日なのです。あ、さんのさんもパパだから、「パパの日」でいいのか。あれ?「とうちゃんの日」かな??

ともあれそんなわけで、パパさんたちでの読み解き会を、本日午後1時より行います。




コープ自然派しこく 徳島センター(徳島市)にて28日に行います

もうひとつは28日土曜日にコープ自然派しこくの、徳島センターにて行われます。「くらす委員会」が主催です。
会場とzoomの併設ですが、すでに一般の方の申し込みは終了だそうです。コープ自然派の組合員さんはまだ申し込みを受け付けているそうです。

コープ自然派さんには、この間、ずいぶんたくさんの講演をさせていただきました。
各県や府の理事長・理事さんたちと、伊方原発を訪ねるツアーをご一緒したこともあります。
福島原発からの汚染水の海洋投棄を止めて欲しいとの要望を、一緒に経産省・水産庁・東電に申し入れにいったことも。

こうしたことを重ねる中で、「命を守る」ための一番大事な観点をしっかりと共有していることを感じてきました。
実際、内部被曝の害と立ち向かうには二つ点がポイントになります。
一つに放射線被曝、とくに内部被曝の危険性をしっかり把握すること。
二つに毎日の生活の中で、被曝を避け体の力を向上させる食べ物を採ること。

この二つ目のことを事業の中で展開されている方たちの一つがコープ自然派さんで、僕は命を守るうえで、とても大きな意義と役割を果たされていると思います。もちろん一つ目への取り組みも積極的です。
だからこそこの間、何度もいろいろな企画を一緒に行って来ましたが、今回もその延長線上で、お話させていただきます。

今回は「内部被ばくから命を守る」のタイトルでBOOKの前半三分の一ぐらいを読みます。
その上で、この5月10日から13日まで福島県内各地で取材し、色々な人にお話を聞けたので、その報告も行いたいと思います。ぜひご参加下さい。


 徳島の読み会のお申し込みは以下から

以下にコープ自然派しこくさんのHPから情報を貼り付けておきます

*****

【徳島】守田敏也氏講演会「内部被ばくから命を守る」
2021/5/29(土)10:00~12:00 主催 くらす委員会
https://www.shizenha.net/shikoku/event/4368/?fbclid=IwAR2mvI3F2_8vjB_cTvXgix9Fztk3cWkhPa5OwmXaUc-2UUamxsO3Xt6sU8c

守田敏也さんより「放射線副読本 すっきり読み解きBOOK」の解説をしてくださいます。

処理水海洋放出が、2年後をめどに実施されることになりました。
トリチウム水による人体への影響、内部被ばくの問題など。
原発災害から10年目。今なお残された問題点について、一緒に考えていきたいと思います。

【守田敏也(もりたとしや)氏 プロフィール】
フリーライター。環境問題や平和問題に関わる。原子力政策に関しても研究・批判活動を続け、福島原発事故以降は被爆地をたびたび訪問。
各地で放射線防護の講演会を行っている。著書に「内部被ばく」「原発からの命の守り方」がある。

【参加費】
組合員の方:300円   組合員外の方:450円
組合員外の方でオンライン参加希望の方は、申込後に参加費振込先などをメールにて送信いたします。
参加費の振込確認後に参加希望のお申込を受付させていただきます。

【募集人数】
徳島センター会議室へご参加の方:10名まで   オンライン参加(Zoom)の方:50回線まで
※コープ自然派の組合員様のオンライン参加の方に限り、参加受付期間を延長させていただきます。締め切りは2021/5/28(金)12:00
(組合員外の方は受付終了をさせていただきました。)
(会場参加は定員に達しましたので、締切させていただきました。)

お申し込みのための詳しい情報はHPをご覧下さい。
https://www.shizenha.net/shikoku/event/4368/?fbclid=IwAR2mvI3F2_8vjB_cTvXgix9Fztk3cWkhPa5OwmXaUc-2UUamxsO3Xt6sU8c

#ひとつぶてんとう園 #コープ自然派しこく #放射線副読本 #すっきり読み解きBOOK

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明日に向けて(2033)原子力規制委員会、サーバーへの不正侵入に1年間気が付かず情報300件を盗まれる・・・もはや規制委員会から規制権限を取り上げるべきだ!

2021年05月21日 13時00分00秒 | 明日に向けて(2001~2200)

守田です(20210521 13:00) 

東電のセキュリティを批判しながら自分たちのセキュリティに大穴をあけていた規制委員会

再び原発関連で、ひどい事態が発生しました。原子力規制委員会が、サーバーへ不正侵入され、職員のIDやパスワードなど、300件の情報を盗まれていたと言うのです。
しかも規制委はこれに1年もの間、気づいていませんでした。電力会社の監視役とされ、東電のセキュリティ対策の不備を声高に批判しているにもかかわらずです。

具体的には不正侵入は昨年10月26日に発覚。サーバーの設定ファイルなどが盗まれましたが、この時は監視装置が侵入を検知したので、規制委事務局の原子力規制庁が外部からのアクセスを遮断し、被害を調べました。
すると不正が過去にすくなくとも4回あったこと。最初は2019年8~9月にあり、職員やシステム管理請負業者らの250~300件の認証情報が盗まれました。その後19年9月、20年3月にも侵入されましたが気づきませんでした。

なぜ侵入を許したのかと言うと、外部から安全に接続するために使うVPN(仮想私設網)が最新版ではなかったためとのこと。更新していれば防げた可能性があったというのです。
あまりにセキュリティが甘く、弱い。大問題です。そもそもそれでなんで東電や電力会社を規制できるというのでしょうか。これまでも繰り返し述べてきましたが、原子力規制委員会から規制権限を取り上げないと危険なことが続くばかりです。


規制委員会がサーバーに不正侵入を許していた問題を報じる東京新聞 20210520


自らの失態の中で東電に迫れなかった?

1年間も不正侵入を許していたということだけで、もう規制委員会の規制権限を召し上げるべきだと思いますが、さらにこの事態が、東電への審査の甘さに連なっていたとも思える点を指摘しておきたいと思います。
というのは不正侵入が発覚した10月26日の少し前の9月20日に、東電社員が中央制御室に他人のIDを使って不正入室してしまった問題が起こったのでした。東電はこれを原子力規制庁にすぐに伝えましたが、情報がそこで止まっていた。

なぜ情報が止まってしまったか、きちんと解明されていないのですが、実は規制委は17日の審査会合で、柏崎刈羽6,7号機の再稼働に必要な管理手順をまとめた「保安規定」の変更を承認しています。
これが10月23日の定例会合で了承され、事実上、再稼働へのゴーサインが出されたのですが、よくみると規制委員会への不正侵入の発覚は、その直後の10月26日に起こっています。

ここまでくるとこの日にちも疑わしい。もう少し前に、つまり再稼働に許可を与える前に分かっていたのに、発覚日をその後にずらした可能性もある。
しかしともあれこれら一連のことから明らかなのは、自らセキュリティに大穴をあけていた規制委員会が、不正入室事件を把握しないまま再稼働を許可していたということです。規制委員会は自分のこともけじめられないから東電も監督できないのです。


東電が繰り返した不正を報じる東京新聞 20210316

 

規制委から規制権限を取り上げるべきだ!

僕は「明日に向けて」の場で、これら一連のことをそのつどおさえて報じてきました。
恐ろしいのは東電は無論のこと、こんな杜撰なことばかり繰り返し、電力会社に対してだけ偉そうに振る舞い、その実「なめられている(更田委員長談)」規制委員会にこれ以上、規制権限を与えていたら必ず大事故が起こるということです。

本当に恐ろしい。規制委員会がこれまで発した再稼働の許可もすべて審査しなおすべきですが、こう述べているのは何も僕一人ではありません。
例えば、昨年12月4日に、大阪地裁が大飯原発3,4号機に対して規制委員会が出した設置許可の取り消しを命じる=再稼働の認めない判決を出しています。

しかも「規制委の判断は地震規模の想定で必要な検討をせず、看過しがたい過誤、欠落がある」(大阪地裁森鍵一裁判長)という厳しいものでした。
この声をもっと大きくしましょう!これ以上、原子力規制委員会に原発を扱わせていてはダメです。


市民側勝訴を報じるMBSニュース 20201204


規制委員会がどうダメなのかしっかりつかもう

これらのことを確信をもってつかむコツをお教えします。時系列に沿ってこれまで起こったことをきちんと把握するのです。
僕も毎回の事態に対してきちんと向かい合い、分析し、こうして記事を残してきているからこそ、あらたな事態に対応できます。

以下、これらについて記した幾つか記事をご紹介しておきます。ぜひお読み下さい。

明日に向けて(1946)大飯原発の設置許可がダメだから他の原発も全部ダメ! 原発から命を守るためにー7(20201206)
https://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/38dc697f94e3661b18f42cee847e43ac

明日に向けて(1972)柏崎刈羽原発で不正と失態が連続-制御室へ不正入室と安全工事未完了見逃し これでは大事故は必至だ(20210130)
https://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/9de97a19b05dfa112110ec76d48d12b1

明日に向けて(1975)原子力規制委員会は柏崎刈羽原発への再稼働の許可を取り消し許認可権限を返上すべきだ(20210207)
https://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/740d2aa31fda1fcbc2f34fdcf56e99ef

明日に向けて(2010)東電柏崎刈羽原発で長期間セキュリティに穴が・・・もはや東電に原発を扱う資格はない!(20210327) 
https://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/55d5501cb1a3d74a7adc9e69179df7c4

明日に向けて(2011)柏崎刈羽原発東電不正問題で浮き彫りになったのは規制委員会もまた問題だらけだということ(20210328)
https://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/d68d41f693072b8de6aa29a0aedceb4c

#原子力規制委員会 #サーバーに不正侵入されていた #規制委一年間不正侵入を把握せず #規制委から規制権限を取り上げよ #セキュリティに大穴 #規制委の再稼働認可の取り消しを 

*****

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明日に向けて(2032)国はこれまで遺伝的影響をことごとく否定してきたー森川聖詩さんの投稿より ICRPの考察7

2021年05月20日 15時00分00秒 | 明日に向けて(2001~2200)

守田です(20210519 15:00)

前回、ICRPと密接な関係にある放射線影響研究所が、被爆二世のゲノム解析をしたいと言い出したこと、その真意がどこにあるのかを分析しました。
この点について、この間、さまざまに考察と行動を共にしている被爆二世の森川聖詩さんが、いちはやくFacebookにコメントをあげられています。
国の被爆二世への対応の歴史的経緯も踏まえてのものであり、資料価値も高いので引用・転載させていただきます。以下、森川さんの文に小見出しを入れて整理しました。


遺伝的影響をことごとく否定してきた日本政府(森川さんの投稿より)

「放射線の遺伝的影響についてのABCC(原爆傷害調査委員会)→放影研、そしてその見解をことごとく踏襲する厚生省→厚労省の主張や論法は、常に一貫しています。
戦後、ABCCが行なった調査のあり方は、対象とされた被爆者人口や調査項目、比較のし方などにおいて、統計的に有意な結果が見いだされるかどうかおおいに疑問視されるものでした。
しかしながら、ABCCは、この結果をもって「遺伝的影響はなかった」と大々的に宣伝しています。

この時から今に至るまで、ABCC~放影研と厚生省~厚労省は、「遺伝的影響は認められない」として被爆二世の医療保障の要求を退けながらも、放影研「被爆二世健康影響調査」を行う一方、1980年から実施されている国による「原爆被爆者二世の健康に関する調査・研究」→「被爆二世健診(健康調査)」によりデータを集積し続けてきています。
2018年6月の日本被団協中央行動において厚労省は、国の健診結果について「がん、その他諸疾病に罹患しているなどの症状の発現が見受けられる」と口を滑らし、実情を吐露する答弁を行なっています。
ただ、直後の私たちの追及に対して、これは「健診を受診する人は健康に問題や不安がある人が多くいことに起因する当然の結果であり、それが被爆二世総体における傾向とは考えられない」とも述べています。

昨今の福島原発放射能汚染水海洋放出問題にも象徴されるように、国にとって放射線の被ばく影響を過小評価することは戦後常に至上命題でした。
なかでも遺伝的影響については、これを認めれば、国がほしょうすべき対象人数は二世・三世…と飛躍的に増えることにつながる…しかもそれは原爆被爆者の子孫に留まらず、福島をはじめ原発等被ばく者・核被害者の子孫へのほしょう問題にも波及していく…と同時に核開発を進める上での国民からの大きな反発要因にもなるのは必至です。それをいちばん国は恐れているはずです。それなのになぜあえてゲノム解析までしょうとするのでしょうか?」


放影研によるゲノム解析の準備の進行を報じる共同通信 2020年10月19日

ゲノム解析の狙いはデータ蓄積と影響の再否定だ(森川さんの投稿より2)

「それが核開発を推進するに資するためのものであることは自明です。
核を兵器として使って得られる攻撃対象国(人びと)への影響・加害効果、あるいは兵器としての使用の如何にかかわらず、ウラン採掘に始まり、原発・原子炉の稼働、あるいは核兵器の製造や廃棄に至るまでのあらゆる過程でさけることのできない多くの人びとの被ばく労働や福島被災のような原発事故による被ばく影響、とりわけ遺伝的影響がどのようなものであるかを知ることは、国がこれを開発する上で極めて貴重であるわけです。

放影研も国も遺伝的影響についてすでにある程度のデータなり分析はできていると考えられます。しかし、よりもっと緻密なデータがほしい…まさにその切り札が「ゲノム解析」と言えるでしょう。
しかし、この「調査」のなかでどのような「結果」が見いだされようとも、上述のような詭弁を弄して「やはり放射線に遺伝的影響は認めらない」→「ない」→「放射線は恐れるに足りない」と結び、原爆被爆者(一世)で保障の幕引きを図り、被爆者をはじめ原発等核被害者の次世代以降世代、未来世代へのほしょうを封印して切り捨てることと表裏一体に、核開発に奔走する「悪魔のシナリオ」にほかなりません。」


かつての被爆二世健康調査に反対してハンストをした森川さんと発信された冊子と著書


ほしょうは「科学的証明」ではなく被爆者の奮闘でつかみとられてきた(森川聖詩さんの投稿より3)

「私たち被爆二世がまず踏まえておきたいのは、医療保障をはじめとする人権ほしょうは、決して遺伝的影響が科学的に証明されることで得られる(そうでなければほしょうは得られない)というような本質のものではないことです。
そのことを何よりも先達被爆者の崇高な被爆者運動の歴史から学ばなければなりません。
1957年制定の原爆医療法~1994年制定の被爆者援護法は、必ずしも原爆と被爆者の病気の因果関係が科学的に証明されたことによって実施されている施策ではありません。

さらに申し上げるなら、東京都や神奈川県においては被爆者援護法健康管理手当対象疾病(11障害)について被爆二世医療費補助が1970年代から実施されていますが、申し上げるまでもなく、これは科学的証明によるものでなく、先達被爆者の運動の力あってのものです。
さらに、1989年と1992年の2回、被爆二世・三世への適用を含めた「被爆者等援護法案」が参議院で可決されてもいます(残念ながら衆議院で否決され成立させることはできませんでした)。
 
こうした事実が教えてくれているのは、世の中を動かすのは運動の力と、それを支える政党や市民の支援の力、世論の理解や後押しであるということではないでしょうか?
では私たちは何をなすべきか?それは、放影研に自らの身体を差し出す(差し出して国の核政策に利すること)のではなく、被爆二世の健康と生活の実態を自ら具体的に開示し、それを政党・平和団体等市民団体、ジャーナリスト世論…の支持を広く得られるように「見える化」していくことだと思います。そういうことこそが、真の意味での被爆者運動、被団協運動の継承と言えるのではないでしょうか?

このことに果敢に取り組んでいる例の一つが、京都被爆二世・三世の会の「健康調査アンケート」であると思います。
現にこのアンケートを通じて、被爆二世・三世の深刻な健康生活実態が浮き彫りにされてきているようです。
現在、健康である被爆二世・三世も含めて安心して生きられる未来を築くため、福島の原発被災者・避難者の皆さまと連帯しながら、国に医療費保障、人権保障をしっかり掲げ、求めていきましょう!」


神奈川県が発行している「被爆者のこども健康診断受診証」 神奈川県と東京都、および吹田市と摂津市だけが被爆二世医療費補助を実現している

続く

#ICRP #放射線影響研究所 #ABCC #被曝の遺伝的影響 #京都被爆二世三世の会 #健康調査アンケート

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明日に向けて(2031)被爆二世ゲノム解析調査の狙うもの-ICRPの考察6

2021年05月18日 23時30分00秒 | 明日に向けて(2001~2200)

守田です(20210518 23:30)

「明日に向けて」の投稿を再開します

みなさま。しばし更新を怠ってしまい申し訳ありません。5月の連休終盤に疲れがたまったことからしばし休みを取り、その後10日から13日まで福島県内を取材、15日に埼玉県所沢市で講演し、16日に兄の一回忌に参加して日曜夜に戻りました。
旅の間中、心身のケアのためにももともとクールスポットだった温泉などに泊まり、宿でもゆったりできるようにしたため、旅の途中でのブログ投稿やツイートを断念しました。
このため「守田は体調不良なのでは」というご心配をおかけもしてしまったようです。どうもすみません。いたって元気ですのでどうかご心配なく。

福島ではとても素晴らしい出会いに恵まれ続け、たくさんの大事なことを学んできました。今後の投稿に反映させます。ご期待ください。
さて今回の投稿では、暫く後続を出せていなかった連載「国際放射線防護委員会(ICRP)の考察」の6回目として、放射線影響研究所による被曝の遺伝的影響の調査について取り上げます。
これもまた今回の福島取材と深く結びついているのですが、今回はまずは新聞記事の引用とこれに対する僕のコメントを明らかにしたいと思います。


放射線影響研究所が遺伝的影響に対する新たな発表を行いました!

少し前のことになりますが、4月16日に放射線影響研究所が重大な発表を行いました。資料としての意義が高いので朝日新聞の記事をそのまま転載します。

両親の被爆の子への影響「一部で関係性」 放影研
朝日新聞 比嘉展玖 2021年4月17日 9時30分
https://digital.asahi.com/articles/ASP4J727VP4JPITB007.html

【広島】広島、長崎両市を拠点に日米共同で原爆放射線の身体への影響を調査している放射線影響研究所(放影研)は16日、被爆者の受けた放射線量と子どもの出生直後の死亡などの関係を解析したところ、一部では関係性があったとする研究結果を発表した。ただ、「被爆による貧困なども影響している可能性があり、放射線の影響のみで起こったとは解釈はできない」と説明している。

 生まれつき手などが変形している「先天性形成異常」▽死産と生後7日以内の死亡▽死産と生後14日以内の死亡の三つの指標と、母親▽父親▽両親の合計の3種類の放射線量との関係性について9パターンに分けて解析。そのうち、「死産と生後14日以内の死亡」と「両親の合計線量」は統計的に意味があると判断されるレベルで関係性が確認されたという。

 放影研の前身・原爆傷害調査委員会(ABCC)が調査した被爆者の子約7万人のデータを最新の統計方法を用いて再解析した。統計学的には誤差の可能性がある範囲だったものの、他の8パターンでも、親の受けた線量が増加すると、先天性形成異常や死産と出生直後の死亡のリスクが増加する傾向だったという。山田美智子・臨床研究部放射線科長は「ゲノム解析を含めた更なる研究の重要性が認識された」と述べた。(比嘉展玖)


被曝問題のコアに遺伝的影響がある

この放影研の発表がどうICRPの考察とつながるのか。ポイントは被曝問題のコアが遺伝的影響にあるという点です。
放射線影響研究所、そしてその前身のABCCとは何かを考えたとき、原爆で広島・長崎における大量虐殺を行ったアメリカが、その影響をできるだけ小さく見せようとして作られた組織でした。
その際、最も重要だったのは遺伝的影響を否定することでした。原爆や放射線被曝に対し最も手厳しい批判を行っていたのが、ハーマン・ジョーゼフ・マラーなど生物学者・遺伝学者で、これを抑えること抜きに核戦略が維持できなかったからでした。

この点を僕はICRPの考察5で明らかにしました。
明日に向けて(1958)被曝影響の研究はアメリカ軍が主導、主眼は遺伝的影響だった-ICRPの考察5
https://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/6f05c93dffc713c3d88a6b7e71e30fb2

さて問題がその研究がいま、蒸し返されている点です。それもかなり周到に。
というのは朝日新聞の記事にもあるように、ABCCが行った当時の調査を精査すると、実は二世に障害や死亡のリスクが増えることが見えてきたと、ひとたび言っているからです。
しかしその後に、それは遺伝ではなく貧困のせいだったのではないか?と話をつないでいきます。そしてその点をもっと詳しく調べるためにゲノム解析が必要だとなっているわけです。


ゲノム解析の狙うもの

これのどこが用意周到なのかというと、まずはABCCの戦後まもなく行われた調査は「あれでは遺伝的影響が見えるわけがない」と言われた偏向したものだったので、それをカバーしようとしている点です。
それで今回は「精査してみたら実は障害や死亡のリスクが増えていた」と述べることで、ABCCの当時の調査が妥当であった(リスクの増加はきちんと押さえていた)とすくい上げているのです。
そしてその上で、ABCCも認めていた「障がいや死亡のリスクが増える」傾向は、遺伝によるものではなく貧困によるものだった思われると新たな遺伝否定論を出し、それを裏付けるためにゲノム解析をやろうというわけです。

ではなぜこの時期にこんな理屈が出てくるのでしょうか。僕は端的に言って、福島原発事故での被曝による健康被害がどんどん目に見えてきており、だから遺伝的影響への懸念も強まっているからだと思います。
同時にその懸念を抑えこみつつ、さらに多くの人々を被曝させることすらが狙われている。次の大きな核事故が起きることも折込ずみで原発を使い続けようとしているからです。次の事故の際、人々に被曝を危険なものを思わせないことが狙われている。
こう書くと「いくら何でもまさかそんなことまでしないだろう」と思われるかもしれません。でもみなさん、見据えて下さい。原子力マフィアは無抵抗の広島・長崎市民を虐殺し、核実験で世界中の人々を被曝させ続けてきた張本人です。

その原子力推進派、いや原子力マフィアが、いまいちど、遺伝的影響を強く否定し始めている。そしてそのために「ゲノム解析」を行おうとしている。新たな騙しのテクニックとして市民側からクロスチェックできない科学技術が使われようとしている。
そしてこの「科学」の「御旗」をもと、事故すら織り込み済みで原発を動かし、福島原発から放射能汚染水を海に流し、汚染土をあちこちにばら撒き、使用済み核燃料を各地で受け入れさせようとしているのです。
こんなこと、絶対に許せない。被曝の強制と立ち向かわなくては!今回、こうした問題意識をもって福島県各地を取材し、この間の確信を深めることができました。ぜひそれらをみなさんとシェアし、核から命を守る奮闘を共にしたいと思います。

ネットより

続く

#ICRP #放射線影響研究所 #ABCC #被曝の遺伝的影響 #ゲノム解析 #原子力マフィア

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明日に向けて(2030)『ハイジ』の本当の力ー社会的共通資本としての絵本を読もう (リメイク記事です)

2021年05月04日 10時30分00秒 | 明日に向けて(2001~2200)

守田です(20210504 10:30)

社会的共通資本としての絵本

前回の、ひとぶつてんとう園と能登川図書館とあすのわぐまのお話に続き、絵と絵本の力について論じたいと思います。
絵の力、絵本の力、絵本展の力、それはすべて人間の想像力に訴えかけてくるものです。そこには物理的エネルギーは使われていない。もちろん電気など介在していない。
でもこれほど体があっためられる。何か人間の最も根本にある力を引き出してくれるような気がします。

そう考えているときに思い出したのが、僕がかつて属した同志社大学社会的共通資本研究センターで行った講演会、「社会的共通資本としての絵本」でした。
わが師、宇沢弘文さんの主宰のもと、絵本の老舗、福音館書店の会長、松居直さんをお招きしました。
もうひとり、京都・堺町画廊の主宰者でもある、絵本作家のふしはらのじこさんも来て下さいました。お二人の話ともにとても素敵だったのですが、今、紹介したいのは、松居さんのことです。

松居さんは、絵本の世界にいる方の中ではとても有名な方で、いわば絵本道の達人です。
といってもご本人が絵本を書かれてきたのではない。福音館書店を通じて数々の素晴らしい絵本を世に押し出し、また素晴らしい作家さんたちを育ててこられたのです。
松居さんは、絵本や、こどもの本にまつわる成人向けの本を何冊も書かれています。『絵本をみる眼』『絵本とは何か』『子どもの本・ことばといのち』などです。
とくに絵本やこどもの本を開いてみようという方にお勧めなのは『子どもの本・ことばといのち』です。

ここでは松居さんのお勧めの本がずらりと並んで紹介されている。その筆頭にあげられているのは『ハイジ』です。
誰もがご存じのアニメーション『アルプスの少女ハイジ』の原作ですが、実は原作と、アニメにはかなりの違いがあり、松居さんはそれを次のように紹介しています。


松居直さんの著作 どれも読みごたえがある


『ハイジ』の本当の力

「久しぶりに完訳で『ハイジ』を読み返したとき、ひとりの読者-それも大人の読者として、私は予想した以上に心をひかれました。これほどまっすぐに心に語りかけ、新鮮な思いに包まれた読書体験も稀でした。
それに較べてアニメーションの「ハイジ」のなんと貧しいこと。原作者シュピーリが語り伝えたいと願ったであろう本質の問題は、みごとに消し去られているのです。」
「いえ、その部分は映像化しえないのです。もちろん物語を”読む”というあの楽しさは味わえません。シュピーリが心をこめてことばにした自然の美しさも、人の心のゆたかさや深い悩みも、まるでメッキのように薄っぺらにしか表現されていません。」
(『子どもの本・ことばといのち』p10)

僕はこの一説に衝撃を受け、すぐに「ハイジ」の原作を日本語訳し、福音館書店が発刊したものを手に入れ、ゆっくりと、丹念に読みました。そして松居さんがおっしゃるように、この本が本当に深い広がりを持っていることを知りました。
さらにパウル・ハイの描いたさし絵にとても感銘しました。ぜひみなさんにも手に入れていただきたいです。松居さんの指摘された素晴らしさが目と心に飛び込んできます。
実はこのさし絵は、松居さんが日本語訳を編集されたときに、スイスの著明な絵本編集者で、こどもの本のすぐれた研究者でもあったベッティーナ・ヒューリマンさんに相談を持ちかけ、パウル・ハイさんを紹介されて実現したものなのでした。
そのヒューリマンさんと親交があったのが、宇沢弘文さんの素敵なパートナー、宇沢浩子さんでした。

松居さんはこう語っています。
「すでに『ハイジ』をお読みになったことがある方々も、改めて矢川澄子訳、パウル・ハイ画の完訳本『ハイジ』を、一行一行ゆっくりと、山に登るときのようなあゆみで読んでみてください。そして作者シュピーリの語ることばと思いに、より添ってみてください。」
「さらには、登場人物たちの行為やことばだけでなく、アルプスの自然について語る、シュピーリのことばにこめられた、彼女の実体験とあこがれに思いをいたしてください。この作品の新の立役者は、スイス・アスプスの大自然だともいえるのではないかと、私はおもうからです。」(同p12)

松居さんが、『ハイジ』の紹介を通じて伝えたかったことは何でしょうか。ことばと絵が、人間の想像力をかきたてること、そこにこそ「子どもの本」や「絵本」の素晴らしさがあるということではないかと思います。だから実は優れた本は、大人をも感動させる。
正確にはものごとに感動する私たち自身の力、かけがえのない人間的能力を、引き出してくれるのです。そこに、ピュアに書かれたことばの力、絵の力、そして絵本の力があると僕には思える。あらゆる書物の原点が、そこにあるように思えます。


『ハイジ』福音館版は重厚な作り。箱に入っている。挿絵もみごと


絵本の力が私たちを明るくする

松居さん自身は、『絵本とは何か』という本の中で、絵本について直接にこう語っています。小さな子どもたちを集めて、お話を読み聞かせたとき、ついてこれる子と、そうでない子がいる。それはなぜかということを解き明かす中で語られている言葉です。
「物語を聞ける力というのは、物語という目に見えない世界を、自分の心の中に見えるようにする、絵(イメージ)にする力です。一般に想像力(イマジネーション)といわれる力です。想像力が豊かであれば、人間は見えないものを見ることができます。絵本は、子どもたちの想像力に大きなかかわりがあります。」
「子どもは、生まれたときから、豊かな想像力を持っているのではありません。それは直接、間接の体験を通して獲得されるものです。体験が豊かであればあるほど、想像力も豊かになるでしょう。絵本は、幼児にとって体験を豊かにする機会をあたえます。」(『絵本とは何か』p7、8)


『フランダースの犬』初版本に添えられた挿絵 この本も『子どもの本・ことばといのち』の中で紹介されている。ちなみに僕にとって「フランダースの犬」は、生まれて初めて大泣きした作品。文学で心を揺すぶられた初体験で、なぜ涙が出てくるのか分からず当惑もしていたことも鮮明に覚えている・・・。

・・・今、私たちは本当に深刻な放射能漏れの中を生きています。放射能との共存時代といわざるをえない事態の中にいます。
その中を前向きに生きてくために必要なのは、放射能の元を断つことと、一方で腹をくくり、免疫力を高める努力を傾けることだと、僕は被爆医師、肥田舜太郎さんに教わりました。

免疫力を高めるためには健康生活をすることが大切ですが、同時に私たちが経験的に知っているのは、精神生活の豊かさもまた、免疫力の向上に大きく寄与するのだということです。
だからことばの力、絵の力もまた、免疫力の向上に大きく寄与するのだと僕は思います。
その意味で、僕は「絵本は放射能に効く」と感じます。そう思うと、大阪のデモのときに、「あすのわぐま」と出会って、心がパッと明るくなった嬉しさ、楽しさを思い出します。そしてそんな力を脱原発の訴えの中で、もっと強めていきたいなと思います。

そんなことを思いながら、明日(注、2011年9月28日のこと)、信楽を訪問し、みなさんといろいろとお話してきたいと思います。そこから何か新しいものを生み出せるといい。
あすのわぐまが楽しそうに踊りながら歩いていく、それにみんながついていって脱原発の道ができていく。思い浮かぶのはそんなイメージです。

#ひとつぶてんとう園 #能登川図書館 #社会的共通資本 #子どもの本ことばといのち #ことばの力絵の力絵本の力 #あすのわぐま #福音館 #ハイジ #松居直 #宇沢弘文

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明日に向けて(2029)ことばの力、絵の力、絵本の力ーひとてんと能登川図書館とあすのわぐまのこと(リメイク記事です)

2021年05月02日 22時30分00秒 | 明日に向けて(2001~2200)

守田です。(20210502 22:30)

ひとてんと絵本と能登川図書館のこと

2011年9月にはじめて信楽でお話する前夜に配信した記事をリメイクしてお届けします。絵本の力について書きました。
僕が絵本の力に目覚めたのは、もともとは「みんなの滋賀新聞」記者として能登川図書館を取材し、当時の館長の才津原さんにいろいろと教えを受けたことからでした。
その才津原さんとの新たな不思議なご縁に、この間、恵まれました。近江八幡の「ひとつぶてんとう園(ひとてん)」でのことです。

「ひとてん」の主宰者のにしむらしずえさんが、「放射線副読本すっきり読み解きBOOK」を作った「にょきにょきプロジェクト」の一員で、「ひとてん」でのBOOKの読み会の解説役を頼まれました。
ひとてんは子どもの意志をとても大事にするスクールです。子どもを信頼し、子どもに干渉しすぎないようにすること、そのことで子どもの力が一番引き出されることを親たちが学ぶ場でもあります。
そんな活動を続けているお母さんたち、みなさんとても素敵なのですが、この日、集まってきたお母さんの一人がたくさんの絵本を抱えておられました。

「どこから来られました?」と聞いたら「能登川です」と。それで「能登川図書館ってすごいでしょう?日本一ですよ!元の館長だった才津原さんという方が作られ、滋賀の図書館の改革に尽力されたのですよ」とお答えしました。
そしたら「えーーーっ」と言われる。「才津原君知ってます!」 ーーて、えっ?才津原君?
「息子さんです。小学校で一緒だったんです。お家に遊びにいったこともあります。ニコニコ笑っている優しいお父さまでした。でもそんなにすごい方だなんて知らなかった」と・・・。

子どものころから能登川図書館が大好きで通い詰め、やがてお母さんとなったその方が、お子さんのために能登川図書館から借りだした絵本をたくさん抱えていた。才津原さん、とても喜ばれるに違いない、と思いました。
それでこの記事をそのお母さんに紹介したのですが、みなさんにも読んでいただきたくなりました・・・。
以下はリメイク版です。2011年9月のもの。オリジナルは「明日に向けて(271)ことばの力、絵の力、絵本の力」です。少し長くなりますがご容赦を!


上段真ん中 能登川図書館 右 所蔵の絵を説明する元館長才津原さん 下段右 能登川図書館では絵本をこう置いている 2006年守田撮影 上段左と下段左 ひとてんでの2回目読み会 下段真ん中 ひとてんでの1回目読み会 

 
あすのわぐまの「衝撃」

明日(注2011年9月28日のこと)、信楽に呼んでいただきお話をすることになっています。信楽町開発センター午後1時からですが、少し前にいって周辺の放射線を測り、お話の後もまた計測会を行うつもりです。信楽周辺の方、ご参加ください。
今回の講演会は、「あすのわ」のみなさんによって主催されていますが、直接に声をかけていただいたのは、絵本作家の市居みかさんです。
今回のお話会は、その市居さんが絵を書き、玉崎洋子さんが文を書いて作った、1枚のチラシがきっかけになっています。

タイトルは「まずは知らなきゃね」。市居さん描く「あすのわぐま」が、原発について、「本当はこうなんだよー」と猫ちゃんに説明しているものです。
何はともあれ以下をクリックしてみてください。A4二つ折り、見開きようのもので、1枚目の右側からスタートしています。
https://docs.google.com/viewer?a=v&pid=explorer&chrome=true&srcid=1n4BN-8yTV5-BqPLEixco6GMXyRBn1Hz1NF8pdV_ibNfW20AATCj_rShSINd8&hl=en
http://asunowa.shiga-saku.net/e614436.html


あすのわプロジェクトのチラシ 文・玉崎洋子 イラスト・市居みか


僕がこのチラシを手にしたのは、4月に行われた大阪での脱原発デモでのこと。カメラを持って、歩道を歩いていた僕に、小学生ぐらいの女の子(玉崎さんの娘さん)が、「はい!」とにこやかに手渡してくれたのでした。

一読して、これはこの間のベストチラシだと思った。それでただちに持ち帰ってマスプリ。周りにじゃんじゃん配りだしたところ、大好評でしたが、その頃になって良く読むと「イラスト市居みか」と書いてある。
実は市居さんに僕は、数年前に滋賀県で行われた「大人のために絵本を読む会」の場でお会いしていたのでした。能登川図書館と、近江八幡の喫茶「茶らく」が会場でした。主催していたのは、とりいしんぺいさんでした。

これは絵がつないでくれた縁だな。絵本の縁だなと感じました。すると市居さんが呼びかけて、絵本作家さん60人が集まって、NO!ゲンパツ展が行われていることを知り、東京に出かけた際に、見てくることができました。
圧巻だった!集まった絵の力に胸を打たれ、心が温かくなりました。

このときの様子も、あすのわのHPに市居さんが書いているので、ぜひご覧ください。
この展覧会は、滋賀、大阪、新潟、東京、広島の会場を駆け回ったのですが、それぞれの会場の様子、そして出典された作品をみることができます。
http://asunowa.shiga-saku.net/e678870.html

続く

#ひとつぶてんとう園 #能登川図書館 #放射線副読本すっきり読み解きBOOK #ことばの力絵の力絵本の力 #あすのわぐま #近江八幡 #茶らく #市居みか

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