近畿地方の古墳巡り!

歴史シリーズ、第九話「近畿地方の古墳巡り」を紹介する。特に奈良盆地・河内平野の巨大古墳・天皇陵の謎などを取上げる。

滋賀県東近江市の雪野山古墳とは!

2009年11月07日 | 歴史
これからは、静岡県沼津市から関西地方に戻って、滋賀県内の特筆すべき古墳を巡ってみたい。

先ず、琵琶湖の南東部に広がる湖東平野の独立丘陵である雪野山は、標高309mほどあり、旧八日市市と蒲生郡竜王町の境の頂上に、“雪野山古墳”が築造されている。

合併により現在の東近江市と周辺地域にまたがる雪野山山頂にある、4世紀前葉から中頃の前方後円墳が、平成元年に全国でも珍しい未盗掘の状態で発見され、話題を呼んだ。

県内最古級の雪野山古墳を山頂にいただく雪野山には、200基以上もの古墳が造られている。





写真は、天乞山古墳から望む雪野山及び雪野山古墳公園。

雪野山古墳は、上羽田町にあり、全長は約70m・後円部径約40m・高さ約4.5m・前方部長さ約30m・高さ約2.5mの規模。

突出した地形は削り、逆に窪んだ部分には土を盛って墳丘を形作っている。
墳丘の斜面には葺石を貼り付けているが、埴輪は検出されていない。

後円部は二段築成で、埋葬主体部が2ヶ所確認され、この内、第1主体部は、南北約10.6m・東西約7.0mの二段掘りした大きな墓坑の中に、湖東流紋岩の割石で造られた竪穴式石室。

第2主体部はその一部分のみが確認されているが、詳細は不明。

邪馬台国の王女卑弥呼が中国から賜ったといわれている、三角縁神獣鏡などの銅鏡や石製品、鉄製刀剣・鉄鏃などの武具類、農耕具・土器など副葬品も多く出土したと云う。

これら出土品218点は、平成13年に国の重要文化財に指定された。









写真は上から、竪穴式石室内部の発掘状況及び出土した三角縁四神四獣鏡、三角縁唐草文帯四神四獣鏡及び三角縁波文帯盤龍鏡。

写真の竪穴式石室の壁は、小さい石を小口積風に積上げているが、不揃いで、下半分はやや内傾気味に積上げている。壁面には一面に赤色顔料が塗られている。

雪野山古墳の後円部の墳頂部に南北方位で堅穴式石室1基があり、邪馬台国の王女卑弥呼が中国から賜ったといわれている、写真のような直径約25cm前後の三角縁神獣鏡3面が出土したと云う。

特に三角縁神獣鏡には、59文字の銘文が刻まれており、当時を知る上で貴重な資料。

竪穴式石室の基軸は南北方位で、材質は壁面・天井石ともに湖東流紋岩で、床面に粘土床を設置してあり、その上に木棺の痕跡があったと云う。

埋葬主体部は、竪穴式石室の中に粘土を敷き、この上に長さが5m程度の高野槙の巨木を半裁した木棺を置き、中に遺体と共に多量の副葬品が納めていたらしい。





写真は、棺内に置かれた“靫”の出土状況及び鍬形石・琴柱形石製品・紡錘車形石製品などの石製品。

長さ約70cmの靫は、黒漆塗され、副葬時にはその上に朱色が塗布され、内部には矢を入れており、銅鏃・矢柄が残っていたと云う。

この古墳の被葬者は、古墳の立地・規模・副葬品の内容から、大和との密接な繋がりを持った人物と考えられる。また、刀剣類と銅鏃の量が著しく多く、被葬者の軍事的な性格も窺うことができる。

現在古墳は埋め戻されているが、山頂まではハイキングコースが整備されている。




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