小さな栗の木の下で

保護犬のミニチュア・ダックスを引き取り、
小型犬との暮らしは初めて!という生活の中で、感じたことを徒然に…。

『くまとやまねこ』

2010-05-17 | 

 読売新聞の書評を読んで、取り寄せた本があります。湯本香樹実さんの『岸辺の旅』。「彼岸から此岸へと夫がたどった道のりをさかのぼって、夫婦が旅する物語」。
 書評には「“人が生きた痕跡は、肉体が消えてもそう簡単に消えるものではない”という作者の思いが、確かな存在感を与えている」と書かれていました。

         

 おもしろかった。生の不確かさと死の確からしさが立ち上る作品でした。

 で、立て続けにこの湯本さんの著作を読んだのですが、仲良しだったことりの死を受け入れられずに家に閉じこもり、きれいな箱に納めたことりの亡骸を持ち歩くくまの話を描いた『くまとやまねこ』という絵本には泣けた。

 銅版画かなあ、黒いザラ紙に白いクレヨンかパステルで描いたのでしょうか、酒井駒子さんの絵がものすごくよい!

 モノトーンの世界にくまの哀しみがきっちり描かれている。けれど、最後にくまは輝きを見出します。心に迫る物語でした。

 少年たちが一人暮らしのおじいさんの死を見守る『夏の庭』も、亡くなった父にあてて手紙を書き続け、それを配達してくれるというおばあさんとの交流を描いた『ポプラの秋』も、「死」をテーマにしていながら、主人公たちが希望を見出していく最後に、物語全体の深みが感じられ、読後感のしみじみさが増すのでした。

    

 とくに『ポプラの秋』は好きだな~。 


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