<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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ジャン・ピエール・ジュネ監督の新作「ミックマック」は、最初から最後までまったく退屈することのないアイデアいっぱいの映画だった。

あの「アメリ」の監督の作品だからと、期待して劇場に足を運んだのだったが、こういうときはえてしてコケることも少ない。
けれども、期待は一切裏切られることがなく、むしろ「アメリ」よりも面白い作品に仕上がっていた。
期待に反していたのは劇場の入がいまいちであったことで、「アメリ」の監督にしてはずいぶん寂しい雰囲気ではあった。
もっとも作品の魅力は相当なもので私なんぞはもう一度見てみたい、と思っているくらいなのだ。

独特の色調の絵作り。
魅力ある音楽。
そしてなんといっても個性あふれるキャラクターたち。
こんな人たち、フランスに行ったらホントにいるのか?
と一瞬信じてしまいそうになるくらい、独特のリアル感。
実に面白い。

ほのぼのとしたストーリーのように見えるこの映画は、実際はかなり早いテンポで、「とん、とん、とん」と進んでおり、息つく暇もないというのが実際のところだが、一つ一つの要素がどことなく「ぽけ~」「ホンワカ」としているため、刺激は少なく、見ていて疲れない。

先月で超ド級の忙しさであった私もようやく仕事に一息ついて「映画でも見に行こ」と観に行ったのが本作だった。
正直、疲れているときにフランス映画はいささか「濃い~い」ものがあるのだが、あのアメリの監督作品だけに見ておきたかったという感情が優先して、結果的それは大きな成功だったということだ。

ところで、一般のロードショー劇場、いわゆるシネコンではアメリカ映画が日本映画のメジャー作品が上映されている。
映画館の数も私が中高生だった1980年代と比較しても多いように思う。
ところが上映作品はどの劇場に行っても同じような作品ばかりで、正直詰まらない。
しかも最近は3Dを使用した飛び出す映画が増えてきたり、洋画でも「日本語吹き替え」なる「テレビの洋画劇場か」と思うような作品が多い。
これらの上映方法や作品群は映画の魅力という意味に於いてもキワモノ的で、見たあとドドドと疲れることになる。

素朴な感覚で「楽しかった」「気分転換になった」「もう一度みたい」などと思うことが少なくなってしまった。

ミックマックのようなCGや3Dに頼る部分がなく(CGは使用しているかも)、ストーリーと登場人物の魅力で訴える映画を観ると、ミニシアターの存在はますます大きくなるような気がするのだ。

シネコンあふれる全国の映画館はもっと上映する作品を厳選し、映画の魅力を消費者に伝えなければ劇場映画は大画面テレビに圧倒され、やがては姿を消すことになるのではないか、とも思うのだ。

ミックマック。
映画の魅力たっぷりの缶詰映画なのであった。

ミックマック公式HP

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