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朝、新大阪駅近くの取引先で打ち合わせをして事務所に戻ろうとJRの改札口に行くと、なにやら騒々しい。
「地下鉄御堂筋線は梅田駅の火災のために全線で運転を見合わせています。JR線への振替輸送を実施しています。」
とのアナウンスが流れていた。
「なに?梅田の駅で火災やて? これは週刊誌あたりが『橋下市長に反発した勢力が反抗のために起こした事件だった』みたいな記事を流すかも。」
と思ったのは私だけだはないだろう。
ま、そういう悪い空想が頭に浮かぶのも今の大阪市の市長および維新の会対労働組合という対立構造が目立っているからで、当然ほとんどの市民は市長の味方だから市営の事業所で火事があったりすると要らぬ想像をしてしまうものなのだ。
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それにしても大阪市営地下鉄梅田駅というと大阪では最も乗降客の多い場所。
ここで火災となると、当然大混乱が起こっているものと思っていたのだが、JR線で大阪駅まで異動して阪神百貨店の前に行くとご覧のとおり。
地下通路には防火シャッターが下ろされて行き場を失った何人かの通行人が困惑していた程度で、何事も無く冷静そのもの。
大阪人も大きく変わった。なんて大人しくなったものだ、と思った私も大阪人。
いい迷惑な事件なのでった。
で、こうして地下鉄梅田駅の火災でその周辺の地下街が閉鎖されると大きく困ることが今回はじめてわかった。
大阪梅田の地下街は、かつて日本一の規模と言われ、今も、地下でつながった様々な地下の集合体とすれば日本一。
各駅、ビル、百貨店を始めとするショッピングモール、公共施設はすべて地下街を通り抜けることで移動することができた。
ところが梅田駅のようなハブになる部分で通行止めを食らうと、東西南北、どこも行きづらくなることがわかったのだ。
まず、道路を渡ることが難しい。
大阪の場合、地下街が発達しすぎて都市を設計する方も、地上に横断歩道は要らないと思っているんか、いざとなると人の渡れる交差点がほとんどない。
従って車ビュンビュン行き交っているところを渡らなければならないのだ。
私もある交差点を渡るために横断歩道の無いところをガードレールを跨いで渡ることになったが、いつしかベトナムのサイゴンで幹線道路をビクビクしながら渡ったのを思い出し、
「大阪はアジアに一番近い街、っていうけど、アジアそのものやん」
と妙に納得することになったのであった。
私のように移動に困惑する人は少なくないと見えて、大人の男性はもちろん、綺麗に着飾った女性までがガードレールを跨いで歩いているところは、
「生きることに独特のパワーを発揮する大阪人」
を顕にしている見事な風景であった。
梅田の堂島地下街でランチを食べて四つ橋線に乗ろうとしたら、アナウンス。
「御堂筋線は全線で運転を再開しましたが、梅田駅は通過します。乗り降りできませんのでご注意ください。」
淀屋橋から乗って中津まで止まらない地下鉄御堂筋線を体験したい思ったのはいうまでもない。
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(梅田駅通過を告知する看板)
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(梅田阪急百貨店本店前に集まった消防車。野次馬のいないのが、なんとなく変ではある)
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